いわゆる霊界と現世では構造が重なる場所がある。
生前の習慣を継続している霊にとって、寝室であったりトイレであったり、
ロッカー室だったりする場所が、目撃談のあるいわく付きのスポットとしよう。
それは別に人里離れた山中ばかりではない。

あなたの住む町、家、あるいはアパートの一室が彼ら(彼女ら)の生活空間と重なっているかもしれない。
そこで、なんらかの要因で霊と遭遇してしまうわけだ。仕事から帰って部屋に入った瞬間、
風呂にはいって頭を洗う時、夜中にトイレに起きた時。

彼(彼女)らにとっても予期していない出来事なわけだ。焼酎を飲んでくつろいでいる霊の前に
フル珍のあなたが現れたり、着替えをしている彼女(霊)のロッカー室にあなたが帰ってきたり、
寝ている霊の横できばり始める人間に「彼ら(霊)」も遭遇してしまうのだ。

人間に遭遇してしまった霊達もあわてるのかも知れない。
ある者は驚きの表情で、ある者は鬼の形相で、ある者は眠たい白目をむいた状態で、
なかなか去らない(見えなくならない)人間に対しては威嚇をする者もいるだろうか。
「おら!なんだおまえは!?なにしにきた!」

毎回遭遇してしまう人間は「憑かれた」と思うかも知れない。
実は霊の方も同じで、「ストーカー」に遇っていると想像しているのだ。
その時と場所、人と霊の条件とシチュエーションによっては祟りとなり、呪いとなる。


そんな中で、微笑ましい出会いもある。
仕事をしている彼女(霊)に、好奇の視線をおくる彼(人)が現れたりする。
彼女(霊)は意識して彼(人)の立ち寄る空間に出没するだろう。
彼(人)の見ていた方角は偶然にも、彼女(霊)のパソコンのモニターの裏側だったとしても。

またあるいは、どんなにアプローチをしてもなびかない彼に棘のある行為をするかも知れない。
「こんなに取り憑いているのに気がつかないなんて!」
最終更新:2012年01月03日 18:51