真・恋姫無双SS 『お昼寝』



太陽の照りつける城壁の上で一刀は寝息を立てていた。
今日は非番、真桜や紗和といった問題の爆心地組も遠征で留守にしている。
一刀にとって久々に感じられる平穏だった。
「ん・・・んぐ!?」
突然、口と鼻を塞がれ一刀は飛び起きる。
「ぶはっ!な、なんだ?」
見れば隣で風が隣で寝息を立てている。
「起きろ!」
「おぉ!」
風の目がぱちっと開く。
「もう、なんなんだよ~、折角の憩いの時間を・・・」
「いやぁ、兄ちゃんがあまりにもマヌケな顔して寝てっからよ、ついな」
「と、宝慧が申してますが・・・」
「まぁ、いいや。どうしてここに?」
「実は、私もここがお気に入りでして」
一刀は小さく溜息をついてまた寝転がる。
「おや、また寝るのですか?」
「いや、こうしてる方が楽なんだ、ここは風が気持ちよくてね」
「ほほう」
そういうと風は一刀の腕を枕にして寝そべる。
「お、おい」
「確かに気持ちいいですねー」
そのまま風は一刀の胸に抱きつき、寝息を立てはじめた。
「あぁ、こんなとこ誰かに見られたら、また種馬とか言われるんだろうな~」
しかし、本気で寝ている様子の風を叩き起こすのも何だか可哀想な気がして何も出来なかった。

「ん・・・う~ん」
いつの間にか寝てしまっていた、目を覚ました一刀の眼前には真っ赤な夕焼けが広がっていた。
「あ~、少し寝すぎたかな~」
隣を見ればそこに風の姿はなかった。
「さすがに帰ったか・・・」
「いえいえ、こんな所に放置して風邪を引かれても困りますので~」
一刀の視界を遮るように風の顔が現れた。
「へ?」
一刀の頭が段々はっきりとしてくる。
「いい加減に足が痺れてきましたよ~」
(これは世に言う膝枕!?)
一刀はばっと飛び起きる。
「ご、ごめん」
「お兄さんの寝顔を眺めるのも楽しかったですよ?」
「いや、でもきつくなかった?」
「好きな人の寝顔が対価なら安いものですよ」
「な、なんて?」
「兄ちゃん、そこで聞き返すのは野暮ってもんだぜ?」
宝慧のつっこみに一刀は言葉を失う。
微妙に気まずい沈黙が流れた。
「風~!」
城壁の下から稟の声が聞こえた。
「呼んでるよ?何かあったのかな?」
「あぁ、今日の軍議サボっちゃいましたからね~」
妙に落ち着いた様子で風が口を開いた。
「・・・それってまずいんじゃないの?」
「はい、かなり」
全く焦った様子もなく風は稟に声をかけた。
「ここですよ~」
「風!今までどこに・・・」
そういった稟の視線が一刀に移る。
「一刀殿!貴殿が風を連れまわしていたのですか!」
「いや、誤解なん」
「はいー、お兄さんがお昼寝に添い寝をと迫ってきましてー」
「ちょ!?」
風が一刀の言葉を遮った。
「一刀殿・・・この事は華琳様に報告させていただきます」
「待て待て待て~!!!」
力なくうなだれる一刀の肩をぽんと風が叩く。
「これはお詫びです」
そういって風は一刀の唇を奪った。
「それじゃ、頑張ってくださいね」
風は稟の後を追って走りだした。

その後の一刀がどうなったかはご想像にお任せしたい。





  • さすが舞黒軍師、良いところだけを持って行く -- ヨシヲ (2009-06-08 23:42:03)
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最終更新:2009年06月08日 23:42