星の祝祷 [いのり]

いのりさんが入室しました
いのり : (七夕の終わる深夜の事。誰もいないテラスに一人腰掛ける青年
いのり : (笹も随分と色とりどり、賑やかになった。思い思いの願いが、想いが散りばめられたそれ
いのり : (頬杖をついて短冊を見上げる。
いのり : (『打倒寿命!』 サヤマサマ!
いのり : (『一際の研鑽を重ね、より多くに手を差し伸べられますように』南城辰砂
いのり : (『一番大切なものを、護り抜ける自分になる』伍箕
いのり : (『願いに溢れた世界でありますよう』テルネ
いのり : (『だれかと一緒にあんころ餅が食べたい』ハルカ
いのり : (『これ以上悲しい時世が続きませんように』梔あずみ
いのり : (『これまでもこれからも、私は私であり続けます』名前は無く、願いでもなく、宣言のような一言
いのり : (『アイツの魂絶対狩る!!』きょーか
いのり : (『今年も味のある被写体にたくさん出会えますように。」やぎちゃん。
いのり : (『強い心が欲しい。出来たら洗脳とか受けないくらい』ジオーネ
いのり : (『平穏無事』蜜柑
いのり : …。
いのり : (愛咲家はイベント事が大好きだ。カップルが賑わう系は猶の事。七夕もその例外ではない
いのり : うん、だからねぇ、乗らない訳には、……なんてさ。(ははっと乾いた笑いで
いのり : (全く予防線ばかりだな、と自嘲しつつ、彼は今まで此処で工作をしていた。
いのり : (既に作ってあった押し花を、短冊に貼るだけの事。淡い桃色の短冊に、数輪の白い花。
いのり : (フラワーアレンジメントからの派生でこういう事もやる。立ち上がり、笹へと歩く
いのり : …(まさかの彼女も、
いのり : (筆跡でおおよその検討を付けられるレベルで粘着されているとは思ってないだろう。
いのり : (…いや、思われてるか。実際の所はわからない。わからなくても良い風に振舞っている。恐らくどちらも。
いのり : (とにかく、その橙色の短冊の隣に、それを吊るす。 白のデイジー。名前など書くわけが無い。
いのり : …。(少し離れて
いのり : (嘘も偽りも無い。叶えばいいし、届けばいい。ちゃんと、そんな願いだ。
いのり : (悟られたとして、きっと何もあるまい。 これまでも、これからも。
いのり : (それでいい。それで。 ――――本当に?
いのり : (そう思う自分が現れたのは、あの前夜祭からだ。
いのり : (あの時手を取ったから? ……違う。転換点はその少し、前。
いのり : (彼女はきっと気付いていやしないだろう。あの戯れのような、気まぐれのような与太話。
いのり : (ボクがあれを聞いて、愕然としていたなんて。
いのり : ……まあ、でも、考えてみたら当たり前だな。(ぼやくように
いのり : (何も伝えようとしていないのに、伝わっている訳が無いのだ。 自分の持つ感情が、その情動が、その程度の事だと思われていたのだって
いのり : 自業自得、ってやつだ。
いのり : ……(だから? 今? 自分は? …どうしたい?
いのり : (どうもこうも無いよ。 …追い掛けたい? まさか。バカじゃないのか。
いのり : (どうなるかわかってる筈だ。あの子とボクの嫌な所は、きっと鏡写しのように似ている。
いのり : 今更、傷付きに行くなんて・・・
いのり : (はっ、と嘲笑うように息を吐き、踵を返して外へと
いのり : (今宵は七夕。 あらゆる人々が星空に祝祷を捧げる日。
いのり : (幾千の想いは河を越えるか。 愛咲祷<いのり>の願いは――――果たして――――
いのりさんが退室しました

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最終更新:2018年07月17日 09:04