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どれだけ歩いただろう。
日はしずみ、辺りは暗くなっていた。

それでも、モララーを除く二人は、ペースを落とさず歩き続けていた。
「なぁ、今夜どこで寝るんだよ。まさか野宿じゃないよな。」
「バーヤ、バーヤ。」
「ここから少し行った所に町がある。だって もう少しモナよ、がんばるモナ。」
モララーは分かったと返事を返すと、二人にペースを何とか合わせた。



―数十分後―


「バーヤ。」
「着いたぞ。だって へー、『フェボンタウン』って、いう町なんだ。はじめて聞く
モナ。」
「げっ!」
「どうしたモナ? モララー」
『フェボンタウン』と書かれた看板をみていた、モナーがモララーのほうをみる。
「フェボンタウン・・・。俺この町の噂きいたことある、結構あぶないらしいぞ。」

「結構あぶないって・・・・・まさか!モンスターが出て来たり、呪いがかけられて
いるモナ?」
「そんなわけないからな! そういうことじゃなくって・・・・この町は…。」
モララーは途中で口をふさぐ…。

「…と、とにかく、夜は信じられないほど真っ暗になるから外出禁止なんだからな!!」
そういうとモララーは一人で町の中へと走り出した。
取り残された二人は様子が変なモララーを見て、何かが起こるとうすうす感じていた。
そしてその予感は、皮肉にも的中する。




モナーとミョーギコはお互いに黙りながら町の中、モララーを探していた。
黙っている理由は簡単だ。
ここへ来たときのモララーの目。
大きな彼の目がかすかに光っていたからだ。


フェボンタウン、見たところは大都心。
現代でたとえる東京の新宿見たいなところだ。
この町(大都市)の中からモララーを見つけることは不可能だ。広すぎる。
そのことを二人はちゃんと分かっていた。
けれどもやっぱり二人は歩く。

「ミョ…。」
突然、妙ギコが声をあげる。
「ど、どうしたモナ?」
モナーは妙ギコの目線をたどる。
「!!」
モナーは驚きのあまり声が出なくなっていた。
二人の目線の先そこには、電気屋の一台のテレビに映っている映像。
『政府の目的は全国のギコの大虐殺』というテーマの映像。


同時刻。
モララーもこの情報を手に入れた。
「今度はギコが」
つい口から出てしまったこの言葉。
この言葉にはどんな意味がこめられているのかはモララーと今は亡き彼の両親が痛いほど知っていた。

道行く人々がモララーを見つめる理由。
原因は十年前にあった。



「あ、あったモナ。」
「ミョー?(本当?)」
図書館で十年前の記事を見ているモナーとミョーギコ。
二人はあの後、「また十年前と同じことだ」という通行人のひそひそ話を聞いて、その事について詳しく知るためにここにやって来たそうだ。
モナーの指先には一面に取り上げられている大きな見出し記事。
「…こ、こんなの許せないモナ!!」
バタっと椅子が倒れた。
「ミョ!ミミョー!!」
ミョーギコが落ち着けと、伸びる耳でモナーを止めようとするが、流石はモナー。あっという間に消えてしまった。
ミョーギコはモナーが片づけずにそのままにしてしまった、スクラップをもう一度見た。
「ゼンコクノ…モ…ラ…ラー、ゼンメ…ツ…。」
ミョーギコはそれを片付けるとモナーの後を追いかけた。



そのころのモララーは、フェボンタウンの近くに位置する野原で空を見上げた。
オレンジ色に染まって行く、広大な空を。
今は遠い昔のように思える、あの惨劇のことを考えていた。
「ギコも俺のような目に・・・・。あれは今からちょうど十年前だったかな・・・。」
「うん、うん、それで?詳しく聞かせてほしいモナ」
「あぁ、あれは・・・・・てっ、モナ―いつのまに!?」
モララーが後ろを振り向くとそこには、モナーが立っていた。
だが、モナーの目は珍しく真剣だった。
モララーはそのまま話を続けた。
「あれは、十年前だったかな・・・・」




2ちゃんねるでは虐殺が流行っていた。
その標的はモララーだった。
町では、毎日のようにモララ―たちの悲鳴がきこえ、死体が散乱していた。
なぜそうなったか、それはモララー自身もいまだによくわからない。
ただ、今回のように政府が関係していたのはたしかだった。
モララーとその両親は虐殺を恐れあっちこっちへ逃げ回っていた。
「お父さん、お母さん。何で僕たち逃げてるの?」
母親に抱かれているモララーは問う。
しかし、両親は問いに答えず、ただ走っていた。

今や、モララー族以外のAAは敵だ。
あっちに行っても、敵。
こっちに行っても、敵。
何処に行ってもいるのは、敵。敵。敵ばかり。
少しでも逃げ遅れれば、殺される。死ぬ。
無理やり人生にピリオドを打たされる。

嫌だ。死にたくない。
みんなこう言ってた。みんなこう言いながら、消えていった。
残酷だ。酷すぎる。
偽り。もう、全てが嘘にしか見えない。
信頼。今、誰が信じられる?

突然、二人の足が一軒の家の前に止まる。
「どうしたの…?」
モララーは心底不安になったのか、母親に話しかける。
が、答えたのは、母親ではなく、父のほうだった。
「……さよならだよ。モララー…。」
「え?」
モララーは直に聞き返したが、両親の耳には届かなかった。

ゆっくりと、幼い体が地面に下ろされる。
モララーを支えていた母親の手が、かすかに震えていたのを、今でもモララーははっきりと覚えている。
父が、その家のチャイムを鳴らす。

ピンポーン…―
ドアがゆっくり開く。
一人の男性AAが中から出てきた。
そのAAは三人を見て、
「くると思ってたよ。」
と言った。
父の友人のようだった。
「きた理由も?」
父がきいた。
「あぁ」
「なら話が早い。かくまってほしい。」
モララー族の中には、仲のいい別の種族に「かくまってほしい」と頼む者もいる。
もし虐殺者にみつかったら、モララー族が虐殺されるのはもちろん、かくまった者も・・・・・
「残念ながらうちでかくまうことはできない。家には子供が一人いるんだ。もしものことがあったときに、その子に何かあったら・・・・・・。」
かくまってくれる人は少ない。
虐殺者に殺されたくないんだ。
死ぬのが怖いんだ。
自分の家族が目の前で殺されていくのを見たくないんだ。
それは、モララー族にとっても同じことなのに・・・・・・・・・・。
「なにも三人全員といってるわけじゃないんだ。せめてこの子だけでも。」
「じゃぁ、おまえ達二人はこれからどうするんだよ。」
「とにかく逃げるよ。虐殺者から。多分無理だと思うけど・・・。」
父は下を向いた。母親は泣きそうだった。
「わかったよ。」
父の友人は静かに言い、母親からモララーを受け取った。
「悪いな・・・。頼むぞ」
「あぁ・・・。」
モララーの両親は軽く頭を下げ、その場を立ち去った。
父の友人はモララーを抱きかかえ二人が見えなくなるまで見送った。


「えぇ! じゃぁ、モナの家にモララーがきた理由って・・・。」
モナーが口をはさむ。
「あぁ、今話した通りだ。」
モララーの父の友人、それはモナーの父だった。
「モナはてっきり、季節はずれのサンタさんからのプレゼントだと思っていたモナ。」
「なんだそりゃ・・・。まぁでも、俺も初めはモナーの親を自分の親だと思ってたし、このことを知ったのは、コソーリと盗み聞きしたからさ」
「盗み聞きねぇ……」
しばらくの間をおいてモララーは再び口を開く。
「それから、後から分かったことがあるんだ。でもこれは君には関係ないかな」
そういってモララーはネオンで輝く街を見つめた。
モナーはおずおずとモララーに話しかけた。
「あ、あのやっぱ気になるモナ……。でも別にモララーが言いたくないなら別にいいんだけど……」
モララーは顔を夜空へと向ける。モララーの顔にはうっすらと笑みが浮かんでいた。
「じゃあ、話そうかな」
モララーの瞳に大きく映った月。
すると突然、モララーは目を見開いた。
「モナー! 今何時!」
モナーは腕につけていた時計を見るが、逆につけてしまったため、なかなか時刻を読むことが出来なかった。
「え、えっと……。もういいや、適当で十一時!」
「いいわけあるか! とにかく、今まで僕たちは重大なことを忘れていたんだ。だから探しに行くよっ!」
モララーはそういうとモナーの手を掴んで街の方に走り出した。
「な、何をモナ!」
モナーの声は街の声に掻き消されてしまった。当然その声がモララーの耳に届くことは無かった。

「ミョーギコぉ!」
モララーの叫びにも等しいこの声すらも、街のざわめきには歯が立たなかった。



そのころ、ミョーギコはフェボンタウンをさ迷っていた。
「ミミョー…」
この呟きの意味はその本人と、モナーしか知らない。

ミョーギコがうつむきながら道を歩いていると、突然自分のものではない影が浮かぶ。
「おい、もしかしてにーちゃんギコ族なんじゃないの?」
ミョーギコの目の前には、おそらく酒に酔っている一人のアヒャ族が立っていた。息がとても酒臭い。
「ミョー!」
と、ミョーギコはすかさず答えるが、やっぱり普通の人には何て言っているか分からない。
そのアヒャ族は何処からかナイフを取り出す。
「にーちゃんの首を政府に持っていけばいくらでも金が貰えるんだ。だから俺の為ににーちゃんの首くれないかな?」
ミョーギコは数歩ほど後ずさるが、後ろには壁が位置していた。そして左右にも壁。
いつの間にか四方八方を挟まれていたのだ。

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