置き去られた死体


イオナ国は大陸を統一した。
盛大な戴冠式を執り行い、祝賀会までの合い間重鎮達はサーザイトの前に集まっていた。
サーザイト「これからが本当の正念場です。頼みますぞ宰相殿。」
ニースルー「私が出来ることなら何なりと。貴方様ならば真に信義と慈愛に溢れた政治を持って民の恵みとなる事が出来ましょう。」

以下、初期人材とのありがちな一言程度の会話
ヨネア・・・宮廷魔術師
チューニッヒ・・・将軍
ハイトローム・・・親衛隊長
コーネリー・・・副将軍(治安部門の長)

チューニッヒ「ところで、エルラム殿の姿が見えませぬが?」
ニースルー「・・・・・・」
ハイトローム「・・・・・・」
サーザイト「エルラムは出て行った。パーサにさえ干渉しなければ人の治世には興味はないそうだ。」
チューニッヒ「なんと、そのような(殊勝な)御仁には見えませんでしたが。」
サーザイト「エルフにはエルフの国がある。協力と引き換えに自治権を確約させることが当初からの目的だったのだ。」

イオナ近郊の草原、岩場に隠されるように置き去られた死体があった。腐敗が進み人物の特定はもはや難しいが、特徴的な耳はエルフのものである。
死因はすぐにも目に付く胸元に大きくえぐられた穴であろう・・・・・・熟練の騎士による凄まじい突撃を受けたことは想像に難くない。
だが、遺体を詳しく調べれば、背中の魔法創に気が付くはずだ。微かに残る残留魔力はこの者が突撃を受ける前に背後からパラライズの魔法を受けていたことを物語っていた。
リッチームクガイヤを送還した夜、己を取り戻したハイトロームはサーザイトとニースルーに全てを打ち明けていた。
エルラムが闇の訪れを歓喜している事。送還を妨害する為にイオナ国に侵入したこと。ハイトロームを焚きつけサーザイトとニースルーの殺害を企てていた事。そして今でも命を狙っている事を。
サーザイトは報告を受け、ハイトロームにそのまま協力者のフリを続ける事を命じた。
その日、エルラムはいとも簡単に誘いに乗った。心から闇の訪れを喜ぶが故に、よもや同じ闇に生きるハイトロームが敵に付くなど想像だにしなかったのである。



  • せめて遺体は葬ってやってくれ…
    -- 名無しさん (2012-08-04 13:05:07)
  • これシナリオで読んだときゾワっとした、非常に良いと思う -- 名無しさん (2020-09-13 17:16:45)
  • イオナ国の物語、トゥルーエンドに行けなくてもこれとかに辿り着けるとカタルシスあるよね -- 名無しさん (2023-04-30 11:31:31)
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最終更新:2023年04月30日 11:31