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市長、大変です!殺し合いが始まりました

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市長、大変です!殺し合いが始まりました ◆gry038wOvE




 ゼルダの伝説 夢をみる島は、店のオヤジの恰好をしていた。外見だけでいえば禿げていて目が吊り上がっている奇形のオッサンである。

 ゼルダの伝説といえば、任天堂から出ているRPGゲームだ。リンクとかいう緑の服着た子供(?)が魔物を倒して神秘的なダンジョンとか村とかで冒険する。だいたいそんな内容だったはず。
 つまり、普通は外見設定は勇者であるリンクになるのが自然である。
 彼の活躍をイメージする側としても、その若き勇者の姿が浮かんだ方が気持ちが良いし、普通はそうであってほしいだろう。
 しかし、そんな読み手にとって不幸な事に、今回のゼルダの伝説 夢をみる島は、十代くらいのカワイイ顔立ちの勇者ではなく、勇者が立ち寄る店のエイリアンみたいなハゲ店主の恰好をしていた事実は変えようがない。

 彼がこんな姿になってしまったのは、そのゲームのある小ネタのせいであった。


 「主人公がお店で道具を万引きできる」という小ネタである。


 このゲームでは、ショップは作中通して一つしかない。最初の村にあるショップである。
 そこでは、置いてある三つの道具のうち、必要な道具を一つ持って店主に話しかける事で売買が成立する。まあ、普通の商売、普通の取引である。
 しかし、このゲームには──作品そのものは夢オチでありながら──悪い意味で現実的な部分もある。
 店主がそっぽを向いた隙にアイテムを持ったまま、タイミングよく出入り口から出ていくと、そのままお金を払わずにアイテムを手に入れることができてしまうのだ。
 これはもう純然たる、万引きだ。

 ……勿論、万引きは犯罪である。罪の代償は大きい。

 泥棒を働いた勇者は、その後、名前が強制的に「どろぼー」になり、如何にシリアスな場面でも周囲から「どろぼー」と呼ばれる恥辱に耐えなければならない。
 また、一度万引きを働いてしまった以上、その店に顔を出せば、店長による死の制裁が与えられる。これが、世に言う店長ビームである。
 店主は弁解の余地を与えない。
 一瞬にして島中に彼がどろぼーであると周囲に言いふらし、主人公の持っていた名前を上塗りする顔の広さで居心地を悪くする。
 アイテムを奪った悪人に向けて両手から放つビームは、魔物を相手にも一撃では死なない主人公のライフを全て削る。

 そう、実はこの「ゼルダの伝説 夢をみる島」における最強のキャラクターは、ラスボスでも、主人公でもない。
 一介の村人でありながら、両手から主人公を即死させるほどのビームを放つことが出来る店長なのである。
 このゲーム最強の人物の容姿が外見に設定されるのも無理のない話だった。






 さて、このゼルダの伝説 夢をみる島は、開始早々、D-4の街のとあるジャスコにいた。

 見たところ、このジャスコには店員は誰一人いない。
 このままでは、ジャスコにある武器も防具も日用雑貨もゲームも盗み放題である。
 それはいけない。

 ゼルダの伝説 夢をみる島はこの殺し合いの秩序を守らなければならないのである。
 そう、たとえ殺人が許されても、万引きだけは許すわけにはいかないのだ。
 もし、万引きをするゲームがいたならば、そのゲームの名前を「どろぼー」に変えて、ビームで破壊してしまうのが正義である。
 彼の能力は、「万引きをしたゲームの名前を【どろぼー】に変更し、万引き後に再会した場合は相手が謝罪をしようが過失だろうが、主催者だろうが最強マーダーだろうが無条件で体力が全て削られるビームを撃つ」という能力である。
 考えようによってはかなりチートだが、やり方が回りくどすぎるので使い道は少ない。

「このジャスコで働けというのか……」

 ゼルダの伝説 夢をみる島は、広いジャスコの中を見回した。
 所詮ジャスコだが、田舎の広い土地にあるので、一人では管理しきれないほどに広い。
 これはどう考えても、盗られ放題である。普通なら、ゾンビ映画みたいに陳列されている商品が全部取られていくのを想定するだろう。
 しかし、それでもゼルダの伝説 夢をみる島は正義の執行を諦めるわけにはいかなかった。

「私はVCで出ているし、殺し合いをやる意味はなさそうだ。だが、どうせなら、ここで店長代理としてジャスコを経営させてもらう!」

 ゼルダの伝説 夢をみる島の目標は、この場所の経営だ。
 ジャスコを経営し、この殺し合いをエンジョイしている真っ最中のお客様方に楽しんでもらう事こそ彼の生きがい。
 もはやニンテンドー3DSなど興味はない。既にVCで出ているし、かなり有名なシリーズの好評すぎるゲームなので、まあ待っていればリメイクされるかもしれない。

「この支給品は、ゴールデンフォックスか」

 彼の支給品はゴールデンフォックスというF-ZEROの機体であった。
 これを使って店内を縦横無尽に行き来すれば、短縮できる。
 ひとまず、管理室に行って監視カメラの様子を見て、商品を買いたい様子の人間がいればそこにゴールデンフォックスを使って向かえばいい。

 もし、その中で万引きなどを行う不届き者を発見してしまったら────

 ────などと考えていた時、突如、

  ジリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 遠くで火災報知機が鳴ってスプリンクラーが作動した。

「何だ……何が起きたんだ、一体!?」

 早くも予期せぬ事態が発生した模様である。
 自分以外の参加ゲームがこの場にいたというのか。

「誰かいるのか……っ!?」

 そんな風に、どこにいるかもわからない敵に訊いた。
 ゼルダの伝説 夢をみる島が周囲を見回していると、スーツに身を包んだ気の弱そうなオッサンが歩いて来るのが見えた。
 それは思った以上に余裕を持って、こちらへ来た。

「……お前がやったのか?」
「かもしれません……」

 その男は、顔を下げて申し訳なさそうに言った。
 この様子を見ていると、何か過失によるところがあるようだ。

「私はシムシティーと言います。歩いているだけであらゆる災害が勝手に起きてしまう特異体質の持ち主です」
「災害? これもそうなのか?」
「ええ。『火災』が発生したのです。お陰で、不幸にもサイゼリヤは全焼してしまいました。
 ただ、この天井のスプリンクラーと、『洪水』が同時に起きてくれたおかげで解決されましたよ」

 サイゼリヤ。一階にある飲食店だ。サイゼリヤはお手頃な値段でそこそこ美味しい料理を提供してくれる(※店舗により例外はあります)お店である。
 まさか、この店のサイゼリヤを燃やし、今度は水で打ち消したというのだろうか。
 ゼルダの伝説 夢をみる島は、少し思案した後で、

「……まあ、放火くらいなら大目に見てやる。問題は万引きだ。それだけは許せん……」

 邪悪な微笑みでそう呟いた。

 この微笑みからは、むしろ、万引きが起きるのを楽しみにしているようにさえ見える。
 彼は、通常の支払方法ではなく、万引きした相手に店長ビームを放つ事に生きがいを感じているのではないか──とさえ、思えるだろう。

「あの……ただ……」

 シムシティーが、そんなゼルダの伝説 夢をみる島に対して、またも申し訳なさそうに言った。
 その一言には、少し重みがあった。

「次の問題として、モンスターが発生してしまったようなのですが────」

 そう言ったシムシティーの後ろから、ドシン、ドシンと音を立てて、何者かが現れる気配がした。
 そして、すぐに彼の前に姿を現した。

 ゼルダの伝説 夢をみる島は、その音とともに現れた「モンスター」に息を飲む。
 彼が──いや、ここにいる誰もが、知らないはずがない。



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 ────そこにいたのは、任天堂の代表的な敵キャラ・クッパである。

「申し訳ありません。私には倒せる力がないので、倒してもらえませんか……?」
「────何だとっ!?」

 しかし、ゼルダの伝説 夢をみる島は、反撃をする暇もなくクッパの吐き出す焔を肩に喰らった。
 灼熱。
 火災や洪水の惨劇がどれほどの規模なのか、ゼルダの伝説 夢をみる島はまだ知らなかっただろう。実際には、サイゼリヤの店内はあの短時間で全て黒焦げになり、洪水ではサイゼリヤをはじめとする一帯の飲食店が飲み込まれている。
 ゼルダの伝説 夢をみる島には反撃の手段はない。

 店長ビームは、万引き犯に対してしか撃てない技であった。
 そして、クッパは万引き犯ではなかった。

「くっ……! シムシティー、クッパに万引きさせるんだ! そいつが万引きした後ににまた再会する事ができれば私の店長ビームで────」

 そんな事言われてもどうやって、とシムシティーが思ったが、もう考える必要はなかった。
 クッパの次の一撃が、そんなゼルダの伝説 夢をみる島の全身を包み、口を永久に黙らせる事になった。
 クッパの吐く炎によって消え去ったゼルダの伝説 夢をみる島の元に、ゴールデンフォックスだけが残った。






「……本当にすみません。私には、不幸ばかりが相次ぐのです」

 シムシティーは、市長となって、街に起こるあらゆる問題を解決していくゲームである。
 勝手に起こる災害をどうにか解決していかなければならない。
 この場では、勝手に起こる災害は一定時間で消滅するが、それでも解決していかなければシムシティーの本質は疑われる事になる。
 クッパももう消滅したので、まともに戦闘をせずに逃げ続ければゼルダの伝説 夢をみる島は助かっただろう。
 だが、シムシティーは問題をどうにか、消滅前に解決しなければならない。今回は、シムシティーの敗北である。

「この殺し合いも問題の一つです。私は、市長としてこのゲームを終えなければなりません」

 彼は、ゼルダの伝説 夢をみる島の所持品だったゴールデンフォックスと支給品を手にして、そのまま街へと走り去った。
 犠牲者が出てしまったのは残念だが、たくさんいる市民の一人である。
 まだ、他にも参加ゲームはいる。いくらでも脱出の為の仲間として呼び込めるだろう。


 シムシティー────いや、「どろぼー」は、このまま、何処で次の災害を起こすのだろうか。

【ゼルダの伝説 夢をみる島 死亡】




【D-4 街】

【どろぼー(シムシティー)】
【状態】健康
【装備】ゴールデンフォックス@F-ZERO
【道具】支給品一式×2、不明支給品
【思考】
1:自分が起こす問題を解決しながら脱出する
2:勝手に消えるとしても問題は解決していく
※外見は優柔不断で気の弱そうなオッサン市長です。
※能力は「本人の意図と全く無関係に火災・洪水・竜巻・地震・怪獣などの災害が狭いエリアで自然発生する」能力です。
 発生した災害は一定時間で消えますが、なるべく問題は自力で解決した方がいいです。災害が直接シムシティーを狙う事はありません(とばっちりで危害が及ぶ可能性はゼロではありません)。
※名前が「どろぼー」になりました。これから全ての人に「どろぼー」と呼ばれる羽目になります。
※自分がかなり迷惑な人間だと気づいていません。


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