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ニースルーは、例え高位の神官であっても疑問があれば議論を挑み、語るに足りない相手には侮蔑さえ顕わにしました。
一方イオナは必ず相手を見ます。分を弁え、礼を正し、相手を持ち上げます。
特に、自分を終わった人間だと思っている老人は、若手のホープと目されているイオナの来訪をとても喜びました。

卒業後、彼女たちもラザム教団の実務を担う事になります。
教団ヒエラルキーを駆け上る花形は、魔法部と教理部と見られていました。ニースルーは魔法部を進みます。
ライバルとみられるイオナは、当然教理部を選択すると思われていましたが、彼女は迷わず財務部を選択しました。
財務部に入ると、精力的に活動を始めます。離婚不倫、身分差結婚、養子縁組等の宗教的ロンダリング、高利貸しと回収、(不祥事隠蔽のための)祭祀企画、果てはエフォードと組んでインチキ奇跡上演等など、
外形的に善人でありたい人たちが嫌がる汚れ仕事を、進んで引き受けました。
一方で集金部門の組織化、効率化を進め、教団の財政を中央から把握できるようにしました。その結果、地方で中抜きをしていた神官達の利権を潰してしまいます。

ニースルー自身に閥を作る意思は無かったのですが、彼女に心酔するメンバーと理解する高位神官が集まって、自然発生的に魔法/教理研究会が出来ていました。
そこへ、イオナに利権を潰された神官達が目をつけます。単純に逆恨みした者、利権の復活を狙う者、教団ヒエラルキーの再登を狙う者。
裏を考えないニースルーは、来る者は拒まずの姿勢で迎えました。研究会が大きくなるに従って、反イオナ派の牙城の色彩を帯びてきます。
ニースルー自身も、反イオナの旗頭に担がれてしまいました。

この状況をイオナは寧ろ歓迎しました。イオナは、集まりつつあったメンバーはもちろん、ニースルー自身についても政治的能力は評価していません。
ならば、ニースルーグループをコントロール可能な敵として温存するのは何かと便利です。
善意のカタマリであるニースルーと周辺には、金銭の扱いを熟知する人間が居ません。しかし、グループは大きくなるし、独自の魔法研究を望めば金銭はどうしても必要です。
イオナは、神殿の帳簿に空いた小さな穴を、意図的に見逃す事にしました。ニースルーグループの支えになるし、もし事態がイオナのコントロールを越えそうになった時、横領の事実は何かと役に立つはずです。
厳しくグループを管理するなら防げた事でしょうが、ニースルーには全くその気がありません。メンバーのうち忠誠心過剰なのが引っ掛かり、暴走を開始します。
ですが、グループではともかく金銭を調達してくれるとして重宝されました。

  • 神殿軍について
ほとんどの教団関係者(マグダレナも含む)は、神殿軍にある程度の実力があると思っていましたが、イオナはそう思っていません。
実戦経験が無く、明確な指揮系統を持たず、装備が統一されておらず、集団行動の教練を行ってるわけでもない軍隊は使い物にならないんです。
イオナは、アルナス先代の大汗が神殿の自治権を認めていたのは、ルートガルトの威光があったからで、ルートガルトが混乱すれば大人しくしているはずがない、と考えて神殿軍の育成を急ピッチで進めました。
軍隊とは何かと金の掛かるものです。武器や食料、戦闘資材の調達、防御施設の整備、情報の入手、怪我人や死者の家族の生活保障・・・イオナが教団の財政改革を急いだ理由は、ここにもあります。
何とか若い神官たちをモンクとしてある程度の行動が出来るまで育て上げましたが、クルセーダーと呼ばせる予定だった神聖重装歩兵の育成は、ナルディアの侵攻に間に合いませんでした。
(S1でイオナ&ホルスが中立の理由)


  • これアナザーの人かな?面白い設定だと思う -- 名無しさん (2024-01-12 09:40:40)
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最終更新:2024年01月12日 09:40