次世代超精密監視観測技術(アクロス)の水準向上とその適用による固体地球研究の飛躍的新機軸開拓

アクロス(ACROSS):「精密制御定常信号システム」の英訳「AccuratelyControlled Routinely Operated SignalSystem」の頭字語。日本で発明、開発研究を牽引。
◎線形力学系とみなせる対象(微小な材料試料から地球まで)のシステム特性(構造と物性)計測精密評価の刷新的な汎用信号取得解析システム技術。
◎環境を損なわないように微弱で超精密の音波~亜音波あるいは電磁波対象に照射しその応答の常時精密観測蓄積によって、雑音レベルよりも何桁も小さい信号情報を取得抽出するハードウエアと解析理論を含めて技術体系を構成。
「地下を見る光と目と脳」がキーワード。見えない地下の物理的可視法。地震発生場の直接監視予知研究からマントルのダイナミックスと進化研究まで、刷新的な道を開拓することになる。

経緯:1994年名古屋大が開発研究を開始。その後、東大地震研究所、および、神戸震災で発足した地震フロンティア研究(JAEA旧動燃/科学技術庁)で1996年以降研究が強力に推進された。JCEAM(日本地球能動監視協会)が組織され研究を支援。2003年から連続運転試験。2006年から気象研究所(気象庁)と連携して東海地震想定場の監視試験観測を開始。日本主導の国際ワークショップ3回。ロシア、中国、アメリカなどが日本の開発研究の追従を開始。

実績例A1技術的基盤をほぼ確立し、送信点から100kmはなれた地点で高精度の伝達関数信号観測を達成。世界で始めて、テンソルグリーン関数の観測データ取得。従来の常識を破る解釈困難な現象を示すデータ。例A2地下30kmにある地震想定断層面付近の微弱な変動を世界で始めて捕捉(東海地震地域)?!と考えられ鋭意観測解析中。地震・噴火予知研究に必須の技術と見られる。

将来への展望例B1地震予知研究においては、多数の送信装置を配置して「日本列島地下状態常時監視システム」を構築し、地下の状態変化を可視化して地下変動のメカニズムの研究水準が格段に向上すると期待。遠からず実用的地震予知防災業務に活用することになる。例B2原子炉をはじめトンネルや橋梁など、地盤と結合した構造物の特性評価監視技術への応用は有用と考えられ、減災工学における飛躍的発展を期待できる。例B3地球マントル(自然災害と地球資源のソース)の遠隔監視研究に観測的に刷新的な手段を提供する。MET(マントル探査ツール)と称する送信装置の事前評価によれば、現実的なアプローチとして現試験装置の1000倍程度の大型機を開発し7大陸に配置運用すると、10年間程度の観測データの蓄積処理で、マントル中の主要な構造や状態に関する刷新的新知見が確実に得られる。予測できない発見を予想。例B4原理的にこれを凌ぐ技術の構想はまだ全く影も存在しないので、数年後には諸外国もなだれをうって参入と予想。地球計測以外に物理計測一般にも適用できる汎用手法であるから、現時点では予想できない広い応用範囲があると考えられている。

最終更新:2007年03月05日 11:12