橙 ひかりとやみのさかい [アルバ 夕陽]

アルバさんが入室しました
アルバ : ―――(キアシス地下牢獄。
アルバ : (悪人のなかでも最も警戒すべきモノたちが地下に潜んでいる。
アルバ : (――その中に見えるは、過去の英雄。
アルバ : (…とはいえ、元々英雄らしい覇気は無かったし栄光の面影も何も無いのだが。
アルバ : (独房のような牢屋の中には魔術書と資料の紙面が何枚も。ティーセットも置かれているが、あまり使っていないようだ
アルバ : ……(――牢獄の中で、書面に目を通す一人の男性。聊か簡素とはいえ囚人服でもローブなのは、キアシスらしい所か。
アルバ : …… ―ぅん? (らしくない懐中電灯の光が牢獄に差し込み――眩しさに目元を歪めなる
アルバ : …いつもの巡回にしては早いね。 何か変わった事でも…… (光の元が檻の目の前で止まり
アルバ :  ――― …ん?
アルバ : ……ぼくに面会?
アルバさんが退室しました
夕陽さんが入室しました
夕陽 : (キアシス地下牢獄、面会室。
夕陽 : (がらんとした、椅子と面会者と受刑者を隔てる檻以外には何もない部屋。
夕陽 : (何もないが、魔術の使用を封じ込める術式が多重にかけられている。
夕陽 : (「それではここで待つように」、という機械的な刑務官の声とともに、
夕陽 : (ちょこんと椅子に座り、受刑者を待つ夕陽。
夕陽 : ………、。
夕陽 : (思えば幼い頃からの付き合いだったが、これで会うのも最後になるかもしれないと考えると奇妙な気分になる。
夕陽 : ………いったい、何を話せばいいのかしら。(ぼそりと
夕陽 : (そんな風にして時間は過ぎていく……
アルバさんが入室しました
アルバ : (刑務官に連れられ、面会室に現れるローブの男。 夕陽とは、檻を隔てて反対側。
夕陽 : ・・・、
アルバ : (席へと歩き……)… (柵の向こう側の人物を目に留めて
アルバ : ……ん!?
アルバ : (普通に面食らう
夕陽 : 思ってたより元気そうね。それともやつれた?(夕陽だが、いつものキアシス市の制服を着ていない。また髪をばっさりと切っている。
アルバ : …え、 えぇー!? リュピトゥ女史…?
アルバ : あはは、お陰様で…(苦笑しつつ席につく。緊張感の無い、いつもの感じだ
夕陽 : ………そんなに驚かれて少し心外だけれど、。
夕陽 : まあ、数年で牢屋を出れるのだから、最初に予想されてたよりはまだマシな方ね。きっと。
アルバ : いや~、驚くよ。きみとは色々あったしさ…
夕陽 : ………そう、
夕陽 : 
アルバ : …そうだよねぇ。おまけに監視付きで魔導研究もできるっていうさ。マシもいいとこだよ。
アルバ : 『それが残された僅かな命達への、貴殿の贖いとなるだろう』…ってさ。どこの裁量だろうな。
夕陽 : どうでしょうねぇ。なぜかあなた人望あるみたいだし。
アルバ : …そうなの?
夕陽 : ……裁判の話よ。
夕陽 : ウツセがあなたを庇うとは以外だったわ。アルマナフィアの演説も見事だったし、
アルバ : はい。(わかっております顔
夕陽 : ……そして…、夏凛さん。
アルバ : ……。
夕陽 : (少しずきりと胸が痛む。キアシスをブリッジした半獣人が襲撃したときの信頼に満ちたアルバと夏凛の会話を聞いて、
夕陽 : (私にはこれは一生無理だと、思ってしまった。
夕陽 : (私は、きっとアルバを責めてしまうから。
夕陽 : ………、元老院に喧嘩、売ってたわね。(そして自分も
アルバ : ……あぁ、山吹さん…、
アルバ : ……彼女にとっては、随分な師匠になっちゃったなぁ、ぼくは。
夕陽 : ………、
夕陽 : ほんと、あなたは随分な人間。
アルバ : ……あ、はい…。(小声
夕陽 : まぁ、いいでしょう。知ってたことですし。
アルバ : いや、うん。まるで反論できない。 …そもそもきみと拗れたのだって、
アルバ : …公の研究への関与を知られたから、だったもんね。
夕陽 : 私も若かったから、
夕陽 : ほんとショックだったわ…。
夕陽 : 蚊も殺せないようなフリして夜な夜な人体実験のお手伝い……、。
夕陽 : あのね、アルバ……。
夕陽 : ………
夕陽 : ……いえ、なんでもないわ。
アルバ : ……えぇ?
アルバ : いや、……それはその、無いよね!ええ!?
アルバ : …… わざわざこんな所まで来たって事は、ぼくに何か言いに来たんだろ?
夕陽 : はぁ……。(ため息
夕陽 : あなたのそう言うところほんと嫌。
夕陽 : ………、(心なしか頰が紅潮し、心臓が高鳴っている。
アルバ : …… ぇぇ…(対照的に困惑して
夕陽 : ……私ね、あなたのことがずっと好きだった。
アルバ : ……今まで鬱積してたがあるなら、全部言ってくれよ。…ぼくはそれだけの事をしてき――
夕陽 : いえ、今も好き。
アルバ : … ―――     はい?
夕陽 : ……………、
夕陽 : …、首にアンプルを打ち込まれると気づくこともあるのよ。
夕陽 : 時々辛くあたって、悪かったわね…。
アルバ : 、 …………… 
夕陽 : (はぁ、言ってしまった……。
夕陽 : (深く息を吸い込む。
夕陽 : でもね、私はあなたが嫌い。
アルバ : ま、待って。 ちょっと待って? え? うっそでしょ??(混乱と同様が激しい。…だって正味な話、1%も期待した事無かった。
アルバ : そっちは良くわかるけどぉ!!?(思わず
夕陽 : …………、。(俯いて黙ってる
夕陽 : ……若い時から何かあったら公、公。
アルバ : ………、 ………ぇ、えーと、……つかぬ事をお伺いしますが……
アルバ : …… いつから………?
夕陽 : 騙されてるってあなたもわかってはずなのに、……
夕陽 : いつかしら。……あなたが夜な夜な人体実験してた時は明確に好きだったけど、
夕陽 : だから裏切られたと思ったの。あんな研究、あなたにはしないでほしかった。
夕陽 : あんなヤツじゃなくて、私を信じてほしかった。
夕陽 : ……、そしてつい最近も、同じことを思ったのだけれども。
アルバ : ……え、えぇ、 でも……きみ、何か恋人居た時あったし、長い事引き摺ってたように見えた、から……
アルバ : (から……から…なんだよ……!?
アルバ : (………自分が彼女に持つ感情を、彼は自覚している。
アルバ : (そりゃあもう……若い彼女が恋人と出会い幸せの最中にあった、その時分にはとっくにもう。
アルバ : (―――だのにいつからか、自分は彼女に隠し事と裏切りばかりで。
アルバ : (……落胆させて、ばかりで……
アルバ : ………… ……なんで、今?
夕陽 : ……………、
夕陽 : ……私、キアシスを離れることにしたの。
アルバ : 、。 …そうなんだ。
夕陽 : このままあなたを見てると前みたいに嫌いになってしまいそうだから、
夕陽 : ……本当に嫌いにはならないけど、
夕陽 : だから八首も辞めたの。
夕陽 : ……あなたは、なぜか八首に残るみたいね。
アルバ : ……。 そっか。 (言葉少なに
アルバ : ……あぁ、ぼくは何故か。 …まぁいいやぼくのことは。
アルバ : ……これからどうするの?
夕陽 : 特に考えていないわ。とりあえず、しばらく旅行してみようかなって。
アルバ : …そっか。気ままな旅ってやつだね。(ゆるく笑って
夕陽 : 傷心旅行よ。私、実は重い女だったみたい。(ふふ、と
アルバ : …。惚れた相手が投獄されてるってのは、流石に笑えませんなぁ……(自分で言っててしっくりこないが。というか実感が無い
夕陽 : (いつもなら脛を蹴り飛ばしているところだが、残念ながら相手は檻の向こうだ
アルバ : ま、まぁ! …旅はいいと思うよ。思えば君は、ずっと街の為に生きてきたからね。
アルバ : 自分の為に生きてみるのも。…ぼくはずっと、
アルバ : 「君が楽しいといいな」って、思ってるからさ。
夕陽 : …………、(珍しく顔を真っ赤にする。
夕陽 : ずるい……。
夕陽 : その言葉、そっくりそのままあなたに返すわ……。
アルバ : ……はは、大丈夫。案外楽しいよ獄中生活。
アルバ : 研究できるからね!! …三食ちゃんと食べられるし。
夕陽 : そう。(穏やかな表情で
夕陽 : 食生活の改善ね…、。
アルバ : うん、まあ、ぼくは元気にやるよ。牢獄でもそこそこにさ。
アルバ : だから君も、…どうか、元気で。(柔らかい笑みで
夕陽 : ……ありがとう。(立ち上がる
夕陽 : ––––それじゃあ、さようなら。
アルバ : …こちらこそ。(座ったまま、檻の向こう側の夕陽を見上げて
夕陽 : もう一生会うこともないかもしれないけど。
夕陽 : (そう言い残すと、牢屋を後にしようとする。
夕陽 : ………、
夕陽 : いえ、(立ち止まる
夕陽 : 最後だからわがままを言うわ。
アルバ : ――。 …(最後、最後かもしれない。そう思うと――…)、
夕陽 : あなたが罪を償い終えて自由になったのなら、私を探しに来て。
夕陽 : この世界のどこかに、私はいるから。(振り返って、にこりと。
夕陽 : それじゃあね。(面会室から立ち去る
夕陽さんが退室しました
アルバ : …(きょとんとして
アルバ : っ、待っ ―― …(檻!
アルバ : ………、、、、
アルバ : ずるいな!!?? (思わず
アルバ : (呑み込んだ。 彼女が区切りを付けに来ているとわかったから。
アルバ : (…そもそも服役中に告白するとか無いだろうと。実は自分もなんて、いけしゃあしゃあと、言えるものかと。
アルバ : (だから自分は、両想いと同時に失恋するのだと思ったし、ソレを受け入れようと思った。
アルバ : ―――……(――…のに。 ……のに!!
アルバ : ……もう、そんなんさぁ~~~……(ぐしゃっと両手で頭抱えて
アルバ : ――は? 時間? 面会終了? わかってるよ!でもちょっと待 …たないよね!(看守は無情である
アルバ : (看守に連れられて独房に戻っていく。
アルバ : (――……気付けば人生の半分、ずっとこんな感じだよなぁ。
アルバ : (――……一生こんな感じだったりして。(――それは、何の予兆<フラグ>であるか。
アルバ : (――彼と彼女に限らぬ、何処まで巻き込む予兆<フラグ>であるか――…世迷言!
アルバさんが退室しました
夕陽さんが入室しました
夕陽 : (–––––数日後、ニコラスクエアに向かう列車で夕陽は憔悴しきった少女と相席になる。
夕陽 : (よく顔を見ると、自分の首に白目を向きながら件のアンプルを刺した彼女だったが、それはまた別の話。
夕陽さんが退室しました
キアシスさんが入室しました
キアシス : (少し時期は早いが喫茶EMには短冊をかける笹が飾られている。
キアシス : (そこに残された名前のない短冊。だが、筆跡は夕陽。
キアシス : (「アルバが幸せでありますように。」
キアシス : (………本当はそう思っている。
キアシスさんが退室しました