1名無しさん@ピンキー03/12/17 10:01 ID:73CmZwJk
超〜浪費家なマッドサイエンティストで王国皇位継承権(どん尻)持ちの
エッチな猫耳お姫様(ポニーテール、八重歯、Dカップ美乳)の“マナ”様が
他の世界から『落ち』て(迷い込んで)来てしまった不幸な『ヒト』(人間)の
美少年(和やか系、料理上手、カンジやすいカラダ持ち)の“ぼく”を
めちゃめちゃ気に入ってしまい、召使いにして猫族の城の右ウイングの
『姫様長屋』に住まわせて常に傍に置きながら、人体実験したり、
犯したり、耳の掃除をさせたり、増殖させたり、お皿にしてみたり…。
で、エッチの後に「おまえ、もう元の世界に帰らせないにゃあ…絶対手放さないにゃあ…」
と召使いの少年にゴロゴロすりよってくるような、そんな猫耳少女と召使いの物語…だけではなく
ツインテールなゴスロリ猫耳お姫様“ユナ”様をコワレる寸前までイカせてみたり
赤毛で無敵で無双で187cmな偉丈夫の猫耳姫将軍“リナ”様をカワイクしてみたり
金髪で爆乳で高飛車な正統派猫耳お姫様“ミルフィ”様のひざが笑うまでヤってみたり
暗器使いな美少年で“ミルフィ”様ご自慢のドレイ“ソラヤ”くんとイカせあってみたり…な物語。
しかも、そろそろ又々魅力的な新キャラが登場しそうなヨカーン。

【前スレ】
猫耳少女と召使いの物語 
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1045800367/
2名無しさん@ピンキーsage03/12/17 11:46 ID:VaXUKLZb
*****5^(n+1)+6^(2n-1)が31の倍数であることの数学的帰納法による証明が>>2をゲット!*****
n=k+1 のとき与式は                >1 ●N個、○N個の合計2N個の玉がある。
5^(k+2) + 6^(2k+1)                    これらすべてを円形に並べる並べ方の総数を求めよ。
である。この式を変形すると           >3 ∫[0≦x≦1]x(log(x))^2dx を求めよ。
5*5^(k+1) + 36*6^(2k-1)             >4 レムニスケート曲線 x^2+y^2=a√(x^2-y^2) (a>0) 上の任意の点(x、y)
となる。この式の5^(k+1)に                での接線の方程式を微分計算により求めよ。
5^(k+1) + 6^(2k-1) = 31m            >5 f(t)=e^(-t)sinwt をラプラス変換せよ。
より得られる                    >6 正多面体が4,6,8,12,20の五つしかないことを証明せよ。
5^(k+1) = 31m - 6^(2k-1)            >7 U_n(cosθ)=sin((n+1)θ)/sinθ とし、母関数展開、
を代入する。すると与式は                1/(1-2xξ+ξ^2)=Σ[n=0〜∞](U_n(x)ξ^n) を証明せよ。
31m*5 + 31*6^(2k-1) = 31*[5m + 6^(2k-1)] >8 D=((X、Y)∈R^2|1<X、0<Y<X^α
となる。                           0<α<1 ならば次の広義積分は収束することを示せ。
よって数学的帰納法により、               I=∬1/x^2+Y^2 dxdy
すべての自然数nの値において         >9 0以上の実数x,y,zが x+y^2+z^3=3 を満たしている
与式が正しいことが示せた。              L=x+y+z とおくときLの最小値mが m<(3/2) であることを示せ
証明終                        >10 5+3=x xを求めよ。

数学板をよろしくお願いします ∫(e^x^2)dx =(e^x^2)/2x
3名無しさん@ピンキーsage03/12/17 13:21 ID:J9YsDuLn
流石にこの時間帯は人が居ないなぁ。
って事で3ゲットしつつ>>1乙と。
4名無しさん@ピンキー03/12/17 14:15 ID:Fa8T/HMi
>>1 乙!!
 ここはじっくりガマンの子
5名無しさん@ピンキーsage03/12/17 14:34 ID:vYM7e0tZ
>>1

とりあえず保守
6信二03/12/17 16:02 ID:XNL19Y2N
見られているとつい・・・
ttp://penn2daisuki.h.fc2.com/index.htm
7名無しさん@ピンキーsage03/12/17 17:48 ID:4jEBzp1G

そして保守
8名無しさん@ピンキーsage03/12/17 18:11 ID:zfPG+x5M
これで一安心ですな。
9名無しさん@ピンキーsage03/12/17 18:18 ID:ApIoR2/C
>>1さん乙かれ〜

&即死回避カキコ
10名無しさん@ピンキーsage03/12/17 19:01 ID:GVfMfCVA
おいおいこのスレ2までいってたんか
前すれたてたの俺だけど、ちょっと感動
今までほっぽいてごめん
11名無しさん@ピンキーsage03/12/17 19:29 ID:QVCyjn9k
>>10
気にしないで共に見守っていきましょー
12名無しさん@ピンキーsage03/12/17 21:01 ID:X+zhvHs6
乙です〜
>>10 あなたのたてたスレは良スレになりましたよ
13名無しさん@ピンキーsage03/12/17 21:23 ID:w5rCZw76
>>1さん乙です。

>>10さんも、お帰りなさいです。


14名無しさん@ピンキーsage03/12/17 21:47 ID:tp4fn5IG
>>1乙!

全スレの終わりの方で狐耳を書いてみようと言って見たものだが
今仕事忙しくてな、年明けたら書いてみようと思うんだが
エロは書いたことないんで激しく自信ないんだが
そんなのでも読みたいという方がいたら書かせてください
1514sage03/12/17 21:48 ID:tp4fn5IG
誤字ってる・・・
前スレな
16名無しさん@ピンキーsage03/12/17 22:27 ID:bRrBazOz
>>14
いまは忙しい時期だからね。
待ってるんで体に気を付けつつがんばれ!
17名無しさん@ピンキーsage03/12/17 23:32 ID:rGFghfgt
乙。
18名無しさん@ピンキーsage03/12/17 23:41 ID:3yMJpVNe
>>1乙!

>>14
無理せずガンガレ
19名無しさん@ピンキーsage03/12/18 00:57 ID:czLzf14j
乙市!
20名無しさん@ピンキーsage03/12/18 01:54 ID:4D0ncSi1
>>1
乙彼

>>14
無理せずガンガレ
21『こちむい』sage03/12/18 09:32 ID:eAwBKhBH
>>1 乙!! 異様なリズムですが、一息で読ませる名文ですな。

>>10 前スレ>>1って居なかったのかよ!!それじゃあ、前スレで保守してくれた
ヤシとか、リアルタイム読者とか、保存庫に紹介してくれたヤシとか、アンケートに
答えてくれたヤシとか・・・全員通り過ぎの一般読者!!
 ここはホントに良いスレですね・・・

>>10 今度は保守とか参加して感動してくらさいよぅ・・・
22『こちむい』sage03/12/18 09:39 ID:eAwBKhBH
 保守代わりに今までの登場人物紹介・世界観など・・・

 ・登場人物紹介
 『ぼく』
 13歳なりたて。8ヶ月まえぐらいにネコの国に落ちてきた少年。落ちてきた当時
病気だったらしく、病み上がりで色白。そして華奢ながら下腹部に見事なイチモツを
持っている・・・というウワサがなぜか王宮のお姫様の中でもちきりだとか・・・
 人間界での家族構成は両親と弟の4人家族だった。ただし両親は離婚して商社勤務の
父親について赴任地を転々として来た。そのせいで家事は抜群のうまさを誇り、性格も
柔弱な外見からは想像できないくらいしっかりしている。
 また母親、弟と離れ離れのせいか、女性の大きな胸が好きだったり、年下の世話を
焼きたがったりする一面もある。

 マナ(ご主人様)
 ネコの国の王女様。歳は30半ば。黒い毛並にしなやかなシッポ。瞳は金色。髪は
ポニーテールでまとめている。
 父親は公式には不明だがマナと王女様だけは知っているらしい。実の妹が二人。
 見る目がある一部の者には、次の女王候補と密かにマークされている。しかし
キスさえ知らなかった『ぼく』をネットリと調教し、毎夜ごと自分好みのあらゆる
性技を教え込んだエッチな不届き者でもある。
 科学者、魔法使い双方とも一流のマナの行動は一般人にはあまり理解されないことも
多い。それを拗ねて素行不良、怠惰の代名詞のような刹那的な生活を送っていたマナ。
そのおかげで皇位継承の順位は常に最下位の30番。お金にならない研究をして、
貧乏さから『イワシ姫』などという陰口も叩かれて馬鹿にされていることも・・・
 そんなマナだが、召使いが来て性格が少しずつ変わって来ているとか・・・
23『こちむい』sage03/12/18 09:45 ID:eAwBKhBH
 リナ
 マナの実妹。三姉妹の次女。赤毛の炎のようなショートカット。メタリックレッドの
カチューシャを好んで付ける。瞳も紅く、その右目の目尻に泣きぼくろがある。
身長は軽く187cmを誇る長身のネコ姫。魔法は使えないが武術にすぐれ、槍術ならば
世界一の噂あり。
 父親からの仕送りがないので副業に城下で武道道場を開いている。道場の生徒は
髪に赤リボンを着けるのが規則ある。ところが現役の女冒険者や、キャラバン女商人の
ほとんどがリナの道場で学んだ証拠を示すために道場を卒業しても赤いリボンを
着けているため、冒険者になりたい女の子が赤リボンに憧れて道場はいつもにぎわって
いる。
 性格は少々脆い精神を日頃のたゆまぬ鍛錬で支えているというところ。時々キレる。
最近、姉のところで働く召使いに執心気味。ちなみに愛馬のクレイプニールの名前は
『セキテイ』。馬房には『赤帝竜王』と書いてある。


 ユナ
 マナの実妹。三姉妹の三女。錫色の長い髪を黒いリボンでツインテールに
まとめている。三つ子で歳は同じなのに、姉二人とは似つかないほどロリロリ。
ゴシックロリータのドレスを好んで着ている。インナーにはそれ以上に気を遣うほう。
 父親からの仕送りがないので副業に薬局を開いている。魔法も剣も苦手だが商売の
能力があったらしく大繁盛。困っているときには支払いを延ばしたりするので庶民に
も人気がある。
 ちなみに普通の『薬』ではなく、凄まじい効き目の『魔法薬』が買えるのはネコの
国ではユナの店だけ。ただし、その『魔法薬』はマナが作ったものであるが・・・
 密かに姉二人と自分のバストを見比べて溜息をつく毎日。ちなみにそのユナの
『猫ヒゲ薬局』ではナース姿のネコ娘たちがあなたを優しくお出迎えしてくれます・・・
24『こちむい』sage03/12/18 09:55 ID:eAwBKhBH
 ミルフィ
 女王候補大本命のネコ姫。文武両道を絵で書いたようなお姫様で常に王位継承1位を
保っている。金の髪、黒い瞳はマナのちょうど逆。胸は公称Gカップだがそれ以上ある
のは疑いない。半実妹がいるらしい。
 父親は北方の将軍。仕送りが多いので、最上階の豪華で広い部屋に住んでいる。
密かに女王になる最大のライバルはマナだと思い、ライバル視をしているものの
いつも無視されている・・・
 世間知らずの面もあるが、常に真っ直ぐなため尊敬されている。ただマナのことに
なると空回り気味に・・・趣味は日記。寒いポエムなどが満載でソラヤに『勝手に見た
ものは殺すのよ』と言っているらしい。


 ソラヤ
 歳は11歳になったばかり。ミルフィに赤ん坊のころ拾われた凄まじいほどの美少年。
ソラヤにとってミルフィが全て。幼い頃から教育の他に穏行術を学び、陰から日向から
ミルフィに仕える少年忍者でもある。召使い歴11年ながら夜の相手はまだ始めたばかり。
サラサラの黒髪に群青色の瞳。
 これまでは感情の起伏が少なく、あまり笑うこともなかった。しかしマナの召使い
と出会い性格も明るくなり密かにミルフィを喜ばせたものの・・・なぜかヘンな癖も
いっしょに知ってしまったらしくミルフィをヤキモキさせている。
 右手に暗器の爪が仕込んである。『ぼく』を『お兄様』と呼んでいるが、お互いの
思っているニュアンスが違うのは言うまでもない・・・
25『こちむい』sage03/12/18 09:59 ID:eAwBKhBH
フローラ(未登場)
 ネコの国の現女王。『血塗れフローラ』。即位と同時に自分の実妹以外、全ての
姫を追放、抹殺していった。ただし名君でネコの国を発展させた。
 医学に詳しいらしい。ヒト召使いを買い占め、月に10人づつ王城に仕入れるが、
出て行ったヒト召使いはいないとか・・・たまに見る召使いも礼儀知らずで、召使い
としての躾をしていないらしくその生活は不明。 マナに嫌われているのも
そこら辺に理由があるらしい。
 ちなみに『医学』『魔法』『科学』全て世界一と認められると『マギステル』と
呼ばれる。フローラが隠居すれば自動的にマナは『マナ・マギステル』と呼ばれる
ようになるだろう。
 もうそろそろ引退をするらしいが、国境はキナ臭くなっている・・・
26『こちむい』sage03/12/18 10:14 ID:eAwBKhBH
こっちをむいてよ!! の世界観など・・・

 ネコ
 基本的に女性はヒトにネコ耳とシッポをつけたようなカラダをしている。ただし30年に
一回ぐらい、全身に毛皮が出現しすぐ抜ける・・・そのおかげで、女性の肌はツヤツヤ
だとか。
 男性は3種類。
 一つは、狼男のような半獣人タイプ。そして、『トトロ』のようなモグラのような
もっさりとしたタイプ。もう一つ、女性と同じ外見を持った『マダラ』と呼ばれる
タイプ。 力は強いが、男性は頭蓋の骨格的にあまり物を考えることが苦手な面も・・・
女王制なのもこの辺に理由があるようだ。それぞれのタイプの割合は約60%、39%、
0.2%というところ。多種族がどうなっているかは不明。

 シュバルツカッツェ城
 ネコの国の本城。外装に黒大理石が貼り付けてある美しいお城。ちょうど大きく
鳥が羽を伸ばしたような形をしており、中央に女王の王宮。右ウイング東館は
ネコ姫様の部屋がある。通称『姫様長屋』。なんと姫君達から家賃を取っている。
左ウイングは官庁などの役人が詰めている。電化製品らしきものは魔洸エネルギーで
動いている。
 地下に巨大な大浴場があるものの、ネコ姫たちは風呂嫌いなのと、各自部屋に
風呂があるのでマナ専用になっているらしい・・・
27名無しさん@ピンキーsage03/12/18 10:18 ID:+q3ZytNT
は〜
面白かった〜

プロフィールだけでも十分すぎるほど楽しめる!
28『こちむい』sage03/12/18 10:18 ID:eAwBKhBH
 ヒト召使いについて
 お城の中の姫様付き召使いは例え女ネコでも認められない。『ネコは三日で恩を
忘れる』という迷信からだそうで、多くの姫君は一人暮らしを余儀なくされている。
 しかし例外的にヒト召使いのみ一緒に暮らすことが認められている。大きな理由は
『ネコを脅かすほどの力がないこと』『ヒトとネコは絶対に妊娠しない』というのが
理由のよう。
 ただ今は、ヒト召使の絶対数が少ないのでほとんど富の象徴として見られることが
多い。ゆえに朝や食事時には、一般庶民でも女ネコのみ右ウイングの入場が許されて
おり、物売り、弁当屋や料理人が一斉に出入している。ちなみにマナの借金取りも
その時間を利用してやってくる。

 世界について
 大陸の中央に位置するネコの国。全ての街道と港が集中しており地味も豊か。
通行税だけでも莫大な利益がネコの王家に入っている。交通手段として馬に乗る者も
いるが、多くのネコは魔滉エネルギーの路面電車を利用している。
 国民の税金は安く、ネコの国民が最も金持ちで豊かである。そんな国が世界統一の
侵略戦争をしないのは単にネコらしいぐうたらさのせいであるというのが専らの話。
 ただしその栄華を良く思わない隣国も多く、近頃よく国境が他の種族に荒され気味
でもある。
29『こちむい』sage03/12/18 10:21 ID:eAwBKhBH
 以上、一人よがりながら今までのSSから説明してみました。
 
 前スレのアンケートありがとうございました。今、名前選んでます。

 それでは週明けぐらいに・・・

 ↓ 次>>30で保守期間終了かな。
30名無しさん@ピンキーsage03/12/18 11:43 ID:T/CO55yA
例え、ソラヤきゅんに殺されちゃってもイイから
ミルフィ様の恥かしいポエム、是非読んでみたいのですが。(w

でも、本当に死ぬ時は『猫ヒゲ薬局』のナース姿のネコ娘たちに、見取って欲しい…。

そして遅れ馳せながら >>1 の中のヒト。刷れ縦乙彼〜。
31名無しさん@ピンキーsage03/12/20 01:05 ID:6qrfcqZP
保守
32名無しさん@ピンキーsage03/12/21 05:49 ID:gFSAnwcv
ホッシュホッシュ
33『こちむい』sage03/12/22 09:53 ID:XowQebnC
 明日夕方か、明後日の朝!!
34名無しさん@ピンキーsage03/12/22 13:28 ID:xpWPAFPV
クリスマスこちむい
35『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:11 ID:7MaT+uVr

夜になっても雨はまだ降っていた。雪にならないのが不思議なほどの年末の冷たい
雨は、銀の刃のような煌きをこのダウンタウンの裏通りにも平等に振りまいている。
閉店時間のない裏通りの怪しげな店も今日はどこもが早仕舞いしてしまったらしく
ネコの子一人いない。いや、よく見れば路地裏や、物陰の奥いたるところからピカリと
光る一対の目が見えるであろう。そんな物騒な通りに誰か歩いてきた・・・

「ルルー・・・ララララ・・・」
乱雑、そして薄汚れた通りに、場違いなほどの華やかなハミングが流れる。歩いて
きたのは女。高級そうなドレスに大きな白い雨傘。表情はその雨傘で遮られて見え
ないが、ハミングに合わせてくるくるとゆっくり傘が回る。暗がりの中白い傘が
ふっと浮き上がって見えた。
「ララ・・・ラララララララ・・・」
ことさらゆっくり歩く女。このようなスラムに最もふさわしくない女と言えるであろう。
物陰の暗闇に浮いた目の光がいぶかしげに、愚かな獲物を見て欲望にユラユラ揺らめく。
怖くないのだろうか?女はその不穏な気配の中、ためらうことなく歩いていく。
滝のように背中に流れる金の髪。傘を上品に指を三本だけ使って持つしぐさ。そして
歩くたび、その揺れを吸収するがごとく大きな乳房がゆっとりと弾むのが遠目からも
判った。
後少し歩けば無事に表通りに抜けられるかもしれない・・・そんな時だった・・・

「待ちなよ!! 」
突如、建物の壁を背にした女を囲むように6人のゴロツキがバラバラと現われた。
全員が男で、半人半獣タイプの粗野な身なり。これから起こす事を妄想したのか、
白い呼気を不規則に吐き乱している。しかし、すっと足を止めて話す女の声は数の多い
ゴロツキよりはるかに落ち着いていた。
36『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:13 ID:7MaT+uVr
「ふふ・・・なにかしら?」
 純白の傘は目深に女の顔をそっくり隠し、表情が読めない。怯えない女にアテが
外れたのかリーダー格のネコがムッとして言った。
 「いや、なに・・・貧乏なオレ達にちょっとお金を都合して欲しくてなぁ、なあに別に
タダで貰おうって訳じゃあねえ、ちゃ〜んとオレ達が一人につき二、三発ぶち込んで
やるからその代金さぁ」
 その言葉に追従するように下卑た声で手下達が笑う。禁制品の高揚薬でもヤッて
いるのか冷たい雨をまるで意に介していない。裏を返せばシラフで犯行を犯す度胸が
ないのであろう・・・
 「ふふ・・・まあ、怖い・・・ひょっとして一週間前の三毛の娘もあなたたちが?」
 さして怖がった様子もなく、傘をかざしたまましゃべる女。その中に、嘲弄する
感情を薄く感じ取ったリーダーがいらついた調子で叫ぶ。
 「けっ!! 知るかっ、いちいちヤッた女のコトを覚えてられるかよ!! 今月だけで
2桁はヤってるんだよなぁ」
 女を脅すように手下達も言う。
 「あれじゃあねえですか、先週あんまり騒ぐもんだから廻りのヤツラもやってきて
最終的に20人近くに輪姦されたオンナ・・・ヒッ、ヒッ、ヒッ・・・」
 「ああ・・・そうそうありゃ確か三毛ネコだったなあ・・・最後はオカシクなっちまって
裏のドブに捨ててきたけど死んじまったかな」
 とさしたる痛痒なく言うゴロツキ達。無邪気な口調はかなりネコ達が若い事を
表している。
 リーダー格が薄ら笑って白々しく言う。
 「・・・だってよ、お前運がいいや、今日相手するのはたったの6人だからなぁ」
 その時、初めて女の傘が『つい』と持ち上がった・・・
37『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:15 ID:7MaT+uVr
 「うおぉ・・・」
 リーダーの口から思わず驚きの声が漏れる。美しい・・・
 凄い美貌・・・というか、美しいだけならこの町の高級娼婦にもいくらでもいるが、
一目で両者の違いがわかってしまうほどの圧倒的な輝くような何か・・・があった。

 『ふう・・・』息を大きくはくと、胸がゆるゆると揺れた・・・そしてミルフィは静かに
しゃべり出す・・・声が震えないように・・・
 「運がいいですね・・・20人ならば残りの不届き者の名前を言って戴くのに、一人だけ
少しの間生きられますもの・・・」
 言葉こそ静かながらミルフィの瞳には満々に怒りが満ちていて下賎なゴロツキどもを
たじろがせた。
 「な、何をいってやがる・・・」
 思わず後じさり、息を喘がせるように言うリーダー。たった一人のミルフィに対して
完全に位負けしてしまっている。寒さを感じないはずの背中が震えた。
 「よく聞きなさいっ!! わたくしの名は王位継承権第1位のミルフィ!! 王城のお針子
ミーナを辱め殺害した罪、女王フローラの名において諸兄らを捕殺する!! 」
 「な、なんだよ・・・ウソだろ・・・そんなたいしたことしてねえよ・・・」
 首をイヤイヤするように振るリーダー。罪の意識もなく、また償う気もない・・・
 「王城の者に手を出してタダですむと思うな・・・」
 「ま、待ってくれ!! おれのオヤジは都の憲兵隊長なんだっ!! 」
 この期におよんで見苦しいゴロツキにミルフィは吐き捨てるように言う。
 「ふふ・・・フローラは言った『千の釈明、万の謝罪などいらぬ、ただ一つ命で償え』
と!! 」
 「ひいっ!! 」
 手下の一人がビビったのかきびすを返して路地裏に逃げ込もうとした瞬間だった。
 「えっ!? うぅ・・・あきょ・・・」
 と奇声を発して転倒し水溜りに顔から突っ込む。そして打ち所が悪かったのか
ピクリとも動かない。不甲斐ない手下を見てリーダーが相対的に冷静さを取り戻した。
38『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:17 ID:7MaT+uVr
 「落ち着けっ!! よく見ろっ、相手は一人じゃねえか!! 呑まれてるんじゃねえ!! 」
 「そうだよな、よく考えりゃ結局いつもどおりブチ込んで明日ゆっくりトンズラ
すりゃいいじゃねえか・・・へへ・・・ほきょ!? 」
 と、一歩ミルフィに前進しようとした男の体は、糸が切れたように膝から崩れた。先ほどの男と折り重なるように冷たく濡れた往来に倒れこむ。
 「な、なんだよいきなり・・・しっかり・・・へけっ!? 」
 と、様子を見に近寄った男も奇声を発し、2歩3歩とよろめく・・・
 「えっ?・・・おおっ??」
 叫ぶリーダー。その手下の胸から血で赤く染まった薄い刃が3本突き出ていて・・・
すぐに引っ込んだ・・・いや違う、後ろから刺殺され、凶器を素早く背後から引き
抜かれたのだ。
 『どちゃ!! 』倒れる男。
 「誰かいるぞっ!! 」
 死んだ手下の背後に誰かいるがすぐ暗がりににじむように消える。残った三人が
慌ててナイフを引き抜き、辺りを見回すが気配さえ霧散している。
 「背中に気をつけろっ!! 」
 リーダーは残ったゴロツキ仲間に叫ぶ。そしてそれを面白そうに眺めつつ、さっき
からその場所を一歩も動いていないミルフィが歌うように言った。
 「それで?・・・誰がミーナにヒドイことをした仲間を教えてくれるのかしら?・・・
あんなに明るくて一生懸命働く子はいなかったのに・・・」
 視線を落とすミルフィ。倒れて氷雨にうたれるゴロツキのシャツの背中に1センチ
程の赤い線が等間隔に並んでいる。刃が異様に薄いので出血がほとんどないのだ。
シャツさえ汚れていなければ単なる心臓発作と言われかねない程の些少なキズ。まるで
暗殺者の殺人のような・・・
39『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:19 ID:7MaT+uVr
 
 氷雨は相変わらず降りそそぐが、天の気まぐれか厚い雲の切れ目からほんの少し
月が顔を出した。青い月の方・・・そして浮び上がる小柄なカゲはすでにゴロツキの
一人に忍び寄って来ていて・・・手には何も持っていない?・・・いや、月光に青銀色に
煌いたのはクリスタル製の透明な爪。
 「おっ、お、お前っ!! 後ろっ!! 」
 リーダーが悲鳴のような声をあげる。
 「何だって?・・・別になにも・・・へ!? 心臓が止まって・・・ふひょ!? 」
 愚かなゴロツキが冷たい路上に転がる。囁くようにミルフィが言う。
 「ミーナはもっと痛かったんだから・・・冷たかったんだから・・・」
 「ひいいいっ!! 来るなっ!! 来るな――っ!! 」
 ナイフをただ滅茶苦茶に振り回す。リーダーは見た。月光に浮び上がるアサシンの顔。
 凄い美少年だった。ネコ耳がない・・・ヒトだ・・・小柄で華奢というか、幼いと言って
良いほどの体。しかし雨に濡れた髪が頬に張り付いてひどく妖艶にも見える。青い月の
光に負けない群青色の瞳に浮かぶのは澄明な殺意のみ・・・後ろを取った手下の横を
ただ単にすれ違ったように見えた瞬間、その手下は『どしゃり』と倒れ、少年はすぐ
暗がりに消えた・・・残り二人・・・
 「うわあああああっ!! ゆ、許してくださいっ!! 」
 根性のない手下がナイフを放り出し、手を合わせ命乞いをした。
 「ふふ・・・では今宵死ぬネコが決まりましたわね・・・」
 淡々というミルフィに精神の均衡を失ったリーダーが叫ぶ。
 「う、うるせえっ!! 死ぬのはお前だ――っ!! 」
 ミルフィに駈け寄るリーダー。そしてその背にチリチリと小さな気配。
 「うおおっ!! そこだあっ!! 」
 リーダーは後ろも見ず野生のカンを頼りに、振り向きざま叩きつけるように長ナイフの
斬撃を送る。
 
40『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:21 ID:7MaT+uVr
 いた。
 リーダーの視界の端。冷たい雨に濡れる死天使。そしてそのアサシンが回避する
スピードは斬撃の速度より遥かに早かった。
 「ウソだっ!? オレがヒトごときにっ!! 」
 絶望の叫びをあげるリーダー。後ろを振り向いたリーダーの後ろにすでに暗殺者は
回り込んでいる・・・
 「うっ!! きひぇ!? ・・・」
 リーダーの胸にチカッとした感覚。すぐにクリスタルのスティレットは引き
抜かれるが、同時になにかサラサラと大事な物が抜けていく感じ。目の前が暗い・・・
 『は、走って逃げよう・・・』
 と足を踏み出そうとするが、頬に汚れた冷たい水溜りの感触を感じた。
 人生の最後に思い出す。ヒト召使いを仕込む際、性技だけでなく穏行術などの裏の
仕事も習わせる上流階級の者がいるということを・・・ゴロツキのつまらない人生が
ここに終わった・・・

 生きているのはミルフィとソラヤ、そして失禁して呆然としている手下のみ・・・
 「ご主人様・・・お怪我はありませんか?」
 ソラヤが爪をしまいつつ、様子を伺いながらミルフィに言う。『よくやった』と
誉めようとして、甘やかしてはいけないとミルフィは口を開く。
 「いつもより遅くてよ、あと10秒は早く終わると思っていました」
 「も、申し訳ありませんっ!! 至らないソラヤをお許しくださいっ!! 」
 雨の降る路上に構わずミルフィの前にひれ伏すソラヤ。無表情だった目には涙さえ
浮かんでいる。小さな背中に氷雨が染み込んでいく・・・
 「ふふ・・・帰りますわ・・・この愚か者も逃げる心配はないでしょうし・・・」
 ミルフィはゴロツキを見ることもせずお城に向かって歩き出す。
41『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:24 ID:7MaT+uVr
 ミルフィが歩き出すと、立っていた所の足の跡がすっかり乾いていた。たちまち
雨で黒く濡れ、同化していく・・・
 『ご主人様・・・』
 ソラヤは切りかかられても自分を信じて一歩も動かなかったミルフィを知って、
ほんのりと心が温かくなった・・・ソラヤにとっては何人死のうと殺そうとミルフィが
全て・・・
 「くしゅん!! 」
 ソラヤは小さくくしゃみをしてミルフィの後をついて行く。


 翌日。シュバルツカッツェ城のマナの部屋・・・
 ああ・・・大失敗した・・・いや、コタツを出しただけなんですけど・・・
 「に゙ゃ――っ!! 天国ってコタツに包まれたコタツの国に違いにゃいにゃあ・・・
ゴロゴロ」
 のどを鳴らし、モコモコの黒い半天を着てコタツにかじりつくご主人様。今日ずっと
コタツに入りっぱなしだ・・・ポニーテールと相まって自宅で勉強する受験生のような
女性にしては油断に満ち満ちた格好である。
 「ご主人様っ!! もういいかげんコタツから出て王室依頼活動してくださいよぅ・・・」
 「硬いコト言うにゃよ、そうだ!! トイレ行きたいからお前かわりに行って来るにゃ」
 と、蕩けるような表情でコタツ板にほっぺをいぎたなくくっつけるご主人様・・・
 『うああ・・・ご主人様がコワれていく・・・コタツって悪魔の発明だ・・・』
 ぼくは、必死でご主人様に言う。
 「もうっ!! いい加減にしてくださいっ!! ミルフィ姫は昨日も街の悪人を一網打尽に
したって言うじゃないですかっ!! ご主人様も頑張らないといつまでも30番のドンケツ
ですよ!! 」
 と手を腰に当てて言うぼく。
 「30番、大いに結構にゃあ、コタツと女王ならコタツの方が偉大にゃあ」
 「もうコタツから出てくださいっ!! こうなったら実力行使ですっ、えいっ!! 」
 処置なしである・・・ぼくはご主人様を後ろから抱えて引っ張り出そうとする。
ご主人様は力こそ強いけど体重は普通の女性で軽い。
42『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:26 ID:7MaT+uVr
 「やめるにゃっ!! 寒いにゃ・・・にゃはぁん!? 」
 ご主人様がヘンな声を上げた瞬間、ぼくの手に『ふにゅ』っと柔らかい感触。ぼくは
慌てて手を離して、とても熱い物を触ったようにぶんぶん手を振る。
 「うわわっ!! すみませんっ!! そ、そんなつもりじゃ・・・」
 「いきなり何するにゃあ・・・お前ってエッチにゃあ・・・」
 流し目でぼくを睨むご主人様。
 「あの、その・・・違うんです・・・」
 あっという間に主導権を握られていくのに気がつかないぼく。
 「でも・・・お前なら直に触ってもいいんにゃよ・・・」
 ご主人様は半天の下のシャツをたくし上げるとノーブラのおっぱいの下側を覗かせる。
なんか半天にヌードってミスマッチ・・・だけどすっごくエッチな感じ・・・
 「ご、ご主人様・・・そ、そんなはしたない・・・」
 と言っては見たものの完璧な曲線を保つ下乳のラインに釘付けのぼく・・・そして
ご主人様はぼくのためらう背を押すように囁く。
 「お前がコタツの代わりに暖めてくれればコタツから出てもいいにゃあ・・・」
 さらにシャツをたくし上げるご主人様。うわ・・・おっぱいの先っぽの色の違う所まで
ギリギリ見えてますぅ・・・
 「あ、あの・・・ご主人様ぁ・・・そんな、まだ明るいのにぃ・・・」
 ふらふらと引き寄せられるぼく。ご主人様の豊かな胸に顔をうずめようとぼくは
ご主人様にひざまずく・・・そしてご主人様が公務よりはるかに大好きなエッチを
手に入れかけ、会心の笑みを浮べたときだった。
 『どたどたどた・・・』
 凄い足音・・・近づいてくる。そしていい感じになっていた二人の部屋のドアが
蹴破られて誰かが突っ込んできた。
 
43『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:28 ID:7MaT+uVr
 「うわっぷ!! 」
 ぼくはひどく柔らかい物にぶつかり、そのままめり込んで窒息しそうになり、
ばたばたと暴れる。登場したのはミルフィ姫。真っ青な顔。豪奢な金のストレートヘアは
ほつれていつもの輝きがない。いきなりまくしたてる。
 「た、大変なのっ!! ソラヤが熱が出て寒気がするって言って頭痛もするし体中の
関節が痛いって言うしセキがとまらなくって顔色も良くなくてだるいみたいだし・・・」
 と、ぼくを胸の谷間に捕獲しつつ取り乱す。ご主人様が先日直したばかりの扉と、
自慢のバストで抱くはずだった召使いをかわりばんこに見てワナワナと言った。
 「それはタダのカゼにゃ――っ!! 」
 ご主人様の右ストレートはミルフィ姫を飛び込んできたのと同じ速度で外に叩き
出した・・・ぼくまで一緒に・・・
 「まあ、コタツから出たことだし力になってやるにゃあ」
 ニヤリと笑うご主人様。
 「ご主人様・・・」
 「マナ・・・」
 ぼくとミルフィ姫は頼もしそうにご主人様を見た。ご主人様を完全に信用して
しまって・・・


 「はい、玉子酒。まだ熱いからね」
 ぼくはベットに寝ているソラヤ君に玉子酒の入った入れ物を渡す。ミルフィ姫の
部屋には湯のみなんていう下世話なものはないので紙のように薄いマイセンの
ティーカップに注いで出す。ソラヤ君はそれを両手で受け取ってふーふーして飲んでる。
 「お兄さま・・・こんなことまで、すいません・・・」
 ソラヤ君は溜息をつく。寝巻きはオーソドックスなしましまパジャマ。少しやつれて
いるけどソラヤ君の美しさを全く損なっていない。ぼくは身を起こしたソラヤ君の
肩にカーディガンをかけて優しく言う。ちなみにソラヤ君は自分専用の部屋がある。
ぼく、リビングのソファに寝てるのに・・・
44『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:31 ID:7MaT+uVr
 「気にしなくていいから、早く元気になってミルフィ姫を安心させてあげてね」
 とうなずいてあげる。ミルフィ姫がうろたえるほどソラヤ君のカゼはヒドくなく、
もうほとんど治っていた。ヒトのお医者様がいないのと、ヒト用の薬もなくて
どうしたら良いのか分からなくなってうろたえてしまったみたい・・・でもあんなに
心配してくれて羨ましいかな・・・すると、ソラヤ君の部屋にノックとともにユナ様と
リナ様が入ってきた。二人の肩に雪が積もっている、ご主人様に言われて二人でこの
寒い中馬を飛ばしたのだろう。
 「ヒト用のお薬持って着ましたの――っ!! 」
 ユナ様の手に小さな小箱。
 「えっ!! そんなのあったんですか!? 」
 「ずっと前に落ちてきて、お店の倉庫の冷蔵庫に保管しておきましたの、ちゃんと
使用期限内ですの――っ!! 」
 エッヘンと薄い胸を張って威張るユナ様。ぼくは箱を受け取る。
 「え〜と・・・ビ・・・ヴィックルヴェポラップ?『塗る風邪薬』・・・昔、見たこと
あるような・・・」
 箱を見て一人ごちるぼく。あれ?新品なのに封を切った跡が・・・と、仔細に
調べようとすればリナ様がぼくの注意を逸らすように咳払いして言う。
 「ゴホンッ!! み、見舞いの品はここに置くぞ・・・」
 と勝手に枕もとにフルーツの入った大きなバスケットをどかっと置くリナ様。
なぜか向きを確認しては一人頷いている。カゼ一つに大げさな見舞い品だよね・・・
 「あっ、ソラヤ君リンゴ剥いてあげようか?」
 手をのばすぼく。
 「ま、待てっ!! 」
 「ダメですの――っ!! 」
 ぼくの前に立ちふさがる二人。
45『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:33 ID:7MaT+uVr
 「あ、あの・・・お見舞いの品じゃ?」
 慌てて言い訳をまくし立てる二人。
 「食べごろは明日ですの、明日――っ!! 」
 「ソラヤは食べたくないと言っている、なあソラヤ・・・アン?(ギロリ)・・・」
 「・・・は、はい・・・」
 と身の危険を感じたソラヤ君が返事してる・・・なにかおかしい・・・ぼくが問い
ただそうとすると、ちょうどぼくのご主人様がノックもせずに入ってきた。ソラヤ君が
慌てて言う。
 「あ、ありがとうございました・・・貴重なお薬までいただいて、お見舞いまで
貰っちゃって・・・(ぺこり)」
 ご主人様が鷹揚に言う。
 「気にすることにゃいにゃあ・・・親友のためならこの程度たいしたことにゃいにゃあ、
それに違うモノで返してもらうしにゃあ」
 ニヤニヤとぼくとソラヤ君をかわりばんこにネットリ見つめるご主人様。
 「この寒い中、馬を飛ばしたのは私なのに・・・ぶつぶつ・・・」
 「売り物の薬、タダで提供したのユナなのに・・・ぶちぶち・・・」
 ぶつくさ言っている二人を無視してご主人様は言う。
 「そうにゃ!! ソラヤも心細いだろうからお前が今日、一晩一緒にいてやるにゃ!! 」
 「ええっ!! いいんですか!! 」
 返事をしたのは、ほとんど飛び起きかけて叫ぶソラヤ君。まだ病気なんだから・・・
 「お前もかまわにゃいにゃ?」
 「えっ!? ・・・え〜と・・・」
 『お兄さま(キラキラ)・・・』
 ううっ、背中のソラヤ君の期待に満ちた視線がイタイ・・・
 「わ、わかりました!! 今日は一晩看病します!! 」
 と言ったところで扉の外にミルフィ姫が現われた。なぜか体をロープでグルグル
巻きにされており、ブロンドを振り乱してぴょんぴょん跳ねて来た。そして半分ずれた
猿轡の隙間から叫ぶ。
 「だ、だめよ!! その薬を使っちゃ・・・むふ・・・ぐっ・・・がく・・・」
46『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:35 ID:7MaT+uVr
 ユナ様が口をふさぎ、リナ様が当身をくらわせ、ご主人様がすかざずミルフィ姫を
抱えて引っ込む。この間1.5秒足らずでぼくは何が起こったのか判らない。ご主人様が
ドアの隙間から顔だけ出してパチンとウインクして最後に言う。
 「わたし達はリビングで大事な打ち合わせがあるから、お前は来ちゃダメにゃあ・・・
お前はちゃんと一晩中ココにいるにゃあ・・・もう来ないからお二人ごゆっくりにゃあ」
 「は、はあ・・・」
 不承不承うなずくぼく。うしろでウンウンと深くうなずいているのはソラヤ君。
ソラヤ君ホントに病人?・・・
 

 と、言うわけで嵐のように4人のネコ姫が去っていくと部屋がいきなりシン・・・
とした感じ。
 「・・・・・・」
 二人の沈黙が部屋に積もるよう。ぼくは努めて明るく言う。
 「と、とりあえず、お薬塗って、あったかくして寝ようね」
 「はい・・・あ、あの・・・お兄さま・・・お薬、塗ってもらえませんか・・・」
 恥ずかしげに言うソラヤ君。
 「えっ、ぼくが?それは自分で・・・」
 『ウルウル・・・(ジワジワ)・・・』
 「・・・わ、分ったから、手伝うから・・・あっ・・・」
 泣く子に弱いぼく・・・箱の中の説明書を取ると、横からソラヤ君がそれをさっと
奪い取る。
 「ボ、ボクが読みますから、お兄さまはそのとうりに・・・」
 「そう?・・・じゃあお願いしようかな」
 確かに自分が使う薬だからソラヤ君が読んだ方がいいのかな・・・
 「ええと・・・本製品を胸部に塗布することにより、気化熱により体温を下げ、呼吸を
楽にします・・・」
 『うんうん・・・たしかそんな感じの薬だったよね・・・』
 ぼくは毛布をまくってソラヤ君のボタンに手をかける。パジャマの上のボタンから
一個ずつ『プチン、プチン』とボタンを外す。一つ外れるごとにソラヤ君の白い肌が
シーツの上に広がる。
47『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:37 ID:7MaT+uVr
 「・・・・・・・・・」
 恥ずかしそうにトロンとした目をぼくに向けるソラヤ君。そんなに見つめられると
ぼくも恥ずかしくなっちゃう・・・
 全部ボタンを外すとソラヤ君の薄い胸と縦長のキレイなおへそが現われた。白い
胸が密やかに深く上下してる。パジャマで擦れてしまったのか胸の桜色の先っぽは
ほんのりと立ち上がっていて・・・
 「・・・そ、それで他にはなんて書いてあるのかなっ!! 」
 思わず見とれてしまったぼくは顔をぶんぶんと振ってソラヤ君に裏返った声で聞く。
ソラヤ君も慌てて説明書を覗き込む。『ヴィックルベポラップ』の青い小ビンを
開けると半透明の白い塗り薬があらわれた。
 「あ、あの・・・『たっぷり手の平に取って両手によく馴染ませてください』って
書いてあります・・・ほ、ホントですよ・・・」
 ちらちらとぼくの様子を伺いながら言うソラヤ君。
 「わかった・・・たっぷりね・・・」
 言う通りにするぼく。たっぷりすくい取り、手を擦り合わせるようにしてよく延ばす。
「そ、そしたら『胸に・・・胸によく揉みこむようにやさしく、じっくり塗ってください・・・』
って書いてあります・・・」
 「い、いやに詳しく書いてあるんだね・・・」
 何の気はなしに苦笑いして軽く言うぼく。ところがソラヤ君はなぜか必死でぼくに言う。
 「ホ、ホントです!! あの、その・・・」
 「わ、わかったから・・・ソラヤ君、塗るよ・・・」
 「は、はいっ!! 」
 目を閉じてきょうつけするソラヤ君。ぼくは両手をソラヤ君の胸にのばす。
 『にとっ・・・』
48『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:39 ID:7MaT+uVr
 「ひゃう!! ・・・んっ・・・」
 ソラヤ君が薬の冷たさに小さく悲鳴をあげる。
 そして知らないうちに二人は加速していく・・・


 「にゃふ・・・始まったにゃあ・・・」
 リビングの大きな大理石のテーブルにしつらえたディスプレイを覗きながらマナが
言う。他人のソファなのに我が物顔でどっかりと座ってリラックスしてる。
 両端から食い入るように見つめているのはユナとリナ。よく見ればディスプレイの
画面の周りにリンゴや桃のアップが映りこんでいる。
 「ユナ・・・ちゃあんと、クスリは仕込んどいたかにゃ?」
 「もちろんですわ、ちゃーんとネコにもヒトにも効く強烈なヤツをたーっぷり
混ぜといたの――っ!! 」
 得意げにユナが言う。ディスプレイの中では少年が少年に胸を愛撫されてウットリ
している様子が映し出されている。隠し撮りしているという背徳感がネコ姫達の
興奮を倍加させる。
 「これからいったいどうなるのだ・・・はぁはぁ・・・」
 息を荒げてリナがいう、気を落ち着かせる為に一気にグラスの酒を空ける。よく見れば
テーブルにはアルコールや軽食が満載でオールナイトの準備は万全である。その足元で
声がする。
49『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:41 ID:7MaT+uVr
 「む――っ!! む――っ!! 」
 気の毒な本当の部屋の持ち主は毛足の長い敷物の上にぐるぐる巻きにされて巨大な
大理石のテーブルの足に縛りつけられていた。噛み付きそうな勢いでマナを睨みつける。
 「にゃふ・・・これは今日働いた代金のかわりにゃあ、年末のマンネリ番組よりもっと
いいモノが今年は見れそうにゃ・・・あっユナ、ナチョスはいらにゃいからサルサチップを
よこすにゃ、パッションガーリックソースはこっちにゃあ・・・」
 といやらしく笑い、勝手にふるまうマナを見てギリギリ歯ぎしりするミルフィ。
こんな女に一秒だけでも感謝した自分に腹が立つ。
 『ああ・・・わたくしのソラヤがマナの召使の毒牙に・・・』
 と本気で思っているミルフィ。
 「あん・・・あっ、あ・・・」
 高性能のマイクがソラヤの声を拾う。『ざっ』と顔を振り向けディスプレイに
集中するネコ姫達。部屋は一気に淫靡な予感に満たされ緊張する。夜は始まった
ばかり・・・
50『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 09:45 ID:7MaT+uVr
     (・・・つづく)


 少し早めに・・・前半部は退屈だったかもしれませんが、リクエストのあった
ダークソラヤバージョンです。早いうちに続きを・・・
 『塗る風邪薬』って知ってます?使ったことないんですけど・・・ひょっとして、
年齢のわかってしまうアイテム?
51『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/23 10:03 ID:7MaT+uVr
 前スレ名前募集ありがとうございました。

 ○ナ・・・という2文字名前は庶民っぽいので召使関係で利用させていただきます。
マナ達は父親が庶民ということで・・・ミナはさっそく殺してしまいました・・・ゴメン。

 >>704 シルフィ・・・いい響きですがここはミルシェで。お菓子つながりになるし・・・
募集するとさすがにセンスのある名前が出てきます・・・ソラヤもこの人かな?

 >>707 ディアンヌ・・・いい感じ、特にディ・・・というのがいいですな、少し変える
かもしれませんがこんな感じで・・・
  
 今回の話はカゼひきプレイで・・・初めに考えていたのは、ご主人様のクリスマス
プレゼントを買うためにアルバイトする二人が手違いで、怪しいクラブのステージで
妖しいエッチなショーを・・・というのを考えていたのですが、これって『エロボン』
じゃん・・・トホホ。
52名無しさん@ピンキーsage03/12/23 10:37 ID:+UjdkCbX
わーい、ちょっと早めのクリスマスプレゼントキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
も〜、ダークソラヤくんとりりしいミルフィ姫様にめろりんきゅ〜。
しかもその後の、風邪っぴきヨワヨワソラヤくんとパニックミルフィ姫様が、可愛過ぎる…。

猫の国のサンタ(ry ニャンタさん、本当にありがとう。
ハァハァしつつもイイコで待ってますから、ごーじゃすなお年玉も期待してていーですか?

53前704sage03/12/23 12:32 ID:uJ4wKgVB
新スレでも乙でつ!
ショタは苦手なんでつがハァハァしながらまっておりますた藁
ちなみに漏れもよくヴィックス使ってまつよ

シルフィ、センスありまつか!?ありがd
てソラヤが出てきたころにはまだこのスレしりませんですたよ藁
54名無しさん@ピンキーsage03/12/23 14:53 ID:k/BmtlhI
ショタ、キター!
ソラヤの本業(?)カコイイです。

>ミナはさっそく殺してしまいました
時代劇とかで番組最初に悪役下っ端にやられてしまう役ですか(W

>塗る風邪薬
ってそんなに古かったでしたっけ。
自分の中では結構新しい気が…はっ!俺もオヤジってことですか

これからもがんばってください。
55651sage03/12/24 02:23 ID:koJL0dbh
今スレで絵師さんが来てくれることを願いつつ保守。


・・・・また勝手なコトぬかしry・・・逝ってきまつ
56前705sage03/12/24 11:04 ID:pBltfExW
キタ━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━ !!!!!
今回もさすがでございます。いつも楽しく(?)読んでいます。

ソラヤの名付け親は僕じゃないですよ〜
でも3辺りから保守として参加しております。

続き楽しみにしております。頑張って下さい〜
57名無しさん@ピンキーsage03/12/24 18:59 ID:3R+iKKmD
退屈だなんてとんでもない!
ダークソラヤくんとかっこいいミルフィ姫最高です〜
続きがひたすら楽しみ…
58名無しさん@ピンキーsage03/12/26 01:12 ID:I65Ui+sl
前スレ、スレッドストッパーかけられてますね。
59『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/26 10:20 ID:e0uAAt3N
明日の朝か、夕方に!!
 まだギリギリ『10』まで書くのを
 あきらめていなかったりする・・・
60狐耳を書こうとしている者sage03/12/26 19:40 ID:TBVOIro1
>>59
ガンガッテクレ!!

数個質問がるんですが
1.魔法(もしくはそれに順ずるもの)が存在するのはあり?
2.各国の交友度はどれくらい?
3.宗教は自由にやって良い?

2は小ネタが出るくらいなんで問題なさそうなんですが
1、3は無しにされると構想を練りなおす必要があるので
(降神術をネタにする予定)
61名無しさん@ピンキーsage03/12/27 01:45 ID:DfHdV4ip
>>59
応援してます!コッソリト……
62『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 14:49 ID:bj8ustJ7
ソラヤはいつもと違う激しい怒涛のような快楽に戸惑う。
 『ふあああん・・・なんか胸がずんってきて・・・お兄さまに触わられてる先っぽが
すごく熱い・・・』
 クスリを塗られた瞬間から激しい快楽に襲われるソラヤ。幼い体を身悶えさせる。
 その仕事柄(?)、毒薬などの薬学も勉強しているソラヤだが暗殺用ではなく、
夜な夜なお城のお姫様が秘密の遊びに使う媚薬は専門外。不思議に思う間にもソラヤの
白い胸から媚薬は速やかに浸透していく・・・
 
 「んっ、あっ・・・ひゃう・・・」
 ソラヤくんの口から小さく喘ぎ声が漏れている。
 「ソラヤくん・・・苦しい?」
 心配になって聞くぼく。ソラヤくんは薄目を開けて長い睫を震わせて言う。
 「だ、だいじょうぶですぅ・・・こ、呼吸もラクになってきたカンジ・・・ですっ・・・
あんっ・・・」
 「本当!? 」
 嬉しくなったぼくは早く良くなれとばかりに、一層念入りに塗り薬をソラヤくんの
胸に延ばしていく。ソラヤくんのスベスベの肌は体温が上がってきたのか、いつも
使っているボディソープのラベンダーの香りが薄っすらと立ち上る。
 『ふああ・・・あ、あの時もこんな香りがして・・・ぼく、ソラヤくんと・・・』
 なんて、ラベンダーの香りをトリガーにして、地下の大浴場でカラダを絡ませあった
コトを思い出しちゃうぼく。
 「ひあっ!! ・・・んっ!? 」
 「あっ!! ご、ごめんソラヤくん、強かった?」
 ソラヤくんの小さな悲鳴で我に返るぼく。慌てて手離そうとすると、ソラヤくんの
両手が意外な速さで伸びた。
 『ガッ!! 』
 両手でぼくの手首を掴むソラヤくん。ぼくが顔ををしかめるぐらいの握力で手首を
握り締めている。そしてぼくの目を見つめて恥ずかしそうに言う。
63『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 14:52 ID:bj8ustJ7
 「あ、あの・・・だいじょうぶですから、もっと・・・もっとシテ・・・ください・・・」
 そのままぼくの手の平を自分の胸に押し付けるようにするソラヤくん。手の平には
痛いほどツンと立ち上がったソラヤくんの乳首の感触・・・
 「ひゃ・・・あっ・・・こ、こんなふうな・・・カンジで・・・あっ、ふあん・・・」
 ソラヤくんがぼくの手首を誘導して・・・ソラヤくんの形のいい眉は快感に合わせて
きゅっ、きゅっと形をかえている。知らないうちにぼくは自分からもいやらしく手を
動かしていて・・・
 『なんか・・・おかしいよ・・・ぼく、クラクラして体が火照ってきて・・・』
 ソラヤくんの胸から立ち上るラベンダーといっしょに塗り薬の匂いを嗅いでいたら、
なんだかヘンな、感じ・・・
 
 「あんっ、あんっ!! ふあああっ!! 」
 いつしかぼくの両手のアプローチはソラヤくんの薄い胸の肉をかき寄せるようにして
激しく揉みしだく。ソラヤくんもぼくの両手首に手を副えたまま、催促するように
胸を突き出してよがっている。白いシーツの上で小さなカラダがエッチにくねる。
 「こ、こんなに先っぽ尖らして・・・ソラヤくん女のコみたい・・・」
 ぼくは、手の平で器用にソラヤくんの胸をやわやわと刺激しつつ、人差し指で
弾くようにソラヤくんの乳首をいじめる。ご主人様がよくぼくにやるヤツだ・・・
 「はああっ!! いやっ・・・お兄さまっ!! そんなにいじめないでっ!! ・・・」
 と言うソラヤくんの表情は悦楽に蕩けきっていて、ぼくを見る視線は媚びるような、
挑発するような色が混じっている。
 「いじめるって・・・こんなふうなコト?・・・」
 ぼくはトドメとばかりにヌルヌルとした塗り薬にまみれたソラヤくんの桜色の乳首を
親指と人差し指で『ぎゅ』とつまんで、しごき上げる。
64『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 14:54 ID:bj8ustJ7
 「ひああああああっ!! だめっ、ふああっ!! ボク、おっぱい出ちゃうう――っ!! 」
 ソラヤくんの背が反り返り、上半身が大きくくねる。
 「うわっ!! 」
 ソラヤくんがぼくの手首を持ったまま上体をひねったために、もつれるように
ソラヤくんの上に覆い被さってしまうぼく。
 「ご、ごめんソラヤくん・・・」
 いきなりぼくの目の前に映る、潤んだ瞳のソラヤくんのアップ。ぼくは身を起こ
そうとするがソラヤくんの動きの方がはるかに速かった。
 「お兄さまぁ・・・」
 『ちゅむ・・・』
 音にならない音が、ぼくとソラヤくんの唇の間から発生した。
 「ソ、ソラヤくん!! イタズラしちゃダメだよっ!! 」
 ぼくは抗うけどソラヤくんの腕はぼくの背にぎゅっとまわされている。ソラヤくんって
ぼくより小さいのに時々すごく力が強い。
 「お、お兄さま・・・ボク、ボクもうガマンできなくてっ・・・んっ、ちゅぱ・・・ふぁむ、
舌・・・ください・・・んんっ・・・」
 「そんな・・・だめ・・・はむ、あんっ・・・ちゅる、ふあああ・・・はんっ・・・」
 ぼくの腕は自分の胸とソラヤくんの胸との間に挟まったようになって自由が利かない。
それをいいことにソラヤくんの両腕はぼくの服のボタンを外し、体中を撫でまわし、
淫らにぼくの服の中に直接忍び込んでくる。もちろん唇はぼくの口内を激しく
犯してきて・・・
 『ふあああっ・・・ソラヤくんの手が・・・すごく上手・・・んっ・・・』
65『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 14:56 ID:bj8ustJ7
 ぼくは、唇はソラヤくんにネットリ奪われつつ、徐々に抵抗力を奪われていく。
ソラヤくんの手の平はぼくの腰の辺りを撫でるように愛撫している。気を抜くと
すぐお尻のほうに手が忍び寄りぼくの腰をびくびくさせる。もう一方の手はわき腹を
引っかくように愛撫していたと思うと、背筋のくぼみを指先でつるつるとなぞらせて、
その鋭い快楽にぼくは思わずソラヤくんに我を忘れてしがみつきかけてしまう。
もちろんキスしてる熱い吐息は息継ぎのたびにぼくの耳元に吹きかけられ、ソラヤくんの
足はぼくの足にねっとり絡みついていて、パジャマから出たふくらはぎとカカトで
ぼくの太ももの裏をなでなでしてくる。全身をフルに使った無駄のないソラヤくんの
愛撫。
 『ああ・・・ソラヤくん、5歳ぐらいからミルフィ姫のオナニーのお手伝いして
るって言ってたっけ・・・』
 そうなのだ、ちゃんとセックスするようになったのは1年足らずなのに、ソラヤくんは
手でイカせることに関しては超ベテランなのだ。される方はてんで弱いクセに・・・
 「ふああっ・・・ソラヤくんおかしいよぉ・・・こんなに感じちゃうなんて、ぼくのカラダ
じゃないみたい・・・」
 なぜかメチャクチャに気持ち良くなってるぼく。知らないうちに着ていたシャツは
はだけて、ソラヤくんの塗り薬がたっぷりついた胸と合わり、ぬっとりと擦り合わせる
ように動いている。
 『も、もう・・・ガマンできない・・・すっごく・・・シタい・・・』
 ぼくの心はどす黒いネットリとした欲望で塗りつぶされていく。そして・・・
 「う・・・あ・・・ソ、ソラヤくん!! ソラヤくん――っ!! 」
 タガが外れたようにソラヤくんに覆い被さるぼく。
 「ああん!! お兄さまっ!! はんっ・・・む・・・」
66『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 15:00 ID:bj8ustJ7
 ぼくはソラヤくんの頭をかき抱くようにして夢中でソラヤくんと舌を絡めあわせる。
 『ちゅ・・・んっ、くちゅ・・・はむ・・・んっ、んっ、んっ・・・』
 「ぷは・・・お兄さま・・・もっと唾ください・・・」
 ソラヤくんがせつなそうに言う。ぼくはもう頭に血が上りすぎてクラクラしてる。
ソラヤくんの超絶なフィンガーテクニックはぼくにふわふわ眠くなりそうな心地よさと、
ジリジリ炙られるようなもどかしさをかわりばんこに体験させていく。ぼくの視界は
ゆらゆらと揺らめき、全てが渦を巻いたように・・・


 急遽しつらえたディスプレイに釘付けの3人のネコ姫。身を乗り出して息をするのも
忘れて固まっている。ユナの口にくわえたままのポテチがパリンと床に落ち、自分で
びっくりして正気に戻る。リナは胸にのびかけた手を慌てて下ろしてテーブルに強打
してる・・・
 「こ、こんなにうまくいくとは思いませんでしたの――っ!! ハァハァですの・・・」
 「うわあっ、て、手があんなトコロまでっ!! ・・・め、召使いくん、頑張るのだっ!! 」
 手に持ったグラスをミシミシいわせつつ、マナの召使いびいきのリナが叫ぶ。
ぶつけた小指が赤くなってる・・・
 「ム――ッ!! ム――ッ!! 」
 音しか聞かされていないミルフィが火のついたように暴れる。そんな気の毒な
ミルフィを見下ろしつつマナはしゃあしゃあと言う。
 「これは治療にゃ、こんなカゼちょっと汗かけばあっという間に良くなるにゃあ!!
ついでに二人が汗かくとソラヤもわたしも楽しめて一石二鳥にゃ」
 ばくばくと高そうなローストビーフを頬張るマナ。ちなみに食料がなくなった先から、
ミルフィの台所から無断拝借してくるので食べ物は尽きない。
67『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 15:02 ID:bj8ustJ7
 「ムキ――ッ!! ほ、ほの〜!! ふぇんふぁいふりょおふぃめ!! (こ、このー!!
ヘンタイ不良姫!! )」
 歯をむき出して叫ぶミルフィ。上品な物腰をかなぐり捨て、猿轡ごとマナの足に
噛み付こうとしてる。そんなミルフィを見てマナは慌てずに言う。
 「・・・ロープ追加にゃ」
 「了解!! (ですの――っ!! )」
 一斉に飛び掛るリナとユナ。
 「いふぁい!! いふぁいっつふぁらっ!! 」
 気の毒なミルフィは何故か、ぎっちりと両胸を絞られるように拘束ロープを追加
されてしまう。ドレスの胸元の生地がはじけそうにパツンパツンになってる・・・
 ・・・と、そんなことを姫様達がやっているうちにディスプレイの中では、知らずに
媚薬漬けにされてぐったりしているマナの召使いが映っている。そして小さく
舌なめずりをしつつ、そのスパッツの腰にゆっくりと手をかけるソラヤが・・・


 「お、お兄さますごい・・・こんなにスパッツ持ち上がるぐらい大っきくして、こんなに
逞しくて・・・ボクもいつかこんなふうに・・・」
 ソラヤはぐったりとしたマナの召使の下半身の側にうずくまって、うっとりと
お兄さまの熱くたぎったこわばりを撫でる。スパッツのサラサラした感触の下に
ドクドクと脈動する感触・・・ソラヤはごきゅんと唾を飲んでスパッツに手をかけた。
 「今、ラクにしてあげますから・・・」
68『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 15:04 ID:bj8ustJ7
 
 『はふ・・・ぼ、ぼく・・・』
 頭に上りすぎた血がやっと引いてくる。
 『そ、そうだ・・・ソラヤくんのテクニックに翻弄されて・・・そして・・・んっ、腰が
熱い・・・』
 と、目線を下にやるぼく。ソラヤくんがいた・・・
 「んっ・・・お兄さま・・・キモチいいですか・・・ちゅ、ずちゅ・・・れる・・・」
 フェラチオしつつ、上目遣いでぼくを見ているソラヤくん。
 「うわっ!! ソラヤくんっ、なにやってる・・・ひくっ、うあああっ!! 」
 さっきからずっとフェラチオをされていたらしいシャフトはすごく敏感になって
いて・・・
 「お兄さまのステキです・・・おクチに入らないかと思いました・・・んちゅ、
ちゅちゅ・・・」
 ソラヤくんがぼくのシャフトを口いっぱい頬張りながらしゃべる。薄めの唇は
ぼくのシャフトをプニプニとしごきつつも、口の中では裏筋にピッタリと舌の腹が
あてがわれていて、うねうね、ちろちろと舌が泳ぎ快感をぼくに送りつづける。
 「ひあっ!! こ、こんな・・・んっ、ソ、ソラヤくん・・・前より上手にっ・・・
なってるぅ〜!! あっ、ひいっ、きゃふ!! 」
 ソラヤくんが嬉しそうに目を細めて囁く。
 「お兄さまにお風呂でイカされてからたくさん練習したんです・・・それにこの前
だって、何度も何度もボクのおクチに濃いのをお兄さまが注ぎ込んで・・・ポッ・・・」
 うっとりとシャフトに舌を這わせつつ言うソラヤくん。こ、この前って、ぼくじゃ
ないよぅ・・・
 「あっ・・・お兄さまそろそろイキそうですね・・・」
 シャフトのひくつきを感じたのかソラヤくんがじゅぷじゅぷ言わせながら言う。
 「ふっ、あっ・・・そ、それはぁ・・・」
 ぼくはあごをのけぞらせて言う。腰とお尻の境目がずしりと熱く重い。早くたくさん
どぴゅどぴゅしたい・・・ソラヤくんの声が催眠術みたいに流れ込んでくる・・・
 「お兄さま・・・いいんですよ、思いっきりボクのおクチ犯してください・・・すっごく
キモチいくなるように動いてみて・・・」
69『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 15:06 ID:bj8ustJ7
 「はあっ、はあっ・・・んっ、ふああっ・・・ソラヤくぅん・・・」
 ぼくの両手はソラヤくんの頭を抱える、絹糸のような黒髪がくしゃりと手の平で
つぶれる。そして、そして・・・
 「う、ああああっ!! ソラヤくんっ!! ソラヤくん――っ!! 」
 ぼくはソラヤくんの頭を抱え、ガクガク揺すりつつ、腰まで使いソラヤくんの
小さな口を荒々しく犯していく。
 「んぷっ・・・んむっ、けほっ・・・ずちゅ、ふはぁむっ!! お、おにいひゃま、すごく
ワイルドですぅ・・・んぐっ、むぷぅ・・・」
 ソラヤくんはそれでもぼくのシャフトに舌をはわせ、強く吸ったりしてくれている。
 「ソラヤくんっ!! くっ、きゃふ・・・イク・・・イッちゃいそうだよっ・・・」
 「お兄さまっ!! おクチにっ、おクチにだしてっ!! 」
 「あっ、あっ、あっ!! ・・・」
 せっぱ詰まるぼく。腰がびくびくしてきた。ソラヤくんの小さなクチにぼくの
野太いシャフトが強引に出たり、入ったり・・・ソラヤくんの舌先がシャフトの鈴口を
えぐってる・・・ぼくの腰はさらに速度を上げて・・・
 「ひああああああっ!! ソラヤくんイクっ、イク――っ!! 」
 ぼくの背がピンと伸びる。同時にソラヤくんの口に放たれる熱く白い白濁。
 『びゅくっ!! びゅくっ!! 』
 激しくしゃくりあげるぼくのシャフトにソラヤくんの舌がひらめき、さらにぼくの
シャセイを促す。
 「んっ、んっ、ん〜っ・・・」
 何故かソラヤくんはぼくの白濁を口に溜めているらしく、たちまちほっぺがハムスター
みたいにぷっくりと膨れていく。なんか・・・いっぱい出してるのを見せつけられてる
みたいで、すっごく恥ずかしい・・・
 めくるめく快楽とはこのことかも・・・シャセイが下火になるとソラヤくんは先端を
咥えて、くるくる舐めまわしつつ、シャフトをしごきたて、逆にもう一方の手は
優しくシャフトの根元の袋をいらってくれている・・・
70『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 15:10 ID:bj8ustJ7
 「はふ・・・あっ・・・はあ・・・」
 ぼくはすごい快感に涙目になりつつも、しっかり一滴残らずソラヤくんの口に放つ。
 『あっ、あっ・・・ぼく、男のコに出しちゃった・・・』
 薄っすらと後悔しつつ、下を見るぼく。ほっぺをふくらましたソラヤくんがニッコリと
笑う。そして・・・

 『とろとろ・・・』
 ソラヤくんはたっぷり溜めた白濁をゆっくりと口から吐きだして、ぼくのシャフトに
トロリとかけていく。たちまち自分の出した白濁まみれになるぼくのシャフト。
 「くすっ、お兄さまのでヌルヌル・・・」
 ソラヤくんは口からトロトロとさらに垂らしつつ、白くデコレーションされた
シャフトを手でしごく。力を失いかけたシャフトはたっぷりのローションを使って
責められたみたいに気持ちいくってたちまち元気を取り戻す。
 「ソ、ソラヤくん・・・なにを・・・」
 ソラヤくんはニッコリ、小悪魔のように笑って言う。
 「お兄さまの大きいから、ちゃんとヌルヌルにしないと入らないんだもの・・・」
 つるんとパンツごとパジャマのズボンを脱ぐソラヤくん。しなやかなソラヤくんの
ハダカが明かりにさらされる。恥ずかしそうにピンとたったオチンチンを隠しつつ、
ゆっくりとぼくに跨る。ひ、ひよっとして・・・
 「だ、だめだよっ!! ぼくたち男のコ同士・・・」
 押し留めるぼくにソラヤくんはキレイな顔をぐいっと近寄せてニッコリと言う。
 「その男のコにたっぷり出したのは誰?あんなにぼくのおクチぐぽぐぽ犯したのは?」
 ぼくはソラヤくんの蜘蛛の巣にからめとられた蝶。淫靡な匂いを放つ食虫花に
捕えられた愚かな羽虫・・・
 「そ、それは・・・んっ!! 」
 ソラヤくんが泣きそうなぼくの唇を奪う。そして手はゆっくりとぼくのシャフトに
副えられてゆっくりと腰を落としていく・・・ああっ・・・先っぽが当って・・・んっ、
はあっ・・・舌が絡まって・・・ぼくの味ってこんな味なの?・・・

 ふあああっ、だめだよソラヤくん・・・
71『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 15:20 ID:bj8ustJ7
(続く・・・)



 記念すべき2スレ目の第1作がショタなのは大問題だと密かに思ってたり・・・
 プレステ2も壊れてますます自動的にSSに集中!!
 新プレステにあわせるとは恐るべきソニータイマー・・・

 というわけで、次回最終回は30日までに・・・無理か?無理だ・・・
72『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage03/12/27 15:36 ID:bj8ustJ7
 <<60さん
 
 1.魔法はある。『こちむい1』はご主人様が雷魔法を新しくあみ出すお話。
  また、お城の電化製品、街の路面電車は『魔洸力』という動力で動いている。
  『魔洸力』は魔法使いが毎朝充填します。

 2.今のところ『イヌ』と『ネコ』が仲が悪いと決めているだけなのであとは
  ご随意に・・・
   ただ、国の配置ですが、扇のような大陸の要に『ネコ』の国、その上部、北に
  『イヌ』の国。南は海。『イヌ』の国は山地なので両隣りの国に行けないので、
  『ネコ』の国へ南下するしかないのです。すべての道は『ネコ』の国に通じます。
  あとの国の配置や関係はご随意に・・・

 3.宗教は決めてないのでご随意に・・・『ネコ』の国民はほとんど無宗教です・・・
73名無しさん@ピンキーsage03/12/27 21:27 ID:4X5vznDk
良いですな。
次回も期待してます。でも無理はなさらないで下さい。
74名無しさん@ピンキーsage03/12/28 08:21 ID:Rdx5qCH/
801ネタ嫌いなハズなのにモエ〜(;´д`)ハァハァ
ハァハァ言ってるユナ様にモエ〜(;´д`)ハァハァ
75名無しさん@ピンキーsage03/12/28 13:24 ID:q4u54P/x
はぢめて801で萌えますた
縛りあげられてるミルフィ姫のパツンパツンおぱーいにも萌え〜
76狐耳を書こうとしている者sage03/12/28 16:44 ID:YN0+CWk2
>>72
質問に答えてくれてどうもありがとうございます
国の位置ですが機械文明の発達していない純和風で行くので
東かなぁ?と、逆に西でも良いかも
何とかして新年5日以内にはあげます
簡単なキャラ、国設定を年内には出したいなぁ・・・
7776sage03/12/28 16:46 ID:YN0+CWk2
書き忘れ・・・

ソラヤキュン激萌え!!
ハァハァさせていただきますた
78名無しさん@ピンキーsage03/12/29 00:21 ID:NueLTaMJ
狐耳の人がんばれ
期待してます
79名無しさん@ピンキーsage03/12/29 13:49 ID:ni9H7TTH
今回も激しく萌えました(;´д`)
続きが楽しみだけど、無理しないで下さいな。

狐耳の人も無理すんな。
時間をかけて良作をつくってくれ。
80名無しさん@ピンキーsage03/12/31 09:05 ID:5quEigS+
早く駄作を作るより
遅く良作を作ってくれ
81狐耳を書こうとしている者sage03/12/31 20:12 ID:G10lBvkA
ただ単に休みが5日までだからそれまでにはあげたいなぁ、と思ってただけで
そして名前がきまらねぇ・・・
花や宝石から名前をとる予定なんだが(和名で)なんか良いのないかね
82名無しさん@ピンキーsage03/12/31 22:46 ID:pou/F7N3
9を終わらせた・・・ 大晦日SSも書いたのに規制が入ってる・・・間抜けだ
83名無しさん@ピンキーsage04/01/01 00:23 ID:8kpKp1zC
ざ、残念無念。
どうかのせてくだされ。
84名無しさん@ピンキーsage04/01/01 01:18 ID:9cdD8KH2
>>82
規制にめげずがんばってください

俺もがんばらんと
85名無しさん@ピンキーsage04/01/01 02:11 ID:U++1f2Yo
>>81
正式に名前を募集してみるのはどうかな?
そのときは、そのキャラクターの性格などを書いておくとイメージしやすいですよ。
86名無しさん@ピンキーsage04/01/01 08:15 ID:McM+WDK/
三人寄ればナントヤラ
87こちむいisage04/01/01 18:36 ID:5OwaGbXG
DION規制外れない・・・早くうぷしたい・・・
88名無しさん@ピンキーsage04/01/01 19:34 ID:BEokXz4g
>>81
ゆびーん局員?
89狐耳を書こうとしている者sage04/01/01 21:01 ID:1EP/N4o0
>>85
募集してみますか
その前にキャラ設定と国設定を落とします
>>87
規制にめげずにがんばってください
>>88
宅急便のドライバーっすよ
郵便局はまだまだ忙しいかと
90狐耳を書こうとしている者sage04/01/01 21:20 ID:1EP/N4o0
キャラ設定


狐耳国の第1王女で、国の最大機関である巫女連の姫巫女
神の声を聞いたり神自身をその身に降ろしたりして国政に当たっている
普段はポケーっとしているが儀式の際には自分にも他人にも厳しくなる
日向ぼっこしながらお茶を飲むのが趣味
性に対して奥手であるが、降ろす神によってはとてつもない淫乱になったりも
主人公とHすることによって急速に性に目覚める
毛の色はオーソドックスに狐色、微妙に金色が入っていて日の光に輝く、尻尾は5本

妹姫
姫の年の離れた妹で、見習い巫女をしている
完全なロリキャラだが結構な耳年増で姉よりも進んでいる
基本的に元気、落ちてきた主人公に一発で懐く
アルビノであるため肌や毛にいたるまで白く、瞳は紅い、尻尾は2本
第1話には登場予定なし
91狐耳を書こうとしている者sage04/01/01 21:40 ID:1EP/N4o0
その2

巫女長
そのまんま巫女連の長、王族ではない
ちょっと口うるさいがそれは全てその人を思ってのことなので煙たがられてたりはしない
面倒見がよく人望が厚い
常識の違う主人公にちょっと苛立ちを覚えているが、みょんなことからキスしてしまい
主人公に惹かれるが、姫のことを考えて表に出さないようにしている
けどばればれw
毛の色はちょっと黒ずんだ狐色

主人公
ある日突然狐耳国に落ちてきた少年
争いを好まない心優しい少年であるが、必要とあれば躊躇う事をしない
合気道の師範をしている祖父に鍛えられているため無駄な肉がなく引き締まった体をしている
家族構成は両親と祖父、妹と弟が一人ずつ
過去に妹と弟に絡んできた不良をボコボコにしたことがあり
地元の不良からは恐怖の対象として見られている
押しに弱く、周りに流されること多々在り

年齢(さっきのに書き忘れたためここでまとめて
姫22歳、妹姫14歳、巫女長26、主人公16歳
92狐耳を書こうとしている者sage04/01/01 22:02 ID:1EP/N4o0
国、その他設定


巫女連を中心とする女系社会であるが、男性の地位が低いわけではない
昔の日本によく似た感じで主人公が馴染むのに時間はかからなかった
四季に様々な花が咲くためにいつ訪れても観光客の目を楽しませてくれる
主な産業は職人の手による工芸品などと観光
機械系には弱いが手先の器用なものが多く、その匠の技で外貨を仕入れているため国は豊かである
主な取引先は隣にあるネコ国で、仕入れた外貨で機械製品を輸入している
ちなみに巫女長は機械嫌いである

巫女連
国の最大機関、国内の女性は基本的にここに所属していることになる
全ての女性が常時所属しているわけではなく、本職の巫女は一部である
祭事は全て巫女連が取り仕切っている

姫巫女
代々王族の長女が付くことになる国の要
王族は女系の一族であるため必ず生まれてくるのは女の子
そのおかげで姫巫女は空座になることがない
姫巫女になるものは物心ついたときから専用の教育がされ、大体10歳ごろから姫巫女の座に付く
王位継承権は変わることがあるが姫巫女はその特殊さから次期姫巫女が生まれない限りその座を降りることがない

とりあえず今のところはこんな感じかな
抜けているところはおいおい埋めていくんで
93名無しさん@ピンキーsage04/01/02 18:14 ID:FShQIsjC
狐耳おもしろそーだな。楽しみ。

94名無しさん@ピンキーsage04/01/02 18:46 ID:xI53f9nL
>>81
 とりあえず『宝石の和名』をupしてみますた。
 んで、自分的には全部好きな名前なので、どれか4つなんて決められんー。
 と言う事で後のヒト、チョイスよろしく!!!

  橄欖(石)=“かんらん(せき)”=オリビン(特に宝石質のものはペリドット)
  菫青(石)=“きんせい(せき)”=アイオライト
  黒曜(石)=“こくよう(せき)”=オブシディアン
  琥珀=“こはく”=アンバー
  金剛(石)=“こんごう(せき)”=ダイアモンド
  柘榴(石)=“ざくろ(いし)”=ガーネット
  珊瑚=“さんご”=コーラル
  翠緑(玉)=“すいりょく(ぎょく)”=エメラルド
  尖晶(石)=“せんしょう(せき)”=スピネル
  天青(石)=“てんせい(せき)”=セレスタイン
  天藍(石)=“てんらん(せき)”=ラズーライト
  藤雲(石)=“とううん(せき)”=ラベンダーアメジスト
  玻璃=“はり”=クリスタル(水晶または石英)もしくは透明なガラス
  翡翠=“ひすい”=ネフライトもしくはジェダイト
  碧玉=“へきぎょく”=ジャスパー(水晶または石英)
  瑪瑙=“めのう”=アゲート(水晶または石英)
  藍玉=“らんぎょく”=アクアマリン
  藍晶(石)=“らんしょう(せき)”=カイアナイト
  瑠璃=“るり”=ラピス・ラズリもしくは青いガラス
95名無しさん@ピンキーsage04/01/02 23:56 ID:aDk9uQo5
プロフィールと石の名前を眺めて浮かんだのを書いてみます。

姫=玻璃か琥珀←(こはくの方は最初の漢字が強そうな字面だから、ちょっと…と言う気も)
妹姫=柘榴(目が赤いというので)
巫女長=翡翠
主人公=菫青

あくまでも自分のイメージです…
他の方の意見も希望!
96狐耳を書こうとしている者sage04/01/03 02:38 ID:VEstWbre
>>94
ありがとー
これはすごいありがたいです
>>95
瑠璃と玻璃はすでに俺の別作品にいるので除外させてください・・・
翠緑、天藍、藍晶が響きがよくていい感じ
97狐耳を書こうとしている者sage04/01/03 03:14 ID:VEstWbre
国設定で書き忘れがあったので追加
宗教関連
日本で言う八百万の神に相当する多神教
日本の神と重なる神も多い
大半が稲荷神なのはご愛嬌w

主人公は神社の息子
そこで祭っていた神がたまたま姫が降ろそうとしていた神であって
その影響から空間に穴が開き狐国に落ちることになる
98名無しさん@ピンキーsage04/01/03 10:50 ID:32CTDwp0
姫の名前は石のイメージだと、
様々なカラーを持つサファイアが似合うかな〜と思うんですが、
和名が「青玉」なのでありきたりなような。
ちなみに中国語では「藍寶(石)」になるらしい。

>翠緑、天藍、藍晶が響きがよくていい感じ
上の3つだったら「天藍」に1票
99『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:05 ID:+I7YKc+Z
 規制解除?
100『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:07 ID:+I7YKc+Z
久しぶりの解除に喜びつつ100ゲッツ!!
 じゅ、準備を・・・
101名無しさん@ピンキーsage04/01/03 14:11 ID:pUG+7pnH
>>100 
 ごーじゃすなお年玉、クル━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!
102『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:20 ID:9aVWCXBY
 ふあああっ、だめだよソラヤくん・・・


 『ごきゅ・・・』
 リビングの3姉妹はクライマクッスを見逃すまいと、固唾を飲んで見守る。そして、
ついにその瞬間をというところで・・・
 『ぶっちん!! 』
 猿轡を根性で噛み切ったミルフィが吠える。
 「こらっ!! やめなさいっ!! あ、あなた達、わたくしのソラヤが犯されるのを見て
そんなに楽しいのっ!? 」
 ヤル気満々なのはもちろんソラヤである。マナがうんざりと手にあごを乗せながら
めんどくさそうに言う。
 「逆にゃあ、エッチなソラヤがわたしの召使いを犯そうとしてるんにゃ・・・」
 「う、うそおっしゃい!! ソラヤがそんなことするわけないじゃない!! ああ・・・
可愛そうなソラヤ・・・」
 と一人、雰囲気を出して涙ぐむミルフィ。この期におよんで、こんなコトを言う
姫様にわざとらしく溜息をついてみせるリナとユナ。それに気がついたミルフィが
ボソッと毒づく。
 「な、何ですのその態度は・・・この筋肉胸に盆地胸・・・」
 にこやかに話す姉妹。
 「今度はこの脂肪のカタマリを一つづつ絞りあげるよう、横向きに縛るのはどうだ
ろうか?なあ、ユナよ・・・」
 「あのねーリナ、もう一本真中にロープぎゅってしたら、おっぱい4つに割れて
一つ一つは丁度いい大きさになると思うんですの――っ!! 」
 「ち、ち、ちょっともう胸はやめなさいよっ!! リナのバカ力で縛ったら胸が千切れて
しまいますわっ!! 」
 うろたえるミルフィにマナが言う。
 「お前ら、うるさいにゃ・・・それじゃあミルフィにもソラヤの本性見せてやるにゃあ」
 と、ミルフィを『ぐにっ』と掴んでソファの下に引張るマナ。
 「イタイっ、イタイから胸を掴んで引張らないで――っ!! 」
 どこまでも気の毒なミルフィ・・・
103『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:22 ID:9aVWCXBY
 

 『あ、あ・・・ダメだよソラヤくん、そんな・・・』
 ネットリ微笑んで腰を落とすソラヤくん・・・ぼ、ぼくは・・・
 「やっぱりだめ――っ!! 」
 ぼくはソラヤくんを突き飛ばしてしまう。懸命に言う。
 「だめだよソラヤくん!! 隣の部屋にご主人様がいるのにこんなトコロ見つかったら・・・」
 ぼくの必死の説得をキョトンとした瞳で見つめるソラヤくん。
 「見られたらきっとご主人様達の前でやれって言われちゃうかも・・・見られながら
だとボク恥ずかしい・・・ポッ・・・」
 「そんなコト、ご主人様はしませんっ!! 『ウワキ』したって怒られちゃうんだよ」
 ぼくは少しずれたソラヤくんに叫ぶ。実際、よくネコの性格を捕えているのが
ソラヤくんで、ずれているのはぼくの方なのだが・・・そしてソラヤくんが追い討ちを
かける。
 「『ウワキ』じゃないですよ、だってボクたち『ヒト』なのに『ネコ』がヤキモチ
焼くはずないじゃないですか・・・ねっ」
 ニッコリと言うソラヤくん。ぼくは少しショックを受けて考え込む。
 『ご主人様・・・ぼくのことどう思っているのかな・・・』
 いきなりフリーズしてしまったぼくはソラヤくんの行動に気がつかない。
 「せっかくお兄さまの、トロトロのセーシまみれにしたのに・・・すっかり乾いて
しまいました・・・」
 じたばたして挿入のタイミングを逃したソラヤが溜息をつく。そんなソラヤの
視界の端に青い小ビンが映った。
 『あ・・・あれをローションのかわりに・・・』
104『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:24 ID:9aVWCXBY
 ソラヤはフタを開けてたっぷりと両手に塗り薬をとると、ソラヤの手で一握りあまり
そうな逞しいシャフトに丁寧に塗りこんでいく。

 そして、ぼくは無性にご主人様に会いたくなって・・・
 「やっぱり、ぼく帰るよ・・・ソラヤくん本当にゴメ・・・ひっ!? う、うああああああっ!! 」
 ぼくは悲鳴を上げてベットに蹲る。
 『ひあああっ!! オ、オチンチンが焼けるっ!! 』
 ぼくのいきなりの苦しみようにソラヤくんがうろたえる。
 「お、お兄さまっ!! だいじょうぶですか?ボク、ボク・・・」
 背中をさすってくれるソラヤくん。ぼくは立てひざのまま、ゆっくりと身を起こす。
なにか開放されたような、バリバリとヒトの皮を脱皮してケモノに進化した気分。
 「フ――ッ!! フ――ッ!! 」
 僕のうめき声。ソラヤくんが上ずった声で呟く。
 「うそ・・・そんな、すっごく・・・ドクン、ドクンって・・・」
 お兄さまの下腹部にそそり立つシャフトに目を白黒させるソラヤ。別に大きさが
2倍になった、などということはないが、迫力が断然違っていた。さっきが肉棒なら
今は鉄棒と言ったところ。なにかこのままソラヤがそのシャフトにぶら下がっても
しっかり支えられそうなカンジ・・・びっしりと血管が浮いたシャフトの姿は実に凶悪で、
急角度でそそり立ち、さらにカリ首がドンと張り出した様子は同性ながらソラヤの腰を
熱く蕩かして頼りなくさせてしまう・・・
 「ソ、ソラヤくん・・・」
 じり・・・お兄さまがひざ立ちでにじりよる。
 『あ、あんなので貫かれたらソラヤ、コワれちゃうかも・・・』
 さっきまで積極的だったソラヤが一瞬怖気づく。
 『ガッ!! 』
 お兄さまの手がソラヤの華奢な肩を掴む。手の跡が付くぐらいに・・・
105『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:26 ID:9aVWCXBY
 「お、お兄さ・・・」
 「フ―――ッ!! 」
 お兄さまはいきなりソラヤを押し倒す。瞳にはケモノの光。
 「ああっ!! ダメッ、乱暴にしたらソラヤ、コワれちゃう――っ!! 」
 必死でもがくソラヤ。不意打ちで慌ててしまったソラヤは体術を発揮できない。
お兄さまのカラダがソラヤの白い太ももの間に割り込んできて・・・
 「いや――っ!! お兄さまっ、乱暴なのはいやです――っ!! ボク、コワれちゃ・・・
ひっ!! 熱いのがアソコに当って・・・」
 「フ――ッ!! フ――ッ!! 」
 ケモノじみたお兄さまは狙いを定めて・・・腰をぐいっと押し出すように前に・・・
 「ひいあああああ――っ・・・あ・・・あ、あ!? ・・・」
 ソラヤの背が反り返り、苦痛に眉が歪んだのはほんの数秒。アヌスから溶け出すように
発生したとてつもない快楽は体中を駆けめぐる。息さえ忘れそうになってヘンな
溜息を肺から必死に押し出す。二人は押し流され、召使いの少年達は二人ともケモノに
なって快楽の限りを絞りだす。


 「ほら、ほら、ほら――っ!! 見なさい、御覧なさいっ!! 可哀想なソラヤが犯されてる
じゃないの――っ!! ああっ、なんてマナの召使いは主人に似て節操がないのかしら!! 」
 と、得意気(?)に嘆くミルフィ。ユナがその横で呆然と呟く。
 「ふ、不可抗力ですの・・・だってお薬、匂いだけでも効果あるのに粘膜直接なんて・・・」
 基本的に人の話を聞かないミルフィが細かい意味もわからずに言う。
 「なにが不可抗力ですの!! だいたいソラヤは・・・」
 『あ、あ〜ん!! お兄さま――っ!! 』
 ディスプレイから甲高いソラヤの悲鳴。思わず画面に釘付けになってしまうミルフィ。
106『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:32 ID:9aVWCXBY
 「むおおっ!! あ、あんな体位でずぶずぶと・・・ハァハァ・・・」
 見苦しく身を乗り出すリナを押しのけてマナが言う。
 「そうにゃあ、片足を肩で背負うようにして激しく突くにゃあ・・・にゃふふ・・・」
 「はわわっ!! あんなに腰の動きがカクカクって・・・す、すごっ・・・ハッ!! わたくしと
したことが」
 我に返るミルフィ。慌てて叫ぶ。
 「い、いったいこんなの見て何が楽しいんですのっ!? 趣味が悪いったらありませんわ!! 」
 「にゃに言うにゃあ、こうして『美少年同士の絡み合いを直接手を下さず、高みから
鑑賞する事』こそ上流階級の愉しみにゃあ!! 」
 「あ、あなたの上流階級のイメージはいつもどこか間違ってますわ!! 」
 「ミルフィもちゃんと間近でみればそのありがたみがわかるにゃあ・・・それにしても
今回は実にスムーズにうまくいったにゃあ」
 「もちろんですの――っ!! 塗り薬だけでなくてソラヤが初めに飲んだ玉子酒にも
お薬入れときましたの――っ!! 」
 得意気に言うユナ。でもマナはテーブルの上をワナワナと見つめてる。
 「ひ、ひとつ聞くにゃ・・・その玉子酒っていうのは・・・?」
 「キッチンにあった日本酒のビンにあらかじめサラッと・・・あれ?・・・これ・・・」
 ユナも見覚えのある日本酒のビンを見つける。
 「こ、これは、ずいぶん前に酒がきれたので台所から勝手に持ち出した・・・純米吟醸
『美少年』・・・」
 おどおどと言うリナ。
 「ユナ・・・ >>48 でなんて言ってたかにゃ?」
 「『ネコにもヒトにも効く強烈なヤツをたーっぷり混ぜといたの――っ!!』って・・・」
 「・・・・・・・・・」
 『ゴンゴンゴンゴン・・・』
 気まずい沈黙の効果音が流れる。そして誰からともなく服を引き千切るように脱ぎ、
大きなソファの上で、互いに汗と粘液にまみれた取っ組み合いを始める三姉妹。
107『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:35 ID:9aVWCXBY
 ミルフィはソファの下で慌てて頭をふせ難を逃れたものの、さっき言われた
『美少女、および美女同士の絡み合いを直接手を下さず、高みから鑑賞する事』の
ありがたみなどちっとも判らなかったのは言うまでもない・・・


 所変わってソラヤの部屋。二人とも始めと比べればずいぶん落ち着いてきてはいるが、
それでも激しく幼いカラダをぶつけ合い、よがり合う。
 「ふあっ、ああっ・・・お兄さまぁ・・・腰が蕩けちゃう――っ!! 」
 「ソラヤくぅん・・・ぼくの腰、とまらないよぅ・・・んっ、んっ・・・」
 ぼくはソラヤくんの両足を両肩に抱えあげるようにして、激しくソラヤくんを突き
まくる。出し入れの一回ごとにどんどん気持ちイクなっていくカンジ・・・ソラヤくんの
アソコも『ぎゅ』って握り締めるように締め付けてくる・・・
 「はあっ、はあっ!! ソラヤくん、ソラヤくんっ!! 」
 ぼくはさらに、のしかかるようにしてズンズンする。もうソラヤくんの足の裏は
天井を向いてる。ぼくは真上から全体重をかけてバスバスとソラヤくんの小さなお尻を
責める。
 「ふああっ!! お兄さまっ・・・そんな真上から・・・くっ、はふぅ・・・深いのぉ・・・
お兄さま、す、スゴイ所にぃ・・・」
 ソラヤくんの細くて白いカラダは汗にまみれつつ、ほんのり赤みをおびている。
大きすぎる快楽を受け止めかねて、くねくねとうねるソラヤくんの体・・・
 「ソラヤくん・・・いくよ・・・」
 ぼくはソラヤくんの片足を肩から下ろす。残った足を『ぎゅ』っと抱きしめるように
して、激しく腰を繰り出す。これで側位の体勢。
 「ふあっ、ソラヤくんすごい締め付けてくるぅ・・・それにこんなにピンピンになって
揺れてるよ・・・んっ、はんっ・・・ちゅ、ぴちゃ・・・」
 「お、お兄さまっ!! 見ちゃダメッ!! ひああっ、そんな・・・足の指舐めちゃだめ
ですぅ・・・キタナイです・・・あひゃん、きゃふ!! 」
 口から溢れるよがり声を両手で押さえつつソラヤくん。試みは今の所全く成功して
いないが・・・ぼくは名残惜しげに舐っていたソラヤくんの足指を口から出すとその足も
ゆっくり下に降ろす。ソラヤくんはうつ伏せの体勢に・・・ぼくはそのまま小刻みに
ソラヤくんに快楽を叩き込む。これでうつ伏せバック責めの体勢。
108『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:38 ID:9aVWCXBY
 「ひあっ、ふあああん!! 」
 カラダを半回転させられて内壁をえぐられてカワイイ悲鳴をあげるソラヤくん。
軽くイキかけるソラヤくんの蕩けきった表情に大興奮しちゃうイヤらしいぼく・・・
 「はあっ、はあっ・・・ソラヤくん気持ちいい?れる、ちゅく・・・くちゅ・・・」
 ぼくはソラヤくんにぴっとり覆い被さって動く。この体位だと腰にソラヤくんの
まろやかなお尻の感触を楽しみつつ抽送できる。ついでに目の前にソラヤくんの耳が
あるので遠慮なくネットリと口で愛撫してあげる。
 「ひああああっ!! ソ、ソラヤ感じすぎてっ・・・あっ、ひあっ・・・そんなに入り口を
小刻みにっ!! んふぁ・・・耳も、耳もイイよう・・・お兄さまっ!! お兄さまぁ・・・」
 メロメロのソラヤくん。もう感じすぎて逆に不安になったのか、ばたばたと両手が
暴れてる。ぼくはそのソラヤくんのての甲を上から優しくかぶせるようにして握って
あげる。そして『ちゅ、ちゅ』と軽く耳裏に口付けをしつつソラヤくんに聞く。
 「なあに・・・ソラヤくん・・・」
 口調は優しいぼくだけど、下半身は休むことなくソラヤくんのお尻の上でまったりと
弾み、ときおり軽く円を描くようにしてソラヤくんのアヌスを責め続ける。
 シーツを噛み締めて息も絶え絶えにソラヤくんが必死で言う。
 「あっ、あっ・・・お兄さまっ!! もう、イカせて!! 思い切りイカせて――っ!! 」
 ぼくもソラヤくんのみっちりとした激しい締め付けにクライマックスが近いのを
自覚して叫ぶように言う。
 「じゃあ、思いっきりいくよ!! ・・・それっ!! 」
 ぼくはソラヤくんの両手首を掴んでうつ伏せ状態から一気に立ち上がる。ソラヤくんは
両手首と接合部だけで無理やり引立てられたようになり、ボクのシャフトで入り口を
手荒くえぐられてしまう。これで体位は変形の立ちバックになった。ぼくは腰を落し
気味にしてるけれど、身長の差からソラヤくんは懸命につま先立ちして必死で高さを
合わせてる。
109『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:40 ID:9aVWCXBY
 「ひぎいいいっ!! きゃふっ!! お兄さまのカタイのがっ・・・ひあああっ!! 」
 ガクガクとつま先の力が抜けては、『ゴリュン』とぼくのシャフトでアヌスを
えぐられるソラヤくん。そして力のうまく入らない腰で必死に爪先立ちに復帰する。
本格的に動く前にもう涎を吹きこぼして絶叫して・・・でも、もっと気持ちイクしたげる
からね・・・
 「いくよ、ソラヤくん!! 今日オチンチン一回も触ってあげてないけど、お尻だけで
イカせてあげるっ!! 」
 『パンパンパンパン・・・!! 』
 キレのいい音が部屋に響く。信じられないけど本当に拍手するみたいな音。これは
ご主人様に手取り足取り教えてもらってマスターしたぼくの武器でもある。要するに
挿入前ならソラヤくん。挿入後ならぼくのホームグランドなのだ。ぼくは前半の失点を
取り戻そうと激しくソラヤくんを責めたてる。反応の良かった場所とか、微妙に内壁が
うねった角度とかをちゃんとフィードバックして縦横無尽に突きまくる。
 「ふああああっ!! お兄さま!! もうイキそうですっ、だから、だからオチンチン
しごいてっ!! ひくぅ・・・しごかせてくださいっ!! 」
 泣き叫ぶソラヤくん。でもぼくはソラヤくんの手首を握る手を離さない。
 「だ〜め、お尻だけでイクって言ったでしょ・・・それにソラヤくんのココ、まだぼくを
欲しがってる・・・よっ!! 」
 思い切り深く挿入して大きく腰をまわすイジワルなぼく。円運動が一番上に来たとき
ソラヤくんのつま先がほんの一瞬だけ本当にふわりと浮く。
 「ひぎいいいいっ!! 感じすぎっ・・・ます・・・はくうう・・・ああああ・・・」
 ガクガク痙攣するソラヤくん。もう限界みたい・・・ぼくもじんわり腰に来てる・・・
 「ソラヤくん・・・イクよ、イクよ・・・」
 ぼくはラストスパートをする。また部屋に『パンパンパンパン』って恥ずかしい音が
響いてる。次第にソラヤくんの腰もぼくの腰を迎え撃つように突き上げてくる。
 「うああああっ!! イク――ッ!! お尻だけでイク――ッ!! 」
 
110『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:44 ID:9aVWCXBY
 先にイッたのはソラヤくん。びくびくと背中を反らせてシャセイする。でも今まで
一回も直接にオチンチンを触らなかった影響か、すごくヘンなシャセイ・・・白濁が
トロトロとゆっくり溢れ出るだけ、飛び出す勢いがなくてソラヤくんのピンとそそり立つ
若幹を伝って流れ落ちる・・・ぼくは少し心配になったけれどイキかけの腰はもう
止められない。
 「んっ、んっ・・・ソラヤくんのが締まるっ!! ぼくもイクよ――っ!! 」
 『びゅくん!! びゅくん!! 』
 ぼくはいつも以上に大量にソラヤくんの中に放つ。イキながらも、感じすぎてツライ
けど激しく腰を使う。これもご主人様の教育の賜物。
 すると、ソラヤくんの様子がおかしくなってきた・・・
 「か、か、感じすぎちゃうぅ・・・あ――っ、あ――っ!! ひううう・・・」
 白目を剥きかけてるソラヤくん。まだ白濁はトロトロ出てた。
 後で聞いたけれど、ゆっくりシャセイしていたときも快感は普通のシャセイと
いっしょみたい。しかもゆっくりな分、3分近くトロトロ出っ放しだったから、
ソラヤくん3分近く男のコ絶頂ぶっ続けだったみたい・・・最後はソラヤくん動物みたいに
なって・・・
 「ひいいいいいっ!! ひいいいいいっ!! あひいいいいいっ!! 」
 って、すごい絶叫して失神した・・・ご主人様たちが様子を見に来なかったのがほんと
奇跡・・・ぼくはたっぷりと二回目を出してゆっくり目を閉じる・・・

 『ぴちゃ・・・ちゅく・・・』
 ソラヤが心地よい感覚に目を覚ますと・・・
 「ん・・・んん・・・えっ!? お兄さまっ!! 」
 ベットの下のほうでソラヤにフェラチオしているのは大好きなお兄さまだった。
夢かも知れないと思いつつも、夢だったら覚めないように小声で尋ねるソラヤ。
 「お、お兄さまどうして・・・そんな・・・」
 お兄さまはネットリ舌を這わせつつも、恥ずかしそうにシーツにくるまって言う。
 「さっきソラヤくんヘンなシャセイだったから、ちゃんとシャセイするか調べて
あげる・・・ちゅ、くちゅ・・・それにぼくだけ2回イッたから、お返し・・・
ずちゅちゅ・・・にこっ」
111『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:47 ID:9aVWCXBY
 「そ、そんな・・・お、お兄さま、やっぱり上手すぎ・・・あっ、あっ・・・ダメ――ッ!! 」
 もっとたくさんお兄さまにシテもらおうと思った決心とは裏腹にあっという間に
お口の中でイカされてしまうソラヤ。心の中で号泣する・・・
 結局またもや飲みきれず、目を白黒させてる『お兄さまの手伝い』と称してキス
しながらソラヤはうっとりと思った・・・
 『カゼって、すごく気持ちイイ・・・』
 カゼも全快。今日はソラヤの一年で一番の日になったのでありました。


 翌朝・・・ミルフィ姫の客用寝室・・・
 「あのすみません・・・ミルフィ姫・・・ご主人様達のコト、宜しくお願いします・・・」
 申し訳なさそうに頭を下げるぼく。ソラヤくんはべったりとぼくの腰の辺りに手を
まわしてくっついている。
 「ホッホッホッ!! 宜しくてよ、全くこの時期に全裸で朝まで寝てるなんて自殺行為
ですわっ!! 死なずにカゼで済んだのはきっと『バカはカゼひかない』という格言が
少しは効いたんですわっ」
 と、いつになくキツイミルフィ姫。昨日なにかあったのかな・・・ぼくは目の前の
ご主人様に言う。
 「ご主人様・・・早くカゼ治してくださいね・・・でも良かった、ミルフィ姫が3人とも
看病してくれるって言ってくれて・・・」
 「ごほ・・・げほっ・・・お前、行ったらだめにゃあ・・・わたしを見捨てたらダメにゃあ・・・」
 気弱なご主人様、少しカワイイかも・・・でも、なんか後ろのミルフィ姫をチラチラ
気にしてる。
 「すみません・・・年末は抜けられないバイトがあって・・・松の内は物入りだし・・・
でもリナさまもユナ様も一緒なら寂しくないでしょ」
112『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:50 ID:9aVWCXBY
 と、言うと両隣に寝かされているリナ様とユナ様が口々に言う。
 「待て・・・今、行ってしまったら・・・ゴホン、ゲフン・・・」
 「だ、だめですの――っ!! このおっぱい星人を信用しちゃ・・・ゼハ、ゼハァ・・・」
 ぼくは安心させるように言ってあげる。
 「だいじょうぶですよ!! なるべく早く帰ってきますから、ねっ・・・あっ!! もう
こんな時間・・・それじゃあいってきま――す!! 」
 ぼくはミルフィ姫に目礼して部屋から出る。気のせいかべたべたしてるソラヤくんと
ぼくを見る目つきが少し怖いような・・・まさか昨日のコト、ばれてないよね・・・

 そうしてミルフィは三姉妹の寝ているベットの前に仁王立ちする。
 「ふふ・・・ジャマ者は行きました・・・まあ、あの召使いはソラヤが泣いて頼むから
許してあげるわ」
 「ありがとうございますご主人様・・・」
 かしこまるソラヤ。お兄さまがいなくなれば、すっかりソラヤも『可愛い弟モード』
から『有能召使いモード』である。
 そうしてミルフィは『ギンッ!! 』と不届き者達を睨みつける。あたふた、もぞもぞ
蠢く三姉妹達。ミルフィは言う。
 「ふふ・・・ちゃんと治療はいたしますわ、あなたの召使いと約束してしまいました
もの・・・」
 安堵するマナ。
113『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:53 ID:9aVWCXBY
 「にゃふ・・・さすがミルフィにゃあ・・・昼ゴハンは『猫兆』の重箱がいいにゃ」
 ずうずうしいにも程があるセリフにミルフィのこめかみにビシビシ青筋が浮く。
ソラヤはなんでこのマナ姫のことになると自分のご主人様がいとも簡単に暴走して
しまうのか判らない。先日の雨の日のダウンタウンとは大違いだ。
 「ソラヤ、治療の準備を・・・」
 「はい・・・」
 ソラヤは3人の布団をひっぺがすとその下は3人供全裸で拘束されている。お返しと
ばかりに約二名はぱつんぱつんの刑である・・・
 そうしてもったいぶってミルフィは薬箱から薬を取り出した。
 「ふふ・・・さてお薬の時間ですわ・・・『フェリシア製薬ジクロフェナクティーム剤』」
 「ぶっ!! 」
 思わず吹き出すマナ。
 『・・・?』
 きょとんとしてるリナ。
 「そ、それ、もしかして、もしかしてですの・・・」
 青ざめてユナが問うとミルフィが高らかに笑って言う。
 「ふふ・・・もしかしなくても『座薬』ですわ!! ・・・ソラヤ手袋を・・・台所の皿洗い
用ので結構ですわ・・・マナには特に早く治って欲しいから10個は入れませんと・・・」
 「10個は致死量にゃ――っ!! 」
 「薬は用法、用量を厳守ですの――っ!! 」
 「にゃ――っ!! なんでこうにゃるの――って言う人物がちがうにゃ――っ・・・」
 『ずぶずぶ』
「・・・ゔに゙ゃ―――――っ!! 」
 シュバルツカッツェ城に今年最後のマナの悲鳴が響き渡るのでありました。
114『こっちをむいてよ!! ご主人様9』sage04/01/03 14:57 ID:9aVWCXBY
    (・・・おしまい)
 

 ありがとうございました。
 ショタ苦手な方もお付き合いいただいて申し訳ありません。

 『6』で書いたときの二人のぎこちなさを、この『9』では少しなくして
書くようにしてみました・・・『6』もよろしく・・・
115名無しさん@ピンキーsage04/01/03 15:01 ID:c56V8ErY
リアルタイムキタ――(゚∀゚)――!!
もうすばらしすぎて涙が
すばらしいお年玉をありがとーーーーーーー
116『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:15 ID:9aVWCXBY
 リアルタイムの方がいるようなので、もうひとつ。

 大晦日用に書いたやつです。年末から正月にかけての規制でうpできなかった
SSです。ほんとに最後の最後に歯軋りしてしまいました。

 それでは、大晦日のつもりで読んであげてください・・・
117『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:19 ID:9aVWCXBY
 『こっちをむいてよ!! ご主人様10』

 大晦日のシュバルツカッツェ城はシンと静まり返っている。ほとんどのネコ姫が
父親のいる実家に帰省しているからだ。妹のユナも薬局の店員の家族を引き連れて
南方へ避寒社員旅行に行ってしまった。リナも何が楽しいのか、『寒稽古』と言う
名目で城下の道場に泊り込んでいる、あれで年明けには道場の卒業生が挨拶に長蛇の
列をつくるらしい。
 わたしはと言えば、じっと冷たい静けさに耐えつつ、ベットの中で丸まって
過ごすのが例年の通過儀礼だったが今年は違う。
 
 「んっ、はあっ・・・ご主人さま・・・んっ、んっ・・・」
 今年から雇った、少年の香りの残る表情の召使いがわたしのみっちりとしたカラダに
真っ直ぐな欲望を激しく叩きつける。猛った召使いのモノがわたしを激しく甘美に
貫く。ちょうど腕立て伏せのような体勢なので、あごを滴った汗がゆっくりと
パタンパタンとわたしに落ちてくる。不快ではない・・・わたしを気持ち良くさせようと
一生懸命の召使いが何故かいとおしくてその全てを受け入れたくなる。
 「もっと、もっとえぐるにゃ・・・んっ、にゃふ・・・」
 わたしは足で挟みつけるように『ぎゅっ』と召使いのしなやかな腰に両足を巻き
つけて催促する。キモチいい角度とテンポをその足で『くっ、くっ』と軽く押して
誘導する。また絶頂が近づいてくる、今日だけで朝から何回セックスしたのかもう
解からないほど。召使いが泣きそうな声で言う。
 「うああっ!! ご主人様っ、ぼく・・・ぼくもう・・・」
 「いいにゃよ・・・タップリ出すにゃ、わたしも、わたしも・・・
おっきいのキそうにゃ――っ!! 」
118名無しさん@ピンキーsage04/01/03 15:19 ID:c56V8ErY
続けてクル――(゚∀゚)――!!
119『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:20 ID:9aVWCXBY
 『ビクビクッ!! 』
 召使いのお尻の上に巻き付けていたわたしのふくらはぎがシャセイ寸前の腰の痙攣を
拾う。そして華奢なカラダに似合わにゃいほどの大きなペニスのカリが弾けるみたいに
『ぶわっ』と広がって・・・あ、熱いにゃ!! ・・・
 「に゙ゃあああああっ!! イク、イク、イクにゃあああああああっ!! 」
 「ご主人様――っ!! 」
 召使いはシャセイしにゃがらもすごい勢いで腰を使う。『どぴゅどぴゅ』を感じつつ
挿入される快感といい。イッた後の敏感な亀頭を無理やりコスりつつピストンする
召使いのイキ顔が死ぬほどわたしを興奮させる。
 「んっ、にゃふ・・・はにゃん、上手だったにゃ・・・」
 ガクガクと手で体を支えきれなくなった召使いが、かぶさって来る。わたしはその
召使いの汗ばんだ背中を『よしよし』して言う。召使いは呟くように言う。声まで
弛緩して震えているみたいに聞こえた。
 「ごしゅじんさまぁ・・・」
 わたしもカラダ中を『ガクガク』『ヒクヒク』と痙攣させて、凄まじいオルガズムを
堪能する。始めはこんにゃにカラダの相性が合うとは思わなかったにゃ・・・わたしの
秘肉は一滴でも多く召使いの白濁を搾り取ろうと無意識にいつまでも蠢いていた・・・


 『ふにゅふにゅ・・・』
 召使いがわたしの胸に嬉しそうに頬ずりしてる・・・母親が幼いときに離婚した所為か、
ずいぶんと母性的なものに甘える傾向がある。男にゃら、腕枕するぐらいの甲斐性を
持っていいと思うのにゃが・・・
120118sage04/01/03 15:21 ID:c56V8ErY
マジでごめん
_| ̄|○||
121『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:22 ID:9aVWCXBY
 「ご主人様・・・来年は今年よりもいい一年になるといいですね・・・」
 他愛もない会話。
 「いいって何にゃ?全ての実験に成功することきゃ?それとも借金の全額返済きゃ?」
 からかうわたし。今が一番いいにゃあ・・・寂しくにゃいのがいいにゃあ・・・
 「違いますよう、今年よりも王位継承順位を上げて、いずれ女王様になる事ですよう」
 わたしは眉をしかめる。
 「そんにゃもの・・・なってどうするにゃ・・・このままでも十分にゃ・・・」
 たっぷりとアソコに撃ち込まれてしまった胎内の白濁を意識して囁くように言う。
 「ぼく・・・ご主人様のこと心配で・・・女王陛下になれば一人でもだいじょうぶ・・・
そしたらぼくは元の世界に帰ります・・・いや、城下で料理屋でも開こうかな・・・」
 下を向いていう召使い。表情はわからない。わたしに怒りにも似たもどかしさが
わき起こる。声が震えた。
 「わ、わたしに不満があるのきゃ・・・!? 」
 がばっと身を起こして召使いが慌てて言う。
 「そんなんじゃありません!! でも、あと15年も経ったらぼくオジサンです!!
でもご主人様は今の姿のままなんですよ・・・そ、それにご主人様の結婚相手だって・・・」
 悲しそうに言う召使い。わたしは笑い飛ばす。
 「にゃに言うにゃ!! だいじょうぶにゃ、わたしはお前を見捨てたりしにゃいにゃあ!! 」
 「・・・・・・」
 悲しそうに首を振る召使い。わたしは逆上してしまう。おもちゃを取り上げられた
子供のように・・・
 「うるさいにゃ!! わたしは来年も、そのまた来年も絶対、いつまでも30番にゃっ!!
もう、もう・・・お前にゃんてしらんにゃ――っ!! 」
 わたしは押し留める召使いを突き飛ばして服を身に付けると城の外へ飛び出した・・・

122『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:25 ID:9aVWCXBY
 

 大晦日の夜。人気のない街をメチャクチャに走り、息が上がり立ち止まれば目の前に
赤提灯。冷たい空気を吸った鼻がジンジン痛い。わたしはムスッとして扉を開けた。
客は一人もいない。古びた懐かしい造り。木製の部分の木肌は、飴色に鈍く光ってる。
暖かなおでんの湯気がわたしをほっとさせた。なぜか召使いの作るおでんと同じ匂いが
して涙ぐみそうになる。『どさっ』粗末なイスに投げ出すように座った。
 「へい、らっしゃい」
 「大晦日に営業きゃ?」
 「へへっ、ウチの師匠がね『酒飲みに休みはねえ』ってんで、ウチの休みは正月のみ
なんでさぁ・・・何を?」
 「酒!! 、酒にゃあ!! 」
 「あいよ」
 白衣を着た店主が詮索好きでなくホッとする。人肌の日本酒をコップで次々と
空けていくわたし。姿勢が前のめりになり、しだいに頬がカウンターにくっつきかけ
てくる。それでもわたしが『トン』とコップを置くと店主はなみなみと酒を満たす。
そして酒を入れた分だけ言葉がこぼれていく。
 
 「暗い川にゃ・・・」
 「川ですかい・・・?」
 「その川を勢いよく舟が流れてくるにゃ・・・でもわたしは中州にいるにゃ・・・」
 『シャ――シャ――』店主の包丁を研ぐ静かな音がいい感じに古びた店内に響く。
 「わたしが舟に飛び乗れば沈んでしまうにゃ・・・でもすごい速さで流れていく・・・」
 吐く息はほとんどアルコールのよう。でも店主の言葉が意識を引き戻す。
 「そして中洲に無理に引き上げれば舟は壊れてしまう・・・ですかい?・・・」
 「・・・!? 」
 わたしは店主を凝視してしまう。
 「へへ・・・もう400年もやってますとね、同じことを言う姫様が時々来るんでさあ」
 店主は薄目で睨むようにして研いだ包丁を目元に持ってきて確認しながら言う。
123『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:28 ID:9aVWCXBY
 しかし、小奇麗な服装をしていないのによく姫様なのがわかったものだ・・・わたしは
なにか良い言葉を聞けるのでは、と耳をすます。
 「いい考えなんて、待っても出てきませんぜ、ネコの寿命は650年、ヒトは80年、
あんたは今、普通のネコの8倍、濃く生きてる・・・でも姫様の大事なヤツは8倍苦しんでる
かもしれねえ、8倍不安かもしれねえ・・・」
 「だ、だからわたしは、心配するにゃって!! 絶対見捨てにゃいって!! 」
 ダン、ダン!! とコップをカウンターに叩きつけるわたし。またなみなみと透明な
酒が注がれた。
 「それは姫様がその『時の川』の中州に立ったまま見ているからじゃねえですかい?
走ってあげなせえよ、中州のある限り、舟と同じ速さで・・・」
 「そ、それは・・・あうう・・・むにゃ・・・」
 くらり、と一瞬意識が遠くなる。
 「おっと・・・ツケでいいですから今のうちに一筆入れといてくだせえよ」
 大黒帳を取り出す店主。わたしは振り払うようにしてロクに見もせずに帳面に
『マナ』とでかでかとサインをする・・・前のページのサインは『フローラ・・・』そんな
ばかな・・・確認しようとしてその寸前、意識がすっと落ちた。


 体が浮く感じ。ふわふわふわ・・・心地良い・・・
 『にゃふ・・・舟に乗っているみたい・・・にゃ?・・・』
 「ふんふふんふん――ん、ふんふんふふーふふん・・・」
 小さなハミングの声。『第9』ってやつにゃ・・・そうにゃ・・・わたしの召使いは
カラオケ下手のくせにハミングだけは上手で、よくわたしはテレビを見ているフリを
して台所に立つ召使いのハミングをよく聞いていたっけ・・・えっ!! 召使い・・・
 わたしは周りをそっと見渡す。わたしは召使いの背中の上にいた。舟に乗っている
感覚はおんぶされていたからだ・・・でも、言うべき言葉が見つからなくて、気まずい
まま無言でまわりを見る。わたしを包むように召使いの上着がかけられている。
 そしてお城の手前の寺院街に入るところだった・・・

124『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:30 ID:9aVWCXBY
 『・・・・・・』
 視界がにじみそうになって、ぎゅっとガマンする。ハミングが止まった。
泣きそうな声。
 「起きました?・・・」
 「・・・・・・」
 「・・・噴水のベンチで寝てました、凍って死んじゃうトコロだったんですよ・・・」
 『えっ・・・!? 』
 口元に手をかざすが全然酒臭くない・・・
 「すみません・・・ぼく、さっきひどいコト言っちゃって・・・」
 反省してる召使い。次はわたしが謝って丸く治めるべきであろう・・・今すぐに・・・
スマートに・・・さりげなく・・・言葉が出てこにゃい・・・召使いの背中があったかい・・・
 「にゃ・・・う、にゃふ・・・にゃにゃ・・・こ、このたびは・・・にゃ・・・」
 素直な言葉が出てこない、このときばかりは日頃の素行を猛省してしまうわたし。
困って上を見れば二つの月が冴え冴えとわたしと召使いの二人だけを照らしている。
笑っているのかも・・・
 『にゃううううう・・・』
 歯ぎしりして月を見るわたし。その時、無数の寺院の鐘楼に人の気配がした。
 
 召使いが言う。叫んだような、囁いたような・・・
125『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:31 ID:9aVWCXBY


 「こっちをむいてよ!! ご主人様」

126『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:33 ID:9aVWCXBY
 月から召使いの耳元に顔を寄せるわたし。
 「なんにゃ?・・・んっ・・・」
 『カ――ン、コ――ン、リ――ン、ゴ――ン、カンカンカン、ゴ――ン、
ぼわ〜ん!!!!!!』
 無差別に隣接している、様々な宗教の鐘楼から、鐘突き堂から、一斉に年越しの
鐘が打ち鳴らされたのと召使いがわたしにキスしたのは同時。
 「・・・・・・・・・」
 凄まじい音は召使いの唇の感触にかき消される。そして・・・鐘の鳴る間中・・・
わたし達は・・・
 『ゴ――ン、――ン、―ン・・・』鐘の音が木霊とともについに静止する。異様に
静かに感じる・・・もっと、このままずっと鳴ってればいいのに・・・

 「ん・・・んっ・・・明けましておめでとうございます、ご主人様・・・2年間キスしちゃい
ましたね・・・」
 なんて、のん気に微笑む召使い。
 不覚にもわたしは思わず『カアッ』と耳の内側まで赤くなってしまったので、
慌てて両手で召使いの頭を挟んで『ごきっ』と前を向かせる。
 「バ、バカップルみたいにゃこと言うにゃっ!! そんなこと言う暇があったら
走れにゃっ!! わたしはトイレしたくなったにゃ!! もう限界かもにゃっ!! 」
 「ええっ!? ウソッ・・・そこの路地裏・・・」
 『ぼかっ!! 』
 「いたいよう・・・わかりましたよぅ・・・」
 走る召使い。召使いの吐いた白い息はたちまち後方に置いていかれる。わたしの
頬も風を切る。黒いポニーテールがたなびく。

 「そうにゃ・・・今は一緒に同じ速度にゃ・・・ 」

 二人は意味にならない歓声を上げながらお城への道を駆け上がる。新しい年に向かって・・・

     (こっちをむいてよ!! ご主人様 終わり)
                   ・・・長い間ありがとうございました。
127名無しさん@ピンキーsage04/01/03 15:37 ID:c56V8ErY
118と120でマジすみませぬ
そして乙!!
最後は感動させていただきますた
酒屋の親父・・・あんたいったい何者だ?
128『こっちをむいてよ!! ご主人様10』sage04/01/03 15:40 ID:9aVWCXBY
 ・・・というわけで『10』も書かせてもらった『こちむい』もこれで最終回。
 今までありがとうございました。
  
 なるべく早めに、今度は違う題名で新キャラを盛り込んだ、新シリーズを必ず
書きますのでそのときは宜しく・・・どんな題名にしようかな・・・

 狐耳の中の人も是非がんばってください。名前は私も人に頼るぐらいなので
お力になれませんが・・・作品でジョイントできるといいですね。

 いい忘れてた・・・
 このスレの全てのみなさまに 『あけおめ!!』
129名無しさん@ピンキーsage04/01/03 16:06 ID:Lx1gajmJ
長い間お疲れさまでした。
次作も期待しています。
今年もよろしくおねがいしますね。
130名無しさん@ピンキーsage04/01/03 18:40 ID:0Rq4OS/U
す、すばらしすぎる!
ちょっと遅いですが、あけおめ!です。
今年もこのスレと神に末永く感謝……
131名無しさん@ピンキーsage04/01/03 19:35 ID:pUG+7pnH
ちょっと切なくて、とても愛しくて、すごく暖かいお年玉、本当にありがとうございました。

…願わくば、二人が一緒に同じ速度で歩み続ける道程が最後まで幸せに
   そして、今年も沢山いいことがこのスレに集う皆様の元に訪れますように…。
132名無しさん@ピンキーsage04/01/03 19:59 ID:7+9LBTfY
やっべ
正月早々感動しちまったyo
てかコレでこちむいが終わりなんて勿体無いことありゃしねェ!!
133名無しさん@ピンキーsage04/01/04 01:33 ID:Keo3fd9h
最終回というか…
いうなれば第一部が終わったということですか?
134狐耳を書こうとしている者sage04/01/04 03:27 ID:o3s4ewKW
第1部か、思わず納得
そして118と120は俺だったのだ、マジですみませぬ
即レスするんじゃなくて投下し終わってからレスすべきだと気がついたのは送信押した後
同じ過ちは二度としないぞ、と誓いつつ

名前について
95氏と98氏のレスで妹姫以外はケテーイ
姫=天藍
巫女長=翡翠
主人公=菫青
でいきます
柘榴ってどうも響きがね、しっくりこないというか・・・
俺の感じだと
藍晶、藍玉、藤雲、翠緑、珊瑚あたりかな
この辺から選んでほしいかも
そしてタイトルが良いの思いつかない
名前といいタイトルといいこういうの本当に苦手だな、俺・・・
さすがにタイトルは自分で決めるさ
135名無しさん@ピンキーsage04/01/04 04:57 ID:cCcqvKRr
>>126
いきなり最終回なんてあったんで滅茶苦茶焦りました。
新シリーズ待っておりまする。


>>134
語感と色で選ぶと「珊瑚」、姉との対応とか字面で選ぶと「藍晶」かな。
紅い石で和名を持っているのって思いの外少ないんだよな。

ちょっと宝石という程の石じゃないけれど「紅簾(石)“こうれん(せき)”」とか、さらにエントリーしてみる。
宝石未満ってのがかえってロリキャラってのにちょうどいい気もする、と自推してみる。
136名無しさん@ピンキーsage04/01/04 08:41 ID:ozcubm23
新シリーズでは三姉妹は登場するのでせうか
あの三姉妹かなり好きなんだが…
13795=98sage04/01/04 13:06 ID:CtK/ybHs
>>134
すみません…。両方とも自分が書きました。
3人ものキャラクターの名付けをさせて頂けて光栄です!

>>135
>紅簾(石)“こうれん(せき)”
響きもお嬢様っぽくて良いし、字面も可愛いですね。


138狐耳を書こうとしている者sage04/01/04 17:44 ID:bBKJB3Kx
>>135,137
紅簾・・・ソレダ(・∀・)!!
これで今のところの全キャラの名前がケテーイしたわけで
後はただ書くのみ
明日中には厳しいな・・・
139名無しさん@ピンキーsage04/01/05 23:32 ID:/QhOKI0h
保守
140名無しさん@ピンキーsage04/01/08 08:51 ID:mL2gz8gK
ほしゅ
141名無しさん@ピンキー04/01/08 17:37 ID:Z29VRdrc

142名無しさん@ピンキーsage04/01/08 18:14 ID:SN1Gp0hC
ageないでよ
143名無しさん@ピンキーsage04/01/08 19:37 ID:6viI9mUa
こちむいが終わったら急に人いなくなった
144狐耳を書こうとしている者sage04/01/08 20:16 ID:xRymwDgv
すまないが風邪引いたためしばらく待ってください
145名無しさん@ピンキーsage04/01/08 21:04 ID:oOIdTTl+
たちの悪いのが流行っているらしいからお大事に。
146名無しさん@ピンキーsage04/01/09 17:08 ID:qVBVmzCv
保守
147名無しさん@ピンキーsage04/01/11 09:43 ID:QPCxs/zb
保守します
148名無しさん@ピンキーsage04/01/12 01:08 ID:BDhwUe+1
ウサ耳もクレ
149名無しさん@ピンキーsage04/01/12 11:59 ID:Q4+Oa01Q
も前ら保守ばっかしてんじゃねーyo!




漏れも保守
150名無しさん@ピンキーsage04/01/12 13:08 ID:BVuU6jdW
ウサ耳いいね〜。
「こちむい」は女性上位だったけど、
ウサ耳だったら受け身っぽいイメージ。
でもって犬耳だと、相手を追いかけ回すとか…
151SS保管人sage04/01/13 18:37 ID:AvPDstXb
2chエロパロ板SS保管庫
http://adult.csx.jp/~database/index.html

遅くなってしまいましたが収蔵作業が完了しました。
「オリジナル・シチュエーションの部屋」へどうぞ。
152名無しさん@ピンキーsage04/01/13 19:56 ID:Qx9KRMmw
ご苦労さまです。
153『新こちむい』sage04/01/14 10:21 ID:X5OdxgU7
保管庫見ました。結構かんどーしたりして。
 初期の目標が『500レスオーバー』と『保管庫に収納』だったし・・・

 管理人さんもご苦労様でした。
 ちゃんと『レナ』→『リナ』に名前、直ってたりして・・・

 なんか沸々と微妙なヤル気が湧いてきました。
 落としかけSSにけりをつけたら来週ぐらいに
 新シリーズで再開しませう・・・
154名無しさん@ピンキーsage04/01/16 01:19 ID:Le9MNhDf
保守
155名無しさん@ピンキーsage04/01/17 22:49 ID:4stDmbN2
ほしゅ
156『あのコがほしい』@801sage04/01/18 12:31 ID:AAab1tGd
 
 そして数十分が経過した・・・
 もう布団を蹴っ飛ばしてブリッジしながら激しくペニスをしごき立てる体操着姿の
鳴神。その表情は快楽ではなく、焦燥と苦悶で塗り固められている。
 「ふうっ、ひくぅ・・・そんな、イケないっ!! こんなにしごいてるのに、ビキビキ
なのに全然イケないよ――っ!! 」
 半べそで、必死でオナニーする鳴神。イケナイとは思いつつも片手でクリクリと
乳首まで愛撫してもいる。でも、すごく気持ち良いのにイケないという感覚が鳴神を
狂わせていく。
 「あ、ああっ!! ・・・うあ・・・」
 鳴神の目が驚愕に見開かれる。ドアも開けず鳴神のベットの横に、いつの間にか
にじむように現われたのはフレイ。
 「どうしたのだトール?・・・フレイでしかイケないカラダになってしまったのか?」
 余裕たっぷりのフレイ。
 「ひっ、あっ!! ・・・うあ・・・」
 ガクガクと飛び起きた鳴神はもう思考することを放棄して、慌ててフレイに近寄ろう
とする。慌てているせいと、ギリギリの絶頂寸前の快感に腰が抜けてしまって無様に
ベットから転がり落ちる。ひざでいざり寄り鳴神はフレイに縋りつく。もう目は正気を
失っているよう・・・
 「フ、フレイさまぁ・・・イ、イカせてくだ・・・さい・・・」
 「もうトールはこの数日でコレでしかイケないカラダになってしまったのだな・・・」
 見せつけるように、ズボンの前のふくらんだ下腹部を軽く突き出すフレイ。
 「そ、そうです!! コレで、コレで・・・」
 フレイの腰を抱きしめて脈打つふくらみに頬ずりする鳴神。そうなのだ・・・コレで
毎日のように何度も何度もイカされてきたのだ。安堵と期待で鳴神は溜息をつく。
慌ただしくフレイのベルトのバックルを外す鳴神。
 『ガッ!! 』
 しかし、いきなりフレイに仰向けに蹴り倒されてしまう。
 「うあ・・・ど、どうして?」
 涙をこぼして鳴神が抗議する。フレイはニッコリと笑って言う。
 「トール・・・口でしろ、手を使わずにね・・・」
157『あのコがほしい』@801sage04/01/18 12:55 ID:AAab1tGd
誤爆・・・
158名無しさん@ピンキーsage04/01/18 13:32 ID:m87BAWVe
禿藁w
159名無しさん@ピンキーsage04/01/18 21:21 ID:1Ro8FQBS
801かyo!
160名無しさん@ピンキーsage04/01/20 00:59 ID:yM3o0WrO
保守
161名無しさん@ピンキーsage04/01/23 01:16 ID:5c/pPRdC
hoshu
162名無しさん@ピンキーsage04/01/26 00:12 ID:x0XyR+I5
ほす
163名無しさん@ピンキーsage04/01/28 18:50 ID:SfviSk3C
イメージ画を描いてみるも、そもそも絵師ではない為惨敗的保守(泣
164名無しさん@ピンキーsage04/01/28 19:24 ID:BOeebTxr
>>163
羞恥プレイはお好きですか?
露出調教に興味はありませんか?
165名無しさん@ピンキーsage04/01/30 04:00 ID:wuTIKqKM
捕手ーー
限りなく待ってみる…
166名無しさん@ピンキーsage04/01/31 00:56 ID:ixh1UzXu
>>164
163ではないが…要するに晒せとw
167名無しさん@ピンキーsage04/02/01 09:51 ID:eee2W3nV
このままココでまた〜りと猫耳神様&狐耳神様の
『バレンタインプレゼント』を期待しつつ、保守ってみる。
168名無しさん@ピンキーsage04/02/01 11:26 ID:ckPNI8fT
もうすぐ一周年?
169名無しさん@ピンキーsage04/02/02 21:19 ID:F5MgRqD2
しかし保守長いなー
170名無しさん@ピンキーsage04/02/05 01:51 ID:Y4v1KVm5
保守
信じる者はすくわれる
171名無しさん@ピンキーsage04/02/05 09:39 ID:6/43oGow
>>170
 『足元を』か?
172名無しさん@ピンキーsage04/02/05 20:29 ID:AouMwrds
ワロタ

まあ、期待してゆっくり待とうよ

中の人たちも産みの苦しみはつらいかもしれないけどがんばれ〜っ
173名無しさん@ピンキーsage04/02/07 13:14 ID:Up26v9NA
ここは創作系ですか?
174名無しさん@ピンキーsage04/02/07 19:22 ID:Z/oXN8bH
Yes
175名無しさん@ピンキーsage04/02/08 13:30 ID:or52ICor
漏れも書いていいすか?
猫じゃないかもしんないけど
176名無しさん@ピンキーsage04/02/08 21:38 ID:/E5b45hR
>>175
誰しか書けないという決まりは無かったからいいんでね?
今、やってる世界感にクロスするのか
それともまったくオリジナルでやるのかをまず宣言して置いた方が
あとあと問題になりにくいと思われ
177名無しさん@ピンキーsage04/02/09 07:57 ID:j2yMFFvf
最初は今やってるのと関係ない絵とかも出てたしね
178名無しさん@ピンキーsage04/02/10 05:14 ID:j9LLbHuV
良スレハケーン。
前スレから全部読んでたらこんな時間になっちまった。
い、いいなぁおい。

「こちむい」、1話1話萌え死にながら読ませて頂きましたよ。
個人的には5の純なマナと8のキワマるユナに/ \ァ/ \ァ(´Д`*)
リアルタイムで見たかった… もっと早く気付いてれば_| ̄|○
179名無しさん@ピンキーsage04/02/11 21:45 ID:2C0lf0dC
ほっしゅ
180名無しさん@ピンキーsage04/02/11 21:59 ID:2C0lf0dC
あ、アクセス規制外れてる……

こちむいの世界観をお借りした「イヌの国」編の構想があるので、
駄文ですがよろしければ保守代わりに書かせて頂こうかと思ってます。
なにぶん筆が遅いもので、書いてるうちにまた規制がかからないか心配ですが……
期待せずにお待ちください。
181名無しさん@ピンキーsage04/02/11 23:59 ID:BwoNjF/U
>>180
お待ちしております〜
がんばってください〜
182名無しさん@ピンキーsage04/02/12 22:54 ID:/YOWUes3
>>180
まったり待ってますので宜しく
183名無しさん@ピンキーsage04/02/15 13:41 ID:hLQ3LFFo
再びにぎやかになると信じて保守。
 暇なのでとりあえず「こちむい」1から10まで一気読み。
 8からネタが突き抜け始めてるような気がするなあ・・・
 
 初期の頃は感想レスが2つだけなのに連載が続いてる・・・
 SSに輪をかけて初期読者も神に近いと思うよ。
184名無しさん@ピンキーsage04/02/18 01:26 ID:/9alUgVn
hosyu
185名無しさん@ピンキーsage04/02/21 00:49 ID:wOYrZGHN
初期の頃あたりは黙々とSSを上げ続けたな。作者殿は。
気づく人も少なかった。
スレ立て当時は香具師の気まぐれだったかもしれないが、
守るべきところをしっかり守って、一つのSSで2スレ目という
偉業を成し遂げたのがこのスレという感がある。



どうでもいいけど最盛期にも関わらずひたすら最下層を維持し続けたのにはワラタ
186名無しさん@ピンキー04/02/21 00:54 ID:Hoc15VGW
こち向いさんかむばっく
187名無しさん@ピンキーsage04/02/21 02:57 ID:CEkXIWKK
>>186
ゆっくり待ちましょうや。
188180sage04/02/24 17:18 ID:rzjhNwWS
 えーと、一応「イヌの国」編、一話書き上げたのですが……
 懸念していた通りまたアクセス規制されました。
 せっかく書いた物をなしにするのは勿体ないので(貧乏性)、今からひとんちのPCを借りて投稿します。
189IBYDsage04/02/24 17:19 ID:rzjhNwWS
 せっかくの料理をこぼさないよう慎重に、でもできるだけ急いで僕は歩く。
 長い長い廊下のちょうど真ん中あたり、大きな扉をノックすると、中からご主人様の穏やかな声が聞こえた。
 よかった。今日は読書中じゃなかったみたいだ。
 僕のご主人様はとても読書好きで、本の内容に没頭しはじめると何も聞こえなくなってしまう。
 そうなると手が痛くなるくらいノックを繰り返さないと気付いてもらえない。
 今日はそうならなくてよかった、と思いながら僕はドアを開けた。
 少し甘い、どこか懐かしいような匂いが鼻をくすぐる。
 ご主人様は夕焼けが差し込んでくる窓の前で椅子に腰かけていた。
 その奇麗な長い髪も、ふかふかした毛並みの垂れた耳も、眼鏡をかけた優しい横顔も、今はみんなオレンジ色で上書きされている。
 何もかも忘れて見とれてしまいそうになったけど、僕はなんとか自分の仕事を思い出すことができた。
「お食事をお持ちしました、ご主人様」
「ありがとう、ぽち」
 僕はこちらの世界に落ちてきたときに自分自身に関する記憶をなくしてしまった。
 自分の名前もわからない僕に、ご主人様が新しくつけてくれた名前が「ぽち」。
 なんでもポチョなんとかっていう、イヌの国の歴史にある伝説的な英雄から取ったらしいんだけど
 僕からするとどうしても犬っぽく聞こえてしまうというか……いや確かにここはイヌの国なんだけど僕はヒトであって……
「ぽち? どうかした?」
 僕の様子を不思議がって、ご主人様が声をかけてくる。
「あ、い、いえ。なんでもないです」
「そう……?」
 こんなことでご主人様に心配をかけるわけにはいかない。
 犬っぽかろうとなんだろうと、ご主人様がつけてくれた名前なんだから大事にしなくちゃ。
190IBYDsage04/02/24 17:20 ID:rzjhNwWS
「そ、それよりどうぞ、召し上がってください。冷めちゃいますよ」
 半分ごまかすように僕が言うと、ご主人様は少し考えるようなそぶりを見せた。
「――ごめんなさい、今はいい。後で食べるから置いておいて」
 え……また?
「あの、ご主人様……差し出がましいかもしれませんけど、お体の調子が悪いようならお医者様を呼びましょうか?」
 最近、ご主人様はずっとこんな調子で元気がない。
 面白い本に熱中して、読み終わるまで寝食を忘れたりすることは何度かあったから、今回も同じだと思っていたんだけど……
 いくらなんでもここのところずっとというのは長すぎるし、第一それならいま本を手にしていないのはおかしい。
「体調が悪い……わけじゃない、と思うけど……」
 なんだか歯切れがよくないご主人様の言葉。
「でも、もし何かの病気だったりしたら大変です。念のため診てもらった方が――」
「いやっ!」
 いつも落ち着いているご主人様の、めったにない上ずった声に、僕は思わずすくみ上がった。
「あ……」
 自分の声のトーンに自分で驚いて、ご主人様は口元に手をやる。
「……ごめんなさい。だけどね、本当に病気とか、そういうのじゃないの」
「じゃあ……」
 もう一つの心当たりを口にしかけて、飲み込む。これはヒト召使いの僕なんかが口を挟んでいいことじゃない。
 でも――
「じゃあ……サリクス様とのこと、ですか?」
 ご主人様は何も言わない。
 だけど、違うとも言わないということは、まったくの見当外れでもないのかな……
191IBYDsage04/02/24 17:21 ID:rzjhNwWS
 サリクス様――サリクス右将軍は、今この国でもっとも発言力を持っているイヌと言っていいと思う。
 詳しい経歴は知らないけど、北伐で大きな功績を挙げて将軍位にまで昇った方で……
 さらに先日、王様が病に伏せっているのをいいことに独断でネコの国を攻め落とそうとした兄・レガード左将軍を止めたことによって
 まもなくイヌの国の歴史上でも数えるほどしか存在しない左右将軍兼任――大将軍の地位を与えられるだろうと噂されている。
 ……そして、大将軍就任と同時に僕のご主人様……イリア姫様と婚礼を上げるだろう、とも。
 王様が重病で、いつお隠れになるかわからない今、一刻も早く次期国王を決める必要がある。
 だけど現在この国で王位継承権を持っているのはご主人様だけ。
 それなら一番実力のあるオスをご主人様に婿入りさせて、そのオスを次の国王とすればいい、と誰かが言い出した。
 そして、今この国でもっとも発言力を持っているのは……

「ぽち」
 僕と同じようにしばらく黙り込んでいたご主人様が、ふいに口を開いた。
「……ぽちは、私の味方?」
 答えは最初からわかりきってる。
「はい」
「……何があっても?」
「はい」
 ご主人様が僕を拾ってくれたときから決めていた。
「――ありがとう」
 夕焼け色のご主人様が柔らかく笑う。ご主人様には笑顔が似合うと思う。
「それじゃあ、私のお願い……聞いてくれる?」
192IBYDsage04/02/24 17:22 ID:rzjhNwWS
 足音を立てないよう慎重に、でもできるだけ急いで僕は歩く。
 長い長い廊下はすでに明かりが落ちていて、ただしーんと静まり返っている。
 あれからずっと、僕の頭の中ではご主人様のお願いごとがぐるぐる回っていた。
『今夜、見つからないように部屋に来て』
 これは、やっぱり、そういうこと……なんだろうか。
 こちらの世界では、力が弱くて子供ができる心配もない僕らヒトは、その……えっちなことをさせる奴隷として最適だと言われている。
 僕自身、最初はそういう目的で拾われたんだと思っていたし、そのための練習もした……というか、させられた、というか……
 だけどご主人様は今まで一度だって僕にそういう役割を求めたことはない。
 だからきっと、これは僕が勝手に勘違いしてるだけなんだろう。
 でも、夜に女の子の部屋に忍んで行くっていうのはどう考えても……
 ああ、もう!
 どうどう巡りを繰り返すだけなので、僕は悩むのをやめてただ足を動かすことにした。

 まず気付いたのは、ドアの隙間から漂ってくる香りの違いだった。
 ご主人様がふだん好んで使っている、くせのないアロマとは違う。
 いやな匂いというわけじゃない。ただ――いつもの香りは僕を落ち着かせてくれるのに、この香りは逆に僕を刺激するような感じ。
 その源、サイドテーブルに立てられたアロマキャンドルの炎だけを頼りに、暗い部屋の中を見渡す。
 ご主人様は僕に背中を向けるようにしてベッドの上にうつ伏していた。
(眠ってる……のかな?)
 僕がそう思った瞬間、
「んっ……!」
 噛み殺したような声と同時にご主人様の体がびくん!と跳ねた。
 その動きで光の当たり方が変わって、僕はやっと――ご主人様がパジャマを上しか着ていないことに気が付いた。
193IBYDsage04/02/24 17:23 ID:rzjhNwWS
 柔らかそうなお尻から僕の方に向けて伸びた二本の脚。その隙間を、ご主人様自身の指が這っている。
 あからさまに言うなら、ご主人様が女の子の部分を自分で慰めている。
「んー……んんっ」
 シーツか枕でも噛んでいるのだろうか、奇妙な響き方をするご主人様の声。
 ロウソクのぼんやりした光が太腿のあたりで反射してきらきらと輝いた。
 濡れて……るんだ。それもすごく。
 心臓が破裂しそうに高鳴る。僕は後ろ手にそっとドアを閉め、ふらふらとベッドに近付いていった。
 ほんの少し腰が浮いているせいで、しなやかな指が割れ目を撫でる様子がよく見える。
「ん……くぅ……」
 時折、おそるおそるといった感じで指をわずかに中に潜り込ませてはすぐに抜く。
 それだけの動作でもご主人様の気持ちいい液がとろり、と溢れ出してこぼれていく。
 弱い照明の中で目をこらして見てみれば、ご主人様のあそこの下にはそうしてできたシーツの染みが広がっていた。
「ふぁふ……ううん……」
 夢中で僕に気付いていないのか、それとも気付いていて見せつけようとしているのか――ご主人様はいっそう高くお尻を持ち上げる。
 つ……と上から下へ、秘裂をなぞるように指を滑らせていく。ゆらゆらと左右に揺れるしっぽがご主人様の快感を表していた。
「んあぅ!」
 指が秘裂の終点、ぷっくりと膨らんだ芽の部分にたどりつくと、ひときわ高い悲鳴と共にまた腰が跳ねた。
 裸の下半身を震わせながら、けれどご主人様はそこから指先を離そうとしない。何度も何度も快感の種を擦る。
「んっ! うあぅっ……あぅん!」
 何かに耐えるみたいにご主人様は体を弾ませる。さっきまでうつ伏せだったのに、今ではほとんど膝立ちの格好になっている。
 ご主人様の愛液がまた新たに一筋、二筋と太腿を伝っていく。その眺めから僕は目が離せない。
 そして、白い中指と親指が肉芽を摘み上げたとき――ご主人様の背中と脚としっぽがぴん、と伸びた。
「んぅっ……んああああああぅ!」
 突っ張った手足が、やがてゆっくりと脱力していき、くたりと折れる。
 豊かな金色の髪がせつな宙に広がり、それからご主人様がベッドに倒れ込む軽い音がした。
194IBYDsage04/02/24 17:23 ID:rzjhNwWS
 静まり返った部屋の中、はっ、はっ、という荒い呼吸音だけが聞こえる。
 それは快感の余韻に浸るご主人様のものだろうか。それとも僕のものだろうか。
 ご主人様の手がまた股間に潜り込んで、くちゅ、と必要以上に大きな水音を立てた。
 また始まるのかな……?と思わず僕は唾を飲み込む。
 けれど、実際にはそうはならなかった。
「ぽち……?」
 ご主人様が、肩越しに僕の方を振り返る。眼鏡はしていなかった。フィルターを取り払った澄んだ瞳に見つめられて僕は返事もできない。
「おいで……」
 ご主人様はいつものように優しい、でもいつものように優しいだけじゃない微笑みを浮かべて手招きする。
 その仕草には逆らえず、僕は靴を脱いで、手と膝で四つんばいになって大きなベッドに上がり込んだ。
 横に並ぶとご主人様の上気した頬、涙ぐんでいる目尻、それに……今までくわえていたらしい、よだれで濡れたシーツがわかった。
 いつも落ち着いているご主人様がこんなに乱れるなんて……
「遅いよぅ、ぽち」
 少しすねたように言って、ご主人様は僕の目の前に右手――さっきまでご主人様の秘部に触れていた手――をかざす。
 ご主人様の手は、指先からしずくが落ちそうなくらいびしょびしょに濡れていた。
「ぽちが来てくれないから、こんなにしちゃったよ……?」
 甘い声が僕を責める。ご主人様は右手をそのまま僕の唇にあてがった。違和感からつい顔を遠ざけそうになって、なんとか我慢する。
 口の中に指先が潜り込んでくる。もう遠ざけない。ご主人様の希望を汲み取って、僕は一生懸命濡れた中指を舐めた。
 これが、ご主人様の味……
「ふふふ、くすぐったい」
 ご主人様がくすくすと笑う。やがて指が引き抜かれると、今度は僕のよだれが糸を引いた。
195IBYDsage04/02/24 17:24 ID:rzjhNwWS
「ご主人様……」
 少しためらってから、僕は自由になった舌を動かす。
 ご主人様が僕を求めてくれるなら、それは嬉しい。だけど今夜のご主人様はなんだか――おかしい。
 だから、確認しておくことがある。
「お薬……発情抑制剤、飲み忘れたんですか?」
 僕の言葉に、ご主人様はそれまでのうっとりした表情を失って、目を伏せた。
「こんなときに聞くことじゃないのはわかってます、でも――」
 事故なら事故だとはっきりさせておきたい。勘違いしなくてすむように。
「違うの……」
 ご主人様はふるふると首を振った。
「でも……違わないのかもしれない」
「え――?」
 その言葉の意味がつかめなくて、僕は戸惑う。
「お薬はちゃんと飲んでる。ちゃんと飲んでるのに、それなのに……私の体、おかしいの……」
 するすると、ご主人様の右手がまた下がっていく。
「あんまりご飯が欲しくなくなって……本を読む気も起こらなくなって……その代わり、いやらしいことばかりしたくなって……」
 水音と共に、ご主人様が眉をひそめる。また指先であそこを弄り始めたらしい。
「何回、い……いっても、満足できなくて……んっ、オスを迎え入れないとっ、治まらないみたい……で……」
 ご主人様は目を閉じて一心にオナニーを続ける。
「これっ、まるで……はっ、発情みたい……だよね? だけど、んぅっ! 私、お薬ちゃんと飲んでるのに……どうして、どうしてぇ……っ」
 ぽろ、とこぼれた涙は快感のせいだろうか、それとも――
「んっ……やっぱり私、病気……なのかな……? でも……ふぁ、こんなことお医者さんに言えない……言えないよぅ……」
「ご主人様!」
 僕は思わずご主人様を抱き締めた。
「あ……」
 それで我に返ったように、ご主人様は目を開ける。
 僕はその濡れた瞳を見て、すごく奇麗で色っぽいな……なんて場違いなことを思って、どきどきした。
196IBYDsage04/02/24 17:24 ID:rzjhNwWS
「すみません……ご主人様」
「どうしてぽちが謝るの……?」
「その……色々」
「それじゃわからないよ……」
 ご主人様はいつものように優しく微笑んでくれた。
「私の方こそ、ごめんなさい。こんないやらしい主人で……」
「ご主人様が謝ることなんて何もないです。……僕の方が、ずっといやらしいですし」
「え――?」
 僕はご主人様の手を取り、自分のズボンに押し当てる。
 そこには、とっくにかちかちになってしまっている僕のものがあった。
「あ……」
 ご主人様が目を丸くする。かなり……いや、とても恥ずかしい。
「ご、ご主人様があんな……見せるから」
 思わず視線をそらして言い訳をしてしまう。
「私がしてるのを見て、こんなにしたの……?」
 すりすりと、僕の形を確かめるように撫でてくる手。これで最大だと思っていたのに、ご主人様に触られるだけでさらに熱を帯びてくる。
 ご主人様の声にもだんだんとさっきの熱っぽさが戻ってきた。
「そう……主人と召使い、揃ってえっちなんだ……」
 楽しそうに笑うご主人様。スイッチは入ったまま……やっぱり発情しているようにも見える。
「ぽちのこれ……私にくれる?」
 服の上から強めにこわばりを押さえられて、僕は黙って頷いた。
197IBYDsage04/02/24 17:26 ID:rzjhNwWS
 作法にならって、ご主人様の後ろに回る。
 イヌの国ではこの体勢――後背位が標準的な体位だ、って教えられたけど……
 ヒトの僕にとっては、初めての相手とこの姿勢でするのはなんだか変な感じがしないでもない。
 でもご主人様の知識の中でもこれが標準的なんだろうし……
「ぽち……?」
 ご主人様が振り返って、不安そうに僕の名前を呼んだ。
「あ、はい。準備……しますね」
 おもむろにすべすべしたお尻に触れる。
「ん……」
 ご主人様の肌はすみからすみまで色が白くてきめ細かい。ずっと撫でていたくなる。
 ちょっとした好奇心から、僕はお尻の上で揺れるしっぽにも触れてみた。
「きゃん!」
 たちまちご主人様が悲鳴を上げる。
「す、すみません! 痛かったですか?」
「痛くはないけど……びっくりしちゃった。急にしっぽなんて触るから……」
「あんまりこういうときに触るところじゃない、ですか……?」
 もしかしたらすごく気持ちよくなってくれるかも、って少し期待したんだけど……
「触って気持ちいいところだったら、さっきも……」
 段々と小さくなっていくご主人様の声。
「あ……そ、それもそうですね……」
 僕もなんとなく恥ずかしくなってしまった。
198IBYDsage04/02/24 17:26 ID:rzjhNwWS
「それより……」
「はい、それじゃこっちを……失礼します」
 促されて、僕はご主人様の大事な部分に顔を寄せる。
「あ、違……うぁんっ!?」
 下の唇にキスされてご主人様の言葉が途切れる。
 すでにご主人様自身の蜜で潤っているそこに、さらに僕の唾液をなすり込むようにぺちゃぺちゃと舌を動かす。
「だめっ、また……また溢れてきちゃう……」
 そうやってふたつの体液が混ざり合ったのを見計らって、僕はず……とそのミックスジュースを啜った。
「や……飲まないでぽち、おと、音立てないで……!」
 両手で大きな耳を押さえて、音を聞かないようにするご主人様。その仕草があんまり可愛らしかったから、僕はわざと喉を鳴らして飲んだ。
「いやぁ……!」
「あ――?」
 僕の口から逃れるように、ご主人様の体がベッドの上の方へ移動する。
「ぽち、ひどい……」
 枕をぎゅっと抱き締めながら、今度こそ本当にすねた口調でご主人様が言う。
 ちょっと調子に乗りすぎた……かな。
「す、すみません。つい……」
「は……早く欲しいのに、焦らしてばっかり……」
「……え?」
 もしかして、ご主人様のご機嫌が斜めなのは、さっきの意地悪のせいじゃなくて……?
「もう、準備はできてるから……」
 枕に顔を半分うずめたまま、ご主人様がお尻を高く持ち上げる。しっぽがぱたぱた左右に振れる。
「……して……」
 目の前のご主人様の媚態と甘えた声、それに部屋に満ちた嗅ぎ慣れない匂い。全部が僕を興奮させて頭をくらくらさせた。
199IBYDsage04/02/24 17:27 ID:rzjhNwWS
 服を脱いで、痛いくらいに腫れ上がったものをご主人様のそこにあてがう。
 ご主人様はきつく枕を抱き締めている。初めてオスを迎え入れることに対する期待と不安がごちゃ混ぜになっているんだろう。
「我慢できないようだったら言って下さいね……」
「うん、もう我慢できない……きて……」
「そ、そういう意味じゃなくて――」
 慌てて言葉を足そうとすると、くすっとご主人様が笑う声が聞こえた。
「わかってる……ありがとう。でも、ぽちのだったら大丈夫だから……」
「……ご主人様」
 僕はその背中に抱き付きたくなる気持ちを抑えて、代わりにゆっくりと腰を突き出していった。
「あ……入って……」
 先っぽがくるまれただけでものすごく気持ちいい。柔らかくうごめく濡れた内部が僕の欲望をさいなむ。
 ご主人様のえっちな姿を見続けたせいで限界まで張りつめたこわばりは、油断すればすぐに爆発してしまいそう。
 なんとか耐えて入っていくと、やがてご主人様の中に抵抗を感じた。
 一瞬だけためらったけど、僕はその先へと僕自身を進めた。
「くぅん……っ!」
 何か、ひきつるような感触。ご主人様が枕を抱きつぶす。
 そして――こつん、と僕のものがいちばん奥まで達した。
「ぽち……」
 息を乱したご主人様が僕の名前を呼ぶ。
「ぽちので、私の中いっぱい……」
「ご主人様……我慢、できそうですか……?」
 ふるふると首を振るご主人様。本当はもっとこの快感を味わっていたいけど……ご主人様を苦しませるわけにはいかない。
「じゃあ……抜きますね」
 そう言って腰を引こうとした瞬間、お尻に添えていた僕の手にご主人様の手が重ねられた。
200IBYDsage04/02/24 17:28 ID:rzjhNwWS
「ち、違うの……」
「ご主人様……?」
「我慢できないのは、気持ちいいほう……」
「え……?」
 恥ずかしさからか、僕の手を握るご主人様の手に力がこもる。
「だ、だからっ……すぐ、いっちゃいそうなの……」
「い、痛くはないんですか……?」
「ちょっと痛いけど、気持ちいい方がずっとたくさん……」
 手だけじゃなく、ご主人様のあそこも僕を逃すまいときゅ、きゅと締め付けてくる。正直、中でじっとしているだけでも余裕がない。
「おちんちん入れてもらうと、みんなこんなに感じるの……? それとも……私がいやらしいだけ……?」
 うわごとのように呟くご主人様。そのお尻がかすかに、でも確かに前後に動き始めている……
「どうしよう……動いちゃうよぅ……やっぱり私、すごく、んっ、いやらしいみたい……」
 僕はすっと腰を引いて、ご主人様が押しつけてくるお尻の動きから逃れた。
「あ……」
 ご主人様はそれ以上は深追いしてこない。
「ぽち……やっぱり、呆れた……?」
 ただ、寂しそうな声で僕に聞いてくる。
「僕は、ご主人様が気持ちいいならそれでいいです……」
 乱暴なくらいの勢いで、ほとんど抜けかけた僕自身を再び打ち込む。
「うぁんっ!?」
 不意打ちで深くまで突かれたご主人様が背中をのけぞらせる。
「だから、何も気にしないで……もっと気持ちよくなって下さい」
「はっ、はぁっ……ぽち、やっぱりひどい……急にするから、軽くいっちゃった……よ……」
 言葉とはあべこべに、ご主人様の口調は少しも怒ってなくて、むしろ嬉しそうだった。
「お詫びに……もっと私を、気持ちよくして……?」
201IBYDsage04/02/24 17:28 ID:rzjhNwWS
「んっ、くぅん……うんっ」
 ご主人様のここは、深く潜れば潜るほど気持ちがいい。
 初めてとは思えないくらい柔らかく熟しているのに、同時にきつく締め付けてもくる。
 すみずみまで包まれたくて飽きず腰を進めてしまう。我慢なんて、できない。
「ぽち、深い……よ」
 いちばん奥に触れると、ご主人様が熱い息を吐いた。
 さらにご主人様のお尻を引き寄せて、先っぽを押しつけるようにしてみる。少し硬いような子宮口の感触。
「あ、あん! ぐりぐりしてる……おちんちん、私の深いところ擦ってる……」
 先端に感じる刺激と、周りからくるまれる充足感。
 ずっとここに留まっていたくなる気持ちを抑えて腰を引く。絡みついてくるひだに逆らうせいで摩擦計数が上がる。
「ひぁっ!? ぎゃ、逆向きにこすれ……めくれちゃう……!」
 入り口でわずかに引っ掛かるのを合図に、後退をやめてまた進んでいく。
 繰り返し。繰り返し。僕はご主人様の中を何度も往復する。
「ぽちっ、すごいよ、私の中熱くなっちゃうよぅ……!」
「……っ」
 悲鳴を上げたくなるのは僕も同じだった。必死で声を噛み殺す。
 単なる錯覚なのかもしれないけど、ご主人様の体はどんどん気持ちよくなっていくみたいで。
 だんだんとご主人様の痛みを気遣う余裕がなくなって、僕のテンポが加速していく。
 下半身を打ち付け合う音が部屋中に響く。それこそケモノのような勢い。
202IBYDsage04/02/24 17:29 ID:rzjhNwWS
「ご主人様、もう……僕……」
「うんっ、私も、私も……っ」
 きれぎれに交わす言葉でお互いに限界が近いことを知る。
 僕はひときわ強く、体ごとぶつかるみたいにして僕自身を突き込んだ。
「きゃぅんっ!?」
 ごつっ、と奥深くを叩かれて、ご主人様の体が少し前にずれる。
「あ……」
 乱暴にしすぎた――?
 心配になって、思わず僕は動きを止める。
「大丈夫……大丈夫だから、好きに……」
 唇から濡れた舌を覗かせて、ご主人様がそう言ってくれたとき、最後の理性がはじけ飛んだ。
「うぁんっ! ひぅんっ! きゃうっ!」
 衝動に任せて何度も、強く強く打ち込む。一突きごとにベッドのきしむ音と甘い声。
 最後の場所にたどりつこうと、階段をひとつ飛ばしで駆け上がっていくような感覚。
 そして……僕とご主人様は一緒に達した。
「んぁ、あああうぅ――っ!!」
 まるで体に電気が走ったみたいに、ご主人様ががくがくと体を震わせる。
 僕はご主人様のお尻を引き寄せて、根元まで飲み込まれた状態で溜まっていたものを全て吐き出した。
 大量の精液がご主人様の中を汚していく……
「ぽちの……私の奥に……かかってる……」
 勢いよく吹き出る流れを感じて、ご主人様がうわごとのように呟いた。
 左右に振れるしっぽにおなかを撫でられて少しくすぐったかったけど、僕はご主人様としっかり繋がったままでいた。
203IBYDsage04/02/24 17:31 ID:rzjhNwWS
 一回出してしまっても、まだ僕のこわばりは半分硬いままだった。
 ただ頭の方は少し冷静になって、さっきは暴走してちょっと乱暴にしすぎたかも……という後悔がわいてくる。
「ご主人様……」
 呼びかけても返事はなくて、聞こえてくるのは荒い息だけ。僕は急に不安になってしまう。
 ご主人様の方も、それなりに気持ちなってくれたとは思う……んだけど……
 僕は覆い被さるようにご主人様の耳元に顔を近付けて、
「また……いいですか……?」
 そう聞いた。
「ぽち……まだ、できる……の?」
 しばらくして、心配するようなご主人様の声が返ってくる。
「したいんです……」
 相変わらず居心地のいいご主人様の中で、僕のものはじわじわと力を取り戻していく。自分のことながらはしたない。
 もう一回、今度は優しくしてご主人様に気持ちよくなってもらおう、と思ったけど……それも僕のひとりよがりなのかも……
「嫌だったら言って下さい。すぐやめますから……」
「嫌じゃないよ」
 駄々をこねる子供を相手にするみたいに、ご主人様はくすりと笑う。――みたいに、じゃなくてそのものなのかな。
 それでも拒まれなかったことが嬉しくて、僕はゆっくりと前後運動を再開した。
 僕が吐き出したもので満たされて、ご主人様の感触は少しさっきと違っている。
「んっ、んっ……」
 敏感になっているのか、ご主人様は動くたびに小さく声を上げる。だけどその表情はわからない。
「……」
 ご主人様の中から僕自身を引き抜く。少し広がったように見えるそこから、ピンク色の液体がこぼれた。
「ぽち? やっぱり、疲れた……?」
「そうじゃないです。ご主人様としたいです。でも……」
 やっぱり、僕は駄々っ子だと思う。
「その……今度は、仰向けになってくれませんか?」
204IBYDsage04/02/24 17:32 ID:rzjhNwWS
「この格好でするの……?」
 仰向いて僕を見上げるご主人様が言う。今さらだけど、下半身だけ裸になっているのがすごくえっちに見える。
「恥ずかしいよ……してるときの顔、ぽちに見られちゃう……」
 ヒトの僕にとっては普通でも、ご主人様にとっては変な位置関係なんだろう。でも――
「ご主人様の顔を見ながら、したいんです」
 ご主人様の頬が赤くなる。こういうちょっとした変化も見逃したくないから、僕はこの格好でしたい。
「でも、ご主人様が嫌なら――」
 僕はまた、ずるい言い方をする。
「嫌じゃないよ」
 最後まで言わないうちに、ご主人様がそれをさえぎった。
「私だってぽちの気持ちいいときの顔、見てみたいし……ね」
「あ……」 
 確かに、お互いに顔が見えるなら僕の方だって見られることになる。ぜんぜん考えてなかった……
 今度は、僕が赤面する番だった。 
205IBYDsage04/02/24 17:32 ID:rzjhNwWS
「んぅ……」
 目を閉じて、少し眉をひそめながらご主人様は僕を受け入れてくれる。
 いちばん深くまで入った瞬間、目と目が合った。思わず見つめ合ってしまって、僕から先に目をそらす。
「してることは変わらないのに……なんだかさっきより余計にどきどきする……」
 僕が考えていたことと全く同じことをご主人様が口にした。
 理由のわからない照れくささをごまかすように、僕はまた腰を動かし始めた。
「くぅんっ、あっ……違うところに当たる……」
 強くなりすぎないように、僕は時間をかけてご主人様の中を往復する。
 動きがゆっくりだと、ぬるぬるした壁がじっくり絡みついてきてものすごく気持ちいい。結局どうやっても僕に余裕はできないみたい。
 ご主人様は少しもどかしそうな、けれどどこか安心したみたいな表情。
「うんっ……ゆっくりも……気持ちいいよ……」
 さっきが階段を駆け上がる感じなら、今はゆるやかなスロープを上っていく感じ。
 でも確実にそこに向かっていることには変わりない。
「はっ、んっ、んんっ……」
 僕はもう我慢を顔に出さない努力も忘れて、ただ少しでも長くご主人様の中にいるために力をこめる。
「ぽち、気持ちいい? 私の、気持ちいいの……?」
「はい、すごく気持ちいいです……!」
 恥じらいをどこかに置き忘れて、感じていることをありのまま言葉にする。
「私も、私も気持ちいいよ……」
 ご主人様のその言葉に、潤んだ瞳に、ずきん、と僕自身が反応してしまう。
 僕がイヌだったら、ちぎれるくらいしっぽを振りたいのに――
「うぁんっ! 私、もう、また……っ!」
 ご主人様の抑えた悲鳴が聞こえる。一拍遅れて、ご主人様の中がぎゅっと僕を締め付けてきた。
 ご主人様とひとつになるような錯覚を覚えながら、僕は前と同じくらいの量を射精した。
「あ、ぽち……こんなに……」
 体の芯が全部吸い取られたみたいに、どっと疲れが押し寄せてくる。
 半分倒れ込むようにしてご主人様の上に横になる。パジャマ越しでも柔らかいご主人様の胸の感触。
 アロマキャンドルはもう燃え尽きかけていて、部屋の中にはふたりの呼吸の音だけが響いていた。
206IBYDsage04/02/24 17:33 ID:rzjhNwWS

 二回目が終わるとさすがに疲れたのか、ご主人様はすぐに穏やかな寝息を立て始めた。
 僕はご主人様の体を拭いて、衣服を整えて、毛布をかけて部屋を後にした。

 再び真っ暗な廊下に出る。来たときと同じで、そこには誰も――
「……え?」
 誰もいないはずの深夜の廊下に、影があった。
 僕よりもずっと背の高いその影は、黒いマントに身を包んだイヌだった。
 暗幕のようなその布の上、見下ろしてくる顔に僕は見覚えがあった。
 黒曜種独特の浅黒い肌と黒い毛並み。そして何より特徴的な、晴れた空のように澄んだ青い瞳。
「サリクス……様?」
 どうしてここにサリクス様が……?
 混乱する僕をサリクス様はただじっと観察して、やがて納得したように頷いた。
「なるほどね。ヒト召使いか」
 そう言ってサリクス様は奴隷の証――僕が着けている革製の首輪――に手を触れた。
「なかなか賢そうな顔立ちをしている。自分の立場をよくわかっていて、妥協や諦めが上手。そんな相だ」
 す、と膝を折って僕と目線の高さを合わせるサリクス様。
「その一方で、抑圧された貪欲な本能も持ち合わせている。うん――なかなか面白い」
 そう言ってサリクス様は優しく微笑んで、
「っ!?」
 僕の胴に拳を叩き込んだ。
「あぐ……っ!」
 床に倒れ込んだ体が、自分のものじゃないみたいに感じる。
「だけど、僕のものに手を出したのは許せないかな」
 上から降ってくる声。表情は見えないのに、なぜかサリクス様は今も笑っているように思えた。
 意識を手放すのが怖い。いま気を失ってしまったら、僕はきっとそのまま――
207IBYDsage04/02/24 17:34 ID:rzjhNwWS
「右将軍殿」
 突然、凛とした声が廊下に響いた。
 僕の頭の上すぐにあった気配が遠のいて、サリクス様が立ち上がったとわかる。
「やあ――今晩は。親衛隊長どの」
「お尋ねする。何用あってここにいらっしゃるのか。この離宮が男子禁制であると知った上での振る舞いか」
 なんとか顔を上げると、緊張した雰囲気に似合わない笑顔が見えた。
「ごめんごめん。僕は方向音痴でね。夜の散歩をしていたら、いつの間にかここに迷い込んでしまったんだ」
 悪びれる様子もなくそう言った青い瞳を、黒い瞳が鋭くにらみつける。
「そんなに怖い顔をしないでくれ。すぐに出ていくから」
 あっけなく回れ右をするサリクス様。
 僕は声も出せず、闇に溶けるようにして去っていくその背中をただ見送った。
208180sage04/02/24 17:40 ID:rzjhNwWS
 とりあえずここまで。なんだか非常に中途半端な引きですね……
 最初から続き物前提の話って、エロパロには向いてなかったかも。今さらですが。
 本家こちむいのような明るさや笑いがないのは、その。芸風の違いと言いますか……
 ネコとイヌの性格の違い、とでも思って頂ければ幸いです。
 本家と比べてもっと見劣りしそうなのは実用性ですが。何分この板で書くの初めてなもので……
 続きがいつ投稿できるかは回線次第だと思います……とほほ。
209名無しさん@ピンキーsage04/02/24 19:09 ID:Bc4kUFGd
キタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!
210名無しさん@ピンキーsage04/02/24 23:51 ID:u/eal6mH
キタ━━(゚∀゚)━━ッ!!!

グッジョブです。
謙遜されるような酷い出来ではないと思いますよ。
慢心すぎるのもアレですが、謙遜しすぎると読み手に無礼と取られかねませんし。

猫との差別化(?)で従順っぽいのがポイント高いですね。
えちぃのに奥手なのがまたハァハァ…
一番の萌え場は尻尾パタパタだたりw

残念なのは、現時点では設定が不明瞭な点ですかね。
これから掘り下げられていくんでしょうから大した問題ではないですが。
でも、姫の「ふさふさした毛並み」って何処の部位なんでしょ?
白い肌を強調してたから、体毛は違うだろうし…
211名無しさん@ピンキーsage04/02/25 22:16 ID:xAqY0iUB
キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!
GJ! 激しく萌えますた(*´Д`)…ハァハァ
212名無しさん@ピンキーsage04/02/26 02:18 ID:fOjUSChy
GJ!!!!!! (;´Д`)ヒメサマヒメサマ…ウッ
213狐耳を書こうとしている者sage04/02/26 22:18 ID:9GYzkX0q
えらく時間かかってしまったが間も無く完成しそうです
土曜か日曜に投下予定

犬耳がキテル――(゚∀゚)――!!
裏のありそうな右将軍がどんな風に絡んでくるかが楽しみでつ
>>尻尾パタパタ
やはり尻尾はいいですな
尻尾にはこだわりたい、でも俺の技力でどこまでできるか・・・
214名無しさん@ピンキーsage04/02/26 22:48 ID:crNRAkLg
き、狐!
し、尻尾!
215名無しさん@ピンキーsage04/02/27 13:30 ID:Jd3/d31g
GJGJGJ!!!
こちむいとはまた違った趣があってGood!
イヌっぽさがまたいい感じでつ
今後に期待!
216狐耳の者sage04/02/28 21:49 ID:6lZ/yvjf
完成したので投下開始
そしてコテも変更してみますた
こちむいや犬の人に比べるとやけに短い気がするけど・・・
217華蝶楓月sage04/02/28 21:50 ID:6lZ/yvjf
護摩の焚かれた部屋・・・。
中央に祭壇らしきものがある以外何も無い部屋・・・。
その祭壇の前で巫女らしき女性が何かを唱えている。
「………」
その巫女を見守るようにこちらも同じく、しかし多少装飾を落とした巫女服を着た女性が部屋の入り口の横に控えていた。
祭壇の前の巫女が唱える文に神を讃える言があることを見ると何かの儀式か・・・。
特に滞りなく進んでいるように見えたが控えている巫女にはなにやら引っかかるものを感じていた。
どこが変か?と問われてもすぐには答えることができない、とにかく違和感を感じるのだ。
程なくして違和感の正体が見えて来た。
妙に吐息が荒い、頬も上気している様だ。
この儀式、この国の国政を支える降神の儀の最中は、巫女は神をその身に降ろすため一種のトランス状態に入る。
218華蝶楓月sage04/02/28 21:51 ID:6lZ/yvjf
トランス状態にあるときは巫女の体にも精神にも大きな負担がかかるため、多少吐息が荒くなろうと問題ないのだが、今回は荒すぎる。
控えている巫女が儀式の最中の巫女に話しかけるかどうか戸惑っていたそのとき、締め切っているはずの部屋に突然風が吹き始めた。
「?! 何が?」
控えている巫女は何が起こったのかわからなく、一瞬パニックに陥りかける。
「ハッ! 姫様っ!」
声をかける、だが届いてない。
トランス状態にある巫女は今もなお呪文を唱え続けている。
「………」
そうこうしている間にも風はどんどん強くなっていく。
「?!」
控えていた巫女はその目を疑った。
祭壇の上の空間に穴が開いているのである。
「何が起きようとしているのです?」
その問いに答えられるものは誰もいない。
「クッ、姫様!」
「………」
グァオ!
「キャッ!」
突然吹いた強烈な風に吹き飛ばされて、控えていた巫女は壁に強く打ち付けられ気を失った。
そして空間に開いた穴から一人の少年が落ちてきたとき、吹き荒れていた風は収まり、穴も閉じた。
219華蝶楓月sage04/02/28 21:52 ID:6lZ/yvjf

目を開ける・・・。
見覚えの無い部屋・・・。
突然見知らぬ場所で気が付いたのにも拘らず、少年は自分がとても落ち着いていることに小さな驚きを感じていた。
「ここはどこだろう・・・」
部屋を見渡してみる、大きな祭壇とその前に佇む巫女らしき女性、壁にもたれて気を失っているこちらも巫女らしき女性。
ただ頭の上に大きな耳が、腰の辺りからふさふさとした尻尾が見えている。
祭壇の前の巫女は金色に輝き、気を失っている巫女は黒ずんだ狐色だ、見たところ狐かなにかか。
「コスプレ?」
普通の常識で考えればそう思うのも当然だろう、だがここでの常識は違っていた。
「こすぷれって何?」
「仮装のことです」
「仮装ではないわよ、仕事着とでも言うのかしら?」
「耳と尻尾のことですが・・・」
「これ? ああ、キミヒトね? この耳も尻尾も自前よ」
220華蝶楓月sage04/02/28 21:52 ID:6lZ/yvjf
「そうなんですか」
少年が振り向く、そこには祭壇の前にいた巫女がちょっと怪しい笑みを浮かべてすぐ後ろにいた。
「ヒトが落ちてくるところなんて始めて見たわ」
怪しい笑みをその顔に浮かべたまま金毛の巫女が迫ってくる、少年は後ろに下がろうとするが金毛の巫女に腰を掴まれ下がることができない。
金毛の巫女に抱かれている形になるとその体の柔らかさと漂ってくるいい香りに頭がくらくらする。
「あの・・・」
「大丈夫、怖くないから」
「何がです?」
金毛の巫女はその問いに答えず顔を近づけてくる。
このまま行ったら・・・。
少年の予想通り巫女に唇を奪われる。
「むぅっ・・・」
クチュクチュと舌が絡み合う音が暫く部屋に響く。
その情熱的な口付けに少年は何も考えられなくなる。
221華蝶楓月sage04/02/28 21:54 ID:6lZ/yvjf
「プァッ、うふふ・・・初めてだったのかしら? 顔を真っ赤にしちゃって可愛い」
少年は顔を真っ赤にしたまま硬直している、どうやら頭がショートしてしまったようだ。
「うふふ・・・」
そのまま金毛の巫女は少年をその場に押し倒す。
金毛の巫女の手が少年の股間に触れたとき、少年の回路がつながったようだ。
「あ、あの・・・ いきなり何を?」
「何って、こういう状況でする事といったら一つじゃない?」
「あちらの方は気絶しているようですが?」
「息はしっかりしているようだから問題は無いでしょ」
気を失っている黒毛の巫女のほうをちらりと見る。
確かに、少し遠目なのではっきりとは言えないが特に怪我があるようには見えない。
「それとも、起きてて見られている方がよかった?」
にんまりと、まさに妖艶と言うべき笑みを浮かべ金毛の巫女は再び少年の唇を奪う。
「ん・・・」
今度は数瞬で離す。
222華蝶楓月sage04/02/28 21:54 ID:6lZ/yvjf
「やっと大きくなってきた♪」
先ほどからまさぐっていた股間に反応があることに喜ぶ金毛の巫女、その感情を表したように尻尾がファサファサと揺れる、まるで犬のようだが毛の量が圧倒的に多いので衣擦れのような音を出している。
ここでまた少年は驚きを感じた、尻尾が一本ではないのである。
(いわゆる妖狐ってやつなのかな?)
興味深い目で尻尾を眺めていると、その視線に気が付いた金毛の巫女が少年の手を取る。
「そんなに尻尾が珍しいなら触ってみる?」
少年の手を引いて腰の辺りに回させる。
ふわ・・・。
とても柔らかく、暖かい。
その手触りは極上の絹にも勝るとも劣らないものだった。
少年は思わず尻尾を撫でる事に夢中になってしまった。
「んっ、荒っぽくしちゃダメ。もっと優しくするの」
「は、はい」
223華蝶楓月sage04/02/28 21:55 ID:6lZ/yvjf
言われたとおりに優しく撫でる。
「そう、上手じゃない」
相変わらず股間をまさぐったまま恍惚とした表情を浮かべる金毛の巫女。
股間をまさぐる優しい手つきといい、尻尾の柔らかい感触といい、今までに感じたことの無い快感に少年の意識が飛びそうになる。
「ほんとにいい表情(かお)するのね、キミ。そろそろガマン出来なくなって来てるんじゃない? 今楽にしてあげるね♪」
金毛の巫女は少年の袴を脱がすといきり勃った肉棒にそっと舌を這わせる。
「んっ、ああっ」
どくっ、どくっ・・・
すでに極限まで来ていた少年はあっけなく果ててしまった。
「うふ、いっぱい出したね」
顔に飛び散った白濁液を指で掬い口に持っていき舐め取る。
「ん、おいし♪」
その姿は巫女という神聖な皮を被った淫魔そのものだ。
224華蝶楓月sage04/02/28 21:56 ID:6lZ/yvjf
「気持ちよかった?」
開放の余韻に浸っている少年はゆっくり頷いて答える。
「でもね、私はまだなの。次は私が気持ちよくなる番だよ」
金毛の巫女は素早く服を脱ぎ去り少年に跨ると、今だ硬さを保っている肉棒と己の秘所を合わせた。
クチュ・・・
すでに濡れそぼっているそこは肉棒と擦れる度に音を出す。
「行くよ・・・」
金毛の巫女はゆっくりと腰を下ろし秘所に肉棒を咥え込んで行く。
「ん、ふうっ」
柔らかく、温かい肉壁に包まれる。
キモチイイ・・・
自慰行為ですらろくに経験していない少年は、それだけで果ててしまいそうになる。
肉棒が半ばまで埋まったとき何かに当たる。
少年が疑問に思うよりも早く、金毛の巫女は一気に腰を下ろしその膜を突き破った。
225華蝶楓月sage04/02/28 21:57 ID:6lZ/yvjf
「んあっ、あああっ」
少年の肉棒がすべて金毛の巫女の秘所に埋まる。
結合部分から赤い液体が漏れるが、金毛の巫女は痛みを感じていないのか構わずに腰を振り続ける。
「ああぁっ」
少年は金毛の巫女の処女を貫いたことに気付かず、快感に身をよだねる。
「んっ、んっ、ふあぁっ!」
少年は身動きを取れずに、ただ金毛の巫女の成すがままにある。
「んんっ! いいよっ、とってもいいよっっ!」
大きく、激しく腰を打ち付ける。
金毛の巫女が腰を打ちつけるたびにその大きな尻尾も、大きく衣擦れのような音を立てながら揺れる。
「来る、何か来るのっ」
「ぼ、僕も・・・。また出ちゃいます」
「ふあっ、あああああぁぁぁぁっっ!!」
「んああぁっ!」
最後に一段と強く腰を打ちつけたときに二人は同時に達した。
226華蝶楓月sage04/02/28 21:57 ID:6lZ/yvjf
「ふぁ・・・」
「っとと」
絶頂に達して気を失った金毛の巫女を、少年は優しく抱きとめる。
少年はそこで始めて自分が金毛の巫女の処女を貫いたことに気が付いた。
「え・・・と?」
「貴方は何をしているのです?」
少年が混乱していると後ろからいやに冷たい声が響いてきた。
「え?」
振り向くとそこには、今まで気を失っていた黒毛の巫女がやけに恐ろしいオーラを纏いながら仁王立ちしていた。
「貴方は何をしているのかと聞いているのです!」
黒毛の巫女が肩をいからせながらずんずんと近づいてくる。
「答えなさい! 姫様に何をしたのです!」
「あ、あの・・・」
混乱する少年に近づきながら問い詰める黒毛の巫女、だが・・・
227華蝶楓月sage04/02/28 21:58 ID:6lZ/yvjf
「いい加減に、キャァ!」
「あっ」
そこには二人の行為の結果として、汗などが飛び散り、小さい水溜りができていた、そしてこの部屋は板張りである、そこに黒毛の巫女は特に考えもしないで踏み込んできたのだ。
濡れた板張りの床、当然滑る。
少年は失神している金毛の巫女を抱いたまま体の向きを変え、倒れこんでくる黒毛の巫女も抱きとめようとする。
黒毛の巫女の体を抱きとめることには成功したが黒毛の巫女の体は勢いが付きすぎていた。
「〜〜!!」
少年は激しく打ちつけた後頭部の痛みを感じると同時に唇に柔らかい感触を感じた。
疑問に思いながら目を開けると、目の前に目を見開いた顔がある。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
ガバッ!
倒れた拍子に口付けをしてしまった黒毛の巫女は慌てて少年から離れる。
228華蝶楓月sage04/02/28 21:59 ID:6lZ/yvjf
「あっ・・、あっ・・。とっ、殿方と。せっ、せっぷあぁ・・・」
黒毛の巫女はその余りのショックに再び気を失ってしまった。
「えーと・・・」
さすがにこの状況でどうしたら良いかなどと思いつくはずも無く、少年はしばし途方にくれる。
「あら?翡翠ったらどうしたの?」
少年の腕に抱かれていた金毛の巫女が目を覚ます。
「あの・・・その・・・」
少年は混乱状態にあるのでうまく喋ることができない。
「うわぁ、体がベトベト。ちょっと気持ち悪い」
汗と愛液と精液で金毛の巫女の体はドロドロである。
「ねぇ」
「はい?」
「お風呂入ろ♪」
「はいぃ?!」
突然の金毛の巫女の申し出に少年の声が裏返る。
229華蝶楓月sage04/02/28 21:59 ID:6lZ/yvjf
「キミは突然こっちに落ちて来たでしょ? その原因とかこれからのこととかあるじゃない」
「そうですが・・・」
「でもこのままじゃベトベトして気持ち悪くてそれどころじゃないのよ、だからお風呂」
「僕もですか?」
「大丈夫、ここのお風呂は広いから10人位でもゆっくりできるよ」
「僕男ですが」
「気にしない、気にしない」
金毛の巫女は起き上がると少年の手を引いて部屋を出ようとする。
「あの、あの人はどうするんですか?」
「翡翠のこと? 見たところただ寝ているだけでしょ。そのうち目が覚めるわよ」
「そんなんでいいんですか・・・?」
「気にしない、気にしない」
話は終わったとばかりに金毛の巫女は少年の手を引いて部屋を出る。
230華蝶楓月sage04/02/28 22:00 ID:6lZ/yvjf
「そう言えばまだ名前を聞いてなかったね。私は天藍、あそこで寝ているのが翡翠、キミは?」
優しく微笑みながら問いかける天藍。
少年はその微笑みに・・・
「僕は・・・」
強く惹かれながら・・・
「僕の名前は」
自分の居場所を見つけたような気がした。
「菫青です」
231狐耳の者sage04/02/28 22:12 ID:6lZ/yvjf
てなわけで第一話をお届けしました
やはりエロは難しいのぅ・・・
ちなみに題名は「かちょうふうげつ」とお読みください

天藍様痴女モード
どちらもH未経験ということでどうやって持っていくかと考えた結果がこれです
降ろした神によっていろいろと性格が変わるということで、基本的なところは変わりませんが
書いているうちにHに奥手じゃなくなって行ってしまいました・・・
天藍様は奥手じゃなくてその手の知識が無いだけで、あっけらかんとしているということにしててください
お風呂上りに裸でうろつくとかそんな感じ

巫女長翡翠は実はドジ?
滑って転んでキスというのはかなり最初のほうに思いついたネタです
どうやって持って行くかと言う事でこんな感じに(またかい
行き当たりばったりですなぁ・・・

あえて名前を出すのを最後にして見ました
そのため巫女だの少年だのとちと五月蝿いかもしれませんが
名前も知らないもの同士ってのになぜか萌えてしまってこんな感じになりますた

今後の予定としては
紅簾出して主従の契りを交わして翡翠とやって紅簾とやって性格の違う天藍ともやって・・・
書くことイパーイ
とにかく第二話は3月中を予定しています、けどあくまで「予定は未定」なので気長にお待ちください
ちと長くなりすぎたな・・・
この辺で消えます
232名無しさん@ピンキーsage04/02/28 23:42 ID:oCVWMHMT
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━!!!!
激しく(;´Д`)ハァハァさせてもらいました。
233名無しさん@ピンキーsage04/02/29 05:07 ID:bytU/uuJ
やっぱり緋袴は萌えであって、尻尾はふかふかに限る訳で。
何が言いたいかって、それはもう狐巫女に激しく(;´Д`)ハァハァって事なのです。


ところで。
少し句読点が少なすぎるというか一文が長すぎるところがあるのが、ちょっと読みにくいですさね。
あとは「。」が入るべき所に「、」が入っているところがあるのも気になり。
234狐耳の者sage04/02/29 12:05 ID:rQqrlRm0
>>233
やはり句読点のこと言われたな
俺は昔から作文とか読書感想文的なことが苦手で
いつも句読点のことで指摘されてたんですよ
まだまだ修行中の身と言う事で、これからうまく使えるようにするので
生暖かい目で見守ってやってください
235名無しさん@ピンキーsage04/02/29 21:36 ID:zA8YaWsc
一気に二つの萌え作品が読めて幸せ至極です。
ところで、エロなしでSS書いたんですが
うぷさせてもらって良いでしょうか?
236名無しさん@ピンキーsage04/02/29 21:53 ID:GAkO1IpN
>>235
萌えがあるならOKです!
237『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 08:57 ID:k/kvH3fl
『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』

 早春の野原。まだ盛りではないが、ちらほらとスミレに似た花が顔を出している。
しかし、まだまだ原っぱは圧倒的に緑の部分が多い。この時期に似合わないほどの
陽気はぽかぽかと草原を暖めて、風がサラサラと吹けば緑の波がうねり、甘い春の
匂いが野原に満ちた。
 そんな野原を『きゃっきゃっ』と黄色い声をあげて駆け回っているのは20名程の
幼年学校のチビ猫たち。遠足なのか側には大きな馬車。担任の先生を引っ張り出して
遊ぶのは鬼ごっこなのだろうか。今日の課題の写生を終えたチビッコの遊びに対する
パワーは先生を仲間にするだけでは飽きたらず、王室奉仕活動の一環として駆り
出されている護衛役のネコ姫さまも仲間に加えようとしている。
 恐縮している若い女教師をよそにチビッコ達は御車台のネコ姫様の手を引張る。
どうやら幼い自分達と姿形が似ているこのネコ姫様に親近感がわくらしい。困った顔の
ネコ姫様のツインテールが揺れる。
 もう一人お城から派遣されたネコ姫もいるのだが、これはヤル気がないのか草原に
ぽつんと生えている木立のカゲで昼寝をしていた。子供達が一人も寄ってこないのは、
担任が厳しく子供達に『近寄っちゃダメよ』とあらかじめ言い聞かせたからだ。女教師の
判断は正しく、木陰に寝ている姫様の顔の上に乗っている日除けがわりの雑誌の
表紙はかなりいかがわしく『カラオケルームで秘密の拘束プレイ』とか『あなたもできる
ショタい盛り』などという扇情的な見出しがこれでもかと並んでいた。
 そう、あと2時間もすれば子供達は心地よく疲れ、帰りの馬車に揺られてウトウトして、
皆でおしゃべりして家に帰って、家族で夕食を楽しく食べながら今日の一日を両親に
笑いながら話すのだ。そしてネコ姫さまもお城に帰り、無難に仕事をこなし、上手くいけば
王位継承権の順位が一つ二つ上がるかも知れなかった・・・しかしこの世知辛い世の中、
そうは上手くいかないもの・・・
238『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 09:01 ID:k/kvH3fl
 
 「んっ?・・・」
 マナはむくりと上半身を起こす。お腹の上に落ちた雑誌を気にもとめず向こうの
丘の上に目を凝らした。
 始めは土ぼこり。そしてマッチの先のような小さなカゲが稜線の上に現われて、
そしてそれが一気に4つ、8つと増えると同時にマナは跳ね起きた。まだ間に合う。
叫ぶ。
 「ユナっ!! 曲者にゃっ!! チビどもを馬車に放り込んで逃げるにゃっ!! 」
 あらためて見ればまだ丘一つ向こうながら疾駆してくる20騎ぐらいの男達が見えた。
全員が黒い布の覆面を付けている。おそらく、いま王国で被害が拡大してる、
拉致専門の盗賊だ。こんな王城の近郊に現われるとは思えず、誰もが不意を突かれて
しまう。ショックでフリーズしている女教師をよそにそれでもユナはてきぱきとチビッコを
誘導していく。
 「みんな落ち着いて馬車に乗りますの――っ!! だいじょうぶですの、マナ姉は無敵
ですの――っ」
 泣き出しそうなチビッコを馬車に放り込むと、ユナは御車台に飛び乗った。しかし
その顔には絶望感がまざまざと浮いている。
 『この馬車の速度じゃすぐに追いつかれてしまうですの・・・リナも呼べば良かった
ですの――っ!! 』
 荒事関係のみに女神の祝福を受けているような次女を思いつつ、馬車を
シュバルツカッツェ城の方角に反転させる。こんな王城に近い所まで遠征してきただけ
あって、ためらうことなく真っ直ぐに馬車に向かって疾駆してくる盗賊たち。もう騎馬が
蹴上げる土くれまで目に見える距離。『ヨ――!! ホ――!! 』と野蛮な威嚇の声まで
聞こえる。ユナは叫ぶ。
 「ま、マナ姉も、は、早く・・・」
 『ズド――ン!! 』
 襲いくる盗賊の先頭部分の地面が爆発した。二、三騎が馬ごと一気に空中に舞う。
無事だった馬も一瞬さお立ちになって突進が止まった。
239『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 09:03 ID:k/kvH3fl
 「ユナっ!! ココは食い止めるからさっさと逃げるにゃっ!! 」
 「で、でもっマナ姉はっ!? 」
 心細さに半泣きで叫ぶユナ。
 「いいから行けにゃあっ!! 」
 マナの指先から発した小さな氷の刃が馬車馬の尻に突き立つと、狂った
ように4頭立ての馬車が急発進する。後ろの方でチビッコの悲鳴が上がるが
ユナは手綱を保持するので精一杯。
 「マナ姉――っ!! 」
 ユナは力いっぱい叫ぶ。返事は聞こえないが背後で4、5回程爆発があって、
そして何も聞こえなくなった・・・

 かくしてネコの国にある王立西街幼年学校初等部の課外授業は盗賊に強襲
されつつも奇跡的に全員無事に生還することになった。盗賊達もてこずったが
何とか本物の王女を取り押さえ意気揚揚と草原から離脱して行く。
 そして元通り誰もいない、のどかな草原に戻り・・・いやまだ何かいた・・・
草原の草深い所からむくりと起き上がったそれはモンスターのような黒っぽい物体。
生きているらしく、ずるずると移動する。その様子は腐乱して黒っぽくなった
ゾンビに似ていて不気味だ。ユナの馬車の方角と盗賊の離脱して行った方角を
逡巡するように見てゆっくりと、ぞろりぞろり歩き始める。
 マナの連れ去られた方に・・・
240『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 09:08 ID:k/kvH3fl
 ギコナビ初めて稼動してみました。
 まだ慣れないのでここで中断。続きは夕方。
 
 これは、いつかリクエストにあった 『出会い編』です、
 新シリーズの前にとりあえず・・・

 これで、職人が3人ですっごく盛り上がってきたカンジ・・・
 でも、順番下位なのはこのスレのお約束・・・
241名無しさん@ピンキー04/03/01 12:26 ID:PY/JHdHl
なんつってゆ〜か、もうね…

死・ぬ・ほ・ど、幸せ。
こんなにも、良作連発で良いのかしら。

つー事で、拉致監禁されてしまわれた
マナ姉さまの大活躍を期待しつつ、age。




242狐耳の者sage04/03/01 15:07 ID:cA/8vbud
キテル――(゚∀゚)――!!
マナ様ピーンチ!!ここで颯爽と助けに入るのが「ぼく」なのかな?

保管庫の中の人にお願いが
設定のところの「姫、妹姫、巫女長、主人公」を、それぞれ「天藍、紅簾、翡翠、菫青」に変換しておいてください
後、翡翠の項のみ頭を巫女長翡翠にしてください
お願いします
243『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 17:53 ID:nj+nGZ8G
 
 ネコの国。王城。薄暗い玉座に気だるげに座っているのはフローラ女王。その
左右には同じ顔をした妹達がかしこまっている。同じ三つ子でもマナ姉妹と違って
一卵性のようだ。
 フローラ女王は玉座に浅く腰掛け、肘掛に乗せた腕で頬杖をつくお決まりの
ポーズ。よく見れば髪は黒、レンガ色、金色と3色のグラデーションになっている。
薄く微笑んでいるにもかかわらず、耳は毛足が短く、ピンと立っているせいでネコよりも
キツネに似た獰猛な印象がある。その容姿はすでに400歳を超えているというのに
目の前に立っている自分の娘の片割れと変わらぬ程若々しい。ヒトで言えば厳しく
見ても30台の前半と言ったところ。酷薄そうな薄い唇にはどぎついほどの赤い
ルージュ。その唇からは意外なほど優しい声が漏れる。言葉を紡ぐ赤い唇の
動きはひどく妖艶に見えた。
 「意見を聞こう・・・実りある話になればいいものだな・・・」
 一段下で直立しているのは皮鎧姿のリナ。さっきまで郊外でマナの行方を探し
回っていたのか、すっかり埃にまみれている。そしてもう一人はユナ。まだ事件が
起きてから半日しか経っていないのにすっかりやつれてしまい目の下には隈まで
出来ていた。二人は目を合わせ、軽くうなずいてユナがしゃべる。
 「マナ姉・・・マナ姫の身代金の要求があったと聞きました、マナ姫は王室活動中に
さらわれましたから是非とも身代金を国庫から出していただいきたいと思いますの・・・」
 意を決してユナが言う。自ら払っても良かったが、身代金の額がユナの資産の
軽く2倍に達していたため、泣く泣く王室にすがるしかなかったのだ。
244『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 17:56 ID:nj+nGZ8G
 「・・・・・・」
 なにも言わないフローラ。面白い物を見つめる目つきでユナを見る。イライラした
リナが後を継いで言う。
 「少なくとも兵を出して現場一帯を捜索、そして賊の本拠を強襲して欲しいのです。
これはネコの国に対する挑戦です!! 」
 叫ぶリナを薄く笑ってフローラが言う。切れ長の目は軽く閉じられている。
 「・・・わが国の庶民がさらわれて国が身代金を出したことは一度もない・・・これからも
出すつもりはない・・・王家の者だけカネや人をだせば、庶民どもも黙っておるまいしな・・・」
 「そ、そんな・・・」
 『〔血塗れフローラ〕は姉妹だけじゃなくて実の娘も見殺しにするのか!? 』という言葉を
飲み込んでリナは絶句する。『ぎりっ』と奥歯を噛んで横を見ればユナがぶるぶると
震えて女王に飛び掛らんばかりになっていた。いつも人を小ばかにしたような態度の
ユナが感情を剥き出しにしているのを見てリナは意外に思った。このまま女王に
飛び掛ればその場で打ち首になってしまうと感じたリナは苛立ちに震える声で言った。
 「ならば結構・・・こちらで姉上を探す!! 失礼する」
 抗うユナを引きずるようにして退室するリナ。その二人に投げかけるように同じく
玉座から立ち上がったフローラが言う。
 「身代金を出さないという返答は3日後に出す。3日で見つける事だな・・・その間は
マナも生かされているだろうよ・・・」
 「たったの3日・・・」
 リナに抱えられたユナが押し殺したように呟いた。安心させるようにリナが抱えた腕に
力を込める。しかし幼い頃から当然のようにいたマナがいなくなる心細さに二人は同時に
身を震わせた。

 
245『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 17:58 ID:nj+nGZ8G

 二人のネコ姫が出て行くとフローラは後ろの妹に声をかける。
 「身代金を要求してきた賊・・・首を落としときなさい」
 ビクッと身を震わせるフローラの実妹。
 「し、しかし陛下は今、返事は3日後と・・・」
 「どうせ殺すなら何時でも同じ、それにヘタに返事するより時間がかせげるかも
しれないじゃない?」
 「ですが・・・」
 さらに言い募る妹にかぶせるようにフローラは言う。
 「あら・・・ひょっとしてあの賊のことあなた、庇っているのかしら・・・」
 すっと微笑みつつ妹を見る流し目は氷のように冷たい。とたんに二人とも
黙り込んで下を向く。この顔が40人いた姉妹の殆どを抹殺したのだ。フローラの
実妹たちは命令を遂行させるために静かに玉座から出て行く。
 フローラは小さく鼻で笑い、手元の調印台の上に置いてある本を手に取って呟いた。
 「マナか・・・運のいい子だから大丈夫でしょ・・・数少ない成功サンプルの一人
なのは惜しいわね・・・」
 パラパラとページをめくるフローラ。意識はすでに表紙に『遺伝学』と書かれた
本の中に飛んでいた。


 ガラゴロ・・・
 石畳を走る荷馬車に揺られているのはマナ。ぼんやりと仰向けになると白い雲が
ゆっくりと馬車を追い越して行く。もちろん、のん気な情景とは裏腹にマナの体は
ロープでグルグル巻きにされていて、なおかつその上から魔法封じのお札を何枚も
貼られている。マナは芋虫のようにもぞもぞ動いて身を起こすと荷馬車に並んで
進む盗賊に声をかけた。
246『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 18:01 ID:nj+nGZ8G
 「私を逃がしたほうがいいにゃよ、今の女王は怖いネコにゃよ」
飄々と語りかけるマナにこの盗賊集団の頭分が言う。覆面の下の顔は
盗賊にしては垢抜けていて、半獣半人の筋骨逞しいネコだが、生来の酷薄さが
会話の端々に滲み出て、会った瞬間からマナは嫌いだった。
 「身代金を貰えばさっさと解放してやる・・・ったくよう・・・」
 そう言った頭分は火傷を負った自分の手を忌々しげに見つめる。魔法封じの
お札を貼ったのに油断してマナの胸をまさぐったのは良いが、手に触れた部分の
肌の温度を一気に上げられて火傷を負ったのだ。通常1枚の札を3枚貼り、
それでもまだ自分の体には魔力を及ぼすことができるのだから、マナの魔力は
底が知れない。
 「ガキどもは一人もサラえねえし、一人捕まえてもこんな高い札3枚も使わせ
やがって・・・大赤字だぜ・・・それにいつもだったら・・・」
 もどかしそうに下卑た視線をマナの太もものつけ根にのばす頭分。それを
意志の力で無視したマナがさりげなく聞く。
 「もし、身代金が出なかったらどうするにゃ?」
 頭分は笑い飛ばす。
 「そんなコトはねえ!! なにせネコの国は大陸で一番カネのある国、そしてホンモノの
姫様だしなあ・・・一般人の10倍、いや20倍はカタイぜ・・・」
 にやにやと笑う頭分を横目で見つつ、マナは苦い顔をして思う。
 『あのババァは自分の娘にも1センタも払わないにゃ・・・自力で逃げないとかなり
マズイにゃあ・・・』
 ガッチリと縛られたロープを意識するマナ。さっきから『手が痛い』とか訴えても
完全に無視されている。少々捕まる前に本気を出しすぎて恐れられているようだ。
ふいに側の盗賊が呟いた。
 「なんだ・・・ありゃ?モンスターか?」
247『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 18:03 ID:nj+nGZ8G
 口々に後ろを見やる盗賊たち。一稼ぎしてゆっくりと行軍する盗賊たちの後を
距離を開けて何かがついて来る。
 よく見ればなんとも不気味な物体・・・いやヒトだ。顔から足まで皮膚病に冒されて
いるのか瘡だらけ。特に顔の辺りがひどく表情さえよめない、辛うじて耳の形から
ヒトなのが判る。頭皮も瘡だらけで所々から黒髪がばさばさと覗くのはとてつもなく
禍禍しい。しかも歩くときに腕の瘡から滲むリンパ液が横腹の瘡と癒着してしまうのか、
両腕を突き出してズルズル歩く姿は正にゾンビやキョンシーと言ったところ。
 「にゃ・・・あれは・・・」
 と声にだし、慌てて口をつぐむマナ。それに気付かず盗賊たちが言う。
 「あ、兄貴・・・ヤッちまいましょうか?」
 山刀を抜きかけている手下。頭分は言う。
 「やめとけ、ヤバイ病気かもしれねえ。今より近付いて来たら弓で追っ払え、
当ててもかまわねえ」
 疫病の可能性に薄くおびえつつうなずく手下たち。密かにほっと胸をなで
おろしたのはマナ。つい先日のことを思い出す・・・


 にぎやかなネコの国の市場。日にちに2のつく日は大市が立つ。何から何まで、
食べ物、妖しげな薬、大陸中の特産品、曲芸師、砥ぎ屋、馬商人、法術商、理学商・・・
そんな大市を抜けて直接王城へ行こうとする3台の檻車。市場の皆が振り返る。珍しい
ヒト奴隷商人の牛車だったからだ。やっとゴミゴミした所を抜けたヒト奴隷の一行が一息
入れていると・・・
 「あっ!! ヒト奴隷ですの――っ、珍しいですの――っ!! 」
 だーっと駈け寄るのは牛車とは逆にお城からやってきた三人連れのお姫様たちの一人。
小さな顔に不釣合いなほどの大きな猫目を光らせて檻の中を覗き込む。
248『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 18:05 ID:nj+nGZ8G
 「こらユナ、あんまり不躾に見るな・・・しかしヒトというのはホントに変な耳の
形をしているな・・・」
 と、ユナをたしなめるのは逆に180cm以上の身長の赤毛のネコ姫。ゆったりと
した緋色の長衣をウエストできゅっと革帯で結ぶ姿は実にキリッとしていて
オトコ前な感じがする。心なしか町娘がこのネコ姫に向ける視線も熱いような・・・
そして最後に気のなさそうにゆっくり歩いてきたネコ姫が言う。
 「にゃふ・・・リナもユナも行くにゃ、こんなあっという間に死ぬドレイに大金を
出すネコの気が知れにゃいにゃ」
 苦々しく言って背後のシュバルツカッツェ城の玉座の辺りを振り返るマナ。
ヒト奴隷はほとんど全て女王が大金で買い占めているのだ。そんな三人のネコ姫の
前にいきなりすっと現われるヒト奴隷商人。体型は太っているが福福しい所はなく、
目には油断ならない光がある。
 「ヒエッ、ヒエッ、ヒエッ・・・姫様方とお見受けいたしました、どうですかなこの品揃え・・・
御気に召しましたらフローラ女王にお売りいたす前にコッソリお譲りしても宜しいですぞォ」
 と、いかにも『銭が好き』という顔で三姉妹に語りかける商人。そんな口上にユナが
飛びついて言う。
 「へ〜いくらぐらいですの――っ!! 」
 「ほう・・・これは『ネコひげ薬局』のユナ様・・・あなた様ならばもうヒト奴隷の一人や
二人いてもおかしくありませんなぁァ」
 揉み手が激しくなる奴隷商人。先頭の檻車に近寄って棒を突き入れて『ホレッ、
おまえはどかんかいっ!! 』と、10人ぐらいの奴隷たちを追い散らして目的の奴隷を
檻の前側に出す。その乱暴な行動を見てイヤな顔をする三姉妹。
 「この先頭の檻車に入っていますのは私の商品の目玉ともいえます15歳以下の
奴隷でございます、これだけの奴隷を大量に扱えるのは大陸広しといえど・・・」
249『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 18:07 ID:nj+nGZ8G
 「前置きはいいにゃ」
 耳をポリポリと掻きながらマナが得意げな商人の話を遮る。商人は露骨にムッと
するがすぐにのっぺりとした笑みに切り替えてユナに向き直る。
 「この金髪のヒト奴隷はまだ8歳でして、なかなか賢いのでお値段は15万セパタ
というところ・・・」
 「じ、じゅうごまん!! 」
 素っ頓狂な声を上げるのはユナ。マナはつまらなさそうに横を向いている。
 「・・・高いですの――!! ユナにはヒト奴隷には縁がないですわ・・・」
 金銭感覚だけはしっかりしているユナは金持ち特有の見栄を見せずにすっぱりと
諦める。『チッ』と舌打ちするのは吹っ掛けすぎた奴隷商人。その時マナが何か気が
付いて商人に問い掛ける。
 「あの後ろの檻に入ってるのは何にゃ?」
 マナが奴隷を買えるはずないと侮っている商人はユナと違い、ぞんざいな口をきく。
 「2番目の檻は20歳以上の奴隷ですよ、あなたにはとてもとても・・・」
 びし、とこめかみに怒すじを立てつつマナが言う。
 「その後ろにゃ」
 3台目の檻車は前の2台よりずっと小さかった。一人用らしい。そして何か気持ちの
悪いものが入っている。黒く濡れた岩のような塊に布きれが巻きついているような・・・
 「あ、アレでございますか、あれはヒトのなれの果てと申しましょうか、この世界に
落ちて環境の変化に耐えられなかったらしく皮膚病に罹りましてな、まあその場で
捨てても良かったのですが完治する可能性もありますので、わざわざ王城まで
運んできたのです」
 じっとその蹲るヒト奴隷を見る三姉妹。よく見れば瘡は黒く、血が滲む所は赤く、
そしてロクに手当てを受けていないのか所々膿んで緑色になっており、表面は体液が
滲み、黄色見かかったリンパ液がじくじくと体を濡らしていた。顔も一面に分厚い瘡に
覆われ目鼻立ちも良く判らない。頭皮の瘡から油じみた黒髪が所々ばさりと飛び出す
様子はぞわぞわと寒気がするほどだった。
250『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 18:10 ID:nj+nGZ8G
 「えぐいですの・・・」
 「憐れな・・・」
 手を取り合って呟くリナとユナ。その怖れた様子に満足したのか得意げに言う商人。
 「まあ、こうして王城に来ても治らないならば今日で処分ですな、別の
檻車まで仕立てて大赤字でしたなァ」
 手に持っていた棒で腹立ち紛れに檻をガツンと叩く商人。3台目に隔離されて
いる奴隷は『処分』の言葉にも反応せず、僅かに呼吸のたびに背中が上下するだけ。
その時、一歩近寄ったマナが商人に詰め寄る。
 「本当きゃ?王城まで連れてきたのは食事も与えずに、コレを見世物にして金を
儲けてきたからじゃにゃいのきゃ?この格子に石のぶつかった跡や棒で叩いた
キズがたくさんあるにゃ」
 図星をさされた商人が顔に血をのぼらせ、どす黒く変色した顔で卑しい本性を現した。
 「ヒエッ、ヒエッ、ヒエッ・・・ですがイワシ姫さま、まあ自分の食い扶持ぐらい自分で
稼いでもらいませんとな、これも商売ですから」
 「むごいな・・・」
 ヒトのなれの果てをみてリナが呟く。元の世界ではこんな理不尽な扱いを受ける
こともなく、幸せな生活を営んでいたことを思うと心が痛む。そんなリナの気持ちも
知らずに商人はせせら笑って言う。
 「ヒエッ、ヒエッ、ヒエッ・・・これは私のモノですから口出しは無用にしていただきたい
ですな、雨さえ降らなければとっとと渇いて死んだのでしょうが、ヒトは非力なくせに
なかなかしぶといものですなァ」
 「感じ悪いですの・・・」
 眉をひそめてユナが口を尖らせる。マナがその商人の前にずいっと立ちふさがる。
 「な、なんですかな・・・この天下の大通りの真中で・・・」
 マナが本気になれば魔法で消し炭になるのを知っていて、ビビりながらも虚勢を
はる商人。しかしマナの言った言葉は意外なセリフ。
251『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 18:12 ID:nj+nGZ8G
 「・・・買ってやるにゃ!! 」
 「は?」
 「だから買うにゃ!! この病気のドレイをわたしが買い取るにゃ!! いくらにゃっ!? 」
 きっぱりと宣言するマナ。おどおどしていた商人の目に狡猾な光が宿る。
 「はい・・・では勉強をさせていただいて、8千のところ7千500セパタで・・・」
 目をそらして、またもや吹っかける商人。王都の一等地にワンルームマンションが
買える値段である。それを聞いて逆上したのはマナでなくリナとユナ。
 「ヒイ――ッ!! 」
 リナは背こそ30cm程低いものの、体重は自分の1.5倍近くある商人の襟首を掴み
一気につるし上げて揺さぶりつつ叫ぶ。
 「何を言うか!! さっきは『もう処分する』だの『とっとと死ね』などと好き勝手に
ほざいてこの値段かっ!? 許せんっ、このリナが天に代わって・・・」
 ユナも言う。
 「そうですの――っ!! 吹っかけすぎですの――っ、半値8掛け3割引きですの――っ!! 」
 エキサイトする二人。
 その時、ほとんど動かない病気のドレイが初めて動いた。小さく顔を上げる。
視線はリナやユナをよけてマナと絡み合う。片目だけだがマナと目が合った。

 『・・・・・・!! 』
 マナの胸に電流が走る。よく判らない胸騒ぎは初めての経験。

 おぞましい色の瘡の中でその白目の部分は意外なほど涼しげ。そして瞳は黒色ながら
一辺の濁りもなく仄かな知性の煌きさえあった。そう、まだ『死んでいない』のだ、心も・・・
 いや・・・マナの心を捉えたのは、その目が買われるドレイの視線ではなく、逆にマナを
測るような目線だったのに気が付いたからだ。
 『今、値をつけられているのはわたしにゃ・・・』
 マナはぐっとその病気ドレイを睨みつける。するとその気合を逃がすように、また
ゆっくりと病気ドレイの目は閉じられた。カッとしたマナはリナを押しのけるようにして
商人の前に立つ。
252『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 18:14 ID:nj+nGZ8G
 「かまわにゃいにゃっ!! 7千5百・・・500は前金、あとはローンにゃ!! 」
 『バーン』と、500セパタの札束を叩きつけるマナ。なぜかお金を出したのはマナの
財布ではなく、ユナのがまくちからだが・・・
 「ま、ま、マナ姉――っ!! 」
 一拍遅れてそれに気がつき青くなって悲鳴を上げるユナ。商人が気が変わらない
うちにと、体に似合わない機敏さで3台目の檻車から病気ドレイを棒で叩き出し、
逃げるように去って行く。
 ぽつんと取り残される三姉妹と病気のドレイ。
 「値切らないとだめですの――っ!! 」
 と、食ってかかるユナを尻目に道の端に蹲っているドレイを見てマナは言う。
 「このドレイを買うのに値切る必要はないと思ったにゃ、値切ればその人間の
魂まで値切ることになってしまうにゃ・・・」
 ユナはちんぷんかんぷんな表情。リナは少し理解できるのか、『あ、姉上・・・』と感動の
面持ち。

 そしてその大金をはたいて買い取った病気ドレイにマナはあっさりと『あとは好きに
生きるにゃ』と言って自由にしてしまう。ユナもぶつくさ言う割にはカバンに食料と薬を
入れて首にかけてやる気遣いを見せていた。一番損をしているのはユナなのだが、
時おりびっくりするほど他人に優しさを見せることがある。リナも病気ドレイに嫌悪感を
見せることなく、新しい靴とかを買ってあげたりして涙ぐみながら優しい言葉をかけている。
そして町人の少ない町外れで別れた。病気ドレイはいつまでも呆然と立って三姉妹を
見送っていた。何を思うのだろうか・・・その顔の目の辺りが濡れているような気がした。
 そう、それが昨日の事・・・
253『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/01 18:20 ID:nj+nGZ8G
     (続く・・・)

 久しぶりになります。いろいろあるのです、人生には。

 さて、マナは3日以内に助け出さなければ殺されてしまいます。
 でも、マナの連れ去られた場所を知っているのはその当人たちと
マナが戯れに買った奴隷らしきモノが一人いるだけ・・・

 次回だけ早めにうぷする予定。同時に動いてるSSがあると
ヤル気がでますよね・・・
254名無しさん@ピンキーsage04/03/01 22:21 ID:+ZMRywUK
マジで続きが気になりまっす!
新シリーズにも超期待sage
255名無しさん@ピンキーsage04/03/02 01:09 ID:9UqyWKSx
キタ━━━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚  )━(  )━(  ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━━━!!!!
忙しいみたいだったのに来てくれて本当に感謝です!!
256名無しさん@ピンキーsage04/03/02 20:53 ID:3bFa1FPh
キタキタキタ
キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!
まさに「時間がかかっても良作を!」という
このスレの雰囲気にピッタリな展開!
今後も三人三作に期待しまくりでつ!

ところで今回のこちむいで出てきた「センタ」は
「セパタ」の書きマチガイでつか?
それともセパタよりも小さい金の単位でつか?
前作までには登場してなかった肝するんでつが
257名無しさん@ピンキーsage04/03/03 04:10 ID:Hek4aDew
初カキコー。
ずっとロムってたんですが作者さん増えてきてうれしいです。
>>256
前スレ575に
1000センタ=1セパタと設定ノートに書いてある。と書いて有りますよ。
それだけです。
後、このスレ最高です。
258『こちむい 0』sage04/03/03 09:59 ID:2k8nQw7z
 他のSSがなければ明後日にうぷする。
 と、自分を追い込んでみる。

 >>257 乙!!
 よく憶えてる人がいたかとびっくりしますた。
 たしかに、いままでの前作には一回も『センタ』は出ておらず、
 質問の回答に一回出ただけの単語です・・・

 次回、一気に活劇ぽく・・・
259257sage04/03/03 12:25 ID:EqUFUtrd
作者様からレスキター(゚Д゚;≡;゚Д゚)
気に入ったスレッドはhtmlで保存してるのです。
それが初めて役に立った…(汗)
次回を楽しみに待っております。
では。 壁|・)ノ
260前スレ57104/03/03 22:05 ID:/3j93JZQ
前スレで「出会い編」のリクをした者です。
まさか本当に書いていただけるとは…思いもよらなかったというか、申し訳なひというか…

これまでの『こちむい』に無いシリアスな展開に「0」の結末が楽しみですー。
新シリーズも期待してまつ。がんがれ!
261名無しさん@ショタい盛り提案者sage04/03/03 23:38 ID:t5iT0wyU
シリアス>あったやん。ミルフィ姫とソラヤ君で盗賊退治した時とか、最終話とか…

初期の頃から見ている者としては、やっぱり色々と感慨深さを感じながら読んでます。続きも楽しみに待ってますわ。

勿論、他の各職人さん達もがんがれー。
262名無しさん@ピンキーsage04/03/04 14:32 ID:D+5b3GPj
うぁ〜
久しぶりにのぞいてみたら職人さん増えてる〜っ
♪ヽ( ̄▽ ̄ヽ)♪(▽ ̄ヽ)♪ヽ(   )ノ♪(ノ ̄▽)♪(ノ ̄▽ ̄) ノ♪

みなさま、素晴らしい作品乙でありますっ!
続きを楽しみにしておりますです
263260sage04/03/04 17:04 ID:gRdDPc8K
>261
ぐはー確かに・・・そういえば9と10まだ読んでなかったかも
しばらく来てなかったから・・・ごめんなさい

ついでにsage忘れ・・・逝っときます(ノд`)・゚・。・゚
264名無しさん@ピンキーsage04/03/04 18:41 ID:xmqOPd7c
たまに上のほうにあるとなんだか嬉しくなるのは漏れだけですか。
ともあれこのスレ大好きです。職人さんたち乙です&がんがってください!!
265名無しさん@ピンキーsage04/03/04 21:31 ID:lhxRe++T
>>257-8
dクス
前スレから読んでたのに見逃してたとは…ウツダ


>>264
漏れは一番下にこれだけの良作&良スレがあると思うと嬉しくなりまつ
266『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 08:44 ID:btdCAvGG
灰色の石畳の上をマナを乗せた荷馬車が走る。もう半日以上進み続けているが、
マナが解放してやったドレイは未だについて来ていた。進んでいるときはじわじわ
離されていくが、小休止や食事の時間・・・マナには水一杯しか与えられなかった
が・・・のたびに追いついてきた。まだ体が弱っていて、追いつくたびに力尽き、崩れ
落ちるように蹲る。そのまま起き上がれないような気がしてマナはハラハラしてしまう。
 『どこへでも好きに行けばいいのに・・・』
 とヤキモキして思うマナ。
 「近づくんじゃねえっ!! 」
 また盗賊が弓を放つ。半分本気で狙った矢は、ドレイをかすめる。マナは
その度に心臓をつかまれるような気がしてぎゅっと目をつぶる。

 日が替わり、石畳の道を外れてしばらく行くと川に出た。上流に近いらしく
川幅は狭いが流れは急。川の両端に跳ね橋が掛かっていて、頭分が合図すると
片側30mほどの跳ね橋がゆっくりと降りた。両方の跳ね橋の根元には盗賊が監視
する中、人足たちが黙々と大きなハンドル付きの歯車を回して跳ね橋の機構を
動かしている。口一つ聞かず、黙々と作業するかわりに、一様にその目には生気がない。
 「おまえ等の仲間きゃ?」
 マナが聞くと代わりに盗賊の一人が得意げに言った。
 「この川ッ淵の村の連中さぁ、娘やら女房を人質に取っているから何でも言い
なりだぜ・・・あいつら自分の娘にアジトで何されてるかも知らずによぉ・・・ケケケケ」
 欲望にまみれた下劣な回想をしたのか、涎を流さんばかりに盗賊は言う。
 「人質に乱暴すればそのうち誰も言うことを聞かなくなるにゃ」
 自分も人質ということを忘れて言い返すマナ。しかし盗賊は言う。
 「なあに、一旦皆で犯しちまえば、女の方から『自分の夫や親には内緒にして』って
言ってくるからなぁ・・・けけ、きっと姫様もお城に戻るときは最後は泣いてそう言う
ぜぇ、キズモノって言われたくねえだろぉ」
 いやらしい目つきで盗賊に視姦されながらマナは唇を噛んだ。溢れる怒りを
耐えるために。
『最低にゃ、こいつら普通の盗賊より下の屑にゃ・・・そしてわたしもにゃ・・・』
この村の状況を知って、王家の一員として自らを羞じるマナ。その村人の中を通り
 抜ける間、固く目を閉じて、身を震わせるしかなかった・・・
267『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 08:48 ID:btdCAvGG
 
 馬車は進む。もう丁度1日経った。川を渡り、土手の向こうはちょっとした砂丘に
なっていた。渇いた砂が地表すれすれを吹き抜ける。馬車の車輪も時々砂に
取られて沈む。盗賊たちも顔を布で覆って下を向いて騎行していた。マナには
もちろん砂よけの布など与えられなかった。いや、万が一、与えられてもマナは
この盗賊からの情けなど拒否していたに違いない。砂塵の中、必死で薄目を開けて
後方に目を凝らす。側の盗賊より今、何よりも見たいものがそこにあるはずだった。
 いた・・・砂煙の中にあの病気のドレイの姿。黒い瘡は砂塵のせいですっかり渇いて
白っぽくなっている。どんなに乱暴に追い払われても、どんなに遠くへ来ても、
どんなに飢えても、どんなに渇いてもあのドレイはマナについて来る。足を何度も
取られながら必死で体を引きずるようにしてついて来る・・・
 『そんなに心配してもらえるほどわたしは立派なネコじゃにゃいにゃ・・・』
 そして、ふいにあのドレイが力尽きて、この世からいなくなってしまうような気がして、
いきなり心の奥を揺さぶられるような、かきむしられるような気持ちがマナを襲う。
砂塵が口中に飛び込むのも構わずマナは大声で叫んだ。
 「もうっ、もういいにゃっ!! ついて来るにゃあっ!! わたしは平気だから、大丈夫だから、
くっ、うっ、お、お前なんてキライにゃあ――っ!! 」
 前に身を乗り出したので芋虫のように縛られているマナは、顔から床に突っ込んでしまう。
胸の激情が胸に迫り、自分でも何を叫んだのか判らない。口の中も心の中もザラザラした。
ただ、その叫びは砂嵐に千切れて至近の盗賊にも届かない。砂嵐のなかに病気ドレイは
沈むように見えなくなる・・・
268『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 08:51 ID:btdCAvGG
 

 日は完全に落ちた。二日近くをかけてたどり着いた盗賊達のアジトは、砂丘の真中に
浮くように立つ廃城だった。土地が砂漠化したときにネコの国が放棄した国境に近い
小城だ。一つしかない分厚い城門をくぐると、マナは中央広場の奥まった所に据え付け
られた檻の中に叩き込まれる。ロープはほどかれたが、鉄格子にはやはりびっしりと
魔法封じの呪文が彫られていた。それを見て溜息をつくマナ。

 しばらくすると盗賊達の酒盛りが始まった、さらって来た女に酒を注がせている。
身代金の皮算用でもしているのか、皆一様にはしゃいでいる。
 「あんなに喜んでも無駄にゃのに・・・」
 マナは広場の賑わいを遠目に見て毒つく。おそらく、遅くとも明日の夕方には『身代金は
払わない』という返事が来る・・・いや、フローラの事だからいきなり使者を処刑しかねない。
そうなれば、人質の自分が無事に済むとは考えられない・・・盗賊たちとは裏腹に一人
暗澹として座り込むマナ。
 砂丘の中にある城では尽きることのない酒盛りが続く。食べ物や酒は盗賊たちが
無理やり脅したのか、さっき通り過ぎた川辺の村からひっきりなしに届く。長い道中で
砂まみれになった村人は、重い荷物を背負い、あるいは車を押して入城し、盗賊達の
酒盛りから少し離れた広場の一角にその貢物を積み上げて行く。その時、盗賊に拉致
された娘や嫁を村人が必死で目で探す様子は憐れである。無理やり酒盛りに駆り出され
ている娘達も荷物が届くたびに首を伸ばして親族を探す様子は物悲しい。そんな
気持ちに頓着することなく盗賊は勝手にふるまい、娘達にちょっかいを出す。やり場の
ない怒りを胸に村人は遠い道のりを帰っていくしかない・・・
 そんなやるせない光景に自分の無力さに一人歯ぎしりするマナ。しかし怒りの声より
も早くお腹が鳴った。
 『ぐ〜・・・』
 空腹のせいでマナはへなへなとひざを抱えて丸くなる。この廃城に来てから食事を
させてもらえず、さすがのマナも少々こたえる。お腹と背中がくっつきそうになりつつ、
眠ろうとするマナだが、お腹が空きすぎて眠れない。すると檻の中に人影が差した。
 
269『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 08:54 ID:btdCAvGG
 「にゃ!? ・・・」
 マナは身を起こす。盗賊の頭分がいた。一方の手には酒瓶。もう一方の手には
嫌がるネコ娘を抱えている。
 「けけけ・・・ハラ減ったか?一発ヤらせてくれたら飯食わせてやるぞ、ホンモノの
姫さんとヤッて見てえもんだ」
 酒臭い息に顔をしかめてマナはさらりと言う。
 「わかったにゃ、じゃあココから出すにゃ、お前が檻に入ってきてもいいにゃあ」
 グッと頭分を睨みかえすマナ。その目つきは少々の飢えではまだ死んでいない。
蔑むようなマナの瞳の中には満々に殺意さえ満ちている。密かに怖気づく頭分。
村娘をかき抱いて捨て台詞を吐く。
 「ケッ、気の強い姫様だぜ・・・あとな、ウワサだが王城で盗賊10人が打首に
なったそうだ。おれ達が王城にやったのも10人、まさかオレ達の仲間じゃないだろうが・・・」
 いわくありげにマナを覗きこむ頭分。
 『あのババァ、いきなり殺したにゃ・・・』
 マナは心の中を激しく波立たせつつ、表情に出ないよう懸命に取り繕う。
 「明日の夕刻までに誰も帰ってこなかったら・・・呪文を唱えられねえように舌を抜く、
印を組めねえように指は切り落とす、そして死ぬまで休みなく犯してやる・・・全員でな・・・」
 黄色い歯を剥き出しにして残虐に笑う頭分。マナは唇を噛む。
 『こいつなら本当にやりかねないにゃ・・・』
 と、ピンチに視線を泳がせると・・・その時、視界のカゲになにか引っ掛かった。
うず高く積まれた貢物のカゲからズルズルと移動して行く何か・・・
 マナは驚愕に目を見開く。
 「にゃにゃっ!あれは! 病気ドレイ・・・」
 「病気?あん?なんだぁ・・・」
 後ろを向こうとする頭分にマナは大声で叫ぶ。
 「びっ、病気にゃっ!! オナカが痛いにゃあ!! 」
 と、わざとらしく腹を抱えるマナを見た頭分はせせら笑って言う。
270『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 08:56 ID:btdCAvGG
 「けっ、腹が減っただけだろうが・・・でもな、明日仲間が帰ってくるまで水一滴
くれてやらねえ・・・おら、行くぞ!! 今日はお前が俺の相手をしろ!! 」
 気が済んだのか、頭分は獣欲をたぎらせて、嫌がるネコ娘を引きずって兵舎に
引っ張り込む。
 マナは横目でさりげなく病気ドレイが城壁のカゲに入ったのを見てホッと息をつく。
しかし、自分の残された運命を告げられてさすがにガックリしてしまう。でもやっぱり
お腹は空いたままなのがひどく悲しい・・・


 しばらくすると宴会も下火になる。広場の大きなかがり火もだいぶ火力を落され、
半分以上はさらった娘を犯すため建物の中に引っ込んでいる。後は酔いつぶれて
寝ている者としぶとく酒を流し込んでいる者が半々といったところ。ひっきりなしに
運び込まれていた食料も今はポツリポツリとしか来ず、見張りもウトウトして
持ち場からあまり動こうとしない。
 『コト・・・』
 マナの檻の横で物音。マナは待ってましたとばかりに格子に飛びつく。
 「・・・お、おまえきゃ?・・・」
 小さく囁くマナ。目を凝らせば暗がりにすっかり砂丘で瘡がカラカラに乾いてしまった
病気ドレイが蹲っている。ドロドロの瘡が乾いて白っぽくなったせいで、蹲って
いると本当に岩のように見えた。
 「・・・・・・」
 病気ドレイは砂まみれの腕をギクシャクと使って、ユナに買ってもらったカバンから、
貢物からくすねたお盆のようなパンと水筒をマナに差し出す。その水筒とパンに
マナは賎しくも礼も言うのも忘れ、奪い取るようにして喰らいつく。何よりも水分が
ありがたかった。涙が出そうになって瞼を慌てて瞬かせる。マナは悲しかったり
感激したりして、一度も泣いた事がないのが自慢なのだ。
 食事を1分足らずで終えたマナは小声で病気ドレイに言う。
「 喰ってから言うのもにゃんだけど・・・なんでついて来たにゃ、わたしは『もう自由に
生きろ』って言ったにゃ・・・」
 返事を期待せず、独り言のように言うマナだったが、病気ドレイからいきなり返事が
返ってきて驚く。
271『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 08:58 ID:btdCAvGG
 「自由・・・だから、ついて来た・・・」
 少しザラついているが、幼さの残る甘い声。声は小さいがしっかりとした意志を
感じた。薄く笑ってマナは呟く。
 「にゃふ・・・そうきゃ・・・じゃあわたしがもう帰れって言っても、言うこと聞かにゃいか・・・」
 「・・・・・・」
 こっくりとうなずく病気ドレイ。首関節の上から瘡が固まってしまったらしくブリキの
おもちゃのようなギシギシとした動きになっている。
 青い月光の下、うずくまるドレイに囚われの姫様の視線が絡む。
 『コイツを殺したくにゃいにゃぁ・・・』
 マナは痛烈に思う。親にも見捨てられた自分について来た・・・マナがゆっくりと言う。
 「お願いがあるにゃ、明日の夕方にはわたしは処刑されてしまうにゃ、それまでに
助けを呼んできてほしいにゃ・・・食べ物おいしかったにゃ、ありがとにゃ・・・」
 マナは言う。今生のお別れの挨拶のつもりで・・・。
 ほぼ一日と半分をかけて来た行程をこの病気ドレイが馬なし、しかも僅か1日で
走破できるはずはない。ただ、マナはこの律儀な病気ドレイを一緒に殺したく
なかったのだ。自分が処刑される時間には、この病気ドレイが安全な所に脱出して
くれればいい・・・
 「・・・コク・・・」
 小さくうなずいたドレイはしっかりとマナを見つめた。瘡に被われた顔はマナに
とっては決して醜くはない。逆に涼しげな瞳がマナを射抜くとマナの胸が不思議に
熱く騒ぐ。暗くなかったら薄っすらとマナの頬が染まっていたのが判ったに違いない。
 ドレイが言った。
 「・・・必ず・・・もしあなたが助かれば、その時は・・・」
 「その時は・・・何にゃ?」
 マナが首を傾げ、聞きなおしたとき。本日おそらく最後になるであろう、村からの
貢物が届いた。固く閉じられていた城門が『ゴゴゴ・・・』と開き、果物を積んだ大八車が
ゆっくり入ってきた。
272『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 09:01 ID:btdCAvGG
 それを見た病気ドレイは何も言わずに立ち上がると、ギクシャクと広場を
突っ切って無造作に今だけ開いている城門に向かって歩いて行く。
 「こ、こらっ!? な、何考えてるにゃっ・・・」
 あまりの大胆不敵な行動に小さく悲鳴を上げるマナ。しかし、ことごとく運は
ドレイに味方をした。居眠りして寝返りをうつ盗賊の至近を通り過ぎ・・・夢中で
話し込む盗賊の背後を気付かれずに歩み去る。まるで魔法が掛かったように
ドレイは妨害なく広場を突っ切り、城門の手前まで到達した。
 しかし、ついに城門を開けた盗賊二人に見つかる。異様な外見の病気ドレイが
近づいてきて驚愕する盗賊。ちょっと見はゾンビにしか見えない。
 「き、貴様っ・・・な、何者?・・・」
 辛うじて声を掛けるが、無視したドレイはその目の前をゆっくり、堂々と通過して行く。
さすがに外から入ってくる者を入れない訓練はしているが、堂々と出て行く者の
対応は想定外の出来事なのだろう。門番の二人は、目の前を通過して行くドレイを
フリーズしたまま見送ってしまう。後、5歩も歩けば城門の外。マナはギュッと手を
合わせていつもは全く信じていないネコ女神様に奴隷の無事を祈る。だが、小さな
幸運の積み重ねもここまでだった。
 「うう・・・ションベン、ションベン・・・」
 と、間の悪いことにトイレに兵舎から出てきたのは頭分。マナが慌てて注意を逸
らそうと大声を上げる前に目ざとく城門前の病気ドレイを見つけた。今日までの道中で
その姿を知っている頭分は驚くことなく指示を飛ばす。
 「おいっ!! そこの出て行くヤツを止めろっ!! 」
 城門前で凍り付いていた門番二人が弾かれたように病気ドレイに追いすがる。
その肩に手を掛けようとした時だった・・・
 「こら、待てよ・・・ぐはっ!! 」
 「うわっ!! 」
 いきなりドレイの背後で転倒する二人。落ちていたリンゴを踏みつけてしまって固い
地面に背中から叩きつけられる。
273『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 09:04 ID:btdCAvGG
 「おっとすみません、こぼしちまいました・・・」
 ニヤリと笑って言うのは大八車で果物を運んできた村人だった。手にはリンゴの
入った麻袋。ちなみに病気ドレイを隠して場内に手引きしたのは彼だったりする。

 かくして病気ドレイは城門のスキマから暗がりに消えた。頭分は舌打ちして言う。
 「この場所がバレるのはまずいか・・・おいっ!! 誰か10人ばかしで追いかけて
ブチ殺してこいや!! 舐めたマネをしやがって・・・」
 と、トイレに行き、寝なおす頭分。病気ドレイのあのカラダでは遠くに逃げられないと
油断していたのだ。このとき総出で追跡していれば、また運命が違っていたかも知れない・・・

 ギクシャクとした足取りで城門を後にすれば、そこは青い月に照らされた砂の世界。
昼間あれほど吹きすさんだ風は死んだように止まっていた。そして、ぼくはゆっくりと
走り始める。何日も狭い檻に入れられたせいか走り方を忘れたみたいになって、
ガクガクと体が上下に揺れる。だが、すぐに動きはなめらかになり、スムーズに体が
動くようになった。
 右足と左足が交互に、右手と左手は弾みを付けるように振るとぐんぐんとスピードが
乗ってくる。
 『ビシッ、ビシビシッ!! ・・・』
 激しい動きに、すっかり乾いた瘡にヒビが入り始める。そしてボロボロと剥がれ落ちてきた。
 始めは足首。瞬発力のありそうなきゅっと締まった足首があらわれる。
 そして太もも。部活で日焼けしていた肌は月明かりの下でも判るほど真っ白に
なっていてぼくをびっくりさせる。
 そしてお腹。無理やりヒビに指をコジ入れてはぎ取る。ずっしりと重いお腹の分厚い
瘡が取れると体が軽くなってもっと早く走れるようになった。ずいぶんとスマートに
なって服代わりの布がストンと落ちるが、慌てて腰に巻きつけるようにして、日の
あたらなかった生っ白い肌を隠す。
 腕は勝手に瘡が砕けて後方に吹き飛ばされて行く。久しぶりの外気に触れた
二の腕が少し痒い。
274『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 09:07 ID:btdCAvGG
 顔の瘡も手の平で叩くようにして取る。手で探ればちゃんと鼻はついていて、
溶けていなくてホッとする。細いけれど、くっきり眉毛もそのまま。男のコにしては
長い睫毛も残っていた。視界も良好で、吸う空気もおいしい感じ。ぼくは一気に
加速する。
 捕まえられたら殺されちゃうかもしれないのにぼくは走る。そして思う。それは、
買ってもらった靴のために、首にかけたカバンのために、そしてあの奴隷商人に
踏みにじられた魂を取り戻してくれた、あのお姫様のために・・・『絶対あのキレイな
お姫様を助ける』って。
 酷い姿のぼくを見て、唯一嫌悪せず、そして憐れまなかったネコ姫様。見ず
知らずのぼくのために意地をはって大金を投げ出した人・・・絶対に助ける。たとえ
このまま力尽きてもあの美しいネコ姫様を助けたい!!
 『あのお姫様を助けられるのは、今ぼくしかいないんだ・・・』
 ドキドキするような嬉しさと誇らしさ、不安がない交ぜになってぼくを襲う。これが
きっと『トキメキ』ってやつだと思う。息を弾ませて走るぼく。
 そのときはるか後方で気配がした。振り返れば城門から馬に乗った盗賊が10人
ほど出てきて、ぼくを殺そうと追いかけて来る。ぼくは砂に足を取られつつ、さらに
ペースを上げる。月に魔力があるのならば・・・ぼくに力をください・・・
 「姫様・・・もしあなたが助かったら・・・その時ぼくを・・・」
 小さく呟く、ぼくの魔法の呪文。解き放たれたように走り出す。もう月夜の砂漠の
砂を踏みしめる音と息遣いの音だけしか聞こえない。

 見世物だった醜い怪物は月光の下で美少年へと変わり、しなやかな半裸の体を
砂漠に踊らせる。サナギから美しい蝶になったように・・・青い月の下、あのキレイな
ネコ姫様を助けるために・・・
275『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/05 09:20 ID:btdCAvGG
       (続く・・・)

 次回最終回。クライマックスは命を賭けた鬼ごっこ。
 ついに『ぼく』が登場しました。

 もっと華麗に登場させてあげたかったのですが、
 まだ文章力不足のようです・・・自分のイメージよりも
 ショボイ感じになっていて少しカックリ・・・
 『エロなし』ということで興味を繋ぎ止められているのか
 ドキドキして書いています。

 ストーリーはバレバレかもしれません。話の運びは
 『王道』っぽいのが大好きなものですから・・・
 次回一週間後。走れ!『ぼく』

 
 
276名無しさん@ピンキーsage04/03/05 09:49 ID:y1w2MfuU
朝早くからキタ━━━(゚∀゚)━(∀゚ )━(゚  )━(  )━(  ゚)━( ゚∀)━(゚∀゚)━━━!!!!

グレート『王道』&『エロなし』お話ですが、素晴らしくGJ!!!!
初々しいマナ様&けなげな『ぼく』に激しく萌えますた。

…しかし、続きは一週間後ですか…。うぅぅ、ドキドキし過ぎて待てないYo!!!!


277狐耳の者sage04/03/05 19:36 ID:WV1Gz+gi
キテル――(゚∀゚)――!!
がんばれ!「ぼく」!

ただひとつ疑問が
皮膚病の腫瘍って砂嵐で乾いて取れましたで治るもんなのですか・・・?
278名無しさん@ピンキーsage04/03/06 00:09 ID:53CoPpvU
愛の力に不可能は無いのでしょう。
279名無しさん@ピンキーsage04/03/06 00:27 ID:0bVkQivm
>277
殆ど治っていて、後はカサブタが剥がれるのを待つだけだったのでは?
と言ってみるテスト。
280名無しさん@ピンキーsage04/03/06 00:32 ID:QdG8Jj2T
>>279
檻の中という衛生・栄養状態で治るだろうかと蒸し返してみるテスト
281名無しさん@ピンキーsage04/03/06 00:40 ID:QdG8Jj2T
突っ込みを入れるばっかではなんなんで

実は皮膚病ではなかったとか。
檻の中というジメジメした環境で、カビのようなモノが全身の皮膚で繁殖してたのだとか。
それが砂漠の乾いた環境で水分を失って死滅したとか。
282名無しさん@ピンキーsage04/03/06 02:43 ID:2NOpYe43
そういう症状の猫鬼だった
283名無しさん@ピンキーsage04/03/06 03:20 ID:GnRoQZFw
実はただの垢の塊だった。
284名無しさん@ピンキーsage04/03/06 03:59 ID:baNMqcBm
>>280
>ユナもぶつくさ言う割には
>カバンに食料と薬を 入れて首にかけてやる気遣いを見せていた

って書いてあるから、薬の効果+砂漠で乾燥して直ったとか
285『こちむい 0』sage04/03/06 10:40 ID:F/BNnTIr
ワードを使用しているのですが、なぜか『かさぶた』という単語が
 変換できず、(瘡ぶた、になってしまう) 『痂』(ギコナビだと一発ででた)の
 代わりに『瘡』を使用してみたのですが・・・

 『意味は通じるだろ』などと軽い気持ちでいて、
 指摘を受けて漢和辞典をあわてて見ると・・・
 『瘡』はれもの・できもの及び切り傷・・・と、書いてあり
 全く、『かさぶた』とは関係ない意味になってましたわ・・・

 イメージ的には、>>284 ほとんど終息に向かっていた皮膚病がユナに
 もらった薬で一気に治った・・・というのはどうでしょう?
 ほら、抗生物質を使ったことのない未開地の人は、薬が爆発的に
 効くそうですし・・・

 
286SS保管人sage04/03/06 13:44 ID:QdG8Jj2T
自分のだと「かさぶた=瘡蓋」になるなあ。
書いてあってもまず読めないけどw

保管庫の方では『瘡』をどう置換しておきましょう?
287名無しさん@ピンキーsage04/03/06 13:46 ID:HcRYh9WD
作者さん、頑張ってね★みんな細かいことは気にしない!
288名無しさん@ピンキーsage04/03/06 20:08 ID:nAY6ubmD
てっきり漏れは変装かと…
ヒトだとバレたら奴隷商人に売られるor見つけたネコに飼われる
だろうから…

チガウナ
289名無しさん@ピンキーsage04/03/09 15:18 ID:vR8QBUyI
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人(゚∀゚)人(゚∀゚)人(゚∀゚)人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
うう、「値切ればその人間の魂まで値切ることになってしまうにゃ・・・」の台詞がズンと来ました。
続きに期待
290名無しさん@ピンキーsage04/03/10 19:43 ID:dtF4FObH
期待sage
291名無しさん@ピンキーsage04/03/11 00:20 ID:Z26JDB1+
久々にフライングまだかなー
292名無しさん@ピンキーsage04/03/12 03:24 ID:86CG+nJV
一週間たった…щ(゚д゚щ)カモーン
293180sage04/03/14 12:52 ID:Pe87m01E
 割り込みで恐縮ですが、「イヌの国」編第二話書き上がりましたので投稿させて頂きます。
(相変わらずひとんちからですが……)
 生暖かい目で見守ってやって下さい。
294IBYD-2sage04/03/14 12:53 ID:Pe87m01E

 静まり返った廊下に二人分の足音がこだまする。
 僕はご主人様の親衛隊長――アズカ様に肩を貸してもらって、なんとか歩を進めていた。
「あの……」
 おそるおそる、隣に声をかけてみる。
「何だ」
「ありがとうございました。ここから自分の部屋までなら一人で歩けますから、もう――」
「却下だ。下手な強がりを通して、途中で倒れられては困る」
 うう。やっぱり駄目か……あんまり迷惑かけたくないんだけど……
「それと。まっすぐ自分の部屋に帰られるのも困る」
「え?」
 聞き返すひまもなく、なかば連行されるみたいにして僕は引きずられていく。
「あ、あの。僕の部屋はこっちじゃないです……」
「休む前に入浴してもらう。姫様の匂いを落とさないままでいるつもりか?」
「……あ」
 そうだった。ヒトの僕はしばしば忘れてしまうけど、イヌの国の住人はみんなすごく鼻が利くんだ。
 今アズカ様がしたみたいに、僕から姫様の匂いを嗅ぎ取られたりしたら……まずいに決まってる。
「姫様は外界との接触が少ないからまだしも……お前は城外まで使いに出されたりもするのだろう。
 本来ならば姫様がヒト奴隷をどう扱われようが構わないのだが、今は時期が悪い。あまり公にすべきではない」
 サリクス様との婚礼を間近に控えている、からだよね。やっぱり……
「でも、当のサリクス様にはもう知れてしまったんじゃ……」
「そうだろうな。鼻を利かせるまでもない。夜、姫様のご寝所からオスが出てきたとなれば、何があったかおおよそ見当はつく。
 まあ……奴は誰にも言うまい。ヒト奴隷風情に花嫁を寝取られたとあってはいい面の皮だ」
「ね、寝取っただなんて、そんな――」
「着いたぞ。浴場だ」
 僕の反論はあっさりさえぎられた。
295IBYD-2sage04/03/14 12:54 ID:Pe87m01E
 脱衣所に足を踏み入れる。
「カルナに支度はさせておいた。湯は張ってあるはずだ」
 その言葉の通り、浴場へと続くガラス戸が曇っているのが見えた。
「すみません、何から何ま――」
 そこまで言って僕は絶句する。
 どうしてって……アズカ様が服を脱ぎ始めたから。
「な……なんで脱いでるんですか!?」
「分かりきった事を聞くな。入浴の際には裸になるのが当たり前だろう」
 脱衣する手は止めずに、当たり前のように言うアズカ様。黒曜種独特の褐色の肌が晒け出される。
「え。……まさか」
「私が湯女の真似事をしてやろう、と言うのだ。お前も早く着ている物を脱げ」
「じ、自分で洗えますから! 大丈夫です!」 
 形のいい胸を視界に入れないように努力しながら、僕は両手を前に突き出す。
「完全に姫様の匂いが消せたかどうか、ヒトであるお前に分かるのか?」
「そ、そこまで厳密にしなくても……
 普段もご主人様の身の回りのお世話とかはさせて頂いてるんですから、多少の匂いなら残っていても大丈夫かと――」
 でもアズカ様は引き下がってくれなかった。床を見つめていた僕の顎に手を添えて、強引に上を向かせる。
 深い黒の瞳に射すくめられて、僕はそれ以上何も言えなくなる。
「……私に脱がされたいのでなければ、自分で脱ぐがいい」
 どうやら、「僕ひとりでお風呂に入る」という選択肢は存在しないらしかった。
 僕は観念して、従属を示す首輪だけ残して服を全部脱いだ。
296IBYD-2sage04/03/14 12:55 ID:Pe87m01E

 スポンジが肌を擦る音だけが響く。
 浴槽のすぐそば、僕はアズカ様に背を向けて丸イスに腰かけていた。
 アズカ様はただ黙って僕の背中を洗っている。確かにこれといった話題があるわけじゃないけど、なんだか沈黙が重い……
「ところで――」
 と考えていた矢先、背後から声がかけられる。
「姫様との房事は、作法通りに行ったのだろうな?」
 ぎくっ!という音がどこかで鳴ったような気がした。
「も……もちろんです。教えて頂いた通りにしました」
 一回目は。と心の中でだけ付け足す。
「……」
 アズカ様は何も言わず僕にお湯をかけた。その温度が少し熱すぎるように感じたのは……僕に後ろめたさがあるせいだろうか。
「……で? 感想は?」
 さらに突っ込んだ質問を飛ばしてくるアズカ様。
「か、感想って――」
「感想は感想だ。『素晴らしかった』とか『天にも昇る心持ちだった』とか『もう死んでも悔いはない』とかあるだろう」
 要約すると全部同じ意味のような気がするんですけど……
 ……でも、確かにすごく気持ちよかった。いつも上品なご主人様があんな風に……
(って、わぁ!)
 いつの間にか、僕のものがまた元気になりかけていた。猫背になって必死でそれを隠す。
「聞いているのか?」
「は、はい。その……素晴らしかった、です」
「当然だ。私の主君たるお方だぞ? 容姿端麗眉目秀麗才色兼備、その姫様と……お前が……」
 次第に声のボリュームが落ちていって、ひとりごとに近い呟きになる。ちょっと……怖かった。
 うう。やっぱりアズカ様、怒ってるのかなぁ。僕にそういう役目を教え込んだ張本人なのに……
 でも、いざ実際に僕とご主人様が関係を持つようになってみると、割り切れない思いがあるのも仕方ないのかな……とも思う。
 親衛隊長を任されているだけあって、アズカ様はご主人様のことを本当に大切に思っているから。
 でも、なんていうか……アズカ様の場合、ただ「主君」というだけじゃなくて、ご主人様に対してもっと別な感情があるみたいで……
297IBYD-2sage04/03/14 12:56 ID:Pe87m01E
「次は前だ。こちらを向け」
「はい……えぇ!?」
 生返事してしまったことをすぐに後悔した。僕が考え事をしているうちに、アズカ様は背中を流し終わってしまったらしい。
 僕の肩を掴んで振り向かせようとする力、に必死で抵抗する。
「けけけ結構です! 前は自分で洗いますからっ!」
 今、アズカ様と正面から向かい合うわけにはいかない。僕は背中を丸めてどうにかしのごうとする。
 しばらくそうしているうちに、肩に置かれた手の感触が消えた。
(諦めてくれたのかな……?)
 そう思ってそっと顔を上げた――途端、目と鼻の先にアズカ様の顔。
「うわぁ!」
 何のことはない、アズカ様は単に前の方に回り込んでいただけだった。
 驚いた隙を突かれて、僕はそのまま床に組み伏せられる。
 背中がタイル貼りの床に押しつけられて冷たい。胸にアズカ様の長い黒髪が落ちてぞくぞくする。
「あまり手を焼かせるな」
 真上から僕を捉えて離さない視線。思わず目を合わせてしまう。……そうすると、自然とアズカ様の体も視界に入って……
 重力に引かれていつもより大きく見える二つの膨らみ。引き締まったウエスト。そしてさらにその下にある……
 見たら反応してしまうって分かっているのに、どうしても目で追うことをやめられなかった。
「洗うぞ」
 僕の状態を察しているのかいないのか、アズカ様は無造作に作業を再開する。
 肩口から入って、胸、脇の下、お腹……僕の体を這う感触が、さっき背中に受けたそれとは違っているような気がする。
 体の表側と裏側の敏感さの違いだろうか。あるいは、僕が興奮しているからそう感じるだけなんだろうか。
 それとも――アズカ様が意図的にそうしているんだろうか?
 分からない。分からないけれど、僕は確かに泡だらけのスポンジで「愛撫」されていた。
「はぁ、はっ……」
 くすぐったさと紙一重の快感を与えられて、自分の息が荒くなっているのを聞く。
 逃れたいような、このままされるがままになっていたいような、どっちつかずの気分。
「当たっているぞ……何だ、これは?」
 見ると、勃起した僕のものがアズカ様のお腹まで届いていた。
298IBYD-2sage04/03/14 12:56 ID:Pe87m01E
 僕の先端がアズカ様のおへその周りをつつく。しっとりしたコーヒー色の肌とのキス。
 ちょん、ちょんと軽く触れるだけなのに、なんだかすごく刺激的で、僕は自分が興奮していることを再認識した。
「姫様と関係した直後だと言うのに――なんとも悪食だな。私の体など今さら物珍しくもないだろうに」
「そんな、ことは……」
 確かに、アズカ様の裸を見るのはこれが初めてじゃない。
 ご主人様が僕を求めてきたとき、粗相がないように、って……アズカ様は今まで何度も僕の「練習相手」を務めてきた。
 だけど、だからって見慣れるようなものじゃない。アズカ様の体が奇麗だと感じる気持ちは変わらないし、興奮だってする。
「まだ躾が足りないようだな、ここは」
 指が芯に絡んでくる。熱を帯びた肌と肌は触れ合った瞬間からぴたりと馴染んだ。
 アズカ様は四つんばいのまま下方向にずれたかと思うと、身を伏せて僕自身に顔を近付ける。
「これで、姫様の操を散らしたのか……」
 鼻をひくひくさせて僕の性器を嗅ぐ。そこに厳格な親衛隊長の面影はなかった。
「ああ――姫様の匂いがする」
 お酒に酔ったように、ほんのりと頬を染めるアズカ様。
 本当にまだ匂いが残っているのかどうかは分からないけれど……恥ずかしい。
「ここは特に念入りに洗わなくては、な」
 そう言って、アズカ様はスポンジで僕のものをくるみ込んだ。
「うぁ……」
 柔らかい、だけどごわごわしている奇妙な質感。思わず声を出してしまう。
 アズカ様は容赦なく手を上下させる。泡とお湯がスポンジから絞り出されて、生々しい水音を立てた。
「う、あ、くぅっ……!」
 人肌に比べればずっときめの粗い生地に擦られて、僕は痛みに近いほどの強烈な刺激を感じていた。
「あ、アズカ様……そんなにきつくされたら、僕……」
「断っておくが、私はお前を『洗ってやっている』だけだぞ。まさかとは思うが、粗相などしないだろうな?」
「え……?」
「お前は姫様の物なのだから。こんな事で無駄に撒き散らす分などないだろう?」
「そんなっ、これ以上されたら我慢なんて……」
 かすかに。アズカ様が笑みを浮かべたように見えた。
「仕方のないオスだな」
 巻き付いていたスポンジが外れる。切羽詰まった放出欲が遠のいて、僕は乱れた呼吸を整えた。
299IBYD-2sage04/03/14 12:57 ID:Pe87m01E
 お湯で泡が洗い落とされると、痛いくらいに張り詰めた僕のものがあらわになった。
 少しは落ち着いたとは言っても、そこに血が集まっているせいか、思考がまとまらない。
「あ、アズカ様……」
 僕の呼びかけには答えず、アズカ様は浴槽のへりを跨ぎ越した。そのままお湯につかって長い息を吐く。
「お前も来い」
「……はい」
 返事に残念な気持ちが表れてしまう。でも逆にほっとした気持ちもあって、僕は複雑な気分で湯船に身を沈めた。
 全身が温かさに包まれる。お湯に溶かし込まれた香料の匂いが緊張をほぐしてくれる。
 高い天井を見上げながら、このままリラックスしていけば下半身もおさまるかな……なんて考えた瞬間。
 アズカ様の手が左右両脇から僕のお尻の下に割り込んできた。
「な、何するんですか!?」
「頭を打ちたくなければ、手を背後に回して体を支えろ」
 淡々と命じられて、僕はつい言う通りにしてしまう。
 僕が後ろ手をついて上体を支えたのを確認すると、アズカ様は両手に力をこめた。
「わっ!?」
 腰を持ち上げられて、僕はブリッジのできそこないみたいな体勢になる。
 とっさに重心をお尻から踵に切り換えたおかげで転ばずにすんだけど、両手両足をぜんぶ使って体を支えているせいで身動きが取れない。
 それにもっと困ったことに……まだちっともしぼんでくれない僕のこわばりが水面から突き出てしまっている。
 その部分だけが強調するようにお湯の外に出ているという恥ずかしさと、実際に肌で感じる温度差が
僕をさいなんだ。
 また、アズカ様が僕のものに顔を近付けてくる。
「ま、まだ……ご主人様の匂いが残ってるんですか……?」
 自分がさっきの行為の続きを期待していることに気付く。
 アズカ様はご主人様の立場を心配しているだけで、僕本人に対する興味なんてないのに。
「……ああ。かすかに、残り香がある……」
 そう言った口から赤い舌が覗く。言葉を紡ぎ終えたのにアズカ様は舌を引っ込めず、逆に唇の外まで差し出す。
 ぴちゃり、とその舌が突起に触れた瞬間。僕はようやく自分がいま何をされているのか理解した。
300IBYD-2sage04/03/14 12:58 ID:Pe87m01E
「アズカ様……!?」
 あのプライドの高いアズカ様が、僕の性器を舐めている。思わずほっぺたをつねろうかと思ったけど今は両手ともふさがっていた。
 でも、そんなことをしなくても、下半身から流れてくる快感の信号が「これは夢なんかじゃない」と僕に教えてくれた。
 濡れた舌がじっくりと僕の表面を撫でていく。アズカ様の唾液がまぶされたところに照明が反射して変にいやらしく見える。
「どうして急にこんなこと……」と聞こうとして、やめた。きっと「匂いを落とすため」という返事しか返ってこないだろうから。
 子犬がミルクを飲むような音が密室に響く。お腹を空かせているのか、子犬は何度も何度も執拗に舌を往復させる。
 先っぽと竿で感覚が違うのは知っていたけど、竿の中にも感じ方が違う部分があるんだと初めて意識した。……裏側が、気持ちいい。
 まるで別の生き物みたいにうごめく舌。僕はぎゅ、と目をつむって声が出そうになるのを必死でこらえる。
 薄目を開けると、アズカ様も目を閉じて一心にこわばりに舌を這わせていた。
 その口から漏れる呼吸が荒くなっているような気がしたのは、僕の錯覚かもしれない。
 だけど、僕の腰を持ち上げて、鼻をしきりにひくつかせるアズカ様は、もっとそこの匂いを嗅ぎたがってるみたいに見えた。
 だから……僕はつま先立ちになって、自分から突起をアズカ様に押しつけた。
「ぷぁっ……?」
 不意を突かれて驚いたのか、アズカ様が片目を開ける。
 唇の中に押し入ろうとした僕のものは、狙いを外してアズカ様の右頬に触れた。
 勝手なことをしてしまって怒られるかもしれない……という心配が頭をかすめたのは本当に一瞬のこと。
 気が付けば僕はアズカ様の柔らかいほっぺたに先端を擦りつけ始めていた。
 とば口から溢れ出した透明な液体が、アズカ様の肌にえっちな光沢を作る。
 肌の感触がぬるぬるになるのが気持ちよくて、僕はわざと先走りを塗りつけるように動いた。
 アズカ様は特にそれを避けようともせず、僕の卑しい動きをじっと観察する。恥ずかしいけど……今さら止められない。
「本当に、仕方のないオスだな……」
 微笑みながら僕に流し目を送ってきたアズカ様の表情が、いつになく優しく、そしてそれ以上に色っぽく見えた。
301IBYD-2sage04/03/14 12:58 ID:Pe87m01E
 アズカ様は少しだけ首を傾げて、再び脈打つ器官を射程圏内に捉える。
 そうして今度は側面から、横笛を吹くみたいにして舌を這わせてきた。さっきとはまた違った快感が背中を駆け上がってくる。
 ずっとこうされていたいけど、不自然な姿勢のせいで体を支えている手足がつらくなってきた。
 腰はアズカ様に補助してもらっているとは言え、もうあまり長くはもたない。
 またお預けを食わされてしまうのは嫌だったから、僕は神経を集中して、わざと自分を追い詰めていった。
 でもアズカ様の舌はひとつところに落ち着かず、もう少しというところで敏感なポイントを外れてしまう。本当に、もう少しなのに……
 出したい。早く射精したい。アズカ様の褐色の肌に、白い精液はきっと映えるだろう――
 そこまで考えて、僕は我に返った。
「駄目ですっ、アズカ様……!」
 怪訝そうな顔をするアズカ様。その舌はまだちろちろと僕を責め立ててくる。
 よみがえってくる射精欲を抑えつけて、僕はもう一度「駄目です……」と言った。
 このまま出したら、お湯に大量の精子が混じって汚れてしまう。
 それに――あんなことをしておいて今さら、だけど――アズカ様の顔や艶やかな髪を、僕の精液で汚してしまうのは気がひけた。
 アズカ様は不服そうに僕を睨んでいたけど、やがて得心したように頷いて、口と手を離してくれた。
 下半身を解放されて僕は尻餅をつく。浴槽の水面が波立って、自由になった腕と脚にはじわりと痺れが走った。
 自分で判断した結果とは言え、結局また「おあずけ」になってしまったことに、僕はやるせないため息をつく。
 と――水音を立てて、突然アズカ様が立ち上がった。お湯の中に沈んでいた体がちょうど僕の目線の高さに合ってしまう。
「あっ、あの……」
 もう上がるんですか?と続けようとして、できなかった。
 アズカ様が僕に背中を向けて、湯船のふちに手をかけて……お尻をこちらに突き出すようにしたから。
 それは、作法通りの――行為を始めるときのポーズ。
302IBYD-2sage04/03/14 12:59 ID:Pe87m01E
「あ、アズカ様……」
 急な展開に頭がついていかない。ただ、視線は外すことができない。
「一体、どういう――」
「分かりきった事を聞くな」
 肩越しに僕を見返るアズカ様。その唇が笑みの形に歪んだ。
「舐められて達するのは嫌――つまり、私のここに吐き出したいという事だろう?」
 アズカ様は自ら大切なところを拡げてみせる。お湯につかっていたおかげか、そこはすでに潤ってほぐれているように見えた。
 そんなつもりじゃなかった、という僕の言葉は、息と一緒に喉の奥に飲み込まれてしまう。
「姫様との房事の復習も兼ねて……正しく出来たかどうか、確かめてやる」
 僕はもう何も考えられなくなってアズカ様に歩み寄った。
 腰のくびれに手を添えて、アズカ様の秘所に自分自身をあてがい、そっと侵入させる。
「ああ……っ!」
 アズカ様の低い悲鳴。
 いつもながらアズカ様の中はきつい。まるでわざと力を入れて締め付けているみたい。
 こんなにきつくて、僕は気持ちいいけど、受け入れるアズカ様の方はつらいんじゃないだろうか。
 そう考えた僕は出来るだけゆっくりと進んでいく。ずずず……とひだをかき分ける感触。
「うぅ……あっ、くぅ……!」
 お湯に濡れて痩せた尻尾が、何かに耐えるようにぴんと伸びる。
 経験があるとは言っても、アズカ様はまだこういうことに慣れないのかもしれない……
「大丈夫、ですか……?」
「な、何の……事だ……?」
 僕の問いかけに切れ切れの、でも気丈な言葉が返ってくる。
 アズカ様は僕なんかに弱みは見せない。たとえつらくたって平気だと嘘をつくだろう。
 肌を合わせていても、相手の心までは分からない。当たり前のことのようだけど、少し寂しかった。
303IBYD-2sage04/03/14 13:00 ID:Pe87m01E
 僕は口をつぐんで腰を前進させる。
「く……ふぅっ、んん……」
 相変わらず、アズカ様の中は僕を容赦なく締め付けてくる。
 今までじらされていたのと、時間をかけて挿入したせいで、いちばん奥に辿り着いたときには僕は早くも限界に近くなっていた。
 右肩上がりに増していく感覚に歯止めを利かせようと、いったん動きを止めてお尻に力を入れる。
「ど、どうした……?」
 動かない僕を不審に思ったのか、アズカ様が横目に視線を送ってくる。その黒い瞳が潤んでいるのを見て、僕は決意を新たにした。
「すみません。すぐに動き出したら、我慢できなくなりそうだったから……」
「何だ……そんな事か。まあ、即座に、と言うのは確かに情けないが……」
 アズカ様は少し呆れたように微笑む。
「――相手が姫様ならともかく、私に気を遣う必要はない。ほら……出してしまえ」
 挑発的な言葉と同時に、きゅっ、きゅっと故意に締め付けて射精を促してくるアズカ様。
 そのまま流れに身を任せてしまいたくなるのを、歯を食いしばってこらえる。
「それじゃ、嫌なんです……」
「え……? あっ、うぁ!?」
 僕は入ってきたときと同じくらいゆっくりと後退し始める。
 先端の傘の部分が釣り針の返しのようにアズカ様の中を引っ掻くのがわかった。
「くぅ、い、あっ……」
 まるいお尻が震える。アズカ様、少しは気持ちよくなってくれてるのかな……
 僕はじれったいくらいの速度で抜き差しを繰り返す。
 こうして緩やかに往復すると、与えられる快感をじっくりと味わうことができる。
 それは射精感に耐えている僕にとっては厳しいことでもあるんだけど……
 アズカ様の体の準備が整うまでは、激しくするつもりはなかった。
304IBYD-2sage04/03/14 13:00 ID:Pe87m01E
 僕の耳に入るのはアズカ様の押し殺した喘ぎ声、それとどこからか聞こえてくる水音だけ。
 腰の動きは止めないまま、アズカ様のウエストに添えていた手を移動させる。
 背中から肩までを撫で上げて、少し戻って脇の下、前に回って柔らかな胸。
 その二つのふくらみを掌で覆ったとき、先端にこりこりした感触があった。
「あっ……アズカ様のおっぱい、勃って……」
「それ、は、違……んくっ!」
 僕に乳首を摘まれて、否定の言葉は甘い声に変わる。
「気持ちよくなってくれてるんですね……」
 嬉しかった。僕ひとりだけ気持ちよくなって終わりなんて寂しいから。
 体を重ねるなら、相手にも気持ちよくなってもらいたい。たとえアズカ様にとっては事務的な意味しか持たない行為でも。
「もっと……感じてください」
 僕は動くペースを少し上げる。絡みついてくる快感が弱まり、代わりに摩擦による刺激が倍増した。
「うく、んっ、ああぁ……!」
 アズカ様の秘裂から愛液がこぼれて水面に波紋を作る。
 伸びたままだったしっぽを手でしごくように撫でてみると、力みが抜けたのか、かすかに左右に振れ始めた。
 少しずつ、隠しきれない快感のサインが現れてくる。
 もっとアズカ様を鳴かせたい。のぼせかけた頭でそんな身の程知らずなことを思う。
 だけど、僕の方もとっくに限界を超えていた。次の瞬間に射精してしまってもおかしくないくらいだ。
 もっと、アズカ様を気持ちよくしたいのに。
305IBYD-2sage04/03/14 13:05 ID:Pe87m01E
 僕はアズカ様の胸から手を離し、下の方へと滑らせる。
(確か……この辺りに……)
 前屈みになって下腹部を探っているうち、やがて指先が目的の地点に到達した。
「――ひ、ふああああぁっ!?」
 二人が繋がっている部分のすぐ上、女性のいちばん敏感な突起をくすぐられてアズカ様が悲鳴を上げる。
 触れるか触れないか……そんな程度の刺激でも充分みたい。
「ここ……気持ちいいんですよね?」
「ばっ……馬鹿、そこに触れるなっ!」
「……すみません、アズカ様。その言いつけは……聞けません」
 乱暴にならないように細心の注意を払って、小刻みに淫核を擦り立てる。
「いぅ、くひぅっ、あぁ……っ!」
「アズカ様にも気持ちよくなって欲しいんです。僕のわがままですけど、一緒に……一緒にいきたいんです……」
「馬鹿っ、そっ、そんな事をしなくても……くあぁんっ!」
306IBYD-2sage04/03/14 13:05 ID:Pe87m01E
 僕を包むひだの動きが変わっていくのがわかる。いきいきと、いっそう貪欲に僕を食い締めてくる。
 その責めに対抗するために僕も腰の動きを速める。
 あまり大きく前後すると指先がアズカ様の突起に触れていられなくなるから、短い区間を集中的に往復した。
 範囲が小さい分、ごしゅごしゅと音がしそうなほど激しく擦れる。
「ひぃうっ! くあぁっ! もっ、もういい、もう充分だ! わ、私はもう、何度も……っ!」
 頭がぼうっとしてアズカ様の声がよく聞き取れない。ただ一つだけのことを考えて、僕はがむしゃらに動き続ける。
「アズカ様……もっと気持ちよくなって下さい。もっともっと、もっと――」
 きゅっ、と二本の指で肉芽を摘んでみると、アズカ様は脱力して膝を折ってしまった。
 落ちていくお尻を逃がすまいとして僕も中腰になり、再びその内部をえぐり始める。
 高さが変わったせいで、上から少し角度をつけて突き込むような形になった。
「あ……ちょっと擦れる部分が変わりましたね。分かりますか……? アズカ様のここ、ざらざらしててすごくえっちです……」
 無理に手を伸ばして、つりそうになる指先でまたアズカ様の突起をいじる。
「ちょうどこれの裏側あたりですね。どうですか……? 両側から擦ると気持ちいいですか……?」
 自分が何を言っているのかよく分からない。アズカ様との行為に興奮しすぎたのか、頭がくらくらして――
「アズカ様……アズカ様……あずかさまぁ……っ!」
 体の奥から込み上げてくる甘い痺れにとうとう降参する。
 ぎゅっ、とひときわ強く締め付けてきた柔らかな感触の中、僕は夢見心地で溜まりに溜まった白濁を吐き出した。
307IBYD-2sage04/03/14 13:06 ID:Pe87m01E

(あれ……?)
 気が付くと、意識が朦朧としていた。
 自分がいま座っているのか立っているのかも分からない。
(えっと……僕、どうしたんだっけ……?)
 ご主人様の部屋に行って……サリクス様に見つかって……それから、アズカ様と……
「湯当たり……か。まったく、倒れる前に自分で気が付かなかったのか……?」
 僕のすぐそばで誰かの声がする。これは……そう、アズカ様の声だ。どうしてこんなに近くから聞こえるんだろう……?
 ……そうか。僕は、お風呂でアズカ様としている最中に、のぼせて倒れてしまったんだ。
 それで今、僕の体をアズカ様が支えてくれているんだろう。
「私を気遣う必要はない、と言ったはずだ。馬鹿め……」
 迷惑をかけてしまったことを申し訳なく思う気持ちはもちろんあった。でも、それ以上に安心した気持ちが僕の心に広がった。
 アズカ様がそばにいてくれるなら、このまま眠っちゃっても大丈夫だよね……
 僕はそんな無責任なことを思って、全身にのしかかる疲れと気だるさに抵抗するのをやめた。
「……お前は、姫様の事だけ考えていればいいんだ……」
 意識を失う直前、アズカ様が呟いた言葉は、よく聞こえなかった。
308180sage04/03/14 13:15 ID:Pe87m01E



 以上、第二話お送りしました。

 前回投稿時拙作に感想を下さった方々に感謝を。
 回線の問題でこまめなレスをつけるのは難しいのですが、大変嬉しかったです。
 以下ちょっとだけレスを。
309180sage04/03/14 13:33 ID:Pe87m01E
>>210さん
 アドバイスありがとうございます。
「ふさふさした毛並み」というのは耳の部分のことです。
 イヌの国の住人の外見は、ほぼヒトに犬耳としっぽが生えただけの外見ですから。
 設定については作中で語るつもりだったのですが、さすがに一切説明なしというのは不親切でしたね……
 さしあたって二点ほど設定語りを。

 ・発情抑制剤
   イヌの女性はおよそ一週間に一回くらいの周期で強い性衝動に襲われます。
   身も蓋もなく言えば「発情」ですが、イヌの国の住人たちは直接的な物言いを避け、「周期」などと呼ぶのが普通です。
   現在は飲み薬によってこれを抑えることが可能になっています。大半の女性はこの薬を服用しています。

 ・黒曜種
   イヌの国の社会はかなり封建的で、血筋(血統)や家柄、犬種(人種)が重視されています。
   黒曜種とはその犬種のうちのひとつです。
   歴史が浅く伝統を持たない黒曜種は、社交界などでは軽んじられる場合が多いです。
   が、一方では種の特色として高い運動能力を誇るため、軍事などの面では重用され、大きく出世するケースも少なくありません。
   漆黒の毛並み、跳ねた耳、そして褐色の肌が特徴です。モチーフはドーベルマン。
   作中ではアズカ・サリクス・レガードがこの種にあたります。
310180sage04/03/14 13:48 ID:Pe87m01E
>狐耳の者さん
  設定だけ読んで、勝手に菫青くんは頼りがいのある男子なのかと思っていましたが
  ……やっぱり受け体質ではあるんですねw
  積極的な巫女様と初心な巫女長様の対比が面白かったです。
  今後とも、お互いしっぽ描写に力を入れていきましょう。

>こちむい作者さん
  やばい。エロなしでも普通に面白いです。世界観をきっちり確立しているのが素晴らしい。
  世界観を間借りしている身として、こちらも相応のものを書くよう心がけていきたいと思います。
  前スレからのファンですが、さらに描写力が上がってきているような……


 それでは皆様、また次回投稿時に。(いつになることやら……ですが)
311名無しさん@ピンキーsage04/03/15 20:15 ID:uT5e3KWv
そういえば「IBYD」って何の略なんだろう?
312名無しさん@ピンキーsage04/03/15 21:52 ID:NyRLF28q
イイヨーイイヨー!!
アズカさまに押し倒されながら体を洗われるところが
この作品、漏れ的最高の萌ポイント。
目のやり場に困ってうろたえるシーンを
勝手に想像してクライマックス前にひと萌え
萌えつきてしまいますた。
313210sage04/03/16 21:59 ID:0ghMCbz9
おお…
わざわざ個レスを頂けるとは、いち読み手としては感激の至りです。
読み返してみると、自分けっこう失礼なこと書いてるような(汗

さておき、今回もしっかり萌えさせて頂きました。
ぴんと立つ尻尾、左右に振れる尻尾…
最萌えポイントは「作法通りのポーズ」かなぁ。責めまくってたのに、急に待ちに入るあたりが。
あちこち甲乙付けがたいの有りますが。
気丈なアズカお姉さまはハァハァ(萌え死)



つい数刻前に姫の尻尾触って注意されたのに、
懲りずにアズカ様のをいじる僕にワロタ。
314名無しさん@ピンキーsage04/03/17 20:07 ID:P/gcYk6I
アズカ様萌えー。
こういう気丈な方に正常位とか騎乗位とかを……(;´Д`)ハァハァ

イヌの国では正常位が変な位置関係なら、騎乗位も変な位置関係なのでしょうか。
315こちむい0sage04/03/19 01:46 ID:3/yjvYSo
どうも今まですみません。
土曜か日曜に必ず!
316名無しさん@ピンキーsage04/03/19 11:44 ID:spXXgOiZ
>>315
待ってます
がんばってください
317『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/20 11:49 ID:EEzABo3n
もう走り始めて一時間は経っているだろうか。初めのうちは体中を
ドバドバと溢れるアドレナリンのせいか全く疲れを感じなかったのだが・・・
いや、今も心は疲れてはいないのだが、体が意識とは裏腹にへばって
来ているような気がする。
『ハッ・・・ハッ・・・ハッ・・・』
  懸命にストライドを伸ばし月夜の砂丘を走るぼく。目指すは砂丘の向こう。
月明かりの下で小さく黒々とシルエットになった釣橋の櫓だ。だがまだ先は
遠いし、同時に砂は深くなりサラサラと踏みしめるたびに崩れ、走りにくい。
まだ興奮状態の脳が焦れば焦るほど、疲労している体をコントロール
しそこねて足がもつれ、何度も転びそうになってしまう。
  「ハッ・・・うわっ!! ・・・くっ!? ・・・」
 今度は大きくつんのめり、辛うじて踏みとどまる。その時に自分の脇の
下から背後を覗き見れば追跡してくる馬に乗った盗賊たちとの距離は
もう当初の800メートルぐらいから400にまで縮まっている。思ったよりも
接近していなくてホッと息をつくぼく。
あんまり差が詰まらないのは、馬が砂底に沈んだ石くれを踏むのを
嫌がってるらしく自らスピードをあげないみたい・・・あとこれが本当の
正解なのかも知れないが、どうやら盗賊たちはぼくを嬲るつもりらしく
ジワジワと差を詰め、ぼくが必死でこけつまろびつする様子を楽しんで
いるようだった。時おり、思いついたように馬鹿でかい弩を放ち、いきなり
背中を蹴られたように驚いて走るぼくを眺め、下卑た歓声や嘲笑をあげている。
それが乾いた空気に乗って伝わると悔しくってじんわり涙が出るけど
囚われのお姫様の事を思って必死に走ることに集中する。
318名無しさん@ピンキー04/03/20 11:54 ID:EEzABo3n
 
 『ザシッ!! 』
 「うわああっ!! 」
脇腹を掠めた矢が足元の砂地に突き立つ。痛みより先に脇腹に赤い線が
走る。そして痛みの前の熱い感触と供にぼくは悲鳴を上げて砂地に
突っ込んでしまう。
 「うっ、うえっ・・・ひぐっ・・・」
 ぼくは糸が切れたように半べそをかきながら慌てて立ち上がる。汗ばんだ
顔にべったりと砂がついている。しかも砂地に倒れこんだまま、思わず悲鳴を
上げてしまったせいで砂が口に入ったせいで心の中も口の中もざりざりした。
つばと一緒に吐き出そうとするが、乾ききった口には粘った唾液もなく、不快な
感触のみが残る。そして、ついにぼくの脳も体が疲弊していることを認識して
しまったらしい。一気に足は重くなり、口はカラカラ、酸素を求める肺は大量に
空気を欲し、干からびた気管を痛めつける。
 『辛い・・・』
 『苦しい・・・』
 頭にそれしか浮かばない。ノドが乾いているのに汗は遠慮なく滴り落ち、砂地に
落ちるのをもったいなくも理不尽に思うぼく。ぼくは口から『ヒューヒュー』と息を
しながらそれでも走ってる・・・
 『ぼくは頑張った、すごく頑張ったから・・・』
 『もう走るのをやめて土下座したら許してくれるかも・・・』
 という、イヤな囁きが耳に聞こえるようになる。その度に頭を強く振る。走りは
いつしかつんのめるようになり、泳ぐようになり・・・でもスピードだけは落さないよう
にと、殆ど脅迫観念を持ったように走り続ける。口の端から涎が垂れたかと思ったら、
泡を吹いていた。だけど今のぼくはそれを拭うこともできない・・・
 心の中の溢れんばかりの『辛い』『苦しい』という単語の代わりに『マナさま・・・』と
呟くぼく。必死で何回も何回も呪文のように唱える。
 「マナさまマナ様まなさまマナサマまなマナマナサマ様マナさま・・・・・・」

 気絶する寸前で、何か突き抜けたような気配がした。
319『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/20 11:57 ID:EEzABo3n
 
 いつしか、心が不思議と静かになっていた。ただ、静かな湖面に佇んで
いるような・・・魂が抜けて2メートルほど上空から自分を眺めているような・・・
手足が機械的にすいすいと動く。響くのは自分の発する引き攣れたような
呼吸音と『サクッ、サクッ』という砂地の上の足音のみ。乾いた風が頬を撫でて
行く。すぐ側を時おり矢が飛来して行くが気にならない。

 静かだ・・・ぼく、走りながらもう死んでいるのかな・・・と醒めた気持ちで思う。
あながちその想像は間違っていないのか、走馬灯のような幻覚が飛来してくる。
 義理に厚く、涙もろいリナ様がつんと澄ましてぼくを見つめる。母さんに手を
ひかれたぼくの弟がぼくを悲しげに見ている。厳しくて優しい、しっかり者のユナ様が
花のように笑いかける。険悪な両親に挟まれておろおろしてるぼく。ヤル気のない
ポーズの下に隠れる美しいマナ様がぼくに叫んでいる。何を叫んでいるのですか?・・・
異国の地で商社員の父さんと駅で待ち合わせているぼく。そして目の前が
真っ白になるような爆発、巻き上がる人、父さん、ぼく・・・

 『タンッ!! 』

 足元の固い感触がぼくを唐突に現実へと引き戻す。思わずガクガクとよろめいた。
足元には草が所々繁殖して地面が締まってきている。
 吹き飛ぶように五感が戻ってくる。体中の痛みを感じた。盗賊の叫び声が耳に
刺さる。口に広がる砂の味は鉄の味。焦点が合った視界には、つり橋のやぐらの
大きなシルエット。そして甘い水の匂い・・・
 ぼくは来るときに半日かかった道のりを2時間弱で一気に走破していた。
320『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/20 11:59 ID:EEzABo3n
 「・・・や、やった・・・」
 ぼくは四つん這いになって土手を這い上がる。最後の活力は水を欲した体が
勝手に川へ向かってヒョコヒョコと動く。土手の上に広がるのは急流の川と村落。
肝心のつり橋は・・・降りてる!! そして背後にはもはや50メートルほどに迫っていた
盗賊達。盗賊達も足場が固くなったので馬の速度を上げて距離はみるみる縮まる。
 「う、うわああっ!! ・・・」
 ノドが焼けたせいで擦れた悲鳴を上げつつ、ぼくは慌てて斜面を転がり落ちる
ようにして・・・いや本当に転がり落ちる。そして寝静まった村落を駆け抜け、ついに
つり橋をわたり始める。後ろを見れば急な土手の斜面で盗賊たちはまだ
もたもたしていた。
 『早く渡って、向こうからつり橋を上げれば・・・』
 よたよたと走るぼく。ネコ達が5人がかりで動かしていたほどの釣り橋だがやる
しかない、と決意したときだった。

 盗賊たちはつり橋には行かず、そばの櫓のそばに急行する。盗賊の一人が馬から
飛び下りるとニヤリと笑って山刀を抜く。目の前には杭に結び付けられていたロープ。
それはピンと張り詰めて斜め上の櫓の上に伸びている・・・
 「そらっ!! 戻ってこい」
 盗賊の一人が刀を振り下ろしロープを叩き切る。
 『バツン!! 』
 張り詰めたロープが切れると同時に櫓の上に結び付けられた大岩がゆっくりとだが
音もなくするすると櫓の中を落ちてくる。大岩を縛っている切れていないほうの
ロープはつり橋にのびていて・・・
321『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/20 12:01 ID:EEzABo3n
 
 「うわああああっ!! 」
 ぼくは叫ぶ。足元が『ガクン』と揺れたと同時にいきなりひどい立ちくらみに
似たような感覚がぼくを襲う。倒れかけ手すりにすがり付いて左右を見れば
上昇してる?・・・いや、つり橋が上がり始めていた。
 「そ、そんな!? 」
 手動よりも遥かに早い上昇スピードに慄きつつ、それでもぼくは必死で
つり橋を走る・・・すぐにそれは登るようになる・・・35度近くなればもはや
ぶら下がるだ。下を見れば盗賊たちが転がり落ちてくるぼくを膾切りにしようと
山刀を抜き、舌なめずりしている。
 「くうっ!! ・・・」
 ここまで来て死んでたまるかとぼくは最後の力を振り絞り、ついにつり橋の
真ん中にたどり着く。角度はもはや45度、橋の根元を見れば殆ど絶壁のように
見える。今度は慌ててぶら下がるように身を乗り出し、逆に前を見る。
 「ああっ・・・!! 」
 思わず絶望の叫び。そうなのだ、つり橋は両方上がりもう一端もすでに
10メートル近く離れていた。その間にも自由への出口は着々と離れて行き、
地獄への入り口は勾配と供に険しさを増していく。
 「おらっ!! 降りて来いや、指からどんどんみじん切りにしてやらあ」
 「見苦しく命乞いしてみろよ!! 」
 ギャハハハと笑う盗賊たち。ぼくはギリギリと歯を食いしばる。盗賊たちを
振り返り、離れる端の先端を見つめ、そして渦巻く激流を見下ろす。ぼくは
小さくうなずいて橋の突端にしがみつくように立ち上がる。騒ぐ盗賊たちの声が
一瞬ピタリと止んだ。角度はもう60度。考えたのはほんの一瞬。
 『・・・・・・ニコッ』
 ぼくは『お前達の思い通りにはさせない』という思いを込めて微笑む。
追いかけてくるなら来てみろ!! って・・・
322『こっちをむいてよ!! ご主人様 0』sage04/03/20 12:02 ID:EEzABo3n
 
 「ええぃ!! ままよ!! 」
 と、学校でぼくの人生では使うことはないと確信しつつ覚えていたセリフを
恥ずかしげもなく叫び、ぼくは一気に激流に身を躍らせた。落ちた水音や
水しぶきは渦巻く激流の音にかき消され、無音世界のシーンのよう。
 月明かりさえ吸収する黒い流れに飲み込まれ、すぐ見えなくなるヒト奴隷。
水の苦手な盗賊たちは一斉に怯み川面に目を凝らす。
 『ドウドウ』と渦巻く川。果たして『ぼく』の運命は・・・


                         (つづく)
323『こちむい 0』sage04/03/20 12:17 ID:EEzABo3n
 遅れて申し訳ありません。
 今回、最終回でなく『最終回の(上)』であります。
 マラソンの次は水泳ということで・・・

 ついに転職。しかも4月から何を血迷ったのか
夜は学生になる予定・・・
 4月から人生の勝負時です。

 がんばってSSも書きます・・・エッチなのが恋しく
なってきました。目標は次回10日後ぐらいに・・・
 
 気ままなリクエストは随時募集中。すぐ反映しなくても
全部覚えてますので・・・
324名無しさん@ピンキーsage04/03/20 13:23 ID:50IHc5UZ
>マナマナサマ様
もしかして、これ狙いましたか?

………判らなかったら無視して下さい。
いや、勝手な事情で単語に反応しただけですので。
325名無しさん@ピンキーsage04/03/20 22:16 ID:umu0y1oj
キタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!
こちむい作者さま乙です!
相変わらず素晴らしい(;´Д`)…ハァハァ
学業との両立がんがってください
326名無しさん@ピンキーsage04/03/22 23:16 ID:aLDWr0vI
保守っとこう
327名無しさん@ピンキーsage こっそり点呼とってみる 104/03/24 02:40 ID:miU3zP8v
保守
328名無しさん@ピンキーsage えらく時間が空いたが 204/03/24 16:26 ID:RFi/G0dK
作者様方マターリまっとりますぞ
329名無しさん@ピンキーsage 304/03/24 18:50 ID:qApQVfmm
ずっと人大杉で見られなかったんですが、今日専用ブラウザ導入して見に来ました。
こちむい再開したんですね。他のも始まってるし!
ああ、うれしい。導入したかいがあった。
330名無しさん@ピンキーsage 4話くらいから見てる 4マナ04/03/25 02:35 ID:jyrEUgAX
保守
331名無しさん@ピンキーsage んな訳で504/03/25 03:40 ID:gqUMH3oS
んじゃ、漏れも保守
332名無しさん@ピンキーsage 604/03/25 10:37 ID:JrSE/l0c
なんとなく期待保守
333名無しさん@ピンキーsageY匹目04/03/25 11:05 ID:7cBxUOWc
波に乗ってホッシュ
334名無しさん@ピンキーsage04/03/25 14:14 ID:SF7tdCJA
そこはかとなく保守
335名無しさん@ピンキー前スレ直後から見守ってる8羽目 sage04/03/25 16:47 ID:8O80K+p5
滑り込みつつ保守
336名無しさん@ピンキーsage一話目からいる九投目04/03/25 18:34 ID:p8gtnLR3
深く静かに保守
337名無しさん@ピンキーsage2話目からです1004/03/25 22:04 ID:DFZfF4uG
マッタリと保守
338名無しさん@ピンキーsage2話目からだな11(そしてはよ書かんとコーン04/03/25 23:00 ID:+/3Q6oXF
寝る前に保守
339名無しさん@ピンキーsage04/03/26 17:45 ID:1VyHojtP
保守しすぎだろW
340名無しさん@ピンキーsage 11人いる!04/03/26 17:54 ID:Fy3NWvKl
>>339
 そーでもないんだが…、黄昏に保守。
 
341名無しさん@ピンキー13人目?ユダ?イスカリオテ?sage04/03/26 19:58 ID:R3yB3TQy
夕飯食ったので保守。
342名無しさん@ピンキーsage 14? 6話くらいから04/03/26 22:16 ID:OleHuEYp
保守ブームか?
343名無しさん@ピンキーsage04/03/26 23:39 ID:Vw+xnuwe
風呂上がり保守
344名無しさん@ピンキーsage04/03/27 00:34 ID:xFpWGGL4
粛々と保守
345名無しさん@ピンキーsage 15かな。7話ぐらいから。04/03/27 10:27 ID:QqkITJ0M
いい天気なので保守。
346名無しさん@ピンキーsage04/03/28 01:02 ID:SanVEbBs
サブポジ保守
347名無しさん@ピンキーsage 集計してみる 合計2004/03/28 15:09 ID:fm8DYG9r
マ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━ダ????
348名無しさん@ピンキーsage 内専用ブラウザ使ってない人5人(多分04/03/28 15:14 ID:aQNq3Sf8
とは書いたが職人の方々急がなくても良いですよ〜
349名無しさん@ピンキーsage04/03/28 22:38 ID:/Hns+uz0
みなさま、
無意味な保守のためだけの書き込みは”荒らし”であると公式に認定されています。
掲示板のシステムリソースを無駄に消費する行為なのです。

ここは複数の職人様が大作を投下してくれる良スレです。
自重して節度ある書き込みをお願いします。
350名無しさん@ピンキーsage04/03/29 00:13 ID:wjKTPEHo
>>349
この行為も人によっちゃ意見の分かれるとこだが>>327のメル欄見てくれ
351名無しさん@ピンキーsage 偶然ググルで漂着した21人目04/03/29 02:33 ID:ZafuGv/E
ほっしゅほっしゅ
352名無しさん@ピンキーsage04/03/29 03:05 ID:MXJwskdh
>>350
もちろんその行為もなんですけどね。
他にも次スレ移行後の埋め立てとかキリ番GETとか。

別に何処かから苦情が来ることもないけど、鯖に優しくない使い方は控えましょうということで。
353180sage04/03/29 22:34 ID:Elp8K0Bi
 流れを断ち切ってなんですが、「イヌの国」編第三話・前編、投稿させて頂きます。
354IBYD-3sage04/03/29 22:37 ID:Elp8K0Bi
「はぁ……」
 配膳してくれたメイドさんが厨房の奥に入ったことを確認してから、僕は小さくため息をついた。
 もう朝と呼ぶには遅い時間なのにも関わらず、テーブルの上ではトーストや目玉焼きが湯気を立てている。
 寝坊してしまったのにこうして朝ご飯を用意してもらえる僕は恵まれていると思うし、目の前に並ぶ料理は単純に美味しそうだ。でも……
「はぁ……」
 ゆうべの出来事を思い出すたびにため息がこぼれてしまう。
 僕、ご主人様と――イヌの国のお姫様と――しちゃった、んだよね……
 自分はとんでもないことをしでかしたんじゃないか?なんて、今さらのように思う。
 その上、それをサリクス様に知られてしまって……
 アズカ様のおかげでその場はなんとかしのげたけど、今度はアズカ様とお風呂場で……
 しかも、途中でのぼせてしまったせいで、最後の方はどうなったかよく覚えていない。
 もし、アズカ様に何か変なことしちゃってたら……どうしよう。
 考えれば考えるほど心配ごとが増えていく。
 またため息をつこうとして、無意識に空気を吸い込んだとき――
「ぽーちークン!!」
 何の前触れもなく、耳元で大声がした。
「ひゅわっ!?」
 驚いた僕は肺に溜めるはずだった空気をそのまま飲み下してしまう。
「あはは、びっくりしたー? ヘンな声出しちゃって、ホントにボクのこと気づいてなかったんだね!」
 まだどきどきしている胸を押さえて振り向くと、明るいブラウンの毛並みと人なつっこい笑顔が視界に入った。
「ふぃ、フィーエ様……?」
「早く食べないとご飯冷めちゃうよ、ぽちクン!」
355IBYD-3sage04/03/29 22:43 ID:Elp8K0Bi
「あの……フィーエ様はどうしてここに?」
 とりあえずトーストにジャムを塗りながら、僕は向かいの席に座ったフィーエ様に問いかけた。
「もー、またその呼び方する! 柄じゃないから様付けで呼ぶのはやめてって言ってるのにー」
 フィーエ様は不服そうに口を尖らせる。そしてテーブルの下で足をぶらぶらさせて、僕のすねを軽く蹴飛ばした。
「す、すみません。でも、副親衛隊長を務めている方を呼び捨てにする訳にも……」
 そう――この離宮において、フィーエ様はアズカ様に次いで高い地位にいる。
 身長は僕より頭ひとつ分ほども小さいけど、身分的には僕なんて足元にも及ばない。
「うー。だから、そういう堅っ苦しいのがヤなんだってば!」
「ですけど……アズカ様からも言われていますし……」
「フィーエ。あんまり少年を困らせちゃ駄目だよ」
 平行線を辿るばかりの会話は、厨房の奥から出てきたメイドさん――カルナさんによってさえぎられた。
「あ、カルナねーちゃん!」
 振り返ってその姿を確認するなり、いかにも嬉しそうにフィーエ様の耳がぴん、と跳ねる。
 そんなフィーエ様の反応を見て、カルナさんもくすりと微笑む。この二人はまるで姉妹みたいに仲がいい。
「彼はこう見えてずいぶん苦労人だから、色々と気を遣うことがあるんだよ」
 食事を載せたカートを押しながら、諭すようにカルナさんが言う。
「うーん、そっか……うん、じゃあぽちクンだけはボクのこと様付けで呼んでもいいよ!」
「あ……ありがとうございます」
 なんだか微妙におかしい気もしたけど、ここは素直に頷いておくことにした。
「うん。いい子だね、フィーエ」
 カルナさんに頭を撫でられて、フィーエ様はくすぐったそうに笑う。
 ……こう言うのは失礼かもしれないけど、とてもメイドと副親衛隊長のやりとりには見えない。
「ちなみに、少年の疑問の答えはこちら」
 脈絡なく、カルナさんがテーブルの脇まで押してきたカートを指し示した。
 そこに載っているのは、僕の目の前に並んでいるのと同じ料理たち……
「えっ、と……?」
「あーさーごーはーん! ボクも今朝、寝坊しちゃったんだよ」
 ちっとも後ろめたくなさそうな口調でフィーエ様が言った。
356IBYD-3sage04/03/29 22:44 ID:Elp8K0Bi
「――でも、珍しいですよね」
「ん? はひはー?」
 フィーエ様の返事はよく聞き取れない。口の中いっぱいに食べ物を詰め込んだその様子は、イヌと言うよりもリスみたいに見える。
「いえ、フィーエ様が寝坊するなんて珍しいな、って思って。朝には強そうなのに」
「ふぇー? ほんはほほはいほー?」
「そうなんですか?」
「と言うか、これでよく話の内容が分かるね、少年……」
 テーブルの横で待機していたカルナさんが、感心したような呆れたような声を漏らした。
「……んぐ。ボク、寝起きはすっっっごく悪いよー!」
 ようやく頬張っていたものを飲み込んだフィーエ様が、なぜか誇らしげに言う。
「ホントは十二時間くらい寝ないと調子出ないんだ。最近はアズカねーさまがいるからそんなに寝てられないけど」
「アズカ様がいるから……?」
「ほら、アズカねーさまってそういうことに厳しいでしょ?
 時間を過ぎてもボクが起きて来ないと、こらーっ!って部屋に乗り込んできて」
 ……あまり苦労せずにその場面を想像することができた。
「もう少し早起きならもっといい子なのにね、フィーエは。アズカ様も毎朝大変だ」
 フィーエ様のカップにお茶のおかわりを注ぎながら、カルナさんが苦笑する。
「……あれ? じゃあ、どうして今朝に限って……?」
「んー、なんでだろーね? ねーさま今日は妙にキゲンいいみたいだから、そのせいかも」
 上機嫌なアズカ様……こっちはちょっと想像しづらい。
 だけど、昨夜のことでアズカ様が怒ってるんじゃないかと心配していた僕にとってはいい報せだった。
「ん。ごち、そー、さまっ!」
 ぱんっ、と手の平を打ち鳴らす音に目を向けると、いつの間にかフィーエ様の前に並んでいた料理は影も形もなくなっている。
(いつもながら、食べるの早いなぁ……)
 先にテーブルについたのに、僕の分の朝ご飯はまだ半分近く残っていた。
「それじゃボクは食後のさんぽ……じゃなくて、パトロールに行ってくるから」
 言うが早いかフィーエ様が席を立つ。
「ぽちクン、カルナねーちゃん、またねー!」
 そしてこちらに手を振りながら駆け足で炊事場を後にする。僕とカルナさんも、小さく手を振り返してそれに応えた。
357IBYD-3sage04/03/29 22:45 ID:Elp8K0Bi


「ええっと、小麦粉、じゃがいも――」
 念のためにもう一度、カルナさんが書いてくれたメモと袋の中身を見比べてみる。
「……うん、買い忘れはない、と」
 紙切れをたたんでポケットに戻す。
 遅い朝食をとった後、僕はカルナさんにお使いを頼まれたのだった。
「召使い」という名目でお城に置いてもらってはいるけど……僕は大して役に立っていないと思う。
 メイドさんたちと違ってちゃんとした家事の訓練を受けているわけじゃないから、こういう雑用くらいしかこなせない。
 別に労働力として期待されてはいないんだろうけど、何もしないでいるのも居心地が悪くて、時々こうして仕事をもらっている。
「よいっ……しょ」
 両手を使って、ずっしり重い買い物袋を持ち上げる。
 この中にはお昼ご飯の材料にするものもあるって言ってたし、正午の鐘が鳴る前に離宮に戻らなくちゃ。
 そう思って、帰り道の第一歩を踏み出そうとしたとき――
358IBYD-3sage04/03/29 22:47 ID:Elp8K0Bi
「スキあり! おりゃ――っ!」
「ぽちおにーちゃん!」
「うわっ!?」
 いきなり腰のあたりに何かがぶつかってきた。それも、同時にふたつ。
「ウカツだぞぽちニィ! オトコはいつも背中を狙われてるんだぜっ!」
「おにーちゃん! あーそーぼ!」
「い、イアンに……メグちゃん?」
 振り返った先には、見知った顔の男の子と女の子。
「ここで会ったが百年目! ぽちニィ、今日こそジャスティスブルーとデモンズレッドの戦いに決着をつけるぜ!」
「なに言ってるのよー! おにーちゃんはメグたちとおままごとするのー! そんなコドモっぽい遊びしないもん、ねー?」
「え、いや、その」
「へん! ジャスティスブルーのカッコよさがわかんねー方がガキだぜ!」
「なによー、メグより年下のくせに!」
「ぐっ……う、うるせー! たった三ヶ月早く生まれたくらいでイバんなよな!」
「あの、二人ともちょっと落ち着いて……」
「ぽちニィ! こんなヤツほっといて行こうぜ! みんな秘密基地で待ってるし」
「おにーちゃん! おままごとがイヤだったら、お……お医者さんごっこでもいいよっ! ぽちおにーちゃんなら、メグ……」
 お互いの対抗意識がそうさせるのか、僕を自分の側に誘い込もうと一生懸命になる二人。
 両腕が左右にぐいぐいと引っ張られる。このままだとシャツの袖丈がすごいことになりそう。
「その……ごめん、二人とも」
 僕は買い物袋を置いてしゃがみ込み、目線の高さを合わせる。
「今日は僕、これからすぐお城に帰らないといけないんだ」
 朝寝坊した上に、お使いまでほったらかしにするのはさすがに気が引けた。
『えぇ〜〜〜!?』
 二人の不満そうな声が綺麗に重なる。
 ううん……一緒に遊んであげたいのはやまやまなんだけど……
359IBYD-3sage04/03/29 22:48 ID:Elp8K0Bi
「ぽーちークン!!」
「なぁっ!?」
 いきなり僕の背中に何かがぶつかってきた。……と言うより、飛びつかれた。
 そのまま地面に倒れそうになったけど、なんとか手をついて体を支える。
「こんなところで会うなんてキグーだね!」
「ふぃ、フィーエ様!?」
「おつかい? なに買ったの? 今日のご飯はなーにかなっ♪」
 僕の背中におぶさってきたのは、つい先刻別れたイヌの少女。首を伸ばして肩越しに顔を寄せてくる。
「あの……フィーエ様。できたらもっと普通に……」
「あー、イアンにメグも! キグーだね!」
「おうっ、キグーだなフィーエ!」
「キグーだねフィーエおねーちゃん!」
 朗らかに挨拶を交わすフィーエ様とイアンとメグちゃん。……なんだか僕ひとりだけ仲間はずれみたいで、ちょっと切ない。
「ね、おねーちゃんもぽちおにーちゃんをセットクして? おにーちゃん、メグたちと遊んでくれないって言うの……」
「ジャスティスブルーから敵前逃亡するって言うんだぜ!?」
「えー!? ひどいよぽちクン! 遊んであげなよ! へるもんじゃなし」
 うう……事態がどんどんややこしくなっていく……
360IBYD-3sage04/03/29 22:50 ID:Elp8K0Bi
「僕だってそうしたいですけど……お使いを頼まれた以上は、ちゃんとお城まで届けないと」
 中身のぎっしり詰まった買い物袋を横目でうかがう。
 そんな僕の様子を見て、フィーエ様は「んー」と少し考えてから口を開いた。
「もう買うのはぜんぶ買ったんだよね? あとは持って帰るだけなんでしょ?」
「そうですけど……」
「なーんだ、じゃあ話はカンタン! それ、ボクがぽちクンの代わりに持って帰ってあげるよ!」
「ええっ!? そ、そんな訳にいきませんよ! もともと僕の仕事ですし、フィーエ様にこんな雑用……」
「だーまーれー!」
 楽しそうに笑いながら、僕の口の両端に指を突っ込んで引っ張る。
「い、いふぁいれふ! いきらりらりひゅるんれふかふぃーえふぁま!?」
「これは副親衛隊長命令! ぽちクンはみんなと遊んであげること、以上っ!」
 一方的に命令を告げると、フィーエ様は手を離して僕の背中から降りた。
 そして、ひと抱えもありそうな買い物袋を軽々と持ち上げる。
「フィーエ、すげー!」
「おねーちゃん、重くないの?」
「このくらい、ぜーんぜん、だよ! ボク力持ちだもん。それじゃ三人とも、ケンカしちゃダメだよー!」
「あ、ちょっと待っ――!」
 フィーエ様を追いかけようとした僕の背中に、今度はイアンとメグちゃんが取りすがった。
「さあぽちニィ! 用事もなくなったことだし、いよいよ正義と悪の戦いに決着をつけるときがきたぜ!」
「あのね、将来あったかい家庭をきずくためには、今のうちからケーケンをつんでおくことがとっても大切だと思うの!」
 ……こっちの問題はどうしたらいいんだろう……
361IBYD-3sage04/03/29 22:53 ID:Elp8K0Bi


「じゃーまたな、ぽちニィ!」
「ぽちおにーちゃん、ばいばーい!」
 お昼ご飯の時間になったから――と、同じ建物に帰っていくイアンとメグちゃん。
 小さな後ろ姿を見送りながら、僕はぽつりと呟く。
「なんだか……すごいストーリーになっちゃったなぁ……」
 ヒーローごっこと、おままごと。両方の希望を取り入れようとした結果、なんとも斬新なお話が出来上がってしまった。
「……まあ、イアンもメグちゃんも喜んでくれたみたいだったし、いいかな」
 無邪気な笑顔を思い出すと、僕の頬まで緩んでくる。早く離宮に戻ってフィーエ様にお礼を言わなくちゃ。
 回れ右をしてお城の方を向く。
 ……と、少し変化した眺めの中、僕はある人影に目を奪われた。

 黒い服を着た女の子。長い髪も、大きな跳ね耳も同じ黒。でも肌の色で黒曜種ではないと分かる。
 何より印象的なのは、右目をガーゼの眼帯で隠していることだった。左目は血の色のように鮮やかな赤。その瞳が、
(こっちを……見てる……?)
 そう気付いてしまうと、僕もなんとなく視線を外せなくなる。
 そのまましばらく見つめ合っていたけど、やがて彼女はふい、と視線を外し、踵を返して歩いて行ってしまった。
362IBYD-3sage04/03/29 22:56 ID:Elp8K0Bi
(何だったんだろう……? あの子、誰かに雰囲気が似てたような……)
「――こんなところで何をしている?」
「わぁっ!!」
 これで今日、不意打ちされるのは何回目だろう? 『男はいつも背中を狙われている』って本当かもしれない。
 足音も気配もなく、いつの間にか僕の背後に立っていたのは、生粋の黒曜種――アズカ様だった。
「また、あれらと一緒になって遊んでいたのか」
 そう言ってイアンたちが入っていった建物の方を見る。僕の返事を待たず、辺りの様子から状況を把握したらしい。
「すみません……」
 ばつの悪い思いに僕はうつむく。フィーエ様から提案してきたこととは言え、仕事を人任せにして遊んでいたのは確かだ。
「……謝る必要はない。考えようによってはそれも福祉活動の一環だ」
 その言葉を聞いて、僕は内心、急に声をかけられたときより驚いていた。叱られるとばかり思っていたのに……
 今日のアズカ様は本当に機嫌がいいのかもしれない。
「戦災孤児院――か」
 その建物をじっと見つめながら、ひとりごとのようにアズカ様が呟く。
「……みんな、いい子ですよ。つらい目にあってるのに、素直で……」
363IBYD-3sage04/03/29 22:58 ID:Elp8K0Bi
 ――イヌの国の北方、特に寒さの厳しい高地に、独自の文化を持つ「オオカミ」という先住種族が存在する。
 イヌとオオカミは互いを相容れないものと考え、さかんに交戦を繰り返してきた。
 イヌの国は軍事に秀でているが、広大な山岳地帯に点在するオオカミ族を制圧するには何度も遠征を重ねなければならない。
 そのため、まず世界で最も豊かな隣国・ネコの国を支配下に置き国力の充実をはかるべきだ、という意見もあるらしい。
 先日、独断専行でネコの国に向け軍を動かしたレガード左将軍はその急先鋒だったのだろう――

 そこまで考えて、僕はため息をついた。
「戦争は……嫌ですね」
 相手がオオカミであれ、ネコであれ、戦争が起これば多くの犠牲が出る。
 悲しい思いをする子供も、増える。
「争わずに、なんとかすることはできないんでしょうか……」
 僕の問いに答えは返ってこない。
「――帰るぞ。昼食の時間を過ぎている」
 それだけ言って、アズカ様は孤児院から顔をそむけ、お城の方へと歩き始めた。
364180sage04/03/29 23:10 ID:Elp8K0Bi



 以上、第三話前編でした。
 ……すみません、えちぃシーンまで辿り着けませんでした。後編まで気長にお待ち下さい。

 >>311さん
 I'll be your dog とか I become your dog とか、そんな感じです。

 >>314
 変です。
 しかし「作法に外れる」というだけで、特に物理的な不都合があるわけではないので、全然こだわらないイヌもいます。
365名無しさん@ピンキーsage04/03/29 23:22 ID:W4lZU+Pp
キタ━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!

新キャラは元気の良い娘ですな。
アズカ様が機嫌がいいのは……もしかしてポチに惚れた?(藁
366名も無きケモノミミスキーsage04/03/29 23:47 ID:CHlwec4t
犬耳 キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!

後編期待して待ってます。
367210sage04/03/30 03:12 ID:6/72lVlA
犬様キタ━━━━━((゚(゚∀゚)゚))━━━━━━!!!!!

誰だ、後編は誰とのが来るんだ(´Д`*)
ボクっ娘か、メイドさんか…
はたまた謎の隻眼犬か?
裏をかいてチビっこ2匹とか。
伏線イパーイで先が読めませんw

とにかく、期待してますよ〜
368名無しさん@ピンキーsage04/03/30 03:27 ID:6/72lVlA
あー、失礼。意味も無くレス番名乗ってしまいました。
名無しに戻ります。
369名無しさん@ピンキーsage04/04/01 01:48 ID:ubihhzAi
保守
370名無しさん@ピンキーsage04/04/03 00:50 ID:pp8KXN4t
ネットの海で偶然出会ったこのスレッドの作品達・・・
最高です。
飛ばし読みしなかったエロ小説はここが初めてです。
このスレッドの一ファンとしてありがとうを言わせて下さい。
371名無しさん@ピンキーsage04/04/05 01:18 ID:Je8H4trI
hoshu
372名無しさん@ピンキーsage04/04/06 03:37 ID:G7rFB5pN
捕手
373名無しさん@ピンキーsage04/04/08 01:26 ID:yTk7eWL6
ほしゅ
374名無しさん@ピンキーsage04/04/09 01:11 ID:UXb7fNAz
死守
375名無しさん@ピンキーsage04/04/09 01:11 ID:iLfaZss0
この週中に必ずうぷする!
と、言ってみる・・・
376名無しさん@ピンキーsage04/04/09 18:05 ID:olKkAByh
>>375
ネ申のお告げキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!!


というわけで保守
377名無しさん@ピンキーsage04/04/11 02:56 ID:GzFCP+KV
期待保守
378『こちむい 0』sage04/04/11 10:39 ID:vOYaX2Bh
『これまでのあらすじ』 1/2
 
 マナはネコの国のお姫様。世界有数の魔法使いでありながら、
マッドサイエンティストでもある。そんなインドア派のマナの引きこもりな
生活を心配した三つ子の妹たちに誘われ。三人は城下町の大市に繰り出す。

 大市にいたのはヒト奴隷商人。美しく若い奴隷たちの中に、醜い
皮膚病のため別の檻に隔離されたヒト奴隷がいた。その奴隷と
マナは運命的な出会いをする。
 病気のため『この奴隷を処分する』とうそぶく商人にマナはその
奴隷を買い取ると言ってしまう。もちろんあこぎな商人は高い値段を
吹っかけるが、マナは構わずにその奴隷を買い取り、しかも自由の
身にさせて逃がしてしまった。そんな人のいいのを通り越したような
行動をするマナを見て歯噛みするものの、最後は納得する妹の
リナとユナだったが・・・

 その次の日。マナとユナは王室の奉仕活動の一環として、
幼年学校の遠足の付き添いをしている。しかし、そこに現われたのは
人攫いを専門にする盗賊。襲い来る盗賊にマナは他の皆を逃がし、
一人敢然と残って奮戦する。子供達は全員無事であったが、
マナ本人は盗賊に捕まってしまう。

 そして、マナの身代金を要求する盗賊達の使者が王城に
やってくるが母親でもある現女王のフローラはいきなり使者を
切り捨てる。一般の国民に示しがつかないゆえ要求を突っぱねた
わけだが、あっさりと自分の娘を見捨てた、とも言える。
 あまりのことに激昂するリナとユナ。要求を飲まない事を
発表するのが3日後なので、たったの二人、たったの3日間で
マナを見つけなくてはならない・・・二人の心に絶望感が広がる。
379『こちむい 0』sage04/04/11 10:42 ID:vOYaX2Bh
 『これまでのあらすじ』 2/2
 
 ところが、マナは一人ではなく、勝手に恩を感じていた皮膚病の奴隷が
マナを追いかけていた。盗賊に矢で追い払われながらも、結局本拠まで
半死半生でついて来る病気ドレイ。そんないじらしい姿を見て、マナは一緒に
処刑されないよう何の気はなしにそのドレイに語りかける。
  『明日の夕方にはわたしは処刑されてしまうにゃ、それまでに助けを
呼んできてほしいにゃ・・・』

 うなずいた病気ドレイはマナを助けるために走り出す。その皮膚病の
カサブタは乾いた砂漠を歩くことで乾燥し病状も好転していたのか、殆ど
完治していて、カサブタもカラカラに乾き、剥がれ落ちていく。そしてその
カサブタの下から現われたのは美しい少年の『ぼく』。これからマナと
様々な冒険と耐乏生活を供にする名奴隷である。そして 走る『ぼく』の
背後には『ぼく』を捕殺しようと盗賊が追跡を始めていた。

 盗賊に追いつかれそうになりつつ、何とか砂漠を走破した『ぼく』。川を渡れば
あとは街道を駆けていくのみ・・・しかしぎりぎりのところで緊急用の吊り橋を
上げる仕掛けを動かされてしまい、万事休してしまう。吊り橋と供に高々と
上に持ち上げられる『ぼく』。あっという間に向こうの橋の突端が離れて行く・・・。
このまま滑り落ちれば下のの盗賊に膾切りにされてしまう。それならば、と
『ぼく』はゴウゴウと唸る急流の中に身を躍らせた。

 果たして『ぼく』はこの川を泳ぎ、マナを助けることができるのか?

 夕方うぷします・・・
380名無しさん@ピンキーsage04/04/11 11:01 ID:cwS7SE0c
でわ正座して待ちましょう、皆の衆
381名無しさん@ピンキーsage04/04/11 11:30 ID:py9pTiXg

 ( ´∀`) ええ。待ちますとも。
 ( ∪ ∪
 と__)__)
382『こちむい 0』sage04/04/11 16:27 ID:5B4zi6xc
『バシャ――ン!! 』
 カラダに感じる冷たい水の感触。思わず自分からのどを鳴らして水を飲むぼく(これから
嫌というほど水を飲むとも知らずに・・・)。と、それはほんの一瞬の出来事。
 「う、うわあああああっ!! がぼごぼごぼ・・・」
 凄まじい水流に流される・・・いや、攪拌されるぼく。どっちが上で、どっちが下か全然
解からない。
 『んむ――っ!!』
 バタバタとメチャクチャに足をキックさせると偶然足が川底を蹴り、飛び出すように水面から
顔を出すことができた。
 「ぷはっ!! 」
 水を慌てて吐き出して、空気を貪り吸う。『ヒュッ』と笛を吹くみたいな音が口から上がった。
そして必死でたち泳ぎするぼく。とんでもないことに気がついた。
 「うそ・・・見えないよ、どっちが向こう岸か・・・」
 そうなのだ。水面は水平のはずなのにぼくの目には水の壁がゴウゴウとそそり立って
いるように見え、水しか見えないのだ。しかも、水面から見る世界は、月光の恩恵を受ける
ことができず、5m先も見えない。溺れた経験はさすがにないのでぼくはまごつくばかり・・・
 パニックを起こしかけているぼくに、さらに追い討ちをかけるように『シャボッ!』『バシュ!』
と、短い水音がした。
 「・・・もっと良く狙え・・・」
 風に乗って小さな声が流れてきた。方向はつかめなかったが、水面でまごまごしている
ぼくを射殺しようとする夜目の利く盗賊たちの姿は、容易に想像できた。しかも、矢の軌跡は
全く見えないのに、音だけは近寄ってくる。そう、狙いが正確になってきているのだ。実際、
川岸からほんの20m足らずのところに漂っているぼくは、格好の標的に違いなかった。
383『こちむい 0』sage04/04/11 16:30 ID:5B4zi6xc
 「う、うあ・・・はう・・・」
 ジリジリと炙られるように焦るぼく。適当に泳いで、わざわざ盗賊に近寄って行くというのは
絶対にご免こうむりたい。緊張とプレッシャーで頭は熱を持ったように、手足は痺れたように
自由が利かなくなってくる。いっそ、このまま矢に命中したら方向がわかるのでは・・・なんて、
捨て鉢なコトを考えてしまう。
 下流はどこまでも切り立った崖なので、流されれば溺死は決定である。必死で流されない
ようにしているぼくの目に水しぶきが入り、思わず目を擦った。その時・・・
 『ボッ!』
 すごい音。目に手をやった腕の三角のスキマを抜けた矢。衝撃波が鼓膜を揺する。一拍
遅れて耳たぶから溢れた暖かい血が頬を暖める。
 「ひっ!! あっ、あっ、うわあぁぁあぁ!! 」
 方向が判ったのは一瞬で『死にたくない』と言う恐怖心がメチャクチャに体を動かすと、
あっという間にバランスが崩れ、またもや水の中でジャイロのようにくるくると回転してしまう。
これでまた、方向が掴めなくなってしまった・・・
 ただひたすらこの場所から逃げたくなってこのまま流されてしまえ、なんて思ってしまう。
そして気候は暖かいものの、上流の川の水温はまだ冷たく、ぼくから体温と体力を徐々に
削って行った。意識が蕩けていくように眠くなる・・・
 「がんばれっ!」
 「・・・?・・・」
 「まけるなっ!! 」
 見えない方から声。ぼくは辛うじて体勢を立て直し、耳を澄ます。
 「や、やめろッ!何をしやがるっ!! 」
 なにか揉みあう気配。
 「て、てめえっ!オレの弩を返しやがれっ、おまえ等の人質がどうなっても・・・う、うわっ!! 」
 ぼくはハッと気がついた。ひょっとして川辺の村人が盗賊を邪魔してくれているの・・・?
 「がんばれボウズ!わし等も勇気を出せっ!!」
 やっぱりそうだった。きっとぼくが追われている所を扉のカゲから見ていたのだ。ぼくは
勇気百倍で大勢の声から遠ざかるように迷わず泳ぎ出す。
384『こちむい 0』sage04/04/11 16:32 ID:5B4zi6xc
 すぐに岸のほうも多勢に無勢だったのか。
 「ち、ちきしょう!仲間を連れて来いっ」
 と、盗賊たちが撃退されたらしい。どっ、と今まで虐げられていた村人が沸き返る。
そうすると、次々と村人たちが川岸に立ってぼくを応援してくれる。ぼくは、手に力を込めて
水をかき始める。
 「がんばれ――ッ!」
 「ほらっ、半分もう行ったぞ――!! 」
 ぼくは必死で川を横断する。全然進んでないような気がするが、じりじりとロープを伝い
登るようにゆっくりとゆっくりと確実に進んでいるらしい。ぼくは村の皆から力を貰って、
後押しされるように抜き手を切り続ける。
 「そ〜れ!そ〜れ!」
 掛け声が飛ぶ。手拍子が、歓声がぼくを前に進める。もう一時間以上泳いでいるが、
この高揚感がぼくに信じられないほどの力を与えてくれる。絶対にぼくは向こう岸に
たどり着ける・・・


 『がりっ・・・』
 ふいにつま先が川底を引っ掻いた。
 「や、やった・・・!? 」
 ぼくはまだ深い流れにあおられて水にむせながらつま先で立ち上がる。顔が出た。
 目の前にはいつの間にか向こう岸が見えている。それでも50mくらい流されていた。
夢中で両手を打ち振って水をかき、岸にふらふらと駆け上がる。体が鉛のように重い。
水が足首を洗うぐらいになって初めてガクリとひざをついた。
 『げほっ!! ごほっ!! ・・・』
 あれほどのどが渇いていたのに、今はもう吐くほど水を飲んでしまった。『もう水なんて
たくさん』なんて思っている現金な自分がおかしい。人心地ついてよろよろと立ち上がり
後ろを向けばたいまつを掲げた対岸の村人たちが総出でぼくを見て興奮して歓声を上げた。
 「すごいぞ、よくやったぞ〜!!」
 「泳ぎきりやがった・・・本当に・・・」
 「お〜い!! お〜い!! 」
 ぼくはぜいぜいと喘ぎながら対岸で何度も頭を下げて小さく呟く。
385『こちむい 0』sage04/04/11 16:36 ID:5B4zi6xc
 「皆さんがいなかったらぼくは・・・」
 顔から落ちる水滴は川の水だけじゃなくて・・・

 その時だった。村人の人垣が一気に崩れる。蹴散らすように現われたのは騎乗した
盗賊の頭分と不甲斐ない手下たち。たたき起こされ不機嫌なのも相まってかぼくを
火を噴くような目で睨みつける。叫んだ。
 「舐めやがって!追いついてなぶり殺してくれる!! 手前の腕を!足をっ!あのイワシ姫の
前で叩き切って!焼いて!そいつをイワシ姫に喰らわせてやるっ!! 」
 山刀を振り回して吠える頭分。手近の手下を殴りながら言う。
 「おいっ!! この反抗したバカども総出で切った吊り橋ののロープを繋ぎなおさせろっ!!
働きが悪かったら遠慮なく叩き切れっ!! いや、その前に2、3人見せしめで殺せっ!! 」
 と、水が苦手なネコだけあって、あくまでも吊り橋を復旧してぼくを追いかけようとする頭分。
ぼくは対岸の理不尽な盗賊たちを睨みつけて踵を返した。
 『・・・・・・!! 』
 ぼくは決意を新たに王城に走る。必ず王城にぼくは行く。ぼくのためじゃなくて、あの
お姫様のためだけじゃなくて、みんなの、みんなのために絶対たどり着いて助けを呼んでくる!!

 ついに川を渡りきったぼくは逃走を再開する。せっかく買ってもらったカバンも、靴の
片方も流されてしまって少し悔しい。体に巻きつけていた布も千切れて半分以上流されて
しまった。ざっと絞って改めて体に巻きなおす。でも、体についていたカサブタの破片や
いやな色の体液の残りはすっかり取れている。そしてぼくは遥か彼方の王城の方をキッと
見てまた走る。ちょうど中天を通り過ぎた月を追いかけて行く方向だ。
 吊り橋の復旧が早ければ追いつかれる。遅ければヘソを曲げて戻った頭分がマナ様を
殺してしまうだろう。そして、ぼくも道中で力尽きることもあるかも知れない・・・もう運なのだ、
もって生まれたそれぞれの運の強さが今からの運命を決める。誰が生きるのか、
誰が死ぬべきか・・・
386『こちむい 0』sage04/04/11 16:39 ID:5B4zi6xc


 朝もやの中、草原に佇む二騎の騎影。ここは、あのマナがさらわれた幼年学校の
遠足場所。軽い具足姿で手に長い戟を抱え持ち、真紅の雄大な馬体のクレイプニールに
跨るのはリナ。そしてもう一騎は大人しそうな小柄な牝馬にスカートのまま、横向きに
座るユナ。リナが振り向いて言う。
 「ユナ・・・寝ていないのだろう?戻って休んでいろ・・・」
 多少、くたびれた様子のリナが言う。声をかけながらも険しい目つきでなにか手がかりが
ないかと周りの草原を見渡している。あの時、魔法の炸裂した場所はえぐれてはいたが、
すでに緑の新芽が吹き出ている。
 「うう・・・余計なお世話ですの――っ・・・」
 目をショボショボさせながら言うユナ。二人とも徹夜で『これは』と、思った場所を哨戒し
続けていたのだ。強気なユナの返事もいつもの力がなく、限界に近いようだ。その時、
あくびを噛み殺したユナが目を細めて小さく叫んだ。
 「なにか来るですの――っ!! 」
 「ん…おっ?・・・」
 豆粒のようなカゲ。それはゆっくりと近寄ってくるような・・・何かを感じた二人は馬腹を
蹴ってそれに近寄る。次第に何か判ってくる。泳ぐように、いや、前に倒れそうになり、
たたらを踏むように走っている誰か・・・
 「あれは・・・」
 「ヒト・・・ヒト奴隷ですの――っ!! ・・・でも見ない顔ですの・・・」
 二人はふらつきながら、走るように歩く半裸のヒト奴隷の前に立ちはだかる。しかし、
疲労のあまり前が見えていないのか、リナの制止にも気がつかず、そのままリナの
クレイプニールにぶつかってズルズルと倒れかかる。慌てて手をのばし捕まえてやるリナ。
よく見れば半裸同然の体に粗末な布を巻き付けただけの少年。体全体はしっとりと汗で
濡れている。整った顔は、美少年系ではなく、可愛い感じだが耳たぶから出血した血が
頬に赤黒くこびり付いている。しかし、わずかに眉の間をしかめて華奢な体全体で荒く
息をつくその様子は正にリナのストライクゾーンにど真ん中で思わずドギマギしてしまった。
387『こちむい 0』sage04/04/11 16:41 ID:5B4zi6xc
 「お、お前は?いったい、何をしているのだ・・・」
 リナがほんのり目の淵を赤らめて聞くとうわ言のように小さな声がヒト奴隷から漏れた。
 「マナさま・・・が・・・川の吊り橋の奥・・・砂漠・・・廃城に・・・」
 「な、なぜそれをっ!! い、いや!! その靴は・・・お、お前はっ!! 」
 叫ぶリナ。そうなのだ、そのヒト奴隷の片方の足には見覚えのある靴が・・・これはリナが
買ってやった物。
 「え・・・あ、あの病気ドレイですの――っ!! すごい美少年ですの、お買い得ですの――っ!! 」
 と、一瞬我を忘れ、商売っ気を出してしまうユナ。リナに睨まれて慌てて目を逸らす。
 しかしリナの行動は素早かった。ぐったりと気絶したままの少年を馬上に引き上げると
振り返りユナに言う。
 「私は先に行くっ!! ユナは後からついて来い!! 」
 手綱をしごき、愛馬の『セキテイ』に気合を入れれば、『ドルルルル!! 』前足を高く
上げて嘶く。その様子はしばらくぶりの全力疾走の予感に歓喜しているよう。
 「ち、ちょっとリナ!! 行き先、詳しく聞かないとですの――っ!! 」
 気絶寸前に発した少年の言葉はあまりにも漠然としていたからだ。だけどリナは前方を
見つめて呟くように言った。
 「その必要は無さそうだぞ・・・しばらく寝かしといてやろう・・・」
 「あっ!! ・・・」
 ユナは息を飲む。灰色の石畳に点々と残る赤い跡・・・ユナは馬上の少年の足を見る。
靴の脱げた片方の足の裏がずたずたになっていた。おそらく尖った石を踏んで血を
流しながらも必死で走ってきたのだろう。ユナはピョンと馬から飛び下りて駈け寄ると
躊躇せず黒色のゴシックロリータのスカートの裾を大胆に破って血塗れの少年の足に
手早く巻きつけてやる。
 「きっと、すごく頑張ったんですの・・・はい、ご褒美・・・」
 ユナが優しく言って、ぐったりしている少年の口にポシェットの飴玉を押し込んでやる。
 「そうだな・・・」
 リナも深くうなずく。一見ひ弱そうに見える少年のどこに盗賊の本拠地から駆け続け、
逃げ抜く力があるのか、と殆ど尊敬の念さえ覚えて続けた。そしてこんな勇者を値切らずに
購入した自分の姉を誇らしくも思った。
388『こちむい 0』sage04/04/11 16:44 ID:5B4zi6xc
 「しかし、今度は私たちの番だ!! ・・・ユナっ!! 無理せずついて来い・・・行くぞっ、セキテイッ!! 」
 溜めに溜めた力を一気に解放させる『セキテイ』。『ガ、ガガガッ!! 』石畳を削る6個の
蹄鉄から火を噴くように火花が飛び散った。さらにスピードに乗れば風が質量を持って
体にぶつかってくる。そんな顔にぶつかる風を物ともせず、逆に心地よくリナは叫ぶ。
 「姉上っ!! 今行きますッ!! 」
 リナは真紅の流星と化して石畳の道を駆け抜けていく。


 その頃、吊り橋では・・・
 さんざん村人を脅し殴りつけて、自分達が自ら勝手に切ったつり橋を復旧させた盗賊たち。
慌てて追跡するもすでにヒト奴隷に逃げられ4時間は経っていたのと、子供に逃げられても
たいした事はないとタカをくくり、真面目に捜索せず三々五々戻ってくる盗賊たち。
 ぼこぼこ・・・と音を立てて木のつり橋を渡る盗賊。
 「見付かんなかったが、なあにアレだけ走って泳げばネコだって疲れて死ぬさ、ヒトなら
もうどっかで野垂れ死んでるぜ」
 「ちげえねえ・・・」
 『ギャハハハ・・・』と笑い飛ばそうとした盗賊の口がそのまま凍りつく。橋のたもとで馬に
乗り、腕を組んで待ち構えていたのは怒りに燃えた頭分。
 「ひっ!! あ、あの・・・」
 『バキッ!! 』
 うろたえる盗賊に鉄拳が炸裂し、叩きつけられるように地べたに落ちた。うめく手下を
ゴミを見つめるような目つきで睨むと。頭分は目を狂気にギラギラさせて叫んだ。
 「どいつもこいつもオレを舐めやがって!! 戻るぞっ!! 戻ったらあのイワシ姫の腕を一本
叩き斬って王城へ送りつけてやる・・・フハハハハ・・・」
 手下たちは頭分から瘴気のようなモノさえ感じ取って自分達の本拠へ戻る。下手に頭分の
気を引いて、腕を叩き切る役をやらされてはたまらない、と下を向いてそそくさと帰るのだが、
どこかの阿呆が素っ頓狂な声を上げた。
 「ん・・・ありゃなんだ!? 誰か走ってくるぞ・・・まだ、帰ってこないヤツいたか?」
 川むこうからスゴイ勢いで疾駆してくる見覚えのない誰か。見る見る近づいて来る。一瞬、
敵襲だと緊張するが、僅か一騎なので戸惑う。
 
389『こちむい 0』sage04/04/11 16:47 ID:5B4zi6xc
 「ん・・・なんだ、ひょっとして身代金を払う王城からの使者じゃないか?」
 なんの根拠もなく喜色を浮べてはしゃぐ盗賊たち。そして目のいい盗賊がのほほんと言った。
 「やっと来たかよ・・・でも、なんか全身・・・鎧から馬まで真っ赤だ・・・」
 その声にビクン、と反応したのは頭分。さっきの狂態はどこへやら、表情を凍りつかせ
ながら慌てて馬首を返す。周りにいる手下たちに構わず、弾き飛ばしながら馬に鞭を
入れた。同時に叫ぶ。
 「お、お前らっ!! 早く橋を・・・いや、もう間に合わねえ!! 切れっ、吊り橋を上げるロープを
切れっ!! 」
 「へっ、どうしたんですかい?やっと繋ぎなおしたばかりじゃねえですか」
 自分がやったわけでもないのに、のん気に呟く手下に焦れたように頭分は叫んだ。
 「いいから切れっ!! あれは『ネコの赤』、『無双のリナ』だぞ!! もたもたするなっ!! 」
 全員が凍りつく。その異名はネコの国の人間なら子供から老人まで誰でも知っている。
もう手に持つ、えぐいほどゴツイ赤柄の方天戟が判るほど近寄っている。柄の中ほどに
埋め込まれている紅玉が妖しいほど赤く輝く。それは死神の鎌の輝きに見えた。慌てて
五騎ほどがあたふたと櫓に駆け寄って行く。
 頭分は土手を駆け上がり、真っ先に逃げながら呪詛の呟きを漏らす。
 「く、くそっ!! くそっ!! ・・・ネコの女王めっ、初めからいきなり仲間を斬りやがったんだ・・・
オレ達だってそんなコトはしねえのに・・・自分の娘を見捨てて・・・」
 目は血走り、知らず知らずのうちに不快な音がすると思ったら、自分の歯が恐怖に
鳴っていた。慌ててぎゅっと歯を噛み締めて捨て鉢に叫ぶ。自分に言い聞かせるように。
 「あ、相手はイワシ姫の妹だっ!! ・・・こうなったら、城に帰って城壁の上からあのイワシ姫を
嬲り殺しにするのを見せつけて追い返すしかねえっ!! 」
 頭分は土手を駆け下りて砂地の上を駆ける。
 砂地に入れば、じれったいほど馬のスピードが落ち、今にも赤い姫将軍が背後で大きな
戟を振り上げているような気がして、思わず小さな悲鳴を上げて何度も後ろを確認してしまう。


 
390『こちむい 0』sage04/04/11 16:49 ID:5B4zi6xc
 

 『うわああああっ!! 』
 声にならない悲鳴を上げるぼく。すごいスピード。すごい揺れ。競馬の騎手の気持ちが
初めて判ったりした。舌を噛まなかったのは、口の中の飴玉のせい。それは涙が出そうな
ほど甘くて、ぼくに新たな元気をもたらしていた。
 ぼくはしっかり『セキテイ』のたてがみを掴んで、舌を噛まないよう叫ぶ。
 「あの橋の向こうです!! そ、それから、ロープを切るとかなりの速さで橋が上がる仕掛けが
あるんです!! 」
 丁度、ぼくの頭の真上に顔があるリナ様は不敵に笑って言った。
 「わかった・・・このリナとセキテイ、戦いの中で不覚を取ったことは一度もない」
 リナ様の太ももが馬腹を『ぐっ』と締め付けると、信じられないことにさらに『セキテイ』の
速度が上がる。
 「うわわっ!! 」
 ぼくはその急加速Gにがくんと後ろに体を押し付けられる。リナ様の大きな胸の谷間に
頭がすっぽりと入るような形になってしまうが、ごわごわとした皮鎧の感触がするだけで
ちっとも嬉しくない。などと、不心得な事を考えていたせいか前方では吊り橋が軋み音と
ともに上がり始めていた。でも、まだぼく達は橋まで50mはあって・・・
 「ああ・・・渡れなくなっちゃう・・・」
 ぼくは絶望の叫びを上げる。さすがにまた川を泳げば今度こそ溺死してしまうだろう。
ぼくは馬首にかじりついて背後のリナ様を見上げる。笑ってる・・・!?
 「ふふふ・・・いくぞ、セキテイ!! 」
 戦いの予感。歓喜に震える紅のネコ姫。腰を少し浮かし、戟を水平に構える。正に赤い
流星と化して跳ね上がる橋に突っ込んで行く。ぼくは恐怖のあまり叫ぶ。
 「リ、リナさまっ!! もう、橋が上がってますってば!! ・・・ひゃああああっ!! 」
 速度は緩まない。ぼくは固く目をつぶる。
391『こちむい 0』sage04/04/11 16:51 ID:5B4zi6xc
 『どががががががが!!!』
 6本足の蹄が橋板を蹴る音。前に進む気配に加えて、ぐんぐんとした上昇感が加わる。
そして・・・
 「跳べっ!! セキテイ!!」

 良く通る、澄んだリナ様の声。ぼくは恐々目を開けた。眼下にはドウドウと流れる急流。
そして8m程向こうにあるもう一方の橋の先端。
 「ほ、ほんとに飛んでる・・・うわ・・・あ・・・」
 『セキテイ』は川の真ん中、25m程の上空を飛んでいた。吹き上げる冷たい風がぼくの
前髪をサラサラと吹き上げる。時間はゆっくりと流れるよう。橋の下には呆然と口をあけて
5人ほどの盗賊たちがぼく等を見上げてる。粗末な家の側でぐったりしている村人は思わず
よろよろと立ち上がる。自信の笑みを浮べるリナ様のメタリックレッドのティアラが陽光に
キラリ輝く。『セキテイ』のたてがみから飛び散る汗はまあるい粒となってゆっくりと後方に
置いていかれる・・・
 『ドンッ!! 』

 『セキテイ』は二人を背に乗せ10mを軽々と飛翔し、二人をもう一方の橋板に運んだ。
6本の足が板を強く叩く衝撃が、ゆっくりと流れる時間の速度を急速に取り戻させる。
 「この『無双のリナ』只今、 推! 参!!」
 殆ど立ち上がり、手の戟を一回転させるリナ様。ぼくはさらにガッチリと『セキテイ』の首に
かじりつく。だって橋の角度はもう急坂を通り越して崖のよう。
 「いやあああああッ!!!」
 叫ぶリナ様。矢のような速度で逆落としに突っ込む。盗賊たちはそれを見ただけで、先を
争って背を向け逃げ出した。
 「不甲斐ないことよっ!! 」
 リナ様がなぜか、がっかりした声音で叫ぶ。そのまま一気に盗賊達の間を駆け抜けた。
 「えっ!? あ、あの・・・その・・・」
 何か激しい戦いを予感していたぼくは拍子抜けしたような、ホッとしたような複雑な心境に
なる。しかし、そおっと後ろを覗けばトンでもないものを見てしまった。
392『こちむい 0』sage04/04/11 16:53 ID:5B4zi6xc
 『・・・・・・』
 棒立ちで立ち尽くす5人の盗賊。それが体の端々から血を噴き出して一斉に崩れ落ちた。
しかも馬ごと・・・
 「あわわわわわ・・・」
 次元の違う凄さにうろたえてしまうぼく。そしてそれを見た川辺の村人たちが歓声を上げて
手に手に得物を持ってリナ様について来る。このまま廃城を攻めて、今度こそ自分達の
村が解放しようとしているのだろう。あんなに顔をアザだらけにされても村人の反抗心は
鎮まらなかったようだった。

 「む・・・」
 リナ様はつまらなさそうに戟を大きく振ると、『ビッ!! 』と刃についた血が弾けとんだ。
 『ヒヒヒン!! 』高らかに嘶きを上げて『セキテイ』は華麗に土手を飛び越える。そして砂丘に
向けて突進して行く。遠くに20騎程の盗賊が砂塵を巻き上げてあたふたと逃げているのが
見えた。
 「いたっ!! 廃城に逃げられる前に追いつかないとっ!! 」
 叫ぶぼく。さすがのリナ様も廃城の分厚い門は破れまい。しかしリナ様は余裕たっぷりで
言う。
 「任せろ、4本足の馬より6本足のクレイプニールの方が遥かに砂地を走るのに向いている」
 その言葉どおり、『セキテイ』は砂を天高く蹴上げて、一気に盗賊たちを追い詰め始める。
 またもや、この砂漠で命を賭けた鬼ごっこが始まる。ただし、追いかける側と追われる側の
立場を変えて・・・そして、賞品はマナ様の命。誰もが、どぎつい太陽の下、心臓をぎゅっと
握られたかのように押し黙り、ひたすら走る。


 見る見る・・・と言っても20分近くかけてあと僅か50mまで追いつくリナ様。しかし、昨日の
夜はぼくを2時間近くかけて結局追いつけなかったのだから、やはりアッという間に追い
ついたと言っていいと思う。しかしそろそろ大きく目的地の廃城が見えてぼくをハラハラ
させる。盗賊たちもかなりオーバーペースで馬を駆けさせているらしく。すでに何人かは
馬が足を挫き、脱落した所をリナ様に斬られている。
 「んっ?・・・何か叫んでます・・・」
393『こちむい 0』sage04/04/11 16:55 ID:5B4zi6xc
 ぼくは目を凝らす。前方では先頭を逃げる頭分が何事かを叫び、ぼくらを指差している。
そして、盗賊がしり込みするように首を振る。そんなシーンがしばらく続いたと思うといきなり
頭分が山刀を抜き放ち、となりの盗賊を叩き切った。血煙を上げて馬から転がり落ちる手下。
 「えっ!? どうして?仲間割れっ!! 」
 ぼくが驚愕していると、しぶしぶ、いやいやと言った感じで手下が馬を返しぼく達に向かって
きた。リナ様が『セキテイ』手綱を引き、立ち止まると吐き捨てるように言う。
 「このままじゃ追いつかれるので、手下を捨て駒にして自分だけ逃げ切ろうとしている
のだろうな・・・まったくゲスにはゲスのやり方がある・・・」
 「あ、あわわわ・・・ぜ、全員できますよ・・・」
 頭分を除いた全員。数を数えれば18騎が一気にリナ様に突っ込んできた。1対18・・・
なんか絶望的な数字に見える・・・チラリと後ろを見るが一緒に徒歩でついて来てくれている
はずの村人はまだカゲも形も見えない・・・
 リナ様は落ち着いていて、ぼくに声をかける。
 「頭を伏せて、セキテイの首に抱きついていればいい・・・」
 ひゅんひゅんと戟をしごくリナ様。見る見る闘気が高まってくるのが見ないでもわかる。
 「ワ――ッ!! 」
 ヤケクソのように歓声をあげ、盗賊たちが手に山刀を振り上げ突進してくるが、砂地に
音が吸収されて遠くに漂って聞こえた。遠い夢の世界のよう。18本の刃の林がキラキラと
煌く。風が砂塵を押しやる。汗はすぐに乾いて馬にもネコにも平等に白い筋を残す。あと
30mもない。始めてリナ様が『セキテイ』に合図を送った。駆け出す『セキテイ』。無言の
リナ様は手綱を口に咥えて頭上に赤柄の方天戟を抱え上げる。
 「うおおおおおおぉぉぉっ!!!!!!」
 半包囲の状態で18の刃が同時に殺意と突進のスピードと供に繰り出される。右から
前から左から・・・生と死の交点・・・
394『こちむい 0』sage04/04/11 17:04 ID:5B4zi6xc
         (つづく・・・)

 お久しぶりです。ごめんなさい。終わりません・・・
 あと、残り一回という所・・・

 次回ついにマナが再登場します・・・なるべく早く頑張ります。
 エロなしでここまで引っ張って胃が痛いほどです。それではまた・・・



 さて、ここから全く関係がない話ですが・・・
入学式なんぞに行ってきました。自分はまだ『若い』ほうと思っていましたが、
流石に18歳には負けます・・・ 
 そして爆安の学割定期の代金に震えるほど驚いていたりします。(60%引き)
 学生の皆さん、ちゃんと勉強しないともったいないですよ・・・
395名無しさん@ピンキーsage04/04/11 17:23 ID:pLgrysVu
うぉぉぉ〜
リナ様格好いい〜
方天戟と言いまるで呂布のような圧倒的な強さですな
早くも続きを期待
396名も無きケモノミミスキーsage04/04/11 17:46 ID:lsmeXEk+
神キテター
397名無しさん@ピンキーsage04/04/11 18:44 ID:YiIzuzXV
今までのリナ様のキャラクターとのギャップが凄いw
ハラハラしました!GJ!!
398名無しさん@ピンキーsage04/04/11 19:38 ID:+EayxZpF
ネ申の新作キテタ━━━ヽ(ヽ(゚ヽ(゚∀ヽ(゚∀゚ヽ(゚∀゚)ノ゚∀゚)ノ∀゚)ノ゚)ノ)ノ━━━!!!!

GJ!
スピード感があって、一気に読み切れました。(・∀・)イイ!!
次はエチィの来るのでしょうか?それはそれで期待…(*´Д`)ハァハァ
楽しみにしてます(´∀`)
399名無しさん@ピンキーsage04/04/11 21:03 ID:hIE9GtdN
さり気なく馬が6本脚だったりするんだな
400名無しさん@ピンキーsage04/04/12 02:20 ID:QKumA0Ee
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

リナ様の格好よさに燃えましたよ!
槍術ならば世界一の噂は伊達ではありませんね。
『セキテイ』も『赤帝竜王』の名に恥じぬ凄さ。
さすが天馬の仔!

続きも楽しみにしとりますぞ
401名無しさん@ピンキーsage04/04/13 01:48 ID:ndLTUCnw
移転保守
402名無しさん@ピンキーsage04/04/15 00:49 ID:Znzf4twL
hoshu
403名無しさん@ピンキーsage04/04/17 01:18 ID:Wqan2re9
404名無しさん@ピンキーsage04/04/18 23:20 ID:2gxF9zTh
アズカ様に惚れた。
405名無しさん@ピンキーsage04/04/20 02:19 ID:ThMbDL4v
捕手
406名無しさん@ピンキーsage04/04/20 19:51 ID:ed/0wBeP
マナ様期待保守
407名無しさん@ピンキーsage04/04/23 00:28 ID:sFGYHA4a
ほしゅー
408名無しさん@ピンキーsage04/04/25 00:49 ID:3vbVkTB3
保守
409名無しさん@ピンキーsage04/04/26 01:17 ID:HuITifhu
帆首
410名無しさん@ピンキーsage04/04/28 01:30 ID:4oA3xy1i
ホシュ
411名無しさん@ピンキーsage04/05/01 11:25 ID:njlMPNkA
黄金週間保守
412名無しさん@ピンキー04/05/03 02:11 ID:kcWb+6wt
413名無しさん@ピンキーsage04/05/05 01:53 ID:VSf7w8mh
子供の日保守
414こちむい0sage04/05/05 20:54 ID:CafhE36u
 
 ここまでほうって置いてアレですが、
 日曜までに必ず。と言って見る。
415名無しさん@ピンキーsage04/05/05 21:04 ID:1U1gfCBj
おおっ!ついに新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
今から日曜が楽しみだ。
作者さん待ってますよ。
416名無しさん@ピンキーsage04/05/05 22:02 ID:MNlc5u1k
作者さんキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!

我々読者は待ってますから、そんなに焦らずとも納得いく作品を書いてください。(´∀`)
楽しみにしてますよ。
417名無しさん@ピンキーsage04/05/05 22:07 ID:9MCSt+nE
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
418名無しさん@ピンキーsage04/05/06 15:22 ID:1hl7WFSm
キャ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
楽しみにさせていただきますね
419名無しさん@ピンキーsage04/05/07 00:59 ID:Y2RkHEqj
期待して待ってまーす(*^o^*)
420名無しさん@ピンキーsage04/05/07 13:23 ID:ddWXphSG
こちむいハァハァ
421名無しさん@ピンキーsage04/05/07 21:31 ID:kFmFAu7b
こちむい予告キテター----(゚∀゚)------!

楽しみにしてますー
422名無しさん@ピンキーsage04/05/09 23:57 ID:x/ynxecf
テストsage
423こちむい0sage04/05/10 00:01 ID:EXpUGQRI
 「ひゃっ!! リナさまっ!! 」
 ぼくは『セキテイ』の首にかじりつきながら後ろを振り返る。しかしリナ様は
薄く笑ってさえいて・・・。

 「悪!」
 初めて方天戟を振りかぶり・・・
 「即!」
 グッと気合を入れれば、燃え立つような気の奔流がぼくの背に感じる・・・
そして・・・
 「斬!!」

 リナ様が戟の端を握り大きく一回転させた・・・いや、それはぼくには見えなくて、
気がついたときにはもう戟を振り払った後。風切り音のみがぼくの耳に遅れて
届く。『ビュン!! 』でも『シュン!! 』でもなく、『ターン!』と刃が空気のカベを突き破る、
ほとんど金属質の音が砂地に響く。柄に埋め込まれた紅玉は世にも美しい
真紅の真円の残像を空中に描き出した。
 『ああ・・・すごく綺麗・・・』
 ぼくはこんな事を思うが、それは世にも美しく、世にも恐ろしい輝き・・・

 18本の刃はぼく等に届く寸前で一斉に遠ざかっていく・・・なんと言ったら
いいのか、ビデオの逆回しを見るようにそのまま、いきなりこっちに向かってくる
ベクトルを180度逆方向に変えて盗賊たちが弾かれたように飛ばされていく・・・
まるで、リナ様を中心に大きな爆弾が爆発したように一斉に吹き飛んだように・・・
うん、正確には逆回しではない、だって18人の盗賊は、吹き飛ばされ、砂地に
叩きつけられた時にはもう40近くの『部分』になっていたから・・・
 「野獣死すべし・・・」
 リナ様は真っ直ぐ前を見ながら、何事もなかったように追跡のペースを上げる。
ぼくは慌てて目を閉じ、盗賊達のなれの果てを見ないようにした・・・むせ返る
ような血臭はたちまち焼けた砂の匂いに紛れて消えた・・・
424こちむい0sage04/05/10 00:03 ID:EXpUGQRI

 そしてまた、おそるおそる目を開けて、慌てて前方を見る。前方に大きく
見えるのは、マナ姫の監禁されている廃城。距離はもう100メートルを切っている。
 「とっ、盗賊の頭分はっ!? 」
 いた・・・城の大扉をくぐろうと狂ったように馬に鞭を入れる頭分。その差は50m
ほど。頭分を迎え入れようと、城の大扉はゆっくりと小さく開く。その扉の隙間から
チラリと広場の奥にあるマナ姫を閉じ込めている魔法封じの檻が見えた。
 「マナ姫・・・戻ってきました・・・」
 小さく呟くぼく。でもあのお城に入らないと意味はないのだ。ぼくはギリギリと
唇を噛んで呟く。
 「ああっ、間に合わないかも・・・」
 先に盗賊の頭分にお城に入られれば、さすがのリナ様もあの分厚い鉄扉の
扉は切断できまい・・・と、その時だった。
 いきなり、前方の頭分の馬がつまずいたように転倒する。頭分も、もんどりうって
落馬し、馬から放り出される。
 「や、やったっ!! これで追いつけるっ!」
 不謹慎だが、人の不幸に心の底から歓声をあげるぼく。しかし、敵もさる者。
不完全ながらも受身を取り、背中から落ちるとすぐさま起き上がり、足をもつれ
させながら城門に駆け込もうとする。頭分と城門の距離はもはや10mぐらいしかない。
 「あああっ!! そんなっ!! 」
 ぼくは悲鳴を上げる。その時リナ様が行動を起こした。
 「むっ・・・見えたっ!! 」
 鞍から腰をあげ、手に持っていた戟を一気にに振りかぶる。
 「むんっ!!!」
 気合を発してリナ様は手に持っていた戟を投擲した。先ほど真円を描いた
紅玉の光は、今度は一条の死の光線と化して頭分を襲う。
 真紅の光条は吸い込まれるように頭分の元へ・・・そして飛来する巨大な
方天戟は逃げる頭分を紙のように貫くハズ・・・
425こちむい0sage04/05/10 00:06 ID:EXpUGQRI


 「うおおおッ!! 」
 いきなり、乗っていた馬の足元から『バギッ』と鈍い音がして、馬は泡を
吹きながら転倒する。いきなり放り出され、顔から地面に突っ込みそうに
なるが体をひねって何とか背から落ちる。
 「ぐはあっ・・・使えねえ馬めっ!! 」
 肺から息を搾り出され、咳き込みながら、今まで頭分の為にまさに
死ぬほど走った忠実な馬に毒づく。すぐさま起き上がりもはや目の前の
城門を目指す。後ろをチラリと振り返れば、さらに紅い姫将軍は間近に
迫って来ており、頭分は小さく悲鳴を上げながら砂地を走る。
 「ヒイッ!! なんでオレがこんなっ!! ・・・ハウッ・・・」
 足を取られて全然進まないような気がして、うろたえながら泳ぐように走る
頭分。恐怖で顔が引き攣り、うまく息が吸えない。今にも自分の真後ろに
戟を振りかぶった姫将軍がいるような気がして膝が萎えそうになる。頭分は、
何で自分がこんな理不尽な目に合っているのかと、自分勝手にも神を呪う。
 その時だった、扉は目の前だったが、あまりのプレッシャーに膝がガクガクと
笑い、躓いて顔から砂地に突っ込んでしまう。
 「ひいいいっ!! 」
 慌てて立ち上がろうとするが、後頭部に殴られたような衝撃。視界の端に映る
紅い光条。
 『ザシュ――ッ!!!』
 凄まじいほどの高速で飛来した物体が頭分の頭の僅か上を掠めて通過していく。
 「ひっ・・・・・・!!!」
 投げられた戟を偶然にもかわした事に気がつき、意味にならない悲鳴のような
声を上げる。パラパラと頭の毛が10本ほど飛び散る。そのまま、4つんばいに
なって無様に城内に駆け込む。同時に背後で音を立てて閉じられる分厚い鉄扉。
頭分は広場にへたり込む。
 「うっ・・・おおお・・・ざ、ざっ、ざまあみろっ!! 外しやがったっ!! ヒッ、ヘヘヘヘヘッ・・・」
 安堵のあまりボロボロと涙とヨダレをこぼしながら狂ったように叫んだ。
426こちむい0sage04/05/10 00:08 ID:EXpUGQRI

 「あ・・・ああ・・・」
 リナ様の投擲した戟は当らず、結局頭分は場内に逃げ込んでしまった。
ぼくは半泣きで馬から降りて思わず扉に駈け寄ろうとする。
 「行くな・・・奴ら城壁の上から射掛けてくるぞ」
 リナ様は冷たく言って、あっさりと城から距離を取る。確かに、城壁の上に
盗賊たちが現われ、ばらばらと弓を射掛けてきた。でも、あそこに、
あの扉の向こうにマナ姫がいるのに・・・
 「クッ・・・リナ様が最後に外したからッ・・・んんんっ・・・」
 ぼくはリナ様をなじる。こんな事を言ってはいけないのは判っているけれど、
つい言ってしまう。リナ様はすまなさそうにぽそりと呟くように言う。
 「いや・・・外してはいないのだ・・・」
 「えっ!? だって現に・・・」
 ぼくを抱えるリナ様に振り返った時だった・・・ふいに背後で地鳴り。
 『ズゴゴゴゴゴ・・・・・・』
 「うわあああ・・・」
 ぼくはとんでもないものを見て、目を驚愕に見開く・・・

 場内に転がり込んだ頭分。少し落ち着いて咳き込みながら息を吸い込み、
ヒステリックに手下たちに喚く。
 「て、手前らッ!! ぼやっとしてねえで総出で城壁の上に行って、外の奴らを
追っ払え!! 」
 仲間の血脂に染まった山刀を振り回して叫ぶ頭分に異議を唱える手下は
おらず、あわてて皆、弓を抱えて城壁の上に登る。それを見て安心したのか、
頭分は一人ごちる。
 「へへ・・・あのイワシ姫め・・・妹の目の前でバラバラに切り刻みながら犯してやる・・・」
 ニヤニヤと一人、残虐な妄想に酔う頭分にそのイワシ姫本人の声。
 「にゃふ・・・お前の腐った妄想は聞き飽きたにゃ・・・」
 からかうような口調。距離は離れていたが、その声は良く通り、頭分に届く。
ハッと頭分は頭を上げ、檻の中のイワシ姫を睨みつけた。
427こちむい0sage04/05/10 00:10 ID:EXpUGQRI
 「う、うるせえっ!! オレは無敵だっ、あの『無双のリナ』の追跡をかわして、
まんまと逃げ切ったんだぜ!! あいつの投げた方天戟を鮮やかにかわしてなっ!! 」
 と、転んだ偶然を脚色してマナに自慢する頭分。ニヤニヤ笑って続ける。
 「へへ・・・ツイてるぜ、一時はどうなることかと思ったが、オレは無事だし、
人質はまだこっちのものだ・・・」
 ふと気がついたようにキョロキョロと辺りを見回して言った。
 「おっと・・・そういえば、あの『無双のリナ』の方天戟にはでかいルビーが
付いてるってウワサだが、ありゃどこへ行った?」
 場内に先に飛び込んだ戟を探す頭分にマナは指差して言う。
 「ここにあるにゃ」
 「んっ?おおっ・・・それだ・・・」
 目を輝かせる頭分。マナの魔法封じの檻に突き立っている戟の柄には大粒の
ルビーが煌いている・・・その輝きに目が釘付けになる頭分。
 「へへ・・・やっぱりオレはツイてるぜ・・・」
 と、何の気はなしに近づこうとした足がピタリと止まる。なにかおかしい・・・
方天戟は何で檻に突き立っているんだ・・・?目を凝らす・・・
 「う、おおおおおおぉぉ・・・」
 思わずうめく頭分。その方天戟の先端はマナの檻のごつい錠前の、ほんの
小さな鍵穴に狙いたがわず突き立っている・・・
 「ま、まさか・・・初めから・・・」
 「当たり前にゃ・・・リナが仕留めそこなうはずにゃいにゃよ・・・」
 『がこん・・・』
 気付かれたか・・・と、マナが舌打ちして扉を蹴飛ばせば錠前は砕け、檻の扉は
あっさりと開いた。ゆっくりと外へ出、マナは紅い方天戟を拾った。
 「にゃふ・・・」
 陽射しの中に立つネコ姫。静かに頭分を見つめる。
428こちむい0sage04/05/10 00:13 ID:EXpUGQRI
 「ひっ・・・うわあああぁぁ・・・」
 仲間を求めて周りを見るが、全員すでに城壁の上・・・舌が張り付いたように
声が出ない・・・そしてふいに気が付く。マナの口が小さく動き呪文を詠唱
していることに・・・
 『ひ、あ、あ、あ・・・シシシ、死ぬ、オレ死ぬのっ!! 燃えるの?それとも
ズタズタにされるのかよ?』
 恐怖の余り、へたり込む頭分。逆にマナは方天戟をサクリと地面に突き刺し。
大きく両手を突き上げる。徐々に詠唱の声は高まる。
 「・・・砕けよ時の首枷。木は土に、鉄は灰に、岩は砂に・・・」
 金色の瞳が妖しく光る。

 「天!!」
 右手を真上に上げ。
 「地!!」
 左手は地面を差す。
 「猫!!」
 そして胸元で指を組み合わせると目を見開く。
 「発現っ!!」

 マナを中心に見えない力が弾ける。その圧倒的な力の波動に慌てて頭を
抱えて伏せる頭分だが、自分の身には何もおこらない・・・
 「ひ・・・うあ・・・死んでねえ、手も足もついてる・・・」
 おそるおそる自分の手足を見つめ、呟く頭分。よろよろと立ち上がる。
 「失敗しやがったのか?・・・」
 と、安堵して言った瞬間それは起こった。

 『ぼこっ』
 城壁の上の一抱えもある大きな角石がふいに崩れ落下する。運悪く、その石に
乗ったり、身を隠すようにして矢を射っていた盗賊の手下二人が巻き込まれて、
石もろとも落下する。先に落ちた二人の上に圧し掛かるように落下した1トンは
ありそうな大石。その見るに耐えないシーンは激しい砂ぼこりが覆い隠す。
429こちむい0sage04/05/10 00:15 ID:EXpUGQRI
 「始まったか・・・」
 さらにぼくを抱えて後ろに避難するリナ様。城壁の上の落ちた石の下から
『ザーッ』と砂が流れるように落ちる。そして一気に城が歪んだ・・・
 「お城が沈む・・・いや、崩壊してるのか・・・そんなウソみたい・・・」
 城壁の石が、風化して砂となり、静かに垂直に潰れるように城は不気味に蠢く。
バラバラと上から落ち地面に叩きつけられる者・・・また城壁の上の足元が、
柔らかい砂地になり底なし沼に落ちるように深く沈んで行く者・・・
 「姉上の大魔法・・・久しぶりに見た・・・」
 リナ様が呟く。抱えたぼくを静かに下ろし。『セキテイ』を前に進ませる。
 ぼくは口を開けて呆然と見送るだけ。まさか・・・あのマナ姫がやっているの
だろうか?コレを・・・小城とはいえ、まともな城を一気に砂に変えるなんて・・・
 あっという間に城はただの砂山になった。ドーナツ型の巨大な砂山の中心に
残ったのは、村からの人質を閉じ込めておく掘っ立て小屋。そして魔法封じの檻。
元広場で無様に恐れおののく盗賊の頭分に・・・ふわりと立つ、金色の瞳のネコ姫・・・

 「ひっ!! ま、待ってくれ・・・人質も返す、身代金もいらねえ・・・」
 などと武器を放り出してペコペコと跪いてマナ姫に命乞いをする頭分。
 ところが頭を下げながら油断なく廻りに視線を巡らせた頭分は、思わず
マナ姫に駈け寄るぼくを見て山刀を拾い、ぼくを人質にしようと飛び掛る。
 「あわわわわわっ!! 」
 「コイツを助けたかったら・・・」
 とぼくの前に立ちふさがろうとする頭分の目の前に、銀色の刃が突き出された。
慌てて急ブレーキをかけてたたらをふむ頭分。
 「・・・・・・」
 馬上に跨ったままのリナ様が腰の剣を抜き、頭分を通せんぼしたのだ。
砂山から一気に跳躍した『セキテイ』は『トーシロはウロチョロするなよ』みたいな目で
ぼくを睨んで大きく鼻を鳴らした。うう、ごめんなさい・・・
430こちむい0sage04/05/10 00:19 ID:EXpUGQRI
 「うああ・・・ひっ・・・」
 マナ姫とリナ様に挟まれ、うろたえる頭分。しかし、今度は山刀も放り出し、
掘っ立て小屋のある真横の方角に逃げ出す。ほんとに往生際が悪い・・・
今度は前から捕まえている村人を人質に取ろうとしているのだろう・・・しかし、
頭分の絶望の悲鳴。
 「うああっ!! 」
 「観念するですの――っ!! 」
 3歩もその方向に走れずに頭分は膝から崩れ落ちた。そう、そこにはすでに
ユナ様が率いてきた村人たちが自分たちの家族や恋人を解放していた。
歓声をあげて家族と抱き合う村人たち・・・もちろん武器を構え、頭分に対して
殺意に満ち満ちた視線を飛ばしている者もいる・・・というかそっちの方が多い。
 「う、あ・・・」
 計算高そうな頭分の視線がきょろきょろと自分を囲んでいる3方を見る・・・
馬に乗った小柄なネコ姫を中心に、大人数で武器を構えて待ち構える村人たち・・・
かたや、30人の手下を苦もなく瞬殺してしまった姫将軍、しかも、もう剣は抜き
放たれていて・・・そして、慣れない方天戟を重そうに持ち両手がふさがり、大魔法を
使ったばかりのネコ姫、なんか少し疲労しているのだろうか下を向いている・・・
ニヤリ、頭分の口端が狡猾に歪む。
 「お前だ――っ!! 」
 一気にマナ姫に駆け出す頭分。そのまま切り抜けて強行突破するつもりなのだ。
 「マナ姫っ!! 逃げて――っ!! 」
 叫ぶぼく。きっとマナ姫は魔法は得意でも、剣は苦手に違いない・・・案の定、
焦ったのか、全然早いタイミングで重い戟をふらふらと振り回すマナ姫。
 自分の体のはるか手前を通過する刃を見ながらせせら笑う頭分。
 「けけ・・・やっぱり剣の腕はからきしか・・・ぐばっ!!!!!!」
 『シャズ・・・』
 ふいに戟の刃から冷気の刃が飛び出す。それは戟の間合いをとんでもなく
さらに伸ばし、空気が切り裂かれたような音と供に頭分の腰を存分に叩き切った。
431こちむい0sage04/05/10 00:21 ID:EXpUGQRI
 「あ、う・・・ウソ、だろ・・・」
 切られた腹を押さえる頭分。完全に切断面が凍りついて出血が全くない。
 「にゃふ・・・この程度の魔法なら印を結ぶ必要もないにゃ」
 涼しい顔で言うマナ姫。『ヒュンヒュン』と戟を華麗に振り回し、石突を下に
して戟を立てる。
 「わたしにはちょっと重いかにゃ・・・」
 などと言っている間に、頭分の傷の凍った部分が加速度的に広がっていく。
 「ひいっ、こ、凍るっ・・・助けてくれッ、い、イヤだあああぁぁぁぁ・・・」
 ゆっくりと、頭分の心臓が凍り、声帯が凍り、眼球が凍りついた・・・ギラつく
砂漠にふいに出現した氷の彫像。
 『カシャ――ン!! 』
 ふいにその上半身はなめらかな氷の切断面から音もなくずれて行き、
砂地に落ちれば粉々になって砕ける。もはや、急速にして強い冷却の働きで、
氷つきながらも同時にカラカラに乾いていたらしく、ほとんど塵のようになって
砂地に消えた。
 「にゃふ・・・」
 すたすたと前に歩いたマナ姫は戟の石突で残った下半身を叩くと、これも
ガラスの割れるような音と供にキラキラ光る塵となって砂漠の砂に紛れて消える。
 そうして盗賊は全て滅んだ・・・お城ごと・・・

 そんなマナ姫に真っ先に駈け寄ったのはユナ様。
 「マナ姉・・・」
 ほんの一言呟き、マナ姫の手を取るユナ様。
 「・・・・・・」
 マナ姫も無言で『ぎゅ』っと手を握り返す。ユナ様の目がキラキラと潤んでいる。
一見、あっさりとして見えるが、2人の間には他人では測り切れない深いつながりが
あるのかもしれない・・・少し羨ましい・・・
 「マナ姉はいつも心配かけるですの・・・」
 最後に小さく呟いてマナ姫から離れるユナ様。すると今度は『自分の番』とばかりに、
息せき切って『セキテイ』から飛び下りて駈け寄ってくるのはリナ様。
432こちむい0sage04/05/10 00:23 ID:EXpUGQRI
 「あ、あ、あねうえっ!・・・わぷっ!! 」
 『セキテイ』から降りたリナ様は、裏返った悲鳴のような声でマナ姫に駈け
寄ろうとし、そのまま砂地に足を取られてビタンと顔を打ち付けるようにして
転んだ。さっきまであれほど凛々しかったのに、『セキテイ』から降りた瞬間、
『ぷしゅう』と空気が抜けたみたいにヘタレになってる・・・
 「あ゙、あ゙ね゙ゔえ゙〜」
 砂地に倒れたリナ様はそのまま上体を起して膝をついたまま泣きじゃくる。
上げた顔には、涙と鼻水の筋にびっしりと砂がくっついてトンでもなく見苦しい
顔になってる・・・ひょっとして馬から降りたり、武器を持ってないと性格変わるのかな?
 仕方なしにマナ姫は自分から近寄って、しゃがみこむリナ様の顔をハンカチで
ゴシゴシ拭いてやる。
 「ほら・・・泣くにゃ、リナ・・・ひどい顔にゃよ・・・」
 「あっ、あ゙っ、あ゙ね゙ゔえ゙〜、あ゙ね゙ゔえ゙〜ひっぐ、えっぐ・・・」
 膝をついたリナ様はマナ姫の腰に取りすがるようにして大泣きしてる。やっぱり
プレッシャーが凄かったのかな・・・?そんなリナ様にマナ姫は言う。
 「リナはもっと胸を張って良いにゃ・・・ほら、チーンするにゃ・・・」
 「えっく、えっく・・・ぶ〜っ!! 」
 などと、絹のハンカチに盛大に鼻をかむリナ様。ちなみに今更、自分のポケットから
ハンカチを勝手に抜かれたことに気がついたユナ様が声にならない絶望の悲鳴を
上げている。そんな感じで三姉妹の再会を見守っていたぼくだけど、一段落ついた
ところでゆっくりと3人に近寄る・・・

 「あの・・・」
 モジモジとぼく。マナ姫とこの姿で会うのが初めてなので『始めまして』の方が
いいかな?なんてくだらないことで悩みながら言う。すると、すっかり立ち直った
リナ様がマナ姫の間に割って入るようにして来て言った。
433こちむい0sage04/05/10 00:25 ID:EXpUGQRI
 「やったな・・・君は立派な勇者だったぞ・・・」
 両肩に手を大きな手を置いて言う。そして顔を赤らめてぼくに告げた。
 「・・・どうだ?私の所にこないか?あの『セキテイ』が私以外の者を
乗せるのは中々ないのだぞ・・・それに・・・」
 目の淵を紅く染めてなぜかウットリとぼくを見つめるリナ様。なにかある
のかな・・・?
 そんなリナ様を突き飛ばすように割って入ったのはユナ様。
 「何、言ってますの――っ!! このコのお金出したのはユナですの――っ!!
だからユナに権利がありますの――っ!! 」
 大胆にもぼくに抱きついて胸に頬ずりしながら訴える。
 「ユナの所にくれば贅沢できますの――っ、働くのは夜だけですの・・・」
 と、ロリロリな体をくねらせて訴えるユナ様。夜の仕事ってなんだろう?
リナ様が激昂して言う。
 「コ、コラっ離れんか、このツルペタ絶壁エロ娘が!! 」
 ムカッとしたユナ様はさらにキツクぼくにしがみ付き、負けずに言う。
 「うるさいですの――っ!! リナなんて自分の部屋の鉄アレイでも突っ
込んでればイイですの――っ!! 」
 「な、な・・・姉に向かって・・・」
 『あわわわ・・・さっきまであんなにいい感じだったのに・・・』
 なぜか、ぼくが原因で争いが勃発し、うろたえる。その時、マナ姫が二人の
不毛な争いを止めた。ホッとするぼく。
 「二人ともやめるにゃ!! ・・・コ、コホン・・・この召使いはわたしが・・・」
 言いかければ二人の妹がくるりと振り返る。
 「ダメです(の)!! 」
 ハモって言う二人。
434こちむい0sage04/05/10 00:27 ID:EXpUGQRI
 「姉上はこの者を買ってすぐに、『もう好きにしろ』と、解き放ったではないか。
よって権利を放棄したことになるのではないか?」
 「そ、それはにゃ・・・」
 ぐっと詰まるマナ。しかし、怯まずに大声で叫ぶ。
 「・・・そ、それは全くのウソにゃ――っ!! 」
 と滅茶苦茶な言い訳を言い張るマナ姫に追い討ちをかけるのはユナ。
 「マナ姉に毎月のローンが返せるはずありませんの――っ!! ココはユナが
ちゃんと責任もって返済しますの――っ!! 」
 と、自信たっぷりのユナ様。
 「にゃ、にゃふっ・・・」
 ついに下を向いてしまうマナ姫。自分でも自信がないみたい・・・でも赤い
顔をして叫ぶ。
 「つ、月々のローンぐらい、コイツが働いて返すにゃあ!! 」
 「ええっ!? ぼくがですかっ?」
 ビシリとぼくを指差して言うマナ姫をみて驚愕に目を見開く。二人の妹は、
『お話にならない』と、マナ姫を無視してぼくに詰め寄る。
 「す、好きにすればいいにゃっ!! 」
 残されたマナ姫はビシリと指した指をへなへなと地面に下ろす。そして
ヘソを曲げ、三人からくるりと背を向ける。

 マナはムシャクシャしながら砂を蹴り上げるように歩く。
 「にゃふっ!! ちょっと見た目が良いからってあんなにガッつくことないにゃっ!! 」
 背後で『きゃあきゃあ』と言い争う二人の声を聞けばさらに苛立ちが募る。
 そうなのだ、マナとしてはあの召使いを諦める気は初めからないものの、
あのヒト奴隷に『病気で醜かった時』は放り出し、『外見がキレイになった時』には
逆に、自分のモノにしようとする、浅ましいネコに見られるのがイヤで思わず
ヤセ我慢をしてしまったのだ。
435こちむい0sage04/05/10 00:30 ID:EXpUGQRI
 『にゃふ・・・でもあのドレイの値打ちを一番判っているのはわたしにゃ・・・』
 なんて未練がましい事を考えて、イライラと爪を噛んでしまう見栄っ張りのマナ。
 背中の方では、二人の言い争いは、もう『ギャアギャア』と掴み合いに発展
しそうな気配・・・

 胸がズキズキと痛む。膝を抱えてしゃがみ込みながらぼんやり考えるマナ。
 『でも、いい加減なわたしより、リナやユナと生活したほうがあいつにとって
幸せかもにゃ・・・』
 とってつけた理由を並べて必死で諦めようとするマナ。でも諦めきれない・・・
頭の中にはあの召使いと供に過ごす未来の生活シーンが脳裏に溢れてマナを苦しめる。
 胸をギュっと押さえて立ち上がるマナ。いつしか二人の争う声は聞こえなくなっていて・・・

 『だめにゃ・・・わたしはあの召使いのコトが・・・す、す、す、スス・・・』
 
 「・・・スキです・・・」
 
 「にゃわわわわわっ!! 」
 心の中を言い当てられた気がして慌てて振り向くが、そこにはあの召使いがいた。
 「あ、あの・・・初めから決めていたんです・・・あのとき、マナ様の側で働けたら・・・
なんて・・・だから、だから・・・ぼくを二度も捨てないでくださいっ!! ・・・」
 マナの胸に飛び込んでくる、自分を命を張って助けたヒト奴隷・・・マナは思わず
抱きとめ、そっと二人の妹を伺う。そこには少し落胆し、さっぱりとした顔で笑う
二人がいた。ユナがソッポを向いて小さく呟いた。
 「初めっから決めてたなんてズルイですの・・・」

 マナは心の底から妹に感謝する。胸の不安や、頑ななココロの部分などの
ネガティブな感情がトロトロと溶け出していく。慌ててマナの胸でウルウルと
返事を待つ自分の召使いにウキウキと言う。
436こちむい0sage04/05/10 00:33 ID:EXpUGQRI
 「わたしの部屋に置いて欲しかったら、わたしのことを『ご主人様』って呼ぶにゃ」
 「は、はいっ!! ご主人様っ!! 」
 半べそから、ぱあっと顔を輝かせ、大きな声で言う新しいマナの召使い。
その様子のなんと愛しいこと・・・マナの胸があたたかい気持ちで満ちていく。強く
その召使いの体を抱きしめてマナは言う。
 「今からわたしが死ぬまで、わたしの事を『ご主人様』と呼んでいいのは
お前だけにゃ」
 「はいっ!! ご主人様」
 キラキラとした召使いの瞳。それはマナにとって眩しいほど。マナは見る間に
顔に血が上り、その気恥ずかしさに慌てて召使いから離れた。かわりに自分では
さりげないつもりで、召使いの手を引いて歩き出す。
 「な、なに嬉しがってるにゃ!! わたしの召使いはタイヘンにゃよっ・・・ほら、
さっさとお城に帰るにゃっ!! 」
 スタスタと召使いを引張るマナだが、見せつけられた妹達がここぞとばかりに
ささやかな嫌がらせをする。
 二人はピタリ息もよく、歩くマナの両側に立ち、わざとらしくパチパチと
拍手する。そればかりか、大声で言った。
 「みんな〜っ!! マナ姫が帰りますの〜!! 」
 「ほら皆の者、早く見送りに来い!! 」
 そう言うと、家族を取り戻した村人は助けてくれた姫君に礼を言おうと、
手に手を取って駆け出してくる。
 「にゃにゃっ!! 余計なこと言わなくていいにゃっ!! 」
 慌てて真っ赤になり、繋いだ手を離そうとするが、一生懸命にぎゅっと
握り返す召使いをチラリと見て、口から小さく息を吐いて諦めた、そして
マナからもしっかりと握り返す・・・
437こちむい0sage04/05/10 00:34 ID:EXpUGQRI

 空は青く吸い込まれるよう・・・ポニーテールのネコ姫さまは自分の新しい
召使いの手を引いて静々と歩く。
 両側の妹が、村人たちが、祝福するように歓声を上げ、手を振って
見送る中を歩いていく。
 
 王城に向かって・・・そしてこれから二人を待つ様々な出来事に向かって・・・

                                   (おしまい)
438こちむい0sage04/05/10 00:45 ID:EXpUGQRI
 はい・・・どうもすみません。むやみに長くなった挙句。やっと終わらせるコトが出来ました。
 気の長い皆様に心からおわびとお礼を・・・

 さて次からは新シリーズを書きます。
 やっとエロっちいのを書けるぞ・・・とめちゃくちゃ気合入ってます。
 好きなカップリング。登場キャラクターなどありましたら教えてください・・・
 今後の参考に致します。

 ちなみに、リナの乗っている馬は、正しくは
 『スレイプニール』という6本足の馬です。本文では『クレイプ』
になっていますが、キニシナイ!
 普通の馬が軽自動車なら、『セキテイ』はF1用の車だと思ってくれれば・・・
439名無しさん@ピンキーsage04/05/10 01:09 ID:4rh6mS7b
もうね、言われて気が付いてみた。




 今 回 エ ロ 無 か っ た の か

まあ、そんな位世界観に引き込まれたってことで。最高でしたとしか感想が出ず申し訳ないです。

リクエスト>
新たなキャラ案としまして、敵役が続いている盗賊サイドから良さげな娘を、なんて思ってみました。
一応身内では仁義を重んじていたどっかの一団を王族側が討伐した際、女の子を保護。当初はぼくやマナ様に憎悪を抱くも、徐々に…みたいな。
良かったらプロットに加えてみてくだちぃ。
440名無しさん@ピンキーsage04/05/10 01:14 ID:892eZral
GJ!!!
完結、ご苦労様です。
次のシリーズも楽しみに待ってます。
441名無しさん@ピンキーsage04/05/10 10:39 ID:1BvNndrP
得ろ無くても読み応えたっぷり
おおいにGJです!!
新シリーズも頑張って下さい
442名無しさん@ピンキーsage04/05/10 21:05 ID:cklgJsZX
>>439
とても同感。
た し か に エ ロ が な い !

ほんと、作者さんの文と世界に引き込まれてしまいました。
マナと「ぼく」の絆の深さをまざまざと感じました。

次回作も楽しみにしてます!
おつかれさまでした。
443名無しさん@ピンキー04/05/10 23:25 ID:EY6OyKY/
もひさしぶりでつ
毎日のように保管庫をチェックしつつ、こちむいが更新されるたびに
ハァハァしながら読んでますたが…
あまりのGJな話に

ついつい専用ブラウザ導入してしまいますた○| ̄|_


>こちむい作者様様
激しくGJでつ!
新シリーズも激しく期待しておりまつ!
こちむい9のあたりでも言いましたが
漏れの好きなキャラはリナ様
カップリングはぼく×ユナ様でつ
未だにユナ様をイかせまくってたのが漏れ最大の萌えでつから!
444名無しさん@ピンキーsage04/05/10 23:38 ID:EY6OyKY/
上げてしまった…orz

…新作期待ageってことで(つд`)
445名無しさん@ピンキーsage04/05/11 02:52 ID:P7EJqhb7
犬耳と狐耳の作者の方はどうしてしまったのだろう?
446名無しさん@ピンキーsage04/05/11 02:55 ID:zsI+U+Kb
やべぇ、、、本気でヤバイ。
ラストのシーンでは思わず涙が出てしまいました。。。

作者さん、サイコーです。もうマジでサイコー!
正直CLANNADなんてやってる場合じゃねーよ!!
447名無しさん@ピンキーsage04/05/11 17:27 ID:Hg7PkfFH
挿絵付きで売って欲しい。絶対買うから。
448名無しさん@ピンキーsage04/05/11 21:58 ID:vgsl6ZDX
>>447
激しく同意!
449名無しさん@ピンキーsage04/05/11 23:53 ID:noqgr4jt
保守
450名無しさん@ピンキーsage04/05/12 03:19 ID:YhDPJ7hM
例えば、誰の挿し絵で読んでみたいよ?
漏れは村田蓮爾の絵でネコ三姉妹、特にユナ
見てみたいなあ・・・などと言ってみるテスト。
451名無しさん@ピンキーsage04/05/14 02:29 ID:aDkiBsv5
アニメ化しる!
452名無しさん@ピンキーsage04/05/15 02:36 ID:2Rfe9xCz
村田蓮爾とはまたしぶい所に来たな。
453名無しさん@ピンキーsage04/05/15 19:17 ID:rdGN4IHr
Pink本をつくろうよ会議。
http://erobbs.com/pink/

人大杉を解決するためにも新サーバーを購入しよう、その資金の為に本を作ろうという動きがあります。
pink系各板がアイデアを出し合っているわけですが、エロパロ板は手詰まりな状態です。
というのも著作権の問題でパロは載せられない、つまりこの板の膨大なSSは使えないのです。
しかし、完全オリジナルであるこのスレのSSならば問題無し。
角二の職人さんに挿絵を描いて貰えば完璧。

残念ながらこちむい作者様に原稿料は入らないわけで無理強いはしません。
それでも構わないということでしたらお返事下さい。
454名無しさん@ピンキーsage04/05/15 21:09 ID:7+Ox7QbX
>453
おお!!まじか!?
455名無しさん@ピンキーsage04/05/15 22:57 ID:OU2/1B+O
ああ、あそこは二次創作は版権があって使えないから行き詰っていたな。
その点こちむいさんは完全オリジナルだからうってつけと言える。

勿論、ご本人のお気持ち次第だし、印税も入らないこと無理にされる必要はないんだが。
あの人のだったら同人誌でも買うし。つか、まとめて本作ってくんない?wマジで
456名無しさん@ピンキーsage04/05/17 02:10 ID:y4k0vDMH
゚∀゚)ノホシュ
457名無しさん@ピンキーsage04/05/17 21:20 ID:LKUnJY6G
製本されて出版されたら俺も買うっ!
挿し絵はまぎぃきぼん
458新シリーズ予告sage04/05/17 23:48 ID:YwiEgGSt
今週の日曜日ぐらいに必ず。と言ってみる。
もし、うぷされてなかったら、
単に題名が決められなかっただけ…
459こちむいネクストsage04/05/18 00:17 ID:bfZwVNrV
>>455
 
え〜『サーバ購入のために…』という話の件ですが・・・
 今の状況では無理な感じがします・・・

 基本的に私はココ以外で人に作品を書いたのも初めてですし、同人誌も
出した事がありません。ですから、この作品は、いずれここに置き捨てになるもので、
原稿料など要りませんし、個人が儲けるのでなければ是非みんなの為に
役立てていただきたいと思ってはいます・・・

 はっきり言って、サーバを購入して、お金が万が一余れば、全額イラクの
人たちに寄付し。やれ「わいせつ」だとか「2ちゃんはけしからん」などと勝手な
ことを言う偉い人達を2ちゃんの皆で見返してやりたい!なんて下らないコト
を妄想してたりします。

 ところが、もし、この『こっちを向いてよ』シリーズだけが発表されれば、これは
『エロパロ』では無い!と不快に思う住人の方がたくさん出ると思うのです。
 例えば、『こちむい』には、801描写があります。現在『書き手』スレで801は
『エロパロ』板に必要ない。という意見もあるほどなのです。

 既存の作品の『エロパロ』でもなく、801描写のあるこの物語はこの板を
代表するには全くふさわしくなく、また実力も不足していると思うのです。(実際、
この板で見たすごく面白いSSに触発されて『こちむい』を書き始めたので・・・)

 もちろん、いずれこの話が動き出し。多くのSSアンソロジーの中の一つ、と言うこと
でしたら、是非とも協力させていただきたいと心の底から願っています。

 以上、思いつくままに・・・
460こちむいネクストsage04/05/18 00:36 ID:bfZwVNrV
 皆さん感想ありがとうございました。ここの住人の人達はみんな
優しくてありがたいことこのうえなしです。リクエストは憶えておきますので
気の向くままにどうぞ。

 それから・・・
>>450 村 田 蓮 爾・・・キャラもいいけど服装のデザインも良いよね。
>>457 ま ぎ ぃ でぐぐってホームページ行ってきた。いいモン見させて
もらいました。

 題名が決まらない・・・よく考えると『こっちを向いてよ!! 』なんて結構いい
タイトルだったな・・・なんて自分で思ってたり・・・
 それでは日曜に・・・会えるといいですね。

461名無しさん@ピンキーsage04/05/20 18:29 ID:ASFX50C9
保守
462名無しさん@ピンキーsage04/05/22 02:51 ID:oPV4IpGg
捕手
463名無しさん@ピンキーsage04/05/22 17:15 ID:JZR3SpGJ
何故まぎぃ? まぎぃって赤松のアシスタントでしょ?
464名無しさん@ピンキーsage04/05/24 00:13 ID:oz8UUgB9
テスト
465『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:19 ID:oz8UUgB9
 『明日会えたら』

 その部屋は実にアンバランスな印象。落ち着いた印象の大きな衣装タンスの
上には赤、青、黄色の積み木をデザインした飾り布が敷いてあり、その上に
数こそ少ないがアクセサリー入れの箱がちょこんと置かれていた。半分開いた
その中には一昔前のデザインだが綺麗な紅玉のピアスが大事にしまってある。
そしてその小物入れの隣には小さなゾウのぬいぐるみ。そのゾウが守るように
写真立てがあった・・・
 写真の中には3人の幼いネコ姫が仲良く映っている。中央の黒髪のネコ姫は
腕を組み薄い胸をそらしている。短いポニーテールはまだ短くてチョンマゲのよう。
その右隣のネコ姫は錫色の髪の毛をきっちりとツインテールにまとめ、すまして
カメラ目線。そしてもう一方の端の赤毛のひょろりとしたネコ姫はおどおどとした
様子で真ん中のネコ姫に縋りつくようにして写真に収まっている。
 そんな女の子っぽい部屋・・・全然アンバランスじゃない?そう・・・そろそろ
アンバランスの訳を話さなくてはいけない。それはファンシーなリビングの床に
転がるダンベルや、プロテインのペットボトル。さらにアンバランスを決定付け
ているのは、女の子らしい小物の並ぶ壁の反対側にかけられたごつい方天戟。
そしてその下に並んであるのは大きな肉厚の太刀・・・これはいったい・・・
 そんなリビングの部屋の主の声が小さく響いている。そう、それはリビングに繋がる
ドアから・・・ドアについている、蔦の絡まったデザインのプレートには
『りな'Sべっどる〜む』なんて可愛い書体で書いてあって・・・



 「ひあああっ!! あっ!! あっ!! あっ!! あああっ!・・・」
 部屋に響く悲鳴のような喘ぎ声。この寝室の主である大柄なネコ姫は自分のベッドで
なく、その手前にいて・・・
466『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:23 ID:oz8UUgB9
 「んっ!! くっ!! ・・・リナ様っ・・・んんっ・・・」
 ぼくはリナ様の両ヒザの裏に腕を差し入れ、一気に持ち上げると立ったままリナ様を
刺し貫く。ぐぐっと渾身の力を込め、リナ様を揺すりあげてから、その体が落ちるのと
同時に腰を突き上げる。その度にリナ様は派手な喘ぎ声を漏らし、僕にしがみ付く。
ぼくの目の前で大きなおっぱいが激しく立て揺れしてる・・・
 「ふああっ、うあっ・・・あ゙っ・・・こんなのっ、こんなの初めてっ!! ひいいいいっ!! 」
 すごい乱れっぷり。それというのは、ぼくより体重のあるリナ様を持ち上げ、下半身に
力を入れているせいか、まるで鉄みたいにバキバキにぼくのアソコが固くなっている。
しかも、息を詰めているのでアソコの血管がびしびし浮き上がっちゃって、まるでぼくの
シャフトに細めのロープを巻きつけたような凶暴な姿になっていた。その出っ張りは
余さずリナ様のトロけた内側の壁を遠慮会釈ナシにゴリゴリと引っ掻きリナ様を
狂わせていく。もちろんリナ様もそれに合わせるようにぼくのシャフトをきつく、熱く
締め付けてくる。またリナ様が小さくイッたのか、耳をヒクヒクと動かし、ぼくに持ち
上げられたまま背筋をきゅきゅっとそらす。そして筋肉の付いた体に汗を飛び散らせ、
吠えるようによがりまくる。
 「うああああっ!! 、またイクっ!! ふぅあっ!! もう、もうっ!! 」
 リナ様は自分の寝室で駅弁スタイルのまま、揺すられながらぼくの頭に腕を回し、
そのまま夢中でぼくを抱きしめた。ハリのある巨胸に挟まれ溺れかけるぼく。
 「んぷっ・・・リナ様っ!! い、息がっ・・・むくくっ!! ・・・」
 もがくぼくだがリナ様は夢中で首を打ち振り、半狂乱になって言う。目の下の泣き
黒子のせいでドキッとするほど妖艶な顔。
 「ひああっ!! か、噛んでっ!! 強くしてっ、メチャクチャにして――っ!! 」
 危うく窒息しかけたけど、何とか呼吸を確保する。そして硬く尖った乳首を強く吸い、
なるべくリクエストに応えようと強めに甘噛する。とたんにのけぞり、すすり泣くように
よがるリナ様。不規則にぼくのシャフトを揉み上げるように締めつける。そして耳から
首筋にキスの雨を降らせてくる・・・というかもう半分かぷかぷと噛み付いてくる感じ・・・
跡をつけられると明日の夜。ご主人様が異常に燃えてしまうのに・・・
467『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:28 ID:oz8UUgB9
 「ひああっ!! いいっ、すごいっ・・・すごすぎるっ・・・イタイのもいいの、キモチ
いいの――っ!! おしりも、おしりもギュってつねってっ!! 」
 ヨダレを吹きこぼし、はしたないおねだりをするリナ様。さらに感じているらしく、卑猥な
音を立てる結合部から溢れた愛液はもうヨーグルトのように白く泡立ち、ぼくの太ももの
内側を熱く、トロリと流れる。
 『ぎゅむっ!! 』
 つねるのはさすがに遠慮して、ぼくはリナ様の膝の裏を通して抱えているお尻の手を
強く、思いっきり握る。大きなお尻がぼくの指をプリプリと押し返すけど、赤い手形が
つくのも辞さず思いっきり握り締める。
 「くふああああっ!! イタイっ!! イイっ!! いたいの!! イイの――っ!! 」
 ついにぼくの腰に両足を絡め、自分で腰を使い始めるリナ様。キツクみっちりとした
お尻に指を立てるたびに電気が通ったみたいに赤いシッポがピンと立ち上がっては、
快楽にうねる。ぼくは力尽きて倒れないようにするのが精一杯。手がさすがに痺れて
きた・・・
 「くっ・・・リナ様っ・・・」
 ぼくはそろそろケリをつけようと最後の力を振り絞る。目の前で重そうに揺れる大きな
胸に大きく口を開けて巧みに吸い付き『ずじゅちゅ』とはしたない音を立てつつ、
乳輪ごと揉むように、軽く歯を立てて吸引する。そしてお尻を掴む手の指が一本だけ
リナ様のアヌスに紛れ込むと、絶妙な力加減で、アヌスの内カベの一枚を隔て、
挿入されているシャフトと擦り合わせるようにして、ゴリゴリとリナ様が感じる所を
集中攻撃する。
 「ひぎっ!? ゔ、ゔああああああああっ!!!!」
 効き目はてきめん。リナ様は絶叫して背を反らし、天井に向かって吠える。おもらし
したようなリナ様の熱い蜜がぴゅっ、ぴゅっと溢れてぼくの太ももを熱く濡らした。
ぼくは息も絶え絶えになりながら、よろよろと歩いてリナ様ごと何とかリナ様を
落すことなくベットに二人、倒れ込む・・・


468『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:31 ID:oz8UUgB9

 「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
しばらくして落ち着いたのか、ベッドの上でゆっくりと息をつくリナ様。息をするたびに
仰向けになっても全然形の崩れないリナ様の胸が息づく。ベッドサイドのランプに
照らされたリナ様のカラダを見つめるぼく。
 「あれ・・・?」
 紅潮したリナ様のカラダに薄っすらと赤い筋が何本も、無数に浮き出ている。ぼくは
その赤い筋を指でそっとなぞりながらリナ様に聞く。
 「リナ様・・・コレ、どうしたのです?引っかき傷・・・?」
 その腕から、足、お腹や肩口にある赤い筋を指先でなぞられ、くすぐったそうに
リナ様は言う。
 「ん、くすぐったい・・・これは昔ついた傷跡・・・だな」
 「ええっ!? イタクありませんか?」
 慌てて聞くぼく。リナ様は自慢げにぼくに言う。
 「全然・・・昔の傷さ、体があったまると時々出てくる・・・それにここ5年は私に傷を
つける相手に会ったことは無いな・・・あ、コラやめろ・・・んっ、はくぅ・・・もっと休ませて・・・
あんっ・・・」
 ぼくがいたずらして、チロチロと舌で赤い筋を舐めると、小さく身悶えるリナ様。だって
ぼくまだイッてないし・・・リナ様も口ではそういうけどぼくの首の後ろに手をあてて
押し付けるようにする。髪をくしゃくしゃと撫でる指が気持ちいい。
 「でも、リナ様に傷をつけるなんていったいどんなネコなんですかね・・・ちゅ、ちゅ・・・」
 ぼくが聞くと誇らしげにリナ様が言う。
 「ん・・・姉上だ。私に一番初めに稽古をつけてくれたのは姉上・・・すぐ追い抜いたが、
始めのうちは毎日ボロボロにされては泣いていたな・・・」
 「ええっ!! ご主人様ですかっ!! ご主人様剣を使えたんですか・・・?」
 ビックリして思わず顔を上げて聞くぼく。リナ様は言う。
 「姉上は剣も使える・・・今は持ちさえしないし、質屋に持って言ったままだが・・・まあ、
あのミルフィが姉上をライバル視するのもあながち買いかぶりでは無いということだ・・・
んっ・・・あっ、んんっ・・・やさしくされるのも・・・んっ・・・」
 いつしかぼくの舌は赤い傷跡に沿ってゆっくりとお臍の下に・・・
469『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:34 ID:oz8UUgB9
 「でも、ご主人様って乱暴です・・・こんなにリナ様のこと傷だらけにして・・・ああっ!! 」
 ぼくは叫ぶ。ちょうとリナ様の縦長のお臍の斜め下に一際太く長い、大きな赤い筋が
ついてる。もしこれが傷跡ならかなり深いし大きすぎる・・・稽古にしても酷い傷だ・・・
 「ま、まさか、これもご主人様が・・・」
 ぼくが恐る恐る聞くとリナ様はこともなげに言う。
 「そうだが・・・」
 「ひどいっ!! いくら稽古だからってこんなにヒドい・・・ぼく帰ったら抗議します!! 」
 怒るぼくをなだめるようにぼくの頭を撫でながら、リナ様はゆっくり言った。
 「ふふふ・・・この傷は今の私を作った傷・・・これが無ければ今、『大陸無双』などと
言われていたか・・・」
 懐かしみ、慈しむように傷跡を撫でて呟くリナ様。もちろんぼくは後でご主人様の
こと問い詰めようと決心してるが・・・ふと気が付く。
 「あ、あれ・・・リナ様?・・・」
 『す〜、す〜、す〜・・・』
 軽い寝息が聞こえる。もう寝てしまったみたい・・・ぼくは小さく溜息をつき、コロンと
リナ様の隣に横になる。
 ベッドサイドの柔らかい明かりの中、天井を見て考える。
 「・・・・・・」
 ぼくは側にたたんで置いてあるシャツの胸ポケットから一枚の紙片を取り出し、
寝転がりながら手に取る。つい、ご主人様に報告しそびれたこの紙片・・・
 『パラリ・・・』とゆっくりと広げたその小さな紙片には流麗な字でこう一言だけ
書かれていた・・・

 『本日の深夜3時に謁見室で待つ。』

 書かれた通り、謁見室にいくのか、それとも無視をするのか・・・ぼくをここまで
躊躇わせている文字がすぐ下に書かれていた・・・

 『フローラ』
470『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:41 ID:oz8UUgB9
 「・・・・・・」
 ぼくはリナ様の部屋の時計を見た。2時45分・・・ぼくは一瞬だけギュッと目を閉じ
立ち上がる、身支度を整えて、満ち足りた寝息を上げるリナ様の部屋から忍び足で
出て行く。シュバルツカッツェ城の中央にある王宮を、ぼくのご主人様の母親に会いに・・・


 時は遡り。今日の朝、王宮食堂前。
 月初めの一日には女王の朝食会がある。女王が主催して、自分の娘達と水入らずで
朝食をとる。といってもウワサでは女王はめったにしゃべらず、非常に気まずいイベント
らしい。
 その朝食会もそろそろ終わる時間。ぼちぼちと、数少ないヒト召使いを持つネコ姫様の
召使い達が自分の主人を迎えに集まって来ている。
 「ふん・・・」
 今頃遅れて、のこのことやってくる他の召使いを横目に見つつ、文緒は窓ガラスに
映った自分の襟元のリボンタイを整える。今日もキッチリ一番に主を迎えに来た。
 173cmの身長を包むのは、光沢のある白の7分丈ズボンにジャケット。王宮では
召使いはなるべく白い着物を着ることになっている。絹のシャツの襟元には空色の
リボンタイが優雅に巻きつく。窓ガラスに映った顔はもう19歳になっていて青年の域に
達している。しかし、何不自由なく育ってきたせいなのか、ワガママな印象の瞳と
生意気そうに見えるくっきりとした唇が文緒をひどく幼く見せていた。髪は長髪。絹の
ような黒髪が背中、肩甲骨の下まで伸びている。項のところで空色を基調にした
組み紐でゆるく結わえてあり、エキゾチックな小物が良く似合っていた。また顔の
サイドの髪は軽くシャギーにしてあって、元々小さな顔が内ハネの髪のせいでさらに
小さく見え、19歳になり少年の甘さが薄らいだその容姿は人形のような美しい容姿を
完成させている。
471『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:42 ID:oz8UUgB9

 『ん・・・あいつら・・・』
 文緒はネクタイを直す手を止め横目で廊下の奥を覗く。やってきたのは160cm
ちょっとの、のほほんとした印象のヒト召使い。それと、のほほんとした召使いに
肩を並べて微笑みながら歩く、さらに背が低い超絶なる美少年。着ているものに
質の差はあるが、どちらも白い服装をしている。のほほんとした方は首にペンダント
替わりの黒い紐をつけている。黒はあの悪名高いマナ姫の色だ・・・
 『ふん・・・主人に似て、のん気そうなヤツ・・・』
 興味がすぐに失せ、小さくせせら笑い、もう一方の召使いを睨みつける。白い首に
巻きつく金色のチョーカーはミルフィ姫の召使いの証。窓ガラスごしに映るその美しい
召使いを睨んで、歯ぎしりする文緒。
 『あのミルフィのせいでお館様は・・・オレは・・・』
 わなわなとリボンタイにかけた手が震える。もともと皇位継承一位だった文緒の
ご主人様はミルフィの登場により、なぜかいきなり5位に落とされてしまった。また
今まで『美少年』とか『時期女王様候補の召使い』とちやほやされていた自分もあの
ソラヤに取って代わられ、主従ともに腹立たしいことこの上ない。
 『へへへ・・・無様な姿を見てやれ・・・』
 ニヤリと形良い唇を引きゆがめ、文緒はそ知らぬフリで窓ガラスから向き直る。
 「・・・・・・」
 やって来た・・・
 「あっ、おはようございます。文緒さん早いですね・・・」
 へらへら笑って頭を下げるマナの召使いは無視する。しかし、もう一人のミルフィの
召使い、ソラヤは真っ直ぐ前を向いたまま、逆に無視され文緒の神経を逆撫でした。
 『こ、こいつっ!! 廊下に無様に転がれッ!! 』
 カアッと顔を紅潮させながらも、絶妙のタイミングで長い足を出す文緒。
472『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:44 ID:oz8UUgB9
 『ひょい』
 しかし、ソラヤにあっさりと見もせずに飛び越されてしまう。目を丸くする文緒だが、
なぜか遠くにいる筈のマナ姫の召使いがわざわざ足を引っ掛け転倒した。
 「うわああっ!! 」
 見事なまでの顔からヘッドスライディング。
 「あううう・・・」
 半べそで立ち上がった顔の鼻を赤くし、麻の半ズボンのひざこぞうは絨毯の繊維で
擦れ、すりむけている。
 「間違えた」。などと言う訳にもいかないほど見事にひっくり返られ、腰に手を当てて
とりあえず言い放つ文緒。
 「じ、邪魔だ!! お前ごときが廊下の真ん中を歩くな」
 よろよろと立ち上がりながらマナ姫の召使いは文緒を見上げ、情けなく言う。
 「文緒君ひどいよ・・・」
 「ケッ、アホ面下げて、ボケっと歩いている方が悪い」
 ツンとすまして言うと、気弱なマナ姫の召使いはソラヤの手を引いて言う。
 「うう・・・行こう、ソラヤくん。もっと奥でご主人様たちを待ってようよ・・・」
 鼻をぶつけたせいで涙を目に浮べたマナの召使いに手を引かれるソラヤに捨てゼリフ。
 「ふん、とっとと行けよ・・・オレのお館様が女王になれば、お前共々、胸の大きさだけが
取り得のミルフィ姫なんか真っ先に追放してやる・・・」
 せせら笑う文緒に不意にソラヤがくるりと向き直る。後ろでソラヤのシャツを引張って
おろおろしているのはマナ姫の召使い。
 「おっ、ヤルのか?」
 軽く拳をシュッ、シュと突き出す文緒。無表情で文緒を見つめるソラヤ。それを見て
またもや激昂した文緒が先に殴りかかる。
 「オレはお前のコトが嫌いだ!いっつもお高く止まっている所がなっ!! 」
 一気に詰め寄る文緒。
473『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:46 ID:oz8UUgB9

 ソラヤは振り返る。無表情に見えるが瞳には冷たい怒りの炎が揺らめく。
 『ご主人様をばかにされた・・・』
 ソラヤにできることは一つ・・・そんな失礼な者にすべきことは・・・
 『死・・・』
 ソラヤは軽く右手を振って、ふらりと突っ込んでくる文緒に向かって一歩踏み出す。
 ソラヤの右手の先の何も無いはずの空間にキラリと煌きが光る。

 「あわわわ・・・」
 なんか知らないけど、ぼくのせいで喧嘩になっちゃったみたい・・・おろおろするぼく。
だいたい文緒君がいつも僕たちをなぜか目の敵にするのが原因だと思うのだけど・・・
でも、でも・・・体の一回り以上大きな文緒君がソラヤ君をいじめようとしていて・・・
 ぼくはぎゅっと目をつぶって度胸を決める・・・

 文緒は相手の顔を殴りつけて泣かせようとし・・・
 ソラヤはすれ違いざまに右手から出したクリスタルのスティレットで相手の心臓を
抉ろうとし・・・
 そして、マナの召使いは・・・
 「弱いモノいじめ!よくないっ!! 」
 敢然と二人の間に割って入った。

 「こ、このっ・・・ばかっ!! 」
 文緒はいきなり出たマナの召使いに驚きこそすれ、別に繰り出したパンチを止めて
やる義理もなく・・・
 「あうっ!! 」
 文緒の拳は止まらずにマトモにマナの召使いの顔に『ゴツン』と音を立てヒット。
 「じ、邪魔だっ!! 」
 捨て台詞を浴びせる文緒。
474『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:49 ID:oz8UUgB9
 ソラヤはソラヤで本気で顔色を変え焦っていた。いきなり出現した大好きなお兄さまの
背中に突き刺さる寸前のクリスタルのスティレット。ソラヤはそれを慌てて手首に
仕舞い込むのが精一杯。やっと仕舞い込むことに成功すれば、突き出した手は
もう止まらない状況・・・
 『ドスッ!! ・・・』
 「ぐはっ・・・そ、ソラヤくんまで・・・うう〜ん・・・」
 絵に書いたようなリバーブローがマナの召使いに背後からヒット。悶絶してダウン
するお人好し兼、間の悪いマナの召使い。
 「お、お兄さまっ!! 」
 慌てて駈け寄ろうとするソラヤに、うろたえつつも、さらにソラヤに襲いかかりながら
文緒が言う。
 「お、お前の所為だからなっ!! 」
 そんな自分勝手な言い草に初めてソラヤに純粋な殺意が溢れた。もう一度手を
軽く振る。今度はもう立ちふさがるものは何も無い。中途半端に突き出された相手の
拳を軽く払いのけ、がら空きになった心臓に静かな一突き・・・
 「・・・!! 」
 手が動かない・・・横目で見れば手首に巻きつく青い色のロープ。ソラヤの背後から
声がかかる。
 「ふん・・・朝からずいぶん過激じゃあないか・・・」
 手に鞭を持ったスラリと背の高いネコ姫が小さく笑いながら立っていた。からかう
ように大きな蒼い耳が頭の上で揺れている。
 「お、お館さまっ!! 」
 前の文緒がパアッと顔を明るくさせて自分の主人を見る。それに応えずにその鞭を
構えたネコ姫は言う。
 「その物騒なモノをしまいな・・・」
 ソラヤは巻きついた鞭を手首を動かして緩めようとするものの、その鞭は物理法則を
無視してギリギリと逆にソラヤの手首を締め付ける。ソラヤはめったに無い不覚に
ギリギリと唇を噛む。そんな時だった。
 「エイディア!! 何をしていますのっ!! 」
475『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:51 ID:oz8UUgB9
 ガッチリと自分の肩を押さえる手。その手の主をもう判っていながらエイディアは
ことさらゆっくりと振り返る。そう、そこにはおなじみの金色の髪をなびかせる
皇位継承者1位のネコ姫。
 「ご主人様・・・」
 ホッとしたような、怒られたような表情でソラヤは右手の爪をしまう。それを見て
エイディアも手首を軽く返せば、あれだけ食い込んでいた手首の鞭がするすると
生き物のようにほどけ、シュルシュルと巻き込まれつつエイディアの手に収まる。
余裕綽綽でそれを腰の黒皮のホルスターに収め、ボタンをパチンと閉める。ミルフィを
流し目で見ながらセクシーな声でゆっくりと言う。
 「礼ぐらいは言っても良いと思うのだがな・・・第一皇女どの?」
 振り返ったのはスラリとした印象のネコ姫。青を基調としたドレスは普通の姫と同じ
だが。裾にあしらわれたリボンやドレープは全て黒く濡れたように光るエナメルの皮で
出来ていた。青い上品なドレスの肩ひもに濡れたような黒皮が付いているのは何とも
ミスマッチながら、ミルフィ姫よりはるかに大人びた雰囲気のこのエイディア姫には
実に良く似合っている。髪の毛は上位の姫には珍しくショートカット。青い髪の色は
さっきの鞭の色とそっくりだ。また、ショートカットのせいで耳が大きく見え、可愛い
印象はあるものの、唇に浮いた冷たい笑みと冷ややかな瞳がその可愛さを遥かに
凌駕してしまっている。一言で言えば絵に書いたようなクールビューティーという所。
 「礼ですって・・・どうせまたエイディアの召使いがソラヤに悪さをしたんでしょ!! 」
 グッと詰め寄るミルフィ。もはやトレードマークのような巨大な胸がぶるんと揺れる。
ちなみに30人のネコ姫様の中でミルフィより大きい胸を持つ姫はミルフィの妹しか
いなかったりする・・・
 「さあ、どうだったかしら・・・?」
 首をわざとらしく傾げ、白々しく考えたフリをするエイディアにミルフィの怒りが高まり、
一種即発の状態。他の姫君たちが遠巻きに固唾を飲んで見守る。時期女王有力候補が
ついに激突・・・二人の視線がぶつかり合い空気がバリバリと音を立てるよう。
476『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 00:56 ID:oz8UUgB9

 そのころマナは・・・
 「姉上、もう戻ろう・・・召使い君も待っているのだろう・・・」
 情けなさそうにリナ。
 「そうですの――っ!! マナ姉はいやしいですの――っ!! 」
 ユナもうんざりして食堂の扉の前に立って言う。しかしマナは意に返さず、テーブルに
向かって食事中。
 「にゃふ・・・こんなに上等な食事、食いだめしておくのが生活の知恵にゃあ・・・」
 などと言って、フローラ女王の前で緊張し、ロクに食事がのどを通らなかった
他の姫の残した料理も食べてたりする。
 「むしゃ、むしゃ・・・こんな美味い料理を残すなんて罰当たりにゃあ・・・」
 「ほ〜ん〜と〜で〜す〜の〜」
 と間延びした返事がそばから・・・驚いて振り返るマナ。そこにはマナに倍する速度で
皿を空にしていくネコ姫が一人。慌てて叫ぶ。
 「こらっ!! ミーシェはそれ以上食べるとネコが豚ににゃるからやめておくにゃ」
 「だって〜美味し〜いんで〜す〜も〜の〜」
 スイカのような胸をテーブルに乗せるようにして、むしゃむしゃと皿を空にしていく
ミルフィの半妹。プニプニした二の腕は、テーブルの上では神速と形容して良いほど
早く動き、皿の上の残り物を消滅させていく。
 『くっ!! 』と仕方なくペースを上げるマナ。慌ててクロワッサンを口に押し込むとそばの
カフェオレで流し込み、デザートの風猫堂のプリンを2、3個まとめてポケットに放り込む。
 こんな卑しいのがあのミルフィの妹だとは信じられないと思いつつ、争うように他人の
残り物を平らげて、テーブルを移動しまくる卑しい二人であった・・・
 いや・・・要するに・・・とりあえずマナも他の姫と対決中だったのだ・・・そのあいだマナの
召使いはずっと廊下で悶絶していたのを言いたかったり・・・
477『こちむいU あしたあえたら』sage04/05/24 01:05 ID:oz8UUgB9
    (つづく・・・)

 新シリーズです。
 新キャラの名前、名付け親の方、ありがとうございました。
ちゃんと使用させてもらってます。
 ついでにフローラの妹二人の名前も募集してます・・・なにとぞ・・・

 今回、フローラ女王がこっそり『ぼく』に紙片を渡すシーンまで
書きたかったのですが次回に・・・

 今シリーズは長編を3回で完結予定です。
 ちゃんとストーリーは練ったつもりです・・・
 またよろしくお願いします。

 次回は『ぼく×フローラ』がメインで・・・
 それでは10日後ぐらいに・・・
478名無しさん@ピンキーsage04/05/24 01:06 ID:EYd6V4Xb
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
479名無しさん@ピンキーsage04/05/24 01:41 ID:SBO3gm01
嗚呼…新作…

タイトルが何かを予感させるようで素敵です。
もう、初めっからエロ全開ですしw
新キャラや過去に関することが出てきて早速ワクワクです。

これからも頑張って下さい。
480名無しさん@ピンキーsage04/05/24 02:18 ID:QxYUNpGX
GJ!
また頑張ってください。
481名無しさん@ピンキーsage04/05/24 03:05 ID:MnVRO7Yt
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!

新作乙!です
しょっぱなのリナ様が正に漏れの希望通りでつ…
もう一回読み直して萌え死んできまつノシ
482名無しさん@ピンキーsage04/05/24 03:11 ID:MnVRO7Yt

⊂⌒⊃。A。)⊃
483名無しさん@ピンキーsage04/05/24 09:48 ID:P9J0RVLe
むぅ…、『新作アプおめでd』祭りに乗り遅れた悔しさを晴らすために
フローラ女王さまの妹の名づけ親、一番乗りにチャレンジしてみまつ。

一番上のお姉さまのお名前が、「フローラ(花)」なので
妹さんは、「イーリス(虹)」と「セレネー(月)」なんてのはどうでしょうか?












…え〜と、なんだか某『宝〇歌劇団』みたいな安易なネーミングで、ほんとすいません…。
484名無しさん@ピンキーsage04/05/24 22:21 ID:43SS44yI
ttp://homepage3.nifty.com/alice-b/img-box/img20040524110636.jpg
甜菜

髪がリナ様っぽかったのでつい…
485名無しさん@ピンキーsage04/05/25 00:45 ID:i21yuxEQ
ゴルァ!>>484
リナ様はもっと爆乳でつよ!









でも髪は似てる(*´д`)
486名無しさん@ピンキーsage04/05/25 20:58 ID:CpgiiGmS
もっとネコ分が欲しい。
487名無しさん@ピンキーsage04/05/27 15:39 ID:iR3Gft6D
キテタキテタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!
新作待ってました!
初っ端のリナ様がまじすげぇ
ここまででもGJでし!
488名無しさん@ピンキーsage04/05/29 23:52 ID:H0+eWXyx
捕囚
489名も無きケモノミミスキーsage04/06/01 00:41 ID:3pNXGo6G
>>488
490名無しさん@ピンキーsage04/06/02 09:10 ID:rmxQy6a5
>>488->>489
491名無しさん@ピンキーsage04/06/04 02:20 ID:Ktngv4Lj
保守
492名無しさん@ピンキーsage04/06/05 00:10 ID:nxSp8dyR
いたい。

あたまが、いたい。

あたまだけじゃない、からだが、いたい。


「いてて・・・・・・・あれ?」
目を開けて、周りを見渡す。
「――――何も、ない・・・?」

一面、見渡す限り荒野と言うに相応しい土くれだらけの地面と周りにそびえたつ山。
「あれ〜?変だなぁ・・・えっとー、さっき自分の家に帰って・・・」
ご飯作ろうとしてガス台の前に立って・・・ひねったら・・・・
「爆発、したんだ・・・・・・じゃぁ・・・ココは天国?」

天国にしちゃ殺風景すぎる。じゃあ、ココは地獄?悪い事したっけなぁ。
しょんぼりしながら、とりあえず立ち上がる。
体の節々は痛いけれど、歩けるから大丈夫なんだろう。

『もっしもーし♪』

急に背後から声をかけられてびっくりした。
振り返ると、そこには声の若さとは裏腹に妙齢の綺麗なおねーさんが立っていた。
「あなた、ヒトでしょ?怪我してるのね、ウチにおいでよ♪」
「ぇ?ヒト?って・・・?」
くすくすと笑いながら自分の手をグイグイと引く彼女。
なにか違和感を感じながらそのまま着いて行くしかないようで、引かれたまんま歩いて行く。
493(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/05 00:11 ID:nxSp8dyR
周りは相変わらず山と荒地だけ。
目の前を行く綺麗なおねーさんは艶やかな毛並みの尻尾を振りながら鼻歌なんか歌ってご機嫌で歩く。

ん・・・・・・・・・・・・?・・・・・・・・・・・・・しっぽ?

背中を厭な汗が流れるのを感じながら目線を上にやると、認めたくないけど”ネコ耳”がたふたふっと揺れていた。
えーと。
「尻尾も耳も動くなんて、随分手の込んだコスプレですねーおねーさん」
「えー?こすぷれってなぁにー?ネコならついてて当然よぉ〜♪」
怪我のせい以外の理由で頭痛くなってきた気がする。

おねーさんが歩きながら簡単に説明してくれた。
ココは、ネコの国という所で、自分達の国で言うなれば”ネコ耳人間”てのが普通の住民で自分みたいな
人間は”ヒト”と呼ばれる存在で、希少価値が高いそうだ。
おねーさんの名前は『火蓮』と言うそうで、山の麓の小さい村の村長さんの娘らしい。
「で、キミはなんて名前なの〜?」
「あ、自分は悠希って言います」
そうなんだ、とおねーさ・・・火蓮さんは笑う。
笑うと八重歯?犬歯?がちょっと覗いて可愛いかも。

「あたし、メスのヒトは初めて見たからびっくりしちゃってね〜♪オスのヒトは割とよく見かけるんだけどね
 奴隷売りとかが売りに来るのもほとんどオスだから。体力なくてメスは死んじゃうんだってー」
奴隷とかって・・・さっくりと酷い事言った気がしますが火蓮さん。
「あ、だいじょぶよぉ、あたしは悠希を奴隷にさせる気なんて絶対ないからねっ!」
顔色が変わったのを気付いたのか、火蓮さんが慌てて手を振る。
必死に違うからね、大丈夫だからね、と言うのをみて自分も安心する。
494(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/05 00:13 ID:nxSp8dyR
壁|・ω・`) こちむいさんの見ていて何か書いてみたくなって・・・
      多少お借りしている部分ありますが、このまま続き書いてってよろしいでしょうか?
495名無しさん@ピンキーsage04/06/05 02:26 ID:9s3JWQsg
>>494
もちろん!!
続きを楽しみにしてるよ
496兎耳構想中sage04/06/05 12:01 ID:QpvGfTGP
設定だけ先に作ってしまい、話の流れ全然出来てませんがコソーリ立候補_| ̄|○ノ
こちむい世界を使用しているようで使用していないような感じなのですが、書いてしまっても大丈夫でしょうか?

>>494
本物の(゚∀゚)神のヨカーン!!
497名無しさん@ピンキーsage04/06/05 13:22 ID:Tn2wuuaq
>>496
 何を躊躇っておるのだ。
 即刻、投下しる!!!

>>494
 おおお、初めてのケモノミミ×おにゃのこSSキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
498兎耳構想中sage04/06/05 13:30 ID:QpvGfTGP
>>497 名前がまだない_| ̄|○
499へたれ猫@携帯sage04/06/05 15:13 ID:Q/XdUllL
お許し頂けて嬉しいです。
あんまりエロエロならんくてもいいでしょうか?(;´・ω・)
おにゃのこ同士のお互い初体験からっての考えてるもんで。
500名無しさん@ピンキーsage04/06/05 15:31 ID:Tn2wuuaq
>>498
 お名前はココで募集すれば桶なのでは

>>499
 ほんのりエロエロ風味な初体験ほのぼのSSで
 丼飯30杯イケル体質なので、全然桶桶
501名無しさん@ピンキーsage04/06/05 16:18 ID:FZBb74cL
おにゃのこキター!
激しく続きキボンヌ。 ガンガレ作者さん!
502名無しさん@ピンキーsage04/06/05 18:19 ID:kf2srGQv
動物王国大繁栄万歳
503兎耳構想中sage04/06/05 18:31 ID:QpvGfTGP
“エロなし” 且つ “導入部分のみ” 投下します
嫌でしたら言ってください、名無しに戻りますので
504十六夜賛歌[0|1/4]sage04/06/05 18:32 ID:QpvGfTGP
<<interlude in>>

今日はきっと満月だと思った。


午後9時、塾が終わる。あと半年で高校受験。
今となって思えば、あれは夢だったのだと思う。
夢だと思った、夢のような思い出。
それは、きっと今日と同じ満月の夜のことだと思った。
505十六夜賛歌[0|2/4]sage04/06/05 18:32 ID:QpvGfTGP
塾が終わると、皆は当然家へと帰る。もちろん僕も。
だけど僕は、塾の帰り道にある小さな公園で、夜空を見上げてた。
何故かというと、両親は共働きでいつも夜遅くに帰ってくるから。
つまるところ、家に帰っても何も面白いことなんかないから、

だから僕はここに居座ることを毎日の習慣のようにしていた。
実際、月とか星とか見るのは嫌いじゃなかったし。

空高くに大きな月と、大きな兎が見える。
今日はきっと満月だろうと思った。


「今日は……今晩は、かな?」

静まりかえった公園に、凛とした兎の声が響く。
その兎の変わったところといえば、半袖のTシャツに長めのチェック模様のスカート、
ついでに夜なのに野球帽を被った、僕くらいの年頃の女の子だったくらいか。

「君に会えるかと思っておめかししたんだけど、変かなぁ?」

時計ウサギは僕を誘う。
少女の澄んだ声が、僕に響いてくる。
たぶん今日は面白いことが起こるだろうと。
ウサギを追いかけるアリスの気持ちが、分かったような気がした。

「確かに変だけど、変じゃないと思うよ」
506十六夜賛歌[0|3/4]sage04/06/05 18:33 ID:QpvGfTGP
僕の答えに、少女は恥ずかしそうに微笑んだ。
彼女が帽子を脱ぐ。
僕は初めて、彼女が白く長い髪と、後ろに大きく垂れ下がった、
真っ白なウサギの耳を持っていることに気づいた。

「私は君に来てほしいと思っているんだけど……どうかな?」

その答えは、さっき言った。
だから今回は確認のつもりなんだろう。

「うん。僕は君に連れていってほしいと思う」

はっきりといった。
どこに?、とか、いまから?、とか、そういう余計なことは考えもしなかった。
僕の言葉に、彼女は心底嬉しそうに笑っている。

気づくと、彼女はいつの間にか僕の目の前に立っていた。
そのまま、持っていた帽子を僕の頭にかぶせる。
もともと彼女には大きかったのだろう、その帽子は僕の頭にピッタリとはまった。

「じゃあ、今すぐに。もたもたしていると月が沈んじゃうよ」

彼女は僕の手を取り、魔法の言葉を紡ぎ始めた。
507十六夜賛歌[0|4/4]sage04/06/05 18:34 ID:QpvGfTGP
― 月の光を魔法の光に、光の道を此処から此処に ―
― 3秒前、2秒前、1秒前 ―
― 天地玉兎、展開、解放、そして転移 ―

彼女の右手に握られた、銀色の懐中時計が、光を浴びて煌いた。


多分僕は、それは夢なんだろうと、そのときも思った。
ついでに言うと、彼女には一目惚れしていたんだと思う。
だからこんな無茶が出来たというか、
こんな無茶をしようと思う気になったとか。

なにせ月の光の下の、白い兎は、僕がいつも好きだった景色だったから。
いつも夢に出てきた、いつも夢の中で見ていた景色だったから。
だからきっと満月だったんだと、今でもやっぱり思っていた。

<<interlude out>>
508兎耳構想中sage04/06/05 18:44 ID:QpvGfTGP
導入部分は以上でした。電波でごめんなさい。

続きが見たい方は、どうぞ言ってください。
見たくない方も、どうぞ言ってください。

えと、“ぼく”および、少女こと“姫さま”の名前を募集したいと思います。
まだまだ話が練りきれてないため、臨機応変にいけますのであまり制約付けませんが、

姫様の名前=[称号名]・[名]・[姓]

となります。
称号名は、言ってみれば誕生石の様な感じで >>94 辺りから選んでください。
ちなみに横文字です。“ぼく”は縦文字で。
登場人物増える恐れあるので、出てきただけ採用させていただきます。

他にもだいぶ名前が付いていないものがあるので、そちらも思いつけばお願いいたします。
具体的には街の名前、城の名前など。
509兎耳構想中sage04/06/05 18:51 ID:QpvGfTGP
その他思いつくまでに

>こちむい作者様
世界観が微妙に統一できていなくて申し訳ありません
あと『天地猫』パクリました。ごめんなさい_| ̄|○
にもかかわらず、魔法観は独自のものを使用しています。そちらもごめんなさいです

>きつね作者様
完全に私信ですが、>>91 をみてあることに気づいてしまいました
もしかして僕、音速遅いですか?

>ALL
それではここまで
乱文乱筆・連投、どうもすみませんでした
510名無しさん@ピンキーsage04/06/05 21:30 ID:+1TJxsA9
幻想的だった。GJ!!
これからも頑張って!!
511名無しさん@ピンキーsage04/06/05 23:41 ID:ZP8pQgws
なかなか雰囲気はいいと思うよ。
是非、続きを書いてください。
応援しとるよ。
512名無しさん@ピンキーsage04/06/06 09:34 ID:N9M2PeWQ
詩的でGJ!
513兎耳構想中sage04/06/06 18:02 ID:n7zLjcYe
>>510>>511>>512
御感想、本当に有難う御座います
ですが、流石に全編このような感じで進めるのは無理ですorz

昨日の時点ではエロ多めだったのが、今日になって少なくなってしまいましたorz
エロ無しでは話が出来ちゃったので、どれだけ絡められるかが勝負かも
住民の皆さんの理想は、エロ100%の方が良いのでしょうし ((´・ω・`)

登場人物、今のところ確定が2人のみ
設定を先にあげたほうが良いですか?
514(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/06 19:49 ID:p87rgWIo
(´・ω・`)設定の文字を見て、自分はほとんど考えてないのに気付いてウトゥ・・・

>兎さん
姫さま→ ”翠緑の方” セ二ア・ディミオン 
”ぼく”の方は漢字名の方がいいのかな。カタカナしか思いつかなかったので置いときますw
515(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/06 19:53 ID:p87rgWIo
続き少し書けたのでUP
>>493続き
そんな事を言っている間に、目の前に急に集落が見えてきた。ココが火蓮さんの村なのかな。
火蓮さんが、村に入る前に自分のスカーフを頭にかぶせてくれた。ネコじゃないってバレないようにかな?

村に手を引かれたまま入ると、周りをアッと言う間に子供に囲まれた。ネコ、だから子ネコになるのかな。
みんな顔は確かに人間なんだけど・・・みんな”ネコ耳”も”尻尾”もついてる。ちょっとこゎい。

『火蓮さまー、それ誰〜?誰〜?』
「はいはい、この方は火蓮の大事な方だからみんな来ちゃダ〜メ〜、火蓮おこるよー」
『ハーイ』『えー、残念〜』『あとで火蓮さま遊んでよー?』
文句垂れながら子供達があっさりと引き下がらると、周りと違って一際大きな家に連れて行ってくれた。

家に入ると、火蓮さんによく似た綺麗な人・・・ネコが玄関に待ち構えていた。
「火蓮、おかえりなさい。それは・・・ネコじゃないわね?ヒトね?メスを拾うなんて珍しいじゃないの。」
「お母様、これは火蓮が見付けたんですから火蓮のモノです。奴隷になんてしませんわ」
玄関先で口喧嘩なんか始めないで欲しいなぁ・・・火種が自分とは言え、見ててやだなー。
あー・・・怪我のせいか頭がフラフラすr・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
516(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/06 19:53 ID:p87rgWIo
目を開けると、玄関じゃなかった。
どうも今日はあちこち移動しまくってる気がするぞ、自分。
ぼーっとしながら視線を動かす。結構広いお部屋だな、ベージュ基本にしたシックな感じの壁紙だし、
調度品もココから見える分には趣味がよさそう。背中がフワフワするのは、お布団の上だからかな?
「あ、悠希おきた、良かったぁぁぁぁっ!」
火蓮さんの嬉しそうな声が聞こえたと思ったら視界に火蓮さんの顔がドアップで入って来た。
それから、自分の怪我に気付かないで母親と喧嘩を始めた事を謝るやら、怪我の手当てはしたから安心しろとか、
ご飯は食べれそうかとか、そのまま布団に横になっていていいんだから気にしないでいいんだとかまくし立てた。
「それとね、悠希」
ハイハイ、次は何でしょうか火蓮さん。
「悠希はあたし付のヒト召使いになるって事でお母様と折り合いどうにかついたから、売られなくて済むよ」
「売られないのは嬉しいんだけど・・・召使いって何するんですか?」
「んー・・・あたし付のだから別に特にないけど、一応建前上としてはあたしの身の回りの世話とかかなぁ?」
じゃあ、火蓮さまって呼ばないといけないんですか?と聞くと、「ヤダ!」と一言で却下された。
どうも、自分と上下関係という形にしたくないらしい。”お友達”がいいそうだ。

ふーん、と、取りあえず納得してホッペをぽりぽりと引っ掻いた。
それを見て火蓮さんが身を乗り出してくる。止まるかと思ったら、そのまんま布団の上まで身を乗り出してきて・・・
517(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/06 19:54 ID:p87rgWIo
ぺろっ、とホッペを舐められた。見た目は人間みたいでも、やっぱり猫舌らしい。ちょっとザラザラしててくすぐったい。
「血がまた出てるよ、悠希」
言いながらぺろっぺろっとホッペを火蓮さんが舐める。
「くすぐったいですよぅ火蓮さんっ」
クスクスと笑いながら押しのけようとするけど、体の節々がまだ痛くて力入らない。
「あー、首にも血がついてるー、気付かなかったぁぁ」

え。首に”も”って・・・首も舐める気か火蓮さん!

一瞬どうやって避けるか考えたのが悪かったか、首にザラッという感触。
痛くはないんだけど、何だか変な感じがする。
くすぐったい、とも痒い、とも違う。何かもそもそする感覚。
火蓮さんは、治療のつもりなのか、こっちではそれが普通なのかぺろぺろと傷をなめてくる。

ヤバい。何かヤバい。首から背中に向かってなんだかムズムズしてきちゃった。
相手が男の人だったらまだ分かるんだけど、相手は綺麗なおねーさんだぞ自分!
「火蓮さん〜もう大丈夫ですから止めて下さいよ〜」
「そお?ちゃんとお薬塗った方がいいかな、あたしいっつもこうやって傷治してるんだけどなー」
火蓮さんが体を離してくれたお陰でムズムズ感はきえてくれた。
「悠希、顔真っ赤だよ?熱出ちゃったのかな、今お薬お母様にもらってくるね」
518(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/06 19:56 ID:p87rgWIo
その後は、自分で包帯を交換しようとしてくれたのに自分が包帯にじゃれついて意味がない火蓮さんとか
食べさせようとしてくれたのはいいんだけど布団の上に見事にこぼしてしょぼくれる火蓮さんとか。
見た目は20そこそこの綺麗なおねーさんなのに、こう・・・やる事が見事にドジ踏むというか何と言うか。

「火蓮さんて(子供らしい所とか)可愛いですね」
そう呟いたら、急に火蓮さんの顔が真っ赤になった。
「そっそっそっそんな事ないわよっ!」
そんな事あるんですが。女の自分から見てもそんな素で照れまくられるトコとか可愛いと思っちゃいます。
「いや、自分から見て可愛いと思うから可愛いでいいんです。」
「もっ、もう寝た方がいいよねっ!朝また起こしにきたげるねっ」
真っ赤なまんま火蓮さんが部屋を出て行く。
出る時にランプを消してくれた。

真っ暗になった部屋の中で、バタバタとした今日一日を振り返る。
高校から帰って、お腹すいたからご飯作ろうとして。ちょっとガス臭いとは思ったけどまさか爆発しちゃうなんて。
ましてやこんな・・・ネコの国なんかに来ちゃうなんて、凄い経験だよね。ネコの国に来たアリスみたい。
色々考えてる間に眠りについた。

それから2,3日はベッドから離れられない生活を過ごしたから、なにも変わった事は特に無かった。
火蓮さん曰く”落ちてきた”せいでついた傷が軽く塞がったと言うので、やっと起きる許可も出て一安心。
519(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/06 19:57 ID:p87rgWIo
「あのね火蓮さん、お風呂入りたいんですけどお風呂まだダメですか?」
「あっ、そうだね、汗でベトベトだよねー。今メイドに言って沸かしてもらってくるから待っててね」
10分位待ってると、火蓮さんがタオルを抱えて嬉しそうに戻ってきた。
「あたしも一緒に入ったげるから一緒いこ♪」
「えぇぇぇ!一緒って、そんな恥ずかしいから!いいですってば火蓮さんっ!」
「自分の召使いが病み上がりというか病み中なのに1人でお風呂入れてのぼせてお風呂で溺死なんてしたら
あたしどうしたらいいか分からないもん、一緒に入ってちゃんと見てるからね」
――そっか。自分、火蓮さんの”ヒト召使い”なんだっけ。
仕方無いので諦めて一緒にお風呂へ。

お風呂はすごかった。
とりあえず広い。そして、大理石みたいな石を全面に使ってて、すごいキレイ。湯船も何種類かあった。

腕をあげると、ちょっと痛いので背中を火蓮さんに流してもらう。
「髪邪魔だよねー、あげちゃうね♪」
自分のセミロングの髪は、確かにそのままじゃ洗うのには邪魔だよなー・・・先に上げとけば良かった。
背後でくるくるっと髪をまとめてくれて、まとめてからタオルで頭に押さえてくれた感触がする。
ずっと布団に横になっていたせいで風を感じることの無かったうなじに、温かい湯気が通る。気持ちいーな。

火蓮さんがタオルを泡立てて背中を洗い出してくれる。やわらかいタオルと泡が何だかとってもくすぐったい。
背中からわき腹にタオルが滑ると、思わずクスクス笑い声が出ちゃう。火蓮さんもそれを見て笑ってくれる。

背中を流すと、火蓮さんが「こっち向いてね」と言うので向き直った。
520(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/06 20:06 ID:p87rgWIo
寸止めな感じですが、とりあえず次はやっとお風呂でいちゃいちゃ予定です。
えっちぃ場面まで持ってくのがこの2人辛いかも・゚・(ノД`)゙・゚・

一応イメージ゙的には・・・・

・悠希・
17歳じょしこおせい。制服は濃紺のブレザー。”落ちて”来た時は当然制服。
その制服は、今は火蓮が預かってる。
身長156a、細め。コンプレックスは細すぎて胸も小さいところ。
自分の事を呼ぶ時にあんまり”わたし”と言わずに”自分は”と言う癖がある。

・火蓮さん・
見た目大体19か20そこそこ。ネコはあんまり年齢気にしないので、見た目で判断。
悠希の思った通り、割とドジを踏みやすいと言うかむしろドジしまくり。手先一応器用なんですが。
身長160a、少し悠希より背が高い程度。胸は悠希よりは大きいです。
母親(村長)や大人達の前では、しっかりした口調で話す事もできるけど、普段は子供とよく遊ぶので
少し子供っぽい口調がメインなようです。
521(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/06 20:11 ID:p87rgWIo
しまった、毛色書いてないじゃないか私w

悠希→キレイなストレートの黒。女子高生にありがちな茶パツじゃないです。
     瞳は茶色、少し色素薄めな感じ。
火蓮→少し赤みがかった金。ゆるくウェーブがかってます。背中まで届く長い髪。
    耳と尻尾は赤みがかった茶色。瞳は緑と青が混ざったような金。

お絵かき掲示板とかあれば描いちゃうんですけど、どこなのかわかんなくって。誰か教えて下さい(;´Д`)
522兎耳構想中sage04/06/06 21:13 ID:n7zLjcYe
競争が市場を活性化させる(#゚Д゚)ゴルァ!!
設定公開します

なお、話に関係のある文章は『十六夜賛歌』でフィルターをかければ
一括で見れるように配慮してます
ご利用ください
523十六夜賛歌[設定]sage04/06/06 21:13 ID:n7zLjcYe
[人物設定]

・姫様
黒瞳・ストレートの茶髪・白肌、容姿は中の上、見た目14〜16才、うさ耳
比較的内気な性格、恥ずかしがりやだが“やる時はやる”ときもある
魔法の腕前は上の中、魔道力はそこそこだがMPが高い
その他『耳が良い』『指先が器用』『体内時計の誤差が±1秒/月』など、変なところで高機能
実は庶民の出身
とある事情で“王族の養子に迎え入れられ”さらに“王妃継承権第一位を約束”された強モノ
そのためその他12人の姫様sからイジメラレル傾向に

・ぼく
高校受験が嫌で逃げてきた(違っ!!
毎日が張り合いがないことに嘆く毎日を張り合いがないと思っていた
他人の意見を密かに否定しないタイプ(O型?)
身長は“姫様”よりも僅かに高い……他の身体的特徴は説明しなくてもいいよね、男だし
524十六夜賛歌[設定]sage04/06/06 21:14 ID:n7zLjcYe
[舞台・その他設定]

・国
1つの街で国が完結する、いわゆる都市国家
かなり寒い地方にあるので、気候を操作する魔法式(魔方陣)を張り、その上に家を建ていく形式
つまり、床暖房を司る魔方陣の上に立てられた街
意外と居心地が良い

1つの魔法式の直径は約200メートル
城を中心に、魔法式を作っては家を建てて大きくなってきた
その為、上空から見ればブドウの房のように、悪く言えばブドウ球菌のように見える

人口は、他の国の3分の2、大多数を兎で占める

・城
真っ白

・宗教
基本的には月を神聖視したもので、例えば月は神様が住まう所と信じられているとか
つまり、「月には兎が居る」が宗教レベルまで発展したもの
国民の大多数(殆どは兎)が信仰している

◆ちなみに、こんなにギャグな設定でも、本編は基本的にシリアスですので◆
525兎耳構想中sage04/06/06 21:15 ID:n7zLjcYe
以上、重ねて告知しますが『姫様』『ぼく』『国』『城』『宗教』の名前を募集いたします
マジで名前を付けるのが苦手な僕を、誰か助けてください_| ̄|○

>>514
ちなみに姫様の名前は“ガーネッ○・ティル・アレクサンドロス17世”の様なのを想像してました
折角考えていただいたのですが、初めの部分がちょっとorz

ちなみに、宝石名の選択肢に『ムーンストーン』を入れておきます
この話、現状では月がかなり重要な位置にあるので、これもありかと

ついでに言うと、“ぼく”は漢字じゃなくてもいいかと
個人的には「タクヤ」で考えていたりするので

>>521
絵版ではなくて、アップローダを使ってみてはいかがでしょうか?
流れるのが嫌なのであれば、自分 HP 持っているので、融通致しましょう
何とかなるもんです
526名無しさん@ピンキーsage04/06/06 21:38 ID:tkSNsmh5
お二人ともGJ。
なんか神が増えてきていい感じです。
今後も期待してます。
527名無しさん@ピンキーsage04/06/06 21:44 ID:bxQ5mS0L
なんかいっぱいキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
528十六夜賛歌[設定]sage04/06/07 00:14 ID:4p4igTrL
[追加設定]

・魔法
魔法式の技術が発達しているため、それを媒介とした魔法酷使が一般的なスタイル
魔法式は予め何かに刻んでおく必要があるが、魔法式の内部構造は魔法によって後天的な書き換えが可能なため
魔法使いは大抵身の回りのものに1つ記しておくだけの場合が多い
“姫様”の場合は懐中時計の裏に刻んであったりする

魔法発動時には、式を展開・解放させた後、そこにある程度形を持った魔力を流し込み、魔法を形成する
一番簡単な魔法式は増幅タイプ、ちなみにこれは使い勝手が良くて万能
その他様々な付加効果を発揮するものもある
529兎耳構想中sage04/06/07 00:15 ID:4p4igTrL
設定をもう一個追加です
ある程度予備知識がないと……本編で出てきても判んないかと思いまして

◇これらの設定は独自のものなので、こちむい世界とバッティングしてたらごめんなさい◇

これだけ設定を作って、殆ど話を書いていないというのは致命的な話
へたれ猫様、貴方の方が遥かに進んでいますので安心してください

それから、フィルタは『 [ 』 まで含めないと 522 入ります。済みませんorz
530名無しさん@ピンキーsage04/06/07 02:02 ID:VbSIYGvw
>>521
http://www.degitalscope.com/~mbspro/userfiles_res/SSlibrary/index.html

このスレのSSも収蔵して下さっているSS保管庫の付属掲示板です。
531名無しさん@ピンキーsage04/06/07 12:53 ID:pTapVzYe
『姫様』 パール・セレスティア=アリアンロッド
 バロック(特に淡水)でごくまれにですが、『うさぎ』形の物が出来る事が
 有るそうですので、最初の[称号名]はあえて“パール”にしてみました。
 (『 淡水真珠 うさぎブローチ 』でググるとそのものずばりが出てきます。)

『ぼく』 桂木 卓也
 中国の伝説では、月の中には高さ500丈もある不老長寿の
 桂(木犀)の木が生えているのだとか。

『国』 アトシャーマ国
 長崎の方言と言うか、子供言葉でお月様の事を
 『あとしゃま』(阿兎様?)と呼ぶのだそうです。 

『城』 ムーンストーン城
 真っ白。

『宗教』 レシーラ教
 月の生命の女神様のお名前です。
 ルーンは『青い三日月』で、司るものは『母親・生命』。
532名無しさん@ピンキーsage04/06/07 20:54 ID:konsb7Q+
凄げぇよこの人たちw
533名無しさん@ピンキーsage04/06/07 23:39 ID:jp2S1GDM
感想うまく書けないけどこれだけ言っとく。
ネコミミ、ウサミミ、頑張れ、超頑張れ。

400台のスレッドだけど
この板屈指の良スレだと思うのよ
いやマジで…

なんかこのスレが下位にあると
『自分だけが知ってる良スレ』
見たいな感じがしていいよね。オレだけかな?
534(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/07 23:50 ID:NHYgqoVb
今、ちょこちょことお風呂場書いてるんですけど。
おにゃのこ同士って挿れなくてもイけちゃうから逆に難しい事に気付いてみたり。
自分の感覚を実際に文章にするのって難しい・・・

>兎さん
(;´Д`)あぁ、にゃるほろ・・・・すいませんw
>530さん
教えていただいて嬉しいです、でもいまいち使い方がよく分かんなかったです、ごめんなさい。
535名無しさん@ピンキーsage04/06/08 01:40 ID:WuMd2ViO
>>534さんにモエ!(*´Д`)ハァハァ
536名無しさん@ピンキーsage04/06/08 16:23 ID:WVfNNj5i
このスレすんげえ好きです。なんか開眼させられた。
がんばってくださいねー
537(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/09 01:38 ID:IXoDBdoy
(´・ω・`)DION規制?
538(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/09 01:39 ID:IXoDBdoy
あ、かけた。あんまいちゃついてる風にならなかったですが、おにゃのこ同士のいちゃつきお風呂UPしまつ。

>>519続き
向き直ると、火蓮さんがニコニコしながら今度は前も洗おうとするので、慌てて断ろうとしたけど。
「あたしは悠希のご主人様でしょ?ご主人様の言うことに逆らっちゃうの?」
と、にっこり微笑まれながら言われてしまって。仕方なくそのまんま洗われる事になっちゃった。

まずは腕を軽くごしごし。次は・・・・・・と、火蓮さんの視線が自分の胸で止まった。
つられて自分で自分の胸を見る。で、思わず火蓮さんの胸と見比べてしまう。・・・・・・火蓮さんの胸おおきい、何カップだろ?
自分の胸はAカップしかなくってちっさいな。ちょっと恥ずかしいような悔しいような。

同じように胸を見比べてた火蓮さんが、急に胸を”ふにっ”とさわってきてびっくり。
「やだっ、いきなりさわんないで下さいよ火蓮さんっ」
「んー、悠希の胸あたしより小さいけどやぁらかいねー、ふにふにしてクッションみたいー」
ふにふに、ふにふに。感触が気に入ったのか、火蓮さんが胸を揉み始める。
手つきが別に厭らしいワケじゃないので、この前首をなめられた時みたいなあんな感覚はしなかったけど、
何だか妙な気分になっちゃいそうだったので反撃してしまおう。
539(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/09 01:40 ID:IXoDBdoy
「そんな事言って、火蓮さんの胸だっておっきくってふかふかしてていいじゃないですかー」
「え〜、そんな事ないもんっ!悠希の方が胸やぁらかいもんっ!」
むにゅ。むにゅむにゅ。
手を伸ばして掴むと、見た目以上に火蓮さんの胸は柔らかくって、適度な弾力を持った感覚で。
言うなればビーズクッションのような、意外と気持ちいい感触で。
「やー、悠希の手つきなんかやーらしーぃっ」
「火蓮さんこそっ!何かエロっちぃ手つきでさわんないでくださいよおおッ」
気付いたら、キャーキャー騒ぎながらお互いの胸を揉みあってる、なんてゆー、はたから見ると変な状態になっていた。

先に我に返ったのは自分の方で、ハッとして火蓮さんの顔を見ると、何か・・・少し息が上がってる?
心持ち、顔も赤くなってる気がする。自分も、多少息が上がってるかな?
ちょっとだけ、背中らへんがムズムズするかも。女の子に胸さわられてこんなんなっちゃうなんて、自分って変?

そのままだと、ホントに体が変になりそうだったから、手を先に離して湯船につかる事にした。
「あ、火蓮もお風呂入る〜」
離されて我に返ったらしい火蓮さんが後を追っかけて湯船に入ってくる。
入ってくる時、見ようと思ったんじゃないんだけど、見えちゃった。
540(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/09 01:42 ID:IXoDBdoy
火蓮さんの髪は、金髪一色じゃなくって、少し赤みがあるおかげで薄っぺらい色味じゃない。
その・・・↓の毛も・・・同じような色だったのが、入る時に見えちゃった。やっぱり髪と同じ色なんだなー、って、思った。

「悠希、顔真っ赤だよ?もしかしてもうのぼせちゃった?上がる?」
心配して、顔を覗き込んでくる火蓮さん。火蓮さんの顔もほんのり赤くなってて、色っぽい。
男がこんな顔の火蓮さん見たらきっと一目惚れしちゃうぞ。
「火蓮さんこそ、顔赤いですよ?一緒に上がりましょっか」
言うと、火蓮さんもそだね、と言ってすぐに湯船を上がった。

体を拭く時に、また火蓮さんが胸をむにゅむにゅ揉んできたけど。他は特になにもされず。
火蓮さんがセピア色の裾がふんわり広がるワンピース、自分が銀色の同じ型のワンピースを着て、お風呂場を出た。
お風呂を出る前に、こんな形の服着ないもんだからくるくる回って裾広がるのを喜んでたら火蓮さんに笑われてしまった。
541(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/09 01:45 ID:IXoDBdoy
背中しか洗ってないのにお風呂出ちゃいました。

毎晩、ちまちまとですが続けて書いて行こうと思ってます。
細切れですが、まとめて書いてると気力抜けるのでごめんなさい(´・ω・`)

読んで下さってる方に質問〜。
やはり”はぢめて”の飲み物は口移しがいいのでしょうか?w
542名無しさん@ピンキーsage04/06/09 08:53 ID:Mgro1EBy
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
淡々とした文章が激しく(・∀・)イイ!!
風呂でイカせ合いを期待してた漏れはおあずけくらった状態だが…orz

>やはり”はぢめて”の飲み物は口移しがいいのでしょうか?w
口移しキボンヌ
543名無しさん@ピンキーsage04/06/09 09:59 ID:6hzsO5Y4
>>541
 くるくる回る悠希ちゃんにめろりんきゅ〜

 ところで『”はぢめて”の飲み物』がナニなのかにもよるのだが
 出来れば、↓の口移しキボ… y=ー( ゚д゚)・∵.
544兎耳構想中sage04/06/09 13:33 ID:uiEOR115
学校からなので手短にごめんなさい

>>へたれ猫さま
続きGJですた。やけにやらつぃーです。
見習わなければ・・・・・・

>>531
名前案有難う御座いますです。やべぇ・・・セラさんでつか最萌でつね
ちなみに国名ですが・・・他の方だれもつけてないっぽいっすね
募集しちゃってだいじょうぶだったのかな?

最近、なんか頭おかしいです
ここに書き込まなくなったら、染んだものと思ってくだされば
現在またーり執筆中、できれば今週末に
545兎耳構想中sage04/06/09 14:11 ID:uiEOR115
>>531 ちょっとだけ勝手に変更案
「ホワイトパール・セレスティ・アリアンロッド」
う~~~ん・・・・・・元のが良いような・・・・・・
ところで王家に養子入り、ってことは王家はアリアンロッド家なのかしらん

どうでもいいんですが、犬の話を見ている限り、狼と兎の国が
妙に接近している気がするんですが・・・・・・どうしませうか
546へたれ@携帯sage04/06/09 20:28 ID:dpwF1sUI
(´;ω;)PC逝ってしまったので数日UPできません…ウトゥ
547名無しさん@ピンキーsage04/06/10 07:24 ID:gRG/H4AN
アリアンロッドって・・・ 確かクリスタルドラゴンにそんな名前の主人公居たよね?
なんか元ネタある名前なのかな? てゆーかみんな知ってるかな?
548名無しさん@ピンキーsage04/06/10 11:48 ID:cUs00TOl
『Arianrhod』アリアンフロッド・アランフロッド・エアリアンロードと称される事も
 ケルト神話に出てくるウェールズの女神。
 「タリエシンの書」では、その美しさが「たたえるべき横顔」と表現され
 流れる虹を送り込んで、地に満ちた暴力を追い払ったことがあると
 記録されています。ちなみに、名の意味は「白銀の車輪」。
 一方で、時の象徴である「銀の車輪」を永遠に回し続ける役目を持ち
 「海に降りていく銀輪」とも呼ばれています。
 この車輪は「光の車輪」「ファルの車輪」「櫂の車輪」などと言われ
 戦死者を月へ運ぶ舟に譬えられる事から、彼女には少なからず
 ワルキューレ(もしくはヴァルキリー)的要素があるとも思われます。

 ウェールズ地方の王は、その生命力を維持するために『戦の時以外は
 処女の膝の上に足を乗せて座る』と言う習慣をずっと守っていたのですが
 グイネズ族首長『マス』がその為に召抱えていた『ゴイウィン』という乙女が
 彼の留守中に彼女に思いを寄せていた男によって処女を奪われてしまって
 役目を果たせなくなり、代わりの生娘を募集した時に『アリアンロッド』が名乗り出ました。
 しかし、『マス』が地面に置いた「ロッド」(魔法の杖)を何事も無く跨ぎ越す事が出来るか?
 と言う「処女かどうかを試す試験」に挑戦した時、彼女はその場で男の双子『ディラン』と
 『リュー』を産み落とした事を恥じ入って、そのまま自分の城に帰ってしまいました。
 (ちなみに、この双子の父親は『アリアンロッド』の兄の『グイディオン』との説も有ります)
 『ディラン』は、しばらく海に住んでいたのですが、陸に戻った時に彼の叔父である『ゴヴァノン』に
 甥とは気づかれぬまま、一撃の下に殺されてしまいました。
 一方の『リュー』は、実の父親?の『グイディオン』によって育てられ、実の母親である
 『アリアンロッド』から掛けられた「三つのゲッシュ」(“名前を持つことが出来ない”&
 “武器や防具を持つことが出来ない”&“地上に暮らす女性と結婚できない”)をも打ち破り
 しばらくは幸せに暮らしたのでそうです。
549兎耳構想中 ◆UsagiC7bmI sage04/06/10 18:46 ID:knce5C9+
取り合えず立ち寄ったので幾つか

>>531
「あとしゃま」でぐぐったら、どうやら“お月様”という意味っぽいです
特に問題があるわけではないですが一応

>>546 おにゃねこ作者様
早期の復帰を心からお待ちしております_| ̄|○

>>548
元ネタthxです

トリップ検索かけたら面白いもの見つかったのでテストしてます
コレ以降はトリップ無しで書くつもりですが
550兎耳構想中sage04/06/10 18:56 ID:knce5C9+
>>549
「あとしゃま」に誤解があった模様
 1) “あと”は“月”という意味
 2) “阿兎”が由来になっているのかもしれない
本当に申し訳ありませんでしたm(_ _)m
551(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/11 01:26 ID:57RTmEAh
ひとまず姉のお下がりノートで復帰!(*´∀`)ノ オネエサマアリガトウ
ご心配おかけしてすみませんでした。

>兎さん
”あとしゃま”って響き、いいですね、可愛くて。姫様が子供たちにそう呼ばれてたら可愛いかもw
552(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/11 01:27 ID:57RTmEAh
>>540続き
「お風呂入ってノド乾いちゃったなー、悠希もなにかのむ?」
「あ、はい、できれば水かなんか頂きたいです」
ちょっと部屋で待っててね、と言い置いて火蓮さんが走って行く。
火蓮さん付の”召使い”になったんだから自分が行かなきゃいけないんじゃ?
とか思ったけど、家の中ちゃんと覚えるまでは当分”召使い”のお勤め出来ないだろーな。

「おっまたっせー!」
無意味に元気良く火蓮さんが部屋に突っ込んできた。
手には中くらいの瓶と、グラスが2個。
瓶の中には、見た感じ飲むヨーグルトがも少しドロっとした感じの白い液体。パックするに程よい固さと言えばいいかな。
そんな固くて飲めるのかな?とちょっと不安になったりならなかったり。

「火蓮さん、それ何て飲み物?」
「あー、悠希こっちで生まれたんじゃないから知らないのね。コレは”アフアの実”を絞ったジュースだよ♪
 滋養強壮剤としてよく飲まれるんだよー。ちょっとクセがある匂いだけど、味はいいしホント効くから飲んでね?治り早くなるよ」
要するにこっちの世界でのユン●ルとかそんな感じなんだろう。見た目がヨーグルトで怪しいけど。
「じゃ、いれてください」
うん♪と機嫌よく火蓮さんがグラスにアフアジュースを注いでくれる。
コポコポ、と音を立ててグラスの中に注がれていくジュース。
553(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/11 01:28 ID:57RTmEAh
部屋の中に何か独特な香りが漂う。どっかでかいだような変な匂い。お兄ちゃんの部屋みたいな香り?何だろ?
「火蓮さん、コレ臭いですね。飲むのはちょっとと言うかかなりキツイんじゃないんですか?」
グラスを持ったまんま、火蓮さんの様子を見ると、火蓮さんは普通に変な顔もせずに飲んでいた。慣れ、なんだろ。慣れ。

仕方無いから自分もグラスを持って、顔に近付けて、グィっと・・・・・・・
「ぶはっ!」
ふきだしてしまった。
臭いに体が耐えられなかったらしい。
そのままケホケホと咳込んで、目を上げると、火蓮さんの顔にジュースがかかってしまってた。
「あぁぁぁぁ、火蓮さんごめんなさいっ!」
焦ってタオルを探す、あった、拭こうとして手を伸ばす。逆に手を掴まれて火蓮さんに引き寄せられた。
「火蓮さん、ジャレてる場合じゃないですって!拭かないとベタベタになっちゃいますって!」

火蓮さん無言。相当怒ってるみたい。
「あ、あの火蓮さ」
鼻をつままれた。驚いて口をぱかっと開けちゃった。

一瞬、何があったのか分からなかった。
554(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/11 01:29 ID:57RTmEAh
口の中に、ドロっとした甘い液体が流れ込んできて、やっと口移しでジュース飲まされたんだって気付いた。
(ん?口の中?口移し?・・・・・・あ、コレってファーストキスに入るの?)
考えがそこまで行って、やっと腕をバタバタとさせる事ができて、火蓮さんが離してくれた。
「おいしいでしょ?匂いはかなりダメ系かもしれないけど。口の中に入れば匂い気にならないでしょ?」
「ぅ、ぃゃ、そうですけど。口移しってひどいですよー。」
「だってそーしなきゃ悠希飲めなかったでしょー?あたしも最初こうやってお母様に飲ませてもらったのよー」
母娘でキスして口移しでジュースを飲ませてるのを想像して、顔が赤くなる。
赤くなって照れてたら、グィっと引っ張られて、口をまた塞がれた。火蓮さんの唇やわらかいな、と不覚にも思ってしまったり。

ごくん。

一口飲むと、口を離されて、火蓮さんが新しく口に含んでまた移される。

ごくん。

また、口移しで飲まされる。
コレは、キスじゃないんだ、って思えばいいんじゃない。実際、ホントに効くみたいだし。体がぽかぽかしてきた。
ごくん、ごくん。あ、火蓮さん口の横に垂れてる。

ペロン。
思わず自分の舌で火蓮さんの口の横の雫を舐めとっていた。
キョトン、とした顔で自分を見る火蓮さん。同じように、自分の行動にビックリしている自分。
555(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/11 01:29 ID:57RTmEAh
それから、ニッコリ笑って、火蓮さんは何事もなかったかのように次の一口を飲ませてくれた。
ごくん。

そして、口を離す時に、今度は自分の唇の横をペロっと軽く舐めて離れた。
ペロッてされた瞬間、ドキってした。

全部飲み終わる頃には、体がぽかぽかしてて、ワンピースは薄手なのに脱ぎたい位ホント暑かった。

「あ、髪の毛食べてるよ」
と、火蓮さんがきれいな手を伸ばして髪を耳にかけてくれた。耳に手が触れた瞬間
「ん」
変な声が出てしまった。今、声出したの自分?だよねぇ?
「悠希、どしたの?今どっか痛かった?」
心配して、火蓮さんが手をホッペに当ててくれるんだけど、その手自体がもう何かダメ。

さわられた所から熱が走ってっちゃう感じ。ダメ、さわんないで、って思うんだけど、もっとさわっててって思うのもある感じ。
「かれんさんーなんかへんー」
「悠希?悠希?あれ?アフアジュースってヒトには効き過ぎちゃうのかな?どうしよ、大丈夫?」

火蓮さんがオロオロして、腕をさすったりホッペをさすったりしてくれるんだけど、さわる度に自分が変な声を出すから
余計に心配をかけちゃってるみたい。自分だってこんな声止めたいよ!
556(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/11 01:34 ID:57RTmEAh
>542さん
(´・ω・`)口移しです。しかもまた寸止め系です。
>543さん
↓の口移しはまぁ・・・やると思うです(´・ω・`)ゞ

アフアジュース、自分がグァバジュースとココナッツジュース好きなので、
味はグァバ、香りはまぁ性欲盛んなお年頃の男の子の部屋の香りでって事で考えていただければw
ちなみにココナッツジュースは若いモノだと香りが青臭すぎて飲みづらいです。
口移しだと意外と飲めますが。匂い気にならなくなるんですよね、鼻に入らないから。
557名無しさん@ピンキーsage04/06/11 01:47 ID:nQYa8yQm
飲み物エロ過ぎw
558兎の者sage04/06/11 13:27 ID:bnZ9KuNh
飲み物エロすぎw
559(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/12 00:21 ID:Ut4dMoGv
>>555続き
心配そうに火蓮さんが覗き込む。
視界がぼんやりして、自分の胸が苦しい。風邪ひいたようなのとは違う息苦しさ。
「かぇんさん、なんかぼーっとするのぉ〜、くるひいしあついのお」
呂律も回らない位、ボーっとする。それよりも暑い、すごい熱い。
「今、なにか治せる薬ないか見てくるから少しだけガマンして待てる?待っててね?」
早口でそれだけ言うと、火蓮さんは部屋から走り出してってしまった。

1人で部屋に取り残されて。椅子に腰掛けてるのもダルいので、ベッドに上がって横になる。
横になれば少しは楽になるだろうって思ったんだけど、あんまり変わんなかった。
「あついよー」
ワンピースの前ボタンをプチプチっと胸のあたりまで開けて、パタパタと手で風を送る。・・・こんなんじゃ足りない。
前を全開にして、羽織ってるだけのような状態にしてみるけど、それでも暑い。

どうせ部屋の中なんだし、と思ってワンピースを脱いで床に投げ落として、ゴロン、と横になる。
素肌が空気に晒されて、少しだけ気分がよくなった。
「胸がくるしいー」
胸をさすろうと、手を伸ばして。手が、自分の胸にふれた瞬間。
560(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/12 00:23 ID:yT4sg99G
「んっ!」

また、あの変な声が出た。手は、胸に置いたまま。置いた手から電気が走ってるかのように、じんじんする。
(なに?コレ・・・?なんか、へん。すごい、じぶん、へんになってる?)
そっと、その手を動かすと、また喉の奥から「ん!んっ!」って声が出てくる。
その不思議な感覚は、別に厭な感覚じゃない。厭って感覚じゃないから、ついつい手が動いちゃう。
5分位もそうやってたら、微妙に気持ちがイイ?って感じになってきた。
手から電気が走ってくのが、体中、ううん、体の中心に集まって行く感じがしてくる。
キュッと胸をつかむと、その”電気”がもっとおおきくなって体に染み込む。
もう、その行動が気持ち良くて止める事ができない。
どうしよう、自分ホントにおかしくなってきちゃったのかも。火蓮さん、どうしよう・・・・
半分泣きそうになりながら、でも自分の手が与える快感に悠希は逆らえずにただ、ただひたすら手を動かしつづける。

ベッドのシーツにはいつの間にか少し染みができ始めていた。
561(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/12 00:25 ID:yT4sg99G
― その頃、火蓮は ―

「お嬢様、それは薄めず飲ませなさったんでしょー?そらマズいですよ」
「マズいって、どういう事?悠希の体が変になっちゃうの?病気なっちゃう?」
火蓮は、屋敷の厨房で昔からいる使用人に話を聞いていた。
「あたしらネコには原液のまんま飲んだ方が効果が期待できますけどね、ヒトにはアレはキツ過ぎるんですよ。
 だから、ヒトに与える時は少し水か他の飲み物とか食べ物で薄めて与えなきゃいけないんですよ?」
「だって、さっき何も言わずにくれたじゃないの!」
「お嬢様、あのメスのヒトが飲むなんて一言も言わなかったから知らなかったんですよー」
困り顔の使用人を見て、火蓮は考え込む。
「じゃー・・・どうしたらあのコは治るの?」
そんなの簡単ですよ、と使用人は笑う。
「今の状態は要するに”発情”してる状態ですからね、それを発散させれば簡単におさまっちゃいますよ。
 誰かオスのヒト探してあてがえば一発ですよ?探してきます?やんなかったら一週間はあのまんまですけどね」
「オスなんかあてがわなくて結構よ!あのコはあたしの、火蓮のモノなんだから!他の誰にもさわらせないのっ!」
まくし立てて、火蓮は厨房を飛び出した。
部屋に帰りながら考える。
(オスをあてがわないって事は、発情を抑えられないって事。抑えられないって事は、一週間くらい
 あの苦しそうな悠希見なきゃいけないって事。そんなの、あたしも悠希も耐えられないよ・・・)
と、ソコで1つのことに気付いて立ち止まる。
「あたしが・・・オスの代わりに・・・・・なれる?としたら?」
確かに、挿れるモノは無いけど、さわってあげる事はできる。
さっきの悠希の状態見た限りだと、さわるだけで凄い反応してたみたいだから、それで収まるかもしれない。

「だったら、頑張ってあたしが治してあげなきゃ!あたしのせいだもんっ!」
口に出して自分の意志を再確認すると、火蓮は部屋に向かって走り出した。
562(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/12 00:30 ID:T9caWQNt
はい、細々と書いてるせいで寸止め全開ですね。すいませんw
明日はちょっと都合によりお休みします、アルコール分入った文章じゃ変になりまくりそうでw

>557さん、うしゃぎさん。
壁|´ー`)。oO(カカリマシタネ・・・

最初はアフアジュースをぶちまけちゃって、それをお互いが舐めあうっての考えたんですけどねー・・・
今のこの2人じゃそれはちょっと厳しいな、と(;´Д`)いずれ舐め合いたいです。ぺろぺろ・・・

てか何で何度もID変わるんでしょ?Air-H"だからかな?
563名無しさん@ピンキーsage04/06/12 00:45 ID:MfXbUtZ8
>>562
おつかれさんです。

Air-H"だと電波状態が悪くなると「切断〜再接続」と自動でやってるのでその度にIDが変わりますよ。
564兎の人sage04/06/12 12:58 ID:OhhK3ffU
最終調整中…
565兎の人sage04/06/12 15:24 ID:OhhK3ffU
十六夜賛歌:シーン1〜2、合計11枚です
誤字脱字等は脳内保管お願いいたします
566十六夜賛歌[1|1/4]sage04/06/12 15:25 ID:OhhK3ffU
<<1st moon light in>>

満月の下を、真っ白な兎を追いかけている夢を見た。
何もない真っ白な空間に、いきなり現れたドアに、その兎は躊躇わずに入っていく。
僕も、その兎を追いかけ、吸い込まれるようにドアに消えていく。
入ったとたんに、目の前がいきなり明るくなったので、僕は思わず目を瞑ってしまった。


柔かな午後の日差しが頬を擽る。自らを預ける柔かな布団がとても暖かく感じた。
何か大変なことを忘れている気がしたが……特に気にしない事にする。
冬眠暁を覚えず、と無理やり決定して、僕は羽根布団を抱え込むように手繰り寄せた。
むにっとした、この感触が気持ち良い。
……むにってなんだ?
「あ、あの…………ちょっと、苦しいです」
女の子の声。こんにちは。

「……、え!?」
一瞬で目が覚める。
お互いの体温が交わせるくらいの至近距離に、物凄く可愛い見知らぬ女の子がいた。
取り合えずお互いに服は着ているみたい。良かった。いや良くない。
「うわぁぁぁッ!!」
思わずベッドから飛び退き、そのまま壁際まで撤退する。
僕も驚いたが、僕の声に彼女も驚いたのか、僕を見つめる真丸な目がさらにまんまるになっている。
その頭の上には、やはり驚いたのか、兎の耳がピンと立っていた。
567十六夜賛歌[1|2/4]sage04/06/12 15:25 ID:OhhK3ffU
「うさぎ………の耳?」
そう、兎の耳。彼女の髪の毛と同じ、麻茶色の兎の耳。
僕が見つめていることに気がつくと、彼女の耳は恥ずかしそうに下を向いてしまった。
朱に染まった顔の下半分を、布団で隠しながら、僕に向かって問いかけてくる。
「あの………怪我とか、ありませんか?」
「えっと、特にないけど……ところでココどこ?キミは誰?」
今更ながら、僕は自分が知らない部屋にいることに気づいた。
暖色系で統一された、温かみのある大きな……なんというか、御伽噺のお姫様が住んでそうな部屋。
彼女も、改めて見るとドレスを着ているし、容姿だって……。
「よかった………本当に良かった…………」
ここまできて、やっと僕は彼女がほんのりと涙を流している事に気づいた。
なんか居づらい。
「あの……事情を説明して…下さいますか?」
僕からの素朴な質問に、彼女はやっと顔を上げ、丁寧に、時間をかけて説明してくれた。

分からない部分が多かったが、掻い摘んで言うと、曰く魔法を失敗したらしい。
その所為で、異世界から僕を召喚してしまったとか何とか。
「本当に良かった……もう目が覚めないんじゃないかと思った……」
涙をハンカチで拭いながらそう言う彼女が、その魔法を失敗した本人、
兎の国のお姫様、ホワイトパール・セレスティ・アリアンロッド様。
そして今いる部屋が、城の中にある彼女の私室、ということらしい。
568十六夜賛歌[1|3/4]sage04/06/12 15:26 ID:OhhK3ffU
ついでに言うと、僕がこの世界に姿を現してから、既に19時間が経っていると彼女は言った。
「もしかして……今までずっと僕のことを?」
一瞬で再び真赤になる彼女の顔と、そして耳を伏せたまま首を縦に振る返事。
こっちまで顔が赤くなってきた。
「あの、ありがとうございました」
何となく礼をした。だけど、彼女はまだ顔が赤いまま。
「あの……今後の事なのですが、私の従者になりませんか?」

……。えーっと。つまり。
「あ…ごめんなさい……いきなり言われても迷惑ですよ…ね」
さらにしゅんとなる彼女の姿に僕が困っていると、彼女が続けて言う。
「貴方はこちらの世界に慣れていないでしょうから、元の世界へ帰す方法が分かるまでは、
 可能ならば私の傍に置いておきたいのですが……。
 私の部屋のあるこの区画は、他の姫様達も居るということで、男子の出入りが完全に禁止されているのです。
 ただし、ヒトの従者……えっと、召使いの場合に限り、男子でも許可されているのですが……」
さらに顔が赤くなり、袖から出ている手も、もうこれ以上無理というくらいまで伏せられた耳も、
体中の露出している部分が、可哀想なくらい真赤に染まっている。

ちょっと理由が分からない。何か特別なんだろうか?
そう思った瞬間『ぐ〜〜っ』と、僕と彼女のおなかの虫が、見事な重奏。
「……くくく」
あ、なんか彼女が笑う姿を初めて見た気がする。
なんというか、必死に笑いを堪えるそんな彼女がおかしくて、思わず僕も笑ってしまった。
「行くあてが無いのは本当ですから、召使いの話は嬉しいです」
そんな彼女の笑う姿が、なんか好きになったみたい。
569十六夜賛歌[1|4/4]sage04/06/12 15:26 ID:OhhK3ffU
「本当ですか!?」
ぱぁッッ、と、本当に彼女の顔が輝いたように見えた。
「め、迷惑じゃないんですか?」
彼女はぶんぶんと首を縦に振る。今までの大人しさはどうしたのだと言わんばかりに。
ピンと立った耳が、何よりも彼女の心を表しているような気がする。
「あ、形式上召使いというだけなので、貴方は私のお客様に変わりはないですよ……
 と、その前に、貴方の名前を教えていただけないでしょうか?」
頬を染めながら俯きかげんになるが、先ほどとは違って嬉しそうに微笑みながら。
「桂木 卓也。“卓也”でいいです」
「じゃあ、タクヤ。私のことは“セラ”って呼んでください」
従者なのに呼びつけではまずいだろうと思って、あえて言葉を選んで言い返した。
「……はい、ご主人様」
彼女は少し不満そうだったが、それでも笑っていた。
僕も、久しぶりに心から笑ったような気がした。

こんな感じに、僕とご主人様は出会ったのだった。

<<1st moon light out>>
570十六夜賛歌[2|1/6]sage04/06/12 15:27 ID:OhhK3ffU
<<a silver moon in>>

その夜、僕はセラ、つまりご主人様と同じベッドに入っていた。
もちろん僕は反対したけど、結局ご主人様に押し切られる形となった。
今ご主人様は僕の隣に腕枕してもらっている形で、気持ちのよさそうに眠っている。
静かな息遣いと僅かに伝わってくる体温に、僕は耐え切れないかと最初は思っていたが、
やっぱり疲れているのか、直ぐに目蓋が閉じてしまった。残念。zzz。


どこかで聴いたオルゴールの音が聞こえた。

『もう……寝てしまいましたか?』
夢の中で、いつか見た白兎が、僕にそう話しかけた。
夢の中でも、僕のまぶたは重く、とても開くことなんか出来ない。
だけど、その兎が直ぐ傍にいて、とても暖かなものだという事は良く分かった。
そばにいるだけで安心するような、そんな存在感。
『ごめんなさい……』
何で謝るの?と声を出そうとしても、やっぱり口は動かない。
その少し後に、ふと半身が外気に晒されたことに気づいた。
借り物のパジャマと、僕が履いている下着が、誰かによって脱がされたのだと、
ほんとに何となくだけど、何となく良く分かった。
571十六夜賛歌[2|2/6]sage04/06/12 15:27 ID:OhhK3ffU
『…………おっきい…』
うっとりとした甘い声と同時に、暖かい手が僕のそれを優しく包み込む感覚。
一度、ふっ、と冷たい息を吹きかけられ、僕は恥ずかしくも反応してしまった。
そのまま、その竿を、手のひらで根元から先端へと擦るように撫でられていく。
最初は愛でる様に、段々と強く、僕が知らない何かが迫ってくる。
「ひゃっ!!」
まだ目は開かせてもらえない。けど口は開いた気がする。
感覚に乏しい。だけど「そこ」の感覚だけとても鮮明で。
ねっとりとした暖かく湿っぽい何かが、手のひらの変わりにそれを撫でていく。
何度か往復された後、竿全体が口の中に含められ、出し入れを繰り返しながら舌と歯で微妙な刺激を与えられていく。
いつの間にか、竿全体がねっとりと濡れていた。
辺り一面に、今まで聴いたことの無い水音が響いている。
熱い口の中で、それよりも熱い舌に先端を突付かれた時、僕はもう我慢できなかった。
『んッッ!』
何かを汚していくような、不思議な放出感。
それを、彼女は一滴も残さず飲み干していく。
出し終わった後、竿が再び外気に触れる。
『すごい……こんなに出た…………』
彼女は、のそのそとベッドの上を這ってくる。
まだ硬度を失っていない僕のものを、自分の入り口へとあてがう。
『……ごめんなさい……タクヤ……』
そしてもう一度だけ、彼女は僕に向かって謝ると、目を閉じ、一気に腰を落としてきた。

「っはぅぅんんっっっっ!!」
572十六夜賛歌[2|3/6]sage04/06/12 15:28 ID:OhhK3ffU
その声に、僕はようやく、目を開けることが出来た。
でも僕は、目前の光景を、夢なのか現実なのか判断することが出来なかった。
なぜなら、目を開けて最初に飛び込んできたのは、夢に出てきた一匹の白兎だったから。
そしてそれは、昼間のような黒眼茶髪のご主人様ではなく、

月夜に輝く白銀色の髪を振り乱し、夜空に浮かぶ2つの満月の下を駆けていく、
いつか見たことのある、あのセラの姿だったから。


「やっ、やぁん、、、すごッ、、すごいよぉっ!!」
ペース配分など全く考慮せずに、最初からご主人様は全力で腰を打ち付けていく。
僕のものが彼女の中へ、いやらしい水音だけを立てて繰り返し出入りしている。
「ご、、ご主人さまッ!!」
彼女の膣内が、僕の竿を根元から締め付ける感覚に我慢できず、僕は思わずそう叫んだ。
「あっ、、タクヤぁ、、、ごめん、、やっぱり起きちゃうよね、、、」
彼女の兎耳が、身体の振動で上下しながらも、恥ずかしさからか伏せられてしまう。
「ごめん、なさい、、、すぐに、ッ、、すぐに終わらせるからッ、、、、」
単純な上下運動に、前後左右、回転、さらに締め付けと、無茶苦茶な力が加わった。
無理な力が加わるその度に、僕の身体は悲鳴をあげる。
二人の汗が周囲に飛び散る。
「くッ、ご主人様ッ、ご主人さまッッ!!」
「もう、、もうちょっとだから、、、タクヤ、一緒にいこッ、、、」
僕は、そんな彼女に必死に付いて行こうと、彼女の背中に手を回した。
573十六夜賛歌[2|4/6]sage04/06/12 15:29 ID:OhhK3ffU
「ひゃぅ、タクヤッ、、そこ駄目ッ、、しっぽ弱いのぉッ!!」
ちょうど腰の下あたりに回した手が、違和感を捉えた。
そこだけふさふさとした、兎の尻尾。
優しく撫で上げるだけで、愛液を撒き散らしながら彼女の身体がびくんびくんと跳ねていく。
「ひゃぅ、はぅ、だめ、ダメッ!」
いつの間にか、彼女は僕の胸に顔を寝かせ、そして僕は無意識のうちに彼女に腰を打ち付けていた。
右手で尻尾を撫で、そして左手で眼前の耳を撫でてみる。
「ダメぇッ、、ミミも駄目ッ!!、、、、」
ベッドも彼女と僕の体液でぐちょぐちょになっていた。
とろとろになりながら、彼女は再び上半身を起こす。
小さいが形の良い胸が、振動とともに揺れるのが見て取れた。
僕の顔の横に両手をつき、必至に喘ぎ声を抑えながら、恍惚とした赤い目で僕を見てくる。
「タクヤッ、、一緒に、いっしょに、、、、、、」
そして僕の顔を両手で掴み、貪る様に僕らは口付けを交わした。

― 月の光を魔法の光に、迷子の兎に光の導を ―
― 3秒前、2秒前、1秒前 ―
― 天地玉兎、融合、転写、そして解放 ―

「ん、、、やっ、やあぁぁぁあぁぁぁぁぁん、、、、ッッ!!!」
思わず唇を離した彼女の背が、弓形にしなる。
きゅっと締まった膣の中の居心地のよさに耐え切れなくなってしまい、少し遅れて絶頂を迎える。
僕は彼女の中に熱い物を放出し、彼女はそれを捉えて離さない。
そして彼女も、僕にある魔法を差し出してくれた。

力の抜けた彼女が、僕の胸に倒れてくる。
お互いに息を整えるまで、僕らは暫くの時間を必要とした。
574十六夜賛歌[2|5/6]sage04/06/12 15:29 ID:OhhK3ffU
「ごめんなさいご主人様。僕のものがご主人様の中に……」
一番最初に謝る。
「ん、大丈夫。ヒトとウサギの間に子供は出来ないから。
 だからヒトは性奴隷として使われるんだけど……ごめんなさい。
 タクヤをそう扱っちゃいけないと思ったんだけど、身体が我慢できなくて……」
また顔が真っ赤になるご主人様は、恥ずかしさからか僕の目線から逃れるように、向こうを向いてしまった。

「……さっき魔法で、この国で生活するのに必要な知識は大体送ったんだけど……どうかな?」
少しだけ落ち着いたご主人様が、僕にそんなことを言ってきた。
「う〜ん……ちょっと良く分からない」
「まあ、遅効性の魔法だから。それでも1から憶えるよりも楽だと思う」
それよりも。
「それよりも、その髪のことを教えて欲しい」
僕の位置からはご主人様の表情は窺い知ることは出来ない。
それでも、ご主人様の耳が反応したのだけは、目で捉えることが出来た。

「“月夜の白銀色”って言うの。神兎様の使いのしるし。
 月の光に当たると、髪の毛と目の色が変わるの。
 王族でもなんでもない私が、こうやってお姫様でいられるのは、この変な体質のおかげなんだよ」
何となく、怒っているような、悲しんでいるような口調。
「でも、ものすごく綺麗だった」
正直な話。
「うん、私も気に入っているの」
彼女の耳が恥ずかしそうに垂れた。
575十六夜賛歌[2|6/6]sage04/06/12 15:30 ID:OhhK3ffU
「明日から忙しいです。早く寝ないと起きられないかも」
「そっか。じゃあおやすみなさい、ご主人様」
「おやすみなさい、タクヤ。また明日…………」

天窓から差し込む2つの満月の光が、暫くの間二人を照らし続けていた。

<<a silver moon out>>
576十六夜賛歌[舞台裏]sage04/06/12 15:31 ID:OhhK3ffU
卓「初めてを奪われました」
セ「…ごめんなさい。満月が出ると、どうしても我慢できなくて……。
  それにあの魔法は、対象と繋がっている必要があって……。
  如何わしいですよねがっかりですよね (うるうる」
卓「どうでもいいんですが、御飯が野菜ばかりで肉が出てこないのは残念でした」
セ「あぅ……今度調理師に掛け合ってみますね」
577兎の人sage04/06/12 15:39 ID:OhhK3ffU
シーンごとに何か区切りを入れればよかったとちょっと後悔
連投&自己語りすみませんでした
嫌でしたら言ってください、直ぐに止めますので

二人の名前は >>531 様の案をちょっといじったものを採用させていただきました
おにゃねこ作者様が考えてくださった名前は……第四姫様に採用されます
なんつーか、彼女一番のお気に入り、て言うか強い
多分次回あたりに出てくるかと

どうでもいいんですが、作者本人が、何かとんでもない忘れ物をしている気がします
ついでに言うと、最近、自分のことを神だと自分で思い込んでいないと、自重で潰れてしまいそうですorz
578兎の人sage04/06/12 15:48 ID:OhhK3ffU
というかエロ書いたの実は初めて
ていうかエロになってない気がする
勉強しないと…………

何となく思ったんですけど、今の僕の仕事は「このスレをいい雰囲気に保つこと」かなと
やがてやってくるor戻ってくる神様の為、最高の場に保つことが、
僕が出来る唯一のことかもとふと思ったり

以上、連投スマソでした
579名無しさん@ピンキーsage04/06/12 16:26 ID:Mtj4Tu6i
(*゚∀゚)bグッジョブ
580兎の人sage04/06/12 17:30 ID:OhhK3ffU
保管庫様に導入部分までが既に捕捉されててまじびびった
こんな妄想語りまで入れちゃって大丈夫なのか!?

>>579 GJさんくすです
ところで何でみんな1つのシチュであんなに長く書けるんでしょうか
俺もまだ初心者なんだなと痛感する点の1つです

ついでに言うと、見直してみたら何でこのタイミングでエロに突入したかよく分かんない
581名無しさん@ピンキーsage04/06/12 18:50 ID:pHM2p+1X
幻想的な雰囲気が大好き。
やっぱり白ウサギには赤目が似合いますよね。
舞台裏には笑いましたw
これからも頑張ってください。
582名無しさん@ピンキーsage04/06/12 23:57 ID:Yanxy17r
なかなかいい雰囲気だと思いますよ。
勿論甘さはありますが、最初ということを考えると十分に及第点だと思います。
あまり気負わずゆっくり書いていってください。
これからも期待してマターリ待ってますよ。
583名無しさん@ピンキーsage04/06/13 10:58 ID:uZj+sKoZ
>>576
 ウサギの国の召使いのヒトには『台湾素食』をお勧めしてみる。

 見た目&食感&味のどれもが本物の牛、豚、鶏、魚、海老
 烏賊等の動物性タンパク質を使用した料理としか思えないのに
 実はそれらはすべて、野菜、大豆タンパク、グルテン、湯葉
 自家製こんにゃくなどで作られていると言う、完全菜食メニュー。

 何にも教えずに食べさせると、十中八九気が付かれない…
 てゆーか、漏れは最後まで全っ然判らなかったと言う罠。
 
 
 
 
 
584名無しさん@ピンキーsage04/06/13 18:37 ID:Ij/rUzwn
>>582
そっか、まだ甘いのかOTL
585(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/14 01:05 ID:txqau/3z
>うしゃぎさん
乙です。甘えんぼ系な姫様ステキ(*´∀`)=3
>583さん
それ、ちょっと食べてみたいかもw精進料理より美味しそう

>>561続き
部屋に戻った火蓮が最初に感じたのは、甘い、なんとも言えない香りが漂っている事であった。
(?なんのにおいだろ?アフアジュースってこんな匂いしないしなー。なんだろ?)
ドアをぱたんと閉め、誰も入って来ないように鍵をかける。ふぅ、と軽く息をついた時、か細い声が聞こえた。
「ぅぅ、ゃだぁ・・・どうしよ・・・んっ・・・はぁっ・・・・」
甘い、か細い声の主はベッドの上で、まだ両手を胸にやり、胸をもみしだきながら泣いていた。
「ゆ・悠希!?」
慌てて駆け寄ってその手を掴んでおろす。
焦点の定まらない目で、悠希が火蓮を見る。
「あぁ、かれんさん・・・ダメなの、らめなの、おっぱい触るとへんなの、とまんないの」
涙をポロポロ零しながら悠希は訴える。
理由もわからず、ただ体だけが発情している状態。唯一頼れる自分もいなくて、辛かっただろう。苦しかっただろう。
きゅん、と胸が切なくなって、ギュッと悠希を抱きしめる。
「あたしが、火蓮が治したげる。だから、何してもビックリしないで、体ラクにしててね?恐い事ないからね?」
「ふぁい、かぇんさん」
586(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/14 01:07 ID:txqau/3z
一応持っている僅かな知識を頼りに、とりあえず口付けをする。
ちゅ・・・ちゅ・・・・と、優しくついばむように口付けを与える。
唇を離すと、ウットリした目で悠希が見返してくる。そんな顔を見て、また火蓮の胸がきゅん、となった。
(どうしよ、悠希すっっっごい可愛い!)
ちゅ、ちゅ、と触れ合うだけのキス。幼いキスだけど、2人の距離を近付けるには充分なキス。
そっと、晒されたままの胸に手をやる。触れただけで一瞬体がビクッとするものの、抗う事もない。
優しく胸に当てた手を上下させて擦ってみる。
「ンッ・・・ぁ・・・・」
口から甘い声が漏れ出すのを確認すると、その手に力を少しいれて胸を揉んでみる。
「ゃんっ!んんーっ!」
おおきい声を出すので、驚いて手を離すと、潤んだ目で火蓮を見る悠希。
「へーき、だいじょぶです、なんか、体がビリビリきちゃうんです」
それだけを切れ切れに言うと、辛いだろうにニッコリと微笑む。
ホッとして軽くまた口付けると、胸に当てた手を動かす。
なんとなく胸の頂にある桜色の蕾をキュっとつまんでみる。
「あぁぁぁぁぁ!」
さっきよりも大きい声と一緒に、背を仰け反らせる。
今度はそっと摘むと、幾分小さい声で、それでも体を反らせる程反応する。
「なんか、なんか、お腹とかせなかのしたとか、へんなんです、むずむずしちゃうんです、変になってませんか?」
涙目で悠希が体の異常を訴える。
言われて、目線を下にやると・・・・・・
587(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/14 01:08 ID:txqau/3z
脱がすと、もう一度ソコを確認する。
あまり濃くない毛並みの向こうに見える秘所から、不思議な香りのソレ、が流れ出している様子。
そっと、悠希が痛くないように指でソコをなぞる。
「ぁん」
声が出るのにも、もう慣れた。大きい声が出たとしても、それは痛いとか厭だからじゃないって分かったから、気にしない。
手に、その何か分からないモノがまとわりつく。
ぱくっと口に含むと、形容しがたい不思議な味がした。
「んー?何だろ、コレ?」
美味しい、とは言えないけど不味い、と言う味でもない。

もう一度、鼻を近付けてクンクン、と匂いを嗅ぐと、ペロっと舐めた。
「ひゃぅっ!やっなっなにしっ」
ペロペロ、と舐めると悠希の抗議の声が止まる。声が出ないように耐えている様子。
面白くて、ペロペロと舐め続けると、どんどん後からあとからソレが溢れ出してきた。
じゅるっと音を立てて悠希の蜜を舐め取る。
目線を上げると、真っ赤になって目をつぶり、口をかたく噤んで耐えている悠希が見えた。
ちゅっと口付けて、ついでにちょっとだけ口に悠希の蜜を含ませる。
「んー・・・・へんなあじ・・・」
「ソレが悠希の味だよ」
そうなんですか、と潤んだ目で言う悠希を見ながら、火蓮は自分自身も体が熱くなってきているのを感じ出していた。
588(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/14 01:11 ID:txqau/3z
(´・ω・`)本日はココまでです。

あんまし↓の口移しになってないなぁ(´・ω・`)ゞ>543さんゴメンナサイ。
明日こそ火蓮と悠希ちゃんとからめてもっとえっちく出来るかな・・・
589(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/15 00:49 ID:JNziFiFf
>>587続き
ちゅ、と口付けて、悠希の蜜を手に取る。取るそばから蜜は溢れ出して、シーツは大洪水。
指がふれるに体が反応する場所を探して、体中を火蓮の指が走って行く。

胸全体をさわるより、その頂のものを摘んだ方が反応する。
腹の方をさわるより、腰をさわったほうが良く反応する。
背中をさわった時なぞ、軽く背中に爪を立てられて服の上からなのにすごく痛かった。

クィっと服を引っ張られる。目を合わせると、もう一度軽く服を引っ張る。
「?」
「服・・・くすぐったい」
あぁ、と納得。さっさと服を脱ぎ捨てると、悠希が一瞬顔を赤く染めた。
「なんで真っ赤になるの?さっきお風呂入ったじゃなーい」
「おっきぃ、から、くらべるとはずかし、いんです、」
息が切れるせいで細切れに言葉を紡ぐと、悠希は目線を火蓮の胸にやる。
「そお?さわっていーよ、悠希ばっかさわられてると余計はずかしーでしょ?」
言いながら手を添えて、胸に手を当てさせてやる。
遠慮がちに悠希がふにふに、と手を動かす。と。
「にゃぁんっ!」
思いもよらなかった刺激が体に走って火蓮も叫んでいた。
ジュースのせいで勢いが止まってない悠希はそれを見て嬉しそうに手を強めて動かす。
さっき、自分の胸でどうやったら気持ちいいか、充分過ぎる程理解はしているから、力加減もなれたもの。
「うにゃっ・にゃっ!にゃーーーっ」
悠希に跨ったまま、火蓮が背中を仰け反らせて初めての快感に悶えるばかり。
590(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/15 00:51 ID:JNziFiFf
少し腰を持ち上げた途端、悠希が火蓮の秘所に手をのばしてつるり、と撫でた。
「にゃぁぁぁぁぁんっ」
反応を見ながら悠希は手を動かす。動かす途中で小さなしこりを見つけて、そこを何となくつまんでみた。
その途端、火蓮の中で何かが弾けるような感覚がして、火蓮は一瞬気を失った。

少しして、火蓮が目を開けると。心配そうに、でもまだ上気した顔の悠希が下から覗き込んでいた。
火蓮はイきやすい体質だったらしい。
「だ、だいじょーぶだよ」
「大丈夫ですか?ごめんなさい、自分が変な事したせいで」
「それより、今のでどうやったらいいかなんかわかっちゃった♪」
え?と首をかしげる悠希に笑いかけると、またそっと口付ける。
相変わらず蜜は大量に溢れている。さっき、自分がさわられて気が飛んでしまったのはこの辺をさわられた時。
しかも、”ナニか”をつままれた瞬間、自分の中で少しの痛みと、『気持ちいい』という感覚と『真っ白』な感覚が一緒に弾けた。
きっと、ソレをすれば悠希は治る。確信を持って必死に探そうと目をこらす火蓮。

秘所を見られる恥ずかしさに悠希が身をよじるたびに、淫らな水音が部屋の中に響き渡る。
ほっそりした指で襞をかき分けると、綺麗な色をした内壁が少し見え隠れする。
この中かな?と指をそっと入れようとすると「痛い痛い痛い痛い痛いっ!ダメ、そこやだダメ!」と、力一杯拒否された。
どうやら違ったらしい。その上に目線をやると、小さな突起が目についた。
さっき、自分が弾けたのはコレのせいだろう、と見当をつけてそっと舌で突っつく。
「ぁあっ!」
今までよりも激しく体が反応する。どうやら正解のよう。
舌で優しく、やさしくそれを転がしてみると、その度に体をよじって、悶える。悶えるたびに、蜜が更に溢れ出す。
転がしているうちに、皮に包まれてていた突起が頭を少し出してきた。
それ自身をまた舌でそっと突付いてみる。
「!!」
今度は、声にならない声をあげて体を強張らせる。でも、蜜はさっきよりも大量に溢れ出してきているから大丈夫なんだろう。
591(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/15 00:52 ID:JNziFiFf
「んー・・・・悠希、痛い?ココやだ?」
顔をあげて聞いてみると、真っ赤になりながらふるふる、と首を横に振ってその質問に否定の意を表す。
軽く納得して、今度は執拗にそこを責めることに専念しだす。

「んっ!んっ!あぁぁ!やっ、あっ、へんっ!へんなのっ!だめぇぇぇっ!」

つつかれる度に、ダメ、ダメと言いながら、蜜を流して悦ぶ悠希。
段々とその声が甲高くなっていく。無意識にそれにあわせて舌の動きを火蓮は速めて行く。
そして、いきなり悠希の声が止まったかと思うと、両脚も、体全体も強張らせて悠希が達した。

火蓮は、達した事自体には気付かず、まだそこを責めていた。
一瞬の意識の空白から戻った悠希が連続でまた達する。でも、火蓮はまだ責め続ける。
”達する”と言う事、そしてその状態の後もされ続けるという事。何連続も、悠希は達し続けた。

何度目になるだろうか。あまり反応しなくなった事に気付いて、火蓮が顔をあげると。
少し疲れた顔をしているものの、気を失ったまま眠っている悠希がそこにいた。

しばらく様子を見てみるが、起きる気配は一向にない。
(・・・もしかして、”発散”できたって事かな?だとしたら、あたしは悠希のこと、助けてあげれたのかな?)
ふふっと笑みがこぼれる。そのまま、火蓮は悠希のそばに横たわって、自分も眠りについた。

窓の外は、いつの間にやら綺麗な満天の星空になっていた。
592(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/15 00:53 ID:JNziFiFf
第1ROUND終了(´・ω・`)
もっとえっちぃ文章ちゃんと書けるようになりたいです・・・
593名無しさん@ピンキーsage04/06/15 01:18 ID:Sq4DzJJC
キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!!
なんかエロエロでなんだけど和むと言うか…。
じゃれ合ってる感じで良いです!!
594(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/15 22:26 ID:Rg/9+vun
>>591続き
目が醒めると火蓮さんとなぜか抱き合って寝てた。
しかも、2人とも素っ裸。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?なんでっ?」
思わず叫んで飛び起きると、火蓮さんが眠そうに眼をあける。
「にゃ〜、ねむい〜・・・ゆーき、朝から元気だねぇ〜、もうジュース抜けたんだねぇ〜」
ダルそうに伸びをしながら火蓮さんが言うので、やっと昨日の事を朧気に思い出して、真っ赤になる。

だって、火蓮さんに、火蓮さんは、ご主人様なのに、召使いの自分に、その、あんな事や、そんな事を・・・
「あぅぁ〜」
言葉にならずに変な声がもれると、火蓮さんが不安そうに見上げてくる。
朝焼けに照らされた金の瞳が、とてもキレイなんだけど、それを堪能してる場合じゃなくて。
「あっ、いやっ、そのっ、えっと、もっもう体大丈夫なんですけどっ、そのっ!」
「だいじょーぶならいいやぁ♪まだ全然時間早いから、朝風呂一緒にいこっ?」
ニコニコと、何事もなかったかのように手を取って火蓮さんが歩こうとする。・・・まだ裸ですが・・・
ドアを開ける前にそれに気付いた火蓮さんが、落ちてたワンピースを着る。その間に自分もワンピースを着る。
595(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/15 22:26 ID:Rg/9+vun
朝風呂は、とても気分が良かった。今度こそ、ちゃんと体を洗って、髪もあらってサッパリできた。
しかも、今度は変な悪戯もされずに済んで、朝から変な声出さずに済んだからオッケーかな?と。
アフアジュースの効果かどうか分かんないけど、傷ももう痛くない。傷跡はまだ残ってるけど、もう大丈夫。

部屋に戻る時、火蓮さんがしきりに手を繋ぎたがるので、仲良く手を繋いで部屋に戻る。
戻ったら、部屋がきれいに片付いてて、サイドテーブルにいつものように朝食が用意されていた。
「えーと・・・結構早い時間ですよね?今って」
「そうだねー、でも夕飯ちゃんと食べてないからお腹ぺっこぺっこー!」
「自分達が部屋を出るの気付いて用意したって事ですよね?コレって。しかも、あんな状態のベッド片付けたって」
「そりゃ、召使いだもん当然だよ♪あ、悠希はそんな事しなくていいんだよ?あたし付のヒト召使いなんだから、
 ”あたしの色んなお世話”がメインのお仕事なんだからねっ♪さ、食べよーよ、もうお腹ぺこぺこ!」

― 召使いなら当然 、なんだ。しなくていい、とは言うけど、ちょっと立場的にそれじゃいけない気が。
なので、ご飯食べながら火蓮さんに打診してみる事にしてみる。
「−って事で、このままじゃ自分としてはヤなんですよ。だから、何か簡単なお仕事とかさせてもらえないかと思って」
ぷぅっと頬をふくらせて、火蓮さんは納得がいかない様子。駄々っ子みたい。
「じゃあ、お母様に後で何かないか直接聞いてみてよ。あたし知らないからっ!」
プン、と食べながらそっぽを向かれてしまった。かなり拗ねらせてしまった様子。どうしよう。
「火蓮さん、ごめんなさい・・・」
「悠希が謝ることないのっ!」
余計怒らせてしまった。
596(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/15 22:27 ID:Rg/9+vun
多少拗ねた火蓮さんの機嫌を取りつつ、ご飯を食べ終わってからお母様、蓮華様の部屋に向かう。
部屋を軽くノックして声をかける。少しすると分厚いドアの向こうから、入室を許可する蓮華様の声。
入ると、そこはまた何か不思議な部屋だった。

真っ黒い部屋、と言うべきか。壁紙も、調度品も、全て真っ黒。漆黒の部屋。
その中の真っ黒な長椅子に座る、夕陽に照らされたような赤みを持つ金髪のネコが1人。1匹?かな?
「お、おはようございます蓮華様」
「朝から珍しいわね。火蓮の使いでもしに来たのかしら、やっと召使いの自覚が出来てきたのかしら?」
いきなり厭味をサックリ言われて凹む。
「火蓮さ・・まは、召使いらしい事はするなと仰いますが、自分はそれでは納得できません。なので、蓮華様に、」
「できる事を聞きに来たって事なのね。充分承知しました。昼までには考えますからもう下がりなさい。」
「ありがとうございます、では失礼します」
ぺこり、とお辞儀をして部屋を出る。はーっ、すっっごい緊張しちゃった!職員室に呼び出された時みたいだ!

昼ご飯を、また部屋で2人で食べていると銀髪、ショートカットの可愛い少女ネコが手紙を持ってきた。
597(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/15 22:34 ID:Rg/9+vun
えっと、多分次回もえっちぃの無いと思います_| ̄|○スイマセン・・・

名前、読めるとは思いますが一応。
・火蓮→かれん
・悠希→ゆうき
・蓮華→れんげ
その内出るはずの子。使わなかったりするかも(;´Д`)
・空牙→くうが
・風牙→ふうが
・莉琥→りく
・紗那→しゃな

ちなみに火蓮さんの”蓮”の字は蓮華様の”蓮”の字を頂いてついた名前です。
紅色から発展してつけてみた名前だったり(´・ω・`)
598名無しさん@ピンキーsage04/06/16 03:12 ID:JV3LAw+G
おお!3日連続でキター!!
火蓮と悠希のぷち百合な関係がイイ!続きもガンガって!!
599名無しさん@ピンキーsage04/06/16 22:04 ID:0BzoJlAB
ttp://www.itmedia.co.jp/games/ga/cat/
↑兎
600名無しさん@ピンキーsage04/06/18 01:55 ID:NgNeqdXd
こ!ち!むい!
こ!ち!むい!
こ!ち!むい!
マダー!?
601名無しさん@ピンキーsage04/06/18 12:20 ID:KVXVgXIP
っていうか、容量大丈夫か?

このスレもあっという間に600…職人さんが増えたおかげですね♪
602名無しさん@ピンキーsage04/06/18 13:34 ID:AOZWYLCT
>>601
このままのペースで行けば 740 辺りでいっぱいになる予想
レスが進むのはいいことですね

俺も早く書かないと・・・OTL
603名無しさん@ピンキーsage04/06/18 18:07 ID:2qC+TJAW
まだ容量に余裕のある間に提案

次のスレタイって変更します?
猫耳だけでなく兎耳も狐も犬も出てきたわけですが。
604名無しさん@ピンキーsage04/06/18 18:59 ID:3rkatjOB
スレタイ案しょにょ1
 『ケモノミミ少女と召使の物語』(あまりにもベタ過ぎて、すまそ)

…しかし、マナ様って“少女”って言うよりは…わぁなnをすr離g;???¢
605名無しさん@ピンキーsage04/06/18 21:24 ID:pTnpD34A
こちむいに敬意と期待を表してこのままでいいと思われ
606名無しさん@ピンキーsage04/06/19 06:58 ID:IOToK5iI
今605が良いことを言った!!
スレタイはそのままで、テンプレで色々書き足せば良いかと。

例えば、
猫耳女王が支配する猫耳国(?)を中心に、隣国にはうさ耳や犬耳といった様々な種族の国が存在する、ヒトの世界とは別の世界。
そんな獣耳の世界に時々迷い込んで(落ちて)くるヒト達。
彼らは召使として獣耳の世界でとってもエッチ(!でちょっぴりはぁとふる(?な生活を送ることに・・・

とか。うーん、ちょっと文章変だね。まぁ次スレ時の参考にでもしてくれれば幸いかと。
607名無しさん@ピンキーsage04/06/19 16:08 ID:107XKCUi
>>602
頑張れ。みんな頑張れ。

………狐と犬の人、元気にしてますかー
608狐耳の者sage04/06/19 17:34 ID:rNNdQQgu
名指しを受けたので出てきてみる
出る杭は打たれるとか言わないで・・・

システムファイルがアボーンして書きかけのすべて消えました・・・
現在書き直し中
しかし仕事が忙しくてなかなか進みません
来月になったらお中元の時期ということでさらに死ねる状況に・・・
今月投下できなかったら来月末以降になると見てください
一応スレは見れるかな・・・

>>こちむい様
外伝完結乙でした
萌えならぬ燃えな展開でしたね
そして新作がキテルー
イヤミっぽい新キャラが今後どう動くかが楽しみです

>>へたれ猫様
百合キタ――(゚∀゚)――!!
もうハァハァ(*´Д`*)しまくりです

>>兎の人様
幻想的な雰囲気がすごくいいです
性格が反転ということは一度に二人と付き合うと(ぇ

>>509さん
>>91を見てあることって「みょん」ですかな?

とりあえず生存報告を
犬耳の人は元気かなぁ・・・
609兎の人sage 現在405kB付近04/06/19 18:06 ID:DihujUkK
>>608
は!反転!?
……そうか、雰囲気が違うと思ったら反転してたのか!
今まで書いてて全然気づかなかった

……いえ、頭の中でキャラが動いてはいるのですが、それを的確に伝えるには文章力が足りなくて
自分では良い話が出来たとは思ったのですが、実際に書いてみると全然良い話に見えなくて
幻想的といわれるのは、ただ単に話がぼやけているように見えるから OTL

ここで練習するのは大変失礼に思われるかもしれませんが、なるべくなら皆様のためになるような話を書ければと
迷惑でしたら言ってください。直ぐに名無しに戻りますので (((´・ω・`)カックン…

>みょん
お、好感触
したらばのほうにも生息していますのでもし縁があれば
610兎の人sage 750付近で止まるペース04/06/19 18:49 ID:DihujUkK
セラ様から返答がきました

『普段はそうでもないけど、夜になると……大胆になれる、かな』
だそうです

スミマセン泣きたくなってきたOTL
611(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/20 02:38 ID:dgsvqjQs
>お狐様
(´・ω・`)お中元・・・・・包装紙で手を切ったりカッターで手を怪我したりなさらぬようにご注意下さいませ。
いや、包む側とは限らないでしょうがw
がんがってもっとハァハァできる悠希と火蓮目指します_| ̄|○
>うしゃぎさん
書いてる途中で軽く泣きたくなったらこちむいの過去ログを読んではっぴーになるといいですよー(´∀`)


でぁ、少し間が空きましたが続きをちょびっと参ります。今回えっち無しです・・・
                     ↓
612(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/20 02:39 ID:dgsvqjQs
>>595続き
銀色の髪の可愛い彼女は、何も言わず、ただにっこりと笑って自分に手紙を渡してくれた。
でも、こっちの文字はアラビア文字みたいな感じで読めるわけもなく。火蓮さんが横から取って代わりに読み始めた。
「えーと、だらだら書いてるけど要するに本読んで勉強しなさいって。それが充分身についたら用件を言い渡すってー」
本?本なんか・・・と、首をかしげると、またニコニコと笑いながら少女が一冊の本を渡してくれた。そして、
「では、ご主人様の伝言、確かにお伝えいたしました。」
と、ハスキーな声で言うとぺこりとお辞儀をして出て行った。

「本渡してくれましたよ、火蓮さん。何の本だろ?」
「見せて見せて〜、んー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ゛あ゛あ゛っ」
表紙を見た瞬間、火蓮さんが絶句。がっくりと項垂れてブツブツと何かぶーたれている。
膝の上から本を取り、ペラペラとめくる。文字だけのページが多いんだけど、途中に挿絵が見えた。
何やら凄いモノが、見え、た。
613(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/20 02:41 ID:dgsvqjQs
「何コレーーーー!エロ本じゃんっ!?」
ビックリして素の声をあげてしまう。何しろ、その挿絵は正にヤってますって言う男女ネコの姿が描いてあったんだから。
「お母様、悠希を火蓮のホントのヒト召使いに教育するつもりなんだ、たぶんー」
「ヒト召使いって、こういう事するって事なの?でも、火蓮さんも自分も女の子じゃないですかっ」
焦りながら言うと、簡単に一言で片付けられた。
「だって、ヒト召使いは基本的に夜伽の相手をするモノだからね、普通そーだもん。」
でも・・・と、少し区切りを置いて、何かを考え始める火蓮さん。
恥ずかしいんだけど、挿絵を見るだけ一応見始める自分。
いや、絵自体はすっごい綺麗なんだけど。ホント、パっと見はSEXYなイラストなんだけど。でもねー。
コレを覚えるようにって言われてるってのが、恥ずかしい。覚えるんだって思うと、抵抗ある。

しかも、コレを自分がしてるってのを蓮華様が知ってるって時点で恥ずかしさ大爆発だ。
614(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/20 02:42 ID:dgsvqjQs
ウダウダを頭の中で考えて口をバカみたく空けて茫然としてると。
「んー、多分空牙の相手をさせられるって事かなー」
ぽつり、と言葉を漏らす火蓮さん。クウガって何?仮●ライダー?
「あたしの弟だよ。他にも下に何人かいるけどね。もうそろそろ頃合だしね、多分その時に・・・かなー」
そのときに?自分が何かを、そのクウガさん?クウガ君?にするんだろうか。ナニをすんだろ?
「それは、お母様が直接教えてくれると思うから。それまで、慌てないようにコレで色々覚えよ?ね?」
ちょっと困ったような、悲しいような、そんな顔の火蓮さんを見て、これ以上質問できなくなっちゃった。
「そっ、そういえば火蓮さんっ」
強引に話を変えて雰囲気変えないと!
なぁに?と小首をかしげる火蓮さん。可愛い・・・・・・じゃなくてっ!自分今朝から変!
「さっきの子、可愛かったですねー。あぁいう風に自分も育ちたかったなー、って思って」
「ああ、莉琥ね。あの子、オスだよ?お母様、可愛いオスが大好きだから可愛い間は手近に置いて可愛がるの」
今度は自分が絶句。
「えー、だって、だって、スカートはいてたし、動きとかもう何か優雅だったしっ」
「そういうのがお母様好きなの。趣味なんだもん。結界で村を守ってる村長だから出来る我侭だよねー」
ハァ、と溜息つきながらぼやく火蓮さん。村長さんってだけでこんなすごい家の理由が少し分かった気がする。
「じゃ、今日はとりあえずこの辺読んでみようか。字は読めないよね?あたしが読んだげるから、挿絵見てね」
615(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/20 02:45 ID:dgsvqjQs
本日ココまでです。

本の内容は、昔の枕絵みたいなモノだと思っていただければ。
錦絵?だっけ。呼び名忘れちゃったんですけどw

(´・ω・`)莉琥は友人が女に見える少年なのでそこから思いついてみたり・・・
616名無しさん@ピンキーsage04/06/23 00:37 ID:U1sisbRP
捕手
617兎の人sage04/06/23 14:22 ID:VbGfgr8Y
保守・・・・・・って時間が止まっていますな

おにゃねこ作者様、続き乙です
展開上悠希が完全そう受けのような気がしますな
続きマジ期待してます

こちらも早ければ今週末から来週末くらいまでに
その前に数名名前募集
人物と設定だけ鬼のように増えていくorz

1)第四姫様・事実上のアトシャーマ魔法騎士団トップ
雰囲気はリナ様に似ているかも
今のところはおにゃねこ作者様が考えてくださった
「ラズーライト・セニア・ディミオン」が最有力候補

2)その従者・兎の女の子
出生に秘密があるかも

3)第二姫様・セラ様の義姉、セラ様よりちっこい
たぶんイクナイ方向に魔法特化型
なぜかあまり需要のない、一人称「わらわ」二人称「そなた・おぬし」
名前は「ホワイトパール・○○○○○○○・アリアンロッド」でお願いします

最近スレの進行が鈍ってきた気がする
俺のせいのような気がするけど、頑張らないと申し訳が立たないので頑張ってます
618(´・ω・`)へたれ猫sage04/06/23 14:31 ID:Mv29s+Se
>うさぎさん
(´・ω・`)気合入れ過ぎて逆に気が抜けないように気をつけてくらさい。
悠希総受けかぁ、言われてみればそうかも。


今自分はエロの神様降臨してなくて筆止まったままですorz
619名無しさん@ピンキーsage04/06/23 21:45 ID:cb8tbpFh
>>617
 2)ジョカ・ブランウェン
   ジョカは、『女常女我』(じょうが)から。
   中国の伝説で、月に住む仙女様のお名前です。
   ブランウェンは、『Branwen』。
   ケルト神話の、愛を司る月女神様だそうです。

 3)ホワイトパール・モリガンルフェイ・アリアンロッド
   えーと、『イクナイ方向に魔法特化型』の『義姉』
   と言えば、多分このお方がチャンピオンでしょう。
   ってゆーか、他に思い浮かびません…。
  
620名無しさん@ピンキーsage04/06/24 11:51 ID:mG81/GIn
ホシュ
621兎の人sage04/06/24 16:33 ID:eA5XWdct
アリアンロッドの元ネタがやっとわかりますた
しばらくGF買ってなかったから気づかなかったorz

>>619 さん、早速さんくすです
書き忘れていたのですが、 2 番のウサギさんは、物語中ではセラ様の実妹として登場
3 番、「イクナイ」というのは多分エロ系以外も含むかも、と

現在 1 話で書き忘れていた銀時計&野球帽をどうやって絡めようか思案中
以上、進行報告を、保守の意も込めて m(_ _)m
622名無しさん@ピンキーsage04/06/24 20:04 ID:7vNU+1ql
「学生さんの本文は『勉学に勤しむ事』だからしょうがない」とか
思うものの、いつのまにやら一ヶ月が経過してしまった今日この頃
どうやら、あれからずーっと廊下で悶絶しているらしい召使いくんの
お体の具合はいかがなものであろうかなどと、慮ってみたりしながらも…












やっぱり、さーびーしーいーYoーーーーー
623名無しさん@ピンキーsage04/06/26 16:17 ID:+U96elDW
結局犬の人はどうしたんだろう…
624名無しさん@ピンキー04/06/26 17:22 ID:FTQlbPj+
a
625名無しさん@ピンキーsage04/06/26 17:24 ID:CnzV6AuJ
げるなよ
折角最下層を維持してたのに
626名無しさん@ピンキーsage04/06/28 02:22 ID:2HuH++eD
保守
627名無しさん@ピンキーsage04/06/28 17:29 ID:Hlapi4D7
ほしゅ
628名無しさん@ピンキーsage04/06/28 22:58 ID:Rh8LjJL9

  変位抜刀保守
629名無しさん@ピンキーsage04/06/30 02:11 ID:/QuWbb5d
630『こちむいU』sage04/07/01 22:57 ID:ujaPXc5K
途中でほったらかしててすいません。
コツコツとは書いてるんです…

夏休みの、8月になれば量産できるハズ。
しかし、なんとか一本は今月、中旬にうPする!
 と いってみる。

ほかの職人さんも頑張ってくださいね。
だから、とりあえず 保 守 !!








>>615 春画?
631名無しさん@ピンキー04/07/01 23:25 ID:lBEsNsWF
>>こちむい作者さま
(σ・∀・)σソレダ >春画
続きも期待しておりますので
ゆるりと良作を書いてくださ礼!


他の作者さまたちも
マターリ良作を投下してくださ霊!
632名無しさん@ピンキーsage04/07/01 23:27 ID:lBEsNsWF
ageてしまった…ウツダorz

これじゃ作者様たちマターリできねーYo!
633兎の人sage04/07/02 17:05 ID:tEiQpfg1
助走中保守
欲を言えば、>>617 の2番目の子の名前、もちっと柔い感じでm(_ _)m
634名無しさん@ピンキーsage04/07/02 21:16 ID:k/vFEF6x
>>633
 『ナナ』古代ウルクの月神
 『ヒナ』ハワイ神話の月女神
635(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 02:06 ID:12+2eAh7
>630 こちむい様
(゚Д゚)ソレダ!
ムリせずに書いて下さいませ。いやホントに。

今回もまたエッチまで持ってけなかった・・・_| ̄|○ 長くなったのに意味無い・・・
636(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 02:07 ID:12+2eAh7
>>613続き
それからしばらく、火蓮さんが本を読んで、自分は絵を見て頭の中に詰め込む、という状態が続いた。
・・・・・・・・いや、まぁ、たまに火蓮さんが『本の通りにしてみなきゃわからないよ〜』とか言って胸さわったりしてきて困ったけど。
お兄ちゃんが見てたえっちなビデオとかで、よく女優さんがアンアン言ってるのがウソみたいだって思ってたけど、
ホントだったんだって、それで実感したなんて恥ずかしくて恥ずかしくて。

で。
本を受け取ってから一ヶ月近く過ぎて、一応一通り本に目は通した。
そりゃ、見てて自分がやれ!って言われてもムリだよー、って思う事とかあったけど、知識としては一応叩き込めたと思う。
蓮華様に、それを伝えに行く事にした。

コンコン、とドアを叩いて、また声がして。中に入ると、やっぱり一面黒い部屋。そして金の髪の蓮華様。
今日は、その中に蓮華様だけじゃなくって莉琥君も一緒にいた。午後のお茶をしていたらしい。

「あら、しばらくぶりね。お勉強ははかどっているのかしら?」
「いっ一応一通り目を通しましたが、自分はこの後どうしたらいいのか聞きに来たんです」
そう、と言って蓮華様が少し俯いて考え出す。
ただ立っているのもキツイから、目線をウロウロさせてると、莉琥君に目が止まった。
637(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 02:09 ID:12+2eAh7
相変わらず、肩で綺麗に揃えてある銀髪、アイドル顔負けの女顔。視線に気付いて、ニッコリとこっちに微笑む。
コレで男の子だなんて言われててもやっぱりそうは思えない。女の自分なんかより絶っっっ対美人で可愛いって!
莉琥君を見ながらぼーっとしてると、蓮華様が動く気配。
ハッ!としてそっちを見ると、いつの間にか目の前に立っていた。

「服、脱いで。」
「は?」
「聞こえなかったの?服を脱いで、と言ったのよ。勉強の結果を見せてもらうわ、それで決めるから。」
キッパリとした声で言われて硬直する。
服を?今?ココで脱げ?莉琥君いるのに?
動揺したまんま、莉琥君に目線を走らせると、自分の思惑に気付いたのか莉琥君が顔を赤らめて背中を向けてくれた。
「どうしたの?私の言うことが聞けないの?ヒト召使いと言うのは我侭なのね・・・」
ハァ、とため息をつかれながら言うのを聞いて、慌てて服を脱ぎだす。

下着だけでちらっと顔を見ると、それも脱ぎなさい、と言われる。
仕方ないので脱ぐ。正に身一つ。一糸纏わぬ状態ってヤツ。一応手で胸と下を隠すけど、隠しきれない〜・・・
「莉琥、いつものように相手なさい。今日はそこのヒト召使い相手よ、わかったわね?」
相手・・・?
不安になって蓮華様を見る。
「お前で本当に役目をはたさせて良いかどうか、莉琥を相手にしてもらって見極めます。
 あの本に目を通したのならわかるでしょう?メスがオスに何かする、オスがメスに何かするならば、どうしたらいいのか。 
  私はそれを見て、判断します。床がいやならば奥の寝台を使っていいわ、わかった?」
638(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 02:10 ID:12+2eAh7
ぱにっく。

だって、あの本にあった事をしろって事は、エッチをするってことで、でも、自分は、まだ処女なんだもん!
確かに、火蓮さんとここ一ヶ月くらいはしょっちゅうえっちな事してたけど、でもまだ何もしてない!
「ああ、お前その様子からするとまだ初めてなのね。最後までしなくても結構よ、もっている知識を見せてご覧と言っているだけよ。」
幾分か調子が和らいだ感じの蓮華様の声。
「見せる、って、あの、どうしたら」
「そうね・・・莉琥は色々できるコだけど、莉琥が何も知らない相手だと思って教えるつもりでやってくれる?」

ちらっと莉琥君に目を走らせる。こっちを見てる莉琥君の顔は、まだちょっと赤いまんま。
莉琥君は女の子みたいな顔してるんだから、火蓮さんとしてるみたいに考えれば・・・イケるかな・・・
「わかりました・・・寝台使わせていただいていいでしょうか?」
椅子に深くかけなおして、蓮華様がコクリと頷く。

恥ずかしいのを我慢しながら、ベッドまで歩いてから、莉琥君を手招きした。
639(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 02:11 ID:12+2eAh7
スイマセン、最初の間違えました。
>>614続き、でした・・・・前回のチェック間違えてたみたいです。

眠れないのでこの続きまた書けたらUPできる・・・カモ
640(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 03:00 ID:oCDecsI0
>>638続き
自分はベッドの端に腰かけてる。
莉琥君が、横に座ると、ぎしって音がなって自分の体が一瞬強張るのを感じた。緊張する。見られてる、なんて状態じゃ余計。
火蓮さんが、いつもしてくる時はキスしてくるんだっけ。
ちゅ・ちゅってほっぺたとか首とかにキスしながら服を脱がせてきて、くすぐったくて体よじるとそのまんま押し倒されて〜・・・
今回は、自分がそうやってやっていく側なんだから、あの本にあった事も思い出しながらしなくっちゃ。

ファーストキスじゃないから、抵抗感は少ない。けど、男の子相手は初なんだよなぁ・・・相手が可愛い系で良かった?かも。
そっと莉琥君の顔に手を添える。こっちを軽く向いてくれるように手をそえて、そっとほっぺたに『ちゅっ』とキス。
彼も緊張してるのか、体に力が入ってるのがわかる。何度か軽くキスをほっぺたとかおでこにしてると、お互い体の力が抜けてきた。

そっと、1回だけ唇に『ちゅっ』ってしてみる。
ちょっとだけ顔を離して、目線を合わせてじーーーって見つめる。火蓮さんとこうやるのが何か大好きなんだもん。
今日は、火蓮さんじゃなくって莉琥君だけど。

ニコってしてから、もっかい唇にキス。離して、もっかい。莉琥君の唇をついばむようにキスの雨を降らせる。
なんとなく、深くキスをしてみる。莉琥君が何もしてこないから、彼の口の中を一杯動いてみる。
少し動かしてると、莉琥君がちょっとづつ動きに合わせて舌を絡めてきた。
(あ、そうか・・・初めての相手だと思ってしなさいって意味、こういう事なのかな。初めてのキスじゃ何もわかんないよね)
唇を離して目をあけると、ぼんやり目を開いてて、口は半開き、頬はピンク色に染まってる莉琥君の顔。
火蓮さんも可愛いけど、莉琥君はホント可愛いな・・・いろいろしちゃいたい感じ。
641(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 03:04 ID:WhkJ3NER
手を下に移動して、莉琥君のシャツのボタンを外す。ただはずすだけじゃなくて、外そうとしてる間も首に軽くちゅっちゅキスしてみたり。
どうやら鎖骨付近が弱いみたいなので、その辺を狙ってちゅっちゅキスする。

シャツを脱がして、ズボンも脱がせて。莉琥君は下着1枚だけ。
こっちでも、トランクスはあるんだな、ってちょっと思った。
前が何かふくらんでるのは・・・自分が色々した事で反応してくれてるって事だよね?ね?ちょっと嬉しい。
一瞬恥ずかしくて躊躇ったけど、小声で『パンツも脱いでもらえる?』って莉琥君の耳にささやいた。
「ハイ」
小さく返事して、莉琥君が脱ぐ。ベッドの上で、2人で正座して向き合う。
・・・・・・・・・・・・お兄ちゃんの、おっきくなったらこんなになるんだろか。莉琥君のおちんち・・、おっきい。
「あの、胸、さわっても、いい?」
おずおず、と莉琥君が聞いてきた。あ、そっか。”初めて”だったら、胸に興味行くよね。
「いいよ、でも強く握ったりすると痛いから、そっと、そーっとね。」
相手は”初めて”のコなんだ、そう言い聞かせながら手を取って、自分の胸にさわらせる。
きゅ、っと莉琥君が手を握るように胸をつかむ。そのまま、ふにふにしたり、こするようにさわったり。
たまに、頂点とかつまんでみたりするもんだからついつい、声が出ちゃう。
「声、いたいの?やめる?」
心配そうに言うから、大丈夫だよ、って言うと莉琥君が嬉しそうに微笑んでまた胸をさわる。
えっと、初めてって事は説明とかするって事なのかな。って事は・・・・恥ずかしいけど・・・言わなきゃ。
「あのね、莉琥君」
言いながら体育座りの格好に体勢を動かす。顔から火が出そうな位恥ずかしいけど、足を開いていく。
「いっぱいさわって、”気持ちいい”になると、女・・メスは、ココがびしょびしょになっちゃうの」
「あ、ホントだ。すごいね、一杯なんかなってるね」
莉琥君の指がソコをかすめる。ひ、と一瞬声が出た。
「ソコはね、一番敏感で一番大切な場所だから、手荒にさわっちゃイケナイんだよ。さわってもいいけど注意してさわってね」
言いながらギュッと目を瞑る。恥ずかしくて、これ以上莉琥君の顔見てらんない。

その時。
642(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 03:04 ID:WhkJ3NER
「ハイ、そこまででいいわよ。莉琥、お疲れ。あなたも服着ていいわよ、もう充分わかりました。」
それまで無言で、気配なんてホント消してたのかわかんないけどいるのも忘れる位だった蓮華様の声だった。
莉琥君が服を拾って来て、体にかけてくれた時、耳元で「ゴメンね」って言ってくれた。

服を着終わると、蓮華様がニッコリと微笑んで結果を伝えた。
「合格。”初めて”の相手に”教える”のがそれなりに出来ていました。あなたにやってもらいたい仕事、教えましょう。」
ゴクリ、と喉が鳴る。隣にいる莉琥君に聞こえちゃうんじゃないか、って位思いきりのんじゃった。
「空牙という、火蓮の弟がいるのですが、あの子色々と教えてもらいたいの。普通のネコ相手じゃ、万が一妊娠されても
 色々と面倒ですしね。その分、ヒト召使いだったらその可能性はありませんから。あなたも安心でしょう?
  すぐにしろと言うわけではありません。多少面識出来てからでいいでしょう。お願いするわね。」
頭で理解できないまま、返事をして、退室して、部屋に戻ると火蓮さんが抱きついてきて。
一体何を受けてきたのかって聞かれて、言われた通りに説明すると。
「あ、そうなんだー。空牙は可愛い子だよ、ちょっと甘えん坊だけどねー。あたしソックリの子だから、悠希も気に入るって!」
と、よく分からない励ましをされてしまった。

とにかく、自分は大好きなご主人様のお母様の命令でご主人様の弟に色々”えっちなこと”を教える先生?になったって事かな。
こっちの世界の慣習は理解できない・・・自分のいたトコでこんな事言われたら『セクハラ』だの何だの言われちゃいそうだ。

火蓮さんの弟で、ソックリならきっと可愛い少年なんだろうな、って思って顔がにやけてたらしいのは火蓮さんに言われて気付いたのは秘密。
643(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/03 03:06 ID:WhkJ3NER
(´・ω・`)中途半端職人・・・

総受悠希を脱皮させようかな、って思ってたらこんな方向になってスイマセン。
644名無しさん@ピンキーsage04/07/03 10:26 ID:JOegUYxJ
キタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)
こちむいみたいにエロエロドロドロじゃなく
淡白なエチーが激しくイイ(・∀・)!!

今後の展開に激しく期待!
645 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/03 18:41 ID:dDaHktXL
優しい風と暖かい日差しを浴びて、僕は目を覚ました。
柔らかな草の感触、見上げれば、雲ひとつ無い青空。何もかもが心地よい。
………ん?そういえば、昨日はいつも通り部屋のベッドで寝たはずだ。
そうだとしたら、やはりここは夢の中…いわゆる明晰夢というヤツだろうか。
僕は立ち上がった。この夢のなかを散歩してみたくなった。

どうやらここは小高い丘の中腹の辺りのようだった。目覚めた場所の裏手まで行くと、
僕の部屋のクローゼットやベット、テレビにコンポ、昨日買ったスニーカーなんかが置いてあった。
ほら、やっぱり夢だ。こんなモノ、ここにある訳無い。僕は嬉しくなった。
とりあえず、スリッパだと足がチクチクするのでスニーカーに履き替えた。
ついでに服も部屋着のスウェットから、ハーフデニムとTシャツに着替えメッシュキャップを被る。
「よーし、出発〜♪」
僕は歩き出す。ちょっとした探検気分…のはずだった。
646 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/03 18:41 ID:dDaHktXL
とりあえず、この丘の頂上までいこう。
僕は丘を登る。緩やかで、木はあまり生えていない。頂上には家が一軒。
ログハウスっぽい感じで、軒先には綺麗な花のプランターが置いてあった。
「いいな〜。こうゆう家。やっぱり夢だなぁ」
僕は玄関の段差に腰掛けて伸びをした。ここから見渡せる景色もとても綺麗だ。
麦畑に舗装されて無い道、遠くには街が見える。
「のどかだなぁ。こうゆうとこでギター弾きたいな〜」
という事で、さっきの場所まで取りに行くことにした。
しかし、探しても探しても見つからない。どうしたんだろう?
「もしかしたら、さっきの家にあったりして」
まあ、夢の中だしね。こうゆうこともアリなんだろう。ちょっと面倒だけど、引き返した。
「瞬間移動とか出来ればいいのに」
試してみようか?瞬間移動といえばやっぱコレ。
「ルーラ!!」
…何も起こらない。MPが足りないようだ。
頂上に着いた。走りっぱなしだったから疲れた。夢の中なのに疲れたりするんだな。
家の玄関の段差に腰掛けた。風が気持ちいい。僕は夢の中なのにまたウトウトしだした。
647名無しさん@ピンキー04/07/03 18:44 ID:dDaHktXL
「ねえ、ちょっと君!」
…誰かが僕を揺すってる。もうちょい寝かせてよ…
「もう、仕方無いんだから…」
遠ざかる足音。ようやく諦めたかと思った瞬間。鼻の穴に何か入ってきた!!
「へーっくしょん!!」
飛び起きると、細い草の葉を持った女の子がクスクスと笑っていた。
「わ。コレ夢じゃ…ない?」
「何言ってるの?当然じゃない。ここはガブリエル嬢の私邸。君…大丈夫?」
安眠を妨げられた怒りとこれが現実という混乱で、僕は思わず
「すみません。ちょっと飲み込めそうもありません。あなたこそ何言ってるんですか?」
と言いそうになったけど、今はそんな事言ってる場合じゃなかった。どうしよう。
648 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/03 18:44 ID:dDaHktXL
「わたしはソラ。ここの使用人やってるの」
へぇ、ソラさんかぁ。綺麗な人だなぁ。って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。
「ぼ、僕は建(ケン)。」
何だか照れる。白い肌、柔らかそうな唇、ぱっちりとした目、サラサラのショートヘア。
背は僕より少し高い。そして、真っ白な毛並みのネコ耳としっぽ。…ネコ耳としっぽ?
…どうゆう趣味してるんだろ。とりあえずそこは流しとこう。
「隙ありッ!」
考え込んでいると、いきなり帽子を取られた。
「うわあっ!!何するんですか!」
ソラさんは僕を見て歓声を上げた。
「きゃあ〜!や〜ったぁ〜〜!!」
「なな何!?僕がどうかしたんですか?」
「君、『ヒト』でしょ。ず〜っと欲しかったの」
え?何?今なんて?
「君は今日からわたしの召使い。はい、決定〜!」
「ちょ、ちょっと何言ってるんですか!?そんな事、勝手に決定しないで下さい!!」
ひょっとしてソラさんてば、かなりヤバイ人?つーか、いきなり召使いは無いだろ。
「大丈夫。家事とか全部わたしがやるから。それに、行くアテないんでしょ?
この世界じゃ『ヒト』は超貴重だから、君なんかす〜ぐ捕まえられて売り払われて、
それこそホントの召使いとして死ぬまでこき使われるよ〜。それでもいいの?」
「…良くないです。」
「君の仕事は、わたしとガブ様の相手。あと、さっき家具とか拾ったから、君の部屋用意してあげるね」
「それ、僕の部屋の家具じゃ…」
「じゃあ決定!そろそろゴハンにするから家に入ろ」
「は、はい」
ソラさんはふんふふんふふ〜んと鼻歌を歌いながら中に入っていった。
こうして、僕は召使いになった、というかさせられた。
649 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/03 18:47 ID:dDaHktXL
続きます。
エロまで行かない上にageてしまった…orz
皆さん本当にごめんなさい。
650兎の人sage04/07/03 19:10 ID:HEWfQD1x
ど、どんどん職人さんが増えていく(゚Д゚;)
◆rzHf2cUsLc 様&おにゃねこ作者様、GJ です

こちらは週末までに間に合いませんでした (T T)
ただ保守というのもあれなのでスレタイ&テンプレ案と間奏部分を上げて逃げます
651スレタイ&テンプレ案[1/2]sage04/07/03 19:11 ID:HEWfQD1x
『こっちを向いてよ!!ご主人様』

ここは人間の住む世界とはちょっと違う、ケモノ達の住む異世界。
だけど時々、ヒトが迷い込んでくることもあったりなかったり。
まわりを見渡せば、そこらじゅうに居る猫耳・犬耳・狐耳に兎耳。
もちろん彼等・彼女等にとって、この世界は戸惑うことばかりで……

この物語は、うっかり迷い込んで来てしまったヒト達の中でも、
一国の姫様に拾われて召使いとなった彼・彼女と、そんな彼・彼女を拾ったお姫様との、
『おまえ、もう元の世界に帰らせないにゃあ…絶対手放さないにゃあ…』
……とってもエッチでちょっぴりハートフルな、そんな非日常を描いたお話です。


なお、このスレッドを御覧のヒト召使い予備軍の皆様へ忠告いたします。
このスレッドは向こうの世界との境界が薄くなっている場所に立てられていますので、
ふとした拍子に向こうの世界に落ちてしまう事の無いように。
もしかすると姫様たちの明日の相手は、貴方なのかもしれませんよ?

【前スレ】
猫耳少女と召使いの物語
 http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1045800367/
猫耳少女と召使いの物語2
 http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1071622872/
652スレタイ&テンプレ案[2/2]sage04/07/03 19:11 ID:HEWfQD1x
【保管庫】
エロパロ板SS保管庫様>オリジナル・シチュエーションの部屋その2
 http://sslibrary.gozaru.jp/

【現在連載中のタイトル一覧:初登場順】
・[猫耳]こっちを向いてよ!!ご主人様2:あしたあえたら
・[犬耳]IBYD
・[狐耳]華蝶楓月
・[猫耳]火蓮と悠希 (タイトル未設定)
・[兎耳]十六夜賛歌
・[猫耳]ソラとケン (タイトル未設定)

【新規参入を希望する SS 職人様へ】
現在進行中の全てのタイトルは「こっちを向いてよ!!ご主人様」を軸としたシェアードワールド作品となっております。
特に規制が無いため、独自の世界観を用いても問題ありませんが、その点を踏まえておいて貰えるとありがたいです。
SS 職人様はいつでも募集中、いつでも大歓迎致しております。
653十六夜賛歌[3|1/1]sage04/07/03 19:13 ID:HEWfQD1x
<<interude in>>

夜明け前の外の微かな明るさに、ふと目が覚めた僕は、ベッドから抜け出た。
まだ闇に埋もれた室内は、凍るような寒さに包まれていて、僕は寝間着を着ていたことに安堵する。
寒いから、と忠告してくれたセラ様は、さっきまで僕がいたベッドで、一緒に目を閉じていた。
水気に曇った窓ガラスを手で拭うと、窓の外は一面の雪景色だった。

「ん……タクヤ?」
セラ様?
ベッドを振り返り見ると、ご主人様が布団の中からこちらを見ている。
「タクヤ………そんな所に居ると、凍えちゃうよ」
甘えた声。
「ん……僕なら、平気です」
窓から入る雪の光に、月の光を失い元に戻った茶色の髪が、鈍く映る。
ご主人様から、僕はどう見えているのか。
「ううん………凍えちゃうのは、私のほう………」
布団に包まり、寒さを耐えているようにも見える、まだ幼さの残る体。

「一人で寝るのは…………寒いんだよ」
精一杯甘えるような声で、もう一度だけ、僕を呼んだ。
もう一度、ベッドに潜り込む。
温かく作られたそれは、彼女の体温を包み込んで離さない。
その温かさが、仰向けに寝る僕の、直ぐ左に移動した。
「幸せ…………かな?」
彼女の身体が、僕の身体に密着している。
一度だけ、嬉しそうに微笑んだ彼女は、再び可愛らしい寝息を立て始めた。
それを見てから、僕ももう一度だけ、眠りに落ちていく。

二人分の温かさは、きっと幸せなこと。

<<interude out>>
654兎の人sage04/07/03 19:13 ID:HEWfQD1x
これだけしか上げられなくて本当にすみませんOTL

スレタイは……こちむい作者様からの了解を得てから
現行の全ての物語のテーマが集約されているタイトルなので、
ある意味これも良いかと思ったのですが、どうでしょうか?

テンプレは、ちょっとスピード感が足りないOTL
……しまった、直リンを直しておかないと

それからもう1つ、十六夜賛歌に限っては1話2話ではなく、シーン1、シーン2という区分です
些細なことなのですが、途中ぶちぶちシーンが切れる予定なので今のうちに

実の無い連投すみませんでした
本編・・・・・・早いうちに書き上げないと……
655 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/04 02:33 ID:sBr+Mehi
物語設定
・「こっちを向いてよ!!ご主人様」とほぼ同時期
・『ネコ』の国のとある地方都市の郊外

人物設定
・建(ケン) 14歳♂
身長160cm
体重48kg
趣味はバスケとギター。頑固なところもあるが、周りに流されやすい。すぐに考え込む。恥ずかしがり屋。童顔童貞。

・ソラ 25歳♀
身長168cm
体重50kg
趣味は絵を描く事。割と何でもこなす。すぐにテンションが上がる。少し(?)強引。黒髪。悩みは貧乳.。

・ガブリエル 23歳♀
身長157cm
体重49kg
ある製薬会社の社長令嬢。ソラが住み込みで働いている家は彼女の隠れ家的別荘。ソラとは親友(以上)。金髪で巨乳。

物語が進むにつれて設定が増える予定。基本設定ということで。
656名無しさん@ピンキーsage04/07/04 16:56 ID:fQXkUdhB
久々に覗いたらずいぶん伸びてるし。
657名無しさん@ピンキーsage04/07/04 20:30 ID:E0fHxlRh
神が増えたなぁ…。ありがたいことだ。
658名無しさん@ピンキーsage04/07/05 13:11 ID:okwjREmv
こちむいマダー!?
明るく楽しく濃いH読みたいよ
659 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/06 00:11 ID:aX8wJZrc
続きを少し投下したいと思います。まだエロまで行きませんが…
660 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/06 00:13 ID:aX8wJZrc
「お邪魔しまーす。わぁ〜。すげー」
中は結構広い。入るとすぐリビング兼ダイニング兼キッチンになっていて、
キッチンとリビングはカウンターで仕切られている。かなりお洒落な部屋だ。
ん?あれ、僕の部屋のソファじゃん。
「ただいま、でいいよ。ここは君の家でもあるんだから。あ、そっち君の部屋。
それと…あのソファ、ここに置かせて。お・ね・が・い」
でも、お世話になるんだし、それ位はしないと。
「いいですよ。」
「ありがとー。じゃあゴハンの仕度するから、手伝って。今晩はカレーよ」
ルーは作り置いてあったので、仕度は簡単に済んだ。
「おいしそうですね。」
「ウチはカレーの粉からブレンドするし、隠し味も色々入れて寝かせてるから、オイシイよ〜」
そして、ソラさんは白ワインのボトルとグラスを持ってきた。
「ねぇ、乾杯しましょ〜」
「でも、僕未成年ですよ。お酒なんて…」
「な〜に言ってんの?こっちじゃ子供でもお酒はOKよ」
「でも…」
「ほら、『郷に入っては郷に従え』って言うでしょ?さあさあ」
そう言ってソラさんはグラスにワインを注ぐ。
「えと、じゃあ。新しい家族にかんぱ〜い」
「乾杯」
チリンとグラスの触れ合う音。僕はちびっとワインを啜りカレーを口に運んだ。
「おいし〜い!こんなの初めてです」
「えへへ。ありがと。どんどんお替りしていいよ〜」
夕食を取りながら、ソラさんと色々な事を話した。今までの自分の事、僕の家族の事、
友達の事、学校の事…ソラさんはとても嬉しそうに話を聞いてくれた。
661 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/06 00:15 ID:aX8wJZrc
「あの、ところで、それって付け耳ですか?」
「え?普通こういう耳よ。わたしから見れば君たち『ヒト』のほうが変よ」
「うそマジで!?」
思わず僕は席を立ち、ソラさんに近寄った。そして、なでなでさわさわ…
「にゃあ!そこッ…ちょっ…だ、だめなのぉ……ふにゃぁ〜。ゴロゴロゴロ〜」
わぁ〜ホンモノだぁ。この人のネコ耳ホンモノだよ。目細めてノド鳴らしてるよ。ははは。
って何やってんの僕!?もしかして、セクハラ!?
「ふにゃあ。ふぅ…もうちょっと…って、何すんの!」
「ごめんなさい。つい、その…本当にすみませんでした」
「ん〜。ま、いいわぁ〜」
ソラさんはふにゃふにゃと笑いながらそう言うと、ぐいっとワインを飲み干した。
もう一人で2本飲んでいる。僕も黙々とカレーを食べる。
本当にこのカレーはおいしい。おなかがペコペコだったのもあるけど。
「あ、しょうにゃ。おひゅりょ、しゃき入っていいにょ。むにゃむにゃ」
潰れて寝ちゃったみたいだ。仕方ないので食器を片付けて風呂に入ることにした。
昼とは打って変わって、少し肌寒かったので、
風呂に入る前に僕の部屋からブランケットを持ってきてソラさんに掛けてあげた。
662 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/06 00:16 ID:aX8wJZrc
「あ〜気持ちいい〜」
中々広い浴室に浴槽。いい香りがする。これってヒノキ?
ああ幸せ。例え別世界に飛ばされても、突然召使いにされても、この幸せは変わらない。
お風呂は大好きだ。体だけでなく、心も温まるから。湯船につかり、天井を見上げると様々な事が脳裏を過ぎる。
今日の事、僕はどうなるのだろう?元の世界に帰れるのだろうか?それとも、このままこの世界で?
ソラさんと上手くやっていけるだろうか?
ソラさんとはどこかで会った事がある気がする。でも、そんな事あるはずが無い。
わかってはいる。でも…
ゆっくりと目を閉じる。そのまま眠りに身を委ね…られなかった。
――ガラッ
「ぃぃぃぃぃやっほ〜〜い!!」
「…へ?」
――ザッパーン!!ガッ!
「う〜ん。お風呂サイコー!」
何か騒がしくなったけど、僕はそのまま眠りに堕ちていった。
663 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/06 00:17 ID:aX8wJZrc
すみません。ここまでです。
次回で、第1話を終わらせる予定です。
664 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/06 00:38 ID:aX8wJZrc
遅レスですが、兎の人氏、次スレテンプレ乙です。
なんか、自分の稚作まで乗せて頂き、照れるような嬉しいような…
作品の方も、表現、描写などとても参考になります。
他の職人の皆様も毎回とても楽しみにさせて頂いております。
665名無しさん@ピンキーsage04/07/07 17:52 ID:fYExfOFc
七夕星ゅ
666(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/07 20:11 ID:TlxhmLlp
七夕様だから、ちょっとほんわか話でも。

というかソラさんがほのかに萌えて萌えてしょうがない・・・_| ̄|○
667(´・ω・`)へたれ猫sage04/07/07 20:12 ID:TlxhmLlp
「火蓮さん、こっちって日付ってどうなってるんですか?」
「ん?ひづけ?12ヶ月あって、毎月30日あるよ?なんで?」
ああ、こっちは自分のトコと日付感覚一緒なんだな、とホッと一安心。
昔みたいに”睦月”とか、そういう小難しい言い方だったら覚えられないもんね。
「じゃ、今日は何日ですか?こっち来てから日付の感覚なくてわかんないんですよー」
「今日はねー、7月7日だよ。そろそろ日差しも強くなってきたから帽子かぶんなきゃだね〜っ」
しちがつ、なのか・・・・・・・・・・七夕様だ。
「あのね、火蓮さん」
言うと、火蓮さんに簡単にだけどアッチでの七夕様の事を話した。
「へぇ、面白い風習あったんだね〜、悠希の住んでたトコ。こっちには、その”ササ”っての無いけど
 おっきい木に”タンザク”付けてお祈りする?」
はい、と返事して2人で短冊を書き出す。
2人だけでやってるのもアレだから、家にいる使用ネコさんとか、当然莉琥君とか蓮華様にも簡単に説明すると、
みんな面白がってそれぞれ短冊を書き出してくれた。

みんなが書き終わって集めた頃にはちょうど日も暮れ、星が瞬き始めていた。
アッチで言うならば『天の川』ぽい星の流れも見えるし、今夜はホントに綺麗な七夕様。
背の高いオスが梯子を持ってきて、木の上の方から色とりどりの短冊を飾って行ってくれる。
何人かでやってくれたから、庭の大木はすぐに短冊で彩られて綺麗になった。

部屋からそれを、火蓮さんと2人で窓から見てた。
「火蓮さんは、短冊に何を書いたんですか?」
「んふふー、ひみつっ!悠希こそ、何て書いたの?」
恥ずかしがる事じゃないんだけど・・・何となく顔が赤くなる。
「え、いや、あの、えっと・・・・『火蓮さんが元気でいますように、一緒に過ごしていけますように』って・・・」
言うと、火蓮さんが真っ赤になった。
「えー、あたしも同じ事書いたんだよ!『悠希が病気とか怪我しませんように』って!」
お互い、顔を見合わせて、一瞬黙る。その後、同時にフフフッって笑いあった。

自分、まだまだこのネコの世界に慣れない事だらけだけれど、火蓮さんがご主人様になってくれて良かったって思えた。

星はまだまだ綺麗に瞬いてる。明日もきっと晴れるだろう。
668名無しさん@ピンキーsage04/07/08 10:45 ID:oypsSGzZ
>>667 ヤベー、こーゆーのめっちゃ好きだー!!
激しくGJ!!
669名無しさん@ピンキーsage04/07/08 21:30 ID:Ro+scPQ8
>>667
すげえなごむ(*´∀`)グッジョブ! 爽やかに愛を感じた
670名無しさん@ピンキーsage04/07/09 13:35 ID:u+zdPGZh
671名無しさん@ピンキーsage04/07/10 20:54 ID:2kBiGjBD
やべぇ 素晴らしすぎるよこのスレ(*´Д`)
いつか参戦させてもらいまつ
672名無しさん@ピンキーsage04/07/10 22:44 ID:+R9iftJv
>>671
ネ申クル―――――(゚∀゚)――――――!!!!!
お待ちしてまつ(;´д`)ハァハァ
673名無しさん@ピンキーsage04/07/12 02:25 ID:GpfxqLsv
保守
674名無しさん@ピンキーsage04/07/15 02:07 ID:yoKEK1PZ
非エロ(もしくは微エロ)の物、書きたいけど・・・ダメですよね。
675名無しさん@ピンキーsage04/07/15 04:11 ID:EHoZYH/7
>>674
いや、是非頼む。
676名無しさん@ピンキーsage04/07/15 19:38 ID:fz4oNpnl
>>674 マジで頼む
ハァハァして待ってます(*´∀`)
677名無しさん@ピンキーsage04/07/17 03:35 ID:7FhichKz
捕手
678名無しさん@ピンキーsage04/07/18 22:24 ID:mDKOSPMi
保守 人外キャラ書くのって相当楽しいけど相当難しいね。
神々に頭が上がりません。精進せねば。
679 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/19 01:25 ID:ixun5ct1
最近何かと忙しく、続きが遅れておりました。
何とか書き上げたので、続きを投下したいと思います。
680 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/19 01:27 ID:ixun5ct1
>>648から

「お風呂ってだ〜い好き!!ねぇ、建ちゃ〜ん?」
…返事ナシ。
「ねぇ?建ちゃ〜ん?建ちゃんってばぁ〜。」
揺すっても反応ナシ。…寝ちゃった?
「ねぇ?建ちゃん?もお〜。お風呂で寝ちゃダメぇ〜」
つねってもダメ。それにしても、寝顔カワイイなぁ〜。
「起きないとイタズラしちゃいますよ〜いいんですかぁ〜?」
てゆうか、イタズラしに来たんだけどね。
そういえば、男のコとお風呂入るの、初めてかも。
それにしても、建ちゃんカワイイ〜。起きないし、イタズラしちゃえ。
「う〜ん。これが、おち○んちんってヤツ?」
いじってると、大きくなってきた。すご〜い。
これが、わたしの…アソコに?入るのかなぁ〜。
「…ん」
小さな呻き声と共にピクリと眉を顰める建ちゃん。気持ちイイの?
あ〜ん、カワイイ〜!!もっとイタズラしたくなっちゃう。
「ぅあ」
…ヤバイ。超カワイイ!わたし、もうガマンが…いいや。やっちゃえ!
狙いを定めて建ちゃんのおち○んちんの上に腰を落とす。
――くちゃ
先っぽがわたしの中に入った。でも…
「いっ…痛っ。…ぁん、おっきいよぉ〜」
すっごく痛くて涙が出ちゃう。それでも何とか頑張ってみる。
すると、建ちゃんの目がパチッっと開いた。二人の目線が合う。
「…う、ん?わ、わわわわわ!何やってるんですか!!」
「…はぅ…いたっ……建ちゃんにイタズラしてまぁ〜す」

681 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/19 01:27 ID:ixun5ct1
……目が覚めると、僕は襲われてアレされてるまっ最中でした。
僕のアレがソラさんのアソコに!…キツくて、暖かいなぁ。じゃなくて!
「なななちょっと!!あう!うぁ!やめっ」
止めてください。と言おうとしたその時だった。
――ちゅ
柔らかい感触とお酒の匂いが僕の口を塞いだ。ビックリしてソラさんの顔を見ると、
ソラさんはほんのりと桜色に染まった顔でにっこりとやさしく微笑んだ。
やばい…すごくドキドキする。
「もしかして、君のファーストキス貰っちゃった?うれしい〜。
じゃあ、私の初めて、君にあ…あげちゃう」
ソラさんは涙目でウインクしてそう言うと、思いっきり深く腰を降ろした。
――ぷつり
ソラさんが一気に腰を落とすと、僕のモノは完全にソラさんの中に埋まってしまった。
「ゔあぁっ!!!い、いだい!痛いよぉ〜」
ぽろぽろと涙を流すソラさん。とても痛そうだ。何かしてあげれないだろうか。
そうだ。
――ちゅっ
今度は僕の方から唇を合わせる。驚いた表情のソラさんをそのままぎゅっと抱き寄せる。
ソラさんの中がきゅっと締まった。ぁ、やばい!
「うあっ!でちゃう!!」
――どくん
「ぇ?」
「あわわわわ!ごっ、ごめんなさい!」
しまった…出してしまった。子供ができたらどーしよう。
「大丈夫。ヒトとネコの間に子供は出来ないんだよ」
ソラさんが強く抱きつく。ソラさんの柔らかいカラダと小振りな胸。
「あ〜、またおっきくなった〜」
「ぅ、そんな…言わないで下さい」
「ねぇ、もうちょっとこのままでいい?」
何だか安心するの。少し寂しそうな声でそう言ったソラさんのさらさらの髪を、
返事代わりに僕はそっと撫でた。
682 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/19 01:28 ID:ixun5ct1
密着した部分から体温と心音のリズムが伝わってくる。
僕たちはしばらく無言でお互いの優しく、どこか懐かしいそれを味わった。
「…ありがと」
ソラさんが耳元で小さく呟いた。
何故ソラさんがこんな事をしたのだろうか。僕は尋ねる事が出来なかった。
ソラさんが僕と繋がったまま小さな寝息を立てていたからだ。
そんなソラさんに対して僕は何とも言えない温かいものを感じた。
「そろそろ上がらないとのぼせちゃうよ。
ソラさんもちゃんとベットに寝かせなきゃ」
僕はソラさんを抱き上げて立ち上がった。
「う、重い。うわあ!」
予想以上にソラさんは重かった。僕はバランスを崩した。
―バシャ〜ン!!ゴツン!!
また後頭部を強打してしまい、目の前が真っ暗になった。

その後、僕は目を覚ましたソラさんにベットまで運んでもらったみたいだ。
結局二人揃って風邪を引いてしまった。
683 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/19 01:32 ID:ixun5ct1
翌朝

寝込んでしまった僕にお粥を作ってきてくれたソラさんに、昨夜の行為の理由を聞いた。
「あれが君の仕事。言ったでしょ?君の仕事はわたしの相手って」
「てっきり、ただの話し相手とかかと。それにあんなやり方無いですよ。」
どうやら、僕は相当機嫌の悪そうな顔をしていたらしい。ソラさんは申し訳なさそうに続ける。
「ゴメンね。わたし初めてだったからちょっと言い出し難くて、それでお酒飲んで…その……
私じゃイヤ?そりゃ、胸は小さいし…」
段々声が小さくなっていく。
「いいえ。僕はソラさんで良かった。ソラさんは優しいし、綺麗だし」
「え、そ、そんな…建ちゃん……」
ソラさんの顔が赤くなる。
「僕、ソラさんの事、す…っくしょん!」
大事なところでくしゃみが出てしまった。…カッコ悪。
「大丈夫!?ホントに昨日はごめっ…くしゅん!…きゃあ!!」
くしゃみをした拍子に熱々のお粥を僕にぶちまけるソラさん。
「あっちい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
僕の絶叫は爽やかな朝の丘に響き渡った。
死ぬかと思った。マジで。

続く?
684 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/19 01:39 ID:ixun5ct1
以上で第1話を終わらせて頂きます。
期間が開いた割には短くなってしまいましたorz
エロの方ですが、まぁ、初めて同士ということであのようにしました。
描写の拙さは、自分もエロ書くのは初だったので…
とにかく精進します。
685名無しさん@ピンキーsage04/07/19 08:29 ID:lSQSANK3
グッジョブ(;´Д`)ハァハァ
純粋で大胆なソラさん、彼女を真心で受け止める建ちゃん。
萌え死にそうでつ
686名無しさん@ピンキーsage04/07/19 19:29 ID:DOgqsSAs
やヴぇえ二人が純粋すぎる(;´Д`)
続きなさい、迷うことなくおおいに続きなさい

漏れは……来週までにレポート3本あげて、来週から期末で〜
こちむい作者様みたいに8月から量産体制
本当ならここに書き込む時間も惜しかったりorz

すまないっス一ヶ月以上もあいだ開けてしまって
687『こちむいU』sage04/07/20 02:00 ID:426k/uQU
 >>648 の続きだ! ラッキー、得した気分。
 ぎこちない二人がこれからどうなっていくのか楽しみ。

 さて・・・ほったらかしの『こちむいU』は
 23か24日に必ずうぷすると自分を追い込んで見る
 次回内容は問題を起した召使いの後日談を・・・
 あまりエロくないかも、ですが・・・

 >>686 お互い追試にはなりたくないものですね・・・
 がんばってください。
688名無しさん@ピンキーsage04/07/20 02:02 ID:HUJDUe+3

>>680

正しくは>>662の続きでは?
689 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/20 03:17 ID:m0VxdBv4
>>687こちむい作者さん
すみません。間違えました。
>>688さん
ご指摘有難うございました。

眠れないので、第2話の前編を書いてみました。
短いけど、投下します。
690 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/20 03:18 ID:m0VxdBv4
どうやら本格的に拗らせたみたい。
痛む頭、引かない熱、お陰でなかなか眠れない。熱のせいか目が霞む。
僕はベットに横たわり、ぼんやりと天井を見上げていた。それにしても酷い寝汗だ。…気持ち悪い。
喉渇いた。体も拭きたいけど、タオルが無い。取りに行こう。
朝食の時からソラさんを見ない。相当キツそうだったし、大丈夫かなぁ…
ふらつく足で立ち上がる。頭が痛む。まるで重い石が頭の中を転がってるみたいだ。
部屋のドアを開けようとしたとき、リビングから話し声がした。
「…あと、風邪薬持ってきて。切らしちゃってて……うん。熱と頭痛が酷いの。……2人分持ってきて。
1人分はヒト用で………え?…いいから……うん、ありがと。じゃあね」
――ガチャン
電話か。誰に掛けてたんだろ?ドアを開ける。すると、ソラさんが電話の前でぐったりと倒れていた。
僕は慌ててソラさんを抱き起こす。
「ソラさん!!大丈夫!?しっかりして!」
「…ぅ…はぁはぁ……私なら大丈夫。…それに、もう少しでお薬持って来てもらえるから」
ちょっと寝るね。と言ってソラさんはフラフラと部屋に戻って行った。
僕はキッチンの冷蔵庫からミネラルウォーターのミニボトルを取り出すとそのままゴクゴクと飲み干した。
少し楽になった気がした。
洗面所で、タオルを取り出し、体を拭く。着替えも持ってくればよかった。まぁ部屋で着替えよう。
そのまま部屋に戻ろうとした僕だったけど、引き返して洗面器とタオルを取り出す。
そしてキッチンで洗面器に水を張り、冷蔵庫のフリーザーから氷を出して洗面器に入れる。
ついでにまだ手をつけていないミネラルウォーターのミニボトルを取って、ソラさんの部屋に向かった。ドアをノックする。
「タオルと、水持って来たよ」
返事が無い。寝ちゃったのかな。
691 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/20 03:19 ID:m0VxdBv4
とりあえず、置いていこうと部屋に入る。本棚とベットとクローゼットと鏡。
ソラさんらしくシンプルで整頓された部屋だ。セミダブルのベットにソラさんは眠っていた。
僕はベット脇のサイドテーブルに洗面器を置いて、タオルを軽く濡らしてソラさんの額に乗せた。
「…ん」
ソラさんが起きてしまった。
「…気持ちいい。ありがと。でも、君も寝てなきゃダメだよ」
「大丈夫です。それに、僕も何かしなきゃって…一応、召使いだし。それに………」
「それに?」
「あの…一人だと、その…お、落ち着かなくて」
熱のせいか、どうも上手い言い方が出来ない。…恥ずかしい。
「いいよ。一緒に寝よ」
ソラさんは少し苦しそうに微笑んだ。熱で潤んだ瞳、少し青ざめた顔。何ていうか、すごくドキドキする。
「…お邪魔します」
「どうぞ」
セミダブルベットだけど、少し狭い。ソラさんに悪いと思って端の方に行こうとすると、ソラさんがすらりと長い腕で僕を抱き寄せた。
「こっちに来て」
されるがままに、身を寄せる。
「ねぇ、こっち向いてよ」
振り向くと、ソラさんが僕を見つめている。パジャマの胸元が肌蹴てて、そこから覗く白い肌が色っぽい。
「えっち」
つい見入ってしまったのを気づかれた。熱が上がった気がした。
「ふふっ。顔赤いよ。図星?」
「そ、そんな、僕は別に…」
恥ずかしさの余り反対を向いて少し離れた僕、少し気まずい。
「…熱い。どうにかなんないかなぁ」
ソラさんが呟いた。
「タオル、冷やしますよ」
起き上がろうとした僕の手をソラさんが掴んだ。
692 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/20 03:24 ID:m0VxdBv4
「ちがうの」
「え?」
少し驚いてソラさんを見る。ソラさんは下を向いてもじもじしながら続ける。
「ねえ建ちゃん…熱って、汗かくと引くって言うじゃん?」
「は、はい」
「こんな時に言うのもなんだけどさ…」
黙り込むソラさん。何故か顔が赤い。ソラさんは少し考え込んだように黙っていたが、
やがて何か決心したように小さく頷くと潤んだ目で上目遣いに僕を見つめた。
「えと、その……え、えっちしよ…」
小さな声で恥ずかしげにそう言うと、心配そうな表情で、こちらをうかがうソラさん。
「え?あ、あの、その…」
予想外のお誘いに、僕は嬉しさと驚きでついしどろもどろになってしまう。
「…ダメ?」
泣き出しそうな声。ソラさんのそんな声で頼まれたら、もうガマンできないよ。
「いいですよ」
「ゴメン。無理言っちゃって」
「いいんです。僕もソラさんとしたいです」
繋ぎあった手と手。見詰め合う瞳と瞳。僕はソラさんを抱き寄せると、パジャマのボタンに手を掛ける。
―ちゅ
ソラさんが僕にキスする。でもそれは昨日の様な触れるだけのじゃなくて…
―くちゃ
「ん、んぐっ!?」
驚く僕。でもすぐに舌を絡める。いそいそとパジャマの上を脱がし、下にも手を掛ける。
ソラさんがぎゅっと抱きつく。下着の中は既に濡れていた。僕も片手でスウェットの下とパンツを下ろす。
「…いきますよ?」
「うん、来て」
僕たちは再び見詰め合った。ゆっくりと身体を重ね合わせた。
693 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/20 03:29 ID:m0VxdBv4
その時だった…
―ガチャ
「ソラちゃん、お見舞いに来ましたわ!」
『!!!!!』
突然ドアが開き、美しいブロンドの髪と蒼い瞳で、小柄で顔つきも幼い少女が顔を出した。
胸が顔に似合わず大きい。余りの驚きで僕とソラさんは声も出せなかった。
一気にその場の空気が凍りついた。
しばらく無言の3人。少女はようやく状況を理解したのか、急に顔を真っ赤に染めた。
「あ、あああの、ソラちゃん、こっこれは……」
「…えへへへへへへ」
とりあえず(?)笑って誤魔化すソラさん。僕は物も言えず凍り付いている。
この異常な発汗は決して熱のせいだけじゃ無いな。なんて場違いな事を考えながら……
694 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/20 03:32 ID:m0VxdBv4
本日は以上までです。続きは週末以降になります。
とりあえず第3のメインキャラ、ガブリエルを登場させてみました。
695名無しさん@ピンキーsage04/07/20 15:51 ID:q23ldAQr
>>694 ソラさん素敵だ(;´Д`)ハァハァ

みなさんお体を壊さぬ程度にがんばって下さい。
696名無しさん@ピンキーsage04/07/20 19:56 ID:5ewVfPRb
>>694
素敵なソラさんに乾杯しながら、何気に続き期待中


ネタ被った……考え直さないと
697名無しさん@ピンキーsage04/07/22 15:01 ID:XE0yDiTj
こちむい期待保守sage
698『こちむいU 明日あえたら』sage04/07/22 16:25 ID:3Uw6MI4O
 >>465 からの続き。

 とりあえずエッチ前までのパートを先行うぷ。
699『こちむいU 明日あえたら』sage04/07/22 16:28 ID:3Uw6MI4O
 王宮、謁見室。不本意ながら、玉座でのトラブルだったために王女預かり
となってしまったのだ。もはや穏便に済ます事が出来ず、火のように
言い争う二人の姫君。
 「貴女の召使いが性悪なのが全ての原因ですわ!! 」
 ミルフィ姫が足を踏み鳴らさんばかりに飛び跳ね、エキサイトして腰に
『ザン』と手を当てて言えば、一呼吸遅れて、『ブルン』と跳ね上がった胸が
落ちてきた。その後ろに控えているのは無表情のソラヤ。
 「何を言うか・・・手クセの悪い第一王女どのの召使いをたしなめて
やっただけではないか」
 せせら笑い、青い前髪をかきあげて優雅に言い放つエイディア。すらりと
した手足といい、アンニュイな雰囲気はスーパーモデルもかくやというもの。
前髪で隠れていた右目には黒のエナメルのアイパッチがつけてある。なんと
この姫様は隻眼なのだ。そのお館様の背後で炎のように第一王女主従を
睨みつけるのは忠実なる文緒。
 そして一種触発の二人に防波堤のように真ん中に配置されているのは
黒髪のネコ姫。
 「にゃふ・・・私は関係にゃいにゃあ・・・時間の無駄にゃあ・・・」
 と、ポケットからプリンを取り出し、『パカン』と開けて、スプーンがないので
恥かしい音を立てて『ずずず・・・』と口で吸っていく、空になったので謁見室の
床にカップを躊躇わず『カラン』と投げ捨てる。
 「あわわ・・・ご主人様っ!」
 よろよろと慌ててそれを拾うのはマナの召使い・・・まだ、目の縁の青アザは
取れてない。
700『こちむいU 明日あえたら』sage04/07/22 16:30 ID:3Uw6MI4O
 
 そんな三組の姫君の主従をつまらなそうに見下ろしているのは
玉座のフローラ。マナを挟んで繰り広げられる二人の不毛な争いを
聞き流しつつ、玉座の肘掛をトントンと指で叩いている・・・すっと
立ち上がり後ろに控えている妹に振り返らず言う。
 「そうだな、時間の無駄だな・・・喧嘩両成敗というではないか・・・
ミルフィとエイディアの召使いの右手を切り落とせ・・・」
 無造作に言うと、そのまま退席しようと踵を返すが・・・
 「母上ッ!それはあんまりですっ!」
 「女王よ・・・お、お待ちあれっ!」
 耳とシッポをビリビリと逆立てながら慌てて二人のネコ姫が
フローラを追いかけようとする。その背後の召使い達は顔色を紙の
ように白くしてる・・・いやソラヤだけは表情一つ変えていないが・・・
 「ほう・・・」
 あっさりと玉座に戻るフローラ。何の気はなしに言った言葉だが、
沈着冷静なミルフィや一段高みから物事を見下ろすエイディア達が
うろたえている様子はフローラにとってなかなか興味深かったからだ。
ちなみに、決定的だったのは、あのいつもはたわけた態度のマナ
までが、鉛を飲んだような表情で、そっとフローラの視線から召使いを
庇うように立ち位置を移動したのが実に良い・・・
 『ほほう・・・あのようなすぐ老いる生き物を愛玩し、執着する気持ちが
フローラには判らぬな・・・しかし、あのもの達の慌てようは見物だ・・・ふふふ・・・』
 思わず前に出たせいで、二人を隔てるものがなくなったミルフィと
エイディアは本当に掴みかかる寸前まで行きそうだ。そんな修羅場を
気にせずに物思いにふけるフローラ。
 『ふむ・・・実験動物以外のヒト・・・手に入れてみるか・・・』
 薄く唇をゆがめ、伏せた目をそっと開けて3人の召使いを見る。今から
教育するのは面倒くさい、どうせなら今ココにいるネコ姫から取り上げて
しまおうと思ったのだ。
701『こちむいU 明日あえたら』sage04/07/22 16:34 ID:3Uw6MI4O
 『ふむ・・・ソラヤにするか・・・』
 歳は10歳ほどか・・・その忠誠心と掛け値無しの美少年のため、今、
シュバルツカッツェ城で一番のヒト召使いと言われている。跪き、
表情一つ変えないソラヤ・・・しかし、一目で興味がなさそうに視線を外す。
 『・・・召使い、と言ってもミルフィの召使い・・・と言った方が良さそうだな・・・
新たに慣れさせるのに時間が掛かりそうだ・・・』
 あっさりと逆の方を見れば、腕を落とされそうになり、自分の腕を抱き
しめるようにし、青くなってかしこまる文緒。
 『ふむ・・・エイディアが大金をはたいただけあってなかなかのものだ・・・』
 しなやかに伸びた手足を見つめてフローラは小さく頷く。19歳になった
文緒の青年の面影の中に微妙に残った少年の甘さがアクセントとなって
フローラをそそらせたが、長袖から覗く手首のみみず腫れを目ざとく
発見してしまう。
 『ふむ・・・文句はないが、ヘンなクセを憶えているらしいな・・・フフ・・・
エイディアらしいが・・・』
小さく笑って最後に視線はマナの召使いに・・・目の前はミルフィとエイディアが
もみ合っていて良く判らない・・・その時だった。もみ合う二人の後ろから声。
 「こらっ!じっとしてるにゃっ!! 」
 慌てるマナの声。そしてミルフィとエイディアの間に割って入るように
飛び出したのはマナの召使い。緊張で顔が青ざめていて・・・
 「あ、あのっ・・・じ、女王様っ・・・」
 『ほう・・・容姿は他の2人とは2枚も3枚も落ちるかな・・・?』
 などと無遠慮なコトを考えるフローラだが、マナの召使も捨てたもの
ではなく、比較の対象の相手に対する分が悪すぎるだけ。
 「なにかな?」
 肘掛に乗せた手に軽く顎を乗せたまま、なにか面白い見世物でも見るように
問うフローラ。逆の手を小さく上げて、『無礼者!』と叫ぼうとした妹達の
機先を制して黙らせる。
702『こちむいU 明日あえたら』sage04/07/22 16:37 ID:3Uw6MI4O
 『ふふ・・・あのマナの召使いか・・・マナが初めて性技を教えこむ時に
医学の講義から始めたと言うが・・・』
 不器用に医学を講義する二人の主従を想像しつつ、続きを促す
フローラ。マナの召使いは何度も唾を飲み込んで必死の表情で叫ぶ。
 「あ、あのっ・・・ぼくが勝手に転んで、そしたら二人がケンカに
なっちゃって・・・文緒君もソラヤ君も悪くないんですっ!ぼ、ぼくが・・・
代わりにっ・・・もがっ!・・・」
 「にゃ、にゃに言ってるにゃ!お前は黙ってるにゃ、代わりにお前が
両腕斬られたらどうするにゃっ・・・」
 小声で叫び、召使いの口を押さえるマナ。
 「ほう・・・」
 すっと立ち上がるフローラ。真ん中に集まった3人のネコ姫がビクンと
不安一杯にフローラを見上げる。
 『決めた・・・これにしよう・・・』
 マナの召使いを見るその笑みは禍禍しく、そして蕩けるように・・・
 「その気持ち、良く判った・・・」
 エイディアとミルフィが飛び退くほど、一気にマナに魔力が収束し
始める。フローラの妹たちもすかさず二人がかりでフローラの前に
防御結界を発動させるが・・・
 「・・・その気持ちに免じて不問にしよう・・・エイディアもミルフィも下がれ・・・
フフ・・・感心なマナの召使いには褒美をくれてやろう・・・」
 あまりにも『血塗れフローラ』にしては寛大な言葉に、逆にあっけに
取られる姫様達。しかし、女王の気分が変わらないうちにと、それぞれ自分の
召使いを引張って、マナに『貸しをつくったと思うなよ』とか、
『礼をいいますわ・・・あなたでなく、マナの召使い君に』とか捨て台詞を吐いて、
五体満足の召使いと共にほうほうのていで自室にかえる。
 からかうように『おととい来やがれにゃあ』なんて舌を出して見送ったマナ。
振り返りながら言う。
703『こちむいU 明日あえたら』sage04/07/22 16:39 ID:3Uw6MI4O
 「にゃふ・・・褒美はたくさんあっても困らなくて、かさばらないものが
良いにゃあ・・・」
 などと両目をセパタマークに輝かせて、あつかましいおねだりをするが・・・
 「この、最近手に入れた、お前の世界の『こみっく』なるものを
取らせよう・・・」
 「わっ!ありがとうございますっ!ぼく、富士鷹ジュビロの
からぶりサーカス大好きなんです〜!」
 と漫画週刊誌を1冊、抱きしめるように貰ってる召使いがすでにいて・・・
 「にゃあっ・・・もっと、カネになるもの貰えにゃ・・・」
 がっくりと膝をつくマナ。もちろん気がつかなかった・・・マナが
振り返っているときにフローラがそっと一枚の紙片を週刊誌に
忍ばせたことを・・・

 全ての姫君が玉座の間から去った・・・
 フローラは今度こそ本当に退席する。立ち上がり、背後の壁際に
立っていた自分の二人の妹にすれ違うときに言った。
 「今夜、マナの召使いが来る、必ずだ。・・・そうだな、礼拝室に
もてなしの用意を・・・念入りにな・・・全てのシリンジに2単位づつ
用意しておけ。ふふ・・・娘達を夢中にさせる味を摘んでみるのもまた・・・」
 久しぶりの後継ぎを成す・・・というコトをそっくりなくした快楽のため
だけの行為の予感に、口の端をキュッと吊り上げて囁くように
一人ごちるフローラ。その顔を見ないかのようにフローラの妹のイーリスと
セレーネは深く、深く、頭を下げた・・・
704『こちむいU』sage04/07/22 16:48 ID:3Uw6MI4O
                (つづく・・・)


 
 え〜とりあえずエッチ前までを先行して・・・リハビリ代わりに・・・
もちろん約束どおり後半は24日に・・・いや25日かも・・・

 早く題名の意味するところまで行かないといけません。
また頑張りますので見捨てないでください。
 職人が増加してそろそろ新スレでしょうか?
このスレを立てた1のヒトの意見を聞きたい所ですよね・・・

 それでは次回!メインは エイディア×文緒、で・・・
フローラ×ぼく は入るか入らないか・・・
 ちなみに文緒はカタカナにすると『フミヲ』なのです〜!(力説)
705兎の人sage04/07/22 16:55 ID:XE0yDiTj
黒幕キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
ちょっと見ないうちにこちむい黒くなったなぁ
続き超期待
マジGJ!!
706兎の人sage04/07/22 17:37 ID:XE0yDiTj
それから、こちむい作者様に1つだけ質問です

>早く題名の意味するところまで行かないと
今回の更新分ではタイトルの意味は全く想像できないという解釈でいいのでしょうか?

僕の馬鹿脳がタイトルから最悪の展開を想像して_| ̄|○
質問の答えはYesであって欲しい
っていうか“ぼく”がんがれ超がんがれ
707名無しさん@ピンキーsage04/07/22 18:53 ID:8yZUQnN6
相変わらずレベル高っ!
後編超期待sage
708名無しさん@ピンキーsage04/07/22 20:06 ID:Xwb0d0Ze
富士鷹ジュビロキタ Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!!

相変わらずレベルの高いストーリーGJです。
エロシーンも期待超期待。
709名無しさん@ピンキーsage04/07/22 22:22 ID:xaD6Koch
おまいら!ageてんじゃねーYO!

















気持ちはわかるが
GJ!こちむい!
710SS保管人sage04/07/23 01:33 ID:4zFmgPiY
猫耳少女と召使いの物語 緊急避難所
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/otaku/2051/1090513959/

埋め立てられる前に、とりあえず避難所です
711名無しさん@ピンキーsage04/07/24 23:34 ID:NGyGTsGM
さてさて、どうなることやら
712名無しさん@ピンキー04/07/25 00:00 ID:OnzHlc/c
透明あぼーんがあったのでいったんageます。
713名無しさん@ピンキーsage04/07/25 06:05 ID:k5yXL4C9
復活で砂!
714名無しさん@ピンキー04/07/25 10:57 ID:v0XSVetI
age
715名無しさん@ピンキーsage04/07/26 14:05 ID:I8Jlbc6g
よりによってジュビロw
716 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:30 ID:O19ToIfk
荒らし騒動も一段落したようなので、第2話の続きを投下したいと思います。
スレ容量が心許ないようですが、SS管理人様に問い合わせたところ、大丈夫との事でしたので…

あと、今回は百合表現が含まれております。
717 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:31 ID:O19ToIfk
>>693から
数分後、僕たちは気まずい雰囲気のままリビングのソファに掛けたガブリエルさんの前で正座していた。
「全く、心配して来てみれば昼間から男なんか引っ張り込んで。わざわざ魔法の勉強もお休みして来たのというに…」
「あぅ…ごめんなさい」
先程の恥じらいぶりとは打って変わり、ガブリエルさんはすごく不機嫌だ。説教は30分にも及んでいる。
ひたすらあやまるソラさん。僕は気まずさに何も言えない。
「ところでソラちゃん」
ガブリエルさんが僕をチラリと見る。青い瞳がさらに冷たく感じられる。怖い…
「は、はい?」
ソラさん。声、裏返ってますよ。
「あの子、誰?」
「今更かよ!」
思わず某芸人風に突っ込むソラさん。しばらく静まるリビング。ソラさん、外したか?
しかし、ガブリエルさんが突然吹き出すと、ソラさんも釣られて吹き出した。そして2人で笑い転げた。
ひとしきり笑い転げると、ガブリエルさんの表情も場の雰囲気もすっかり和んでいた。
「え〜っと、この子は建ちゃん。一応私のヒト召使い。すごいっしょ?」
「へぇ〜ソラちゃんも立派になったものですわねぇ。雇い主の私よりも先にヒト召使いを手に入れるなんて。お幾らでしたの?」
「いや、拾ったの。てゆーか、ウチの前に居たのを捕まえたの」
得意絶頂のソラさん。つーか、捕まえたって……
718 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:32 ID:O19ToIfk
しかし、ソラさんの「拾った」という言葉を聞いたガブリエルさんはニヤリとわらって、
「ところでソラちゃん。この家と土地は、誰の物でしたっけ?」
「ガブのでしょ?」
「……という事は、ここに堕ちて来たモノは…」
ここでソラさんはしまったという顔をして、大声を出す。
「ダメダメダメダメダメ!!ぜ〜〜ったいダメ!」
負けじと大声を張り上げるガブリエルさん。
「欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい!!欲しいの〜〜〜!」
……あんたら、子供か?
ヒートアップする2人の大きな駄々っ子。反対に冷める僕。温度差は開く一方。ん…温度?……熱?……あ…。
「はっくしょん!!」
思い出した。今、酷い風邪を拗らせてるんだった。思い出したら思わずおっきなくしゃみが出た。
719 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:32 ID:O19ToIfk
ぼくのくしゃみにソラさんとガブリエルさんもはっとする。
「あら、ごめんなさいませ。すっかり忘れていましたわ」
こうしてようやく昼食。ソラさんが少しだるそうに仕度をした。
「今日のメニューは、シーフードリゾットで御座いまぁ〜す」
とってもおいしそうだ。やっぱりソラさんはすごいなぁ。
「ところで、ガブリエルさんは料理しないんですか?」
「ガブはねぇ、料理裁縫洗濯どれもみ〜んなダメなんだよ」
横からソラさんが嬉しそうに答える。ガブリエルさんは顔を赤くして、
「そ、そんな事。使用人がいるのに私がする必要なんて有りませんわ」
「そんな事言っちゃって。だからいつまでも出来ないんだよ」
追い討ちを掛けられ、ガブリエルさんは黙り込んでしまった。
昼食後、僕は片付けを手伝うと薬を飲んだ。
しばらくすると効いてきたのか、すごく眠くなってきた。
「すみません。ちょっと眠くなってきたんで、部屋に戻ります」
「はい、お構いなく。ゆっくりお休みになって」
部屋のベットに倒れこむと、僕はすぐに意識を手放した。
「ふふふ…お薬が良く効いているみたいですわ」
ガブリエルさんの妖しげな笑い声が聞こえたような気がした。
720 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:33 ID:O19ToIfk
「…さて、つぎはソラちゃんの番ですわ。覚悟はよろしくて?」
ガブが妖しく笑ってわたしをソファに押し倒す。さっきバカ騒ぎしたせいで頭が割れそうに痛い。嫌な予感…。
――ちゅ…くちゃくちゃ
ガブがわたしの唇を奪う。そして、貪るように舌を絡ませながらわたしのパジャマの上を脱がし、パジャマでわたしを後ろ手に縛る。
抵抗してみても、今のわたしの力じゃあっさりと押さえ込まれる。
「…っはぁはぁ……や…やめて。お願い…」
「うふふ…最近私が来なかったから、溜まっていたのでしょう?子供に手を出すなんて…」
「そ、それは…その……きゃう!!」
――くちゃり
いつの間にかわたしは下も脱がされていた。ガブの少し冷たい手に私の大事な所をゆっくりイヤらしい手つきで撫で上げらた。
思わず嬌声を上げてしまったわたしを見てガブは目を細める。
「それに、熱は汗をかくと引きますのよ…」
ガブはそう言うとしつこく愛撫を繰り返す。
「ちょ、あん!あっ…やめっ…にゃあ!!」
「ほ〜ら、もうこんなに。ソラちゃんはやっぱり欲求不満でしたのね」
わたしの愛液で濡れた手を見せ付けるガブ。もう、一体どうしちゃったの?
721 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:34 ID:O19ToIfk
「やめてよぉ……こんなの恥ずかし過ぎだよう」
「あら?ここで止めてよろしいの?」
「え?あ、あの…」
「…続けて欲しいの?」
「…ぅ」
ガブわたしを見下ろしながらニヤニヤしてる。何か怖いよ…
でも、身体はもう押さえがが効かないみたい…
風邪の熱とガブから与えられた熱で、わたしの理性が霞んでいく。
「ほら、黙っていては解りませんわ」
「………して…」
「え?良く聴こえませんわ。もっとはっきり仰らないと…」
ガブは相変らずのエロ笑いを浮かべ、わたしの控えめな胸をふにふにと揉む。
「ぁぅぅぅぅ…」
「う〜ん。いつ揉んでもソラちゃんのおっぱいは揉み心地が良いですわ〜」
ああ、もう限界かも…
「でも、いつも揉んでるのになかなか大きくなりませんのね」
「ぅ…わたし……もう…」
「はい?」
「…ダメみたい」
ああ、さようなら、わたしの理性。こんにちわ、わたしの欲求。
722 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:34 ID:O19ToIfk
さらさらの黒髪、黒曜石の色をした優しい瞳、しなやかな長い手足、線の細い顔、無駄の無い体。
私にとってソラちゃんは唯一無二の親友でもあり、面倒見の良い頼れる姉でもある。
本当に小さな頃から、私たちは一緒だった。
お互いの事は何でも知っている。性格、好物、性癖…それこそ体の隅々まで。
幼い頃。
私は父親に叱られる度に彼女に慰めて貰った。
幼くして両親と別離した彼女の孤独を私は埋めてきた……つもりだった。
でも、私はいつもどこか不安だった。
いつか彼女が、わたしから離れるのではないかと。
その不安は的中し、彼女は一度私の元を去った。でも、それは親のいない彼女が中央の全寮制の学校に通う為。
あの時、彼女は泣きじゃくる幼い私を抱きしめて、必ず帰るからとあの優しい声で約束してくれた。
そして、3年前彼女は帰ってきた。
10年の年月を経て容姿も内面もすっかり大人びていたが、彼女は別れる前の優しい彼女のままだった。
…でも、不安だった。
また私の元から離れてしまうのではないかと。そうしたらもう二度と帰ってこないのではないかと。
だから父の会社に勤めだした彼女をこの家の使用人として住まわせる事で繋ぎ止めた。
彼女は相変らず頼れる姉であり、親友であり続けた。
私が魔法薬の勉強の事で父親と揉めた時も、彼女は一緒になって父親を説得してくれた。
彼女は、私といる時はいつも楽しそうに笑ってくれる。
723 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:35 ID:O19ToIfk
でも、私には足りなかった。彼女の全てを知りたかった。
だから、ある時バストアップのマッサージと偽ってそのまま彼女と『体の関係』を作った。
初めて私によって絶頂に追い遣られた彼女は、…哀しそうな顔をしていた。
それでも、その後は彼女から求めてくるようにもなり、私はようやく満たされた。
…なのに。
……それなのに。
学業の都合で2ヶ月ぶりに訪ねた彼女の傍には、見知らぬ少年がいた。
しかも、私が家に着いた時、2人は彼女のベットの中で愛し合っていた。
彼女は私にだけ見せるあの笑顔を彼にも向けていた。
先程の様に、彼女は少年を手放そうとしない。
そして、彼は彼女に好意を抱いている。恐らく彼女も…
私だけが取り残されてしまったようで。
それが私は悲しく、そして怖かった。幼い日の決別シーンがフラッシュバックする。

―ソラお姉ちゃん、ガブを置いていかないで。
724 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:35 ID:O19ToIfk
――かぷっ…はむはむ……
「ああっ!…ダメぇ!耳はぁっ!んっ…」
ソラちゃんの耳を甘噛みする。彼女はここがすごく弱い。
そして彼女のしっぽを両手で強く握り、扱く。
「うにゃあぁぁぁl!!」
ソラちゃんは目をぎゅっと強く瞑って体をピクンと痙攣させた。どうやら軽く達したらしい。
「はぁはぁ…」
「ふふっ。耳としっぽだけでイっちゃうなんて、かわいいですわ」
快楽に潤んだ瞳。上気した桜色の肌。荒く呼吸をする愛らしい唇。緩んだその端から一筋、唾液が垂れている。
私はぺろりとそれを舐めた。私しか知らないソラちゃんの表情(カオ)……
あの少年も、こんな彼女を見たのだろうか?ふとそんな事が脳裏に浮かんだ。
その瞬間、私は猛烈な嫉妬に駆られた。あの少年にソラちゃんを渡しはしない。渡す位ならいっその事…
725 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:36 ID:O19ToIfk
――ずぷっ!
「いぎっ!!」
私はソラちゃんの秘部に乱暴に中指を突き入れた。彼女の目が大きく見開かれる。私は指を折り曲げ、彼女のGスポットを刺激する。
同時に親指で彼女のすっかり充血した淫核を捏ね回す。
「い゙っ!痛い!やめて!やめてぇ!!あん!」
痛みと快感に泣き叫ぶソラちゃんに私は異常な興奮を覚えていた。私はもう片方の手で彼女の可愛らしい乳首を揉みしだき、
もう一方のそれを口で吸う。
「はあっ!ダメっ…そんな……やめてよぉ」
「口ではやめてと言いながら本当は感じているのでしょう?いやらしい…」
自分でも驚くような冷たい声でそう言うと、ソラちゃんの表情に怯えが浮かぶ。気丈な彼女の滅多に見せないそんな表情に、
私の異常な興奮はますます高まる。もう少しだ。もう少しで彼女を堕とせる。私がさらに力をかけたその時、
「……めて…やめて…やめて!怖いよぉ!建ちゃん!!」
私はソラちゃんの口から初めて聞いた『怖い』と言う言葉に、私は硬直した。
私からドス黒い何かが抜けていく。私…1番大切な、自分より大切なソラちゃんに…何て…酷い事を……
もう何も考えられない。私の頬を温かいものが……流れて…
726 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:37 ID:O19ToIfk
怖かった。自分がされている事、見たことも無いようなガブの冷たい表情…でも、本当にわたしが怖かったのは……
…ダメ。言葉にできない。でも、ガブがガブでなくなったんじゃないかって思った。その時、わたしは生まれて初めて心から怖いって叫んだ。
その瞬間まるで魔法に掛かったみたいにガブはぴたりと動かなくなると、ようやくいつものガブの顔に戻った。
そして、ガブはボロボロ泣き出した。
わたしは何とか手首に絡んだパジャマを解くと、ガブをおもいっきり抱き寄せた。わたしの大事な親友、大事な家族。
泣かないでガブリエル…
「…ぅぐ、ごめん…なさい」
「いいよ」
泣きじゃくるガブの頭をそっと撫でる。小さい頃も、わたしはこうやってガブをあやしたっけ。
「どうしたの?ほら、話してごらん?」
「えぐっ…だって、だって…」
「だって?」
「ソラ…お姉ちゃんが、ガブを置いてくって…」
そっか、建ちゃんとあんな事してたからガブ、不安だったんだね。建ちゃんにわたしを取られるんじゃないかって、怖かったんだね。
727 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:38 ID:O19ToIfk
…それにしても、『ソラお姉ちゃん』か…久しぶりに聞いたなぁ。わたしは、学校の寮に引っ越しをした日の事を思い出していた。
「どこにも行かないよ。わたし、ガブの事、絶対置いていったりしないからね…」
「ひっく…本当?」
「うん。本当。ごめんね…心配させて。でもね、建ちゃんにはね、わたししかいないんだよ。あの子が頼れるの、わたししか…」
何故か目の前が涙でぼやけていた。
「…そうだガブ、建ちゃんはわたしたちの弟って事にしよ?だからさ……ガブ…あの子の事も…お願い…」
「うん…うん」
最後の方、言葉が上手く出なかった。でも、わかってもらえたみたい。
「ありがと」
ガブの背中をゆっくり撫でる。何時しかガブは眠ってしまった。
ごめんガブ…嘘ついちゃった。わたし、ホントは建ちゃんの事……でも、同じくらいガブも大事なんだよ。わかってくれるよね?
わたしはそっと起き上がるとパジャマを着なおした。
そして、昨日建ちゃんが持ってきてくれたブランケットを広げて、ガブと一緒に包まった。
ブランケットの中でガブの寝息を感じながら、わたしはいろいろ思い出してた。
お父さんとお母さんが突然居なくなって、他に身寄りの無いわたしはお父さんの親友、つまりガブのお父さんに引き取られて…
あ、ガブとは同じベットで寝てたっけ。お母さんを早くに亡くしたガブは、とっても甘えん坊で、わたしも寂しくって、
10歳になって、エッチな事を覚えたばかりのわたしはそれでガブに…
………ぁ。
ゴメン!ガブ。わたしのせいでこんな趣味が…申し訳なさ全開でガブの顔をみる。
いつの間にか昇っていた月の光に照らされたガブの寝顔。
とっても、幸せそうだった。
728 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:38 ID:O19ToIfk
目が覚めると、外はもう明るくなり始めていた。相当寝たみたいだ。
ガブリエルさんの薬のおかげでだいぶ体調もよくなったみたい。水を飲みに部屋を出ると、リビングで2人が眠っていた。
一緒の毛布で眠る2人はとても穏やかな寝顔で、なんか本当の姉妹みたいだった。
もう少し寝よう。
僕は水を飲むと再びベットに潜り込んだ。
729 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/27 01:43 ID:O19ToIfk
以上で第2話終わりです。
ガブリエル、本当は優しいいい娘なんです。
ただ、好意を持った相手が見知らぬ他人とあんな事してたら…
まぁ、全ての元凶はソラなんですけどね(笑)
730名無しさん@ピンキーsage04/07/27 01:46 ID:jIvIOuMA
激しくGJ!
731名無しさん@ピンキーsage04/07/27 13:24 ID:b+6qI6h6
もちろんGJ!続きも期待しております!
しかしこのスレでは百合は貴重ですね
次スレでもがんがれ超がんがれ
732名無しさん@ピンキーsage04/07/27 22:08 ID:jzcw6lRP
ウォォグッジョブ!!!!
ガブかわいい。相変わらずソラさんのトラブルメーカっぷりもたまらんw
733名無しさん@ピンキーsage04/07/28 15:02 ID:ZtirNtZU
ガブリエルなら大丈夫なんだが、ガブと略されるとガブスレイを連想してしまう俺_/ ̄|〇
でも、いい話ですね〜GJ
734名無しさん@ピンキーsage04/07/29 20:56 ID:YUf1KVWk
GJ&保守
735名無しさん@ピンキーsage04/07/30 00:11 ID:theZ4gXn
誰にでもガブリ、ガブリと噛みつくからガブリエル。
を思い出した、関係無いけど。
736名無しさん@ピンキーsage04/07/30 01:25 ID:Vn1u7p85
へたれ猫さんの百合はまだかと期待してしまう俺_/ ̄|〇
737名無しさん@ピンキーsage04/07/30 06:25 ID:ORUmPeNc
ちょっと考えれば直ぐに解ることなんですが、作中、何度か視点が変わりますが、そこがもうちょっと上手く表現できればいいかナァとか思いました。
生言ってすんません。
すんげー萌えました。ホントです。
73865sage04/07/30 23:20 ID:ePaQgO4Z
物語設定
「こっちを向いてよ!!ご主人様」とほぼ同じような「ネコ」の国のお話。
 (違う所もちらほらあると思いますが。)
一応出来た所まで…



雨の上がりの心地よい昼下がり。
短く切りそろえた黒い髪を風になびかせながら、嬉しそうに走る一人の少年。
胸には大事そうに紙袋を抱きしめている。
年の頃は12、3。パッチリとした黒い瞳、野暮ったい黒縁眼鏡、
服装はこざっぱりとした白のシャツに黒のズボン、そして首には不釣合いな太く重そうな首輪。
この首輪が所有者の印となるので、外せないように金属を溶接してつけてある。
見た目より軽いらしく、走るたびにチャリチャリと軽い音を立て、跳ねる。

その様子を、ギラついた幾つもの瞳が窺っていたのだが、少年は全く気がついていなかった。
73965sage04/07/30 23:23 ID:ePaQgO4Z
「ふふ。今回はちゃんとお使い完了しそう♪ 前回の時は、転けて川に落としちゃったんだよね。
今回は気をつけ…うわっ!」
そう言った途端に何かに躓いて、見事顔面から地面に突っ込む。しかも水溜まりの上にビチャリと。
大切な荷物を守ろうと両腕を高く持ち上げたので、受け身が取れなかったのだ。
「うぅ…痛いよぅ。でも、荷物は死守できたからね。」
ドロドロになりながら起き上がると、前に誰かが立っていて、不機嫌そうに鼻を鳴らしていた。
もしや…と思い眼鏡の汚れを拭き取ってみれば、案の定、その人の服が泥水で茶色く汚れていて。
「おいおい、何すんだよ、あんた。俺の一張羅が汚れちまったじゃねえか。」
「ご、ごめんなさい。」
「ごめんなさい済むなら警察はいらねえよな? まあ、許してやらない事もないが…
ちょっと顔かしな。悪いようにはしねえよ。」
気持ち悪いほどの猫なで声を出しながら、腕を掴み、荷物を取り上げてから、
その少年を仲間の待つ路地裏に引きずり込んだ。
難癖をつけて言う事を聞かせる。ごろつき達がよく使う手段の1つだ。
運悪く、この少年が今回のターゲットになってしまったようだ。

数人の男に囲まれて小さくなっている少年。
「服の弁償はお前の体でいいぜ。」
「か、体って…ぼくは…」
「金持ちのメスとちょっと寝ればいいのさ。簡単な話だろ?」
顔を覗き込み軽く顎をしゃくれば、怯えたように目を逸らす少年。
これなら簡単に落とせそうだなと、ニヤつく男達。
「で、でもあの…」
「ん〜お前何処の奴隷だ? ご主人様に迷惑かけてもいいのかい?」
最後の一押しと、所有者の名前が刻まれた首輪に手を伸ばす。
74065sage04/07/30 23:23 ID:ePaQgO4Z
「あ、駄目です。その首輪は…」
「ん…キゲンデ・プッラト・シロウ=カズ…」
首輪を掴みそこに彫り込まれている所有者の名前を読み終わる前に、ごろつきが煙を噴いて倒れた。
「ご主人様がトラップしかけてあるんですよ。ってもう遅いですよね…」
名前を聞いた途端に他の男達が顔色を変えてざわめく。
「シロウって…もしかしてシロウ=カズサか? あの、変態魔法研究者…の。」
「ああ〜失礼な! ご主人様は変態じゃありません〜〜〜!!」
「ひい、に、逃げろ! あんなのに係わったら何されるかわかったもんじゃねえ!」
蜘蛛の子散らすとはまさにこの事か…一目散に逃げていく男達。
「ひ、ひどい〜! ああ! 荷物返して下さい〜〜〜!!」
後に残ったのは踏みにじられて無惨な姿となった紙袋が1つ。
「あう…またお使い失敗です…」
74165sage04/07/30 23:24 ID:ePaQgO4Z
ぼくは2年位前にこの『ネコの国』に迷い込んでしまった人間だ。さっき難癖をつけてきたのも
ネコの国の住人な訳で、全身毛皮に覆われたネコ姿の半獣。
『ネコの国』の男の人は、大体が半獣の姿をしている。
何でか女の人は、ぼくと同じ人型で、違うのはネコ耳と尻尾がついる所。
ここにきた当初は色々あって、ぼくは身も心もボロボロだった。
そんなぼくに優しく(?)手を差し伸べてくれたのが今のご主人、シロウ=カズサ様。姿は半獣?
と言うのか、ほぼネコ。
体はぼくより大きくて、2本足で立って歩く。体はふかふかの真っ黒い毛に覆われていて胸元に白い
差し毛が入っている。瞳は綺麗なエメラルドグリーン。性別、男
仕事は魔法の研究。らしい。ぼくは詳しく知らないんだ。
研究室には絶対に入れてくれないし、聞いても教えてくれないから。
回りからは一目置かれるみたい。昔ご主人様を怒らせた猫が……って噂も絶えない。 
変態とか失礼な事言われるようになったのは数年前から。どうもぼくの所為らしい。
『ヒト』って珍しくて、人召使の男は、お金持ちの女性が持つものなんだって。
お仕事の内容も普通は…ええと、その、夜のお供…Hなわけで…
人との間には子供が出来ないから色々いいみたい。
だから男のネコが、男の人召使を側においておくだなんて気が知れない、おかしい…て。
それで『男食い』やら『変態』やら言われるようになってしまったんだ。
でもそれは違うんだよ。だって、だって……
74265sage04/07/30 23:25 ID:ePaQgO4Z
そんな事を考えていたら、お家に着いてしまった…
そーと玄関のドアを開けて怖々と挨拶をする。
「あ、あの、ただいま…です。」
そうしたら研究室ってプレートが掛かったドアの隙間から、手だけが現れて荷物をよこせって指が動く。
「あ、あの、ご主人様、その、ええと…」
「…またかよ…」
「ごめんなさい〜!」
そうなんだ、またなんだよね。お使い失敗したの。前もその前もそのまた前も…だけど。
ぼくは本当にドジで何をやっても失敗ばかりで。食事を作れば鍋を焦がし、洗濯すれば染みだらけ、
掃除をすれば物がなくなるか増えるかする。
いつもの事なので、ご主人様も諦めていたのか、呆れたような力の抜けた声。
それでもまだ指は動いていて、ぼくに来いと言っているみたい。
小さくなりながらドアの真ん前に行けば首輪掴まれて引き寄せられて。
「…トラップ発動してる…。 何があった?!」
声を荒げて怒鳴られた。この首輪のトラップは、ご主人様が魔力を込めて作ってくれた物で、
発動したら、また魔力を込めなくてはいけない。それをやるだけでも魔力を無駄に使ってしまう訳で、
うう〜これで2つのポカだ…ご主人様怒っちゃってるんだろうな…
「ええと、あの、その、ぼくがドジしちゃって…」
「体は?」
「え? はい。 何ともないです。」
「はあ、お前はほんっとーーーーーに駄目駄目だな。」
いつもの声の調子に戻っていた。もしかして…心配してくれたのかな? ちょっぴり期待してみたり。
「体洗え、部屋汚すなよ。」 
首輪を離してからタオルを投げつけられ、早く行けとばかりに手でシッシとされた。
一気に気持ちは急降下。

74365sage04/07/30 23:26 ID:ePaQgO4Z
シャワーを浴びながら自分の体を鏡に映してなぞっていく。
このツルペタで凹凸の無い体って何? 本当はぼく、これでも15歳になる女の子なんだよね…
昔から成長悪くて、チビでガリで女の子の月のものまだだし、
本当貧粗で…って自分で何言ってるんだろ。まあ、これだから男の子で通ってるんだけどね。
何で変な噂流れるのに男のカッコをさせるんだろう…ってずっと不思議に思っていたんだけど、
これはご主人様の優しさなのかも知れないって数日前に知ったんだ。
ちょっと前にお友達になった人召使君に教えてもらったんだけど、
女の人奴隷って体力なくてすぐ死んじゃうとか、闇ルートで売買されてるとか、
使い捨てとか…その訳は知らないけど…あまりいい噂を聞かないそうだ。
ぼく2年以上もこの国にいるのに、何も知らなかった。
人召使いの本当のお仕事も知らないままご主人様の傍で、何もせずぬくぬくと暮らしていたんだ。
74465sage04/07/30 23:33 ID:ePaQgO4Z
お風呂から上がって、そのまま出て行ったら何かにふかっとぶつかった。
眼鏡無いからよく見えないけど、ご主人様だ。ぼくが出てくるのを待っていたみたい。
体を少し離してから、ぼくの事を頭上から足先までじろじろ見ている。
隠すような所ないけど…一応タオルで前を隠して、モジモジしながらご主人様を見上げる。
「あの…何か?」
いきなりご主人様がタオルを奪い取って、ぼくの体に触れた。
ご主人様の掌は、柔らかい肉球とその間から生えている毛でふにふにしてとても気持ちが良いんだ。
ここに来た当初はよくこの掌で撫でてくれていたんだけど、1年前からあまり触れてくれなくなった。
全身ゆっくり撫で回されたと思ったら顎に手を添えて顔を上に向かされた。
ご主人様の顔が目の前にあって、宝石みたいな綺麗なエメラルドの瞳がスッと細くなる。
もしかして、ぼくを人召使いとして使ってくれるつもりなのかな…何も出来ないぼくに残されて
いる事ってこの体くらいだから。そりゃ、初めてでどうすればいいか全然わからないし、少し怖いけど、
ぼくご主人様が大好きだから何されたって大丈夫。何だって我慢出来る。
覚悟を決めて目を閉じたら、鼻先とオデコにざらりとしたネコ舌の感触。その後ぺたりと何かを貼られた。
「異常ないみたいだな。」
「へ?」
情けない声出して固まったまま目を開けると、タオルを頭に掛けられ、ご主人様の気配が遠ざかる。
慌ててタオルを外したら、ご主人様の後姿が目に入る。
大きな尻尾を左右にゆらゆらさせながら、そのまま研究室の中に消えていった。
鼻とオデコに絆創膏が貼ってあって、今のはぼくの体を調べてくれていたんだって…
うわ。ぼく、何勘違いしてるんだろう。

男ネコ×女の子です。
こんな感じなのですが、続き書いてもよろしいですか?
745名無しさん@ピンキーsage04/07/31 00:06 ID:kgrdbj91
やってしまえ。
しかしマジにこのスレ容量死にかけだな。
746 ◆rzHf2cUsLc sage04/07/31 00:37 ID:7Plc4QQ7
続き期待してます。
>>737
確かに誰の視点なのかわかり難いですね。(特にソラ視点と建視点の区別が)
次回はもっと注意して書きます。

あと、設定を確認しようとこちむいを読み直したところ、ネコは人と比べると外見と実年齢にギャップがあるそうです。
ということで、以前の設定の年齢は見た目の年齢という事にさせてください。
747名無しさん@ピンキーsage04/07/31 14:12 ID:K3FutrLI
「ぼく」っ娘キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
(……もしかして…………縦貫?)

続き超期待します
といってもおそらく次スレでしょうが ^ ^;
748SS保管人sage04/07/31 20:12 ID:5G1Eq53/
ぼくっ娘大好き!
男の子みたいなスタイル大好き!

ところで、
>65様、何かタイトルを付けて貰えると有り難いです。

>ALL
次スレのスレタイや、猫耳少女と召使いでないシチュエーションの作品についての取り扱いについてなど、
猫耳少女と召使いの物語 緊急避難所
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/otaku/2051/1090513959/
こちらで話し合いませんか?
749名無しさん@ピンキーsage04/08/03 12:52 ID:GxKHYs5H
あしたら待ち保守
750名無しさん@ピンキーsage04/08/05 17:13 ID:xDNtTTxJ
このスレの更なる繁栄を願い保守
75165sage04/08/07 02:17 ID:abJYfS1f
ノリと勢いでやってしまったので支離滅裂で…すいません。
しっかりと設定作ってからにすれば良かったと後悔先に立たず。
タイトルを付けるのが苦手で、つけてくださるとありがたいです。

緊急避難所で、男性の容姿についてあったのですが、
下の【】の所を付け足していただければ、こちむい と同じになりますよね?

>741
ネコの国の住人な訳で、全身毛皮に覆われたネコ姿の半獣人。
『ネコの国』の男の人は、【大体が半獣か、もさもさのトトロみたいな姿をしている。】
何でか女の人は、ぼくと同じ人型で、違うのはネコ耳と尻尾がついる所。
ここにきた当初は色々あって、ぼくは身も心もボロボロだった。
そんなぼくに優しく(?)手を差し伸べてくれたのが今のご主人、シロウ=カズサ様。姿は半獣?
と言うのか、ほぼネコ。 【今までご主人様のような姿の『ネコ』は見た事がない。】
75265sage04/08/07 02:18 ID:abJYfS1f
ここ数ヶ月ご主人様は研究室に篭りっぱなしで、顔を会わせる事も少なくなっていた。
初めのうちはお仕事で大変なのかな? って思っていたんだけど、それだけじゃないみたい。
何となくだけど、ご主人様のぼくに対する態度が変わってきているような気がするんだ…
さっきの事だってそう。前から言葉使いは乱暴だったけど、どこかが前と違う。
ぼくを遠ざけているような、避けているようなそんな気がして。
毎朝、ご主人様より早くに起きて食事のお手伝いとかしたいのに、気が付くと目覚まし時計止まってて。
慌てて台所に行くと、もうぼくの分の朝食がテーブルの上に用意されている。
ご主人様は片付けまで済ませて研究室に。 前は、どんな時だって食事は一緒に食べてくれていたのに…
ぼくも練習がてらおかず1品作って。ご主人様、不味いそれを文句を言いながらも食べてくれていた。
それがとても嬉しくて。話とかしなくても一緒に食事をとれるのっていいなって思っていたんだ。
やっぱりぼく駄目駄目で嫌われちゃったのかな…呆れられて見限られちゃったのかな…
そのうち捨てられちゃうのかな…て、最近悪い事ばかり頭に浮かんでグルグル回っている。

今朝も1人テーブルについて寂しく食事。とても美味しい料理だけど…何だか少ししょっぱい。
そう思ったらスープに何か落ちた。あ、気が付かないうちにぼくの涙で味付けしちゃってたんだ…
「ダメダメ、こんな気弱になっちゃ! ますますご主人様に避けられちゃう。」
ごしごし涙を拭い両頬パシッと叩いて気合いを入れる。そうだ、落ち込んでちゃ駄目だ。
急いで食事を済ませ洗い物をする。食器は、全て割れないアルミ製の物。よく落として割っていたから、
ご主人様が全部交換してくれた。
洗濯物(ご主人様は服を着ていないので殆どがぼくの物。)をまとめて洗濯機に投げ込む。
ボタン押せば乾かしまで完了してしまう全自動洗濯機。これもぼくの所為で交換した物。
ぼくの為の無駄な出費…ぼくって居るだけでも迷惑だよね…って、落ち込んじゃ駄目だってば!
他にも何かお手伝いしたいんだけど、やれば失敗して、
ご主人様の仕事を増やしちゃうから止められているんだよね。
「お前は何もするな!」て、あの柔らかい肉球でポクンとよく殴られたっけ…。
75365sage04/08/07 02:24 ID:abJYfS1f
何かぼくに出切る事無いかなって、ご主人様のいる研究室に行ってみる。
いつもはしっかり閉まっているのに、今日はドアが少し開いていた。
その隙間から中を覗いたら、ご主人様がベッドの横で上向きで転がっている。
「ご主人様?」
声かけても返事無くて、かわりに小さな唸り声が聞こえてきた。
入るなって言われていたけど…もし苦しんでいたらって心配になって、そーっと中に入って側に行く。
様子を窺ってみたら、ご主人様寝てるだけみたい。規則正しく胸の白い差し毛が上下してる。
手を伸ばしてその毛を梳いてもピクリとも動かない。相当疲れてるのかな…
根を詰めすぎないでほしいな。何かあったらぼく…
そう言えば…こうやってゆっくりとご主人様をみるのは久しぶりだ。
たまにふくふくする鼻とか、ぴんぴんしている髭とか見ているだけでも心がほわわってする。
前は、ブラッシング、耳掃除、爪の手入れとか身の回りのお世話を遣らせてもらっていたんだよね。
下手なりに頑張って。ご主人様、文句言いながらも終わるまでじっとしていてくれた。
研究室に篭ってからは、ほとんど触らせてくれなくなっちゃった。
いくらやっても全然上達しないから、もう、ぼくにはやらせてくれないのかな…
また涙が出そうになって慌てて頭を振ってやり過ごす。やだな…今日のぼくは少しおかしい。

先日お友達に、ご主人様を喜ばせたいって言ったら、やっぱり一番はエッチじゃないかなって。
ぼくのエッチの知識って学校で習った性教育位だったから、
色々と教えてもらったそれは、びっくりする事ばかりだった。
勝手にそんな事するのいけない事だと思うけど、初めてはご主人様とがいいし、
好きな人とのエッチって気持ちいいものって言ってたし、ご奉仕してあげると男の人は喜ぶみたいだし…
何も出来ないぼくだけど…ご主人様を気持ち良くさせる事位は出来るかも知れない。
もしこれが上手くいったら、ぼくにもお仕事をさせてくれるかもしれないし、
少しはぼくをみる目を変えてくれるかもしれない。
敏感な耳の所に軽く触れてみると無意識の反応でプルルと動く。でも目を覚ます気配は無い。
誰もいないのはわかっているけど、辺りをキョロキョロ確かめてからゴクンと唾を飲む。
754名無しさん@ピンキーsage04/08/09 03:08 ID:WscgS8hF
保守?
755名無しさん@ピンキーsage04/08/11 00:59 ID:7v6CXr0D
こちたら新作マダ-!?
756名無しさん@ピンキーsage04/08/12 02:30 ID:77jZb9Ob
保守!
757名無しさん@ピンキーsage04/08/14 00:40 ID:ILb833rL
結局次スレはどうなったの?
こちむいの投下もまだみたいだし。
758『こちむいU 明日あえたら』sage04/08/14 03:26 ID:LeMqeux2
さて・・・。王城の東ウイング。お姫様とヒト奴隷のみしか立ち入りの許されないこの場所も
朝、昼、夜の一日三回、ほんの一時間程度、女性のみ一般人の立ち入りが許される。
特に夜ともなれば、家事になれていない姫様をサポートするために、料理人や出前持ちが
入ったり、ホームヘルパーが入って掃除をしたりと様々なネコ娘達で溢れ返る時間でもある。
中にはかわった服装のネコ娘もいる。ナース姿のそばかすネコ娘はきっとユナに今日の
業務報告をしにいくのであろう。そして、きっちりとダークスーツを着こなしているのに、
ちょっとすさんだ感じに見えるネコ娘はマナの部屋に消えていく・・・どうやら借金取りらしい・・・

それはさておき、廊下だけではなく部屋の中を見てみれば・・・
最上階の高級な部屋の並ぶフラットの一つには五体満足でソラヤが戻ってきた安堵を、
心の奥に押さえ込んだミルフィ姫がソラヤをくどくどと叱っていた。神妙にミルフィの前で
正座してるソラヤはいつもの無表情とは裏腹にシュンとしている・・・

そして、その2フロア下の、王族としては粗末な・・・端部屋には、何とか借金取りの借金を
返したものの、身内のリナの借金を忘れ、泡を食っているマナがいた。ここぞとばかりに
小言を言うマナの召使い、しかし結局、あっさりと自分の召使いをリナに一晩貸し出すことで
チャラに・・・リナはご褒美のマンガを読んでいた召使いを強引に背負うと狂喜して風のように
1フロア上の自分の部屋に舞い戻る・・・マナも小うるさい召使いがいなくなり、嬉々として
夜更かしし、趣味の実験三昧の時間を過ごすのだろう・・・

そして丁度、マナの部屋から2フロア上のフラットでは…
小奇麗な10畳ぐらいの部屋。それなりのモノながら、ベッドに机、本棚など一通りのものが
そろっている部屋。そしてステレオ・・・カベには一際大きなエイディアの肖像画がかけられて
いた。絵の中のエイディアは髪がロングで両目がちゃんとある・・・若い頃なのだろうか・・・
759『こちむいU 明日あえたら』sage04/08/14 03:28 ID:LeMqeux2
 そんな部屋に文緒はいた。行儀悪く、椅子を傾けてギシギシ言わせながら
今日の出来事に思いを馳せる。
「ふん、ソラヤめ・・・いい気味だ・・・」
階が同じなので、途中までミルフィ主従が前を歩いていたが、ソラヤは気を
損ねた自分の主人に無視されていた。滅多な事で表情を変えないソラヤだが、
人目もはばからず半べそで、ミルフィ姫の気を引いたり、謝ったりしていた・・・
「オレだったら、お館様にあんなコトされたら自殺するぜ・・・」
とぽそりと呟いて自分の部屋、備え付けの魔洸式ステレオにレコードを乗せる。
お気に入りの『ワルキューレの騎行』が部屋に満ちる。目を閉じて音楽に身を
任せる・・・この時間が一番好きだ。レコードは高級品だけど、お館様にねだると
買ってもらえる。
勇壮な交響曲に混じって部屋の外では多くの料理人やホームヘルパーが立ち
働いている物音がした。この、食事時間の度ごとに現れる20人近くのお手伝い
ネコ娘のせいで、他の召使いと違い、文緒のやることはほとんどない。少し
もどかしく感じるが、10年近く経てば少しは慣れた。そしてもどかしさのもう一つの
理由も判っている・・・誰にも言ったことはないが文緒はエイディアの夜伽をした事が
なかった・・・別に不満に思ってるわけではないが、時々その自分だけが持つ劣等感や
羨望で仲間の召使い・・・マナの召使いやソラヤに攻撃的になってしまうのだ・・・
またいつものように遅い反省をする文緒・・・
「お館様、怒っていらっしゃるのかな・・・」
文緒の長い睫が憂いをおびて震える。誰よりも時期女王になりたいお館様は
たとえ皇位継承権30位のゴミみたいな姫様にも負けたくない・・・というかゴミだからこそ
今日の茶番劇の屈辱に震えているに違いない・・・
文緒はそんなコトを思ってゾクゾクと背中を震わせた・・・歳にしては細身の自分の
体を抱きしめるように両肩を抱くと俯く。
『ああ・・・きっと今日、お館様にオレお仕置きされちゃう・・・』
さらりとした前髪を軽く振りながら顔を上げた文緒の瞳はほんのりと潤んでいた・・・
すると不意に・・・
760『こちむいU 明日あえたら』sage04/08/14 03:32 ID:LeMqeux2
『ガチャリ!』
部屋の扉がノックもなしに開かれる。顔を出したのはネコ耳をはやした
メイドが二人。エイディアの雇っている女官だ。短い休み時間の間だけ
働きに来て、掃除や食事を作っていく・・・その中のボディーガードの心得も
ある大柄なネコ娘二人はずかずかと文緒の部屋に入り込むと無表情に言う。
「エイディア様がお呼びだ・・・」
続けて後から入ってきたメイドが言う
「お前の今日の失態についてお怒りになっている・・・わかっているな・・・」
手に持ったロープを扱きながら言うメイドに文緒は素直に「はい」と頷く。
そのまま、メイド達に向き、上着とズボンを脱ぐと軽く目を閉じた。メイドが近寄る気配・・・
『ああ・・・オレの唯一の仕事が始まる・・・』
部屋には縄のきつさに呻く文緒の小さな声を打ち消すように荘厳な
音楽が流れつづけていた・・・


そうして、食事や掃除が瞬く間に終わる。20人ほどのネコ娘達が帰り、
二人で住むには広すぎる部屋をエイディアはゆっくりと歩みとあるドアの前に・・・
不自然なほど厚すぎるその部屋のドアを開ける。豪華なエイディアの
部屋にしてはその中は殺風景。シュバルツカッツェ城特有の魔洸照明器具は
無く、あるのは無数の原始的な燭台のみ、天井はごつい梁が剥き出しで、
チェーンやらロープ、そして滑車までが釣り下がっている。カベには
おどろおどろしい首輪などの拘束器具がディスプレイされている。そして
部屋の中心には唯一、エイディアの持ち物にふさわしい、高級そうな
クッションの当てられた、木製の椅子がぽつんと置いてあった。
ゆっくりと歩き、エイディアは椅子に腰掛け、足を組んだ。足を組むと言っても、
くるぶしをもう一方の太ももの上に乗せるという、姫君にしてははしたないポーズ。
しかし今のエイディアの服装に良く似合っているポーズ・・・
761『こちむいU 明日あえたら』sage04/08/14 03:35 ID:LeMqeux2
手には青くぬめ光るロンググローブ。そしてビスチェとドレスの中間の青色の
ボンテージなスーツはキツキツのピチピチでエイディアの細いウエストを強烈に
強調していた。要所要所を皮ひもで止め合わせたボンテージのドレスはかなりの
露出があり、妖しく、妖艶・・・
巨乳ではないがアンダーの少ないせいで、大きく見える胸は、大胆な切れ込みの
入った胸元のデザインで危うくこぼれそうなほど・・・超ミニの青いエナメルの
皮スカートの裾にはガータベルトが付いており青いストッキングを吊っている。
絶妙なシルエットを誇るエイディアの太ももをキャンバスに繊細なストッキングの
模様を美しく描く。
そして足には青いエナメルのピンヒール。エイディアはそんな夜の女王様スタイルで
ショートの髪をかきあげる。前髪から覗く黒の眼帯。残された片目を細めて
目の前の暗がりに声をかけた。
「ふん・・・貴様のせいで使わなくてもよい気を使ったわ!しかも、女王の前で
イワシ姫に名を成さしめるとは・・・」
歯ぎしりして手に持った鞭をワナワナと折り曲げながら憎憎しげにいうエイディア。
するとくもぐった声が前から聞こえた。
「お、お館さまぁ・・・申し訳ありません・・・」
そこには文緒が跪いて・・・いやロープでギチギチに縛られて座らされていた。
薄手のシャツにスパッツの上から黒いロープは高小手に文緒を縛っている。
これは後ろに回した手を背後で縛るときにそのまま縛るのではなく、後ろに回した
手をお尻の上辺りではなく、肘関節を絞るように首の方に捻られて縛られるキツイ
責めである。しかも余ったロープは菱形の模様を文緒の臍周りに描きながら足に行き、
文緒の足を正座するように固め、なおかつ大きく両膝を開くようにして絞られていた。
手こそ背後で縛られているが、犬が背を反らせながら『チンチン』のポーズを
しているような感じ・・・
「ああっ・・・お館様・・・ロープがキツイです・・・」
苦しそうな声で訴える文緒。しかしその声に甘いモノが混じっているような・・・
762『こちむいU 明日あえたら』sage04/08/14 03:38 ID:LeMqeux2
「つべこべ言うなっ!今、文緒に許されているのは私に許しを請う事
だけだっ!! 」
『パーン!! 』と鞭が絨毯を叩く。ビクッとする文緒だがエイディアは躊躇せず
髪色と同じ、青くぬめ光る鞭を振りかぶり・・・
「許しを請えっ!それっ、それっ!! 」
『パーン!』『ビシッ!』『パーン!』『ビシッ!』・・・
エイディアは躊躇わずに鞭を文緒に叩きつけた。
「ひっ!ゔあっ!あひいっ!! お館様っ、お許しを、お許しを――!!!!」
身をよじり、伸びあがり、縄で縛られたカラダを悶えさせ、哀願する文緒。
しかし縦横無尽に走る青い鞭。文緒の着ていたシャツとスパッツは弾け、
瞬く間身にズタズタにされていく・・・あまり外に出ることの無い文緒の柔肌に
うっすらとしたミミズ腫れが無数に浮き出ていく・・・
「ふん・・・悲鳴の上げ方ばかりうまくなって・・・」
『シュルル・・・』
と鞭を手に戻し、腰に手を当て、いまいましげに呟くエイディア。軽く息が
弾んでいるが、ほんのりと染まった目の縁や、少し潤んだ瞳はそれが、今の
激しい動作のせいだけではないことを物語っていた。もちろん、肉を弾け
させずに服だけ破れるのは何度もこんなプレイを繰り返しているから・・・
「お、お館さまぁ・・・も、申し訳ありませんっ・・・はふっ・・・」
体中に食い込むロープや、軋む関節、そして熱い鞭の跡に心を乱しながらも、
必死で鞭の洗礼がやんだことを感謝する文緒。
「ふん・・・反省しているのか?・・・」
小さく呪文を唱えながらまたエイディアが億劫そうに椅子に座りながら手を
軽く振ると四方の燭台全てに火が灯る・・・文緒の薄手の服は全て破られ、
皮製の黒いビキニパンツ一つの格好で跪く。大人になり切れていない体に
無数の鞭の跡・・・それを見下ろす椅子に腰掛けた、青いボンテージの女主人・・・
蝋燭の明かりの中、妖しげに揺らめく主従・・・
 501KB (513074Byte)
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