黄金週間



  早いことに、この世界に戻ってもう1ヵ月がたった。
  町中を彩っていた桃色の花は散り、緑色に姿を変え始めている。
  以前は時より感じられた冬の気配は完全に消え、穏やかな陽気があたりを優しく包み込んでいる。
  慣れない生徒会の仕事や勉強などで疲れていた俺たちはついうっかり寝てしまいそうになる。
  だがしかし、ここで寝て過ごしてしまうわけにはいかない!!


  四月末から五月始めにかけては学生や社会人を含め、日本中の人々が楽しみにしているであろう値千金の『ゴールデン・ウィーク』があるのだ!
  まとまった休みというのは本当に貴重であり、気分や体をリフレッシュさせるのには最適であり、たいした目的もなくダラダラ過ごしてしまうのはもったいない。
  実際この機会を逃すと夏休みまでろくに遊びに行けない。
  折角だから、普段は行かない場所や愛紗達の興味のあるところに連れて行ってあげたい。


  他の生徒は実家に帰ったり、友人グループで旅行に行ったり、マイミクさんと恋姫無双onlyイベントにいったりしているらしく、愛紗たちも何人かに誘われていたようだ。
  霞や麗羽達は実際もう旅支度を始めていた。
  霞は可愛い女の子目当てでクラスの友人たちと旅行に出るようだ。また、麗羽達はこの世界を見て回りたいらしい。
  裁判沙汰&迷子にならなきゃいいけど。


  じゃあ俺達もどこかいくか、というわけにもいかない。
  旅行は人数が多過ぎるので今からでは宿を探すのも難しいし、お金もかなりかかる。
  黒須からの援助はあくまで生活費の範疇に留まっているため、使うことは出来ない。
  また、学生の身である俺にそんな大金があるわけがない。

  更に難しいのは実家。愛紗たちの家はとうになく、また、俺の実家も厳しい。
  家族からは帰って来いといわれているのだが、大人数が収容できるほどの大きさはないし、何より彼女たちを、こんなハーレム状態をどうやって説明しろと?
  無論、彼女達を置いていくわけにはいかない。


  そうなると電車で日帰りできる近場に少人数で出歩くのが一番の選択肢か?
  ん~そうするとなると、誰と出かけようか……
  俺は彼女たちの顔を頭の中で思い浮かべた。






2、華琳と出かけよう


3、蓮華と出かけよう
最終更新:2009年02月23日 22:32