魔法安価バトルロワイアル

魔女と魔王

ハドラーとパチュリー。飛行する戦車の上で、二人はお互いの知る情報を教えあっている。
互いが知っている他の参加者や、ここに来るより以前のことが主な話題だった。
後者については、いつの間にやら集められたらしいということしか分からなかったが。

「……なるほどな。聞いている限りでは、お前が最も優秀な魔法使いだと思えるが」

「年季が違うからね。あの二人に知識で劣ることなんてありえないわ」

体力はあっちが上だけどね、とパチュリー。
あの二人とは、霧雨魔理沙とアリス・マーガトロイドのことだろう。両者とも、パチュリーの知り合いの魔法つかいである。
こと知識面では自分が二人を上回っているという自負が、パチュリーにはあるようだ。
その答えを聞いて、ハドラーは再び質問を口にした。

「ならば聞こう。この刻印、どうにかできるか?」

パチュリーは少し考え、

「さあ、どうかしら。実験台になってくれるならわかると思うけど」

自分の考えを口にした。実験台――つまりはハドラーの刻印を調べさせろ、ということである。
その提案に、ハドラーは即答で返した。

「断る」

「そりゃあそうでしょうね。だから、そういうことよ。
 実際に弄ってみなきゃわからないわ。私も気は進まないけれど」

断られるのは分かっていたようで、更に話を続ける。
そう、この刻印は自分たちを自由にさせない為のもの。
どんな仕掛けがあるか分かったものではない。

「確かにな。調べようとした途端に発動されてはかなわん」

そんな説明はなかったが、そのような機能があったとしても不思議ではない。
それだけの力が、神を名乗った存在にはあるように思えた。それは、両者の共通の見解だ。

「あなたは強そうだからねぇ。無理矢理ってわけにもいかないわ。
 それこそ、どうでもいいような奴を捕まえるぐらいはしないと」

「どうでもいいような奴、か」

「この刻印をどうにかしようと思ったら、それぐらいは必要だってことよ」

なんの犠牲もなしには、研究は進まない。それと同じことだ。
何らかの知識を得るならば、その為に何かを犠牲にすることは、そう珍しいことではない。
ハドラーとて、今の強さを手に入れる為に捨てたものは数え切れないほどあった。

「でも、いきなり実力行使をするつもりはないわよ?
 この刻印についての知識を持ってる人もいるかもしれないからね。
 ともかく知識が足りないのよ。普段なら、書斎にこもって色々調べるんだけどねぇ」

「書斎か。しかし、ここにはそんなものはないだろう」

魔法使いらしいやり方だが、この場においては不可能だ。

「でしょうね。なら、後は八雲紫にでも期待するとしましょう」

八雲紫。さきほどパチュリーが話していた、この殺し合いに参加している知り合いの一人。

「八雲紫とやらは、それほどの力を持っているのか?」

「八雲紫の能力は神にすら匹敵するそうよ。
 幻想郷においては、色々と頼れる存在だったわ」

以前読んだ本にそう書かれていたわ、と。彼女はそう言った。
神にすら匹敵する力を持つ大妖怪。それが、八雲紫だという。
しかし、それならば新たな疑問が出てくる。

「それほどの力の持ち主を、なぜオレが知ることができなかったのだ?
 こう言ってはなんだがな。正直なところ、疑わしい話だと思っている」

それだけの力の持ち主。魔王軍の中において噂にすらならないというのは不自然だ。
それこそ、大魔王バーンすらも上回る力を持っていなければ、隠し通すのは難しいのではないか。

「幻想郷は結界の中にあって、外の世界と隔絶している。
 隠れ里のようなものよ。知らなくても不思議はないわ」

「そう簡単に隠れおおせるものか?」

「事実としてできているのだから、隠れおおせたんでしょう」

そうでなくては幻想郷は成立しなかっただろう、と。
確かに、自分が知らないだけで、そういった存在がいるというのも分からない話ではない。
魔王軍でさえ知りえなかった隠れ里などというのは認め難い。しかし、ありえないとは言えない。
だからハドラーは、判断を保留した。八雲紫とやらに直接会えば、判断はつくだろうと考えたのだ。
そう考えているうちに、パチュリーは別の話題に移っていた。

「あなたは魔法についての知識は持っている?」

「一通りはな。これでも魔法の扱いには自信がある。さきほども見ただろう?
 神が相手では、いささか心もとないとは思うが」

さきほどの炎の魔法。呪いに関してはともかく、戦闘においては頼りになるだろうとパチュリーは考えた。
ただ魔法を使うだけでなく、知識についても期待できるというのなら、実にいい同行者である。

「そう。私は見ての通りの病弱な魔法使いだから、厄介事は任せていいかしら」

その言葉にハドラーは目つきを険しくする。彼女の強大な魔力なら、戦闘においてもその力を存分に発揮できるだろうと考えたからだ。

「援護ぐらいはできるだろう。傍観するだけならば放りだすぞ」

「あんまり魔力を使いたくないんだけどね。
 今後のことを考えるなら、調査と戦闘は別々に担当するべきよ」

つまり、自分が刻印を調べることになるだろうから、戦闘では手を貸せない、ということだ。
確かに筋が通っているが、現状ではあまり意味がない。そもそも安易に調査できないからだ。

「死んでは意味がないだろう。危ないと思ったら手を貸せ」

「まあ、その辺は私の判断でね。あなただけで大丈夫だと思ったら、手は出さないわ」

「十分だ」

後方支援としては、危なく見えた時だけでも十分頼りになる。
手を出すのなら、なんらかの合図は欲しいが、それについてはおいおい話しておけばいい。

「なんだかんだ言っても、やっぱり私達だけじゃあ情報が足りないわ。
 できれば、呪いのスペシャリストに会いたいものだけど。
 ……ああ、そうだわ。確かアリスが呪いの研究をしてたっけ」

「アリス? アリス・マーガトロイドとやらか」

アリス・マーガトロイド。主に人形を遣う魔法使い。
パチュリーからすれば、自分には及ばないと考えているようだったが。

「ええ。人形研究の一環だったみたいだけどね。
 でも、実践したことのある人間の意見は参考になるわ」

知識だけあるのと、実際にやった経験があるのとでは大違いだ。
だからこそ、呪いの経験者というのは重要だろう。

「一息ついたら、そのアリスとやらを探すか」

「あら、いいのかしら。ザボエラとかいう人は、聞いた限りでは頼りになりそうだけど」

確かにザボエラならば、呪いの類についてもかなりの知識を持っているだろう。
だが、ハドラーはザボエラを頼るという考えが浮かばなかった。理由は簡単だ。

「奴の性格では、素直に協力はせんだろう。それに寝首をかかれかねん」

ザボエラが脱出に専念することはないだろう。他者を犠牲にすることに戸惑いがないどころか、進んで犠牲にしようとする奴だ。
こんな状況で、そんな不安要素は抱え込めない。

「そう。まあ、会えたら説得ぐらいはしてもらおうかしら」

「できればな」

互いの考えを話し合いながらも、戦車は進む。目的地は絶望の町である。
無駄に飛び回っても目的の人物と会えるとは限らない。
ならば、一ヶ所に留まってでも、誰かに会うことを優先するべきだと考えたのだ。
その留まる場所として、絶望の町は妥当だった。
もっとも近くにある、人の集まりそうな場所――それが、絶望の町だった。

【B-Ⅳ 1日目 深夜】
【パチュリー・ノーレッジ@東方Project】
【状態】:疲労(小)、魔力消費(小)、神威の車輪搭乗中
【装備】:エクスカリバーの鞘@Fateシリーズ
【道具】:支給品 不明支給品0~2
【思考・状況】
基本:呪印が解けないか知識を得る。
1.自分の知らない知識を集め、本当に脱出できないか確かめる。
2.知り合いと殺し合いはしない。
3.そもそも疲れることは避けたい(体力的な意味で)
4.とりあえずハドラーと行動する。
【備考】
エクスカリバーの鞘の効果で、喘息が落ち着いています。
飛ぶと走る以上に体力の消費が多いようです。

【エクスカリバーの鞘】
真名を全て遠き理想郷【アヴァロン】。セイバーがいないため真名を開放できるかは不明。
使用者の魔力を治癒力に変換し、所持者を癒す。

【ハドラー@ダイの大冒険】
【状態】:健康、魔力消費(小)、神威の車輪搭乗中
【装備】:スパタ@Fateシリーズ、レリック(核として代用)@リリカルなのはシリーズ
【道具】:支給品 不明支給品0~1
【思考・状況】
基本:神と魔王に反逆するため呪印を解く
1.絶望の町に向かう。
2.その間に、パチュリーから情報を得る。
3.殺し合いには乗らない。
4.知り合いとあったときの対応を思案中。
【備考】
死亡後からの参戦です。覇者の剣、黒の核晶はありません。
黒の核晶の代わりにレリックが動いています。
レリックを除去すると体が朽ちていきます。