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無貌の殺戮者

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無貌の殺戮者 ◆NIKUcB1AGw


森の中、二人の参加者が対峙していた。
竜騎士の装束に身を包む裏切りの戦士・ファイナルファンタジーIVと、黒ずくめのジョーカー・スーパーゲームボーイである。

「貴様、何者だ? 姿からは、どんなゲームなのかまったく推察できないが……」
「言う必要はない。どのみち、お前はここで死ぬのだから」

FFIVの問いに対し、スーパーゲームボーイはにべもなく答える。
その口調は3DSと会話していたときと比べると、ずいぶんと荒くなっている。
戦いを前にして気が昂ぶっているのか、あるいはまだ個性が確立していないゆえか。

「殺し合いに乗った者か……。だが正々堂々正面から現れるとは、騎士道でも持ち合わせているのか?」
「そんなものはない。私はただ、自分の能力を実戦で試しておきたかっただけだ。
 奇襲ではその目的を果たせないからな」
「俺は練習台ということか……。なめられたものだな」

自暴自棄とはいえ、FFIVにも日本を代表するRPGの1本というプライドがある。
それを傷つけられ、兜に隠されたFFIVの顔が怒りに歪む。

「やれるものならやってみるがいい。死に場所を求める身とはいえ、外道に軽々しく差し出せる命はない!」
「そうか。では、お言葉に甘えるとしよう」

槍を構えて吠えるFFIVに対し、スーパーゲームボーイは淡々とした挙動でゲームボーイソフトを取り出す。

「FF相手なら……。これがいいだろう」
『Sa.Ga!』

ソフトをセットされたブレスレットが、音声で反応する。
次の瞬間、彼の右手にどこからともなくチェーンソーが出現した。

「なんだと!?」
「ゆくぞ」

驚くFFIVに、スーパーゲームボーイが振り下ろしたチェーンソーが迫る。
とっさに槍で受け止めるFFIVだったが、チェーンソーの回転刃はけたたましい音を立てて槍に食い込んでいく。

「くっ!」

このままでは武器を破壊されると瞬時に判断したFFIVは、すぐに飛び退く。
されど、スーパーゲームボーイは攻撃の手を緩めない。
声の一つもあげぬまま、チェーンソーを振り回し続ける。

「ちいっ!」

苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるFFIV。
遠距離攻撃の術を持たない彼では、接近して戦うしかなく事態を打開できないのだ。

「ならば……これでっ!」

流れを変えるべく、FFIVは空高く跳躍する。
竜騎士の代名詞とも言える特殊攻撃、「ジャンプ」だ。
それに対し、スーパーゲームボーイは落ち着いてカートリッジを入れ替える。

『ポケットモンスターピカチュウ!』

再び音声が響き、スーパーゲームボーイが着ていたコートが地に落ちる。
そこには、かの有名な電気ねずみ・ピカチュウの姿があった。

「でんこうせっか」

次の瞬間、目にも止まらぬスピードでピカチュウと化したスーパーゲームボーイが動く。
標的を見失い狼狽するFFIVだったが、もはや自由落下に入っておりどうにもできない。
誰もいない地面に空しく槍を突き立てるFFIV。スーパーゲームボーイは、その背後を取る。

「10まんボルト」
「ぐああああっ!」

ほとばしる電撃が、FFIVを襲う。抗う術もなく、FFIVは大地に倒れ込んだ。

「他愛もない……。これでは練習台にすらならんな。とっとと始末するか」
「ぐっ……!」

無念をかみしめるFFIV。しかし電撃により受けたダメージは深刻で、まともに動くことすらできない。

(裏切り者には、こんな惨めな最期がお似合いということか……)

もはやれこれまでと諦め、FFIVは目を閉じる。だが、彼の命運は未だ尽きてはいなかった。

「待て!」
「誰だ……?」
「それ以上その人を痛めつけることは……この俺が許さん!」

そこに現れた男は、ヒーロー戦記。
となりのエリアで倒れていた彼は戦闘音を聞きつけ、きしむ体にムチを打ってここまで来たのだ。

「その外見は……ヒーロー戦記か。そんなボロボロの体で、私に勝てるつもりか?」
「たとえどんなに傷ついていようと、目の前の悪を見逃すわけにはいかない!」
「そうか……。ならばお前の命、その薄っぺらい正義感ごと砕いてやろう。
 このカセットでな」

また新たなカセットが、スーパーゲームボーイのブレスレットに装填される。

『ウルトラマン!』

スーパーゲームボーイの体が、瞬く間にピカチュウから銀と赤の巨人へと変化する。
M87星雲からやってきた正義のヒーロー、ウルトラマンである。

「その姿……。お前もヒーローの力を、殺戮に使うつもりか!」
「正義だの悪だの、くだらないこだわりだ。私は私の目的のために、力を振るうだけだ」
「ならば俺は、ヒーローの力でお前を止める! デュアッ!」

気合いの声とともに、ヒーロー戦記もまた姿を変える。
頭上にアイスラッガーをいただくその雄姿は、地球で戦った第2のウルトラ戦士・ウルトラセブンだ。

「ヤッ!」

素早くスーパーゲームボーイとの距離を詰め、その体に手刀を叩き込むヒーロー戦記。
だがスーパーゲームボーイは多少体を揺らしただけで、平然としている。

「死に損ないが放つ打撃など、こそばゆいだけだ。せめてこれくらいの攻撃は打ってこい」

スーパーゲームボーイの拳が、ヒーロー戦記の腹を捉える。
防御もできず直撃を受けたヒーロー戦記は、苦悶のうめき声を上げながら地面を転がった。

「アタック光線」

突き出されたままのスーパーゲームボーイの拳から、光弾が発射される。
光弾は的確にヒーロー戦記へと命中し、爆発。

「うわああああ!!」

絶叫とともに吹き飛ぶ、ヒーロー戦記。
深刻なダメージにより変身は解除され、てつをの姿に戻ってしまう。

「まだ息があるか。しぶとい男だ。
 直接首でももぎ取ってやるか」

ボロボロになりながらもなお立ち上がろうとするヒーロー戦記に近づいていく、スーパーゲームボーイ。
もはや詰みかと思われたその状況でも、ヒーロー戦記はまだ戦意を失ってはいなかった。彼は荷物から何かを取り出し、スーパーゲームボーイに向ける。

「これなら……どうだ!」
「それは……うおお!」

突如として、スーパーゲームボーイが苦悶の声をあげる。
同時に、ウルトラマンに変身していた彼の体が輪郭を失い始めた。
ヒーロー戦記が取り出したのは、ラーの鏡。
真実を映し出し、姿を変えているものを元の姿に戻す魔法の鏡だ。

「お前の正体はわからないが、変身がお前の能力なら……。
 このアイテムは、お前の天敵となり得る!」
「GUAAAAA!」

スーパーゲームボーイの雄叫びは、もはや獣じみたものとなっていた。
やがて、彼の体の変化が終わる。

「な……なんだその姿は!」

ヒーロー戦記は、あ然とした表情を浮かべていた。FFIVも、驚愕を隠せずにいる。
そこにいたのは、目も鼻も口もないのっぺらぼうだった。
体もつるりとしており、何の特徴も見いだせない。
まるで、デッサン人形をそのまま等身大にしたかのような姿だった。

「見たな、この姿を……!」

怨嗟を含んだ声で呟きながら、スーパーゲームボーイは素早く落ちていたコートを身に纏う。

「そうだ、私はお前達のようなゲームソフトとは違う。
 私自身には何もない。他のゲームのデータを引き出すことしか、私にはできない」
「お前は……いったい……」
「ここはいったん退かせてもらおう。その鏡があるのでは、瀕死の貴様らにすら不覚を取る危険性があるからな。
 だが私の真の姿を見たお前達は、必ずいつか殺す。覚えておけ」

ヒーロー戦記の問いには答えず、スーパーゲームボーイは森の中に消えていった。


◆ ◆ ◆


(くそっ、何を考えているのだ、3DS……。主催側である私の能力を封殺できるアイテムを支給品に入れるなど……!)

3DSへの悪態を心中で呟きながら、スーパーゲームボーイは走る。

(とにかく、変身を封じられても戦えるよう、別の武器が必要だ。
 他の参加者を殺して奪うしかないな……)

新たな獲物を求め、死神はなおも走り続ける。


【F-5 森】

【スーパーゲームボーイ】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】支給品一式、大量のゲームボーイカセット
【思考】
1:この殺し合いのジョーカーとして他のゲームを倒す。
2:FFIVとヒーロー戦記は必ず殺す。
3:他の参加者を殺して、武器を調達する。
4:ニンテンドー3DSへの忠誠と人間への憎しみ。
※外見は等身大のデッサン人形のような、顔のない人間です。
※「左手のスーパーゲームボーイに装填したゲームボーイカセットの能力を使用できる」能力です。



◆ ◆ ◆


「くっ……」

荒い息を吐きながら、ヒーロー戦記はゆっくりと体を起こした。

(いちおう撃退には成功したが……。この有様では、勝ったとは言えないな……。
 まあ、他のゲームが殺されるのを防げただけもよしとするか)

ヒーロー戦記の視線は、FFIVに向けられる。
彼もある程度はダメージが回復したようで、槍を支えに立ち上がろうとしていた。

「ありがとう、君のおかげで命拾いした」
「気にするな。ヒーローとして当然のことをしたまでだ。
 俺はヒーロー戦記。よかったら、一緒に行動しないか?」

無理に笑顔を作り、手を差し出すヒーロー戦記。しかし、その手が取られることはなかった。

「すまない、それはできない」
「え?」
「俺の能力は、仲間に危害を加えてしまう。俺は一人で行動するしかないんだ。
 だから俺は、もう行かなければならない。君が生き残れることを祈るよ」

おぼつかない足取りで、FFIVは去って行く。
ヒーロー戦記はその背中を、ただ見送るしかなかった。


【F-5 森】

【ファイナルファンタジーIV】
【状態】精神不安定、ダメージ(大)
【装備】デーモンスピア(若干の損傷あり)@ドラゴンクエストV
【道具】支給品一式
【思考】
1:死に場所を探す
※外見はカインです
※「仲間を裏切らずにはいられない」能力です


【ヒーロー戦記プロジェクトオリュンポス】
【状態】極大ダメージ
【装備】マジンガーZ(2m大・中破)@スーパーロボット大戦
【道具】支給品一式×2、ラーの鏡@ドラゴンクエストV
【思考】
1:殺し合いの打破
※外見は1987~1989年ごろの倉田てつをです。
※能力は「ゲシュペンスト、ガンダム、仮面ライダーBLACK、ウルトラセブンへの変身」です。バンダイ系の変身ヒーロー・ロボットは支給品等で補えます。
※テトリスの支給品を拾ったので、彼の不明支給品だったマジンガーZにも装着・変身できるようになりました。


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