総司令 エピローグ

マヤへ ―― 赤木リツコが伊吹マヤに送った、遅延メールのその内容。

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マヤへ。
あなたは元気で過ごしていると、そう思って良いのかしら。
こうして、あなたがこのメールを読んでいると言うことは。

こうして、あなたがこのメールを読んでいると言うことは、
MAGIが使徒殲滅完了を検知して、尚かつゼーレの企みが破られ、
そして私が既にこの世に居ない時。

私のコンピューターが発する信号が届かなくなったその時に、
あなたのもとに、このメールが送信されるはず。

そして、私が死んでからどうなったのかしら。
「人類補完計画」の、その行く末は。

それも気になるところだけど、私はあなたに話しておきたい。
まだだったわね。あなたが私にした質問に対する答え。

どうして、碇ゲンドウを殺したか。
ちょっと長くなるけど、いいかしら?


まずは、ゼーレの企む「人類補完計画」のその目的から。

簡単に言えば、全ての人々の孤独な心を満たし、そして全てを一つにする。
全ての人々が神の御許に召され、楽園の元への回帰を目指す――。
……まあ、みんな死ね、ってことね。

説明するのが難しいけど、だいたいそんな感じ。
詳しく理解する必要はない。何故ならそれは既に破られたはずだから。
だからこそ、あなたはこうしてメールを読むことが出来る。

しかし、その計画を奪い取ってしまおうとする者が居た。
それが、妻を亡くした碇ゲンドウ。
その彼の野心とは、計画を人類の回帰ではなく、自分の妻を蘇らせること。


当初、彼は計画を推進する者として、ゼーレの議長キールの命に従った。
彼はその計画のために、とある研究所を設立。それが後のNERVに至る。

そこで行われているのが発見された使徒アダムの研究。
その研究のために多くの科学者達が集められる。
赤木ナオコ博士がその中の一人。
つまり、私の母。私のオリジナル。


もう既にあなたは、私がクローンであることを知っているはず。
私はその赤木ナオコのもう一人の自分、右腕、跡継ぎとして作られた。
彼女の専門はコンピューター技術であり、エヴァの開発にはそれが欠かせなかった。
エヴァに用いられた技術は様々な分野に及ぶけど、ナオコ博士を抜きにしてE計画推進は不可能だった。

だからこそ、赤木ナオコが途中半ばで倒れることは許されなかった。
エヴァの製造に欠かせない分野、それはクローン技術。
使徒アダムの肉体をコピーし、エヴァを量産するにはそれしかない。
その技術がそのまま、人間にも用いられた。

赤木ナオコのクローン体に、様々な知識を詰め込まれて出来上がったもの。
それが私。赤木リツコという名のクローン体。
私は研究所で高校生の女の子として、産声を上げた。

私はショックだった。
私は早いうちから自分がクローンであることを知らされた。
目覚めると、自分と同じ肉体がカプセルに詰められて並んでいるのを見たときは、気が変になりそうだった。
赤木ナオコは容赦なく、私の真実の姿を教えてくれた。

私には幼い頃の過去がある。
親に育てられ、友達と遊び、学校で授業を受けた学生生活。それらは全て誰かからの借り物だった。
昔に似たようなテーマの映画を見た記憶がある。
しかし、映画館でそれを見たことすら、作られた記憶。
友達と一緒に食べたポップコーンの味が今だに忘れられない。
けれど、それすらも他の誰かの思い出だったのだ。
記憶の整合性を取るために、それらは私の中に丸ごと詰め込まれてしまったのだ。


実はそのクローン技術。人間に対しては完全といえるものではなかった。
薬品から外を出てから、体が幾らも持たないのだ。
一定期間を過ぎると形が崩れて壊れてしまう。
なら、どうすべきか。
新しい体に自分の記憶を映して、「赤木リツコ」の存在を維持するしかない。

ただし、これだけは言っておかなければならない。
新しい「私」は、私の記憶をコピーしただけの、私の「別人」。


カプセルで目が覚めると、昨日とは一つずれた場所で眠っていた。
そして悟る。ああ、昨日の「私」は既に死んだのだ。
私は今、生まれたばかりで、昨日の日に経験したもっとも新鮮な記憶ですら、私自身の過去ではない。


その得体の知れない恐怖。今の私はいつまで生きていられるのだろう。
そして、今の私が死んだら別の自分が成り代わって、私を名乗る。
しかし、今の私もまた、過去の私に成りすまして生きている偽物だ。
このなんともおぞましい連鎖から、私は抜け出せる日が来るのだろうか。


やがて研究が進み、ようやく試作第一号のエヴァが製造された。
そのテストパイロットが、碇ゲンドウの妻、碇ユイ。
当時、彼女だけがエヴァとのシンクロが可能な唯一の人材と言われていた。
そのためにこそ、ゲンドウがユイに近づき、計画に参画させたと言われているのだが。

その記念すべきエヴァの初稼働の日に、彼女は自分の息子を連れてやってきた。
それが、碇シンジ君との初めての出会い。
記念だからと、彼女は稼働試験に息子を立ち会わせた。
そして、試験は失敗。碇ユイはエヴァの中へと吸収された。


さて、ユイを失ったゲンドウは如何にして研究を進めれば良いのか。
だが、ゲンドウはすぐにその問題を解決させた。
彼は小さな女の子を連れてやっていたのだ。
その子がテストパイロットの跡継ぎとなる、と。
名前は、綾波レイと名付けられた。


私はピンと来た。いや、誰が見ても気付くだろう。
その女の子、どこからどうみてもユイにそっくりではないか。
そう私が悟るまでもなく、私にそれが説明され、彼女の管理が任された。
同じクローン同士で面倒を見るのが一番だろう、と。


人間のクローンに対する技術も少しばかり向上した。
私達は注射で生き長らえることが出来る。
私もその恩恵を受けることが出来るのだが、面倒なときは簡単に体を入れ替えた。
何故って、作ってしまった切り傷や風邪を引いたときなど、体を入れ替えてしまえば簡単に直せるから。
私はムキになってその注射を使うことなく、今の自分自身を「処分」して、新しい「私」に明日を託した。
しょっちゅうでは無いけれど。クローンを一体作るのも安くはないし。


私はその子に注射を打ちながら考える。
この子も同じ恐怖を味わう日が来るのだろうか。
この子はまだ自分がクローンであることを知らないはず。
今の自分が偽物で碇ユイの代用であり、死んでも代わりが幾らでも居る、ということを。

いや、それを知ればこの子はどうなるのだろう。
この子は私よりも体が遙かに脆弱だった。
体だけではなく、その心も脆弱で、育ての親であるゲンドウが不在だと寂しさに体を震わせた。
まるで孤独に陥ると死んでしまう小動物のように。

いや、そんなに可愛い話ではない。
彼女は孤独を味わうと体調が崩れて、文字通りに体が崩壊してしまうのだ。
何故だろう。私と違い、何故これほどにレイの体は脆弱なのか。
それは心の問題なのだろうか。

ゲンドウはその子を溺愛していた。ミルク代わりに愛情だけで育てられたのだろう。
なにしろ最愛の妻のコピーなのだ。彼はレイと接するときにだけ僅かに表情をゆるませた。

そんな彼のことを、私の母とも言うべき存在、赤木ナオコは睨んでいた。
まだ、あの女が忘れられないのかと。
そう、彼女はゲンドウの愛人であったのだ。
ユイを失った当初、ゲンドウの体を慰めていたのが彼女だったのだから。


その妬みが遂に弾けてしまったのか。
彼女がレイをくびり殺すところを見てしまったのだ。
止めようとしたときには、レイの息は既に無い。
そして私に言う。この子の代わりは幾らでもいるのだから、と。

なにそれ、それは私に言ってるの?
そう考えたときには、既に私はナオコ博士を高いフロアから叩き落としていた。
それが私の最初の殺人。こともあろうに親殺しが私にとって最初の殺人だった。


結局、状況をゲンドウは理解し、私はおとがめなし。
それはまあ、当然だったろう。
しかし、そのことを経て彼はレイに対する愛情が少しずつ冷え始めたのだ。
恐らく、最初の「レイ」が死に、新たなレイが生み出される課程の中で、
改めて、「ユイの偽者」であることを再認識してしまったのだろう。

それから、彼は過酷な試験作業を幼いレイに強いる。
何時間でもエントリープラグに座らされ、実験体として研究され続けることを余儀なくされた。
レイは忠実だった。彼、ゲンドウこそが自分の全てなのだと、賢明に指示に従った。
だが、ゲンドウの愛情は戻らない。

レイは所詮、作り物は作り物でしかなかった。
そして彼の意識は「計画」の方へと向けられる。
自分の妻を取り戻す唯一の方法、「人類補完計画」へと――。


私は我慢がならない。
妻は既におらず、あなたを愛するレイが目の前に居るではないか。
レイに対する冷たい仕打ち、それは私達が作り物の人形だから?
赤木ナオコもそう、ゲンドウもそう、私達が人形だからこそ、レイにそんな仕打ちが出来たのだ。
彼女が普通の女の子だったら、誰がそんなことをしただろうか。


私の中に次第に芽生える。
私は良い。ただ研究に没頭するしかない、ただの科学者。
人を愛することも愛されることも知らない、女とも言えない女。

けど、愛情一杯のこの子が、そんなふうにないがしろにされるのを私は絶対に許せない。
私はレイをこのままにはしない。したくない。
しかし――。

やはり、所詮は買い換えられる人形でしかないのだ。
レイに注射を施しながら、惨めな気持ちを味わいながら、そう思う。

しかし、野心は芽生える。
その「人類補完計画」、それを碇ユイには使わせない。絶対に使わせやしない。
ましてや、ゼーレの野望なども果たさせてなるものか。
作り物の私達が楽園に赴くことなど出来る筈もない。


そんなとき、碇シンジ君が再び姿を見せた。
なんと彼はレイに次ぐエヴァのパイロット候補ということだ。
成る程、ユイの息子なら十分に可能性がある。
その素養を見るために連れてこられ、様々な試験を受けさせられた。
しかし、その結果は不合格。


素養は悪くない。
その素行が問題となったのだ。
研究所にやってきたのはいいけれど、抜け出して遊び回ったりして周囲の者は手を焼いた。
こともあろうに、試験や研究に忙しいレイまでも巻き込んで。
これには実の父であるゲンドウも失望した。

彼は容赦ない人間だった。
いらない、と言って息子を里子に出してしまったのだ。
ただ、使いものになるよう育てるために、幾らかの手を打ってはいたようだが。


そして私は思いつく。この子ならレイを愛してくれる、と。
もしかしたら母親の映し身として興味を抱いたのかも知れないけれど。

そして、レイもまた彼に興味を抱いたのだ。
研究所詰めで遊びを知らず、ゲンドウしか愛すべき相手を持たない彼女が、シンジ君の誘いに応じたのだ。
幼くしてレイはシンジ君を選んだのだ。
ゲンドウに次ぐ、愛すべき相手を選んだのだ。

私は野心を抱く。ピノキオにも似た願望を私は抱く。
必ず、レイを普通の女の子にしてみせる。
そして、二人の幸せな姿を見てから、私は死にたい。
それが作り物である私の唯一の希望。

シンジ君は選んでくれるだろうか。
母親ではなく、レイそのものを選んでくれるだろうか。
レイのことを母親の似姿としてではなく、レイそのものを愛してくれるのだろうか。

私は新たなデザインでレイの保管庫を作った。
水槽の中で無作為に乱舞するレイの姿。
人間というものを弄んだクローンの、ありのままのその姿。

それを見るものは、あまりの禍々しさに顔を歪めて、ある者は吐いた。
どうして? よく見なさいよ。可愛い女の子達が全裸で舞い踊るその姿を。
とても美しいじゃないの。お土産に一匹すくって持って帰る?

そう心の中で問いかけながら、見た者が藻掻き苦しむのを笑って見ていた。
ごめんなさい。青葉君やあなた、そしてシンジ君に見せた、その時も――私は笑っていたかも知れない。
ありのままのクローンの姿を、私は見せつけてやりたかった。
どうすれば私達の苦しみを誰かに伝えることが出来るかと、尚も考え続けた。
それだけでは気が済まない。


ゲンドウやゼーレの企みなど私の手で奪ってみせる。
そして、レイを普通の女の子にしてみせる。
シンジ君に母親など絶対に選ばせない。
それを見越してから、私は死にたい。


そして、10年後。
私の計画が始まった。既に碇ユイの情報を抹消し、シンジ君を招く準備も整えた。
その準備は簡単、碇ゲンドウの殺害する。ただ、それだけ。

マヤ? 長くなったけど、これがあなたの質問に対する答え。
なんだか独りよがりな考えだったかも知れないけど、でもあなたには判って貰える筈。
添付したムービーを見て貰えれば。
ちょっと私の恥ずかしい姿も見えちゃってるけど、マヤにならまあいいかな。

これは、レイの記憶を映像化したもの。
レイの姿はほとんど映っていない。何故なら彼女自身の記憶だから。

これを見て貰えれば、私の言うことが判って貰える筈だから。


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マヤはメールを読み終え、そして添付されていたファイルを開く。
しかし、パスワードがかかっていて開かない。
なんだろう? メールには何も書かれていないけど。

マヤは少し頭をひねったが、すぐに答えは見つかった。
そしてリツコに導かれるように、タイプする。

―― I need you.

私にはあなたが必要なのだ、と。

常々、リツコは語っていた。
実態のない「愛している」という言葉より、具体的な愛情表現なのだから、と。
誰かに必要とされていることこそ、自分の存在証明なのだから、と。

そして流れる映像。
それは以前にマヤも見たものだった。


(ねえ、きみ? こんなところでなにしてるの? きみ、とじこめられてるの?)
(……)
(びょうきなの? くるしいの?)
(……)

(ほら、おいでよ。あそびにいこうよ)
(……)
(あ、だれかきた! にげろー!)

マヤが見た記憶。それは初めからレイに納められたものだった。
しかし、映像は更に続く。

そう、レイの記憶には続きがあったのだ。
マヤが以前に見たものは、恐らくリツコの手によって編集された記憶だったのだ。

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シンジとレイの逃走は続く。

(ほら、こっちにかくれようよ)
(……)

(あー、かわがあるよ。ねえ、おさかなとか、いるのかな)
(……)
(うひゃ、つめたい。ねえ、きみもおいでよ)
(……)

そして、レイは川へと足をつける。
シンジに誘われるがままに。

(うひゃ、ころんじゃったの? だいじょうぶ)
(……)
(あはは、ふたりともどろだらけになっちゃった)
(……)

その時、「彼女」が現れた。

(いたあ! あー、こんなところにいた。ちょっと二人とも? みんな、あなた達を捜して大騒ぎしてるのよ?)
(あれ、おねえさん、だれ?)
(誰でも良いわ。あーあ、二人ともびしょぬれの泥だらけ)
(えへへー)
(えへへ、じゃないでしょ? もう、困ったなぁ。どうしよう……)

リツコだった。
10年前の若々しい姿で、失踪していた二人をようやく見つけたらしい。
表情も、その姿も、マヤが知る現在より幼さが残っていた。

(ぼくたち、おこられるの)
(あったりまえじゃない! ……いいわ、お姉さんに任せておいて)
(うん……)
(とりあえずは、シャワーね。ほら、二人ともいらっしゃい。抜き足差し足、でね?)
(うん……ほら、きみもおいでよ)

そういって、シンジが「カメラ」に向かい、手を伸ばす。
おずおずとシンジに伸びるレイの幼い手が視界に入った。

お次はシャワーシーン。
リツコは自分も服を脱いで、三人で一緒にシャワーを浴びる。
かいがいしくシンジとレイの世話をするリツコの優しさが、なんと輝かしいことか。

(ほら、熱くない?)
(うん、へいきだよ。きみは?)
(……)

寡黙なレイは何も言わない。
しかし「カメラ」が微かに頷いている様子を見せた。

さて、シャワーを終えて、体を拭いて、着替えも済ませて。
流石のリツコも頭をひねる。

(でも、どうしようかな。所長――あなたのお父さん、まだ怒ってるだろうな)
(ぼく、あやまってくるよ)
(ホント? 自分で言える? ごめんなさいって)
(うん、このこのぶんもあやまるよ。だって、ぼくがさそったんだもん)
(偉い! さっすが、男の子!)
(えへへー)

そんないきさつのためだろうか。
レイはもはや、リツコの方は見ていない。
ずっと「カメラ」はシンジを捉えて離さない。

シンジに釘付けになっているのだ。
これを見たものは誰もが理解しただろう。
そう、幼いレイの初めての――。

さて、怒られた経緯はまあいいとして。

(それじゃね、ぼく、かえらないといけないから)
(……)

二人の別れのシーンとなった。
再会するのは、ほぼ10年後。
シンジもレイも小さな手を振ってなごりを惜しむ。

(それじゃ、がんばってね。ばいばーい)
(……ばいばい)

そしてシンジは黒い車に乗り込み、扉が閉められた。
そし黒い扉におぼろげに映るレイの顔。

レイは微笑を浮かべていた。
彼女はシンジに対して微かに笑っていたのだ。

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それを見終えたマヤは、理解した。
リツコは自分が登場したシーンを全てカットして、レイにインストールしていたのだ。

リツコは過酷な仕打ちをレイに向けた。
容赦のなくレイをエヴァに押し込んで、招き寄せたシンジに対して残酷な振る舞いを見せつけた。
レイの本性をありのままに見せつけ、自分の願いを彼自身に抱かせるために。

リツコは言った。私はレイを愛する訳にはいかないと。
だからこそ、リツコはレイに愛される訳にはいかなかったのだ。

マヤはリツコにそっと囁いた。

「先輩、あなたは……あなたは、そうまでして……」

「先輩こそが、誰よりもレイのことを愛してたんじゃないですか。そう、誰よりも……」

「でも先輩? シンジ君はレイのことを確かに愛してましたよ。彼にとっての二人目が死んだ、その後も」

「苦しみを乗り越えて、三人目を受け入れたときには――嬉しかったですよね。先輩? 私もとても嬉しかった」

「ねえ、先輩。書いてもいいですよね? 私の日記にはこう書いても良いですよね?」

「二人は幸せにいつまでもいつまでも一緒に暮らしましたって……そう、書いても良いですよね? 先輩?」

「あなたの願いは叶ったんです。ほんの少しだけ、先輩の願いは聞き届けられたんです」

「ほら見てください。二人の笑顔を――レイの笑顔は、シンジ君の笑顔なんです」

「ね? ほら、シンジ君も笑ってるでしょう?」

そういって、笑顔のレイ一人の写真を掲げて、若き日のリツコに微笑みかけた。
そして繰り返し繰り返し、マヤは「レイの記憶」の映像を流し続けた。
涙が枯れる、その時まで。

(完)

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最終更新:2009年10月09日 09:26
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