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5月のすぐさん

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2009年5月

コツを掴んだ記念日

No.1 ▼次へ
すぐさんは完全室内飼いなので、あまり汚れることはないが、この時期は毛の抜け代わりが激しい。
屋上で日向ぼっこがてら「腰パン」していたときのこと。
パンパンと叩くたびに細かいフケが舞っていることに気づいた。

猫は水に濡れるのが苦手だ。
すぐさんもご多分に漏れず、お風呂が大の苦手。
お風呂の度に激しい抵抗を試み、この世の終わりのような叫びを上げるので極力ブラッシングだけで済ませている。
だが、レディーがフケだらけになっているのを見過ごすわけにはいかない。
そこで、早速湯殿の準備にとりかかった。

まずは、すぐさん専用のバスタオル二枚を用意する。
大きなバケツに床屋さんのような独特の香りがする猫用シャンプーを投入し、シャワーで湯を注いで泡立てる。
次にすぐさんの捕獲。
すぐさんはいつもシャンプーの香りで異変を察知し、どこかに身を隠してしまう。
準備をしながら耳を澄ませて、家のどの辺りで鈴の音が止んだか確認しておくことが重要だ。
このときばかりは、身を低くして逃げ惑う首根っこをわしっと掴む。
すぐさんは私の背中にギリギリと爪を立てて必死の抵抗。
何とか背中から引き剥がし、バケツに後足から突っ込んでたっぷりの泡でワッシワッシ洗う。
風呂場にはすぐさんの絶叫が響き渡る。
阿鼻叫喚をかき消すように「茶色の小びん」を歌う私。
これがいつもの入浴スタイル。

と、ひたすら絶叫するだけだったすぐさんが静かになった。
「あり?どったの?」
覗き込むとカランに前足と顎を乗せてじっと耐え忍ぶ構え。
苦節六年余、よもやこんな日が来ようとは…。
この後、泡を流し終わるまでこの姿勢のまま無事乗り切り、大幅に時間を短縮してお風呂タイムは終了。
すぐさんにとっても、私にとっても素晴らしい進歩の日となった。
私は、興奮冷めやらぬまま早速パソコンに向かいこの記念すべき日を記録している。
日向では床屋帰りのおっさんの香りに包まれたすぐさんが濡れた毛を繕っている。
あぁ、なんて幸せなんだろう。

猫★貴族

No.2 ▼次へ

すぐさんの水入れはトルマリンを練りこんだ高級陶器で出来ている。
トルマリン効果で水道水のカルキが抜けて軟水化、「水をあまり飲まない猫でもガブ呑み!」という触込みの一品である。

もう大分前に購入したものなので定かではないが、通販で2000円くらいしたと思う。
ちなみに私のお茶碗は1,000円未満。
愛情はお金ではかれないとはいうものの、すぐさんの姫っぷり、私の猫バカっぷりがうかがい知れる数字だと思う。

しかしながらこの器、すぐさんには不評。
「あたしはフレッシュなお水しか飲みませんのよ。」とばかりに台所や洗面台、トイレで流水を催促する。
なかでもトイレの給水タンクがお気に入りだ。
そのままだと蛇口が邪魔して首を傾げないと飲めないので、前足を濡らし、それをペロペロする。
賢さ大爆発である。
すぐさんの前足の短い毛は撥水効果抜群だ。
蛇口から勢いよく流れ出た水はすぐさんの前足を伝い、そのままの勢いで流れを変え便器の蓋カバーを直撃。
タンクに水が滴り、果てはフローリングの床までもがびしょ濡れ。
そのままでは床板が傷んでしまうので都度、都度拭き掃除をすることになる。
想像するに、毎日何度となくトイレの床に這いつくばる私の姿は、すぐさんの目に下女と映るのであろう。
その背中を踏み台に颯爽とトイレから出てゆく。
次は何を御所望ですか、すぐりお嬢様…。


まだ消え残る本能

No.3 ▼次へ
たまたま観ていた夕方のニュースで東京のカラス対策が放送された。
我が家が利用しているゴミ集積場所でも、防鳥ネットのほころびからゴミを漁り散らすカラスの被害が出ている。
興味深く見入っていると、昼寝から目覚めたすぐさんが二階から降りてきた。
寝起きは特に、緩慢な動作でとたん、とたんと音を立てながら階段を一段ずつ降りるのですぐにわかる。

普段はすぐさんが起きてきたら水、餌、トイレなど一通りの世話をするのだが、この日はニュースの続きを見たかったので、ちょっと待ってもらうことにした。
すぐさんを膝の上に抱いて機嫌をとっていると、グァーッという鳴き声とともに黒々としたカラスが画面上を飛び回った。
すぐさんは耳をピンと立て、一瞬固まる。
「にゃ」
小さな鳴き声を発し、私の膝から音も立てずに飛び降りた。
「獲物にゃ」とか「お前はそこで待っていろ」とか、そういう意味であろうか。
中腰の臨戦態勢でそろりそろりとテレビに忍び寄っていく。
すると画面はカラスのアップに切り替わった。
ふてぶてしく野太いカラスの姿にすぐさんは、進退窮まった様子で中腰のまま、また固まる。
その様子が面白くて、私はニュースそっちのけになってしまい、すぐさんのプライドを傷つけないよう、笑いをかみ殺して緊張感みなぎる後姿を観察した。
しばらくすると流石に「何かおかしい」と思ったのかテレビの前にお行儀よく座り、画面のカラスを不思議そうに見つめていた。
いつもごろごろしているすぐさんが、こうして猫本来の性質を垣間見せてくれるのは新鮮で、嬉しいことだ。

猫フェルト

No.4
すぐさんと暮らし始めて間もなく、張り切って猫用ブラシを買ってきた。
とにかくいっぱい取ろうとブラシをグイグイ押し付けたせいで、すぐさんはすっかりブラッシング嫌いになってしまった。以来、生え変わり時期の度にブラッシングを試みては激しい抵抗にあい、手が傷だらけ。

それでも果敢にチャレンジしてきた結果、去年あたりからやっと力加減を体得し、スムーズにブラッシングできるようになった。
飼い主が鈍臭いばっかりに、すぐさんには本当に苦労をおかけする。

今年も生え変わりの季節がやってきた。
ブラッシングすると、いくらでも死毛が取れるのでブラシの目が二回詰まったら終わりということにしている。
それでも、朝掃除機をかけても晩にはフローリングが毛だらけになる。
この毛を何かに利用できないものか。と考えていた矢先、『猫フェルト』なる本を発見した。
愛猫の抜け毛からフェルトを作り、更にそのフェルトでかわいい小物を作ってしまおう!というとんでも素晴らしい趣旨の本だ。
まだ購入はしていないが、「欲しい本リスト」にはしっかり入れてある。
この本を発見して以来、ブラッシングで出た毛はジップロックに溜めている。
どのくらいの毛でどれくらいの大きさのフェルトができるのだろうか。
とりあえず、ジップロックがいっぱいになったらこの本を買ってみようと思う。

最近では、すぐさんも安心して身をまかせてくれるのでブラシがけがとても楽になった。
すぐさんはされるがまま、紐にじゃれついたりして、知らんふりしている。
こうやって少しずつ色々なことに慣れて、長い時間かけて信頼関係が出来て…なんだか感動しちゃう。
などと浸っていると、後足でブラシを蹴り飛ばされてがーんとなるので要注意だ。
油断禁物。
この分だと、あっという間に毛が溜まって、相当大きなフェルトを作れるかもしれない。
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