フェリル連合崩壊


「ヒャッハーおー、これで、あいつらの国もわたしたちのものだー!」
「海の人間たちはおいしいものをたくさん持ってる。ぜんぶもらっちゃおう」
「そうです。人間たちは悪役だし負け犬なんですから、支配だとか共生だとか
 生ぬるいことは必要ありません。好きなだけ奪い、殺し、その文明を悉く吹き飛ばした
 あとに、ゴブリンの新国家を建設いたしましょう」

人間たちは互いに分かり合えた。だが、力が足りなかった。ゴブリンの圧倒的な物量と
ゴブリンの英雄たちの前に連戦連敗。ついに、フェリル連合は最後の拠点まで奪われ、散り散りになって
逃げ延びる。かつて人間たちがゴブリンにした仕打ちを、彼らは味わっているのである。
「ゴブリンめ、これ以上の無法は許さん!」
この男、双剣の傭兵イーサリーという。連合が崩壊した今、義理立てすることはなにもない
のだが、故郷・ハルトへの道は死霊にふさがれているため、島の民を守る自警団を率いていた。
イーサリーはこれまで残党狩りに出てきたゴブリンたちを返り討ちにしてきた。

「おっ、おまえは! フェリルの人間どもで一番強かったやつだな!
 よし、わたしがたおしてやる! みんな、手をだすな!」

剣を持ったゴブリン少女・ムッテンベルが前にでる。構えは我流で隙だらけだがそれゆえに先を読みにくい。
先に仕掛けたのはムッテンベルの方だった。身の丈の数倍の高さまで飛び上がり、落下の勢いのまま
に打ちかかる。イーサリーはそれを二刀のうちの片方のみで受け流す。続いて少女は着地際になで斬りを
繰り出す。イーサリーがこれを受け止めたところで両者の動きが止まる。イーサリーが反撃にでる。
二本の白刃がゆらめくと、恐るべき速度と切れ味の斬撃がムッテンベルを襲う。
辛うじて避わした剣の切っ先が周囲の建物を削りとり切り刻んでいく。
不利だ。剣を捨ててでも後ろへ飛び退き、立て直そうとする。イーサリーの攻勢は止まらない。
相手が飛び退くのを見越して呪文を詠唱しておいたのだ。直撃コースでエアカッターが容赦なく
ムッテンベルを捉え……たかに思えた。両者の間にジンが割って入ったのだ。

「おい、フーリエン。手出しするな!」
「あなたは少しひとりで戦うのに固執しすぎます。ゴブリンの闘いは集団で行うものです」

フーエンとキスナートが大量の召喚獣を現出させる。騒ぎを聞きつけてイーサリーの仲間も
集まってくる。当然、ゴブリンたちも他所から集まってくる。乱戦になる。だが、やはり
ここでも人間は勝てず、逃げることとなる。イーサリー、ムッテンベルの両剣士はこの闘いでも
数知れぬ敵を討った。イーサリーは自分の悪運を自嘲し、ムッテンベルは自分の未熟さを噛み締めた。



  • 昔のFTユーザーってムッテンベル好きだよね
    このロリコンどもめ! -- 名無しさん (2020-03-17 22:08:57)
  • キスナートか活躍している
    99999999点 -- 名無しさん (2023-09-16 12:32:53)
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最終更新:2023年09月16日 12:32