本編終了後の設定補足

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  • ホルス&イオナ
ホルスはイオナを「危険かもしれないから」と連れて行きませんでした。別れの際ちょっとした昼ドラがありました。
ホルスはいつかまたこの地に帰ってくる約束をしています。ホルスはオルジンと同じ組織「緑葉の騎士団」で活動しています。

  • 海賊達
戦争の影響で商船が通らなくなったので、海賊達が商船のかわりをしています。海賊業は廃業しています。

  • ナシュカ、ニーナナス、フォルサーム、ルーネン
ホルスと共に旅立ちました。ナシュカはホルスの行く末に興味があるようです。

  • ルートガルト
ルートガルト城は戦争の傷跡を後世に残すために歴史遺産としてそのまま残されました。
ルートガルト国は王にあたる代表者がおらず、中立国になっています。
政治方針は周辺各国の代表者が集まって決めています。
オステアもこれに含まれており中立国になっています。

  • フェリル国
マクセンが代表として統治しています。マクセンはナシュカと相談してゴブリンと共存するための政策を実施しました。
現在は人間とゴブリンが一緒に暮らしています。チルク達は前大戦を生き延びています。

  • ハルト国(悪魔達とガンター)
領地はクイニックとハルト城のみです。ドラスティーナが代表者ですが、遊びにでかけてばかりでほとんど不在です。
基本的に温厚な悪魔達だけが残りました。
シャルロットは魔界に帰るつもりでしたが、ポポイロイトとレドザイドの世話をするために残りました。
国の仕事もほとんどシャルロットがやっています。
ラクタイナに人間の人格を消されたガンターはこの国にいるほうが居心地がいいようです。
ラングトスは平和なこの国に興味を無くしたので魔界に帰りました。

  • リュッセル…セレンが統治
  • 山…ドワーフが統治
  • グリーン…カルラが統治
  • アルナス…ナルディアが統治
  • 森…エルフ達が統治
  • 沼…ゲルドの生き残りが住んでいる。代表者がおらず、やや無法地帯。
  • 騎士達…ルートガルトで治安維持の仕事をしています。要は警察。

  • 生死不明、行方不明
ゾーマ、ミシディシ、ダレスタラム、キオスドール、クウォード、マビドレ
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フェリル国、町外れの広場

エルカ「はっ!」
エルカが火の魔力を込めた魔法剣を振るう。
ギィン! それをもう一方が水の魔法剣で受ける。
エンドラム「でやあっ!」
続いて対するエンドラムが風の魔法剣を繰り出す。
それをエルカが土の魔法剣で防御する。

目まぐるしく入れ替わる攻防をチルクは少し離れた位置から見つめていた。

ゴブリンと人間が同じ権利を持ち、共に暮らしているこのフェリル国では、双方の差別感情は徐々に消えてきていた。
チルクが目指していたものはマクセンとナシュカの政治手腕によって実現していた。

エルカ「……!!」
今日はエンドラムが勝ったようだ。
エンドラム「今日は俺の勝ちですね。」

エンドラムとエルカは街の復興作業時に知り合い、魔法剣について語りあっているうちに仲良くなったようだ。
今ではこのように魔法剣での組み手を時々行っている。

エンドラムは人間と生活するようになって大きく変わっていた。
性格が少し丸くなって背ものび、体格もよくなった。

チルク(少し前までは僕のほうが高かったのにな…)

エンドラムは立派な青年に成長していた。

エンドラムは大戦後も魔法剣の研鑽を欠かさなかった。
アカデミー出身のエルカにその技術を教えてもらい、今ではほとんどの属性の魔法剣を自在に扱える。
最近はエルカに勝つことのほうが多くなっている気がする。

エンドラムはチルクと共に街で交易品を扱った商売を始めていた。
元海賊の商船から物資を買い、それを街で売って生活していた。
以前遺跡荒らしで生計を立てていた経験も手伝ってか、生活に問題は無かった。

かつて魔剣の虜になり辻斬りを働いたエンドラムであったが、
この国での生活を通して暗い感情も溶かしていた。

一方、大戦時にゴブリンのリーダーであったチルクはその責任を問われることを覚悟していたが、
マクセンの計らいによりチルクは記録上戦死扱いとなり、現在は違う名前で新しい道を歩んでいる。
しかしチルクはいつか自分の過去に殺されるのではないかという不安を抱いていた。

そんな彼らの生活にある事件が起こる。

今日も街で死体が発見された。
それも普通の死体では無い。体の血液がほとんど無くなっているのだ。
おそらくバンパイアの仕業であろう。街を警備隊が巡回するようになった。

そんなある日、仕事を終えたチルクとエンドラムが夜の街を歩いていた。

チルク「遅くなってしまったね。最近物騒だし早く帰ろう。」

そのとき二人は妙な物音を聞いた。
二人はそっと物音がした場所を覗き込んだ。

現場を見た瞬間、エンドラムは飛び込んだ。
現場では一人の男が女の首元に噛み付いていた。

エンドラム「エルカを離すんだ!」

エンドラムが魔法剣を一閃する。
魔法剣は直撃し、バンパイアは血を撒き散らしながら逃走した。

チルク「あいつは僕が追う!エンドラムはエルカを!」

エンドラムはエルカを抱え警備隊を探しに行き、
チルクはバンパイアの血の後を追った。

チルクはバンパイアを見失ったが、その方向はある場所を指していた。

チルク「シャルバイア遺跡…?」

チルク達は警備隊に事情を説明した。
エルカはバンパイアの呪いを解くために街の治療施設へと送られた。

次の日、街に討伐隊員募集のお触れが出された。

チルク「傭兵の募集みたいで前の大戦を思い出すね」

大戦以後、この国はその国力のほとんどを街の復興に割いており、警備隊レベルの軍隊しか保有していなかった。
その軍隊も街の警備に多くが割かれており、今回討伐隊の募集に至ったようだ。

エンドラムとチルクはこの討伐隊に参加することを決めた。

エンドラムとチルク含む討伐隊はシャルバイア遺跡を容易に制圧した。
最近の事件の原因と思われるバンパイア数体がいたが、問題はそこではなかった。

明らかにこの遺跡でよからぬ実験か何かが行われた痕跡があった。
現場は凄惨な様相であり、何が行われていたか想像したいものではなかった。
帰路についた討伐隊の足取りはどことなく重かった。

1週間後、チルクの提案で二人はエルカのお見舞いに向かった。
その帰路、エンドラムとチルクの胸中は暗かった。
担当の医者から告げられた言葉が彼らの心に暗い影を落としていた。

「彼女にかかっている呪いはこれまで見たことが無いものです」

エルカはしばらく入院することになった。

街の皆がバンパイアによる事件を忘れかけそうになっていたある夜。

エンドラム&チルク「!?」

二人は同時に飛び起きた。悲鳴だ。しかも尋常な悲鳴ではない。
耳を澄ますと大小様々な悲鳴が色んな方向から聞こえてくる。
二人は街に飛び出した。

街に出た二人の元に一人の男が走ってきた。
チルク「すいません、一体何が起きて……!?」
エンドラム「危ない!」

エンドラムがチルクを庇い、魔法剣を一閃した。
二人は恐る恐る死体を覗き込んだ。

チルク「バンパイア……?」

街は阿鼻叫喚の地獄と化していた。二人はかつての死霊軍との戦いを思い出した。

最近の事件から考えても、これはバンパイアの仕業によるものだろう。
しかしバンパイアの呪いは噛まれたものに伝染していくものであって、
このように一度に大量の人間が突然バンパイアになるなんて聞いたことがない。

チルク(何が起きているのかわからない。とりあえず安全な場所に――――)

考えこんでいた二人はある不吉な考えに至って走り出した。
その方向はエルカが入院している病院だった。

二人の足は病院の前で止まっていた。
二人は禍々しい雰囲気を纏う男と女剣士―――エルカと対峙していた。
エルカの瞳はバンパイアのそれに変わっていた。

エンドラム「…………っ!!」

二人はどうしたら良いのかわからず、動けないでいた。
その膠着を一本の矢が破った。

マクセン「生存者は城に避難しろ!」
イーサリー「後方は我々自警団が食い止める!」
ヘオトン「こっちです!さあ早く!」

チルク、エンドラムは自警団の支持に従い、城に避難した。

城には多くの人達が避難していた。
城の外ではバンパイアの進攻を自警団が食い止めていた。

マクセン「ここが最後の砦だ。絶対に突破させるな!」

この国の戦力は少ない。このままでは突破されるかもしれない。
チルクが自警団の援護に向かおうとしたが、エンドラムは全く違う方向に足を向けていた。

チルク「エンドラム…?   !!」

チルクは嫌な考えを思いつき、エンドラムを止めた。

チルク「まさか遺跡側から回り込んで、一人でエルカのところに行くつもりじゃないだろうね!?」

エンドラムは何も答えなかった。

チルク「どう考えても自殺行為だ!ここで持ちこたえて、態勢を立て直してから軍と一緒に反撃に出るべきだ!」

どう考えても自殺行為だ。皆で一緒に反撃に出るべきだ。そしてエルカを――。エルカを?
そうだ、エルカはバンパイアとして軍に殺される可能性が高い。

チルク「考え直すんだ!確かにエルカのことは可哀相だと思うが、これは君の責任じゃない!
    君がそんなことをする理由なんてない!」

エンドラムはやはり何も答えなかった。

チルク「それに元凶を倒してもエルカの呪いが解ける保障がない!普通のバンパイアの呪いならそうだが、
    あの医者も普通じゃないと言っていただろう!?」

エンドラムは何も答えなかった。というより答えられなかった。
チルクの言っていることは至極正論だし、なによりエンドラムは自分の行動の理由がわからなかった。
行かなければならない、というような謎の脅迫観念のようなものに突き動かされていた。

エンドラムは前大戦以降、魔剣を封印していたが、
エンドラムも気づかぬうちに徐々に影響を受けていた。

大戦中に多くの血を吸い、魔剣はその力を増していた。
現に気づかぬうちにその手には魔剣が握られていた。
エンドラム本人には持ち出した覚えが無く、無意識のうちに魔剣を握らされていた。

チルクは説得を諦めたのか肩にかける手を離した。
チルク「わかった…。でも僕もついていくよ。商売仲間にいなくなられると困るからね」

ここで冗談が叩けた自分のちっぽけな勇気にチルクは感謝した。

エンドラムとチルクはバンパイアを倒しながら街の中央に向かっていた。

特に作戦など無かった。強いて言えば、
「元凶の周りは多くのしもべで守られているだろうから、守りの厚いところを目指していけばいいと思う」
これだけだった。この考えは幸いなことに正しかったようだ。

エンドラムの戦いぶりは鬼気迫るものだった。
チルクはかつてのルルニーガの勇姿を思い出したが、同時に邪悪さも感じていた。

二人はしもべの壁を突破し、あの禍々しい男とエルカの元にたどり着いた。

エンドラムがその男に向かって間合いを詰めると、その前にエルカが立ちふさがった。

ギィン!

エンドラムの放った何度目かの魔法剣がエルカに止められる。
その隙を突き男の手から放たれた暗黒魔法をチルクが攻撃魔法で相殺する。

チルク「エンドラム!!」

チルクは名前を呼んだだけだが、エンドラムにはチルクが何を言いたいのかわかっていた。
エンドラムはエルカを傷つけずに突破して後方の男のみを狙おうとしているが、全てエルカに止められていた。
周りに集まってくるバンパイアの数も増えてきており、このままではこちらの体力が先に尽きることが見えていた。

エンドラムは魔剣の影響を受けていることをはっきりと感じていた。
事実、この戦いの最中に何度か意識を奪われそうになった。
エンドラムは魔剣の笑い声を聞いたような気がした。

体力が底をつきかけてきた頃、エンドラムはついに覚悟を決めた。

エンドラムはエルカに向かって突進した。

エルカが迎撃の魔法剣を放つ、エンドラムはそれを魔法剣で受ける。

エンドラムはそのまま勢いを殺さずにエルカに体当たりを浴びせた。

態勢をくずしつつも、エルカは刃を返し、男に向かうエンドラムの背中に向かって二撃目を放つ。

エンドラムは背中に熱さを感じたが、そのまま男に突撃し、渾身の魔法剣を―――。

エンドラムはぼやけた意識の中にいた。

エンドラムは戦っていた。

立ちふさがる畜生のような生き物が魔法を放つ。エンドラムはその魔法を片手で払いのける。

その隙を突いて突撃してきた女の魔法剣を魔剣で受ける。

誰だったか――。エンドラムは思いだせなかった。

女は何度吹き飛ばされても立ち上がり、突進してきた。

夢の中にいるような意識でエンドラムは何度も剣を交え、―――エンドラムの意識は消えた。


エピローグ

エンドラムとエルカは町外れの広場で対峙していた。ひさしぶりの組み手の時間だ。

エルカ「前回は私の勝ちだったわね。今日は連勝頂くわよ」
エンドラム(前回?前にここで戦ったときは確か俺が――)

考えているうちに魔法剣が飛んできた。

事件の後、エンドラムは病院のベッドで目覚めた。
傍にいたエルカと外の様子を見るに、事件は解決したのだろう。
でも最後のほうがよく思い出せない。
そして傍には折れた魔剣が転がっていた。

エンドラムは何があったかうすうす気づいていた。
そして自分がまだ未熟であることを思い知った。

エンドラムはこれからも己を磨き続けるだろう。
彼がかつてのルルニーガのような英雄達に追いつくまでそう時間はかからないかもしれない。


~国内某所地下~
薄暗い部屋で何者か達が会話している。

?「うふふ。思ったより早く鎮圧されちゃったわねえ」

?「別にかまわん。良い実験結果が取れている。何も問題はない」

?「それはよかったわあ。じゃあ本番に向けての準備をお願いねえ」

この国の災いはまだ続くのかもしれない。
しかし新たな英雄達がこれに立ち向かうだろう。


  • 続編楽しみ -- 名無しさん (2023-12-09 09:14:43)
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最終更新:2023年12月09日 09:14