企画21 | 兄妹をテーマとした普通のADV
妹ノーマルエンド
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匿名ユーザー
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ノーマルエンド
親が旅行から帰ってきて、いつも通りの生活に戻った。
別にこれといった出来事もなかったな……。
つまらないけど、なくてよかったと思うべきなのかもしれない。
つまらないけど、なくてよかったと思うべきなのかもしれない。
母
「一也、おはよう」
「一也、おはよう」
乙女
「おはよ」
「おはよ」
一也
「……うん、おはよう」
「……うん、おはよう」
とりあえずの挨拶を交わし、朝食の席につく。
母さんが焼きたてのトーストと牛乳を持ってきてくれた。
乙女
「お兄ちゃんさあ」
「お兄ちゃんさあ」
一也
「なんだ?」
「なんだ?」
乙女
「今度はちゃんと数学教えてよ」
「今度はちゃんと数学教えてよ」
一也
「……数学は面倒なんだよ」
「……数学は面倒なんだよ」
母
「教えてあげなさいよ、お兄ちゃんなんだから」
「教えてあげなさいよ、お兄ちゃんなんだから」
母さんがそこで横槍を入れてくる。
乙女
「そうだそうだー」
「そうだそうだー」
……くそ、乙女の奴、母さんがこう言うとわかってて今言い出しやがったな。
一也
「頭が悪い奴に教えるのは面倒なんだよ」
「頭が悪い奴に教えるのは面倒なんだよ」
乙女
「むっ……!」
「むっ……!」
乙女のしかめっつらから目を逸らして、大きなあくびを一つ。
乙女が、「みっともない!」とか言ってきたが無視。
しかしそんな様子を見て母さんは小言を俺に投げかけた。
しかしそんな様子を見て母さんは小言を俺に投げかけた。
母
「一也、私がいないからって夜更かしばっかりしてたんじゃないでしょうね?」
「一也、私がいないからって夜更かしばっかりしてたんじゃないでしょうね?」
一也
「してないって」
「してないって」
してたけど。
乙女
「してたじゃん、夜更かし」
「してたじゃん、夜更かし」
一也
「あ、こらバカ……!」
「あ、こらバカ……!」
対面に座っていた乙女が呆れたように言い、母さんの眉間に皺が寄る。
母
「あんたねえ、今年は受験生なんだから……」
「あんたねえ、今年は受験生なんだから……」
朝から説教が始まってしまい、テンションが無理やりに下方修正されていく。
俺はその元凶となった乙女を睨みつけたが、乙女はそしらぬ顔でパンをかじっていた。
俺はその元凶となった乙女を睨みつけたが、乙女はそしらぬ顔でパンをかじっていた。
一也
(後で覚えとけよ……)
(後で覚えとけよ……)
乙女
「いってきまーす」
「いってきまーす」
一也
「あ、おい待て!」
「あ、おい待て!」
朝食を食べ終わり、飛び出していく乙女を慌てて追いかける。
乙女
「何さ?」
「何さ?」
一也
「何さ? じゃねーよ、母さんにチクってんじゃねーよお前は」
「何さ? じゃねーよ、母さんにチクってんじゃねーよお前は」
乙女
「……そんなの、先に悪口言ったのはそっちじゃん」
「……そんなの、先に悪口言ったのはそっちじゃん」
一也
「何言ってんだこの馬鹿」
「何言ってんだこの馬鹿」
乙女
「……バカって言ったほうがバカなんだよ」
「……バカって言ったほうがバカなんだよ」
一也
「ああ、俺はバカかもしれないな。でもお前がバカではないと証明してるわけじゃないよなそれ。つまり俺もお前もバカってことだ、兄妹揃ってバカ同士だ」
「ああ、俺はバカかもしれないな。でもお前がバカではないと証明してるわけじゃないよなそれ。つまり俺もお前もバカってことだ、兄妹揃ってバカ同士だ」
乙女
「はあ? バカじゃないの?」
「はあ? バカじゃないの?」
一也
「その一言で更にバカが上乗せされたな」
「その一言で更にバカが上乗せされたな」
乙女
「お兄ちゃんには何度バカって言っても足りないよっ!」
「お兄ちゃんには何度バカって言っても足りないよっ!」
一也
「お前よりは頭はいいと思うんだがなあ」
「お前よりは頭はいいと思うんだがなあ」
乙女
「頭は良くてもバカはバカでしょ!」
「頭は良くてもバカはバカでしょ!」
一也
「朝からバカバカ言ってるなよ、はげるぞ」
「朝からバカバカ言ってるなよ、はげるぞ」
乙女
「はげてない!」
「はげてない!」
一也
「これからはげるよ」
「これからはげるよ」
乙女
「はげないし!!」
「はげないし!!」
一也
「……おっと、もうそろそろ走らないと学校間に合わないぞ?」
「……おっと、もうそろそろ走らないと学校間に合わないぞ?」
乙女
「え? ……あっ!! もーっ! お兄ちゃんに構ったせいだからねっ!」
「え? ……あっ!! もーっ! お兄ちゃんに構ったせいだからねっ!」
乙女が脱兎の如く駆け出し、俺はその後姿を見送る。
からかってやったことで憂さは晴らせたのだから許してやることにしよう。
……多分これからも、こうして喧嘩したりしなかったりの繰り返しなのだから。
いちいち小さなことでずっと腹をたてていたら、身がもたない。
いちいち小さなことでずっと腹をたてていたら、身がもたない。
一也
「さて、俺も走るか……」
「さて、俺も走るか……」
次はどんなネタでからかってやろうか。
そんなことを考えながら、俺も学校へ向けて走り出した。
ノーマルエンド 終わり