『吏族にできること』

共和国には優秀な医師が多い。
帝国民として、手伝えない事が歯がゆく、帝国領土へ受け入れた時を思うと不安もあったが
それでも出来る事が全くない訳ではない。

「治せないなら、最初から病気にさせなければいいんだ」
物資集積所で、支援物資の調査・管理の手伝いをしながら考える。

もちろん、傷病を完全に防ぐ事は不可能だ。
だが、生活環境を整備する事で、病気になる人を少しでも減らす事は出来るはずだ。
食料、衣類、衛生用品…
必要な物資を必要な場所に行き渡らせる。
財務チェック後に声がかかったせいか、各国の財政や輸送問題と似ているな、などと思う。

物品の分類、リストアップ、時に運搬の手伝いと、目まぐるしく働く。
「しっかし、本当に慌しいな」
次々に運び込まれる物資。
それだけ、各国が難民支援に力を入れているという事だろう。

「…大勢の人達の尽力を無駄にしないように、やってやろうじゃない!」
気合を入れ直し、再び作業に没頭した。

(396文字/駒地真子@詩歌藩国)

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最終更新:2008年06月26日 20:53