CocoonConnect [ディーン フラジール]

ディーンさんが入室しました
ディーン : (いつもながらテラスでコーヒーをすする蒸気男
ディーン : (呼び出した以上、とりあえずは待つ。鋼の男は今日もコーヒーを飲みながら待つ。
ディーン : しかし、今日も空振りか?
ディーン : (コーヒーを飲み干し、新たに注文する。元々コーヒーを飲みに来ているのもあるので、苦というわけではなかった。
フラジールさんが入室しました
ディーン : (空を眺めつつ蒸気をモクモクと吐き出している
フラジール : (蝶番の軋み、戸が開くと、随分と場違いなメカウルフが入ってくる
ディーン : 犬……いや、機械か
フラジール : (ディーンを確認すると、そのまま近付いてくる
ディーン : (特に警戒することもなく、コーヒーをすすりながらその姿を眺めている
フラジール : 夢。違う。
ディーン : む?(犬の声ではない? と疑問を浮かべる
フラジール : ラフトの、言ったとおり(何処かで聞いた声
フラジール : (巨大な犬が二足に立ち上がると、胸部が開閉、中から人が出てくる
ディーン : ──ああ、そうか
ディーン : はじめまして、でいいだろうか。
フラジール : 多分。はじめまして(銀細工のイヤリングをつけた、最低限の格好をした子供
ディーン : 俺はディーンだ。おまえがフラジールで間違いないか?
フラジール : (頷く)フラジール・アルジール。
フラジール : あれは、夢じゃない。
フラジール : ディーン。呼んだ?(真ん丸い紅い瞳で見上げて
ディーン : ああ、そうだ。おまえを呼び出した。どうも気になることがあってな。
ディーン : 少しだけ質問をさせてもらいたい。かまわないか?
フラジール : (頷く
ディーン : この前、俺は握手をするためお前に手を差し出した。
ディーン : その時、なにか躊躇ってその手を取らなかったように見えたが、何か理由はあるのか?
フラジール : (俯き、少し思案して
フラジール : 理由、色々ある。
フラジール : (後ろに控える白狼を一瞥し、自分の手のひらに視線を戻して
ディーン : ゆっくりでいい。ひとつひとつ、話してくれ。
フラジール : よく、間違えるから、かな。
ディーン : ふむ。
フラジール : 私は、アルジール。 最強を造る、父の夢。 前は、そうだった。
ディーン : ……(続きの言葉を待つ
フラジール : シャカール。 抗魔の武器と、体、だった(再び狼見遣り
フラジール : よくない、言われた。武器は、とった。
フラジール : 体は、とれなかった。 けど、使った。たくさん。
ディーン : なるほど。
フラジール : 抗魔は、危ないもの。 見た。勉強した(――いつか手合わせ、世話をやいてくれた女性を思い起こす
フラジール : (彼女は、恵兎といった。 良い人だと、思った。それが、あんな――
フラジール : ――――
ディーン : そうだな。たしかにそれは扱いが難しい代物だ。
ディーン : だが学んだ。それは大事なことだ(そう言いながら続く言葉を待つ
フラジール : 私のパパ――父は、クソ豚だった。
フラジール : ……ごめんなさい、言い回し、まだ考えてない。(糞豚はダメだと言われてる
ディーン : あまり良い人間ではなかった、といったところか?
フラジール : (うんうんと頷く)オッド・アルジール。 ディーン、知ってる?
ディーン : 直接会ったことがあるわけじゃないが知ってはいる。俺もオニールの人間だからな。
フラジール : 、(僅かに瞳孔が開く
フラジール : それは、ごめんなさい。
ディーン : ……? どうしてお前が謝る?
フラジール : 父は、よくないこと、たくさんした。
フラジール : それで、私が、こうしている。
フラジール : それはきっと、辛いこと、だから。
ディーン : すまないが、少し話を切るぞ。
フラジール : ?(伺うように
ディーン : まず、お前の父が犯した罪はお前のものではないだろう。
ディーン : 親の犯した罪を子が背負わなければならないのだとしたら、多くの人間がそういった理由で罪を背負って生きなければならなくなる。
ディーン : お前が今まで出会ってきた人間にも、お前に罪はないと言った人間はいたんじゃないか?
フラジール : ……それは、確かに。
ディーン : どんな人間であれ、その人間の罪はその人間個人のものだ。血縁者にまで類を及ばそうと考えるのは暴論でしかない。
フラジール : …………(思案に入る
ディーン : たとえ人々の感情がお前を許さなかろうと、それでもお前に罪はなく、お前は自由でなければならない。
ディーン : ……むずかしいか?
フラジール : 少し。
フラジール : ありが、とう。
フラジール : …でも……(悩むように
フラジール : そう、言わなかった人も、居た。
ディーン : それはいるだろうな。
フラジール : きっと、理由、あるはず。
ディーン : その方が都合がいいからだ。
ディーン : オッド・アルジールの係累に罪ありとするだけで、自分たちの怨嗟の矛先にできる。
ディーン : そういう流れになることで利益をあげるものだっているだろう。
ディーン : 人間にはそういう面もある。
フラジール : そんな、こと……
フラジール : そんな、こと、ない。きっと。(見上げる
ディーン : なにか、他に理由があると思うのか?(尋ねる。話を聞くのが当然であるという態度で
フラジール : …全部は、わからない。
フラジール : 私は、何も知らなかった。何も。
フラジール : それなのに、シャカールを、使って。
フラジール : 他にも、ある。 抗魔は、使い方次第、そう、思ってる。
フラジール : ダメなのは、それを使う人だと、思う。 父みたいな、人。
ディーン : ……ふむ。
フラジール : でも…それも、ちょっと、違う、らしい。
ディーン : 違う、というのは?
フラジール : お姉……ラヴィが教えてくれた。 ちょっと、それは、極論。
ディーン : 極論というのは?
フラジール : 使い方次第、それもある。
フラジール : けど、やっぱり、居ちゃダメ、みたい。
ディーン : それはその人間の考え方次第だ。ただ──
ディーン : お前がその人間の言葉を信じたいと思っているのなら、やはりそれは極論なんだろう。
フラジール : (じっとディーンを見る
ディーン : ……? どうした?
フラジール : ……難しいね。
フラジール : 何も知らない、そのせいで、誰かが、辛いことになる。
フラジール : 勉強、してる、つもり。 けど、追いつかない。
ディーン : (コーヒーを一口飲み、息を吐く
フラジール : 間違えて、ばかりだから(鬱積めいた息を吐く。
ディーン : お前は何も知らず誰かを傷つけた。抗魔の意味も知らず、力を振るった。それを自分の罪だと思っている。
ディーン : こういう理解で間違いないか?
フラジール : だいたい、そう。
ディーン : 何も知らなかったが故にお前は間違えた。それを気に病むのはわかる。
ディーン : だが、そもそもだ。
ディーン : お前は子供だろう?
ディーン : お前が何も知らなかった。お前に何も教えなかったこと。そのままそれを放置したこと。
フラジール : ……、
ディーン : そのすべてが、周囲にいた大人達の罪だ。
ディーン : 何も知らないことを利用した人間がいたんだろう。また、"そう"なると思ったか? 俺が手を差し出したあのとき。
フラジール : ディーンが、悪い人だとは、思わないけど
フラジール : 私が、私の、せい、で 辛いことがあったら、それは、辛いと思うから。
ディーン : それは違う。フラジール。
ディーン : 辛いことがあったら、辛いと思うのは誰だ? 手を差し伸べた相手か?
フラジール : ……
ディーン : それとも、お前か?
フラジール : …みんな、かな。
ディーン : ……なるほどな。
ディーン : そうやってずっと、差し伸だされた手を取らずに自分ひとりで悩みに悩んできたんだろう。
ディーン : 誰かが言った言葉を受け取って、考えて、その考えや結論を誰かに相談することもできず、また考えて。
フラジール : それは……(丸い瞳のまま見上げる 瞳孔が僅かに揺れる
ディーン : 俺でもいい。お前が出会ってきた誰かでもいい。まず、信じろ。
ディーン : お前みたいな子供が多少間違ったり迷ったりしたところで、辛い思いをするほど大人は弱くない。
フラジール : ……、
フラジール : 信じる。 信じ、る……(言葉の意味を確かめるように反芻し
ディーン : 大人を頼れ。わからないことは聞け。考え付いた結論や自分の中の合点だけで動くな。相談しろ。
ディーン : そうする権利がお前にはある。
フラジール : ……
フラジール : どこから、きけば、いい?
フラジール : どこから、きけば、ディーンは、つらく、ない?
ディーン : なんでも、だ。どこからでも、だ。
ディーン : つらいことなどひとつもない。
ディーン : お前のような小さな子供が差し出された手を握ることもできないような状態に比べれば、なにひとつな。
フラジール : ――――、
ディーン : そしてなにより、だ。
ディーン : 辛いときは辛いと言っていい。間違えることも、甘えることも、お前ぐらいの子供なら誰でもすることだ。
ディーン : ……少しでもいい。もう一度だけ、他人の手を取ってはみないか?
ディーン : (屈んで目線をあわせ、右手を差し伸べる
フラジール : …………
フラジール : (右掌を見る 何故か、少し、震えている
フラジール : (手が ぼやけている 大きな衝撃で頭でも叩かれたかのように、感覚も狂う
ディーン : (じっと待つ。これはフラジール自身が選び取らなければ意味がない。
フラジール : (どこから、まちがえたのか なにを、まちがえたのか
フラジール : (これからも、まちがえるのか
フラジール : (――また、傷つけるのか。
フラジール : (それでまた、自分も、傷つくのか
フラジール : ―――、(ゆっくり、息を吐く
フラジール : ディーン、私。(それでもまだ、胸を打つものがある
ディーン : なんだ?
フラジール : ちゃんと、生きたい。
ディーン : ああ。それをお前が望むなら、俺は力を貸そう(頷き。フラジールの目を見る
フラジール : ごめん、なさい。――ありが、とう。
フラジール : (手を、取る
ディーン : ──今まで、よく頑張ったな(認めるように頭をぽんぽんとたたく
フラジール : どう、かな。わから、ない、けど…
フラジール : ――うん、(素直に俯く
ディーン : よし。そうしたらまず話だな。お前がこれから信じたいもの、お前がこれから償いたいこと、なんでも話してくれ。
ディーン : まずはそこから始めよう。わからないことは、少しずつわかっていけばいい。
ディーン : ともかく俺にお前の考えていることを教えてくれ(その手を握ったまま、喫茶の席に座るよう促し
フラジール : …わかった。座る。喋る。(席に移動し
フラジール : (たどたどしい言葉で、少しずつ、話していく
フラジール : (積み上げたモノを再確認するように、ひとつずつ、ひとつずつ。
ディーン : (そのひとつひとつを遮ることなく、ただ聞き続ける
フラジールさんが退室しました
ディーンさんが退室しました

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最終更新:2018年06月08日 08:59