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華めきたり.7

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華めきたり






【話ノ六】




 正の部屋。

 男共が雁首を揃えて膝を突き合わせているのは滑稽の極みと言えよう。

 いい加減誰も口を開かぬ様子に、勇のしびれが切れ始めた時、


「薫の事を皆で見張ろう」


 口火を切ったのは博だった。それに続いて一人楽しそうに茂が賛同する。


「いいねえ、面白そう」

「面白いでは済まないぞ、もし本当に薫と喜助がそういう仲だったらどうする? 当主に知れたら喜助の命が危ないぞ」

「正、話しが飛躍しすぎ。僕は絶対に薫と喜助がそういう関係だとは思わないけどね。っていうか、どうして僕まで正の部屋にいなきゃいけないのさ! 薫の事を探るんならお前らだけで勝手にすればいいじゃないか。僕は部屋に帰るよ。付き合っていられないね」


 呆れて立ち上がる雅を、進がなだめて言った。


「まあまあ、俺達の大事な薫の事なんだ。雅だって全く心配じゃないという訳ではないだろう? 取りあえず雅も知恵を貸してくれないか」

「ふん! だからお前達は馬鹿だって言うのさ。薫の事を見張る? それじゃあ最初から薫の事を信用していないのが前提じゃないか。そんなに心配なら直接本人にでも聞けばいいだろ? いい年した大人が集まって、気持ちが悪いんだよ!」

「はは~ん。雅は薫が喜助と恋仲になるはずが無いと最初から思い込んでいるから俺たちの事を馬鹿呼ばわりしていたのか。大好きなお姉ちゃんに恋人なんて出来ないって思いたいんだねえ。よしよし」

「ばっ! 馬っ鹿じゃないの!? 茂、何言ってるんだよ! それは博でしょ!? 僕はそんな事思ってなんかないからね! 馬鹿茂っ! 僕は最初から薫には何か考えがあるはずって言ってるじゃないのさっ!」

「ええい、うるさい!!」


 雅と、それをからかう茂の会話が熱くなってきたのを勇が割って入り、立ち上がって各々を見る。


「貴様ら、それでも日本男児か!? こそこそと女の後を付け回すなどみっともない! 薫が誰を好いていようとよいではないか。ただし、もし本当に喜助がその相手ならば五体満足ではいられぬようにするのもやぶさかではない」

「勇はすぐ暴力で解決しようとするんだからっ! もういいよ! 薫の事を調べるのは俺と茂と進でやるから!」


 どんどん収拾がつかなくなる兄弟たちに、博がしびれを切らして声を上げた。


「ま、それが一番妥当だろうねえ。正は喜助の方から何か探っておくれよ。勇に頼みたい所だけど、話しがややこしくなりそうだしね」

「待て! それでは正は使えるが俺様が使えない男のようではないか? 良かろう、この宮ノ杜勇、妹の為に一肌脱いでやろうではないか」

「まあ、喜助は一番勇に懐いているし、それじゃあ喜助の方は勇に任せるよ」

「それでは私は私で、仕事の合間にそれとなく探りを入れてみよう」

「助かるよ、正」


 斯くして兄弟たちは、薫と喜助の動向を探るべく行動を開始したのであった。





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