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プルルルル……
兄者が倒れてから数日後のこと。
とある所にある静かな家の室内に電話のベルが響わたった。
「あっ、もしもし?」
がちゃり、と受話器を取ったのはピンク色をした一人の女AAだった。
この家の中に他に誰かいる様子は全く無い。
「――あ、よかったぁ…。なんかそっちでさ、大きな地震みたいなのが二回もあったって聞いたから大丈夫かな? って思ったんだけど大丈夫みたいだね」
こう懐かしそうに彼女は話し始める。
ここ、異次元では最近地震のようなものが多発していた。その地震の餌食となり死んでいった人の数はそう少なくはない。彼女の家族もこの地震により奪われてしまったのだ。
この家に彼女以外に誰もいないのはこのせいだ。
「うん。わかった。じゃあすぐそっちに向かうね!」
彼女はひとつため息をつくと受話器をガチャンとおいた。
「あ~あ……。また遠出か……めんどくさいなぁ…。」
そう呟きながら廊下を歩いていると、足にコツンと何かがぶつかった。
「ん?…お前も一緒に行きたいのか?」
彼女の足の傍にいたのは、何の変哲もない小さな小鳥だった。その小鳥は静かに頷く。
それに対し彼女は笑みを浮かべた。
二人は外へと出るとお互いに目を合わす。
「んじゃあ、今日もよろしく頼んだぜ。相棒!」
彼女がそう言うとその小鳥は大きな黒翼と化す。
「ヴィカンテスまでひとっとび!さぁ、Let’ Go!!」
黒羽は大きく羽ばたいた。




ピピ・・・




「A地のR。V地への移動を確認したわ」
真っ暗な部屋の中。唯一光を発しているパソコンに向かっているのは一人の人型の女AA。
女は後ろに立っている男へと顔を向けた。
「このままだとあいつ等と合流してしまうわね。ほら、元団員の千や・・・エメラルドとか幻鬼、あと・・・やっぱ何でもないわ」
そう言うと女は再びパソコンへと顔を向けた。そして女は髪を縛っている赤いゴムを解き再び縛りなおす。
すると後ろに立っていた男はくすくす、と笑い出した。
「なによ……」
女がそういうと男は女に近づき、一枚の黒い羽根を見せた。
「なんでもない、レモナ。それよりも俺の羽根を見てくれないか?」
変に、にやける男にレモナは一息つく。そして男の手から羽根を取るとじっと眺め始める。
「あら、随分と順調じゃない♪ リーダー」
リーダーと呼ばれた男はップっと一回笑うとレモナに『そこから退け』と手で合図する。(勿論リーダーと言う名前ではない)
レモナは、はいはい、と呟くと男と位置を入れ替わった。
「っで、後は、何人くらい食えばいいんだ?」
レモナはさっきの羽根をチラっと見る。
「う~ん・・・後は大体、百五十人くらいの魂を食べればいいんじゃらいかしら」
「んで、最後の一人は俺にとって 一番大切な人の魂 を食えばいいと。そうすれば『絶対的な力』と『不死身』が手に入るんだよな」
レモナがコクンと頷くと男はもともと開いてあったページ(ウィンドウ)をいじくりだす。
「何しているのよ」
レモナはパソコンの画面を覗き込む。覗き込んだ画面には大文字や小文字のアルファベットがズラーっと並んでいた。
「何よ、これ……」
レモナは恐る恐る男の隣に出てくる。男はバツが悪そうに笑っていた。
「ウィルスに感染した……」




その後男が殴られたのは言うまでもないだろう。




ここはヴィカンテスの何処かにある便利屋。
あの後からようやく目覚めた兄者は鏡の前に立っていた。左目に走る大きな傷をなぞりながら。
「……いや~びっくりしたな本当に。・・・まさか目が見えなくなるとは思ってもいなかったぞ。本当に。うん、まじでビビった」
驚いているのか落ち着いているのか本当によく分からない。それが兄者だ。兄者は本当によく分からn(五月蝿い
「なぁ、お前には何か怪我が出来たか? 弟……」
兄者は無意識のうちに彼の弟。弟者を呼んでいた。
それだけ兄者にとって大切な存在だったのだろう。



兄者は床に力なく座り込んだ。目に涙を浮かべながら。
「あ~あ・・・俺って兄失格だよな……。末者も弟者もどっかに行っちゃったし・・・俺って嫌われているのかな・・・」
兄者はしばらく黙り込むと再び口を開け声にならないような声で再び話し出す。
「そうだよ・・・な・・・・。絶対・・に・・・。だって・・・だっ・・・て……「どうした? お前らしくないぞww」
ふと顔を上げた兄者の視線の先には左目に大きな傷を持つ幻鬼の姿があった。幻鬼は兄者に近寄るが兄者は涙を見られないようにするためにさっと顔を隠す。いつもと様子が違う兄者に幻鬼は戸惑うが優しく話しかける。
「お前は嫌われてなんかない。俺が保障する」
手を差し伸べる幻鬼に兄者は問いかける。
「どうして・・・だ? ・・・弟者・・が・・さらわれ・・た・・んだ・・・ぞ。俺の・・・・せいで・・・」
嗚咽を漏らしながらも訴える兄者をしばらく見つめてから幻鬼は屈みこむ。
「泣きたいなら泣いちまえ。全て吐き出して気分をスッキリさせろ。っな」
幻鬼のその一言で兄者の目からは大量の水が噴水のように湧き出した。



「っあぁ!!」
突然聞こえたその声に二人ははっとして振り向く。そこには右耳に包帯を巻いた千の姿があった。兄者は慌てて目に残っていた涙をふき取る。
「どうしたんだよ千・・・」
幻鬼が問いかけるが千は必死に笑いを堪えているようだった。
「い~けないんだ、いけないんだぁ!あ~にじゃを泣かせ~た!!」
ブツンッ!!
何かが切れるような音がした方向には、千と同じくこちらも笑いを堪えている幻鬼が。
「……てんめぇ・・・。 ぬっ殺すぞ!!」
瞬く間に一人になってしまった兄者は微かに微笑んだ。