ルグナナムとヒューマック


ルグナナム「ヒューマックさんよぉ。あんたの部隊に入れば騎士団の後方を攪乱する仕事につく
って聞いたんだが・・・・・・。なんでこんな最前線にいるんだ、俺ら?」
ヒューマック「仕方あるまい。ムクガイヤ様は俺たちに前線で騎士どもを
食い止める働きを期待しておいでだ。本来戦術屋の仕事じゃあないが、定められし有様にはってヤツよ。」
ルグナナム「ハン・・・そういうことなら、いやその方がわかりやすくていい。」
敵軍が迫ってきた。
ルグナナム「ブレアの騎兵はでかくて強そうだな。アルナスの痩せっぽちどもとは違う。」
騎士たちが速度を上げる。ルグナナムは標的にされた。剣を構え、ルグナナムは迎えうつ。
ルグナナム「食らいやがれ!火竜剣!」
しかし、騎兵突撃の前に剣を弾き飛ばされる。ルグナナムは手ひどくやられた。
ルグナナム「ぐはっ!」

その後、後方の陣にて
ヒューマック「死にぞこなったか、ルグナナム。」
ルグナナム「あんた、碌に戦いもしねぇで逃げやがったな。見てたぞ。」
ヒューマック「ふっ、俺は給料分の働きはしてから退いた。退くもまた勇気であろう。
今回の短い戦闘の間にかなりの数の兵が死んだが、あいつらはそういう意味じゃあ
「退く勇気がなかった」と言える。」
ルグナナム「チ・・・いけ好かねぇ野郎だ。ま、悔しいが、あんたの方が正しいようだな。」
ヒューマック「・・・・・・ふむ。おまえは阿呆だが、それなりに場数は踏んでるようだな。
その悪運と度胸や良し。あとはちょっとばかし技が備われば使えるようになるかもな。」
ルグナナム「なにぃ?・・・・・・なるほど。こんな簡単なことで良かったのか。」
ヒューマック「ちょっとしたことに気づけば戦場でできる仕事の数はまるで変わってくる。
ほとんどの奴はそれにすら気づかずに死ぬんだがな。」
ルグナナム「へっ。感謝はする。だが恩に着たりはしないぜ。」

次の戦場にて
ルグナナム「後退!後退!浅瀬の地形に誘い込め!」
モブ騎士A「逃げるな臆病者ども!追え!追え!」
モブ騎士B「浅瀬に逃げたとて、貴様らに何ができる!」
剣を抜き放ち、火の神の加護を求める。徒歩火竜剣。だが、悪地形であってもこの武器では騎士に太刀打ち
できはしない。そう思われたが――。
高熱を帯びた幅広の刀身を振り上げる。剣に水滴がつくと即座に蒸発し、その熱さを物語る。
灰色髪の剣士は全力で火竜剣を水面に打ち付けた。大量の水蒸気が発生し、敵と味方の視界を覆う。
モブ騎士A「おのれ、ちょこざいな!」
ルグナナム「仕掛けるぞ!」
少数の兵とともにルグナナムは転進する。視界はゼロ、しかし敵の気配で距離はわかる。
彼らは特殊な作りのナイフを取り出し、ギリギリの間合いで放つ。
モブ騎士B「ぐっ。姑息な。こんなもので・・・。」
ルグナナム「今だ!」
彼の剣が再び炎を纏う。複数の短剣により勢いと守りを弱められた騎士たち。
今なら勝てる。かつての彼は己の剣のみで戦うことに固執していた。しかし、幾多の死線を越える中、
剣のみでなく肉体と技、知力の限りを尽くして戦うことこそが肝要と知った。
ルグナナム「うおおっ!」
モブ騎士A「ぐああ!」
大身の赤い剣が馬ごと騎士を焼き切る。速度はないが、威力は十二分である。

意気揚々と本陣に凱旋するルグナナム。
しかし、彼に知と技を授けた男は彼の数倍の働きをしてなお涼しい顔をしていた。



  • モブ騎士A、Bじゃなくて名前会ったらよかった -- 名無しさん (2020-06-30 22:56:52)
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最終更新:2020年06月30日 22:56