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もしVTの世界にバレンタインがあったら・・・ラザム同盟編」(2020/03/27 (金) 18:00:28) の最新版変更点

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. ホルスは珍しく、長い間、鏡の前に居座っていた。 普段は大陸の平和がイの一番にくる愚直な少年だが、今日ばかりは違うようだ。 「・・・ここはもう少し襟を立たせたほうが・・・髪は・・・うん・・・よし・・・」 普段はあまり気にすることのない体裁に関心を持っているようだった。 なぜか?それは今日という日付を知れば合点がいく。 2月14日・・・本来は名高い神官の弔いの日なのだが、世間では女性が好意を持つ男性にチョコレートを渡す日となっていた。 「いや、神に使える身として、やましい思いは決してないんだ。  そもそも今日は先教の喪に服す日。神官として俗世の出来事に惑わされることがあってはならない  ・・・ただ、万が一貰うことになったら、受け取る側としても礼儀を尽くさねば・・・」 周りには誰もいないのだが、ホルスは口に出してつぶやいた。言い訳にしか聞こえないが、実際言い訳である。 「髪形良し!服装良し!身嗜み良し!では、行くとするか!」 そういうとラザムの勇者様は、特に用もないのに、ラザム同盟軍の天幕に向け元気に足を向けた。 まずホルスが足を向けたのは前衛部隊の天幕だった。ここの指揮官は勝気なウェントルと大人びたキュラサイトである。 だがウェントルは姉さん肌な分、面倒見もいいことで有名だ。キュラサイトも、その律儀な性格から、チョコくらい用意してくれていると思っていた。 そんな期待をこめて、ホルスは陣の中に入っていった。 「失礼する。ウェントル、キュラサイト、いるか・・・ぃ・・・」 気軽に挨拶をしながら幕の中に入ろうとしたホルスであったが、その言葉は尻すぼみとなり、言い切れなかった。 それもそうだ。天幕の中はある意味では花園、ある意味では修羅場と化していたからだ。 「ウェントル隊長!これ、受け取ってください!」 「うん・・・?ああ、ありがとう・・・」 「ウェントルさん、わたしのも・・・」 「あ、ああ、ありがとう・・・うれしいよ・・・あはははは」 ウェントルが女性弓兵からの大量のチョコの山を見て、引きつった笑みを浮かべている。 普段はキリリと引き締まった口元も妙にひくつき、広いおでこには汗が滲んでいた。 その横では、同じくキュラサイトが女性剣士から大量のチョコレートを貰っていた。 「キュラサイト将軍、あの、これ・・・」 「ああ、ありがとう。」 「将軍・・・わたしのも、受け取ってもらえますか・・・?」 「みんな、いつもすまないな。恩に着るぞ」 「そ・・・そんな///将軍のお気に召していただけたら、わたし達・・・」 ウェントルとは対照的に、彼女は涼しい顔でチョコを受け取っている。 だが、その変わらない様な表情も、よく見るとどことなく嬉しそうだった。彼女はこう見えて甘党なのだ。 (まいったな・・・先週去年貰った分のチョコを食べ終えたばかりなのに・・・) (随分と時間をかけて食べるのだな。私は月内で食べきってしまったぞ。) (あんたと一緒にするな!てか何でそれだけ食べて太らないのよ。) 両隊長に夢中な兵はもちろん、ヒソヒソと話し合う二人もホルスには気付いてないらしい。 意気揚々と乗り込んだ勇者様は、気付かれぬようにそっと、その場を後にした。 「うーむ、まさか女性同士でチョコをやり取りしているとは・・・不覚だった・・・」 出鼻をくじかれたホルスが次に向かったのは、後衛部隊の天幕だった。ここにはムームーとメルトアが駐在している。 オステア国軍ではホルスにとって最も不思議な二人だが、とりあえずさっきみたいなことにはならないだろう。 そう思いホルスは天幕をめくった。 「失礼すr・・・」 だがホルスはまたも言葉を言い切れなかった。天幕の中は先ほどとは又違った空間となっていた。 「むー、このチョコもおいしーい。みんなすごいねー」 「む・・・ムームーさんにそう言って貰えるなんて、わたし、幸せです!」 「うん・・・おいしいの・・・(ニコッ)」 「はぅ!メルトアさん、その笑顔は反則です・・・!」 そこにあったのは、チョコの山に囲まれ、たくさんのチョコを一心不乱に食べるムームーとメルトアの姿だった。 配下の兵たちが、二人の周りに次々とチョコレートを運んでくる。 そして二人がチョコを食べて顔をほころばすたびに、周囲から黄色い歓声が上がる。 先ほどの天幕とは違い、ここでは憧れよりも庇護欲から彼女達にチョコを渡しているようだった。 もちろん、二人の士官はチョコを食べるのに、兵はそんな士官の観察に夢中でホルスのことなんか気付いていない。 居た堪れなくなった勇者様は、周りにばれないよう背中を丸めて天幕を出て行った。 ホルスがめげずに次に向かった先は、後方支援部隊の天幕だった。ここはクレア、エルティア両神官がいる場所である。 彼にとってはオステア国軍の中でもっとも近い存在であるこの二人なら、チョコくらい当然にくれる・・・てかくれなきゃ困るとホルスは思った。 そーっと天幕の隙間から中を覗くと、なにやら楽しげに談笑する神官たちが見て取れた。 「クレアさま、本当によろしいんですか?」 「ええ、普段からあなた方にはお世話になっていますし・・・受け取ってください。」 「わたしみたいな末端の神官にまでお恵み下さるなんて・・・エルティアさん、わたし、感激です!」 「ふふっ、大げさですよ。皆さんに普段苦労かけてるんですから、これくらい当然です。」 天幕の中では、両神官が直属の配下の神官達にチョコを配っているところだった。 ホルスは感激した。やはり神官は違った。流石は神に仕える身だ。俗世の人々とはわけが違う。とホルスは思った。 本来神官だからこそ、チョコなど関係ないのではないか?等という至極当然の理論は、彼の頭から抜け落ちていた。 しかし、彼が満を持して天幕に入ろうとしたそのときである。中からクレアのこんな言葉が聞こえてきた。 「でも、いいですか皆さん、このことはわたし達だけの秘密ですよ。神官という立場であまり世俗的なことをするのは、ほめられたことではないですからね。」 ホルスの手がピタリと止まる。中からは「当然ですよ~」というエルティアの声とともに神官たちの笑い声がする。 (いや、当然じゃないぞ!神官だからってチョコの受け渡しがないとか、そんなことは全然ない!いいじゃないか、世俗的だって!) 心の中で絶句するが、そういわれてはどうしようもない。というか良いわけないだろう。神官なんだから。 しばらく絶望にうちひされていた勇者様だが、諦めたように手にかけた天幕を離すと、コソコソとその場を離れた。 ホルスが懲りずに訪れたのは、グリーン・ウルスの天幕だった。ここではカルラ、ポートニック、ピヨン、オワンらが生活している。 人見知りなカルラとはあまり話したことはないし、ピヨン、オワンらはモンスターだ。 ポートニックとは面識があるが、ドケチで有名な彼女が、自分のためにチョコを用意してくれている可能性は低い。 だが、それでも僅かな望みにすがり、ホルスは天幕へと歩むのであった。 今までのとは少し違った作りの天幕にたどり着いたホルスは、その天幕にそっと耳を傾けてみた。 「ホイッ!ピヨンにオワン、二人へのプレゼントだわさ。」 「いつも優しくしてくれる二人に、カルラからのお礼ですぅ」 「ボクピヨン、ヨロシクネ(これは光栄。ありがとうございます。)」 「ボクオワン、ヨロシクネ(我らのような者にお気遣いいただけるとは、感謝の言葉もありませぬ。)」 これはもしや・・・とホルスは思った。素朴な彼女達だからこそ、こういうことには熱心なのかもしれない。そういう希望が胸にわいた。 だが、その希望は無残にもすぐに打ち砕かれた。 「わたし達が個人であげるのはあんたら二人だけだわさ。価値あるチョコなんだから、ありがたく食べるだわさ?」 「ボクピヨン、ヨロシクネ?(はて、他の国の人々にはよろしいので?)」 「ホントは皆さん全員に渡そうと思ったんですぅ。でも材料費が足りなくて・・・グリーンの財政は苦しいのですぅ」 「ボクオワン、ヨロシクネ(いえ、そのような中で我らのために費を割いてくださるとは、この上ない喜びでございます。)」 期待に満ちた表情のまま、ホルスの顔が凍る。大陸を救うはずの勇者様は、とても悲しそうな表情を浮かべながら、天幕から去っていった。 ホルスが最後に行き着いた先は、オステアの執政室であった。ここにはアルジュナが詰めている。 だが、ホルスは、もう執政室に入ろうとしなかった。入るまでもなかった。 そこはアルジュナにチョコを渡すべく、あふれんばかりの人が集まっていたのだった。 「キャー!アルジュナ様ー!」 「アルジュナさん・・・今日もカッコイイ・・・」 「アルジュナ君、こっち向いてー!」 「アルジュナー!俺だー!婿になってくれー!」 「みんな、待って待って!それにボクはおn・・・」 「アルジュナくーん、あたしのチョコ受け取ってー!」 「あたしのも~」「わたしのも!」「わ、わたくしのも・・・」 「ちょっ・・・押さないで・・・ってうわぁ!?」 色々と涙目になっているアルジュナを遠目に見ながら、ホルスは涙をこらえて立ち去った。 「はぁ・・・うまくいかないもんだなぁ・・・」 ラザムの天幕に戻ってきたホルスは、机に突っ伏してつぶやいた。 確かに、傍から見ても普段死霊との戦いでただ一人前に飛び出していく彼は、もう少し感謝されてもいいはずに思えた。 だが、実際には本命はおろか、普段の功労をねぎらう義理チョコすらもらえない。 これには流石のホルスもショックを受けていた。 「みんな、わたしのことなんてどうでもいいんだろうか・・・」 どんどんと思考がマイナスに働いていく。いくら周りに勇者といわれても、その実態はまだあどけなさを残す青年である。 なんだか悲しくなってきて、そんなことで落ち込んでいる自分が情けなくて、ホルスは沈みきっていた。 と、聞きなれた足音がホルスの耳に届いた。そしてその足音は彼のいる天幕の前でとまる。 「ホルス様、ホルス様、いらっしゃいますか?」 ローニトークだ。まだ幼い容姿をしたエルフの少女は、なぜかラザムの勇者に懐いていた。 「ああ、いるよ。なんだい?」 天幕を開けて招き入れると、彼女は嬉しそうに入ってきた。その笑顔を見ているだけで、ホルスも沈んだ気持ちが盛り返したような気がした。 「ホルス様、今日は何の日だか知ってますか?」 「ん?今日は名高い神官の命日だよ。その神官に感謝の意をこめてお祈りをする日だ。」 ホルスは不思議に思った。なぜ、エルフが人間の祭事などに興味を持つのだろうか?と 「あ、あのですね、ホルス様・・・」 ローニトークはモジモジとしながら言葉を紡いだ。その顔は、どことなく赤くなっているように見える。 「きょ、今日はお世話になっている人にチョコをあげる日だと聞きました!で、ですから、これ、ホルス様に・・・」 そういってローニトークは、可愛い包装紙に包まれたチョコレートをホルスに差し出した。 「わ・・・わたしに・・・?」 驚いたのはホルスだ。人間の祭日とは無関係ないはずのエルフの女の子が、自分にチョコをくれるとは、思ってもみなかったのだ。 「ははははい!わたしは普段、ホルス様にいっぱいいっぱいお世話になっていて、それでその気持ちに・・・ってはわわわわ?」 ローニトークの言葉は途中でさえぎられた。ホルスが彼女の手を握り、上下に振り出したからだ。 「ありがとう・・・ありがとうローニトーク・・・!わたしの気持ちをわかってくれるのは君だけだ。」 ホルスは目頭が熱くなるのを感じていた。さながらそれは全く報われないと思っていたところで、天使からの施しを受けた気分だった。 「そんなホルス様・・・嬉しいです・・・」 ローニトークが頬を上気させながら、照れるように笑う。だが、有頂天なホルスはそんな彼女の様子に気付いていないようだった。 「いやぁ、ローニトーク、君がいてくれてホントによかった。危うく今日は最悪な一日に・・・」 「なにが危ういんですか?ホルス様。」 ギクッ!っとホルスとローニトークの背筋が凍る。恐る恐る声のしたほうに顔を向ける。 そこには、いつの間にか開かれた天幕からこちらを見下ろす、一人の女性神官がいた。 「げぇ!イオナ!」 ホルスが叫ぶ。名前を呼ばれたイオナは、なおも冷たい眼差しで、自分の上官を見つめていた。 「なにが危ういんですか?ホルス様」 同じ質問を繰り返す。こういうときのイオナは大体怒っている。事実、今も顔には出ていないが、目の奥が静かに燃えていた。 「い・・・いや、ちょっとローニトークから、チョコを貰ってだな・・・ほら、今日は2月14日だろ?  神官といえど気持ちを無碍にするわけにはいかないし・・・だ、だからそんなに怒らないでくれ」 「別にそれくらいじゃ怒りませんよ?ホルス様は、私の何処に脅えているんですか?」 ならその黒いオーラはなんなんだ!という言葉を飲み込んでホルスは答える。 「い・・・いや、脅えているわけじゃないんだ。ただ、イオナにはあまり縁がないことだし・・・」 「私には縁がない?」 イオナの眉が怪訝そうにピクリと動いた。だが、ホルスはそのことに気付かず弁解を続ける。 「だってそうだろう?チョコの受け渡しなんて 君 に は 関 係 な い じ ゃ な い か 」 「っ~!」 ホルスがそういうと、イオナは顔を真っ赤に染め上げ、手に持っていた「なにか」をホルスの顔面目掛けて投げつけた。 イオナの手を離れた「なにか」はホルスの鼻柱に見事にぶち当たる。ホルスはその衝撃に思わずしりもちをついた。 「ホルス様なんか知りません!」 言うが早いか、イオナは天幕を出て行った。誰も気付かなかったが、普段は冷静な彼女の目に、薄っすらと涙が滲んでいた。 「イタッ!なんだこれは?」 ホルスが顔にぶつかった物を拾う。それはシンプルながらも丁寧にラッピングされた、四角いチョコレートだった。 (まさか!) ホルスは慌ててイオナが出て行った後を目で追いかけたが、すでにそこには彼女の姿は無かった。 「スマン、ローニトーク、そこで待っていてくれ!」 そう叫ぶとホルスはイオナの通ったであろう道を走り出した。 「ホルス様、待ってください!」 ローニトークが止めたが、すでに走り出していたホルスの耳には届かなかった。 天幕の中には、エルフの少女だけが取り残される形になった。 イオナは陣地全体が見下ろせる、小高い丘の上にいた。もう夜も大分更けてきて、そろそろ日付が変わる頃だ。 「イオナ!」 聞きなれた、自分を呼ぶ声がした。だが、彼女は声の方には見向きもせずに、生返事を返す。 「なにか用ですか?ホルス様。」 あちこち探し回ったんだろう。イオナの傍にまで来た少年は、息を切らし肩を上下させていた。 「あ・・・あの、さっきはすまなかった。」 ホルスが頭を下げる。それはとても神剣を抜いた勇者とは思えないほど、素直な謝罪だった。 「いいんです。気にしてませんから。どうせ私はチョコの受け渡しなんて世俗的なものには関係ない、冷血神官です。」 「いや・・・そんなことは・・・」 思ってもいない言葉が、自分の意思とは関係なく、声として発せられる。 ホルスが困っていることも、もう自分がホルスに対して怒っていないことも知っているはずなのに・・・ 「もういいです。ホルス様は、わたしのことなんてどうでもいいんですよね。」 思わず憎まれ口がでてしまう。こんな事ばかり言っていたら、本当に嫌われるんじゃないか。そんな心配がイオナの胸をかすめた。 「それは違う!」 だが、ホルスは顔を上げると、はっきりと否定した。イオナはその声に驚いて、思わずホルスの方に振り返る。 「私は君にとても感謝している。君がいなければ、私は今頃神殿軍を壊滅させた戦犯として神判を受けていただろう。  いや、そもそも神殿軍を率いることすらなかったかもしれない。どうでもいいなんて、思っているわけないだろう。」 その言葉に、イオナは思わず頬を赤らめた。今が夜で本当に良かった。明るかったら、流石にバレていただろう。 ずるい人だ・・・イオナは心の中でつぶやいた。普段は全く鈍感なくせに、こういうときだけ心に響くことを言う。 その愚直さとも、誠実さとも、天然ともつかないホルスの性格こそが、イオナにとってある意味最大の弱点だった。 「ホルス様のお気持ちはわかりました。で、なぜホルス様は私がチョコを渡さないと思ったのですか?」 「えっえと・・・それはその・・・」 先ほどまでの威勢はどこへやら。ホルスはしどろもどろになる。そんなホルスの様子を見て、イオナは思わず力が抜けるのを感じた。 「ほら、やっぱり。もう知りません!」 イオナが顔を背ける。でも、その表情に先ほどの悲しみの様子はなかった。むしろ照れ隠しにも見えた。 しかし、その顔が見えないホルスは、困ったようにイオナへ何度も謝罪の言葉を口にした。 これでいいのだ・・・イオナは思った。あまり近くになりすぎると、神に使える身としてよからぬ結果に繋がるかもしれない。 せめて戦乱が終わるまでは、遠くないけど近くない、今の距離を保っていよう。と・・・ そんな二人を、物陰から見ている者達がいた 「雨降って土固まる、だね。」 「イオナ様も変わりましたね。わたしがラザムにいた頃とは別人のようです。」 「正義と平和を象徴するお二人の関係、しかと拝見させていただきました。」 「しっかしみんながホルス様にチョコを用意してるとはね~。キュラサイト、あんた若干残念なんじゃないの?」 「な・・・わ、わたしは・・・そういうウェントルだって・・・」 「む~、このチョコどうしよう・・・食べちゃおっか?」 「好きにするの・・・ってわたしのチョコまで食べるな・・・なの・・・」 「やっぱりわたしはいらない子なんですね・・・」 「拗ねるんじゃないだわさ。あたしは応援するだわさ。」 「そうなのですぅ。それにホルス様ならきっと二人とも大事にしてくれるはずですぅ。だからカルラたちも、二人で一つのチョコをあげようとしたのですぅ」 「ボクオワン、ヨロシクネ(マスター、この方は一番になりたいから、ふてくされているのでは?)」 「ボクピヨン、ヨロシクネ(よせオワン、お嬢にはまだわからんのさ)」 空の月は優しく光り、辺りを優しく照らす。 丘の上に立つ二人も、そんな二人を見守る人たちもまとめて。 大陸の平和はまだ取り戻せないが、確かにその時、平和な時間は其処を流れていた。 ---- - ST自体はなかなかいいとはおもいますが、 &br()ホルスもイオナも今までのキャラ像と違い過ぎない? &br() &br() &br() -- 名無しさん (2011-02-18 10:18:30) - ↑筆者のあとがきに「キャラ崩壊してるけど気にしない」って書いてあった -- 名無しさん (2011-02-19 13:07:03) - こういう2828イベントは好きなので個人的には高評価です^^ &br()リューネとラザム・・・・・・何故差がついたか、慢心、環境のry &br()それから僭越ながら・・・・・・細かいことではありますが。 &br()雨降って土固まる→雨降って地固まる ではないかと思いました^^ -- 名無しさん (2011-02-19 20:08:11) - なかなか楽しませて頂きました -- 名無しさん (2011-02-20 13:19:29) - 俺にしてみれば、ホルスもイオナも &br()俺が従来持っていたイメージとさほど離れるものじゃないな &br()にやにやしすぎて表情筋が痛いです>< &br() -- 名無しさん (2011-02-20 17:57:24) - 一瞬リューネでもできそうだと思った自分が馬鹿だった。 &br() &br() &br() -- 名無しさん (2011-02-24 09:18:31) - ↑作者もやろうとしてたぞw -- 名無しさん (2011-03-04 12:18:47) - むしろ大体こんなイメージ -- 名無しさん (2011-03-07 01:01:11) - うぬ -- 名無しさん (2011-03-07 17:54:19) - バレ爆 &br()そういえばこの直後にローニトークの死亡が確定したんだよなぁ… -- 名無しさん (2012-02-14 08:48:47) - 不吉だ -- 名無しさん (2012-03-25 01:26:30) #comment(size=60,vsize=3) ----
. ホルスは珍しく、長い間、鏡の前に居座っていた。 普段は大陸の平和がイの一番にくる愚直な少年だが、今日ばかりは違うようだ。 「・・・ここはもう少し襟を立たせたほうが・・・髪は・・・うん・・・よし・・・」 普段はあまり気にすることのない体裁に関心を持っているようだった。 なぜか?それは今日という日付を知れば合点がいく。 2月14日・・・本来は名高い神官の弔いの日なのだが、世間では女性が好意を持つ男性にチョコレートを渡す日となっていた。 「いや、神に使える身として、やましい思いは決してないんだ。  そもそも今日は先教の喪に服す日。神官として俗世の出来事に惑わされることがあってはならない  ・・・ただ、万が一貰うことになったら、受け取る側としても礼儀を尽くさねば・・・」 周りには誰もいないのだが、ホルスは口に出してつぶやいた。言い訳にしか聞こえないが、実際言い訳である。 「髪形良し!服装良し!身嗜み良し!では、行くとするか!」 そういうとラザムの勇者様は、特に用もないのに、ラザム同盟軍の天幕に向け元気に足を向けた。 まずホルスが足を向けたのは前衛部隊の天幕だった。ここの指揮官は勝気なウェントルと大人びたキュラサイトである。 だがウェントルは姉さん肌な分、面倒見もいいことで有名だ。キュラサイトも、その律儀な性格から、チョコくらい用意してくれていると思っていた。 そんな期待をこめて、ホルスは陣の中に入っていった。 「失礼する。ウェントル、キュラサイト、いるか・・・ぃ・・・」 気軽に挨拶をしながら幕の中に入ろうとしたホルスであったが、その言葉は尻すぼみとなり、言い切れなかった。 それもそうだ。天幕の中はある意味では花園、ある意味では修羅場と化していたからだ。 「ウェントル隊長!これ、受け取ってください!」 「うん・・・?ああ、ありがとう・・・」 「ウェントルさん、わたしのも・・・」 「あ、ああ、ありがとう・・・うれしいよ・・・あはははは」 ウェントルが女性弓兵からの大量のチョコの山を見て、引きつった笑みを浮かべている。 普段はキリリと引き締まった口元も妙にひくつき、広いおでこには汗が滲んでいた。 その横では、同じくキュラサイトが女性剣士から大量のチョコレートを貰っていた。 「キュラサイト将軍、あの、これ・・・」 「ああ、ありがとう。」 「将軍・・・わたしのも、受け取ってもらえますか・・・?」 「みんな、いつもすまないな。恩に着るぞ」 「そ・・・そんな///将軍のお気に召していただけたら、わたし達・・・」 ウェントルとは対照的に、彼女は涼しい顔でチョコを受け取っている。 だが、その変わらない様な表情も、よく見るとどことなく嬉しそうだった。彼女はこう見えて甘党なのだ。 (まいったな・・・先週去年貰った分のチョコを食べ終えたばかりなのに・・・) (随分と時間をかけて食べるのだな。私は月内で食べきってしまったぞ。) (あんたと一緒にするな!てか何でそれだけ食べて太らないのよ。) 両隊長に夢中な兵はもちろん、ヒソヒソと話し合う二人もホルスには気付いてないらしい。 意気揚々と乗り込んだ勇者様は、気付かれぬようにそっと、その場を後にした。 「うーむ、まさか女性同士でチョコをやり取りしているとは・・・不覚だった・・・」 出鼻をくじかれたホルスが次に向かったのは、後衛部隊の天幕だった。ここにはムームーとメルトアが駐在している。 オステア国軍ではホルスにとって最も不思議な二人だが、とりあえずさっきみたいなことにはならないだろう。 そう思いホルスは天幕をめくった。 「失礼すr・・・」 だがホルスはまたも言葉を言い切れなかった。天幕の中は先ほどとは又違った空間となっていた。 「むー、このチョコもおいしーい。みんなすごいねー」 「む・・・ムームーさんにそう言って貰えるなんて、わたし、幸せです!」 「うん・・・おいしいの・・・(ニコッ)」 「はぅ!メルトアさん、その笑顔は反則です・・・!」 そこにあったのは、チョコの山に囲まれ、たくさんのチョコを一心不乱に食べるムームーとメルトアの姿だった。 配下の兵たちが、二人の周りに次々とチョコレートを運んでくる。 そして二人がチョコを食べて顔をほころばすたびに、周囲から黄色い歓声が上がる。 先ほどの天幕とは違い、ここでは憧れよりも庇護欲から彼女達にチョコを渡しているようだった。 もちろん、二人の士官はチョコを食べるのに、兵はそんな士官の観察に夢中でホルスのことなんか気付いていない。 居た堪れなくなった勇者様は、周りにばれないよう背中を丸めて天幕を出て行った。 ホルスがめげずに次に向かった先は、後方支援部隊の天幕だった。ここはクレア、エルティア両神官がいる場所である。 彼にとってはオステア国軍の中でもっとも近い存在であるこの二人なら、チョコくらい当然にくれる・・・てかくれなきゃ困るとホルスは思った。 そーっと天幕の隙間から中を覗くと、なにやら楽しげに談笑する神官たちが見て取れた。 「クレアさま、本当によろしいんですか?」 「ええ、普段からあなた方にはお世話になっていますし・・・受け取ってください。」 「わたしみたいな末端の神官にまでお恵み下さるなんて・・・エルティアさん、わたし、感激です!」 「ふふっ、大げさですよ。皆さんに普段苦労かけてるんですから、これくらい当然です。」 天幕の中では、両神官が直属の配下の神官達にチョコを配っているところだった。 ホルスは感激した。やはり神官は違った。流石は神に仕える身だ。俗世の人々とはわけが違う。とホルスは思った。 本来神官だからこそ、チョコなど関係ないのではないか?等という至極当然の理論は、彼の頭から抜け落ちていた。 しかし、彼が満を持して天幕に入ろうとしたそのときである。中からクレアのこんな言葉が聞こえてきた。 「でも、いいですか皆さん、このことはわたし達だけの秘密ですよ。神官という立場であまり世俗的なことをするのは、ほめられたことではないですからね。」 ホルスの手がピタリと止まる。中からは「当然ですよ~」というエルティアの声とともに神官たちの笑い声がする。 (いや、当然じゃないぞ!神官だからってチョコの受け渡しがないとか、そんなことは全然ない!いいじゃないか、世俗的だって!) 心の中で絶句するが、そういわれてはどうしようもない。というか良いわけないだろう。神官なんだから。 しばらく絶望にうちひされていた勇者様だが、諦めたように手にかけた天幕を離すと、コソコソとその場を離れた。 ホルスが懲りずに訪れたのは、グリーン・ウルスの天幕だった。ここではカルラ、ポートニック、ピヨン、オワンらが生活している。 人見知りなカルラとはあまり話したことはないし、ピヨン、オワンらはモンスターだ。 ポートニックとは面識があるが、ドケチで有名な彼女が、自分のためにチョコを用意してくれている可能性は低い。 だが、それでも僅かな望みにすがり、ホルスは天幕へと歩むのであった。 今までのとは少し違った作りの天幕にたどり着いたホルスは、その天幕にそっと耳を傾けてみた。 「ホイッ!ピヨンにオワン、二人へのプレゼントだわさ。」 「いつも優しくしてくれる二人に、カルラからのお礼ですぅ」 「ボクピヨン、ヨロシクネ(これは光栄。ありがとうございます。)」 「ボクオワン、ヨロシクネ(我らのような者にお気遣いいただけるとは、感謝の言葉もありませぬ。)」 これはもしや・・・とホルスは思った。素朴な彼女達だからこそ、こういうことには熱心なのかもしれない。そういう希望が胸にわいた。 だが、その希望は無残にもすぐに打ち砕かれた。 「わたし達が個人であげるのはあんたら二人だけだわさ。価値あるチョコなんだから、ありがたく食べるだわさ?」 「ボクピヨン、ヨロシクネ?(はて、他の国の人々にはよろしいので?)」 「ホントは皆さん全員に渡そうと思ったんですぅ。でも材料費が足りなくて・・・グリーンの財政は苦しいのですぅ」 「ボクオワン、ヨロシクネ(いえ、そのような中で我らのために費を割いてくださるとは、この上ない喜びでございます。)」 期待に満ちた表情のまま、ホルスの顔が凍る。大陸を救うはずの勇者様は、とても悲しそうな表情を浮かべながら、天幕から去っていった。 ホルスが最後に行き着いた先は、オステアの執政室であった。ここにはアルジュナが詰めている。 だが、ホルスは、もう執政室に入ろうとしなかった。入るまでもなかった。 そこはアルジュナにチョコを渡すべく、あふれんばかりの人が集まっていたのだった。 「キャー!アルジュナ様ー!」 「アルジュナさん・・・今日もカッコイイ・・・」 「アルジュナ君、こっち向いてー!」 「アルジュナー!俺だー!婿になってくれー!」 「みんな、待って待って!それにボクはおn・・・」 「アルジュナくーん、あたしのチョコ受け取ってー!」 「あたしのも~」「わたしのも!」「わ、わたくしのも・・・」 「ちょっ・・・押さないで・・・ってうわぁ!?」 色々と涙目になっているアルジュナを遠目に見ながら、ホルスは涙をこらえて立ち去った。 「はぁ・・・うまくいかないもんだなぁ・・・」 ラザムの天幕に戻ってきたホルスは、机に突っ伏してつぶやいた。 確かに、傍から見ても普段死霊との戦いでただ一人前に飛び出していく彼は、もう少し感謝されてもいいはずに思えた。 だが、実際には本命はおろか、普段の功労をねぎらう義理チョコすらもらえない。 これには流石のホルスもショックを受けていた。 「みんな、わたしのことなんてどうでもいいんだろうか・・・」 どんどんと思考がマイナスに働いていく。いくら周りに勇者といわれても、その実態はまだあどけなさを残す青年である。 なんだか悲しくなってきて、そんなことで落ち込んでいる自分が情けなくて、ホルスは沈みきっていた。 と、聞きなれた足音がホルスの耳に届いた。そしてその足音は彼のいる天幕の前でとまる。 「ホルス様、ホルス様、いらっしゃいますか?」 ローニトークだ。まだ幼い容姿をしたエルフの少女は、なぜかラザムの勇者に懐いていた。 「ああ、いるよ。なんだい?」 天幕を開けて招き入れると、彼女は嬉しそうに入ってきた。その笑顔を見ているだけで、ホルスも沈んだ気持ちが盛り返したような気がした。 「ホルス様、今日は何の日だか知ってますか?」 「ん?今日は名高い神官の命日だよ。その神官に感謝の意をこめてお祈りをする日だ。」 ホルスは不思議に思った。なぜ、エルフが人間の祭事などに興味を持つのだろうか?と 「あ、あのですね、ホルス様・・・」 ローニトークはモジモジとしながら言葉を紡いだ。その顔は、どことなく赤くなっているように見える。 「きょ、今日はお世話になっている人にチョコをあげる日だと聞きました!で、ですから、これ、ホルス様に・・・」 そういってローニトークは、可愛い包装紙に包まれたチョコレートをホルスに差し出した。 「わ・・・わたしに・・・?」 驚いたのはホルスだ。人間の祭日とは無関係ないはずのエルフの女の子が、自分にチョコをくれるとは、思ってもみなかったのだ。 「ははははい!わたしは普段、ホルス様にいっぱいいっぱいお世話になっていて、それでその気持ちに・・・ってはわわわわ?」 ローニトークの言葉は途中でさえぎられた。ホルスが彼女の手を握り、上下に振り出したからだ。 「ありがとう・・・ありがとうローニトーク・・・!わたしの気持ちをわかってくれるのは君だけだ。」 ホルスは目頭が熱くなるのを感じていた。さながらそれは全く報われないと思っていたところで、天使からの施しを受けた気分だった。 「そんなホルス様・・・嬉しいです・・・」 ローニトークが頬を上気させながら、照れるように笑う。だが、有頂天なホルスはそんな彼女の様子に気付いていないようだった。 「いやぁ、ローニトーク、君がいてくれてホントによかった。危うく今日は最悪な一日に・・・」 「なにが危ういんですか?ホルス様。」 ギクッ!っとホルスとローニトークの背筋が凍る。恐る恐る声のしたほうに顔を向ける。 そこには、いつの間にか開かれた天幕からこちらを見下ろす、一人の女性神官がいた。 「げぇ!イオナ!」 ホルスが叫ぶ。名前を呼ばれたイオナは、なおも冷たい眼差しで、自分の上官を見つめていた。 「なにが危ういんですか?ホルス様」 同じ質問を繰り返す。こういうときのイオナは大体怒っている。事実、今も顔には出ていないが、目の奥が静かに燃えていた。 「い・・・いや、ちょっとローニトークから、チョコを貰ってだな・・・ほら、今日は2月14日だろ?  神官といえど気持ちを無碍にするわけにはいかないし・・・だ、だからそんなに怒らないでくれ」 「別にそれくらいじゃ怒りませんよ?ホルス様は、私の何処に脅えているんですか?」 ならその黒いオーラはなんなんだ!という言葉を飲み込んでホルスは答える。 「い・・・いや、脅えているわけじゃないんだ。ただ、イオナにはあまり縁がないことだし・・・」 「私には縁がない?」 イオナの眉が怪訝そうにピクリと動いた。だが、ホルスはそのことに気付かず弁解を続ける。 「だってそうだろう?チョコの受け渡しなんて 君 に は 関 係 な い じ ゃ な い か 」 「っ~!」 ホルスがそういうと、イオナは顔を真っ赤に染め上げ、手に持っていた「なにか」をホルスの顔面目掛けて投げつけた。 イオナの手を離れた「なにか」はホルスの鼻柱に見事にぶち当たる。ホルスはその衝撃に思わずしりもちをついた。 「ホルス様なんか知りません!」 言うが早いか、イオナは天幕を出て行った。誰も気付かなかったが、普段は冷静な彼女の目に、薄っすらと涙が滲んでいた。 「イタッ!なんだこれは?」 ホルスが顔にぶつかった物を拾う。それはシンプルながらも丁寧にラッピングされた、四角いチョコレートだった。 (まさか!) ホルスは慌ててイオナが出て行った後を目で追いかけたが、すでにそこには彼女の姿は無かった。 「スマン、ローニトーク、そこで待っていてくれ!」 そう叫ぶとホルスはイオナの通ったであろう道を走り出した。 「ホルス様、待ってください!」 ローニトークが止めたが、すでに走り出していたホルスの耳には届かなかった。 天幕の中には、エルフの少女だけが取り残される形になった。 イオナは陣地全体が見下ろせる、小高い丘の上にいた。もう夜も大分更けてきて、そろそろ日付が変わる頃だ。 「イオナ!」 聞きなれた、自分を呼ぶ声がした。だが、彼女は声の方には見向きもせずに、生返事を返す。 「なにか用ですか?ホルス様。」 あちこち探し回ったんだろう。イオナの傍にまで来た少年は、息を切らし肩を上下させていた。 「あ・・・あの、さっきはすまなかった。」 ホルスが頭を下げる。それはとても神剣を抜いた勇者とは思えないほど、素直な謝罪だった。 「いいんです。気にしてませんから。どうせ私はチョコの受け渡しなんて世俗的なものには関係ない、冷血神官です。」 「いや・・・そんなことは・・・」 思ってもいない言葉が、自分の意思とは関係なく、声として発せられる。 ホルスが困っていることも、もう自分がホルスに対して怒っていないことも知っているはずなのに・・・ 「もういいです。ホルス様は、わたしのことなんてどうでもいいんですよね。」 思わず憎まれ口がでてしまう。こんな事ばかり言っていたら、本当に嫌われるんじゃないか。そんな心配がイオナの胸をかすめた。 「それは違う!」 だが、ホルスは顔を上げると、はっきりと否定した。イオナはその声に驚いて、思わずホルスの方に振り返る。 「私は君にとても感謝している。君がいなければ、私は今頃神殿軍を壊滅させた戦犯として神判を受けていただろう。  いや、そもそも神殿軍を率いることすらなかったかもしれない。どうでもいいなんて、思っているわけないだろう。」 その言葉に、イオナは思わず頬を赤らめた。今が夜で本当に良かった。明るかったら、流石にバレていただろう。 ずるい人だ・・・イオナは心の中でつぶやいた。普段は全く鈍感なくせに、こういうときだけ心に響くことを言う。 その愚直さとも、誠実さとも、天然ともつかないホルスの性格こそが、イオナにとってある意味最大の弱点だった。 「ホルス様のお気持ちはわかりました。で、なぜホルス様は私がチョコを渡さないと思ったのですか?」 「えっえと・・・それはその・・・」 先ほどまでの威勢はどこへやら。ホルスはしどろもどろになる。そんなホルスの様子を見て、イオナは思わず力が抜けるのを感じた。 「ほら、やっぱり。もう知りません!」 イオナが顔を背ける。でも、その表情に先ほどの悲しみの様子はなかった。むしろ照れ隠しにも見えた。 しかし、その顔が見えないホルスは、困ったようにイオナへ何度も謝罪の言葉を口にした。 これでいいのだ・・・イオナは思った。あまり近くになりすぎると、神に使える身としてよからぬ結果に繋がるかもしれない。 せめて戦乱が終わるまでは、遠くないけど近くない、今の距離を保っていよう。と・・・ そんな二人を、物陰から見ている者達がいた 「雨降って土固まる、だね。」 「イオナ様も変わりましたね。わたしがラザムにいた頃とは別人のようです。」 「正義と平和を象徴するお二人の関係、しかと拝見させていただきました。」 「しっかしみんながホルス様にチョコを用意してるとはね~。キュラサイト、あんた若干残念なんじゃないの?」 「な・・・わ、わたしは・・・そういうウェントルだって・・・」 「む~、このチョコどうしよう・・・食べちゃおっか?」 「好きにするの・・・ってわたしのチョコまで食べるな・・・なの・・・」 「やっぱりわたしはいらない子なんですね・・・」 「拗ねるんじゃないだわさ。あたしは応援するだわさ。」 「そうなのですぅ。それにホルス様ならきっと二人とも大事にしてくれるはずですぅ。だからカルラたちも、二人で一つのチョコをあげようとしたのですぅ」 「ボクオワン、ヨロシクネ(マスター、この方は一番になりたいから、ふてくされているのでは?)」 「ボクピヨン、ヨロシクネ(よせオワン、お嬢にはまだわからんのさ)」 空の月は優しく光り、辺りを優しく照らす。 丘の上に立つ二人も、そんな二人を見守る人たちもまとめて。 大陸の平和はまだ取り戻せないが、確かにその時、平和な時間は其処を流れていた。 ---- - ST自体はなかなかいいとはおもいますが、 &br()ホルスもイオナも今までのキャラ像と違い過ぎない? &br() &br() &br() -- 名無しさん (2011-02-18 10:18:30) - ↑筆者のあとがきに「キャラ崩壊してるけど気にしない」って書いてあった -- 名無しさん (2011-02-19 13:07:03) - こういう2828イベントは好きなので個人的には高評価です^^ &br()リューネとラザム・・・・・・何故差がついたか、慢心、環境のry &br()それから僭越ながら・・・・・・細かいことではありますが。 &br()雨降って土固まる→雨降って地固まる ではないかと思いました^^ -- 名無しさん (2011-02-19 20:08:11) - なかなか楽しませて頂きました -- 名無しさん (2011-02-20 13:19:29) - 俺にしてみれば、ホルスもイオナも &br()俺が従来持っていたイメージとさほど離れるものじゃないな &br()にやにやしすぎて表情筋が痛いです>< &br() -- 名無しさん (2011-02-20 17:57:24) - 一瞬リューネでもできそうだと思った自分が馬鹿だった。 &br() &br() &br() -- 名無しさん (2011-02-24 09:18:31) - ↑作者もやろうとしてたぞw -- 名無しさん (2011-03-04 12:18:47) - むしろ大体こんなイメージ -- 名無しさん (2011-03-07 01:01:11) - うぬ -- 名無しさん (2011-03-07 17:54:19) - バレ爆 &br()そういえばこの直後にローニトークの死亡が確定したんだよなぁ… -- 名無しさん (2012-02-14 08:48:47) - 不吉だ -- 名無しさん (2012-03-25 01:26:30) - こういうのにこれだけの数のコメントが付いていたのすごい -- 名無しさん (2020-03-27 18:00:28) #comment(size=60,vsize=3) ----

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