自治体職員有志の会

第3回シンポジウムin福岡

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第3回自治体職員有志の会シンポジウム

日 時:平成18年8月19日(土)13:00~17:15
場 所:福岡市「NTT夢天神ホール」
司 会:栗山 勝典(久留米市)

1.開会挨拶  山路 栄一

2.活動報告

3.基調講演 発表者:木佐 茂男(九州大学大学院法学研究院)
   「あなたは変革の担い手となりえるのか?
             -今、自治体の危機を考える」

4.パネルディスカッション
  
「地域から日本を変えよう!~自治体職員が住民とともに~」

5.閉会挨拶  秋吉 誠

シンポジウムの開催案内(PDFファイル)

 

■ 開会あいさつ~開催趣旨,有志の会の活動
 
自治体職員有志の会発起人&地域世話人の一人  山路 栄一(三重県)

本日、ボランティアで参加いただく、出演者すべての人に感謝申し上げたい。
今年で3回目になる自治体職員有志の会のシンポジウムは、一昨年は愛知県高浜市で、昨年は兵庫県西宮市で、約200人、約300人の参加をいただいた。昨年の挨拶で私は、「来年は東京で400人の参加で開催したい」と申し上げたが、考えてみればこのシンポジウムは人数集めが目的ではない。変革というものは都人はやらず、辺境の地からということもあり、九州、福岡の地で開催させていただくことになった。九州の一大中心都市である福岡を辺境の地というのもはなはだ失礼な話だが、鄙の論理にこだわったとご理解いただきたい。
自治体職員有志の会はいまでこそ、全国47都道府県に500人弱の会員がいる。それなりに知られるようになってきているが、4年前に発足したときは、神戸市役所の職員と私たち他の自治体職員あわせても20~30名だった。そのときの問題意識としては、職員のレベルで担当業務、自治体の枠を超えて、議論する場がないということ。そこで、メーリングリスト、ホームページ、あるいは、志に共感できる首長さんをゲストに年に数回オフ会を開催したり、年に一回オープンに今回のようなンポジウムを開催したりして活動している。自治体を取り巻く状況は厳しいが、「北風と太陽」の話の北風という厳しい現実だけでは、本来変革を嫌う職員の意識を変えることはできない。このつらい改革を乗り越えたら、今より3倍すばらしい未来が待っている。つまりビッグ・ピクチャーを示してこそ、日々のスモール・ウィンを達成できる。
 また、私たちが運動続けるうえで、心していることは「大同小異」。これは会の活動に理解のある橋本高知県知事にいただいた言葉。反改革派は、「改革しない」という一点で団結するから君たちは「大同小異」でいかなくてはいけないというアドバイスによる。「脱お役所仕事」、「住民本位の地方自治」、目指す頂は同じでもルートは違ってよい。「排除の論理」はとりたくないと思う。
私たちには夢がある。「お役所仕事」という言葉を死語にすること。あるいは、最も効率的な仕事を意味する言葉に変えること。 このシンポジウムがその夢の第一歩になることを祈念し、期待し、そして何より確信している。
 本日は、一日大いに議論し、交流していただきたい。




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■ 各地の取り組み~活動報告~ (各20分)


● 「100年後にも誇りに思える元気な山形県」づくり

齋藤 弘(山形県知事:自治体職員有志の会会員)

夏の甲子園での日大山形高校がベスト8となったのと同様に、自治体職員有志の会においても、山形県を最後に(笑い)47都道府県全てが揃い、それぞれが元気な活動をしていると言えると思う。

政治の世界では、現職が負ける現象が相次ぎ、重く受け止めている。住民意識には改革疲れ感が広がっているのではないか。「改革の意義には賛同する、しかしあなたは我々に、具体的に何をしてくれるのか」ということを強く求め始めている、その表れではないか。
そこで、やまがた改革では、子ども夢未来指向で「百年後にも誇りに思える元気なふるさと”やまがた”」を理念に定めた。「肩が凝る」はフランス語にない言葉であるが、あるフランス人が勉強して言葉を覚えた時に肩が凝り始めた。すなわち、理念がないと感覚もないということだからである。そして、今を生きる我々が次又は次の次の世代の担い手にベクトルを向け、何をすべきかを考えるべきと考えた。

この基本的な考え方は、未来指向、ゼロベースからの再構築、協治(ガバナンス)であり、「地域力」、「基盤力」、「経済力」の3つの力の相乗効果によって発展させていきたい。
具体的には、県庁自身の改革、市町村との新しい関係、県民主体性発揮であり、上杉鷹山公の「住民は藩のために何ができるかを考えよう」の精神を活かしていきたいと考えている。

改革の成果は、財政の収支尻に端的に現れる。すなわち、財政の硬直化に対して自由度をアップさせるというのが真の命題であり、いかなる改革をしようと最後は財政的な実績を残すことが大事である。この意味で、長野県の田中知事は明確な実績を残したといえる。

目標の明確化として以下の2つがある。
1 プライマリーバランスの黒字と利払い費の均衡
県債収入=元金償還費であり、財政の持続可能な姿の確保となる。将来へのつけ、過去からのつけを減らすことが子ども未来指向には必要。18年度現在、プライマリーバランスの黒字-利払い費=約6億円で、県政史上初めて県債残高が減る見込みである。
2 財政の中期展望の数値目標化
財源確保のため、例えば遊休資産証券化等により複数年に寄与させることも今後検討している。歳出削減の一方、景気雇用面への配慮も怠れない。3年間で200億円節減し、それを景気雇用面へ振り向けることを公約の一つとしているが、昨年度は30億円、今年度は100億円実施、従って来年度は残り70億円の実施予定である。

手段の明確化として以下の2つがある。
1 全事業の義務・非義務への振り分け
義務は圧縮・効率化、非義務はゼロベースから再構築し、選択と集中の観点から男女共同参画、広域経済など4分野に重点を置いた。
人経費圧縮は36億円であり、職員定数の削減効果が大きい。特殊勤務手当ての中の本来業務に当たる部分も見直した。
2 予算還元システム(予算節減のインセンティブ)
自らの努力によって予算節減した場合に、次年度その2分の1だけ自動的に上乗せできる仕組みである。これにより、少しでも財政規律を確保し、もって自律的経営に繋がることを期待している。

知事のリーダーシップよりも職員自らの発想や積極的な取組み、県民の声が大切である。
したがって私(知事)は責任と目標の明確化として、部局長との間でインナーマニュフェストを結び、年度末に評価することになる。
また、個々の職員が今なぜ忙しいのかを全体の中での位置づけを理解することが極めて重要である。
そのため、1年間の予算編成のサイクルを職員全員に周知徹底させた。例えば、予算編成時期になると、これまでは財政課の締切に合わせただけの対応もあった。が、目標の明確化と責任の考えから、秋口に来年度の基本的方針を議会等を通じて県民に明らかにし、10月ごろから早速各部局長らとの具体的考え方、制度設計などを徹底して議論したうえで予算編成に着手してもらう──こうした流れを重視するため、いわゆる「金額がかさむ」ないしは「社会、政治的にも注目される」といった類の事案を中心に「氷山の一角」を査定する「知事査定」と言われるものは全く意味を持たないこととなった。

一方、改革は知事一人で行うものではない。寧ろ、職員が自らが自律的に手掛けてこそ真の姿の改革である。この点、組織経営自体が「頑張った人は報われる」、従って「自ら改革を推進したい」という組織風土になっていなければならない。この点、人事評価システムの構築は重要だ。「普遍的で自律した組織経営」を目指したい。

そのためにも重要なのが県庁の意識改革。その具体的仕掛け、仕組みとして、「県庁いっしん(一心、一新)運動」、「夢未来提案制度」を実施している。

ところで、最後に我々が共通して考えなければならない点を一つ──これば、本格的人口減少社会を迎える今日、男女共同参画は、イデオロギー面ではなく、経済面、換言すれば今後の豊かさの観点から、極めて重要である、という点。すなわち、山形県の人口は、、向こう30年間で122万人から100万人程度まで減少、つれて労働人口も65万人から50万人前後に減少すると見られている。このため、山形県のGDPは4兆円から3兆円に下がることが予想される。そこで、労働力率での男女差を30年かけて均衡化するよう、すなわち男女共にイキイキと働ける環境を整備することにより、実は県内GDPは反対に6兆円へ上昇すると算段することができる。県民1人1人が能力を発揮することで少子高齢化社会を乗り切ることができると考える。

なお、私は1年半前の県知事選挙で掲げたマニュフェストをこのたび自己評価した。全体としては及第点だが、まだまだ本格的に取組まなければならない点が多い。こうあったらいいという忌憚のないご意見を伺いたい。


● 横浜に改革の火種を!
横浜火種の会(横浜市職員自主研究グループ) 前田 慶美

1 はじめに~「横浜火種物語」~
私も有志の会の会員であり、いつもMLでみなさんの活発な意見交換を拝見させていただいている。みなさんにお会いできて、とてもうれしく思っている。
「横浜火種物語」ということで、私たち、横浜火種の会の活動内容を報告させていただく。齋藤知事から山形県の改革のお話しがあったが、これからの話も山形県が生んだ名君、上杉鷹山と深い関わりがある。その齋藤知事のすぐ後に話しをさせていただき、これも縁だなあと感慨深い。

2 横浜火種の会とは?
自分たちを庁内NPOと呼んだりもしているが、横浜市役所の改善活動をすすめていくための自主活動グループである。目 的-横浜市職員の意識改革の火種を具体的な取り組みを通して広めること。会 員-原則として職員。しかし、すでに外部会員も参加いただいている。特別に職員であることのこだわりはない。コンセプト-「おもしろく。だけどまじめに。」
自主活動に無理は禁物。できることを、おもしろく、だけどまじめに、続けていくこと大切。一番大事なのは、楽しいと思う活動。楽しんでもらう活動をすること。

3 火種の会のはじめ
どうやって会が産声をあげたか。それは、一通のメールが、82名の職員に送られてきたことから。「私たちは上杉鷹山の改革を学んだ。鷹山の改革や思いを理解しているメンバーが継続的な活動を行ったら、横浜市役所を変える大きな原動力になるのは間違いないだろう。」そんな思いのこもったメール。それに呼応したのが、現在の「火種の会」の会員である。
横浜火種の会のその「火種」となったのが、「なせば成るツアー」。童門冬二氏の「小説上杉鷹山」を読むことを宿題に、16年12月に1泊2日で実施。83名、バス2台で片道6時間かけて米沢へ。「なせばなる。なせねばならぬ何事も。ならぬは人のなさぬなりけり。」この鷹山の有名な言葉からツアーの名前をもらう。横浜市役所には、改革が必要だという熱い思いをもった実行委メンバーが手作りでつくりあげたツアー。

4 火種の火種~「なせば成るツアー」~
対象は、横浜市職員全員。目的は、改革の火種を横浜へ持ちかえること。
小説のなかで、鷹山が冷え切った灰のなかに小さな残り火を見つける。火種は、鷹山の改革の理念に共鳴し、協力した部下のことであり、それぞれが持ち場に散っていき、そこで他の者の胸にも火を付けていく。「その火が改革の火を大きく燃え立たせるだろう」と鷹山は考える。それが、改革の火種である。
コンセプトは、「遊ばせません・休ませません」お昼の時間は15分、買物の時間もなし、バスの中でも休みなし。とにかく鷹山について、改革について学ぶ。相当なハードスケジュールを強行した研修旅行だった。参加費は、もちろん参加者の自腹。ツアー実行委員の頑張りで、2万円という手頃な値段で参加できた。
ツアー終了後に行った、アンケート結果。「ツアーに満足しましたか?」‐満足・やや満足が98%、不満が0%。「改革の火種は持ち帰れましたか?」‐回答者の92%が「改革の火種は持ち帰れた」と答えた。自由意見としては、「自分を見直すよい機会となった」「火種を絶やさないよう、できることから継続したい」などといった、今後それぞれの職場での活動が期待できるような、前向きな意見が寄せられた。

横浜市長に中田が就任してから、私たちは「市民のための市政」を目標に、努力と現状の変革が必要とのメッセージを受け取っている。私たち職員は、「変わる」のではなく「変える」のだと。
このツアーに参加して、横浜市には、こんなにも前向きで、熱い思いを持った先輩方が、本当にたくさんいて、皆がそれぞれに頑張っているんだという事実に、大変感動した。そして、勇気をもらった。何より、あの場所に居合わせる事ができたことは、すごい幸せだと感じた。
なせば成るツアーから横浜火種の会結成までの経緯は、地方自治職員研修 平成17年5月号、6月号にも掲載。ぜひ、ご覧頂きたい。

5 火種の会の活動方針
1改革を志す人たちの火種を絶やさないこと 2火種を増やすこと 3火種を持つ人たちの緩やかなネットワークを築くこと。 これを、おもしろくて元気の出る様々な仕掛けを通して実現していこう!
「おもしろく」、だけど「まじめに」、「できること」を「できる範囲で」無理しないこと、人と人との温かい心の交流を大切にする。こんな事を考えながら、活動を行っている。

6 火種の会の活動内容
1意識改革を後押ししてくれるような元気の出る講師を招いての講演会、意見交換会。 2パーティーやツアーなど楽しい、だけど学びのあるイベント。 3他都市の職員グループとの交流。(たくさんの刺激を頂いている。) 4活動ビデオの作製、「火種ニュース」の発行などの広報・普及活動。 5社会を元気にする活動への参加。

7 火種の会の活動報告
1 「ハマリバ収穫祭」での発表・・・横浜市役所の改革事例発表会「ハマリバ収穫祭」で、なせば成るツアーの展示発表を行った。横浜火種の会が、一番最初に行った活動。それから、改革事例に「火種賞」を授与。ちなみに、「火種賞」の副賞は、豪華「米沢牛」。火種とは切っても切れない縁のある、鷹山改革の地にちなんで。
2 米沢市との交流・・・なせば成るツアーにより、米沢市の皆さまと懇意に。昨年6月「さくらんぼツアー」。休日にも関わらず、米沢市役所の皆さまに、市内をご案内いただいた。本当に親切で優しい方ばかり。活動方針である「人と人との温かい心の交流」の一番の事例。
10月1日に開催された「全国まちづくりフォーラム」では、横浜市長中田が米沢を訪れ、改革について講演。火種の会では、フォーラムの出席、その後の懇親会や翌日まで米沢の方と語り合い、それぞれの改革推進を誓う。
3 札幌市との交流・・・なせば成るツアーについて書かれた「地方自治職員研修」がきっかけで、札幌市市役所改革セミナーで、「なせば成るツアー」と「横浜火種の会」について、話をする。
それがご縁で、冬に、火種の会札幌ツアー。有名な札幌市コールセンターの見学、災害時のコールセンター利用についての学習、意見交換会での議論。歌ったり、おいしい物を沢山頂いたり。とても充実したツアーに。 
他の自治体の方とお話することは、市役所の中だけにいると中々見えてこない「外から見た横浜市」を知る、最適な機会。新しい視点に出会えたり、他都市について学ぶ事ができるだけでなく、逆に横浜のことをもっと勉強するきっかけにもなる。
4 「有志の会」との出会い・・・縁が縁を呼ぶとは、こういう事。札幌市の池上さんの紹介で、東京で開催された自治職員体有志の会が主催する「中尾英司氏とのオフサイとミーティング」に参加。ここで、三重県の山路さんと知り合えたことが、今回の活動報告の場に招いていただくきっかけとなる。
人と人とのつながりは、素晴らしい。最初の一歩さえ踏み出せば、そこから、更に更に輪が広がっていく。そこで頂いた元気が、次の日からのパワーにつながっている。
5 市民活動への参加・・・横浜火種の会では、市民活動にも参加。その一つが「ネット社会と子どもたち協議会」。平成16年6月の長崎県佐世保市で起きた小学生による同級生殺害事件。インターネット上のトラブルが事件の一因とされたため、当初はネットの問題が大きく取り上げられた。これを契機に、新たな危険から子どもを守る「市民ネット」が誕生。それが、「ネット社会と子どもたち協議会」。今年2月11日にフォーラムを開催。火種の会のメンバーは、スタッフとして参加し、フォーラムを支えた。こうした市民活動への参加により、ネットワークを広げると共に、市民の方から見た市役所・行政の姿を学んでいる。
6 講演会の実施(市役所内部の業務外研修)・・・昨年夏には、「横浜市改革エンジンフル稼働」の著者の一人であり、横浜火種の会のメンバーである横浜市立大学教授の南学先生の講演会を開催。先月には、上杉鷹山の改革は失敗だったという視点から、御茶ノ水大学の中田邦臣先生の講演会を開催。
どちらも、「おもしろく」だけど「まじめに」を忘れない。集まった皆さんと、熱く語り合う中で、いつも元気をもらう。それが、職場へ戻った際に、エネルギーとなり、また頑張ることができる。
「火種の会」の活動の中でも、一番大切にしていきたいと考えている部分である。

8 最後に~火種の会の目指すもの~

■ 点から線へ、線から面へ・・・人ひとりの火種を結び、大きな力としていくためのシステムづくり。人は人を呼ぶ。その好循環を、どうやって大きな力として市役所改革につなげられるのか、もっともっと考えていかなければ。
■ 自主的に、自発的に・・・できること・やりたいことに、自ら進んで取り組める仕組みづくり。  企画を作り、仲間を集めて実施する。それをくるくる回していける仕組みを考えていきたい。火種の会での、こうした楽しい企画作りは、非常に学ぶ事の多い経験。積極的に、参加することが、自分を磨き、育ててもらえる。火種の会は、そんなグループでもある。
■ 知ってもらう 触れてもらう・・・火種の会会員間の情報共有手法確立と、会から外部への積極的な情報発信の仕組みづくり。他都市の方に、「火種の会の野望」を聞かれたとき、個人的な意見として、「横浜市の中だけでなく、みんなに火種を広めること」と答えた。そのためにも、火種の会について、いかに知ってもらうか考えていかなければ。

まだまだ未熟な点ばかりの横浜火種の会。色々な問題にぶつかり、悩みながらも、楽しい活動を目指して、頑張っている。
このシンポジウムをきっかけに、皆さまとますます交流を深め、そして、火種のネットワークが全国にできたら、とても素適だと思う。


● なぜ、自主的に活動するのか?

Now For Future!!(福岡市職員自主研究グループ)  的野 浩一

NFFは、よりよい市民社会の実現に向けて活動、研究している福岡市役所職員の自主研究グループ。地域活動やボランティア活動を行い、市民と一緒に汗を流したり、シンポジウムや講座の開催、市民団体との交流や、これらの活動の情報を発信したりしている。

設立のきっかけは、九州大学大学院生と共同研究をする研修に参加したメンバーが役所の研修だけでは終わらせたくないと、自主的に研究を始めた。このときのテーマは「コミュニティの自律経営」だったので、いまでも、それに関連する分野が主な研究テーマとなっている。

これまで、一市民として、旧来からある地域コミュニティやNPOの中に入り、活動に参加。この写真は、希薄になった地域コミュニティを活性化しようという取組み。親同志のコミュニケーションの形成をも図っている。
市内NPO の運営にも参加している。事業収入と人が限られているなかで、互いに助け合いながら、根気強く続けられている。やはり、現場に入り一緒に汗を流すことで、熱い思いをもった方々が多いことをナマで感じ取れた。そして、これらの経験は各自の職務においても活かすことになる。予算がない、人がいないといっても、市民活動の現場は、比べものにならない。

また、市民と行政職員が語る場合は、決して本音で語る時は多くなかったように思っていた。そこで、市民と行政職員が本音で語る場として、シンポジウム「合体フォーラム.本音でトーク!はっけよいコミュニティ」を開催した。
パネリストに本音を出させて戦わせようと、市民団体側、行政側とも他県からお呼びした。会場は大いに盛り上がった。

活動を通して、行政職員も市民も「協働」について悩んでいると感じた。よくNPO向けの協働講座があり、また行政職員の研修などでも「協働」が取り上げられているが、市民と行政職員が共に「協働」について考える場とはなってないようで、それなら行政職員も市民も対等な立場で、肩を並べながら会する講座を開催してみようということで、「協働講座」を開催した。

また、大学や高等専門学校との交流の他、各地の組織を訪問したり、意見交換している。

市役所内では、私たちの研究の報告会を行っている。私たちが経験したり、調査した市民活動や、行政の事例等の報告をすることが多いが、新人職員を相手にCMやポスターなど広告を元に、チラシ、キャッチコピーを作る、「プレゼン講座」も開いたことがある。企業の広告はその後の売り上げUPという明確な目標があるため、それに学ぼうというもので、ジャパネットたかたのCMや浜崎あゆみポスターなどを題材にして企画した。

また、NFF以外にも、目的を持った活動で汗を流している他の自治体のグループもあり、交流会もした。個人がグループを結成することで視野が広がるのと同じように、グループどうしが交流すれば、また勉強にもなると考えている。

最後に、自主的な活動の効果について。自主研究で成功した企業の例としては、Googleが挙げられる。googleでは、「エンジニアは就業時間の20%を必ず自主研究にあてなければならない」という規則がある。この自主研究から、さまざまサービスを開発し、市場で大ヒットをさせ、成長していった。多くの企業にも「自主研究制度」がある。それは、既存の業務ばかりに携わると、新しい技術や、時代の変化に触れる機会が少なく、結局ライバル企業や消費者からおいて行かれると多くの企業はわかっているからだ。

「就業時間の20%」についてGoogle創業者の一人ラリー・ページはこういっている。
.「『就業時間の20%』で重要なことは、あなたが上司にNOと言えることだ。これは職場のダイナミックで本当の変化だ。誰もあなたに新しい試みをしてはならないとは言えなくなる。決してあなたが気晴らしを得ることを意味しているのではない」

私自身は、社員が、既存の業務に席をおきながら、部分的に、やる気のある業務に堂々と携われるということに意味があると思っている。最後に、自主研究や自主活動をしたときの収穫を3つのキーワードにまとめてみた。
1 視野が広がるということ
2 組織をまとめる力を養うことができる
これは、自主的なグループという必ずしも属さなくてもよい組織なので、ちょっとでもまとまらないとすぐに空中分解してしまう。その中でどうやってグループを運営していくかということになる。いろいろと組織運営についての研究がされているが、やはり、人間として、ちょっとしたメンバーの気持ちの変化などに気が付けるかできないかなどということにかかってくると思う。
3 市民との交わり方の意識が変わるということ
業務として、市民活動に飛び込んでも、組織という鎧をきたままの状態。一個人として、丸腰で交わって、市民活動の苦労や現場の課題が見えてくるもの。

ぜひ、みなさんも自主研究に取り組まれて下さい。そして、ぜひ交流しましょう。


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■ 基調講演

『あなたは変革の担い手となりえるのか? ― 今、自治体の危機を考える』
木佐 茂男教授(九州大学大学院法学研究院)

< 講 演 聴 講 録 >

参加者を代表して、宮崎県野尻町の職員である野口健史が、以下のとおり、基調講演の感想をご報告させていただきます。
 
 今回、福岡で開催ということもあり、初めてこの会のシンポジウムに参加することができ、感激する反面、演題にある『あなたは変革の担い手となりえるのか?』という言葉に多少の戸惑いを覚えながらも、これから自治体職員として、どのような心構えで行政経営に臨んでいくべきか、という自分なりのテーマを設定し聴講しました。
 会場はほぼ満席でしたが、開催地である福岡市の職員の参加について、講師より挙手を求められたが、僅かな数でした。私も単独で参加しており同僚は誰も来ていませんでした。
 講師からは、「そのようなものですよ。」と説明がありましたが、私も同感でした。
 市町村合併問題が一段落し、合併したまち、自立を選択したまちと様々な状況があるようで、現在の流れから行けば、行政組織はますますコンパクトになり、代わってコンビニやその他機関が業務を代行していくでしょうと説明がありました。そのことは想像に難くないが、それを代行する機関としてATMなどを例えられたことには、思わずうなずいてしまった。現在でも臨時職員などにより行政事務が支えられているが、今後ますます加速し、コンビニでアルバイトの高校生がその業務を担うとなると、現在の我々の業務の価値そのものが問われる時代もそう遠くないと納得しました。
 
 続いて、外国の事例を紹介されましたが、日頃不勉強な私にとっては、聞くこと全てが、初めての内容でした。
 スイスにおいては、公務員制度そのものがなくなり、市民が交代で業務を担当するというシステムが出来上がっているということで、現在の日本の既成概念を根底から覆す内容でした。まさに住民自治の仕組みが熟成しているんだなぁと、感心することしきりでした。
 また、ドイツにおいては、公務員制度はあるものの、優秀な職員養成のための学校があり、卒業できないものは職に就けないという、合理的な仕組みがあることや、議会についても若い世代から、選挙や議会運営に取り組むことが実現しているということでした。

 最後に本日の演題である、変革の主体になり得るのか?というテーマについてですが、そもそも西洋では歴史的に見ても、幾度かの市民革命を経て現在の国家を形成しており、日本においては、それほどの革命と呼べるものはなく、官と民といわれるように上意下達の構造が連綿と続いてきているのではないでしょうか?
 そのような中で、市民主導での改革を求めるのは望み難く、また改革とはそのような趣旨のものでもないと思いました。
 それでは、官主導で改革を行うのか?という疑問が沸いて来るのですが、そこに民意が存在し得るのか?そんなことを考えているときに思わずひらめいたのが、“協働”の文字でありました。ごく一部の“変わり者”である我々有志のメンバーが、オセロのように周囲に伝播し黒を白に反していく、各地の住民の中にいる“よそ者、若者、馬鹿者”を筆頭に大きなうねりの中に巻き込んで変革を起こしていく時期に来ているのではないかと、強く感じました。

以上、駆け足での感想になりましたが、このような講演にはやはり自ら時間を作り、足を運び自分の五感で感じ取ることが重要であろうと思いますので、これを読まれた皆様には、ぜひ次回の米沢、またその次の会場でお会いできるまでのお楽しみとして置いておきたいと思います。

■ パネルディスカッション

『地域から日本を変えよう!~自治体職員が住民と共に~』

【コーディネータ】
小西 砂千夫教授(関西学院大学大学院経済学研究科)

【パネリスト】(順不同)
古川 康(佐賀県知事) 河内山 哲朗(柳井市長) 後藤 國利(臼杵市長)
山崎 栄子(大野城市) 乙丸 法道(久留米市)


<自治体職員へのエールをこめて、首長からの自治体職員と行政への発題>

【小西 砂千夫教授:コーディネータ】

木佐先生の基調講演では強い問いかけがあった。
日本の自治の仕組みの中で職員として、現場に対する変革に対してどれくらいの心構えでやっていくか、外国の事例を交えて強く皆さんに訴えられた。
自分たちは、いったいどんなふうに何を変えられるかという問いかけを受けてのパネルディスカッションである。
「自分の職場ではこういうことをやろう」といういろんなお土産を、いろんな形で持って帰ってもらうためにパネリストの方から引き出したい。

それでは、3人の首長から自治体職員に向けてのエールを込めてのご発題をいただきたい。


【河内山 哲朗(柳井市長)】

 有志の会の山路さんから、メールマガジンを送ってもらっており、勝手に情報だけいただき申し訳ないが感謝している。また、今回、この場に招かれてありがたいと思っている。
 どこの首長も現場をもっているので、そう変わったことをやってきたわけではないが、しかし、柳井市の職員と一緒に仕事をやってきた中で、心がけてきたことが3つある。

 1つめは、ベンチャーの精神である。
地方自治体の現場は、あらゆるところで市民とつながりがあるが、意外と現場から発想するのではなくて、今までの中央集権に慣れ親しんだために、市民感覚と違うところで決められたことを仕事としてやってきた感がある。ただ、それが総て悪いわけではないが、より現地・現場で物事を考えるということを心がけている。今合併して1800の市町村があるが、みんなそれぞれの地域によって抱えている問題は違うはずである。その現場で物事を考え、編み出し、新しいことをやろうとする、挑戦する心構え、ベンチャーの精神が首長にも職員にも求められているのではないか。そして、新しいことをはじめよう挑戦しようとした瞬間に、それを邪魔しているものが見えてくる。挑戦しなければ、その課題や邪魔しているものさえ見えてこない。
市長になって14年目になるが、市民から、文句・クレームがあると、どうやったら克服できるか、そういうことを書き留めたノートがもう3冊目になる。時々それを開きながら、常に克服しようということを頭において仕事をしてきた。政府や地方政府もある意味、あまりコロコロ変わることよりも安定性が求められているが、しかしそういうところほどベンチャーの可能性は高い。誰もやってこなかったから新しいことができる。ベンチャーの精神、現場のトラブルを真正面から捉えれば、必ず克服できる。
一例を挙げると、ある親しい人が仕事を休んで住民票をとりにきた。コンビニではないが、どうすれば休んでもらわずに365日、住民票が発行できるかを職員と一緒に考えたがなかなか答えが出ない。そこで、消防署なら24時間365日職員もおり、住民からも身近で受け取りやすい場所であると考え、結果的に消防署で住民票の発行をやっている。やり始める前に、職員が山口県の市町村課(旧地方課)に相談するが、県からは「慎重にやるように」という意見があった。しかし、なんていうことはない。やろうと思えば必ずできる。
ベンチャーの精神があれば、必ずやり遂げることができる。まだまだ克服すべき課題は多いが、そのためには、市長も職員もあきらめない頑固さが必要である。

 2つめは、市民自治能力の発揮である。
 高度経済成長と共に、自治体の仕事は金がかかるような仕組みになってきた。先進国の中でも、寿司屋に例えれば、松・竹・梅・並の中で全部、松でやってしまっているのは、日本の自治体が最たるもので、工夫次第である部分は梅でも並でもいいものがある。これが行政改革の一つのテーマであると考えている。  
もうひとつは、本当は、市民は自治能力をもっており、自らのことは自らでできる力を持っているが、お任せ民主主義と財政が豊かになったお陰で、あんまり努力しなくても、市役所がやってくれるということで進んできてしまったために、市民の自治能力を錆び付かせてしまっているところがある。そういう錆び付いた自治能力を磨いていこう、火を付けていくことで、ずいぶん市の仕事の進め方も変わってくるのではないか。柳井市の場合も例えば、市道整備を市民の手でやってもらっている。提案当初は、市民の方から叱責も頂き、まだ理解されない方もいらっしゃるが、多くの方が理解してくださっている。
資材や機材の借上料は、市税で負担するが、市道整備の労力は市民の方にお願いすることで、市が公共事業で発注するより9.7%くらいのコストで実現でき、今まで、いつも優先順位が低く後回しにされてきた、市民の愚痴の対象、市長から見れば、言い訳の対象だった市道整備が、より安く、早く生活関連道路として整備でき、結果的にかなりの市民のメリットになっている。そういう自治能力に火をつけていくことも現場の中でやるべき努力であると考えている。

 3つめは、まちづかいの発想の提唱である。
 公共施設(ハコモノ)は、全国的にある程度、整備水準が上がってきている時代である。昔は立派なハコモノを造るというと選挙に勝てたが、今は選挙に落ちる時代である。(笑)
これからは市の仕事として、今まで作ってきたハコモノを徹底的に使いこなすノウハウを考える時代に来ているのではないか。具体的には生活習慣病予防や、健康づくりのために、文化ホールをどう活用するかといったことも重要な方策である。まだノウハウとして確立されていないが、今ある公共施設を徹底的に使いこなす、そういう「まちづかいの発想」で挑戦することが大切ではないかと考えている。



【後藤 國利(臼杵市長)】

先ほど木佐先生が「変質者」とおっしゃっていたが、これだけ熱心な、本当になにかをやろうという人がたくさん集まっておられることに心から敬意を表したい。三人いればものが動くという。これだけいればなんでもできるだろうなと思う。

私がまず言いたいこと。「いま頑張らないで、いつ頑張るのか、もっともっと力を出して欲しい」ということ。このエールを送るために今日は来た。改革が今、いろいろなところで行われているが、「戦わない改革」はありえない。戦わないでやさしく改革するということはありえない。
よく行われているのが「お仕事」としての改革。ひとつの方針に基づいて人員削減したり、組織を簡素化したり、「それが改革だ」と思っていたら大間違い。本当の改革は、戦うもの。私は市長なので、議会、時には市民とも戦わなければならないが、さしあたり県、国(総務省)と戦うことをしないと改革はありえない。

今、起きていることは、大変危機的な状況。そのことに気がついている人があまりにも少ない。首長のおそらく80%以上の人は、戦う能力、意思もないし、危機感もない人がほとんど。だが、本当は、我々のまわりはめちゃくちゃに厳しい、危機的な状況にある。
夕張市がこの前「倒産」した。「夕張市はひどいなあ。」「あんなひどいことをしたからああなった」「市民がかわいそう。」「市長50%、職員15%の給料カットでも今後百年たっても回復のめどがたたない。大変だ。」とみんな心配している。これをみなさん、北海道の産炭地のあんなところだからああなったと思っているかもしれないが、夕張市と国の人口、財政規模、負債額を比べると、夕張市は、すべて日本国家の一万分の一のミニチュアモデル。他人事じゃない。国の財政でもこうだ。だから我々も、もっと厳しい状況になっていくことを認識しなければならない。

国の財政よりももっとひどいのは、我々に最も関係があり、「親方」である交付税特別会計。これは財務省と総務省共管の会計だが、痛み方がめちゃくちゃにひどい。どういうことか。夕張市があんなことになった原因は、一時借入金。借金は、返済のめどがたたない架空のお金。それで本年度の予算を補う。今の財政制度では、出納閉鎖期間までに当該年度の予算の調整をすればよいから、その時に翌年度分のお金を借りて当該年度の埋め合わせし、翌年度に付回しをする。それが積もり積もって、夕張市の場合は、普通会計のなかに142億円。そんなことしたら大変だというが、我々の親方である交付税特別会計は、それをずっとやってきている。一年間の入り込み15兆円なのに51兆円(16年度末)一時借入れをしている。とんでもないこと。しかも、借金として表に出てきていない簿外債務である。

簿外債務はそれだけではない。例えば、臼杵市は昨年度、補正予算で、ケーブルテレビを作った。これはわずかなお金が手元にあれば、あとは借金で作っていい、交付税で補填してくれる、ご存知の交付税措置である。これが今までで、どのくらい総額があるのか、だれもわからない。これは措置した総務省が、把握もしていないので発表もしていない。財政統計年報というので拾い出して計算してみると、なんと80兆円。これはどんなことになるのか。交付税総額が年々減って苦しいなかに、過去の事業に対する交付税措置が入っていて、ガンみたいに異常増殖している。これで真水の部分の交付税が減ってくるから、表面上よりはるかに地方自治体は苦しくなっている。
このような苦しい状況のなか、制度改革だと言われている。みなさんに一番注意して欲しいのは、地方制度が悪い、交付税制度が間違っているというわけではないということ。交付税制度は、すごくいい制度と思う。では、何が悪いのか。交付税特別会計がとんでもなく破綻していることが原因。交付税制度の破綻とはちがう。それを本当のガンを手術しないで、制度を変えようとしている。そんなことをしても良くはならず、悪くなるばかり。このことにぜひ気づいて欲しい。

我々は、なにをやらなくてはいけないか。会計制度を変えることだ。今の単年度主義、現金主義は、家庭の家計簿と同じで、へそくりがいくらでもできる。非常にうまみがある、あいまいな制度。政府も変えようとしない。年度末に予算の余りをあれこれ使える予算主義のうまみがなくなるからである。このうまみがある会計を、企業会計、複式簿記に変えないと今の日本は良くならない。
また、それをすると職員の仕事が50%減ると思う。なぜなら、今は、予算を作る、予算を管理するという、外に向かわず、机や、県庁、総務省に向かって仕事をしている。市民を向いての仕事はほとんどないからである。その原因はなぜか。うまみのある予算主義を温存しているため、決定的な悪、不正を防ぐためには、ありとあらゆる名分を講じて予算を作らなくてはいけない、管理しなくてはいけないからだ。それをやってもなおかつ、一時借入金その他の不正が出る。いくら管理しても今の制度のままでは改まらない。
できるだけ早く複式簿記制度に改められるように、臼杵市では、今年度にでも複式簿記のソフトを開発できるようチャレンジしようとしている。ぜひみなさんの協力も得られればありがたい。


【古川 康(佐賀県知事)】

 小西先生は少々浮かれた格好をしておられるが、私は「北朝鮮から来たのか?」(爆!)というような格好でこの場に臨んでいるが、これでも真面目にやっている。昔、PKOでカンボジアに行っていたが、10年ぶりにカンボジアを訪れて、前に服を作ってくれた店でそこの息子さんにこの服を作ってもらって、ある人が2ヵ月後にカンボジアに行くということで、頼んで取りに行ってもらって着てきた服である。

 PKOで自衛隊の後方支援としてカンボジアに行っていたが、そこで、自衛隊が何をしていたかというと、実際には施設大隊が道路補修をやっていた。しかし、どうも現地の人にとって、この自衛隊の道路工事は不評らしい。そこで、カンボジア語のできる人と一緒に現地へ聞きに行った。やはり不評だった。要するに日本では道路敷は交付税式に言うと、道路は端から端まで舗装しなくてはいけない。そうすると道は暑い。しかし、カンボジアではまだ靴をはいていない人がたくさんいる。人間の足は土の上なら歩ける。最初自衛隊は人がはだしで歩ける部分を考えていなかった。そこで、ある時から人が歩けるスペースを残して舗装することにした。これは、直接現地で声を聞き、現場で判断できるからそんなことが実現できた。これがもしも、財務省がODAに関する基準を設けていたり、国土交通省の「南方等諸国における~~」というような決まりがあると、会計検査があって大変なことになる。(爆)

 先日、埼玉のプールで大変痛ましい事故があった。本当に残念でならない。県庁では、翌朝1番に関係課が集まって対策会議がもたれた。これは、私がやれと言い出したことではないことを強調しておきたい。そこで、早速調査に取り掛かったが、発表した後に、ある1つの小学校が、文部科学省の基準を理解しているのか、内容をどうも勘違いしているようで、疑義が出てきた。調査しなおすと間違った答えをしていた学校がたくさん出てきて、そのことを発表した。そうすると、プレスから「県は何してる!」と言われる。
 しかし考えてみると、佐賀県は県有財産の管理は徹底できても、市町村におけるものまで全く同じようするには無理がある。それを県にどうこういうのは違うのではないか。まあ、実際、基準が全く無いという点で国の認識は極めて甘かった。
 国の基準にしても、プールの衛生基準はあるが、排水口の基準はない。市町村からも問い合わせがあるが、現実に無い。みんな変だと思っている。
 記者からの申し入れがあり、申し入れならば本音で話しやすいということもあり、議論していく中で、「基準がない中、すべての施設を全く同じようにするというのは、皆さんが思うほど簡単ではない。」という話をした。そういう話ができたのは、相手が記者であって、会検じゃなかったから。(爆)
 「国から通知が来てるじゃないか!」という意見がある、しかし、県の職員はすべての通知を全く同じトーンで処理することに忙殺されているのも事実である。こういう場合、最も必要で大事なことは、自分自身の注意感度を上げなくてはいけないということである。ここに参加している皆さんであれば、きっとこの注意感度を上げたはずである。その上で、改めて国からの通知を読み返してみる。点検をし直してみる。それが現時点で望まれる自分たちのできる最大限のことではないだろうか。そうした議論をしていくと、記者たちも批判はありながらも分かってくれる。また、市町村の人たちが、もしよく理解せずに調査票に記入したのであれば、どういう気持ちで記入したかも知りたいという意見も頂いた。
 一つは、こういう事件がある度に思うことは、すべてを全国一律にやれというのであれば、国が直接やるしかない。「国の関与を厳しくしろ。」という意見があるが、私は反対だ。 
私はある意味、横暴と考えるが、国の関与を強める方向には賛同できない。こういうことで、国の関与がますます強まる中、それを受け止めていく力、反対に自治を実行していく力が我々自治体には求められているのではないか。

今回、家庭内点数を下げてまで、自費でこういった取り組みに参加している人がたくさんおられるのを見て、正直大変うれしく思っている。
われわれは、ある意味、茨の道かもしれないが、悩みながらも、あるべき方向に向かって、住民満足度の向上と職場における職員の満足度の向上のために一緒に考えていきたい。


<自治体職員の目線で、自治体運営や自治体のあり方について考える~首長への質問>

【小西 砂千夫教授:コーディネータ】

ただいま3人の首長よりご発題があったので、次は二人の自治体職員の方に、フロアに居られる方の目線で、ということになる。今のお話に関係させて、あるいは直接関係しなくてもいいが、自分が自治体の運営や自治体のあり方について考えていることを話していただきたい。
その上で、3人の首長のうちお一人に質問をしていただきたい。
順番は山崎さんから。


【山崎 栄子(大野城市)】

このような機会を頂いたので、少しだけ大野城市のPRを。大野城市は、ここ天神から西鉄電車で約10分ほどの所にあり、面積は約27平方キロメートル、人口約9万3千人を有する、自然が残っていて閑静で住みやすい町。

私からは、普段思っていることや感じていることを中心に、改革の担い手であり、地域の下支えをしている自治体職員像についてお話ししたい。
私は今年の4月に行革関係部署に異動し、その前5年間は人事の部署にいた。その中で、やる気のない職員や心の病気で休む職員を見続けてきた。私はそんな職員に「やる気を出させるにはどうしたらいいのか?」「モチベーションを上げるにはどういう方法があるのか?」といったことを漠然と考えるようになった。
そのような時、2人の尊敬できる方に出会った。その方々が共通して言われていたことは、「傾聴スキル」を身につけなさいということ。人と人のコミュニケーションの基本は、人の話を聞いて、その話しをしている人の思いをきちんと受けとめること。思いが受けとめられたと感じることができれば自己肯定感につながり、また、やる気につながるのではないか。これは職場におけるコミュニケーションや職員のモチベーション維持向上を考えていく上でも重要なことだと思う。
私自身のモチベーションを上げる手段は、チャンスと時間があれば、いろんなところに顔を出すようにしていること。その行動の根本にあるのは、自分自身の視野を広げて、いろんな知識を吸収したいという気持ちが強くあるから。また、巡ってきたチャンスはそこでつかまないと次はない。そういう風なことをやっていると普段出会えないような方との出会いがあり、またその出会いからチャンスが巡ってくるように思う。
会場の方のほとんどは自治体職員だと思いますが、私たち自治体職員の「強み」とは何だと思いますか?私は「現場や住民の思いを反映させた社会のしくみづくり」を、組織の力を借りて、私たち自らの手で行うことができることではないかと考える。
私たち職員は、地域のどこに問題があるか、誰がどんな思いを持っているかということに気づく感性を持つことが必要なのではないか?地域に密着している自治体職員こそ、いろんな人の思いを汲み取れる感性を持ち、常にその感性を磨くことに努力をしなければならない、それが自治体職員の努めであるのではないか。
最後に、私の思う自治体職員としての面白さは、組織や他の方々の力を活かして、自分の実力以上の仕事ができること。このことを勘違いして、傲慢な役所職員に成り下がっている人もいるが、私は、仕事をしていく上で、「大野城市という看板を背負っていなければ、こういう面白い体験はできなかっただろうなぁ」といつも思っている。
私たちは、「いかに住民に喜ばれるか」ということを第一に考えて、仕事をしていきたい、その思いを大事にしていきたい。

それでは古川知事に質問。
私のいる市役所は小さな組織ですが、佐賀県庁では職員数が多く、職員一人一人の顔が見られないと思うが、知事自ら職員の思いを聞く場などお持ちか?
佐賀県ではコンピテンシーモデルを用いて職員の強みを活かした人事制度を構築されているが、知事の思いと職員個人の思いを融合させてベストな行政運営ができるように考えていらっしゃることや実施されていることなどを教えていただきたい。

【古川 康(佐賀県知事)】

知事部局だけで、3500~3600人の職員がいる。当然、全員と話をするのは無理なので、毎月1回4日を定例日に「知事室から」というメールを出している。メインは、職員の意識改革に関連するもので、主にスモールサクセスの紹介等で、お説教型ではない、がんばっていこうと思ってもらえるものを中心にしている。その中で、「案内」ということを本当にわかっているのだろうか、というメールを書いた。つまり、「どうぞこちらです。」と言うと、先に立って自分が歩くべきであり、お客様の後ろを歩いたり、「どうぞ」と言ったきり何もしてくれないことが多い、というようなことを書いた。程なく10人ほどから返事があり、「そうだ」という意見や「もうやってます」という意見、「自分も不思議に思っていた。」という意見をもらった。確かに接遇の研修はやっているが、役所の研修は全く役に立たない、場合によれば研修所の中でしか通用しない、そういう研修成果を職場で実践しにくい、研修で習ったことを職場でやると馬鹿かといわれる雰囲気がある。(爆)
 そういうやりとりを職員とさせてもらいながら日々色々なことを感じている。

 もう一つは、自治体の現場には、2つの現場があって、今そこで何かが起こっている、県民的現場と、職員が実際に働いている現場、特に本庁よりも現場、佐賀県では現地機関と呼んでいるが、そこで職員がどういう環境で仕事をしているか、この4年間で、66~67あるすべての現地機関を廻って話を聞くようにしてきた。そこではもちろん、叱られたり、理解できないと言われたり、色々な話があるが、すばらしい話をいっぱい聞かせてもらっている。
 ある保健福祉事務所を訪ねたとき、昼休み消灯している。それもお客様の相談に乗るところ、通られるところを消している。理由は経費節減のためだという、これはおかしい、間違っているんじゃないか。経費節減というのであれば、蛍光灯を省エネタイプにするとか、ESCO事業といってトータルで電気料金を下げる方法とか色んな方策があるはずで、民間ではお客様が通られるところを消灯しているというのはまず考えられない。
こういうことも実際に、現地・現場に足を運んだから感じられたことである。
 また、佐賀県は、福岡県のように大きな面積の県ではないので、トップと直接現場で働いている人たちとの距離は短いと感じている。そういう強みを今後、もっと発揮していけると考えている。


 【乙丸 法道(久留米市)】

私からは「住民と共に」という部分について自分の体験等を踏まえてお話をさせていただく。
私は今年で入庁10年目になり実際の仕事以外に住民の方々と接するために様々な活動に参加している。その一つにアドベンチャーキャンプ(青少年野外活動リーダー養成事業での取り組み)があり、年に一度一泊二日のキャンプを実施している。今年で18回目を迎え、当初は自治体主導だったのが、今では中心メンバー二十歳前後の高校生、大学生、社会人のボランティアスタッフで構成。
最近地域コミュニティが崩壊していると言われている。これに対し地域コミュニティの再構築の動きが見られるが、既存のコミュニティの再構築は非常に難しいと感じる。しかし地域が活性化しなければ日本の活性化もできないだろうとも思う。従来の地域コミュニティの良さは、考え方が違っても豊富なコミュニケーション機会により、目指すべき将来像への方向性が一致しており、これによって地域の活性化が図られていたことだろう。
アドベンチャーキャンプの成果は若い世代でいろんな話ができたこと。キャンプの卒業生が地域活動のリーダーとして育っていけば、新たなコミュニティのモデルになるだろうと思っている。しかし、実際の地域活動では年配者、有識者が中心に進められており、新たに出てきたこのような組織が地域を担う人材として受け入れられるかが不安。何かやろうとしたとき、どんなにすばらしいことでも少人数では実現することは難しい。しかし今後共感し合える仲間を作ることで、今の取り組みが今後に成果を上げることができると非常に期待している。誰もが住みやすい活気にあふれた町にしたいとみんな思っている。ここに参加された方々一人一人が将来について夢を持って、その夢の実現に向けて何かに取り組んでいただければと思う。

私の体験等をとおして先ほどの疑問も踏まえたところで河内山市長にお尋ねしたい。
今の私たちの組織は、できたばかりで地域として受け入れられているか、根ざしているのかということに不安。
市長当選当時34歳の若い行政のトップとして、地域の中で軋轢があったかと思うが、世代間を超えた融合に向けてどう行動されたのか、考えられたのかお伺いしたい。


【河内山 哲朗(柳井市長)】

 コミュニティの崩壊といわれるが、ある意味、力を合わせる必要が無い、なくても大丈夫という地域がある。反対に、コミュニティが今も生き続けているところがある。阪神大震災の後、神戸市が行ったアンケートで、意外にも、「隣近所と仲良くする」という意見が非常に多かった。災害や天災などがそれを教えてくれたのではないか。
 34歳で市長になった当時、職員がまず私に気を使ったようである。また、お互いに気を使ったのが議会である。それまでの市長は議会と阿吽の呼吸でやっていたが、私は何度説明を聞いてもそれは違うだろうということで、まずコミュニケーションが取れない。
それでも世の中、年齢差を気にするのは、1年~2年、どんどん新しい問題が出てくる。
 お金のない中でどうやって予算を組んでいくのか、介護保険制度をどうしていくか等々、どんどん新しい問題が出てくる。自治体の仕事は何かし終わったらそれで終わりではない。年齢差は関係ない。
 自治体組織の仕事は、コミュニティが機能するためには、コミュニティが抱えている問題は何なのかをはっきりさせれば必ず波は超えられる。コミュニティは困っていることがあると、コミュニティは機能し始める。要は「当事者意識」が薄れている。「自分のところは大丈夫か?」という当事者意識があれば、問題発生可能性箇所の発見は役所がやるよりも早い。いつも話しているのは、逆三角形の人口ピラミッドで考えると、市民みんなに当事者意識を持ってもらわないといけない。媚を売るのではなく、女性にもしっかり社会を支えてもらわないといけないし、高齢者も隠居の時代ではない。若者にも一肌脱いでもらわないといけない。そうなると自分は当事者でないと思っている方にも当事者としての意識を持ってもらわないといけない。要するに、人口ピラミッドで考えた場合でも一人称で地域をどうするか、お互いに考えなければならない時代に来ているのである。市民一人一人が当事者意識を持てば、役所が走り回るよりも、よっぽど早くできることがある。



<首長として、職員に対する「思い」>

【小西 砂千夫教授:コーディネータ】

首長として、職員に対する「思い」をひとつだけ聞かせてほしい。職員との関係をどういうふうに持とうとしているか。自分が首長になって職員がどう変化したか。期待する職員のタイプなど。


【河内山 哲朗(柳井市長)】

職員は、実行力はあるが説明力が無い。
「調べます。」と言ってから、時間がかかり、結局「昔からやっています。」という返答。
何故、そうなのか、それをするのかが欠けている。
物事をしようとするとき、オリジナリティと制度がぶつかることを恐れる。
市民から褒められたことの情報は遅れてもいい。トラブル・叱られたことは、市長の耳にいち早く入れてほしい。「市民の声聞き取り票」というものを作ったが、市長から順番に決裁するようになっている。悪いことは早く伝えてほしい。緩急軽重を判断してほしい。


【後藤 國利(臼杵市長)】

市長になって10年になる。10年前に立候補したときの公約は、ただひとつだけ。「市役所を変えます」だった。当時は、情けない市役所と思っていたが、今は、さまざまのことを一緒にやってきて、職員を誇りに思っている。よそと同じではない、よそがやっていないことをやろうとすることにファイトを燃やす職員が増えたからである。
いろいろな成果があるが、バランスシートの作成も臼杵市が初めてだった。入札制度で、6、7年前から予定価格、最低価格の公表をやっている。新しいことをやる職員が増えている。そういう体質に変わってきているということを心強く思っている。
だが、10年もたつと垢が付いてくる。私自身、年もあり動きも鈍る。ホームページのようにいつも更新をしておかないと古びてしまう。絶えず新しいことには、チャレンジしなければいけないと新たな思いを持っている。財政の問題を新しいチャレンジ目標として掲げている。
せっかくなので、先ほどの続きを。交付税措置は「債権」と思う。でも、国は「債権」と言わず、「制度」の産物と言う。自治体は、債務負担行為を起こさせられるが、相手(国)は起こさない。いくら交渉しても債務負担を起こさない。そこで、「債権存在確認行為」というものを全自治体に呼びかけて、どれだけ債権を持っているのかを算出し公表したい。本当のことを知ること、知らされることが改革への危機感を生む。危機感を生まないようにしていることが良くない。これをやるために職員はまた大変だと思うが、複式簿記を財政課のような既存の組織形態ではなく、やる気のある職員のプロジェクトでやりたい。それができる組織に変わってきている。ありがたいと思っている。しかし、日々新た。日々変わっていく。どこまで変わっても際限はない。私がいなくなってもそうあって欲しい。
毎週水曜に「水曜サロン」とうものを開いている。5時45分から7時まで。市長と新人、中堅など、やる気が有る人が集まって、いろいろな話をする。30人から50人集まる。楽しいなと思っている。


【古川 康(佐賀県知事)】

まず第1に説明力を身につけてほしい。OUTPUTではなく、OUTCOMEが大切。
 自分が話したことが、相手に届いただろうか、本当に相手が理解したかどうかを考えて説明する力をつけてほしい。
 自分が知事になって、書いてあるものを読んで説明するということはしていない。
 相手に理解される言葉で、自分で説明する力をまず身につけるようにしてほしい。



<会場からの質問>

【古川 康(佐賀県知事)】

(質問)ポスター貼権・ネーミングライツなどの利用による収入増とセールスの仕方は?

(回答)
 ウイーンに行った人からの発案で、¥1000レンタカーを始めた。佐賀空港を使えば、1日¥1000でレンタカーを使える。ウイーン市内のように何百万人も観光客がいる訳ではないが、これも佐賀空港を使ってもらう一つの取り組み。発端はウイーン!
 公用車や公共スペースにポスターを貼ることも歳入を上げる一つの努力の表れであり、所管は、出納局・会計課の仕事になる。とにかく歳入をあげるための努力をしようという意気込みの一つである。
 色んなところを廻って、ポスターやネーミングライツをお願いするが、最後は、トップセールスしかないと思う。


【河内山 哲朗(柳井市長)】

(質問)職員であっても地域に出て行く必要があるのでは?

(回答)
 人によって、得手・不得手があり、無理強いしてはいけないと思っている。ただ、地域の中で何かをやることで、地域の課題解決につながることには是非、参加してほしい。
そういう地域のことに参加しないと、なかなか地域の問題点が分からないし、地域にも溶け込めないといってきている。職員が地域活動と無縁ではいけないと言っている。


【後藤 國利(臼杵市長)】

(質問)財政の厳しさについて、庁内の職員にさえ伝わっていないと感じる。議員にはなおさら伝わっていないだろう。そこで、首長として、議会との付き合い方、正確な情報を伝えるためのスタンスの取り方について、考えを聞きたい。

(回答)
臼杵市の職員については、事務事業評価などで、全職員に共通した認識が以前よりずっとできていると感じる。しかし、議会とは難しい。そこで、毎議会ごとに政策討論会といって、記録をとらずにかなりあからさまに討論する試みを始めている。26人の議員を2つにわけて、財政の問題も話し合う。
また、毎年4月に課長からレポートを提出させているが、今年の課題は、「国が破綻したら、あなたはどうするか」ということだった。そういう話はすぐ議会にも広まるので、議員も、国も市も財政が厳しいということを考えてくれるようになっていると思う。





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■ 閉会あいさつ
                     自治体職員有志の会 福岡シンポ世話人 秋吉 誠(福岡市)

最初は150名ぐらいかなと思っていたら、みるみる増えて200名を超える人に来ていただいき、長時間、ご清聴いただいた。
台風を心配しつつ、昨日、滋賀県と沖縄県の人と6人でプレ懇親会をやった。その間、台風で大丈夫かという問い合わせがあったのは、たったひとり。やって当たり前。そしてやった。また、その居酒屋にいたのも、ぼくらだけ。それだけここにいる人は、「アホ」が集まっているということ。(爆笑)
私は、首長さんとダイレクトにメールのやり取りをして原稿を集めさせていただいたが、自分の市長だったらそんなことできない。非常にありがたいこと。実は、この資料も人吉市で印刷したもの。こちらから送った原稿を編集した。こんなふうにメールを使いながら準備をしていったが、これがものすごく楽しかった。自分の仕事ではなかなかこんなふうにうまくいかない。だがこのメンバーだと、みな「それやるよ。」という感じでポンポンいく。やり手がない面倒な役割である記録も、私がやる、やると言って、調整が大変なくらい。
私は、記録は逆に短くていいと言っている。ここにいない人に、そんなにサービスする必要はない。その分みなさんに「ここにいる感じ」を受けていただきたいと思う。
なぜ、こんなカバンを(首から)提げているのか、気になるだろうから説明しておかなければ(爆笑)。この中にみなさんの会費が入っている。「動く金庫」が今日の私の仕事で、これしか仕事がない(笑)。仕事で何百億も扱ったが、それは紙の上。これは現ナマで、重たい。これはみなさんが身銭を切ってくれたお金である。身銭を切った知識の吸収は、公的な出張とかと格段の差がある。これはとてもすばらしいことと思う。
資料46ページを見ていただくと、日頃、我々自治体有志の会がメーリングリストでやりとりしていることを抜粋して載せている。これは「人事評価」についてまとめている。これは少し美しくなりすぎだが、日頃はバンバン投げて、わけがわからなくなっているものもある。日常、こういったものをやっていて、さまざまな「思い」を集めている。
残念ながら今日はマスコミが来ていない。でも問い合わせはあった。そのなかで、一昨年、昨年との違いは何かと問われ、「変わりません」と答えた。それは困るとマスコミ。でも、当たり前のことを当たり前にやるのは実は大変であるという話をした。このようにマスコミの中では、自治体職員のこの会ような動きというのは、当たり前になっている。しかし、みなさんの周りでは、まだまだ「変わり者」である。問題意識を持って動かれているのは素晴らしいが、時々きつくなる。なんで私だけと思われるかもしれない。そんな時、この有志の会のメーリングリストは、結構元気を与えてくれる。
考えるに、有志の会は、多様な意見を入れながら、自分は必要な人間だと思える「パワーステーション」である。言い換えると元気のお裾分け。意見を交わしながら「明日もやるか」と思えれば、すばらしいことだ思っている。そういうもののひとつとして有志の会が活動できればありがたい。
 たくさん質問もあったと思うが、この後の交流会でもまた議論してもらいたい。
 みなさん、本当にありがとうございました。
《了》

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