大切な会員


「実はこのところ、我が区では吸血鬼事件が相次いでいます」
「吸血鬼か? お宅の娘さんなんかは心配でしょうに」
「いやね、吸血鬼といえば、子供や若い娘が危ないってのが常識なんでしょうが、
 今回はちょっと異質でして、なんでも、老若男女問わず襲われているとか」
「なんとまぁ、カバーの広い吸血鬼さんだな」
「さらに不気味なことに、貴族、労働者、他所者、兵士などの身分から
 性別、年齢層を細かくカテゴリ分けして均等に襲っているようでして」
「計画的犯行? というか、そのやり方は魔術師のそれだな」
「魔術師……ですか?」
「よし、その依頼受けよう」
少女戦士はお代を払うと、その酒場をあとにした。

「貴様が例の吸血鬼か! 無差別に人を襲う不逞の輩め、この正義の
 マジックナイトが成敗してくれる!」
「………」
少女戦士が氷の魔法を撃ち出すと、吸血鬼と呼ばれた男はそれを軽く受け流す。
「そのかわし方、やはり魔術師か。なぜこんなことをする?」
「……可能と思ったから試した。それだけだ」
男は壁に手を伸ばす。壁伝いに『なにか』が侵食し、それが路地裏の冷えた床を伝って
少女の足にまとわりつく。
「ち……からが……ぬけて……?」
闇魔法の詠唱はなかった。これは、少女が今まで見たこともない魔法であった。
無理もない、このブラッドドレインはこの男が独自に編み出した全く新しい魔法なのだから。
「……魔法戦士か。悪くないサンプルだ」
無力化し、動けない少女の前に男が音なく歩み寄る。
ここで終わるのか? 少女は死を覚悟した。
「マジックナイトさん!」
闇の中を声と共に光の弾丸が駆け抜ける。
オステアの天才魔術師が部下を引き連れてかけつけたのだ。
「……不利か」
そういうと、男は闇の中へと消えていった。
「大丈夫ですか、マジックナイトさん」
「アルジュナ……。ごめん、また助けられちゃったね」
「いえいえ、マジックナイトさんは大切な会員さんですから、まだ生きててもらわないと!」



  • 会員ww -- 名無しさん (2012-08-04 13:26:11)
  • 難易度変わるくらいの重要キャラなのは間違いないよね。 -- 名無しさん (2012-08-04 15:41:48)
  • 会員って何のネタなんだろう? -- 名無しさん (2024-01-12 09:46:54)
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最終更新:2024年01月12日 09:46