チェンジ・ザ・ワールド☆
鬼頭8日目・No.1
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私のやんごとなき王子様
8日目
翌日の朝、私は部屋で慌ただしく身支度を整えていた。
毎日が思っていたより忙しい。
というのもオディール役の子がダイエットのしすぎと過労で倒れてしまったらしく、急遽代役を立てる事になったのだ。その調節の為に、実行委員を含めた私達生徒指導の仕事も増え、増々奔走する事となった。
私は医務室の手伝いがメインだけど、午前と午後で担当者が代わるから生徒指導の仕事もやらなきゃいけない。
鏡を見ながら髪をピンで留めて――よし! さ、今日も頑張るぞ!
「お、美羽~。なんだか決意も新たに! みたいな? 気合いが入ってるね~」
「え? そう?」
同じく鏡に向かっていたさなぎに横から言われて、思わず私は聞き返した。そんなに顔に出てたかな?
「うふふ。うん、なんか頑張るぞー! っていう感じ。昨日のバーベキューもすっごい好評だったし、なんだかんだ言いながら鬼頭先生とも上手くやってるみたいだし、案外相性良いんじゃない?」
「バーベキューは楽しかったけど、鬼頭先生との相性がいいかどうかは分かんないよ。相変わらず何かと私をいじめて遊んでるし。役に立つってより、ただいいように使われてる気がする」
「何言ってんのよ! 美羽だから頼みやすいんだって。美羽みたいにいじめられる人なんて他に聞いたことないもん」
「……それって褒められてるのか微妙だけど、有難う、さなぎ。取りあえず頑張るよ」
慰めてくれるさなぎに苦笑する。
各担当部署に行く前の朝のほんの少しの会話。でもさなぎとのこの時間が私に元気を与えてくれる。
「でもオディール役の子が倒れちゃうなんて、ビックリだね」
「うん、本当に。心配だけど……」
「時間は待ってくれないもんねー。ウチも大変だよー。でも美羽ほどじゃないけどねー。生徒指導担当者は全体をまとめなくちゃだもんね。美羽まで体調崩さないようにしてよ?」
心配そうに私の顔を覗き込むさなぎに向かって、私はにっこり微笑んだ。
「うん、気をつけるね。ホント有難う。それじゃ、私そろそろ行くね」
「うん! 行ってらっしゃい! 今日も頑張ろう!」
「おー!」
さなぎと笑顔で挨拶を交わし、私は自室を出発した。
朝からやっぱり忙しくて、気付けば時計は夜の9時を回っていた。作業をしている部署は中断しなくてはいけない時間だ。
私は午前中は医務室で鬼頭先生の手伝いをやって、午後からは真壁先生にこき使われてぐったりだった。重たい体を引きずって部屋に戻ると、明日の仕事内容をメモしたノートがない事に気付いた。
「あれっ? どこに忘れたんだろ?」
「どうしたの?」
ベッドの上で本を読んでいたさなぎが尋ねる。
「うん、ノート忘れて来たみたいだから、取って来る」
「一緒に行こっか?」
「大丈夫、大丈夫。ちょっと行って来るね」
そう言い残して私は部屋を出た。
生徒指導室を出て来る時は机の上にはノートはなかった。ということは医務室だろう。
さすがにこの時間医務室は人はいないだろうから、一旦鬼頭先生の所へ行って鍵を借りなくてはいけない。
「は~あ、きっとまたドジとかなんとか言われるんだろうなあ……」
ボソリと言われるであろう言葉を考えながら鬼頭先生の部屋へ向かっていると、階段の下から話し声が聞こえて来た。
私はゆっくりと階段を降り、そっと下を覗いた。
薄暗い廊下の明かりの下、二人の男女が立っていた。その姿にほっとする。
あ、ちょうど良かった、鬼頭先生と水原さんだ。医務室の鍵借りようっと。
水原さんがいれば鬼頭先生もいつもの厭味は言わないだろうから、私はちょっと安心して階段に足を掛けた。
すると、
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