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佳奈恵&花月ルート 其の六

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集

ポッキーキッスがやりたかったのよ

ノックして、ドアを開ける

俺「こんばんは~」
佳奈恵「あら、ご機嫌いかがぁ?」
俺「……なんか、やけに上機嫌だね」
佳奈恵「良いも良いも、物凄く良いわよ?」
俺「へえ……何かあったの?」
佳奈恵「……自己採点、したわよ」
俺「いくつ?」
佳奈恵「9割5分以上、とだけ言っておきましょうか?」
俺「……ぜんぜん、駄目だったんじゃなかったんですか」
佳奈恵「ただ、それでも花月さんには負けたけど」
俺「それはしゃあないよ、上には上がいるんだし」
佳奈恵「はぁ……出来ててよかったわ、ホントに」
俺「だね、じゃあ授業始めようか」
佳奈恵「ねえ……なにか、忘れてないかしら?」
俺「なんでも言うこと聞く、のこと?」
佳奈恵「……ふふふ」
俺「なになに?なにかもう考えてるの?」
佳奈恵「いくつぐらい、いいのかしら?」
俺「程度によるけど……まあ、出来る限りは従うよ」
佳奈恵「そう……まあその前に、授業は授業できちんとやりましょうか」
俺「ですね」

しばらく授業して、休憩の時間
佳奈恵がお茶と菓子を持って、部屋に戻ってくる

俺「ありがと」
佳奈恵「今日の菓子は……ポッキーよ」
俺「……何やりたいか、すでに見当ついたんですが」
佳奈恵「テレビとかでやってて……一度でいいからやってみたかったのよ」
俺「俺はやったことないなぁ、これは……」
佳奈恵「なら……ファーストポッキーかしら?」
俺「そうだね、ファーストポッキーだね」

ポッキーを口にくわえ、佳奈恵のほうを見る
佳奈恵すぐに、反対側から加えて、そのまま食べていき……軽く唇が触れる
佳奈恵の顔が離れる

俺「あー、ダメだこれ、俺ダメだわ」
佳奈恵「そう?結構楽しいじゃない」
俺「なんか、すっごいアホらしくない?傍から見て」
佳奈恵「いいじゃない、傍には誰もいないし……」
俺「それに、こう……追加攻撃できないじゃん、口の中に食べ物が入ってると
佳奈恵「……へんたい
俺「これやるぐらいなら、ほら、あーんして」

で、佳奈恵にポッキーを食べさせる

佳奈恵「ん」

徐々にかじって行き、終点に行きかけたので、手を離そうとしたのだが……
そのまま、指が佳奈恵の口の中へ
すぐ引っこ抜く

俺「……」
佳奈恵「ひい……た、かしら……?」
俺「いや、そんなことはないけど……あれかな、全体的に発情期?
佳奈恵「……かも、しれないわね」
俺「……ふむ」

で、微妙な空気のまま指導再開
そのまま、何事もなく終了


ゆーびーチューパー 某月姫のヒッスィーですか しかしアレは指を怪我した時 いやまぁいいか
これじゃあ生殺しだよ!

~おもひでめぐり~モノレール編

電車内で
さすがに、かなり混んでる

俺「で」
佳奈恵「……?」
俺「なぜにお台場?結構意外な感じですけど……」
佳奈恵「去年行ったから、ってことかしら?」
俺「そそ」
佳奈恵「……だからよ」
俺「だから、って?」
佳奈恵「去年は、毒づいてばかりだったから、こうして節目的な意味で、もう一度行きたかったのよ」
俺「にしたって、わざわざ苦手なモノレール経由選ぶことはないべ」
佳奈恵「今度は大丈夫よ、貴方がいるもの
俺「……なんか、凄い殺し文句だね」

俺「なんかアレ?以前のルートなぞる計画?」
佳奈恵「どうかしらね」
俺「そうだとしたら、髪型だけ逆行してるかな、と」
佳奈恵「ソバージュは目立ちすぎるから変えろって、友達から言われたのよ」
俺「金髪にしたら余計、目立つと思うんだけど」
佳奈恵「あら、そうかしら?」
俺「しかも……金曜は茶っだたよ……ね?俺の記憶に間違いがなければ」
佳奈恵「貴方が帰ってから、家政婦さんにすぐに染めてもらったのよ」
俺「……久しぶりに、佳奈恵が金持ち設定、ってこと思い出した」
佳奈恵「設定ってなによ設定って」

そして、例のモノレール
時間的にはまだ結構早かったのだが、かなり混んでて……
佳奈恵「……結局、窓際なのね」
俺「そうなのね」

出発

佳奈恵「……」
俺「どんな感じ?」
佳奈恵「前ほどではないわ、いえ……」
俺「……」
佳奈恵「ぜんぜん、なんともないわね」
俺「前はあれだよ、精神的に色々余裕なかったんだよ、たぶん」
佳奈恵「そうなのかしら」
俺「俺も子供の頃、精神的に余裕ない時は、ビルの手すりで鉄棒やったりしなかったし」
佳奈恵「……よく生きてるわね」
俺「まあ、よかったじゃん。別にトラウマじゃなくて」
佳奈恵「ええ」


さてさて始まるおもひでめぐり~ まだこいつぁ序章だぜ?

フジで友(女)と遭遇

台場、フジテレビ内を歩き回ってる途中、ケータイが鳴る

俺「はい」
友達「今日何してんの?」
俺「何してると思う?」
友達「台場いんでしょ?」
俺「……」

振り返ると
友達「やっ」
俺「うわー、お前にだけは会いたくなかった」
友達「どういう意味……」
佳奈恵「友達?」
俺「カテキョやってる人、同じ支部で……」
友達「デート?いいねぇ」
俺「今日も一人?」
友達「そそ、一人よ一人~」
佳奈恵「……」
友達「アンタこそ、独り身サイコーとか言ってたくせに……うらぎりものぉ」
俺「そりゃ、一目惚れに関してはどうしようもないし」
友達「うっせー、んじゃね」
俺「ばい」
で、友達去る

佳奈恵「騒がしい人ね……あの人が家庭教師だったら、耐えられなかったわね」
俺「まあ女性同士、確率的にはあったかもね……」
佳奈恵「……一目惚れ、だったのかしら?」
俺「一目惚れってのは言いすぎかもしれない、二目か、三目惚れ?」
佳奈恵「意味わからないわ」
俺「つか、こん中、結構蒸してるね……」
佳奈恵「そうね、海岸沿い行かない?」


「独り身サイコー」…? すいません、木材で薙ぎ倒して良いですか?

~おもひでめぐり~教師の、好きになった理由

海浜公園のベンチで、隣同士で座る

俺「……」
佳奈恵「……なによ?」
俺「いや、なんか金髪にしては……凄く綺麗に染めてるから」
佳奈恵「今日染めたばかりだし、うちの家政婦さんは、そこらの美容師よりかは上手よ」
俺「これでカラコンでも入ってたら、完全に日本人には見えなくなる」
佳奈恵「それって、褒められてるのかしら?」
俺「自分でもよくわからないけど、多分褒めてんじゃないの?」
佳奈恵「常に……微妙なことばかり言ってくるわね」
俺「……」
佳奈恵「だから、惹かれたのかもしれないわね
俺「ん?」
佳奈恵「よくわからなくて、謎めいているから……私が、好きになったのかもしれないわね、って」
俺「それって、褒めてんの?」
佳奈恵「さっきの言葉、そのまま返すわ」
俺「やっぱり去年は、恋愛とか冗談じゃない、っていう感じ?」
佳奈恵「異性を好きになる、ということが理解出来なかったわ」
俺「……」
佳奈恵「……別に異性だけじゃなく、クラスメイトも、先生も、自分、自分しか、自分だけが……重要だったから
俺「そもそもさ、家庭教師雇った経緯は?正直、去年のあの状態で、自分から雇いたいとは考えられないんだけど」
佳奈恵「色々、両親の付き合いの中で、その会社の派遣してる家庭教師を、私にどうかってことになって……、
私は勉強に関して不自由なかったから、そんなの必要ないとは言ったのだけれども……」
俺「……」
佳奈恵「『仕事として、家庭教師の生徒をやってくれ』とお父様に言われて、承諾したわ」
俺「……」
佳奈恵「それでも最初は、同性の教師だったからよかったけれども……その先生が辞めることになって、貴方……男性に変わると知った日は……荒れたわね」
俺「まあ、そりゃ誰でも嫌がるって。例えば俺が生徒だったとして、女の先生が来るってことになったら耐えられない」
佳奈恵「当然、最初は貴方に対し、徹底的に毒づいたわ。中学校は中学校で全体的に荒れていたし、私の知り合いもほとんど荒れていたし……あ」
俺「花月さんを除いて?」
佳奈恵「ええ」
俺「……続けて」
佳奈恵「だから……貴方にも、ひどいことした……ひどいこと言ったわ。ごめんなさい」
俺「教師変更システム、使おうとは思わなかったの?」
佳奈恵「存在は知っていたけれども……使う、という気はなかったわ。な、ぜ、か……ね」
俺「……もし使われてたら、今のうちらの関係はないだろうね
佳奈恵「……そうね」


謎めいたモノに惹かれる、ねぇ 「あぁこれ私わからない。知りたい、もっと知りたい」そうしてぷよを見ているうちに惚れた、と
親父さんの面子のためか… ふぅん

たった一つの「お願い」を使う時―――

佳奈恵「……ねえ」
俺「なに?」
佳奈恵「こないだの北辰テストの賭け、私の勝ち、ってことでいいの?」
俺「まあ、俺の言った自己採点の仕方で9割越えなら……70は確実だよ」
佳奈恵「そして、どんなことでも、言うことを聞いてくれる……ということだったわよね?」
俺「そう」
佳奈恵「……お願いが、あるの」
俺「……なに?」
佳奈恵「本当に突拍子もないこと言うのだけれども、私なりに、筋道は立ててきたつもりよ……いままで」
俺「……」

佳奈恵「花月さんを、救ってあげて」

俺「失礼承知で言わせてもらうけど、『救う』とは……大袈裟でないの?『悩み聞いてあげて』とかならわかるけどさ」
佳奈恵「違うの……これは、そういう次元の問題じゃないのよ」
俺「……」
佳奈恵「確かに、悩みとしてはどの辺にでもあるものかもしれないけれども……」
俺「……」
佳奈恵「その悩んでる対象が花月さんとなると……ただの相談レベルで、解決出来るものじゃなくなるのよ」
俺「悩み相談レベルなら出来ます、出来る。ただ……」
佳奈恵「……」
俺「救うレベルだと、勝手なイメージだけど……俺が花月さんと接触する……ってことだよね?」
佳奈恵「多分……」
俺「そうやって、大学生と中学生が交際してるってことを広める結果になるわけだ」
佳奈恵「ええ」
俺「花月さんがそのこと知ったからって、すぐにどうとなるわけじゃないけど……少なくとも、リスクは高まる」
佳奈恵「……」
俺「『リスク』って言葉も、俺もかなり漠然とした使い方してるけど……言いたいこと自体は大体わかるよね?」
佳奈恵「ええ」
俺「……それでもいいの?」
佳奈恵「それは嫌に……決まってるじゃない……」
俺「……そのことはとっくに踏まえた上で、相談してきてるわけだね」
佳奈恵「ええ」
俺「まあ……どんな悩みか、ということだけでも、聞きましょうか」
佳奈恵「死を恐れないのよ
俺「……また随分と、漫画ちっくな……」
俺「……具体例は?」
佳奈恵「道路に猫が飛び出したのよ
俺「ふむ」
佳奈恵「そこに車が来たの
俺「ああ……」
佳奈恵「それで、どう考えても自分は轢かれるタイミングで……花月さんが飛び出したの
俺「……」
佳奈恵「私は止めて、猫も無事車の中心線でやり過ごしたからよかったんだけれども……」
俺「あれ?自分が道路に出て、ぎりぎり猫を歩道に投げ出せるタイミングで飛び出した……ってこと?」
佳奈恵「本人曰く、『虫螻のような自分が役立てる場面があれば、黙って身を投げ出すだけだ』……って」
俺「うわ、カッコイイ……戦場なら、の話だけど」
佳奈恵「あとは、限界超えても、なりふり構わず続行したり……私が知ってる限りで、長距離走のときに3回は倒れてるわ」
俺「……」
佳奈恵「今は私が側にいるから、若干その傾向薄まってきているのだけれども……高校になったら、どうなのかと思って……」
俺「思春期によくあるけどねえ、そういうの」
佳奈恵「そう……なのかしら?」
俺「というかそれは……もしかしたら……」
佳奈恵「なに?」
俺「佳奈恵が側にいるから、ってのもあるんじゃないの?」
佳奈恵「私と会う前からよ、1年……他の人に聞くと、小学校の時から。窓から窓で隣の教室に行ったり、
ベランダに鍵かけて閉じ込められたら、素手でガラス割って、救急車で運ばれたりだとか……」
俺「ああ、一歩間違えればあの世逝きだね」
佳奈恵「だから……もっと自分を大事にしなさい、っていつも言ってるんだけれども……
私から言っても、『そうやって私を堕落させ云々』とかって聞く耳持たないのよ……」
俺「まあ……色々考えてみるわ、うん」
佳奈恵「考えてみる、って?」
俺「文字通りの意味です。また来週の木曜にその話しよ、今じゃエンドレスになりそうだから」
佳奈恵「……わかったわ」


あぁもう、灰色しか視えなくなってきやがった 何でこうも命を捨てたがるんだか… 「自殺」=「現実からの逃げ」何打という事を肝に銘じとけ

佳奈恵の決意はすぐ消える

佳奈恵「ところで」
俺「ん?」
佳奈恵「今までなんとも思っていなかったのだけれども……よくもまあ、散々嘘教えてきたわね」
俺「何が?性に関して?」
佳奈恵「そうよ、キスで妊娠するだとか、夕ンギッスだとかわけわかんないことばかり……」
俺「あれ、楽しんでたと思ってたら……実は怒ってたんだ?」
佳奈恵「実はそうだったのよ」
俺「キスで妊娠ねぇ……受精は口移しだっけ?」
佳奈恵「それなんてエロビデオよ?
俺「それ俺が前に言ったセリフだから」
佳奈恵「けど今は……相当知ってるわよ?」
俺「どうせ、男と女のLOVE事典の範囲でしょ?」
佳奈恵「他にもまだ持ってるの?」
俺「あるよ、愛撫の奴とか貸そうか?」
佳奈恵「別に興味はないわよ……けど、どうしてもっていうんなら借りてあげてもいいわよ?」
俺「……なんか久々に聞いたわ、ツンな口回し」
佳奈恵「最近デレばかりだったから……これからは厳しくいくわよ?
俺「ほほぅ、そりゃ楽しみだ」
佳奈恵「貴方だって、本当はツンなほうが好みなのでしょう?」
俺「緊張感が好きな性格だから……そうかもしれない」
佳奈恵「どうも、性に関すること覚えてから、全体的におかしくなった気がしていたのだけれども……」
俺「まあ、ツンでいて下さい。俺はそれを崩して楽しみますから」
佳奈恵「体触るのは反則だからね」
俺「そなの?せっかく抱き寄せようと思ってたとこだったのに」
佳奈恵「……まだ、ルール的には開始してないから、べっ、別に平気よ」
俺「……」
佳奈恵「なによ!抱き寄せるなら寄せるで、変な間作らないで早くしなさいよ!」
俺「へいへい(抱き寄せる)」
佳奈恵「……嬉しかったり、しないんだから……」
俺「猫語」
佳奈恵「しないからにゃぁ……はっ!?」


デレモードに突入するとツンモードにはもう戻れない――― 確認。 お嬢の場合は…ツン:デレが2:7ぐらいかな、かな?

夜のレストランで

佳奈恵「もう夜ね……」
俺「ただ景色の雰囲気的には、東京タワーの展望台からのと、あまり変わらないかな」
佳奈恵「そう、ぜんぜん違くないかしら?雰囲気も、違って見えるわ」
俺「……気持ちの問題、って意味で?」
佳奈恵「ええ」
俺「……」
佳奈恵「……先生って今、大学2年よね?」
俺「まあね、来年の末あたりから……就活かな」
佳奈恵「お父様が、貴方のことを誘ったらしいわね」
俺「ああ、はい、誘わらさせて頂きました」
佳奈恵「日本語おかしいわよ」
俺「就活やって、社会人なって。忙しくなるんだろうね」
佳奈恵「……私はまだ、14よ」
俺「だね」
佳奈恵「あと4年弱ね……」
俺「18になる、ってこと?」
佳奈恵「……」
俺「……」
佳奈恵「おかしいかしら、そういう考え?」
俺「そうやって割り切ってくれてるなら、全然構わない」
佳奈恵「……」
俺「確かにね、こないだの密室みたいであれば、誰も気付かないし、誰もわからないよ、ヤったとしても。けど……」
佳奈恵「……」
俺「……どうも駄目で、どうしても、罪悪感が真っ先に来ちゃうんだ。正直、こないだ結構際どいことやってたときも、心はその事ばっか気にしてたし……」
佳奈恵「……そう」
俺「臆病なだけかもしれないけど、ね」
佳奈恵「そうやって、微妙な部分が真面目だから……良いのよ」
俺「微妙言うな」
佳奈恵「普通、年上の男に性……というか、エッチなことについて教わろうだなんて思わないわよ?」
俺「……」
佳奈恵「貴方だから、よかったのよ
俺「ずーっと、ある意味トラウマなんだ。周りの人間と比べて、まだこの年なのに、性的なことに、そこまで没頭できないっていうのが……」
佳奈恵「私は、たまにこうして、思わせぶりな言い方はするかもしれないけれど……きちんと待っててあげるわよ」
俺「……ありがと」
佳奈恵「貴方のことが好きなんだから、仕方ないじゃない
俺「……佳奈恵って、不意に致命的な殺し文句言うよね」
佳奈恵「ま、礼は言っておくわ」


言葉で人は殺せるか? 答え、YES だって現に死んでるんだもの 今回の二つの言葉で

ペアリング=エンゲージリング=誓いの指輪=結婚指輪… あと何あったっけ

しばらく雑談の後……

俺「……」
佳奈恵「なに?」
俺「店向かうときから思ってたけど……体調悪い」
佳奈恵「……少し」
俺「それ、ブリーチ経由で染めたんだよね?結構時間かかったんじゃないの?」
佳奈恵「……」
俺「寝たの、何時よ?」
佳奈恵「……寝てないわ」
俺「……」
佳奈恵「……ごめんなさい」
俺「いや、謝ることはないけどさ」
佳奈恵「布団には2時には入ったのだけれども、結局寝れなくて……」
俺「帰りモノレールだけど平気?」
佳奈恵「大丈夫よ、ちょっと頭痛なだけだから……いえ、ナロンエースはいらないわ」
俺「ん、そう?」

夕食終わって、そのままモノレール乗り、JRに乗り換えて
車内では、俺も佳奈恵も寝てて、地元駅寸前で自然に目が覚める

時間は21時
俺「体調のほどは、どうですか?」
佳奈恵「もう平気、単に寝不足だったみたい」
俺「そかそか、じゃ、あとはチャリで帰りますか。遅くなったし」
自転車置き場に向かおうとすると、

佳奈恵「待って」
俺「ん?どうかしたの?」
佳奈恵「……いえ、やっぱりいいわ。帰りましょう」
俺「? わかった」

自転車に乗り、帰路に着く二人
これで、今日は終わりかな……と、完璧に思っていた
そして丁度、いつも春香やらと待ち合わせする公園に差し掛かった時に、
佳奈恵「ちょっと止まって」
俺「え?」
佳奈恵「公園内に進んでくれる?」
俺「ほいほいついてけばいいのかな?」
佳奈恵「そうよ、ほいほいついてきなさい」
そして公園内。自分達以外、誰一人としていない
二人とも自転車から降りる

俺「よかったね、不良さんとかいなくて」
佳奈恵「台場のレストランで渡すのが一番よかったのかもしれなかったけど……」
と言って、なにやら可愛く包装された小箱を取り出す

俺「……」
佳奈恵「これ、去年の貴方の誕生日と、去年のクリスマスのお返しよ」
俺「開けていい?」
佳奈恵「いいわよ」

開けてみると、リングが二つ入っている

俺「……これは」
その片方を、佳奈恵が取り出し
佳奈恵「半分は、私のよ」
俺「ペアリングか……いや、素直に嬉しいです」
佳奈恵「私は……嬉しかったり、なかったりよ」
俺「え、なぜに?」
佳奈恵「結構……いや、かなり高いんだから、それ。お互い、大事にしましょうね」
俺「……いくらよ?」
佳奈恵「8万5千円
俺「……うん、大事にしようか」


高ぇ なにその値段、なにその金銭感覚 「貴方の事――好きだから―――」 あーはいはいそういう事ね(棒読み)
僕死亡、俺死亡、自分死亡、ワシ死亡、我輩死亡、おいら死亡、以下無限に続く

対花月対策作戦 ミーティング

携帯連絡で、学校帰りの佳奈恵と待ち合わせ
カフェに移動

佳奈恵「今日、仕事じゃなかったの?」
俺「旅行行くから休みにしてくれた。流石に不足回数増えてきたから、今日は指導したってことにしていいらしいけど」
佳奈恵「平気なの?その人も受験生よね?」
俺「微妙かな……一応偏差値的には志望校クリアしてるけど……安定性がないというか」
佳奈恵「……そう」
俺「あ、ほらほら」

と言って、リングを見せる

俺「早速はめてきました」
佳奈恵「子供みたいにはしゃいで……少しは落ち着きなさいよ」
俺「えー、もしかして佳奈恵は今日持ってないの?」
佳奈恵「……」

すっ、と。ポッケから取り出す

佳奈恵「……へんたい
俺「なんでさ」
佳奈恵「言いたかっただけよ」
俺「あー、で、ね」
佳奈恵「なにかしら?」
俺「あれから色々考えて……花月さんのことなんだけど」
佳奈恵「ええ」
俺「まあ……正直、二回しか会ってないから不完全なんだろうけど……仮に俺と花月さんが一対一で話すと仮定して、色々シミュレートしてみたんだ」
佳奈恵「どうだったの?」
俺「……俺が接触するってことはさ、結局、その中間的な役割の佳奈恵にだって影響あるはずなんだから……
仮にその花月さんの、悩みというか、行動信念が打ち消されたとしても……」
佳奈恵「……」
俺「その時は、佳奈恵と花月さんの仲も、徹底的に悪くなってるかもしれない」
佳奈恵「構わないわ」
俺「……」
佳奈恵「元々、そういった馴れ合い関係じゃないし……憎まれ役になる覚悟なんて、とうに出来てるわよ。ただ、私はその言葉を持っていないだけだから……」
俺「……わかった」
佳奈恵「それで、シミュレートの結果は?」
俺「……あまり好きじゃないんだけど」
佳奈恵「けど?」
俺「花月さんみたいなタイプを説得するには、二つあると思うんだ」
佳奈恵「二つ……」
俺「一個目は、説得する人間……今で言えば俺という人間を尊敬させて、諭すこと
佳奈恵「……」
俺「ただこれは、説得される側の自尊心や自負心、現実の能力によって、かなり左右されるし……というか、俺がこの作戦取るのは多分無理」

本当の理由は、佳奈恵がいるのに、そうやって自分のことを信頼させて、花月さんと微妙な関係になりたくなかったから

佳奈恵「そう……それで、二つ目は?」
俺「懐柔とか、変化球の類じゃなくて、正面激突
佳奈恵「……具体的には?」
俺「とことん追い詰めるしか、ないのかな……って」
佳奈恵「……どの程度よ?」
俺「わからない、あまりこういう行動したことないから」
佳奈恵「……」
俺「ただ、前者の作戦よりこっちのほうが楽だろうし、信頼関係築く手間がない分、時間的にも早いと思う」
佳奈恵「程度によるわよ……程度に」
俺「ただ、んな人格的な部分について攻撃するわけじゃないし……ようは自分の持論に対して徹底的に論破された時、花月さんがどういう反応取るのか、ってことなんだけど」
佳奈恵「……そう」
俺「……それに、この方法で解決出来るかどうかなんて、当然わからない」
佳奈恵「……」
俺「ただ当然、危険な方法なんだから、やる時と決めたら、徹底的に、念入りに考えてやるよ。それだけは約束する」
佳奈恵「……わかったわ、また木曜に、話ましょ……」


さて「花月をどうにかしなきゃ!」と思っている人も多いでしょう だ・け・ど、冷静に考えてください
「行動の理由」は? コレが分からなきゃ迂闊な行動は出来ませんぜ

後大五郎、逝く

いつも通り指導開始して、
休憩時間、また彼女の話題になる
切り出したのは、佳奈恵から

佳奈恵「それで、どう……なの?」
俺「何が?」
佳奈恵「花月さんの件」
俺「ああ……というかさ、その話聞いてから、ずっと感じてたことなんだけど……」
佳奈恵「何よ?」
俺「なんか全体的に、焦りすぎじゃない?
佳奈恵「……」
俺「確かに、佳奈恵の話が丸っきり本当だとしたら、死に癖があるってことで……事態は急を要するのかもしれないけど」
佳奈恵「……そう」
俺「花月さんが、例えば俺に好意持ってんのか、嫌ってんのか、無関心なのか、それすらわかってない状況で……どうにも出来ないよ」
佳奈恵「……確かに、無茶なお願いだとは思ったわ。ただ無茶だからこそ、貴方との偏差値の勝負の約束を利用させてもらったのよ」
俺「例えば、俺の友達の悩みを解決してくれ、って言われても困るでしょ? 話を聞いてアドバイスするならともかく、直接会って、だなんて」
佳奈恵「そうね」
俺「……俺に相談しようと思ったきっかけは?」
佳奈恵「特にないわ。ただ、同じクラスで死人が出たら、寝覚め悪いでしょう……?それだけよ」
俺「……そっか」

そこで会話が止まり、紅茶を飲む
そして、気になってたことを聞く

俺「最近、駐車場の犬見ないけどどうしたの?」
佳奈恵「……遠いところに行ったわ
俺「……」

この日はなんか全体的に暗いムードだったので、主だった会話はそこで終わりました


どよーん 二つの意味でどよーん まだ情報が少ないから花月さんについてはコメント不可
後大五郎については…――― 敬礼の後、黙祷―――――――――――っ!!!

佐藤さんに相談

先週、佳奈恵に花月さんの件、断ってから、
佐藤さんに、「今電話出来ないか?」メール
そして電話に

佐藤さん『お久しぶりです』
俺『久しぶり、さっき佳奈恵の指導が終わったとこなんだ』
佐藤さん『言い方がなんかエロいっすね』
俺『で、早速本題なんだけど……』
佐藤さん『え、本題?なんか重い空気になっちゃうんですか?』
俺『出来る限り軽く努める』
佐藤さん『よっしゃ
俺『で、佳奈恵に言われたんだけど』
佐藤さん『うっしゃ
俺『ちょっとね、同じクラスの』
佐藤さん『はいしゃ
俺『ちょっと相槌うっさいです
佐藤さん『私もそう思ってました
俺『佳奈恵に相談されたんだけどさ、花月さんって人のこと』
佐藤さん『ああ、○○(花月さんの上の名前)?』
俺『そう、なんか死に癖があるから止めて欲しいという、突拍子もない……』
佐藤さん『また、重いっすね』
俺『けど佳奈恵の話しか聞いてないからさ、実際のとこどんなものなのか、って気になってんだけど……』
佐藤さん『むむ~、死に癖と言いますか、無茶は結構するほう……ですかね』
俺『例えば?』
佐藤さん『窓から窓で、隣の教室に移ったり
俺『それと、長距離走でよく酸欠になるのと、窓ガラス素手で割った話は聞いたから、他には?』
佐藤さん『ええっとぉ……ほか、ほか……武勇伝でんででんでんはそのぐらいじゃないですか?』
俺『……』
佐藤さん『どうして断ったんですか?』
俺『ほら、もし承ったらさ、佳奈恵には適宜報告の義務のようなものが生じてくるじゃないですか』
佐藤さん『……』
俺『本心では、やるつもりです』
佐藤さん『それこそ、どうしてなんです?』
俺『……明確な自殺的なことは、したことないんだよね?』
佐藤さん『は、ないと思いますけど』
俺『だとすると、理由はいくつか、なんとなく予測つくんだ』
佐藤さん『ほほぅ、聞かせてもらいましょうか』
俺『どうしても答えられない、っていうんなら、答えなくて結構です』
佐藤さん『あい、あんま花月さんのことは知らないですけどね』
俺『花月さんに、兄弟とか姉妹っている?
佐藤さん『……それは禁句ですよ
俺『……『いた』、ってこと?』
佐藤さん『そう聞いてますね』
俺『……重くなってごめんね』
佐藤さん『まあ、はい、多分原因はそれなんだと思います』
俺『……』
佐藤さん『……同じ経験、を?』
俺『ご想像にお任せします』
佐藤さん『けど、その考えに行き着くというのが……』
俺『いや、一番これがしっくり来るのかなあ、って。やっぱ一回経験してるからってのもあるんだろうけど』
佐藤さん『……』
俺『正直言って、具体的に何したいかわからないんだけど、何かしたいんだ』
佐藤さん『わかります、わかりますはい』
俺『だから、その佳奈恵以外の人間にも実情聞きたいな思って電話したんだけどね』
佐藤さん『ふむむ、わかりましたよ。セッティングしましょうか?(ピーピーピー)
俺『何を?』
佐藤さん『○○さんと会うような』
俺『……なんか、手馴れた言い方だね』
佐藤さん『クラスじゃ、奇跡の仲介者と呼ばれてますから?(ピーピーピー)
俺『絶対呼ばれてないでしょ』
佐藤さん『あは(ピーピーピーピーピーピーピー)
俺『ところでさっきから、何の音?』
佐藤さん『あのですね、子機がも(プツッ)

補足物
俺『あれなんだよね、花月さんと話すにしても、やっぱり彼女がいるんだし……ってのが』
佐藤さん『それがそれが、逆だったりするんですよ』
俺『ぎゃく?』
佐藤さん『わんふぉーおーる、おーるふぉーわんって奴ですよ』
俺『たまに電波混じるんだね』
佐藤さん『あは♪』
俺『で、どういうことなんで?アハさん』
佐藤さん『アハさん!? ……ええっと、佳奈恵的にはオールオッケーなんですよ』
俺『……』
佐藤さん『自分が付き合ってることで、彼氏の、ようは貴方さまを束縛してるんじゃないか、と』
俺『全然気にしないけどね』
佐藤さん『気にしてるじゃないですか、気にしてるから佳奈恵のこと気にするんですよね?』
俺『気にしてはないけど、そりゃ若干は気になったり気にするさ』
佐藤さん『脳内で「気にする」がゲシュタルト崩壊起こしてます……』
俺『……』
佐藤さん『ただ、佳奈恵自身はそれがたまらなく嫌みたいですよ?』
俺『他の女の子と会って、佳奈恵のことが脳裏によぎる、っていうのが?』
佐藤さん『花月さんのことを貴方さんに相談したことは私も聞いてますんで。で、かなぴーに対して「動きづらいんじゃない?」って言ったんですよ』
俺『ふむふむ』
佐藤さん『「……なら、別れた方がいいのかしらあじゃぱーあひょひょひょ」って』
俺『改ざん反対
佐藤さん『ですからね、他の女の子とバンバン接するのが、かなっぴょを安心させる唯一の方法なんですよ!』
俺『……なんであだ名に統一性がないんっすか』


佐藤さん!? いやまぁ何も問題ないけどさ 問題があるのは花月の方
家族を無くして自棄になっているというところか… 仮にも兄弟とか姉妹 仲は良かった訳です
しかし…段々と色が濃く視えてきました

しゅがー・いず・ふりー 花月の本心 衝撃的事実発覚

連れてくるとのことだったので、とあるマックで待機
ほどなくして、佐藤さんが来る

佐藤さん「うぃっす」
俺「あれ、花月さんは?」
佐藤さん「ああ、来るよう言っておきました」
俺「……それは『連れてくる』とは言わない」
佐藤さん「メガマックもうやってないんですよね~食べたいな~」
俺「期間中に、彼氏と半分こで食べたりすればよかったのに
佐藤さん「……それは、禁句ですよ
俺「ま、まさか……」
佐藤さん「ダダダダーン! ですよもー! 私のどこがいけなかったっていうんですか!」
俺「声でかいっす」
佐藤さん「さすがにお別れメール来たときは、『ありえないんだぜ』って言ってバタンってぶっ倒れましたから」
俺「(……ギャグマンガ日和見てんだ)」

そして、30分ほどして……
佐藤さん「ちぃーす」
花月「……」
会釈してきたので、返す

佐藤さん「ではでは、私はこの辺で」
俺「え、なんか用事でもあんの?」
佐藤さん「ちょっとばかし、あ、ちょっとばかし……」
俺「ちょっとばかしなんやねん」
佐藤さん「じゃ、そういうことで」
と言って、本当にそのまま帰ってしまう

花月「……」
俺「あ、とりあえず向かいにどうぞ……」

俺「ええっと、こんにちは」
花月(会釈)
俺「……んー」
花月「正直、どうして呼び出されたのか、見当もつかないのですけれども……」
俺「ああ、あとね、タメ口でお願い出来る?」
花月「敬語なし、ということですか……?」
俺「そそ、というかそっちのほうが話しやすいでしょ?別に学校の先輩後輩関係でもないんだし」
花月「……委細、承知した
俺「……」
花月「どうした?」
俺「いや、何かタメ口になった途端に、プチ威厳が……」
花月「まあ、クラスの者からは、年不相応な喋り方だとよく言われる。それでもキンジ(多分『近時』)はようやく、まともになってきたが……」
俺「やっぱそれは、幼い頃からの家庭環境とか?」
花月「大きく占めてるとは思うが、な」
俺「なるほどねぇ……」
花月「いずれにせよ、私をここに呼び出した次第は?」
俺「なんでだろうね、暇だったからかな?」
花月「和泉はどうした?」
俺「険悪中
花月「……何があった?」
俺「……率直に言っていいの?」
花月「如何な事情だろうと、構いません」
俺「花月さんのことで、です
花月「……」
俺「いや、なんか結構無茶ばっかすんだって? それで、いつか誤って本当に逝っちゃうんじゃないかってことで、佳奈恵が物凄く心配してるんだ」
花月「……」
俺「で、まあどうしたらいいかってことで相談はされたんだけど、流石に同級生のことまではわからんし、適当に受け流してたら……まあ、ピリピリしちゃって」
花月「拒んだ、んですよね?」
俺「はい、そうです」
花月「……答えを」
俺「そういった境遇にいる花月さんと、喋ってみたかったからですよ」
花月「……何を指して言っている?」
俺「思春期に、大事な人を亡くした、っていう境遇
花月「……」

花月さんが、
初めて、目を見開いて驚いた表情を見せる

俺「聞いたのは佐藤さんからだけど、怒ったりしないでね。俺がカマかけて、言わせただけで、佐藤さん自身は何ら悪くないから」
花月「つまり、こういうことですか?」
俺「?」
花月「己と同じ境遇だったから、傷の舐めあいでもしたい、と」
俺「それはないね、そんなのとっくに克服してるし」
花月「……」
俺「ただ色々疑問とかあったからさ、聞きたいだけ」
花月「……して、疑問とは?」
俺「出来れば後を追いたい。けど直接的な自殺は好まず、どこかで自然な、不意に死ぬのがいい、って状況……ってことなんだよね?」
花月(こく)
俺「……俺はそうだったんだけど、親の顔とか脳裏によぎったりしないの?」
花月「無いな、許可は得ている」
俺「……許可?」
花月「私の奇行を見て、両親に問いただされたことがある。姉が死んで、程ない頃だ」
俺「で、両親はなんて?」
花月「……貴様が」
俺「……」
花月「……本当に死を選びたいのであれば、止めるつもりはない。貴様の人生だ、貴様で決めろ、と」
俺「……」
花月「ただし、『死ぬ』や『殺す』等は、決して冗談でほざいてはいけないことであり、余程の覚悟でない限り、そのことは二度と口に出すな、とも」
俺「それで?」
花月「それから6年あまり経っているわけだけれども、私の考えそのものに変わりはない」
俺「……」
花月「ただ、このまま生き続いても、今度は高校の問題が出てきて、金銭的に親に迷惑をかける。つまり……」
俺「……」
花月「もし」
俺「ん?」
花月「もし、和泉が本気でそう思っているのであれば、せめて逝く前に、何かしら手を打っておいたほうがいいのか……」
俺「どう、だろうね……」
花月「私が死に、和泉がまた後追い……というような悪循環は、望まないところだ」
俺「その、中学時代中に死ぬ、って考えは変わらないわけだ」
花月「ずっと、遅くとも、姉と同じ中学在学時に逝こうという考えだった。何年も続いたこの考えを、今さら変えるつもりもない
俺「もう一個いいかな?」
花月「はい」
俺「この話は、結構色んな人にしたりするの?」
花月「当時、親に話した時を除いては……貴方が初めて、です。ここまで有りのままに話したのは」
俺「……そっか」
花月「……」
俺の手の傷跡を見る

花月「……先刻、私と同じ境遇、だと申していました」
俺「……ああ、この傷?」
花月「自殺、を?」
俺「いやいやいや、これはまったく関係ないです。えっとねえ、自転車に乗ってたんですよ」
花月「……」
俺「で、確かギアチェンジしたのかな?そしたらチェーンが外れて、そのままバランス崩して、転んで、路上にあった割れたビール瓶に、手首を、ダイレクトに……」
花月「……」
俺「あとちょっとずれてれば、動脈だか静脈切って、出血多量で死んでただろう、ってさ」
花月「触っても?」
俺「ああ、どうぞ」

で、手首をふにふにとさわってくる
俺「完治してからも、しばらくは物凄い違和感あったけど、今はそうでもないかな」
花月「……失礼した」
で、離れる

俺「なんだろね、今やってんのって、自分が死んで悲しむ人を減らす作業、って感じ?」
花月「そうですね。貴方の話が本当であれば、あとは和泉ただ一人ですけれども」
俺「ああ、すっごいわかるわそれ。やっぱ自分が死んだらまた……ってのが、あるもんね」
花月「……貴方の」
俺「ん?」
花月「貴方の……感想は?」
俺「……今の話の?」
花月「はい」
俺「んー、基本的には、花月さんの両親と同じ考えかね」
花月「……」
俺「確かに、俺は結局そのとき死ななくて、ああ、やっぱり生きててよかったな的な感覚はあるけど、そんなのケースバイケースだもんね」
花月「……」
俺「自分のやりたいことをやるのがいいんでないの?許可出てるんだし」
花月「……」
俺「っていうのが、建前
花月「え?」
俺「知り合いが死んで喜ぶ人なんて、いると思う?
花月「……」
俺「ええっと、基本的には、他人は他人、自分は自分、っていうスタンスなんだけど、けどそれでもたまに、そんなスタンスはふざけんな、ってときもあるよ
花月「……今が、そうだとでも?」
俺「死んで、会いたい、ってこと?
花月「……ここまで、培ってきた
俺「培ってきた、って?」
花月「そうして、いつ死んでも思い残しがないよう同級生とも親しくせず、学外活動にも参加したこともなく……今年の修学旅行も、行かないつもりです
俺「……」
花月「……もしここで意志を曲げ生きる道を選んだら、ここまでの私の生き方に対して侮辱、とういことにもなる
俺「わかったようなわからないような……」
花月「……申し訳ない、これから用事があるので……」
俺「ああ、わかった」

トレイを片づけ、自転車置き場まで一緒に向かう

俺「ありがと、色々聞かせてくれて」
花月「……気苦労は、しないで下さい」
俺「え?」
花月「和泉の件は、私がなんとかしておきます

そういって、自転車に乗って、花月さんは帰っていった


オイコラ、花月てめぇ何する気だ 凄くヤな予感がしてたまりません…
傷の話するとその部分がムズムズしてきて押さえたくなる うおぉ、やめれー
…しかしよく此処まで信念を貫けるなぁ この強さは何処から来ているんだ?
―――死ぬのに必死になるなんて、おかしいよ
衝撃的事実は次のページへ―――



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