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気まぐれサイケデリック(――――後遺症)

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匿名ユーザー

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気まぐれサイケデリック(――――後遺症) ◆MobiusZmZg


【0】

 ―――××秒で支度しな。


 *  *  *

【1】

 アドベンチャーズ・ギルド。
 冒険者の集う同業者組合とは名ばかりの、単なる酒場の窓口。
 塔の最上階に位置する楽園を目指すでもない者たちがくすぶる場所で、カードが流行ったことがあった。
 それは、ギルドをのぞいた仲間の間にもすぐ伝わった。カードがひと組あっても、荷物のかさは張らないから。
 もちろん、あたしもあれを嫌いだったってことはない。冒険なんて博打を打つくらいだから、大抵のゲームは好きだ。
 まぁ……最初こそ、日がな一日飲んだくれてて、溜まったツケを返済するためにモンスターを狩るような戦士くずれと、四天王とかと戦ってクリスタルを集めて、塔の上に向かってる自分たちが同じことを――
 なんて思ってたんだけど。数字の大きさを競うチキンレースは、けっこう……ううん、かなり楽しいものだった。
 何か賭けないと締まらないんじゃない、とか言ったけど、分かりやすい遊び方は気分転換にも向いてたしね。
 それと――たぶん、もうひとつ。

『なるほどな。それじゃ、お前は1にも11にもなれるってことか』

 カードのルールを知った仲間のひとりに、こう言われたことも大きかった。
 全員が切り札(トランプ)たりうるパーティの一員にして、最も小回りが利くのがあたしだ。
 単純に、素早かったこともある。先手を打つ予知能力や、味方を守護するサイコバリア。筋力を強化して前線を張りにいけるスーパーパワー。冒険の中で様々に閃いた能力を使う頭の回転にも、それなりに自負はある。
 それでも、純粋な前衛に比べて派手さに欠けることは否めず、フレアやブレイクみたいな魔法の書に頼るようになってからは、なんかこう、頭の悪いパワープレイばかりが目立ってきたと感じてたんだけど……。

『それって……あたしはどんな役にも合う、都合のいい女って言いたいわけ?』
『その憎まれ口をなんとかしたら、いい女で通るだろうよ』

 剣の意味をもつカードの中でも、いちばん強くて便利なエース。
 同名とはいえ、そんなものに例えられたことは、ほんとうに嬉しかった。そうありたいと思えた。
 喜色満面で応じれば仲間にだって気味悪がられたと思うけど、普段の皮肉を今になって悔やんだ程度には。
 アイツをバラバラにして、全部終わって。胸のつかえも取れたと思ったら……そいつは近くにいなかったんだから。

 だから、あたしはまだ、言えてない。
 神に対してケンカを売った、馬鹿の中の馬鹿に言えてない。
 ありがとうとか、感謝してるとか、楽しかったとか。そんな、本当のことを。


 *  *  *

【2】

 C-1エリアは中央部にほど近い、山の中。
 相も変わらず足許に不安が残る地形を進みながら、エースは何度目かの息をついた。

「あれくらいの隕石でwwwwwオレが止まる訳ないwwwwwロマンティックも止まんないwwwwwwwww
 危険が危ないならwwwwwこの剣でwwwwwエースちゃん守ってフwラwグw立wてwるwwwwwwwwww」

 たとえ止めたところで、こういう言葉が返ってくるだろう。
 そんな予測ができる程度には、彼女は自分の前を歩く騎士、ナイトウを理解しているつもりだ。
 おkwww? などと問われても、自分に返せるのは先刻と同様、聞こえよがしのため息だけであろう。
 答えはもう、彼のなかにあって動かない。というかひとを守る守らないで、一体なんの旗が立つというのだ。
 自身の想像にすら頭痛を覚えかけたが、危険が迫ると分かった今、エースに出来ることはさして多くもなかった。

「ねえ。透明になってるのはいいんだけど……広範囲に影響が及ぶ攻撃を受けたらどうなるの?」

 大まかに考えて、ここでナイトウを見捨てるか、ナイトウとともに危険に飛び込んでいくかだ。
 爆心地から遠い今の時点で、エースは前者を選ばない。道理を知っても関係ないとばかりに生きる馬鹿ほど悪運が強いというジンクスを実感しているので、なんとなく、彼の死ぬところが思い浮かばなかった。
 そんな彼が生き延びた場合――自分が戦場から逃げたことを話されても厄介で、しかも自業自得であろう。
 加えて、強敵の外見的な特徴すら、逃げ出してしまえば自身の目に捉えられないとくる。
『……逃げてもどうしようもない状況だって、世の中にはたくさんあることだし』
 ならば、隕石の主がナイトウがらみの人間の仕業であると、期待せずに行動しようではないか。

「うはwwwごめwwwww偶然巻き込まれたりしたらwwwww普通に当たっちゃうwwwwwwwwwww」

 ……ついでに、この男にも極力期待など寄せないことにしようか。
 頭痛が痛いと感じる反面、消えるマントのふたつ目の穴を見つけたエースは、ナイトウの後ろで肩をそびやかせた。
 自分の札を明かしてもいいのだが、猪突猛進な“相棒”の足を止めるには、この機会を使っておくべきか。
「――マントでかわせない攻撃に備えて、なにか護身に向いたものがないかしら。
 ダガーやレイピアなら、けっこう使えるんだけど……勇者に向かないものなら、私に見せてくれる?」
 せっかく守ってくれるというのだから、この男に守ってもらうことに躊躇はない。
 しかし、彼がどのような切り札を持っているのか知らない状態では、護衛の効果も半減する。
 宝の持ち腐れ、ということになってしまえば、自分も、おそらくはナイトウも悔やみきれない。
 ゆえにこそ、いちど立ち止まって荷物確認と心の準備をしようというのに――

「じゃあwwwwwこのナイフwwwwwお守りにすればいいwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
 命中率とか高そうだけどwwwwwwwwwオレには無理wwwwwwwwwサポ白wwwwwwwwww」

 やはりと言うべきだろうか。
 言外のメッセージを読み取ってもらうことさえ、彼に期待してはならないらしい。
 ナイトウはデイパックから鞘に入った刃物を取り出して、エースのいる方向に振り返った。
 柄の部分も含めると、手の付け根から肘くらいの長さか。短剣の刃には、鋸のような凹凸が刻まれている。
 見慣れないつくりの武器で相手の武器を壊すことはまず無理だろうが、勇者というより護身向きなのは確かだ。
 しかしこの、空気を読んでも関係ないようでいて、妙にツボをついてくるのが、いやにニクい。
 絶望に絶望を重ねる時が近いだろうと予想しているエースでさえ、ともすれば毒気を抜かれてしまうほどに。

「でもwwwwwオレがいるかぎりwwwwwwだれもエースちゃんの練習相手にさせないwwwwwwww」
「……分かった。せいぜい期待しとくわ、天才勇者さん。
 でも、もらってばかりじゃ性に合わないから、私の道具も暇を見つけて確認してもらうわよ」

 ――もしも、これから先、暇ができればの話ではあるのだが。
 いまひとつ笑えないジョークは腹に納めて、エースはナイトウとの会話を打ち切る。
 それからいくばくも無く、赤熱の余韻に混じって、金気と塩気を煮詰めたような臭いが鼻をついた。
 隕石の落ちた現場、山岳地帯に出来た不自然で局地的な空白は、もはや指呼の先にある。


 *  *  *

【3】

 血に狂う、ひとりの少女。
 内田珠樹の視界を、蒼黒い合金の輝きが支配していた。
 鉄でも青銅でもない魔性の素材は、たとえ常闇にあってもなお蒼くきらめきを灯すだろう。
 絶望のなかの希望。闇中の華。そんな美しい幻想をまとって、新たに刃へ血を浴びせる犠牲者と――
「血を浴びたすぐあとみたい。つやつや、光って……ほんとにキレイ」
 たとえば剣を抱きしめるように握った彼女のような、次の使い手をいざなうために。
 そうしておいて、剣は、それを手にしたものの内面へと語りかけるのだ。

 戦え。戦え。戦え。戦って戦って戦って、戦い続けて『血を流せ』――と。
 主語のない呪言に囚われた者は、ゆえにこそ、己の防御すら忘れて剣を振るうこととなる。
 すべては、間断なくつづく戦いによって血を流し、剣への供物とするために。


 絶大な破壊力の代償は、自他を問わない生命。
 ゆえに、この剣は『皆殺し』の名を冠している。


 いずこかの巷間に伝わるとおり、皆殺しの剣が求める血とは、本来対象を問わぬものである。
 その身に血を浴びることが出来るのならば、彼は、血が敵であろうが使い手のものであろうが構わないのだ。
 “剣は使い手があってこその道具”。“ふるうべき対象と目的があってこそ、剣は道具として活きる”。
 武器という存在を規定する前提は、名剣を魔剣と変えた使い手にも意識されることなどなく、剣も己の分を顧みない。
 前提、すなわち常識は魔剣に通じない。前提が壊れたからこそ、呪いの武具と呼ばれるという見方も出来よう。
 ゆえに、健全な精神をもつ人間が呪いの武具を手にしてしまった場合、彼や彼女は圧倒的な毒気に呑まれるのだ。

 しかし――そうした例から彼女は漏れた。
 魔剣の意志に飲まれるがゆえに生まれるはずのスキなど、少女には微塵もみられない。
 相手が誰であろうと血を流させるために剣が秘めた呪いは、内田珠樹に通じることなどなかったのだ。
『血が欲しい。血を吸いたい? ――あぁ、そう、アナタも“そう”なんだ』
 殺人に快楽を覚える彼女には、倫理に対する前提がなくなっていたがために。
 剣が語るどころか、ガーディアンや悪魔といった者たちに触れることが日常茶飯であったがゆえに。
『そっか。それならさぁ……お互い、目的は一緒だね』
 魔剣と利害が一致していると知った彼女は、正気のままで得物の意志を受け入れた。
 今さら剣に言われるまでもなく、殺せるだけ殺して気持ちよくなるのだと、呪言の強制力を無意識が払った。
 かくして彼女は立ち上がり、相手を選ばぬ破壊の旋風(かぜ)を意識的に呼び起こし、制御する。
 呪いの剣の斬撃は、彼女に取り憑く地母神が振るう冥界波にも似て空を引き裂き、山岳の凸面を削ぎ落とした。
 土煙が晴れる数瞬で、昼下がりの空気は乾いたものをまとって珠樹のかたわらを吹き過ぎる。

「ァあ……あ、は……。見つけた――」

 そして、少し遠い場所にある人影を認めた少女は、腿の付け根から下腹部に渦巻くような熱を覚えた。
 陶然とした表情をいろどる瞳。快感に潤んだままの双眸は、まったくの正気であり――
 ゆえにこそ、そこには最悪の部類に入る狂気がにじんでいる。

 *  *  *

 “待ちなさい”と言えていたなら、どれほど話は簡単だったろうか。
 言ったところでナイトウが聞くようなタマではないとの前提も忘れて、エスパーは歯噛みしていた。
 いまだ自身が透明でいられているからこそ、いまのエースには手の出しようが無いのだ。

「らあぁああああッ!」
「うはwwwチートすぎwwwwww今ここでwwwwwwwオレが修正するwwwwwwwwww」

 先ほど目の当たりにした、牽制どころか過剰殲滅されても仕方の無い攻撃。
 山を削った斬撃に敵意を感じ取ってしまったナイトウを、彼女には止めようがなかった。
 ここで下手を打てば、勝機も、逃げる機会さえも喪ってしまう。そこに気の回る自分が疎ましくなりそうだ。
 実際、逃げ方さえも誤れば危ないだろう。ナイトウは天才との自称に相応しく、隕石による地震にも動じなかった身体能力を活かしていたが……彼らの周囲にあるふたつの死体の片方は、砕けた隕石の欠片を下に敷いている。
『アイツが、銀髪のほうを殺したみたいね』
 緑の衣装をまとっている、人間だったもの。
 ふたつの死体のもう片方に関しては両脚の炭化だけでも十分死ねるだろうが、あちらは違う。
 原型を留めないほど引き裂かれたローブの惨状は、よほどの暴れ馬を相手にしたがゆえとみるべきだ。
 エースの推測を裏付けているかのように、少女は肩からベルト付きの凶器を提げている。
 チェーンソー。ふざけたゲームで彼女たちを玩んだ神をバラバラにした道具を、見間違えることなどない。
 かてて加えて――いまの彼女が手にしている剣からは、禍々しい魔力の流れが伝わってきた。
 遠間から見ていても刺すような感触があるというのに、よくもナイトウは屈しないものだと感じる。
 見れば見るほど、ナイトは楽天的すぎる側面からかけ離れた立ち回りを行っていた。
 山肌のように一方的に殺されるであろう先の先を取られず、攻撃によって生まれる隙を突かれることもなく。
 相手が素早すぎるために、攻撃を見切っても後の先を取るまではいかないが、いなされた剣圧によってすら地面から砂ぼこりが立ちのぼる様を観察するに、彼がアレと互角に切り結んでいることこそ奇跡。

『ちょっとだけ見直した、けど。アイツは――さっきから全然、疲れてなんか……ない?』

 それでも、エースがナイトウの剣戟に安堵できない原因は根深かった。
 疲労が表に出ていないだけか、あるいは、剣の魔力に加護を受けてでもいるのか。
 全力で十数合を打ち合ってなお、青い服を血に染めた少女の太刀筋には、衰えなど微塵もみえないがゆえに。
 ナイトウの側もよく持ち堪えていると言えたが、いくら鈍くて馬鹿だとはいえ、あの男は普通に人間だ。
 今はほんのわずかに疲労が表に出ているだけであるが、それが顕著になった瞬間、彼は――“終わる”。
 派手な返り血からして頭骨を唐竹割りにされるか、胴を両断されるか、なんにせよ完膚なきまでに壊されてしまう。
 そんな、ひとつひとつの攻撃が致命傷となる戦いに集中せざるを得ない彼を、ここで見捨てていくのは簡単だ。
 簡単だろうが、それでもエースは動けない。動いてはならない事情、彼女なりの矜持が、足を動かさせない。

『こいつの借りを返す前に死なれちゃ、あたしの夢見が悪くなるのよ』

 手の中にあるのは、ナイトウから譲られたソードブレイカー。
 人間だろうと耳の長いエスパーだろうと、ひとが動く理由というのは、これほどに単純なものだ。

 だから、ずっと、見据えていたのだ。
 少女のデタラメな連撃に、いつ途切れがあらわれるのかと。
 だから、ずっと、思案していたのだ。
 自分のもつ特殊能力の、いったいどれを活用したものかと。

 ナイトウを死なせてはならないなら、彼の消耗が無視できないものになるまでに、決断しなければならない。
 回復? バカな、一撃が致命傷であれば、死体になることの避けられないものを癒してなんとする。
 フレア? あり得ない、ナイトウの動きにまでは気を配れない現状、全体攻撃など悪手中の悪手だ。
 ……それならば、今ここで選べるものは、ただひとつ。少女が剣を振り切る一瞬を狙った、

 乾坤一擲の、
 綱渡り。

 相手の攻撃の軌道や姿勢が変化できなくなる瞬間を狙うわざ。
 いわゆる“七分三分の見切り”など、エスパーにはやれるだけの余裕も実力も無かった。
 だから、立ち回りで圧倒的に劣るエースは離脱の札をここで切ってみせる。
 具体的には、一度でも行ったことのある場所へ自在に移動できる特殊能力――
 “テレポート”の、即興で簡易なものへ組み換えた術式を、彼女はナイトウのマントに指を触れさせて発動した。
「失礼」
「ごめんwwwいやむしろwwwww御免wwwwwwww」
 異空間に跳躍する瞬間、姿を現したエースは短くひと言。ナイトウは満面の笑みと煽りを残していく。
 恍惚としていた少女の顔が、沈み始めた太陽とともに、憎しみで塗り替えられてしまったのは誰の目にも明らかだ。
 怒らせた。これは間違いなく怒らせた。決定的に墓穴を掘るに至ったエスパーの胸中では――
 途方に暮れたような気分と、半分やけっぱちな満足とが相半ばしていた。


【C-1/中心部・山岳/一日目・夕方】
【内田珠樹(女主人公)@真・女神転生if…】
[参戦時期]:玲子ルート、イデオ第二形態撃退後
[状態]:快感>>越えられない壁>>魔法おばばに対する憎しみ、新たな怒り
[装備]:血染めの制服、チェーンソー@魔界塔士Sa・Ga(刃が痛んでる)、皆殺しの剣@ドラゴンクエスト5
[道具]:支給品一式×3、ランダム支給品0~2個
[思考]
基本:とりあえず片っ端から殺して回る。
1:魔法おばばは絶対に殺す。逃げたヤツらも同じ目に合わせる
2:機械のオイル(ノアを殺すこと)に興味
[備考]:パンツはいてません。
 現状、皆殺しの剣@DQ5の呪いに影響されていません。

 *  *  *

【4】

 果たして、彼らは闇の底に沈んだ『そこ』に行き着く。
 張り巡らされたパイプに、あたり一面を覆う金属板。鼓動のごとくにリズムを刻む機械の群れ。
 かろうじて床に散らばっていると判るのは、兵器群によってバラバラになった神の欠片と、首の無い男の体。
 つまり、今までC-1エリアしか移動していなかったエースが知っている“別の場所”――


 この殺し合いへの参加を強制された、最初の部屋へと。


 そこにいるはずのノアは眠っているのか、それとも、どこかで動いているのか。
 参加者がいなくなったせいか、光源が落とされていて詳しい様子は見えない。
 暗闇の中に、エースとナイトウの呼吸する響きがひたひたと満ちていく。

「エースちゃ」
「黙って」
「wwwwwwwww」

 半分は計算どおり、半分は偶然。
 なんにせよ、“少女から距離を稼ぐ”という目的を達成したとするにはまだ早すぎた。
 C-1のどこかに転送されれば恩の字であったのだが、このままでは自殺行為そのものにしかならない。
 頚動脈の拍動とともに、ナイトウの口を塞いだエースの首もとで、名も知らぬ男を屠った首輪が存在を主張している。

 ――首輪を破壊、解除しようとしても爆発する。

 ここでノアが提示した条件には、今のところ当てはまってはいない。
 けれど、今のふたりは、もっと大事な前提を忘れてしまうわけにもいかなかった。
「このままじゃまずいわよ、ナイトウ。早く元の場所に戻らないと、あたし達……ノアに殺される!」
 突撃あるのみ。だがいったい、この場にいる誰と戦おうというつもりなのか。
 剣を構え直そうとした騎士と、姿の見えない機械に向けて、エースは矢継ぎ早に言葉を放った。

「覚えてる? 首輪をいじったりすること以外で、ノアから罰を受ける条件のこと。
 立ち入り禁止区域に入った場合と、アイツに従わない場合……。私たち、両方に当てはまってるもの」

 自分は“それ”を理解しているということを示すことで、彼女はノアに牽制の石を投げる。
 立ち入り禁止区域を知る彼が即座に罰を与える前に、いまの自分たちには理解と恭順の意があるのだと――
「だから、ここに避難したままじゃダメ。むしろ、出来るだけ早く戻らないといけないわ。
 あの子がこっちに興味をなくして、何処かに行くまで待ってたりしようものなら、間違いなく首と胴体が泣き別れね」
 口にしておいた上で、エースは“エース”たる所以であるところの頭脳を全力で動かしにかかった。
 色々な意味で規格外の機械が目覚めて、バカな参加者にしびれを切らすまでの時間は何分か、はたまた……何秒か。
 緊張に固まる唇から呼気を押し出したエースは、ノアと少女、遠くと近くの鉄火場を乗り切るための方策を探す。
 さすがのナイトウも黙ったようだが、復路さえ自分のテレポートに頼らなければならないのだ。
 このような状況下では、彼に期待しろという方が難しい。
『つくづく……嫌な感じだわ。遊びなんか頭になさそうなヤツだけど――
 ひょっとして、あえてここに呼んだんじゃないでしょうね? 落ち着いた心持ちで死体を眺め、悔い改めるがいいとか』
 この構図は、あの神を相手にしたときと同じだろうかとも思えてくる。
 あの時といい、自分もよくよく、他のなにものかに遊ばれやすい質(たち)らしい。
 しかし、大抵のゲームで遊ぶのは好きなエースであっても――


「戦ってみて分かったでしょ? あの子に勝つか、それとも逃げのびるか。
 勇者っていうなら、あたしもあんたも生き延びるくらいの奇跡は起こしてみせるのよ」
「wwwwwっぷはwwwwwwwおkwwwwwwwwwwwwwww」


 遊ばれることは気にくわないのだ。


【?-?/OP会場?/一日目・夕方】
【ナイトウ(男ナイト)@FINAL FANTASY TACTICS】
[状態]:おkwww乳酸菌摂ってるからwwwww乳酸もwwwww溜まるwwwwwwwwwwww(中度の疲労)
[装備]:オートクレール@Romancing Sa・Ga2
[道具]:支給品一式、不明支給品0~1(本人曰く勇者には必要ない物 らしい)
[思考]
基本:うはwwwww殺し合いwwwww生理的にwwwww受け付けないwwwwwwwwww
0:やっべwwwwww首輪wwwwwwwwwオレたちは飼われていたんだwwwwwwwwwwwwww
1:あの子エロすwwwwwでもwwwww危w険wがw危wなwいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
2:エースちゃんはwwwww勇者のオレがwwwwwwwwww守るwwwwwんでお付き合いからwwwwwwwwww
[備考]:アクションアビリティ白魔法、その他アビリティ不明

【エース(エスパーギャル)@魔界塔士Sa・Ga】
[状態]:疲労(中)
[装備]:ソードブレイカー@P3P、消えるマント@FINAL FANTASY TACTICS
[道具]:支給品一式、不明支給品0~2
[思考]
基本:とりあえず殺し合いに乗るつもりはない
0:首輪が爆発する前に、少女(内田珠樹)への対策を立てて会場に帰還
1:とりあえずナイトウに守ってもらう
[参戦時期]:神撃破後
[備考]:透明は彼女が何かアクションを起こさない限り認知されません。
 時魔法については半信半疑。特殊能力「テレポート」を習得しています。

※参加者の首輪に関して、爆発に制限時間があるかどうかなどは後続の書き手さんにお任せします。


【ソードブレイカー@ペルソナ3ポータブル】
ナイトウに支給された。
コロマル専用の小刀のひとつ。刃が鋸状になっており、達人ならば相手の剣を折ったりもできる短剣。
なお、ナイトウ(内藤)の元ネタであるFF11にも登場しているが、そちらではシーフの専用装備となっている。


037:同じ星を見ている 投下順に読む 039:地獄少女
052:デッドマンズ・ギャラクシー・デイズ 時系列順に読む 042:才にあふれる――(愛にあぶれる)
037:同じ星を見ている ナイトウ [[]]
エース [[]]
035:王となるもの/皇帝であったもの 内田珠樹 [[]]



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