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複素関数論

複素関数論の調和

参考:岩波講座応用数学「複素関数論」
複素数とは、に
(i) ベクトルの和 と 複素数の積 を入れた体 であり、
(ii) 標準位相を入れたユークリッド空間 である。
Cauchyの積分定理などは、一般の多様体に対するStokesの定理から系として得られる。

複素平面の位相構造

Def. 領域
領域であるとは、連結開集合であることをいう。
領域の閉包を閉領域という。

Prop. 
 開集合に対して、以下は同値
領域 ⇔ 弧状連結 ⇔ 任意の2点が折れ線で結べる。

Ex. 
開円盤は領域
閉円盤は閉領域

Rem. 
領域は必ずしも単連結でないから,穴が開いててもおk。
Def. コンパクト集合
コンパクトであるとは、
任意の開被覆から有限部分被覆を取り出すことができることをいう。

Prop. 
以下は同値
コンパクト集合 ⇔ 誘拐閉集合 ⇔ 任意の点列は収束部分列を持つ。
Cf. Bolzano-Weierstrass
の有界点列は収束部分列を持つ。

複素数列

Def. 収束
ノルム収束で定義される。


Rem. 
上の定義は結局、の通常の位相を入れていることになる。

Lem. 基本不等式


Prop. 
ノルム収束は、成分毎の収束と同値。

Def. コーシー列

Th. 複素数の完備性
コーシー列は収束する。
Th. Bolzano-Weierstrass
の有界点列は収束部分列を持つ。

複素関数の極限

Def. 集積点

 がEの集積点であるとは,
点列zn≠zで,zに収束するものがとれること。
すなわち,
Def. 
 に対し、とは、 となることをいう。


複素級数

Def. 絶対収束 
 が収束すること。
0. 絶対収束すれば収束する。
1. 絶対収束すれば項の順序を入れ替えてもおk
2. がそれぞれ収束すれば絶対収束する。
Th. 比較定理
正項級数 が収束して,以下を満たすとする。

このとき も絶対収束する。

関数項級数

Def. 広義一様収束
開集合Ωに含まれる任意のコンパクト集合K上で一様収束すること。
1. 連続関数列が広義一様収束すれば極限関数はΩ上連続。
2. 広義一様収束すれば極限と積分の交換可能。
3. 正則関数列が広義一様収束すれば正則。→したがってk階微分の列もk階導関数に収束する。
Ex. 
Ω=D1 open disk
 広義一様収束
Th. Weierstrassの優級数定理
E:set
E上の有界複素間数列。
このとき優級数が収束すればE上一様収束。

Ex. 等比級数
Ω=D1 open disk
 広義一様収束。各点で絶対収束
Ex. 指数関数
Ω=C 全空間
 広義一様収束。各点で絶対収束。

冪級数

Def. 冪級数(整級数)

aを中心という。
Th. 収束半径
冪級数に対しがあって,
 ⇒絶対収束
 ⇒発散
収束円周上の挙動はしばしば難しい問題になる。
収束半径Rの円盤を収束円という。
Th. 冪級数は収束円内で広義一様収束
あとで,冪級数は収束円内で項別微分可能性・項別積分可能性であることの要になる。
Th. 収束半径の求め方
1. 定義に従う  難しい。
2. Cauchy-Hadamard 
2'  極限が存在すれば。
2"  極限が存在すれば。

解析関数

Def. 冪級数展開可能
z=aの近傍でf(z)が冪級数表示をもつとき,冪級数展開可能という。
z=a一点だけで「展開」できてもダメなことに注意。つまり収束半径はR>0
領域Dの各点で冪級数展開可能な関数f(z)はD上解析的であるという。
Ex. 多項式は解析的
 を z=a 中心に冪級数展開する。
1. w = z-a とおく。(⇒ z = w+a)
2. 
Ex. 1/zもa≠0で解析的
 を z=a≠0 中心に冪級数展開する。
1. w = z-a とおく。(⇒ z = w+a)
2. のとき,等比級数の公式が使える。
  
  従って収束半径a
Ex. 冪級数の逆数
1. 1/z の公式の z を f(z) で置き換えて,その中で f(z) を冪級数展開して項を整理する。
2. 1/f(z) の形で f(z) を冪級数展開して,1/(1+g(z)) の形を作り出す。そんで等比級数の公式。
3. 1/g(z) と 1/h(z) の冪級数展開が分かっていて,f=gh と表せるときは,Cauthyの積公式が従う。

定義(複素関数)
Cの領域からCへの写像である。



Rの区間からCへの写像はしばしば曲線と言われる。



多価関数
多価関数はその上で一価関数(分枝)となるような定義域を制限し、
それを滑らかにつなぎ合わせた空間(Riemann面)上の関数とみなす。
は有限多価関数
は無限多価関数

定義(微分可能)


右辺の極限が存在するとき,fはz0で微分可能であるという。
Dの各点でC1であるとき,fはDで正則であるという。
特に,z0の適当な近傍で正則なとき,fはz0で正則であるという。
定理(等角写像)
複素関数f(z)がz0で微分可能かつ、f(z0)≠0ならば、fはz0における等角写像である。
すなわち、z0を通る任意の2つの曲線の接線がなす角度は、写像f(z)によって一定に保たれる。
定理(Cauchy-Riemann's equation)
fがz0微分可能であるとき,z0で次が成り立つ。

逆に,ux,vy,uy,vxが連続で,Dの各点で上式が成り立つとき,fはDで正則である。
このときさらに,以下が成り立つ。
Cor. R2表示とC表示を結ぶ式

Prop. Jacobi行列との関係
α = a+bi ~ (a,b) とする。


Cor. 
特に,α = 1+0i ~ (1,0) をとれば,

定義(偏微分)
複素関数f(z)に対して、による偏微分を以下で定義する。


注.
はそもそもに依存して決まるから独立変数ではないが、
この表記を用いるときはxとyを忘れて、を形式的に独立変数と考えて計算する。
変数変換(x,y)→(z,z')を考えていると見てもよい。
定理(CRの別表現)
CR方程式は次の様に書き直せる。

CR方程式は微分可能性と同値だったから、特に以下が成り立つ。

定理:諸公式






f:R→C の微積分

Def. f:R→C の微積分
f(t) = u(t) + iv(t) と表すとき,微積分を以下で定義する。


Prop. Re,Im と微積分は可換


Imについても同様。
Prop. 微積分の基本定理

Prop. 合成関数の微分

Prop. Gauss核の積分
n=0のときだけ2πになる。

複素積分

Def. 複素積分
C:z=z(t):[a,b]→C, 区分的C1級曲線

要するに線積分。
複素積分の値は,Cのパラメータのとり方に依らない(但し向きは同じ必要がある)。
Prop. 基本積分
積分路Cとして,中心a半径rの円周上を反時計周りに見る曲線をとる。

証明は, とおいてGauss核の積分に持ち込む。
Prop. 微積分の基本定理
f が C を含む領域で正則とする。Cの始点α,終点βとして,

Def. 弧長積分

Th. 複素積分の基本不等式
f(z)はC上有界とする。
Cの長さL, |f|≦M とすれば,

Lem. 弧長
Cの長さLは以下で与えられる。

Th. 積分と一様収束は可換


Def. 不定積分
領域D上の連続関数f, D内の曲線C
 の値がCのとり方に依らず始点αと終点βのみで決まるとき,
積分を  と書く。
このとき  をfの不定積分という。
不定積分はD上で正則である。
1. D上の正則関数Fで,F'=fとなるものが存在すれば f は不定積分をもつ。
2. D内の任意の閉じた積分路Cに対して  となれば f は不定積分をもつ。
2' 任意の閉じた折れ線だけ確かめればおk 
Th. 不定積分と広義一様収束は可換


Taylor展開

Th. 冪級数は収束円内で項別微分・項別積分可能
収束円内で正則であることから全て従う。
特に,項別微分・項別積分の収束半径は元と同じ



Th. Taylor展開
領域D上の複素関数fがDの各点で冪級数展開可能とする。
このときfはDで正則で,aを中心とする冪級数展開は以下で与えられる。

Cauthyの積分定理

Def. 単連結
領域Dに含まれる任意の単純閉曲線Cについて,Cの内部がDに含まれるときDは単連結であるという。
Th. Cauthyの積分定理
単連結領域D上の微分可能関数fは,任意の閉曲線Cに対して以下が成り立つ。

Cor. 単連結領域で微分可能ならば不定積分をもつ。
Th. 一般の領域の積分定理
領域D上微分可能な複素関数fとする。
領域Dの一番外側の境界をCとする。
適当な切れ込みを入れて,DをN個の互いに素な単連結領域{Dn}に分割する。

Dnの境界をCnとする。
各境界には,Dを全て反時計周りに向きをつける。このとき以下が成り立つ。
 ←みんな左回りに積分すればおk

あるいは,∂DにDを左手に見る向きを入れると以下の書き換えが成り立つ。
 (向きに注意。Dを左手に見るよう向き付ける流儀ではCkの符号も+になる。)
 ← 計算しにくい。
Th. Cauthyの積分公式
領域Ωがあって, とする。
fはΩ上微分可能とする。このとき以下が成り立つ。

Th. 微分可能⇒冪級数展開可能

 ←導出にはCauthyの積分公式を使う。
Cor. 
微分可能関数のn階微分について以下が成り立つ。

Th. Goursat
領域Dで微分可能(導関数の連続性は必ずしも必要としない)ならば,無限回微分可能

留数定理

Def. 留数
f が a を中心とするアニュラス(aを中心とするドーナツ型領域 0 < |z-a| < δ)で正則とする。
次の積分はδに依らず1つの値をとる。これをfのaにおける留数という。

fがaで正則ならば留数0である。
Th. 留数定理
fはD上の有限個の点{an}を抜いて正則とする。

Def. Laurent展開
f は アニュラス r<|z-a|<R 上正則とする。このとき以下が成り立つ。


Th. 留数の正体
ローラン係数の-1番目

Prop. 留数の求め方