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アルナスとラザムとコーヒーの話 - (2023/06/28 (水) 01:13:04) のソース

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ガルガンダ山脈の西斜面、砂漠へ吹き降ろす風による豊富な日射と、ガルガンダ山からの雪解け水で育つ植物です。
元々は、ドワーフ達が気付け薬として少量利用しているだけでした。ドワーフ達は、アルコールの方が好きですからね。

これに最初に目をつけたのは、アルナス人でも特に禁欲的な、岩の部族の長老達でした。
彼らは瞑想に耽る事を好みますが、部族の若い者達には、退屈に映る事もありました。
そこで長老達は、居眠りをする若者に、濃く入れたコーヒーを・・・・強制的に飲ませました。
そうすると、眠気を払い、落ち着きを持って瞑想に入る事ができるのです。
(※濃くブラックなコーヒーはとても苦く、ルグナナムなどはトラウマになり、終生コーヒー嫌いでした)
コーヒーは「情熱の炎を鎮め、頭脳を冴えさせる秘薬」として、人間世界に侵入します。
この頃は、ドワーフ達の好む乳酒と物々交換で入手していたようです。

砂漠に鷲の部族による金銭収入が入り始めると、状況が変わります。
ドワーフ社会では、貨幣経済が発達していたと言うよりも、純粋に貴金属としての金が好きだったようです。
金の臭いを嗅ぎつけたドワーフは、鷲の部族向けにコーヒーの生産量を増やしだしました。
最初は、用も無いのに苦いコーヒーを飲むには抵抗があったようですが、巡礼者護衛の夜番はたちまちカフェイン中毒になりました。
部族にコーヒーが根付いた頃には「鷲の部族は夜戦に強い」と評判になりました。

オステアは、フェリルで生産された粗糖が海路運ばれ、精糖されて大陸中に送り出される、砂糖交易の中心地でした。
鷲の部族でも行動範囲の広かった者が、コーヒーに砂糖を入れると飲み易くなる事を発見します。
嗜好品としてのコーヒーの誕生です。

エフォードは、ラザムの神官達の嗜好を良く研究して、世界初のコーヒーハウスを作りました。
部屋には大理石の宗教彫刻が並び、白を基調とした壁面には、歴代の教皇の法衣を纏った肖像画。窓はステンドグラスで飾られていました。
彼女たちは高位の神官になって、教団の未来を討議するような気分で、ホーリートーンがどっちを向いて笑ったとか、イオナとホルスの関係とか、
法衣の着こなし方等について、連日討議を繰り広げました。
祈りを済ませた空腹を、砂糖たっぷりの菓子とコーヒーで満たしたのは言うまでもありません。
コーヒーハウスは大盛況でした。

イオナを支持する神官達はコーヒーハウスに集まったので、コーヒー党(コーヒーパーティ)と呼ばれ、
ニースルーを支持する者達は集会室で紅茶を飲んだので紅茶党(ティーパーティ)と呼ばれました。

イオナは、お菓子の作り方を習うと称して先輩神官の部屋に通いました。
本人も甘党でカフェイン中毒だったのですが、第一の目的は年配者との人脈作り。趣味と実益を兼ねて、と言ったところでしょうか。
イオナは可愛い妹・娘を演じる事の達人でした。イオナに敵対する者は、「ババア転がしの天才」と陰口を叩きました。 


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- おもしろかったです。 &br()  -- 名無しさん  (2011-02-01 23:52:27)
- こういう世界観深める方向って新しいね。 &br()面白い。  -- 名無しさん  (2011-02-02 10:37:54)
- 新しいし良く出来てる。今後増えそうな予感。  -- 名無しさん  (2011-02-04 21:22:05)
- マグダレナと仲良さそう  -- 名無しさん  (2023-06-28 01:13:04)
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