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ローニトークと神剣を失いこれまでかと思われたホルス陣営であったが、
人が変わったかのようなホルスの獅子奮迅の活躍により、ラザム同盟は互角、いやそれ以上の戦いを繰り広げていた。
そして遂にデッドライトとホルスが戦場で相まみえる。

結果ホルスは敗れた。ホルスはデッドライトを圧倒したが、
いくら傷ついても時間が巻き戻るように再生するデッドライトの前に遂に力尽きた。
ホルスは仲間に救出され逃走したが、これを機にラザム同盟は壊走。
ラザム同盟は死霊軍に滅ぼされる。

視点変わってパーサ陣営
ラザム同盟滅亡の情報はパーサ陣営にすぐ届いた。
パーサ陣営も死霊軍に取り囲まれていたが、セレン達とオルジンの活躍によって森は守られていた。
特にオルジンの戦果はすさまじく、「森の守護者」と彼は呼ばれるようになっていた。
事実、目の前に相対していたリッチースネアの進軍はオルジン一人の力で止めていたようなものだった。

両者はにらみ合いを続けていたが、ホルス達が敗れたことでここが落とされるのも時間の問題かと思われた。
そこに転機が訪れる。ホルス達がオルジン達の元に逃げ延びてきたのだ。

オルジン達と合流したホルス達。ホルスの傷は癒えたが、状況は良くなかった。
パーサの森は死霊達の大群に取り囲まれていた。
パーサ陣営が来るべき決戦の準備に入り、ホルスはオルジンの部隊に配属された。

そして遂に決戦のとき。
死霊の大群を前にホルスは恐怖していた。
デッドライトに不死の力を見せ付けられ、彼の心は萎縮してしまったのだ。
ホルス自身は自分の抱いている恐怖を理解できておらず、死霊に立ち向かうつもりだったが、
オルジンはホルスが恐怖していることを見抜いていた。

オルジン(このままでは彼は死ぬ…)

そう考えたオルジンはホルスを部隊の後方に配置し、援護を担当させることにした。

決戦開始。
ホルスは部隊の後方で動けないでいた。
ホルス「足が動かない…!」
恐怖が彼の足を止めてしまっていた。ホルスはオルジンの戦いを後方から見つめていた。

オルジンの戦い方を言葉に表すなら堅実な立ち回りだった。派手さは全く無く、教科書のような戦い方。
しかし死霊を前に一歩も引かないその後ろ姿にホルスは見とれていた。
いつしかホルスが抱いていた恐怖は消えていた。かつてローニトークがホルスの戦いに勇気づけられたように。

オルジンはリチムク、スネアを退け遂にデッドライトと相対した。

オルジンはその聖剣で何度もデッドライトを傷つけたが、結果は以前のホルスの時と同様だった。
埒が明かないと判断したのか、オルジンは突然大きく間合いを取り、不思議な構えを取った。

この戦いで一度も見せたことの無い構えであった。
デッドライトもただならぬ気配を感じたのか、両者はしばしの間にらみ合った。

オルジンとデッドライト。両者の膠着状態はオルジンによって破られた。

オルジン「うぉおおおお!!」
オルジンが剣を一閃したと同時に眩い閃光がデッドライトを包み込んだ。

目も眩むような閃光のあと、ホルスが最初に目にしたのは膝をつき苦悶の表情を浮かべるデッドライトだった。

ホルス(再生が遅い……!?)

デッドライトの半身は無くなっており、その再生も非常にゆっくりとしたものだった。
勝てる!そう思ったホルスがオルジンのほうを見たとき、希望は絶望に変わった。

オルジンの剣は消滅し、またその腕はボロボロになっていた。

戦いは死霊軍の勝利に終わった。パーサ陣営は森の奥に追い込まれる形になった。
オルジンが負傷し、陣営には絶望と呼べる空気が漂っていた。

しかしそんな中ホルスは違った。
彼の脳裏にはオルジンの放った技が焼きついていた。

数日後

パーサ陣営と死霊軍が森で再び相対した。
パーサ陣営にはまともな戦力が残っておらず、対する死霊軍は前回と同等の戦力を揃えてきていた。

パーサ陣営の士気は低く、このまま死を待つだけかと思われた。
しかしそんな中、ホルスが陣の先頭に躍り出た。

ホルスの戦いはすさまじかった。
その姿はオルジンの戦い方によく似ていた。

そしてホルスは再びデッドライトに前に立ち、そして構えた。
その構えは以前オルジンが見せたものと全く同じだった。

後に「ホーリースラッシュ」と呼ばれるその技はオルジンからホルスに受け継がれていた。

ホルスがあの構えを取ってからどれだけの時間が流れただろうか。
デッドライトとホルスはお互い睨みあったまま動かない。
その様子を仲間達が固唾を飲んで見守っていた。

その膠着はホルスの手で破られる。
ホルスが剣を一閃し、周囲が光に包まれる。
ここまでの展開はオルジンの時と全く同じ。仲間達はオルジンの時とは異なる結末を願った。

しかし現実は無情だった。
結果はオルジンの時とほとんど同じ。オルジンの時よりも大きなダメージを与えているように見えたが、
デッドライトの傷はゆっくりと再生を始めていた。

絶望が仲間達の心を襲った。
デッドライトはホルスにとどめを刺そうとゆっくりと立ち上がる。

そのときデッドライトが何かに轢かれて吹き飛んだ。

「……!?」
一瞬皆なにが起こったのかわからなかった。
デッドライトを吹き飛ばした正体はホーニングの突撃だった。
ホーニングの目は死んでおらず、何も言わず再び突撃の構えを取る。
この姿を見て皆が我に返った。

マクセン「デッドライトに火力を集中させろ!」
ナシュカ「モンクとエルフ部隊はホルス殿を救出してください!」

この声に弾かれるように全員が動きだした。

戦いの結果はパーサ陣営の勝利に終わった。
マクセン達はデッドライトに再生の機会を与えず攻撃し続け、死霊軍を森から追い返した。
ホルスの腕はオルジンと同じように負傷していた。

奇跡的な勝利に皆歓喜したが、マクセンとナシュカは違った。
彼らにはこのままでは次の死霊軍の攻撃を耐えることができないのがわかっていた。

そこに傷の治療を終えたオルジンとイオナが一つの提案をする。
それは遺跡に眠っている大いなる力を探しに行こうというものだった。

オルジンが遺跡探索の準備をしている間、マクセン達は作戦会議を行っていた。
オルジンが戻ってくるまでの間、死霊軍の攻撃をどう耐えるかを考えていた。

最終的にナシュカの提案した案が採用されることになった。
その作戦とは要はゲリラ戦に近いものだった。
それは敵軍に少数精鋭でもぐりこみ、各地で散発的に小規模戦闘を行って時間を稼ぐというもの。

おおよそ正気の作戦とは思えないものだったが、誰もこの案に反発するものはいなかった。
戦死覚悟の作戦であり、辞退したいものは自由にしていいとあったが、辞退者は誰もいなかった。

作戦のメンバーは単純戦闘力の高いものと機動力に優れた部隊で構成され、以下に様に決まった。

海上作戦部隊…セレン率いるドラゴンナイト部隊、ニーナナス、ナシュカ率いる海賊部隊
沼地作戦部隊…マクセン、キュラサイト率いる戦闘部隊、ナオーン率いるローグ部隊

その他、海上や沼地での戦闘に向かないホーニング達等は森の防衛を行うことになった。

作戦決行前夜、部隊はささやかな宴会を行った。
静かな宴会だった。ほとんどの人間が生きて帰れる可能性が低いことを感じていた。

作戦開始。

部隊はそれぞれ、一撃離脱の小規模戦闘を繰り返した。
作戦は順調かと思われたが、マクセン達に試練がおとずれる。

偵察を行ったローグから絶望的な情報が伝えられた。
「デッドライトとリッチースネアがこの沼地にいる」

ムクガイヤの姿は見えなかったのが幸いだが、部隊の士気は目に見えて下がっていた。
マクセン(こっちが貧乏くじをひいてしまったか……)

マクセン達の戦いは地獄の様相となった。
デッドライトとリッチースネアとはまともに戦えない上に、
死霊軍の戦力が集中しないように散開して連続戦闘を行う必要があった。
まるでゲリラ戦と撤退戦を同時にこなしているようだった。

ローグ達を連れてきたのは正解だった。
彼らの隠密行動と情報連絡能力のおかげで部隊は生き延びていた。

しかしそんな戦い方も限界を迎えようとしていた。
部隊から遂に逃亡するものが出始め、精鋭であるキュラサイト達の顔にも明らかに疲労の色が見えていた。

マクセン(ここまでなのか…? なにか、なんでもいいから時間を稼げるきっかけさえあれば…)

マクセン達は遂に沼の端に追い込まれた。
死霊軍に取り囲まれたマクセン達は覚悟を決めていた。

マクセン達が最後の戦闘を行おうとした瞬間、
突如炎と光線が死霊達をなぎ払った。

ドラスティーナ「ふふん。」

光線が飛んできた方向にドラスティーナが自信満々の表情で立っていた。
そしてその傍には巨大なドラゴンが付き従っていた。

デッドライト「……!!」

ドラスティーナが手で合図すると、ドラゴン達は一斉に攻撃を開始した。
閃光と光線が乱れ舞い、死霊達を消し飛ばしていった。

マクセン達はドラスティーナ率いる悪魔達とホーリードラゴンの協力によって死霊軍から沼地を取り戻した。
ドラスティーナ達はデッドライト率いる死霊軍に敗れたあと、リグナム火山に逃げ込みホーリードラゴンを探していたのだった。

その頃ホルスが復活し、またオルジンが遺跡から戻ってきていた。
遺跡探索の結果、手に入れたものは一体のアルティマイトと古びた剣だけだった。

遺跡に遺されていたアルティマイトはこの一体を残して全て機能停止していた。
古びた剣のほうは聖なる力は感じとれるが、ラグラントゥーにはとても及ばないものだった。

ホルスとオルジンはその剣を手にとって試し切りをやってみたが、双方の感想は
「この剣からはあの技に耐えられるほどの力強さは感じられない。ラグラントゥーにぶつかれば一方的に負けるだろう」
という意見で一致した。

それを聞いたドワーフ達が名乗りを挙げた。
その剣を鍛えるというのだ。

ホルスとオルジンはその提案に賛成した。
どのみちこのままでは使い物にならないと感じたからだ。
長い時間が剣を風化させており、このままでは普通の剣を使ったほうがましだったからだ。

ドワーフ達が剣の鍛錬にとりかかり、ホルスとオルジン達が前線に合流した。
ドラスティーナとドラゴン達が快進撃を続け、ホルス達もまた死霊軍を蹴散らしていった。

ホルス達が大半の土地を死霊軍から解放した頃、
完成した剣がホルス達の元に届いた。

ホルス&オルジン「これは……すごい!!」
以前見たものとは別物のように変わっていた。この剣ならあの技に耐えられるかもしれない。

ホルスはこの剣をオルジンに持ってもらうようお願いしたが、オルジンはそれを断った。
この軍はホルスを慕うものが多かったので自分が持つよりもホルスが持ったほうがいいだろうと判断した。

ホルス達はデッドライトとの最終決戦が近いことを感じていた。

ホルス達は遂に死霊軍を王都ルートガルトに追い込み包囲を完成させた。
しかし一部のものは言い知れない不安を抱えていた。

マクセン(沼地から死霊どもを追い返して以来、死霊軍の抵抗が弱い……
     それにデッドライトとリッチースネアの姿もあれから一度も見ていない…
     なにを考えている……?)

王都ルートガルドを包囲した全軍がホルスの合図を待っていたとき、死霊軍に一本の軍旗が立った。

ホーニング「ムクガイヤの軍旗………?」

そして死霊軍の中から一人の黒い男が前に出た。
黒い法衣で全身を包んでおりその顔は伺いしれないが、
その右手にはラグラントゥー、左手にはマクラヌスが握られていた。

その男が何者なのかは皆容易に想像できた。
そして同時にデッドライトよりも強大な敵が目の前に立ちふさがったことも瞬時に理解した。

思えばこの戦いは全てあの男から始まった。皆の胸に散っていったかつての戦友達の顔がよぎる。
セレンはかつてのアルティナの勇姿を思い出し、ホーニングは槍を持つ手に力をこめた。

ホルスが静かに剣を真上にあげる。

ホルス「全軍突撃!!」


エピローグ

ホルスとイオナはローニトークの墓の前に立っていた。
ホルスはローニトークの墓を見つめ、イオナはホルスの横顔を見つめていた。

ホルスの雰囲気がオルジンに似ている、とイオナは感じた。
かつてのホルスであればイオナは表情からホルスの考えが読み取れていたが、今のホルスからは読み取れなかった。
イオナはホルスがどこか遠くに行ってしまうような気がしていた。

ホルスはそんなイオナの考えを知ってか知らずか、彼の心は外海に惹かれていた。オルジンがやってきた外海に。

オルジンは誰にも何も言わず去ってしまっていた。ホルスはオルジンにもう一度会いたいと考えていた。

ホルスはラグラントゥーを元の場所に返していた。
あれだけの激戦にも関わらずラグラントゥーには傷一つついていなかった。
かつては頼もしいと感じていたラグラントゥーだが、今は畏敬の念を抱いていた。

もし、この剣であの技を放ったら、そしてその技を放つ相手を間違えたら……
そう考えたホルスは今の自分には過ぎたるものと判断し、神剣を返すことにした。

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その後、ホルス達の戦いは舞台を世界を移すことになる。
ホルス達の世界での活躍は後に伝説として語り告がれることになるが、それはまた別のお話。


  • まあまあいいけどフェリル連合って海賊以外は大フェリルとの戦後処理でルーニック島に行ったんじゃ?
    それとナシュカとホーニングってⅢででてきたっけ? -- 名無しさん (2011-10-03 00:59:23)
  • 正史とは設定を少し変えてあって、スレの方にはその内容が書かれていたはず。
    それも書いておいたほうがいいかもしれん。 -- 名無しさん (2011-10-03 02:00:00)
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最終更新:2011年10月03日 02:00