| ｱﾅｳﾝｻｰ | 続きまして、 |
| 本日の午後３時５６分、 | |
| ゼネラルリソースの | |
| アルデア・カルロス・ナシメント常務が、 | |
| 急性心不全の為、亡くなりました。 | |
| ──７５歳でした。 | |
| ナシメント常務は、ここ数年に渡って | |
| 数回の心臓移植を受けていたそうです。 | |
| つい最近も同社が開発した人工心臓を | |
| 自らの希望で移植していたとの事。 | |
| 死因も……どうやら人工心臓の | |
| ネットワークに接続されていた | |
| 自動制御プログラムが、何らかの原因で | |
| 暴走した事によるものと見られ、 | |
| 関係者の間でも大きな波紋を呼んでいます。 | |
| 事故の他にテロの可能性も含め、 | |
| 同社では大規模な調査が | |
| 現在も行われています。 | |
| 繰り返しお伝えします。 | |
| たった今入った情報によりますと……。 |
| STREAMING DATA |
| WARNING! |
| Message cannot be saved. |
| ﾃﾞｨｼﾞｮﾝ | 今、君が見ているこの録画メッセージは、 |
| ゼネラルの上司として伝えるモノではない。 | |
| あくまでも個人的なモノだ。 | |
| これを見て君が何を判断するのかは、 | |
| 君次第だ。 | |
| 私はＵＰＥＯから君を誘った事を | |
| 今でも誇りに思っている。 | |
| 君のこれまでの働きには本当に驚かされた。 | |
| それは、私の予想を遥かに超えた | |
| モノだった。 | |
| 君はこの世界で、唯一私を消す事が出来る | |
| 可能性を持ったパイロットだろう。 | |
| だからこそ、私は君が敵となる前に | |
| このメッセージを伝えるワケだ。 | |
| ──話は極めてシンプルだ。 | |
| 私と私に賛同する者たちは、 | |
| あと数日後に決起し、 | |
| この世界に革命による変革を示す。 | |
| この決起に賛同するメンバーには、 | |
| ゼネラル、ニューコム、ＵＰＥＯから | |
| 選抜されたエースが揃っている。 | |
| その誰もが、次の世界を自らの手で | |
| 切り開こうと志す頼もしい若き力だ。 | |
| 君も、この世界を見渡してみるといい。 | |
| ──巨大な富の上で | |
| 惰眠を貪り続けるゼネラル。 | |
| ──そのおこぼれで | |
| 生き残ろうと必死なＵＰＥＯ。 | |
| ──科学という名の欲で | |
| 新たな富を掴もうとするニューコム。 | |
| ヤツらの握る経済力という権力を前にして、 | |
| 闘いを放棄した政治や司法といった | |
| 前時代のルールども。 | |
| そして、いつの時代でも | |
| 人間は欲の為にしか生きる術を学べない | |
| 愚かな生き物でしかないのか。 | |
| どんな人間でも、夢が希望となり | |
| 理想が現実として叶うと……欲が生まれる。 | |
| その欲を目の前にしたら夢などは、 | |
| 捨てられた猫のように同情と慈悲から来る | |
| 自己満足でしかない。 | |
| しかし、この人間が | |
| 全ての欲を捨てる事の出来る | |
| 唯一の手段を、私だけが知っている。 | |
| ──そう、本当の私には | |
| 既に肉体など存在していない。 | |
| 今、君が見ている私の姿は、 | |
| かつて私自身のデータが構築された頃の | |
| 記録を再現しているだけなのだ。 | |
| 君も電脳化(ｻﾌﾞﾘﾒｰｼｮﾝ)という言葉を知っているだろう。 | |
| 人間の精神や心、魂といった | |
| 物理的な存在ではない情報だけを抽出し、 | |
| 電子によるネットワーク上で | |
| 生命として起動させる技術だ。 | |
| そして、この技術によって | |
| 肉体を捨てて生まれ変わった今の私には、 | |
| 確かに欲がない。 | |
| ──あるのは、 | |
| この世界を食い潰そうとしている人類どもに | |
| 私と同じ処置を施そうという | |
| 革命への意志だけである。 | |
| だからこそ私は、私の革命によって | |
| まだ誰も成し得なかった | |
| 新世界を築く自信がある。 | |
| ──私を信じてほしい。 | |
| そして、君にもこの来たるべき我々の時代に | |
| 参加してほしいと心から願っている。 | |
| 既に世界は我々の手の内にある。 | |
| 君からの喜ぶべき回答を待っている。 | |
| それでは……次は、 | |
| 今という名の未来で会おう。 |
| end of file |
| CONNECTION TERMINATED |
| Connection cannot be restored. |
| ｷｰｽ | なぁ、ナシメントの件 |
| ──どっかおかしくないか？ | |
| ここ最近、まるで誰かが | |
| 俺達とニューコムをどうにかして | |
| 全面戦争に持っていきたがっている | |
| としか思えない。 | |
| まったく誰が、何の為にこんな事を。 | |
| どう考えたってこんな偶然が、 | |
| 何度も続くなんておかしいんじゃないか。 | |
| なぁ、そう思うだろ？ | |
| もちろん俺たちが、幾らそんな事を言っても | |
| ただの戦闘機乗りにゃ、 | |
| 世界が変えられるって | |
| ワケでもないだろうけどな。 | |
| おう……そうだ、今度の任務は | |
| 久しぶりにディジョンもそろって登場だ。 | |
| だから、色々あるけど…… | |
| ま、楽しくやろうぜ。 |
| ペトロル沿岸でニューコムのものと思われる |
| 潜水艦の動きが活発になっているとの報告が入った。 |
| その行動データから見て、 |
| 沿岸付近に補給用のドッグがあると推定される。 |
| おそらくはフィヨルド地形を利用し、 |
| 巧みに隠蔽されているに違いない。 |
| この基地を探し出し、殲滅する事が今回の任務である。 |
| ENGAGE |
| DISION | 先程の返事、答えを考えておけよ。 |
| KEITH | あ?! ディジョン！ |
| 何、わけのわからない事言ってんだ。 | |
| いいから戦闘に集中しろ！ | |
| すぐフィヨルドだ。 |
| COMMANDER | ドックから、潜水艦を含め |
| 機動艦隊が出撃した。 | |
| 早急に目標を撃沈せよ！ |
| UPDATE TARGET |
| MISSION ACCOMPLISHED |
| DISION | 例の答えをここで聞かせてもらう。 |
| いいか、よく聞いてくれ。 | |
| これより私は、この戦線から一気に離脱する。 | |
| もしも私を信じるのなら、このまま後についてこい。 | |
| KEITH | 何だと……ふざけるなっ！ |
| 貴様、本気でおかしいんじゃないか?! | |
| 敵前逃亡だぞ……いいのか?! | |
| もし離脱するなら、この俺が貴様を墜とすぞっ。 | |
| DISION | キース、すまない。 |
| だが、私は、自分が進むべき道を行く。 | |
| ここでお前とのチームは解散だ。 | |
| 昔は楽しかった。 | |
| じゃあな……行くぞ。 |
| DECIDE |
| DISION | ありがとう。 |
| だが、必ず来てくれると信じていた。 |
| KEITH | ディジョンのヤツ……ふざけやがって！ |
| KEITH | 着艦するぞ！ |
| LANDING |
| DISION | あれが我らが母艦、空中空母スフィルナ。 |
| DOCKING |
| ニューコムの補給ドックの破壊に成功。 |
| 艦隊の戦力を相当量、削ることが出来た。 |
| しかし、ディジョンの行動については詳細不明である。 |
| （なし） |
| ｷｰｽ | くそ……くそ。 |
| やっぱり、俺の予感が当たっちまった。 | |
| それにしてもディジョンの奴、 | |
| これからどこへ行くっていうんだ。 | |
| まさか、ニューコムにでも | |
| 転職する気じゃねぇだろうな。 | |
| チーム解散とか抜かしやがって | |
| こっちはな、とっくの昔に | |
| そう思ってたってなぁ。 | |
| ──相棒。 | |
| くそ……くそぉ！ | |
| 何が起こってんだ！ 誰か教えてくれ！ | |
| モヤモヤしてしょうがねぇ！ |
| ﾃﾞｨｼﾞｮﾝ | キミの覚悟…… |
| このアビサル・ディジョン、 | |
| 確かに受けとめた。 | |
| 我らはウロボロス。 | |
| その名は自分の尾をかむ蛇を指し、 | |
| 「我が終わりこそ我が始め」の意。 | |
| 自分で自分を生み出し | |
| ……婚姻させ、滅ぼす。 | |
| そして、我らはまた、 | |
| 『不死』『永遠』『叡智』を象徴する。 | |
| ──ようこそウロボロスへ。 | |
| このアビサル・ディジョンと共に | |
| 終わりという名の始まりを目指し、 | |
| 始まりという名の終わりへと | |
| 旅立つ時が来た。 |
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| THE ORIENTATIONへ |
