一日目深夜、月も見えない夜──。
地下道入口前、塞がれた入口を見る少女
コンコンと塞がれた入口を軽く叩き、反響音を"聴く"
(……ああ、そういうこと)
納得したように踵を返し市街地を歩く。まばらな人通りの中、都市の立体構造を把握するために
(人通りが多いのはこことここ。曲がり角、ここは近くの宿からよく見える。使えるかもしれない)
考える。考える。考える。考えたことをやめた者から終わっていくと、よく知っているが故に
「ふふ……」
笑いが漏れる。この状況にも、こんなことをしている自分にも嘲りの意味を込めて
何をしているのか。よくわかっている。なぜこうしているのか。わからない
自問を頭から掻き消して、意識を街に集中する
「あはは……。」
また自然に笑いが漏れた。もう何も考えなかった
そして少女はまた、数少ない街の暗がりへ音もなく消えていった。
最終更新:2018年05月25日 15:26