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ここはラザム神殿。遠くルートガルトから、多くの巡礼者が、聖跡を求めてやってきます。
エフォード率いるアルナス鷲の部族は、砂漠の厳しい自然から巡礼者を保護する事を生業としていました。

神殿の脇に天幕が張られ、何やら人だかりが出来ています。
エフォード「さぁさぁ、神殿の浮かし彫りの入った純銀の聖杯っ!これで清めた聖水を振れば、ご家族皆々様も加護に与れる事間違いなしっ」
どうやら土産物を売っているようです。古今東西、観光客が土産物を求めるのは変わりませんね。
エフォード「こちらは神殿で特別に清められた、「ラザムの金貨」だよ、世の中のありとあらゆる災いから持ち主を守ってくれる、ありがたーい品物だっ!」
卑俗的ですが、それだけに活気に満ち溢れている空間です。

神殿を見物して、土産物を買い漁った巡礼者達は、信仰心も好奇心もおなか一杯で帰り道につきます。

しかし、砂漠の自然は厳しいのです。慣れた鷲の部族の者達にさえ、どうにもならない事もあります。
帰り道、巡礼隊は砂嵐に遭遇してしまいました。巡礼者達は恐怖に震え、鷲の部族の男たちの指示の下、身を隠します。
普段ならやり過ごすうちに静まるのですが、どういうわけか荒れ狂うばかりです。鷲の部族の男たちも、焦りの色を浮かべます。

エフォード「これは神のお怒りに違いない。ラザムの金貨を差し出して、神の慈悲に縋ろうではないか」
慌てふためく巡礼者達は、我先に金貨を差し出し、祈りを捧げました。

半時ほどすると、砂嵐はウソのようにおさまり、砂漠はいつもの表情を取り戻しました。
巡礼者達は安堵し、神の加護に感謝感激します。これぞ神の力に違いない、神の存在をこれほど身近に感じた事はない・・・・。
金貨が1枚も残らず砂嵐の中に消えた事など、誰も気にとめません。

その夜、巡礼隊はオアシスで宿を取りました。皆が寝静まった頃の事です。
部族の男達は、今日思い切り働いたグリフォン達に労いの水を飲ませてやってます。
エフォードは、回収したラザム(?)の金貨を磨いていました。

(?)「随分楽しいお芝居でしたね」
エフォード「何だ、こんな夜更けに・・・・げぇ!イオナ!」
イオナ「あら~、族長様にお会いしたくてわざわざここまで来たのに」
エフォード「知るか、帰った帰った!」
イオナ「そんなつれない事仰らないでくださいませ」
エフォード「・・・・ラザムの神官が、異教徒に用など無かろう」
イオナ「はんぶん♪」
エフォード「意味がワカラン。何の話だ」
イオナ「私の口から申し上げなければなりませんか?」
エフォード「・・・・知らん知らん。ワシも忙しいのだ、帰れ帰れ」
イオナ「私にそんな事言っていいのかしら~?神殿の脇の土産物屋は撤去、巡礼の方にはニセ奇跡に注意するようにお伝えしないといけませんわ」
エフォード「あわわわわ、わ、わ、ワシらを強請る気か!?」
イオナ「そんな酷い事申し上げませんわ~。私は共同経営に参画したい、それだけの事なのに」
エフォード「くっ、言い方が違うだけではないかっ。・・・・仕方ない、1割出そう。それで手を打ってくれ」
イオナ「よんわり♪」
エフォード「何て女だ、う、うーーーん・・・2割だ。これ以上は出せん」
イオナ「お金頂くだけなんて事はしませんわ。こちらも祭事の内容を吟味して、巡礼の皆さんにもっと神を身近に感じて頂けるようにしましょう。3割、決まりですね」
エフォード「卑劣なっ・・・・お前本当に神官か!?」
イオナ「貴方にも神のご加護がありますように」

・・・・今日も砂漠は平和でありました。


  • シナリオだけ読んでてもイオナ(悪)って特に「悪」に感じないけど
    こういうのがたくさん書かれてたなら確かに悪だな -- 名無しさん (2020-09-13 17:11:21)
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最終更新:2020年09月13日 17:11