620 :1/3:2013/04/01(月) 23:09:16.99 ID:BnzdtrEd0
友人数人と廃病院で肝試し。
雰囲気はあったが特に心霊的なアクシデントは無く、手土産に受付からカルテを持って帰った。
その後友人宅で酒飲んで騒いで明け方寝落ち。

携帯の着信音で目が覚めた。相手は『非表示』。
寝ぼけた頭で何も考えずに電話に出た。
『・・を・・ザザッ・・して・・まザザッ・・・』
女の声だというのは分かったが、寝起きの頭な上に雑音交じりで聞き取りにくい。
暫くぼうっと聞いていたのだが。
『カルテを返却していただけますか?』
突然はっきりと耳に入ってきた。
悲鳴を上げて慌てて携帯を切る。俺と同時に友人達も悲鳴を上げた。全員が、携帯を手に震えている。
誰も何も言わないが、互いに何が起きたのか理解した。
全員で返しにいくことになった。真昼なら出ないと思っていたのだが。
予想は見事に裏切られた。


621 :2/3:2013/04/01(月) 23:10:56.17 ID:BnzdtrEd0
病院へ一歩踏み込んだ途端、全員が金縛り。受付から現れ近づく白く霞む人影。
陰鬱なおどろおどろしい幽霊――だという予想も見事に裏切られた。
エロゲでしか見ないような、ナイスボディにきわどいナース服のお姉さん、ただし片手にメス装備。
こここの展開はあれですか取り憑かれて検査するからと服を切り裂かれて全裸にされて精気を吸われるためにあんなこんなくんずほぐれt
『妙な妄想しないでいただけますか』
不快そうな表情で、片手でメスをもてあそびながら、代表して持たされていた俺の手の中のカルテをすっと抜き取るお姉さん。
『逃走したり神仏に頼るような憐れなお馬鹿さんは、時期が来たらわたくしが一人ずつこのメスで綺麗に切り刻んで病床は標本にして差し上げたのですが。
意外と屁垂れで残念です』
心底残念そうに溜息をつく。
そのまま背を向けて立ち去ろうとした彼女は、数歩行った所でふと振り返り、眉をひそめて不審そうにこちらを見やった。
『・・・何をしているのですか。用は済んだのですからさっさとお帰りなさい』
いやまだ金縛り続いています動けません。
『そういえばそうでした・・・解除するのも面倒ですね、自力で何とかなさいな。
この病院には良くないものもたくさん居ますのでなるべく早く逃げたほうが宜しいですよ』
良くないもの・・・前来た時は見なかったけど、例えば何だろう?
『そうですねぇ』
こちらに向き直り再び近づきながら、顔の前まで持ち上げたメスの刃にそっと指を当て、嗜虐的な笑みを浮かべるお姉さん。
『生きた人間を切り刻み、その苦しむ様を見るのが大好きな方とか』
そりゃあんただろ。
心の中で突っ込むとかすかに指先が動いた。直後に友人の一人が悲鳴を上げた。
「っぅぅうううわあああああぁぁぁ!!!」
その途端、俺達全員金縛りから解放された。
そのまま一度も振り返らずに遁走した。


622 :3/3:2013/04/01(月) 23:12:14.93 ID:BnzdtrEd0
後日。
会話の内容からなんとなく思い立ち、友人達が落ち着いた頃を見計らってうまく言いくるめて大きめな病院で検査を受けた所、全員に何らかの疾患が見つかった。
もっとも全て初期だったので、早期治療で全員完治した。

も一つ。
後から確認した所、友人達には彼女が陰鬱なおどろおどろしい幽霊にしか見えなかったとか。
はっきりくっきりエロエロな姿に見えたのも、彼女と『会話』していたのも俺だけらしい。
それを聞いて浮き足立った俺、勇んで彼女に会いに行き、呆れ顔の彼女に病室に監禁され今まさに切り刻まれそうになっています誰か助けt
最終更新:2013年07月14日 07:25