後日談

さて、時は流れて。
碇シンジが成人するにいたり、「シンジハーレム」の同窓会とも言うべき祝賀会が開催されようとしている。
とある場所を借り切り、かつての仲間達と忙しく準備を進めるマヤ。
料理は自分たちでささやかなものを、という方針だったのだが、元メイド達の腕は健在である。
次々と豪華な料理が並び、飾り付けもまた、どこのホテルを借りたのかと言うほど煌びやかに仕上がった。
しかし、そんな彼女たちに特徴的なのが母子二人で行動を共にしていることだ。
なんとも微笑ましい光景ではあるだが、まあその子達というのが……

そこに遅れてやってきた葛城ミサトがマヤに手を振る。
「遅くなってゴメンねー!クソッ……あの野郎、頭にくんなぁ……」
「ミサトさん、どうかしたんですか。取引先でなにか?」
「後で話すわ……ホントにもうッ!こっちが女だからってスケベな目つきでジロジロ見るんじゃ無いわよッ!!」
憤慨し続けるミサトの傍らにいた側近、もちろん元メイドの一人がボソリと言う。
「……殺りますか?」
「うーん、そうねぇ、どうしよっかナー」
思わずニヤニヤしながら答えようとするミサトであったが、それを耳にしたマヤは驚き、
「ちょ、ちょっと、ミサトさん!そういうことは止めましょうって決めたじゃないですか!」
「マヤ、そんなに怒らなくっても良いでしょ?ほら、子供の前だし。」
「あ、ああ、そうですね。ほら、まーちゃん?みーちゃんと一緒に遊んでらっしゃい。」
どうやら、マヤとミサトの娘達らしい。仲良く手を繋いでトコトコと歩いていった。

「別にさぁ……いいでしょ?会社の利益や私利私欲のために彼女たちに動いて貰ってる訳じゃないんだし。」
「じゅーぶんっ私利私欲ですぅっ!!ホントにもう、みんな真面目にデスクワークしてると思ったのに……」
実は、社内におけるマヤとミサトの周辺は元メイド達で固めているのだが、しかしマヤの考えは甘い。
このパーティー会場に来ているときですら丸腰で居るものなどマヤと子供達ぐらいなものだ。
肌もあらわなドレスを着ている者もいたのだが、何処に隠しているのか不思議である。
これも女性の神秘というところか。そして、子供達が本当に丸腰なのかどうかも疑わしい。
「でも、勿体ないじゃん。せっかくインドのサッグもビックリの一児の母親で構成された暗殺者集団に成長したんだし。」
「……いつか、死人が出ますよ?そしたら、シンジ君どれほど悲しむか……あ。」
「な、何よ。」
「ま、まさか、シンジ君の周辺調査とか、影ながら守ったりとか、シンジ君にとって都合の悪い人を……」
「し、してないしてない!それこそ約束したじゃん!」
「ホントに?」
「………………………………その、ちょっとだけ。」
「……」
「……」
「ま、それはいいとします。」
「ホッ……マヤ、最近おこりっぽくなっちゃったわね……」
「怒らせているのは誰なんですか?まったく……いつか天罰が下りますよ?こんなことばっかりしてたら。」
「まーまー、今日一日ぐらいは笑っててよ、マヤ。みんな久方ぶりにシンジ君に会うんだし。」
「……そういわれると是非もありませんが……それにしても。」
「ん?」
「なんでまた、みんな女の子ばっかり生んじゃったんでしょうね。一人ぐらい男の子が居ても。」
「ふむ。これは第二次ハーレムの結成を暗示しているのでは……」
「ちょ、ちょっと、ダメですよ!血が繋がってるんですよ!」
「えー、いいじゃん。法律上では結婚してやりまくっても構わないことになってるんだしぃー。」
「まともな子が生まれて来なかったらどうするんです?」
「でもヤダなぁ。他の変な男にやるくらいなら相姦させちゃいたい。」
「それもそう……あー!シンジ君来ました!」
「シンちゃーん!こっちこっちー!」

遂に現れる成人した碇シンジ。幾分、背が伸びて当時よりも更に精悍な雰囲気が伺える。
一見スリムな男性に見えるが、誰もが知っての通りに脱いだら凄い肉体美を誇っている。
「ああ、ミサトさんにマヤさん!お久しぶりです!お元気でしたか?」
「あったり前よ!シンちゃんもずいぶん男前になっちゃって。」
「いえ、そんなことないですよ……ところで。」
「え?」
「今日はミサトさんのダンナさんって来られるんですか?一度、ご挨拶したいと……」
「えーと、死んじゃったの。うちのダンナ。」
「ええ!?そうだったんですか?」
「シンちゃん似の色男だったんだけどさー、私が孕んですぐに死んじゃってぇー。」
「済みません……悪いこと聞いて……」
「いいのよ。ほら、今更なに恥ずかしがってんの?マヤ。」
「あ、はい、シンジ君……ひさしぶりですね。」
「そうですね。あの……マヤさんの……」
「あ、ああ!あの、私の夫もその……死んじゃって……」
「ええええッ!?なんか、不幸が続いたんですね……」
その時、二人の女の子が近づいてきた。
「ま、まあ、そうなんです。あ、ほらおいで?私達の娘です。この子が私の娘のまーちゃん。」
「で、こっちが私の方のみーちゃんね。ほら、ご挨拶。」
続けて紹介したのはミサトである。女の子達はペコリとお辞儀した。
「こんにちわぁー」
シンジは笑顔満面でその子達の頭をなでて答える。
「アハハ、こんにちは。凄いな、お二人をちっちゃくしたみたいにそっくり。」
「でしょ♪ほら、みーちゃんのここは私で、この辺なんかシ」
「えっへんえっへん!……ほら、二人でシンジお兄ちゃんを案内してあげなさい!」
そう言ってミサトの脇腹をこづいて誤魔化すマヤ。
「はぁーい!」
「お、おい、こらこら……」
二人の女の子に手を引かれていくシンジ。
彼が遠く離れていくのを見越して、マヤはミサトに再び怒り出す。

「ミサトさん!?何を言い出すんですか!ほんっとにもうッ!!」
「いや……もう良いでしょ。好い加減、真実を打ち明けましょ?これ以上隠し通すの無理よ。」
「うーん、確かに。下手すると本当にシンジ君、誰かの子とデキちゃうかも知れないし。」
「……ほら、見て?シンちゃんのモテっぷり。」

見ればシンジは、二人の娘も含めて元メイドの娘達と見える子供達に取り囲まれている。
「あれで本当に親子の名乗りをしてないのかしら。すごいわねぇ。」
「一応、みんなもシンジ君にはバラしてないらしいんですが……」
遠くでシンジに元メイド達が挨拶している様子を見ていると、とぎれとぎれに聞こえてくる声。
「いや……この子が出来たときには夫はもう……シンジ様似の良い人だったんですが……」
普通の者ならこの辺で気付くはずなのだが、
頭を掻いているシンジの様子からして、まったくもって気付いていないようだ。
ミサトはそんな様子を見て、溜息をつく。
「シンちゃんもいい男なのに、なーんかこう、鈍いというか……」
「まあ、それも可愛いじゃないですか。」
「……ちょっと見てよ。あの子のお皿の盛りつけ方。母親仕込みかしら?」
「うわ、ちゃんとスプーンとフォークをお箸に使って……すごいですね。あんなにちっちゃいのに。」
「母子の血ってやっぱり濃いのねぇ。アンタの子も利口だし、既にパソコン叩いてる姿なんか……」
「まだまだですよ。今のうちからローマ字打ちをカナ打ちに矯正しておかないと。」
「タッチタイプが出来てるだけで十分じゃない。ホントに、ウチの娘と来たらもう……」
「でも、利発で行動力があって良い子じゃないですか。」
「良く言えばそうだけど、気は強いし何をしでかすか判らない……」
「あら、シンジ君の膝に乗ってるのは……みーちゃん?」
「……ほらネ?遠慮ってものを知らないのかしら、ウチの子は……ん?まずいわね、あれ。」
「え?」
「やっばい、シンちゃんの股間になんかあるって顔してるし……あー!そんなに触るんじゃない!」
「そ、そういえば、ああいう体位もありますね……ちょ、ちょっとあの腰の動かし方、やばくないですか?」
「あの腰つき、我が子ながら末恐ろしい……」
「感心してる場合じゃないですよ。あ、あ、シンジ君が昇天してしまう!あたし助けに行きます!」

慌ててシンジの方に向かうマヤ。その入れ違いで二人の女性がミサトに近づく。
「あーあ、ウチの子ってば手も早いんだから……あら、コダマちゃんにノゾミちゃん、こんにちは。」
「ちぃーっす!どーもね、ミサトさん。ほら、ノゾミ。挨拶しな。世話になってるんだから。」
すると、背が低くまだ女学生らしいノゾミはペコリと無言でお辞儀した。
「あらあら、いらっしゃい。あら?ヒカリちゃんは?」
「あの子、ダメになっちまってさ。出産が近いんで。」
「……出産?」
「そそ。それよりすまないネー、うちでシンジ預かっておきながら、さ。」
「ああ、やっぱりシンちゃん取り合いして喧嘩になりそうだったって話は本当だったの。」
「そーなんスよ。いや、上手くやっていけると思ったんだけどさ。シンジ、気ィ使って出てっちゃってさ。」
「でも……それじゃ、ヒカリちゃんに落ち着いたってこと?出産って……」
「ん、あ、ああ、出産ね。それね、シンジとは別のカレシとデキちゃってさ。」
「あら?そうなんだ。」
「それがさぁー、シンジ似の色男でさぁー、それでも孕んだ後に死んじゃってさぁー。」
「……」
「いやー、まいったまいった……ん?ノゾミ、つわりか?ほら、トイレならあっち。」
「あ、ああ……看護師も中にいるから看させるわね……あの。」
「アハハ、アタシはもう産んじゃったよ、うん。」
「シンちゃん似の色男とデキちゃって?」
「そそ、生まれた頃にゃもう……………………なぁ、あの子たちも、みーんなシンジの、だろ?」
「判る?やっぱり。」
「そりゃーもう、シンジに続々と送られてくる親子写真みれば一発で。」
「……なんだか申し訳ない。あーもう、シンちゃんってば、どれだけ種蒔けば気が済むのかしら。」
「ま、いいじゃんか。ふた開けてみりゃ三人とも、だったんで、三姉妹の喧嘩も円満解決。」
「……そういうもんなの?とにかく、養育費は払わせてね。ウチの会社で持つから。」
「いや、いいよ。アタシもヒカリも結構かせいでるし……ん?ミサトさん、やばい。この話はストップ。」

そこにマヤとシンジがクスクスと笑い合いながら戻ってきた。
「マヤさんッてば、ホントにもう……ああ、コダマさん。来てたんですね。」
「ほら、シンちゃん。コダマちゃん案内してあげて。」
「え、あ、はい。それじゃコダマさん、何か食べます……」

そして、再びシンジが離れたのを見越してマヤに向き直るミサト。
「ずいぶん時間がかかってるな、と思ったら……マヤ?今度は私が怒らなきゃならないみたいね!」
「え、あ、その……」
「私に判らないと思ってるの?シンちゃん、ずいぶんスッキリした顔してたじゃない!」
「いえ、そんな、私はそういうことは……」
「シンちゃん命中率はかなり高いし、二人目なんて出来たら丸わかりよ?」
「そ、それはないです。そっちはしてないから……いや、その……」
「ぁあ!?あっちの方?ッたく、久方ぶりのお味はどう?」
「あの……もう一回ぐらい大丈夫そうだし、ミサトさんも……一杯いかがです?……アハハ……」
「シンちゃんをドリンクバーみたいに言うんじゃないわよ!………………ね、ね、ね、ね」
「……はい?」
「アタシそれ実は苦手なのよ。シンちゃんのツボってこの辺?」
「いや、その……この辺をこう……」
「ん?あー、こんな感じ?」
「いや、そうじゃなくて、ここがアレでしょ?それで……」
「……?」
「………………」
「!?」
「………………………………」
「…………?」
「………………………………………………………………………………」
「!!!」
「…………」
「なーるほど……オッケィ!!んじゃ、いってくるわ。」
「……いってらっしゃい。」

はりきってシンジの方に向かうミサト。もう、有無を言わせず物陰に引っ張り込む様子が見える。
「あ~あ、やっぱりこうなっちゃうのか。あ……」
見ていると、パーティー会場は騒然とし始める。母親達は子供をそっちのけでビンゴゲームに取りかかり始めた。
マヤには、その景品がなんなのか、当然ながら察しがついている。
恐らく、トップの二人が手を出すのを心待ちにしていたのだろう。
「……アハハ。こんなことなら、開き直って2人目作っちゃえばよかったかな?」
そして、予想より早くミサトは帰ってきた。

「プッハァ~ッ!スカッとしたわぁ。あれならシンちゃん親子全員でまわしても大丈夫よ、うん。」
「親子って、まだみんな5、6歳ですよ?……それに死んじゃいますよ、シンジ君。」
「だーいじょうぶ、あのタフさは半端じゃないわ。コダマちゃんにタッチして帰って来ちゃった♪」
「えー?それ、ズルイかも。みんな、ゲームで誰が行くのか決めてるみたいだし……」
「ゲーム?みんな何やってんだか。単純に並べって言ってあげた方がいいわね。」
「でも、順番は大事ですよ。シンジ君何処まで持つか……あ!あの赤毛の人!」
「アスカが来たのね?頼むわよ!」
「はッ!」
ミサトの命で側近がすぐさま行動に移す。
「シンジィーッ!非道いデスヨォー!これだけ他の女に産ませておいてアタシには……モガモガ……」
流石に彼女たちの仕事は速い。すでに猿ぐつわを付けられ縛り上げられていた。

その様子を見ていたミサトは、やれやれといった調子でマヤに毒付く。
「あー、油断も隙もありゃしない。」
「……いいんじゃないですか?ほら、結構美人でスタイル良く育ったんだし、シンジ君それほどアスカさんのことは……」
「ダーメ!あんな節操のない女はとても近づけされられないわ。たった今も知られちゃいけない秘密を絶叫してたし。」
「シンジ君、コダマさんとヤッてて貰ってよかったですね。でなけりゃ聞こえてたかも……」
「あら?コダマちゃん、とっくに終わってるわよ。ひぃ、ふぅ……もうメイドのコ、3人目辺りじゃない?」
「そ、そうなんですか。シンジ君、頑張ってるなぁ……そういえばアスカさん、加持さんとくっついたんじゃ?」
「加持、結局は逃げちゃってさ。今はフランスで葡萄植えてて、自分のボルドー持つのが夢なんだって。」
「あら、いいじゃないですか。夢のある人生を送ってるみたいで。」
「それをネタにして私に言い寄って来るの。なんか、やることがキザったらしくて嫌よ……そうだ!リツコ呼ぼう!」
「え、呼んでどうすんですか?」
「ほれ、あれからリツコの人生暗いじゃない?シンジ君から幸せ貰ったら、流石のリツコも……」
「あの、赤木センパイ……ダメかも。その……」
「へ、なんで?」
「いや、そのう……私、言い寄られたことがあって……」
「あ……やっぱり噂は本当だったの……」
「内緒ですよ?私が言ったこと。でも……赤木センパイ、保釈されてから何やってるんですか?最近、会ってないので……」
「内緒にしてくれって言われてたんだけど、まあいいか。元NERV本部の付近にスイカ畑があるでしょ。こぉーんなに広い。」
「あ、ああ、加持さんが育ててたって言う……あそこのスイカ、甘くて美味しいんですよねぇ……それじゃ、まさか。」
「そ、あの麦藁帽子の人。私が言ったっていうのは内緒ヨ?」
「そうなんですか。MAGI弐号機のメンテとか手伝って欲しかったのに……でも、なんでまたスイカなんか。」
「リツコ、MAGIに関わるのは政府に禁じられちゃったし、加持からは殺人未遂の訴えをしない代わりに罪滅ぼしをしろってね。」
「でも、自然と共に生きるのも素晴らしいじゃないですか。」
「そうでもないわよ。この間、夜にビール片手で会いに行ったら、高笑いしながらスイカ割りまくってたから……」
「え……」
「自分達ばっかり甘く育っていくのがねたましいみたい……やっぱりシンちゃんに襲わせようよ。女の喜びを知れば……」
「や、やっぱり、ダメですよ。センパイ、シンジ君のこと恨んでいるかも……それに……それに……」

「……ん、マヤどうしたの?」
「あたし……一番可哀想なのはシンジ君だと……」
「ん、どして?これだけの女とヤれてんのに?」
「ミサトさん……シンジ君、結局だれの所にも落ち着けて無いじゃないですか。」
「……うん。」
「ハーレムの誰かを選ぶ様子もないし、洞木さんちでも結局は誰かを特定しかねて飛び出したんじゃないかと。」
「……」
「シンジ君、アスカさんに言ったんですよね?特別な人じゃないと出来ないって、それって……」
「つまり、あの頃はアスカを含めて誰も特定出来ずに手をつけられなかったってこと?」
「はい。理由もなく誰かをお気に入りにしてしまうと不公平が生まれるとか、そういうことを考えていたんじゃないかと。」
「成る程ね。私が突破口を開いてしまったから、逆にハーレム全員とヤるはめになってしまったのが真相だ、と。」
「そうです。シンジ君優しいし……ああ、私のせいでシンジ君全員とヤるまで帰れなくなっちゃうんじゃ……」
「こらこら、泣くんじゃない……あ、そこのあんた。シンちゃんサービスは後二人までって言ってきて。」
「有り難うございます……でも、シンジ君、後で他のみんなに気を使うんだろうなぁ……」
「このまんまだと、シンちゃん誰とも結婚できず親子の名乗りを上げられずって訳ね。よし、わかった!」
「ど、どうするんですか?」
「マヤ、あんたが貰っちゃいなさい。」
「わ、私じゃダメです。年齢がだいぶ上だからシンジ君可哀想だし、大して理由も……」
「……あのね。シンちゃんの中であんたが一番だったらどうする?それこそ可哀想よ。」
「それじゃ……まさか、シンジ君に選べと話すんですか?」
「いや、違うわ。シンジ君が誰を選ぶかを待つのよ。私達の中だったら二人目が出来たコが勝ち。」
「あ……成る程。そして、二人目は正式に親子だってことを話せばいい、と。」
「こちらからのアプローチは一切無し。そのルールに黙って従うならアスカも参戦させても良い。」
(なーんちって、シンちゃんの童貞奪った私が勝つに決まってんじゃん。強力なテクニックも伝授されたし……)
「判りました。つまり、みんなシンジ君との音信を絶って、はたして誰の所に行くか?と言うわけですね。」
(……ミサトさん、何か企んでますね?例えシンジ君の最初の人でも、それより前から添い寝を勤めた実績がある!)
「よし、決まりね。後で全員に通達……しっかし、いつかシンちゃんにも天罰下るかもね。」
「そうですね。せっかく慕ってくれた使徒の皆さんも、好い加減に愛想を尽かすんじゃ……」
「いや、それは誤解だ。神の教えや道徳、常識という有りもしないものを人は勝手に捏造して考えすぎる。
 大宇宙の大いなる流れのままに従い、他の繁栄を己の喜びとして生きておればそれでよいこと。
 周りを見渡せばいい。ハーレムを築く自然の獣など幾らでも居る。肝心なのは調和だ。
 とかく、下手な知恵を身につけてしまった人間共は、そのことを忘れて目先の苦痛に拘り、歪な習わしを作ろうとする。」

「……あの……どちらさま?」
突然に話に加わった新参者にミサトは驚いて振り向く。
そこに立っていたのは美麗とも精悍ともなんともつかない、ましてや男とも女とも区別が付かぬ者。
「いや、失敬。使いの者だ……と、言えば判る者には判るのだが。この封書を碇シンジに届けていただきたい。」
そういってミサトに一通の封筒を手渡す。
「あの……お名前は……」
「言わぬ方がいいだろう。ご歓談の所を失敬した……が。言わせて貰えば、決して無理はなさるな。
 自他ともに慈しむ心根があらば、何をしようと淫らとはならぬ。これまでのようになされるがいい。
 しかし、アイツも意地が悪い。このようなことをせずに、そっとしておけば良いものを。」
「はぁ!?あんた、ちょっと何様……」
と、つっかかろうとしたミサトではあったが、既にその姿はない。

「なに?あの野郎……あれ?女かな?判らん!とにかくムカツク!」
「なんなんでしょうね、一体。あ……ちょっとダメですよ。シンジ君宛ですよ?」
「糊付けしてないし、勝手に覗けってことでしょ?意味ありげなことをさっきの野郎が言ってたし……あ。」
「いや、でも……あら、この写真。」
「……」
「……」
「……これ、三つ子?いや、四つ子?」
「あれ、この辺にも何人か……それに、どう見ても年齢差がありますね……てことは、産んだ回数は、えーと……」
「なんか、無性に腹が立ってきたわ……やる?」
「いきますか!」
「よーし、シンちゃんサービス再開!全員2回ずつヤルまでシンちゃん帰すんじゃないわよ!」
「はいッ!今日は絶対に2人目作ってやるんだから……もう、言っちゃいますよ?ウチの子、シンジ君の子だって!」
「当然!アスカも解禁!あーもう、どーせ私達の負けよっ!天使様にゃ勝てる筈がないじゃないっ!!」

説明は不要かとも思われるが、封筒の中身は一枚の写真。
そこには青い髪の女性が一人と、赤ん坊から幼児まで、幾人もの青い髪の子供達。
彼女が妊娠するような母体を持ち合わせていることは疑問だし、確かに意地悪な仕打ちに見えてならない。
だが、その写真のお陰で実はギスギスしていたミサト達の心を解放したことだけは疑いようもない事実である。

パーティ会場でミサトが次々と作戦指示を下し、鬨の声を上げる。
「次!あんたも出撃するのよ!体位?うーん……ほら、そっちのコもおいで!二人で挟んじゃいなさい!」
最初は皆つつましやかにシンジの将来を祝福するはずだったのが、予想通りの方向転換により大盛り上がりとなってしまった。
まあしかし、ミサトがあの戦いの折の約束を有言実行したわけだからこれで安泰というところか。
「ほら、あんたも気合い入れていきなさい!一発でメロメロになってんじゃないわよッ!」
その傍らでマヤの指示の元に正の字をつけさせられる子供達は、何の意味だが判らず首を傾げていた。


「ねーねー、パパ、あんなに沢山(ピーッ!!)ばっかりしてて、だいじょうぶかなぁ?パパしんじゃうよ?」
「大丈夫。おまじないをしてあげたから……パパは(ピーッ!!)が大好きだし……」
「でも……ママはこれでいいの?」
「いいのよ。ママにとっても大事な人達だし、ご恩返しはちゃんとしないとね。」
常春の日差しがこぼれる生命の樹の木陰で、そんなやりとりをしていたとか、していなかったとか。
だとしたら、流石は親の相取りを決め込んだ肝っ玉母さんと呼ばざるを得ないだろう。


さて、宴がはてて残っているのは、碇シンジと共に腰を抜かして動けなくなった母親たちの解放をする娘達。
「ここはわたしたちにまかせて、にげてくださいっ」
どこでそんな台詞を覚えたのだろうか。
適当なところでシンジを追いやり、他の子供達にテキパキと後片付けの指示を飛ばすミサトの娘。
勿論、帰り際に可愛いキスで送り出すことも忘れない。
果たして、あの騒ぎの中で親子の名乗りを上げることが出来たのだろうか。それについては定かではない。


「それじゃ、ママ?つぎはパパにどんなハーレムつくってあげるの?」
「そうねぇ……次は年下の子とやらせてあげたいから、女子校の教師に……」

もはや頭をかかえる周囲の天使達。女子校を産婦人科を変えるつもりなのか、と。
が、そんな彼らの中の一人、アルミサエルの脳裏に妙な考えがよぎる。
まさか、全ての顛末はタブリスが糸を引いているのではないか、と。

ゼーレやNERVに潜り込んで、彼らをそれとなく操り最初のハーレムを構築。
使徒との戦いを経て、ついに積もり積もったシンジがハーレムを蹂躙した後、
とりあえずは、三人姉妹の素朴な小型ハーレムに落ち着かせてホッと人心地。さて、その次は……


~ Fin ~
最終更新:2007年02月22日 23:50
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