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**&color(blue){リュッセル城地下室} リュッセル城地下室 死んだリジャースドに代わりリュッセルの首領となったゾーマは、相次ぐ戦いによって「生産」される悪魔、人、リザードマン等の死体と、 廃都と化したルートガルドからはぐれた死霊を捕縛しては元地下牢の研究室に集めていた。 夜な夜な響く人ならざる者の呻きと漏れ出る障気に近寄る者は少なく、最低限の護衛兵以外には人を見掛けぬ事が常であった。 そんなゾーマがスーフェンを呼び出したのはミシディシによる郷士討伐への緊張が高まる中の事だった。 スーフェン「この様な時に、一体何事か。」 訪れたスーフェンの苛立ちを意にも介せず、ゾーマは魔導書にひたすらに式を書き続ける。 ゾーマ「所詮、郷士の討伐はあの白竜乗りの小僧の感傷に過ぎぬだろう…穹廬奴に対するお前と同じくな。 今はそれよりも気になる事がある。」 ゾーマの言葉にスーフェンはぴくりと眉尻を動かしたものの、平静を保ったまま続きの言葉を促す。 ゾーマ「ラザムに放っておいた草から、神殿の少年がラグラントゥーを奪われたという報告はお前も聞いているだろう。」 スーフェン「ああ、馬鹿なものだ。役にも立たぬエルフの小娘の対価に対抗手段を渡すとはな。おまけに小娘は殺されたとも聞いた。」 ゾーマ「確かにな。だが、問題はその後だ。ラグラントゥーを手に入れた女は、『殺しても死ななかった』という話だ。」 スーフェン「……。浄化の魔法を使っても死なず、すぐに甦る。光の賢者の魔法も無駄だったと聞く。」 苦虫をかみつぶした様な顔をするスーフェンにゾーマは軽く頷く。 ただでさえ光魔法の使えぬリュッセルオーダーでは勝ち目が無く、光魔法の代表とも言えるラザムとの潰し合いも狙えぬとあれば 勝機は封じられたと言ってしまっても過言では無い。 ゾーマは魔導書を閉じ、牢の一つの前に立った。牢の中では身動きを取れぬ様に封印を施された死霊が呻いている。 ゾーマ「死霊は聖攻撃、光の術、解呪の法によって倒される。それは知っているな。」 何を当たり前の事を、と言おうとするスーフェンを遮り、ゾーマは牢に入る。 ゾーマ「死霊とはほぼ魂だけの存在。故に浄化の光に弱い訳だが…もう一つ倒す手段がある。」 ゾーマが腰元に差した剣を引き抜く。一体どれ程の命を吸い取ってきたのであろうゾーマの剣。度重なる死を喰らって来た刃は暗く黒く揺らめいていた。 スーフェンは自身の身体に悍気(おぞけ)が走るのを感じ、何かが悲鳴を上げるのを幻聴した。 ゾーマ「見よ」 ゾーマが剣を死霊に突き立てる。瞬間、死霊はこの世に在らざる悲鳴をあげ、消滅した。 スーフェン「これは…」 スーフェンは冷たい地下でありながら汗にびっしょりと濡れていた。光による浄化では無い…断じて違う。 むしろ真逆。浄化されたのではなく、無理矢理に消されたかの様な… ゾーマ「闇の魔の中で幾千、幾万の命を砕き、喰らい貪る内に、我が剣は魂そのものを貪る力を得はじめたらしい。 さしずめ魂砕き…と言った所か…ふ、ふ、ふ。まだ完全とは言い難いがな。」 ゾーマは死霊を消滅をさせた自らの剣を面白そうに見つめる。刃はその黒さを一層増し、揺らめく蝋燭の炎の光に爛々と輝いていた。 ゾーマ「死霊の群れの女は、恐らくは魂の強度が特出して高いのだろう。その上で肉体を持つ。 肉体は魂に追従し、魂は肉体に縛られる。しかしラグラントゥーを手にした事で魂は肉体の制約を越えた。 …ただの小僧であったラザムの少年がいきなり戦えたのもそこに要因がある。 幾ら肉体を破壊しても無駄だ、肉体の制約を持たぬ身は強靭な魂に追従してすぐに再生される。 そして肉体がある以上、光による浄化は届かない。」 ならば…とゾーマはスーフェンを見る。ここまで言えばスーフェンで無くとも気付くだろう。 魂の強靭さが肉体を支え肉体が魂への光を遮るのであれば、魂を直接傷付ける事が出来れば… スーフェン「…は、は、は。ははははは!あはははははは! よもや死霊を殺すに魂自体を殺すとは!誰が思いつくか!そんな事!」 ゾーマ「あとの作業は瑣事だけだ。まだしばらくは時間が掛かるがな。」 スーフェン「構わん!死霊の王達との接敵にさえ間に合えば何の問題も無い! これに比べれば郷士共など瑣末な障害に過ぎん。あとは何が必要か!?」 ゾーマ「時間と、ありったけの死を食わせるだけだ。…ちょうど良い餌もある事だしな。」 二人は笑う。大陸を覆いつつある闇の中、更に暗い闇がここで牙を研いでいた。 ---- - ダークだぜ・・・・ &br() -- 名無しさん (2011-11-15 15:39:21) - (;゚д゚)ゴクリ… -- 名無しさん (2012-08-05 14:35:01) #comment(size=60,vsize=3) ----
**&color(blue){リュッセル城地下室} リュッセル城地下室 死んだリジャースドに代わりリュッセルの首領となったゾーマは、相次ぐ戦いによって「生産」される悪魔、人、リザードマン等の死体と、 廃都と化したルートガルドからはぐれた死霊を捕縛しては元地下牢の研究室に集めていた。 夜な夜な響く人ならざる者の呻きと漏れ出る障気に近寄る者は少なく、最低限の護衛兵以外には人を見掛けぬ事が常であった。 そんなゾーマがスーフェンを呼び出したのはミシディシによる郷士討伐への緊張が高まる中の事だった。 スーフェン「この様な時に、一体何事か。」 訪れたスーフェンの苛立ちを意にも介せず、ゾーマは魔導書にひたすらに式を書き続ける。 ゾーマ「所詮、郷士の討伐はあの白竜乗りの小僧の感傷に過ぎぬだろう…穹廬奴に対するお前と同じくな。 今はそれよりも気になる事がある。」 ゾーマの言葉にスーフェンはぴくりと眉尻を動かしたものの、平静を保ったまま続きの言葉を促す。 ゾーマ「ラザムに放っておいた草から、神殿の少年がラグラントゥーを奪われたという報告はお前も聞いているだろう。」 スーフェン「ああ、馬鹿なものだ。役にも立たぬエルフの小娘の対価に対抗手段を渡すとはな。おまけに小娘は殺されたとも聞いた。」 ゾーマ「確かにな。だが、問題はその後だ。ラグラントゥーを手に入れた女は、『殺しても死ななかった』という話だ。」 スーフェン「……。浄化の魔法を使っても死なず、すぐに甦る。光の賢者の魔法も無駄だったと聞く。」 苦虫をかみつぶした様な顔をするスーフェンにゾーマは軽く頷く。 ただでさえ光魔法の使えぬリュッセルオーダーでは勝ち目が無く、光魔法の代表とも言えるラザムとの潰し合いも狙えぬとあれば 勝機は封じられたと言ってしまっても過言では無い。 ゾーマは魔導書を閉じ、牢の一つの前に立った。牢の中では身動きを取れぬ様に封印を施された死霊が呻いている。 ゾーマ「死霊は聖攻撃、光の術、解呪の法によって倒される。それは知っているな。」 何を当たり前の事を、と言おうとするスーフェンを遮り、ゾーマは牢に入る。 ゾーマ「死霊とはほぼ魂だけの存在。故に浄化の光に弱い訳だが…もう一つ倒す手段がある。」 ゾーマが腰元に差した剣を引き抜く。一体どれ程の命を吸い取ってきたのであろうゾーマの剣。度重なる死を喰らって来た刃は暗く黒く揺らめいていた。 スーフェンは自身の身体に悍気(おぞけ)が走るのを感じ、何かが悲鳴を上げるのを幻聴した。 ゾーマ「見よ」 ゾーマが剣を死霊に突き立てる。瞬間、死霊はこの世に在らざる悲鳴をあげ、消滅した。 スーフェン「これは…」 スーフェンは冷たい地下でありながら汗にびっしょりと濡れていた。光による浄化では無い…断じて違う。 むしろ真逆。浄化されたのではなく、無理矢理に消されたかの様な… ゾーマ「闇の魔の中で幾千、幾万の命を砕き、喰らい貪る内に、我が剣は魂そのものを貪る力を得はじめたらしい。 さしずめ魂砕き…と言った所か…ふ、ふ、ふ。まだ完全とは言い難いがな。」 ゾーマは死霊を消滅をさせた自らの剣を面白そうに見つめる。刃はその黒さを一層増し、揺らめく蝋燭の炎の光に爛々と輝いていた。 ゾーマ「死霊の群れの女は、恐らくは魂の強度が特出して高いのだろう。その上で肉体を持つ。 肉体は魂に追従し、魂は肉体に縛られる。しかしラグラントゥーを手にした事で魂は肉体の制約を越えた。 …ただの小僧であったラザムの少年がいきなり戦えたのもそこに要因がある。 幾ら肉体を破壊しても無駄だ、肉体の制約を持たぬ身は強靭な魂に追従してすぐに再生される。 そして肉体がある以上、光による浄化は届かない。」 ならば…とゾーマはスーフェンを見る。ここまで言えばスーフェンで無くとも気付くだろう。 魂の強靭さが肉体を支え肉体が魂への光を遮るのであれば、魂を直接傷付ける事が出来れば… スーフェン「…は、は、は。ははははは!あはははははは! よもや死霊を殺すに魂自体を殺すとは!誰が思いつくか!そんな事!」 ゾーマ「あとの作業は瑣事だけだ。まだしばらくは時間が掛かるがな。」 スーフェン「構わん!死霊の王達との接敵にさえ間に合えば何の問題も無い! これに比べれば郷士共など瑣末な障害に過ぎん。あとは何が必要か!?」 ゾーマ「時間と、ありったけの死を食わせるだけだ。…ちょうど良い餌もある事だしな。」 二人は笑う。大陸を覆いつつある闇の中、更に暗い闇がここで牙を研いでいた。 ---- - ダークだぜ・・・・ &br() -- 名無しさん (2011-11-15 15:39:21) - (;゚д゚)ゴクリ… -- 名無しさん (2012-08-05 14:35:01) - DEEP♂DRAK♂FANTASY -- 名無しさん (2012-08-07 07:28:10) #comment(size=60,vsize=3) ----

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