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「Existence―プロローグ」(2007/08/28 (火) 17:24:09) の最新版変更点
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早いものだ。
あんたがいなくなってから、もう一年が経つ。
息が白く色づいた。
流石は山奥。ふもとの町の寒さとは全く違う。
昨日積もった雪が足を何度も掴む。あんたの墓石にたどり着くまで負けてたまるものか。雪なんかに負けてたまるものか。
自分がとても馬鹿馬鹿しく思えた。
墓石といっても裏庭にあるのだ。漬物石を乗せただけの墓。十分な墓を作ってやれなかった自分に嫌気がする。
そうだ、自分をあざ笑ってやろう。声を上げて。自分が自分を嫌いになるまで。
大きくため息をつく。このため息に、どんな思いが込められていたのか。自分でもわからない。
「コート着るだけじゃ厳しい……な」
根性も寒さにはかなわない、という事か。そう思ったときだった。
ぽつり。
鼻に何かが落ちた。とても冷たい。
視界にとても小さな白いものが映る。
「……どおりで寒いわけ、か」
なるほどと、見た瞬間納得できた。
雪だ。
つい、天を見上げてしまう。
昇ったばかりの太陽の日差しが、粉雪に反射している。
輝いていた。ものすごく綺麗だ。
もしかすると、あんたからのおくりものだろうか。
ふとよぎる、愚かな願い。
そうだとしたら、永遠に降り続いていてほしい。
そうひそかに、思ってみた。
自然と足が止まる。
口のない墓石。
もし、墓石に口があったなら。
枯れた花束。
決してあんたを、忘れていたわけじゃない。
心の状態を表しているかのように眼は潤みだす。
雪が舞う中、墓石の前で俺は静かに手を合わせた。
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早いものだ。
あんたがいなくなってから、もう一年が経つ。
息が白く色づいた。
流石は山奥。ふもとの町の寒さとは全く違う。
昨日積もった雪が足を何度も掴む。あんたの墓石にたどり着くまで負けてたまるものか。雪なんかに負けてたまるものか。
自分がとても馬鹿馬鹿しく思えた。
墓石といっても裏庭にあるのだ。漬物石を乗せただけの墓。十分な墓を作ってやれなかった自分に嫌気がする。
そうだ、自分をあざ笑ってやろう。声を上げて。自分が自分を嫌いになるまで。
大きくため息をつく。このため息に、どんな思いが込められていたのか。自分でもわからない。
「コート着るだけじゃ厳しい……な」
根性も寒さにはかなわない、という事か。そう思ったときだった。
ぽつり。
鼻に何かが落ちた。とても冷たい。
視界にとても小さな白いものが映る。
「……どおりで寒いわけ、か」
なるほどと、見た瞬間納得できた。
雪だ。
つい、天を見上げてしまう。
昇ったばかりの太陽の日差しが、粉雪に反射している。
輝いていた。ものすごく綺麗だ。
もしかすると、あんたからのおくりものだろうか。
ふとよぎる、愚かな願い。
そうだとしたら、永遠に降り続いていてほしい。
そうひそかに、思ってみた。
自然と足が止まる。
口のない墓石。
もし、墓石に口があったなら。
枯れた花束。
決してあんたを、忘れていたわけじゃない。
心の状態を表しているかのように眼は潤みだす。
雪が舞う中、墓石の前で俺は静かに手を合わせた。
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