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Jordan標準形

環論の準備

イデアル
R:Ring, R⊃I: Sub Set
IがRの(左)イデアルとは,
1. 
2.  ←ここが ar なら右イデアル。可換なら両側イデアル。
イデアルの生成元
が生成するイデアルとは,次で与えられる。

(S)はSを含む最小のイデアルであり,Sを含む全てのイデアルの共通部分である。
多項式環
実数体上の多項式環  を考えることにする。
体上の多項式環はユークリッド整域である。即ち,割り算の定理が成り立つ。
さらに,素元分解整域である。(ED ⇒ PID ⇒ UFD)
Lem. 互いに素
1. 多項式f,gが互いに素とする。このとき,適当な多項式a,bがあって,
  
  とできる。
1' 上の関係式に正方行列Aを代入したものも成り立つ。
  
2. 互いに素な多項式の数を増やしても成り立つ。
  
2' 行列多項式でもおk
Th. PID上の多項式環は単項イデアル整域
多項式{fi(x)}の最大公約元をd(x)とする。以下が成り立つ。

最小多項式

Def. 行列の多項式
正方行列の行列多項式f(A)は因数分解と展開を自由に行うことができる。
Def. FA
正方行列を1つとって固定する。
f(A)=O となる多項式の全体をと書くことにする。
Th. Hamilton-Cayley
正方行列Aの固有多項式 Φ(λ):=det|A-λI| に対し以下が成り立つ。

即ち,

Rem. 
ここで,行列の「代入」は多項式に対して形式的に定義されたものだから,
固有多項式の定義式 det|A-λI| に直接突っ込むわけにはいかない!
Def. 最小多項式
の元で,次数が最小となるモニック多項式をAの最小多項式といい,
と書く。
Prop. 最小多項式は唯一存在する。
HC定理から,は常に空でないことが分かる。
r次の最小多項式が2つあったとして,それをf,gとする。h=f-gとおく。
hが恒等的に0でないとすれば,hの次数はr未満で,定義から h(A)=O となるが,これはf,gの最小性に反する。
よって最小多項式は唯一存在する。
Prop. FAの正体

即ち,

Cor. 最小多項式の根は全て固有値
一方,逆が成り立つ。

Th. 固有値は全て最小多項式の根

最小多項式の重複度  を標数という。
(miは代数的重複度。つまり固有多項式の重複度。)
Cor. 代数的重複度がすべて1なら 固有多項式=最小多項式

一般固有空間

Th. Ker f(A)g(A)
互いに素な多項式 f,g に対し,f(A),g(A)をそれぞれ線形写像とみなしたとき以下が成り立つ。
 (非交和)
即ち,
Cor. 
{fi(x)}互いに素

Def. 一般固有ベクトル・一般固有空間
固有値λの標数kとする。以下を満たすvを一般固有ベクトルという。

また,一般固有ベクトルの全体に0を含めたものを一般固有空間という。

通常の固有ベクトルは一般固有ベクトルである。
Th. 全空間は常に一般固有空間の直和に分解される

[証明]
 とおく。
で,しかも{fi}は互いに素である。
従って定理より 
左辺は  より全空間Vと一致する。
右辺は定義より一般固有空間になる。
従って命題が成立する。
Cor. 半単純の判定条件
以下のいずれか(従って全て)が成り立つとき,かつそのときに限りAは半単純である。
1. 一般固有空間が固有空間になる。
2. 最小多項式が重根を持たない。
3. 相異なる固有値を並べた多項式  に対し, が成立。
Th. 一般スペクトル分解(Jordan分解)
任意の正方行列Aは半単純行列Sと冪零行列Nの和に分解できる。
ここで S,N はAの多項式で与えられ,可換であり,可換性を保つかぎり分解は一意である。
[証明]
全空間は一般固有空間に直和分解されるから,付随する射影の組が存在する。...
Cor. S,Nの構成
一般スペクトル分解 
半単純行列 
冪零行列 
一般固有空間への射影 
ただしhは部分分数展開の分子 
実は,最小多項式を固有多項式,標数kを代数的重複度mに読み替えてもおk

Jordan標準形

A=S+N のSは上手く座標変換すると対角化できる。
さらに上手く座標変換するとNも冪零行列の標準形にできる。
結局,例の形になる。
ステップ
1. 固有値を求める。
2. 固有ベクトルを求める。
3. 足りない分は,一般固有ベクトルで補う。
  
  
  ...
  と探していけばよい。
3' 実際には,次のようにして求める。
  
  
  ... 
4. 標準化行列 
   Jordan標準形  (Jordan細胞を若い順に左上から並べたもの)完成