同じ星を見ている ◆MUMEIngoJ6
同じ時。
同じ空の下。
同じ太陽の下。
同じ星を、彼らは見る。
されども反応は――――
◇ ◇ ◇
「きゃっ」
唐突に地面が揺れ動いたことで、エリアC-1を移動していたエースが体勢を崩してしまう。
腰まで届いてしまいそうな紫色の髪を乱しながらも、消えるマントを纏っている彼女の姿を捉えることはできない。
目視不可能である上に、思わず零れた悲鳴も小さなもの。
ゆえに彼女は誰の助けも得られず、塗装されてない地面に身体を打ち付けてしまうことになる。そのはずであった。
腰まで届いてしまいそうな紫色の髪を乱しながらも、消えるマントを纏っている彼女の姿を捉えることはできない。
目視不可能である上に、思わず零れた悲鳴も小さなもの。
ゆえに彼女は誰の助けも得られず、塗装されてない地面に身体を打ち付けてしまうことになる。そのはずであった。
「痛たた……って、あら?」
「うはwwwエースちゃんwwww後ろからなんてwww大胆ねwwwwwんもうwwwwww」
「へ? あ、ええっ!?」
「うはwwwエースちゃんwwww後ろからなんてwww大胆ねwwwwwんもうwwwwww」
「へ? あ、ええっ!?」
いつまで待っても衝撃が訪れないことに、来たる痛みを覚悟していたエースは目蓋を上げた。
すぐさま状況を理解して、目を白黒させる。
運がいいのか悪いのか、ちょうど同行していたナイトの方へと転んだらしい。
すぐさま状況を理解して、目を白黒させる。
運がいいのか悪いのか、ちょうど同行していたナイトの方へと転んだらしい。
「ってかwwwww何か当たってるwww当ててんのよwwwってやかましいわ!wwwwwww」
「な、なななあ!?」
「な、なななあ!?」
笑顔と共に告げられた言葉に、エースは素っ頓狂な声をあげた。
ゆっくりと視線を落としてから、その見えない耳が真っ赤に染まった。
何とか離れねばならない、せめて身体の角度を変えるだけでも。
心の底から考えるが、終わったかと思えば再開する地震により叶わない。
必死になっている彼女に注目する余裕はないが、ここはナイトウの脚力に注目するべきである。
前衛ではないとはいえ、エースとてかなりの修羅場を潜り抜けている。
そんなエースが自由に動けないというのに、ナイトウは他人の体重を背に受けても一寸たりとも動かない。
なぜかやたらと可変する震度に加えて、彼らがいるのは山岳。ただでさえ足場がよくない地帯である。
動かざること山の如し――そんな言葉を体現しているのは、長き時をかけて鍛え抜かれた肉体あってこそ。
ゆっくりと視線を落としてから、その見えない耳が真っ赤に染まった。
何とか離れねばならない、せめて身体の角度を変えるだけでも。
心の底から考えるが、終わったかと思えば再開する地震により叶わない。
必死になっている彼女に注目する余裕はないが、ここはナイトウの脚力に注目するべきである。
前衛ではないとはいえ、エースとてかなりの修羅場を潜り抜けている。
そんなエースが自由に動けないというのに、ナイトウは他人の体重を背に受けても一寸たりとも動かない。
なぜかやたらと可変する震度に加えて、彼らがいるのは山岳。ただでさえ足場がよくない地帯である。
動かざること山の如し――そんな言葉を体現しているのは、長き時をかけて鍛え抜かれた肉体あってこそ。
(絶対にwwww動かんwwwwwwこの感触wwww逃すまいwwwwwwwww)
もっとも、その肉体を操る頭脳の方はえらく不純であるのだが。
――――そのまま暫くが経過し、一際大きな揺れの後に地震は収まった。
今回ばかりは、倒れた自分が悪い。
そう思ってうずくまるエースをわざわざ煽るようにして、ナイトウは顔を覗き込んだ。
そう思ってうずくまるエースをわざわざ煽るようにして、ナイトウは顔を覗き込んだ。
「堪能wwwwさせてwwwwもらいましたwwwwwww」
「…………っ!」
「…………っ!」
いらんことを言ったせいで頬に手形が付いているが、ナイトウの笑みは絶えることはない。
もう相手をするだけ無駄だと悟り、エースは脱げてしまっていたマントを羽織る。
透明となったのを確認して、口を開いた。
もう相手をするだけ無駄だと悟り、エースは脱げてしまっていたマントを羽織る。
透明となったのを確認して、口を開いた。
「にしても何だったのよ、あの地震は」
「ああwwwアレはwwww隕石の影響wwwwwww近くに落ちてたっぽいwwwwwwww」
「隕石ぃ?」
「時魔法でwwwwそんなのがあるwwwwwwww」
「ああwwwアレはwwww隕石の影響wwwwwww近くに落ちてたっぽいwwwwwwww」
「隕石ぃ?」
「時魔法でwwwwそんなのがあるwwwwwwww」
いまいち理解しきれずにいながら、エースは眼前の相手を眺める。
出会った頃から浮かべっぱなしの笑い顔を見つめると、肩をすくめた。
ナイトウはいつもよく分からないヤツだったか、と一人納得したのである。
出会った頃から浮かべっぱなしの笑い顔を見つめると、肩をすくめた。
ナイトウはいつもよく分からないヤツだったか、と一人納得したのである。
「……で、どうするのよ。その時魔法っての使うのがいるんでしょ?」
「もちろんwww当然ww無論wwww言うまでもなくwwwwwwww突撃wwwwwwwwwww」
「でも隕石落とすなんて、本当なら凄く強いんじゃない? そんな何も考えずに――」
「あれだけのメテオwwwww使える時魔導士なんざwww俺の知り合いwwwくらいwwwwwwそwwれwwwにwwww」
「それに?」
「仮にwww俺にww殺意を向けるのならwwwwこの剣のサビにwwwwwwしwwてwwくwwwれwwwwるwwwww」
「もちろんwww当然ww無論wwww言うまでもなくwwwwwwww突撃wwwwwwwwwww」
「でも隕石落とすなんて、本当なら凄く強いんじゃない? そんな何も考えずに――」
「あれだけのメテオwwwww使える時魔導士なんざwww俺の知り合いwwwくらいwwwwwwそwwれwwwにwwww」
「それに?」
「仮にwww俺にww殺意を向けるのならwwwwこの剣のサビにwwwwwwしwwてwwくwwwれwwwwるwwwww」
うはwwwこれはwww惚れるwwwwwwww
ナイトウがそんな思いとともに紡いだ言葉には、深い深い溜息だけが返ってきた。
ナイトウがそんな思いとともに紡いだ言葉には、深い深い溜息だけが返ってきた。
【一日目・午後/C-1北西部 山岳】
【ナイトウ(男ナイト)@FINAL FANTASY TACTICS】
[状態]:いつでも毎日骨太wwwwwwwwwwwwwwwwwwww(健康)
[装備]:オートクレール@Romancing Sa・Ga
[道具]:支給品一式、不明支給品0~2(本人曰く勇者には必要ない物 らしい)
[思考]
基本:うはwwwww殺し合いwwwww生理的にwwwww受け付けないwwwwwwwwww
1:隕石凸wwwwwwwwwwwwイヴァリースから来ますたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
2:エースちゃんはwwwww勇者のオレがwwwwwwwwww守るwwwwwんでお付き合いからwwwwwwwwww
[備考]
※アクションアビリティ白魔法、その他アビリティ不明
[状態]:いつでも毎日骨太wwwwwwwwwwwwwwwwwwww(健康)
[装備]:オートクレール@Romancing Sa・Ga
[道具]:支給品一式、不明支給品0~2(本人曰く勇者には必要ない物 らしい)
[思考]
基本:うはwwwww殺し合いwwwww生理的にwwwww受け付けないwwwwwwwwww
1:隕石凸wwwwwwwwwwwwイヴァリースから来ますたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
2:エースちゃんはwwwww勇者のオレがwwwwwwwwww守るwwwwwんでお付き合いからwwwwwwwwww
[備考]
※アクションアビリティ白魔法、その他アビリティ不明
【エース(エスパーギャル)@魔界塔士Sa・Ga】
[状態]:透明
[装備]:消えるマント@FINAL FANTASY TACTICS
[道具]:支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:とりあえず殺し合いに乗るつもりはない
1:とりあえずナイトウに守ってもらう。
[備考]
※参戦時期は神撃破後。
※透明は彼女が何かアクションを起こさない限り認知されません。
※時魔法については半信半疑。
[状態]:透明
[装備]:消えるマント@FINAL FANTASY TACTICS
[道具]:支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:とりあえず殺し合いに乗るつもりはない
1:とりあえずナイトウに守ってもらう。
[備考]
※参戦時期は神撃破後。
※透明は彼女が何かアクションを起こさない限り認知されません。
※時魔法については半信半疑。
◇ ◇ ◇
同じくエリアC-1にて、藤林沙理子という名の少女が地面にへたり込んでいた。
長い黒髪が目を引く彼女の身体は、まだまだ成長し切っていないように見える。
しかしながらまだ顔付きにあどけなさが残る彼女は、少女の記憶と姿を奪い取った地球外生命体・ワーム。
人間の殺害に躊躇することなどなく、ゆえにこの殺し合いにおいても優勝を目指していた。
デイパックから出てきた電撃を放つ銃を手にして以来、彼女は自身を『参加者内では強者に位置する』のだと思い込んでいた。
長い黒髪が目を引く彼女の身体は、まだまだ成長し切っていないように見える。
しかしながらまだ顔付きにあどけなさが残る彼女は、少女の記憶と姿を奪い取った地球外生命体・ワーム。
人間の殺害に躊躇することなどなく、ゆえにこの殺し合いにおいても優勝を目指していた。
デイパックから出てきた電撃を放つ銃を手にして以来、彼女は自身を『参加者内では強者に位置する』のだと思い込んでいた。
――――ほんの少し前までは。
「何、よ……あれ……」
唐突に地面が揺れたので、沙理子はそちらの方向に視線を向けた。
そしたらワームの視力は、とんでもない物を捉えてしまったのだ。
降り注ぐ隕石の姿を。
偶然、あの地に隕石が落ちてきただなんて考えられない。
あんなピンポイントに、幾つもの隕石が近くにばかり落ちるものか。
そうなれば、考えられるのは一つ。衛星砲のようなものが支給された。
正直、それも沙理子にはありえないと思える。
しかしながら起爆する岩が支給されていたのだ。
もはやありえないとは断定できない。
沙理子は苦々しい表情で歯を軋ませた。
ワームの身体に電撃を放つ拳銃、自分でも決して弱くはないと思う。
けれども落下してくる隕石相手にどうしろというのか。
クロックアップが使える成虫ならともかく、まだ沙理子はサナギなのだ。そもそも成虫化できるかすら分からない。
そしたらワームの視力は、とんでもない物を捉えてしまったのだ。
降り注ぐ隕石の姿を。
偶然、あの地に隕石が落ちてきただなんて考えられない。
あんなピンポイントに、幾つもの隕石が近くにばかり落ちるものか。
そうなれば、考えられるのは一つ。衛星砲のようなものが支給された。
正直、それも沙理子にはありえないと思える。
しかしながら起爆する岩が支給されていたのだ。
もはやありえないとは断定できない。
沙理子は苦々しい表情で歯を軋ませた。
ワームの身体に電撃を放つ拳銃、自分でも決して弱くはないと思う。
けれども落下してくる隕石相手にどうしろというのか。
クロックアップが使える成虫ならともかく、まだ沙理子はサナギなのだ。そもそも成虫化できるかすら分からない。
「…………無理、ね」
思わず零れた弱気な言葉は、紛れもない沙理子の本心。
だが、あくまで『直接戦うだけでは』無理という話。
まだやりようはある。
殺し合いなどゴメンだと言う輩は少なからずいるだろう。
そんな人間たちが集えばチームを組む。
その中に紛れてしまえばいいのだ。
戦いとは数だ。質で劣っていても圧倒的な数には埋め尽くされる。
その数で殺し合いに乗った参加者を駆逐し、その後に油断しきっているチームを丸ごと討ち取ればいい。
都合のいいことに、擬態している肉体は年端も行かない少女のもの。
戦闘を他人に任せて守ってもらうポジションに着くのは、決して難しくないだろう。
何より、彼女は元々そんな『藤林沙理子』を演じてきたのだから。
己の演技力に騙され続けてきた人間の姿を思い返し、沙理子は見た目に反した老獪な笑みを浮かべた。
だが、あくまで『直接戦うだけでは』無理という話。
まだやりようはある。
殺し合いなどゴメンだと言う輩は少なからずいるだろう。
そんな人間たちが集えばチームを組む。
その中に紛れてしまえばいいのだ。
戦いとは数だ。質で劣っていても圧倒的な数には埋め尽くされる。
その数で殺し合いに乗った参加者を駆逐し、その後に油断しきっているチームを丸ごと討ち取ればいい。
都合のいいことに、擬態している肉体は年端も行かない少女のもの。
戦闘を他人に任せて守ってもらうポジションに着くのは、決して難しくないだろう。
何より、彼女は元々そんな『藤林沙理子』を演じてきたのだから。
己の演技力に騙され続けてきた人間の姿を思い返し、沙理子は見た目に反した老獪な笑みを浮かべた。
――――と、ここで沙理子は目を見開いた。
隕石を落とした参加者が、もう息絶えたとは限らない。
だというのにこんなところで油を売っているなんて、命が惜しくないようではないか。
だというのにこんなところで油を売っているなんて、命が惜しくないようではないか。
「と、とりあえず離れよーっ! 今すぐ離れよーっ!」
しどろもどろでデイパックを手に取ると、沙理子はとてとてと走り去っていった。
【一日目・午後/B-1南部 山岳】
【藤林沙理子(サナギ体ネイティブ)@仮面ライダーカブト】
[状態]:健康、人間体
[装備]:ブラストガン@FFT、
[道具]:基本支給品×1、不明支給品×0~1(確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残る。
1:C-1から離れる
2:『藤林沙理子』を演じて、殺し合いに乗り気でない参加者たちに守ってもらう。
[状態]:健康、人間体
[装備]:ブラストガン@FFT、
[道具]:基本支給品×1、不明支給品×0~1(確認済み)
[思考]
基本:殺し合いに勝ち残る。
1:C-1から離れる
2:『藤林沙理子』を演じて、殺し合いに乗り気でない参加者たちに守ってもらう。
036:この剣に懸けて | 投下順に読む | 038:気まぐれサイケデリック(――――後遺症) |
036:この剣に懸けて | 時系列順に読む | 039:地獄少女 |
024:バカと天才は紙一重 | ナイトウ | 038:気まぐれサイケデリック(――――後遺症) |
エース | ||
027:変質者達の狂演 | 藤林沙理子 | 053:キックOFF |