ワンピースの可愛い少女幽霊が近所に出るんですよ。
冬になると風強いじゃないですか、スカートがめくれrげふげふん
えー、失礼。純粋な知的好奇心から、早朝から夜遅くまで一週間ほど観察目的で張り込んだんです。

初日・二日目は幽霊っぽく黙って俯き加減に立っていました。
三日目になるとこっちをちらちら気にしているみたいでした。
こちらの存在を認知できるようです。
四日目は、いつもの場所に立った直後に警察官に不審人物と間違えられ、
警察署まで連れて行かれていたのでよくわかりません。
五日目は風の強い日でしたがスカートは微動だnええと笑顔で手を振ってみたんですが完全無視されました。
六日目、何故か彼女が居ません。
暫く待ってみましたが前日からの強風に加え午後は雨も降り出し、途中であえなく退散です。
七日目は、朝から酷い寒気と倦怠感を感じてましたが彼女の観察を続けようといつもの場所へ向かいました。
ところがです。
その日は彼女が私を待ち構えていまして。
照れているのか『殺すわよ』とぶっきらぼうでしたが話しかけてきたのです。
私としましては彼女の方から接触してきた事にいたく感動しまして。
また折角の好機なので改めて至近距離から彼女の観察をしてみました。
年の頃は十代半ば頃、某少年漫画誌の表紙を飾れるでしょう美少女です。胸の膨らみは若干不足気味ですが。
『というか、死になさい』
生ごみを見るような目つきで睨まれて、私の心拍数は急上昇、胸も焼けるように苦しく呼吸困難です。
くらくらと立ちくらみその場に倒れこみました。身体に力が入りません。
『ちょ、え、何?ホントに、し、死んじゃうの!?嘘、何で!?』
彼女の戸惑ったような声が聞こえた気がしましたが、私の意識はそのままフェードアウトしてしまいました。


『――あんたみたいな奴に死んだ後まで付きまとわれると迷惑だからってだけなんですからね!?』
病院で目覚めた私が見たのは、腕組みをしてそっぽを向く彼女と、
大鎌を持ち真っ黒なローブで身を包んだ骸骨人と、
ベッドに横たわっている、私に非常にそっくりな人です。
『じゃ、後は宜しくお願いします』
骸骨人に深々と一礼すると、こちらを振り返ることもなく彼女はあっさり私の前から姿を消してしまいました。
あの、一体どういうことでしょう?
『いやいや、本来ならアンタみたいなのは放っとくんだが。
死神にあの世まで案内されるなんてまたとない幸運だよ』
要するにこの骸骨みたいな人はししし死神に私は殺されt
『勘違いしてもらっちゃ困る。アンタは勝手に肺炎こじらせて病死。
ワタシは他の客を迎えに来たんだが、あの娘にどうしてもと頼み込まれたのでついでに案内してやるだけさ』
…もしかしてそれって、彼女の愛?
『……なんでもいいから行こうか』
次に彼女と巡り逢った時、胸に飛び込んでくる彼女の姿を目蓋の裏に想像しつつ、
何故か頭の中で無限リピートされるドナドナをBGMにこの世からしばしフェードアウトです。
次に生まれ変わった時お目にかかりましょう。

『…頼まれたとおり地獄の裁判官のところへ連れて行こう…』
最終更新:2011年03月06日 09:34