リジャーズド・イレギュラーズ


ムクガイヤは正式に第三軍としたのだが、ルートガルト旧来の将兵は成り上がりの余所者を快く思わず、
イレギュラーズ(不正規軍)と蔑称した。
当のリジャーズドは、イレギュラーに常識外れの強さとか、規格外のモンスターとかのニュアンスを感じ、むしろ自分たちの呼称として好んで使用した、
ムクガイヤの前でも、抜け抜けと言い放つのである。

リジャーズド「リジャーズド・イレギュラーズ、只今帰還致しました」
ムクガイヤ「ご苦労であった。功は追って厚く報ぜられるであろう」
リジャーズド「有り難き幸せ」
ムクガイヤ「だがそれは何とかならんのか。無駄に敵を作る事もあるまい」
リジャーズド「忠告有り難く受け賜わります。『恐ろしい』敵なら、作りたくないものです」

周囲に緊迫が走る。リジャーズドに憎悪の目線を投げかける者も居る。
さすがのムクガイヤも、この男には呆れざるを得ない。

ムクガイヤ「仕方のない奴だ。分かった、もうよい。下がれ」

戦場において、兵士、特に身の拠り所の無い傭兵は、指揮官の事を激しく峻別する。
兵士達の要求水準を満たさない将は人望を失い、悪い場合には殺される事すらあった。

ムクガイヤは金に糸目を付けず各地から傭兵を集めた。
大陸中から集まった多士済済の中で、一兵卒から始まり、自らの軍事的才能のみで将にまで成り上がったリジャーズドにすれば、
国軍からの嫉妬や侮蔑など、一顧だにくれてやる余地は無かった。

ムクガイヤは、この男の危険性を見抜いている。危険と耳に入れてくる者もいる。
だが、サルステーネでさえ扱いきれなかった傭兵達が、リジャーズドの指揮に掛かると、手足の如く動くのである。
四方に敵を抱える中で、リジャーズドの能力は極めて魅力的であった。



名前:
コメント:

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年01月17日 20:05