(更に一週間後)
「アスカ、行ってきた……」
「いいから、ここに座りなさい!早く!」
はい、ここはアスカの相談室。
「ちょ、ちょっと何でいきなり怒ってるのさ。とりあえず、お茶を煎れるよアスカ。ここにお煎餅が」
「煎餅なんていいから!何あれ?アンタ、本当にヤル気あんの?」
「……アスカ、何あれって、まさか。」
「そぉーよ!アンタ達がデートしてるとこ、わざわざ着いていって見させて貰ったわよ!」
「えーっ!?」
シンジは驚く。ていうか、呆れている。
当然だろう。人のデートを覗き見するなど、とても褒められた行為ではない。
しかしアスカ曰く、
「あのね、私も普通ならこんなことしないわ。
でも、相談を受けて遊園地を勧めた以上は、責任ってものを感じて仕方がなかったのよ。」
物は言い様って程でもないが、怒る権利はこっちにあるとアスカは言いたげだ。
「……でもさ、アスカ。何ものっけからそんなに怒ることでもないじゃない。」
そう言いながらも、一応はアスカにお茶を煎れるシンジはなかなか辛抱強い。
しかし、アスカは差し出された煎餅をバリバリ囓りながら文句たらたら。
「まず、ファーストの格好。何あれ?学校の制服で遊園地つれ歩くなんてどういう神経してんのよ。」
「あ、あのねぇアスカ?それを僕に怒るわけ?」
「アンタ、責任感ってものがないの?まさか映画を見に行ったときも?」
「そ、そうだけど……いいじゃないか。そんなの綾波の自由だ。」
「自由も糞も無いわよ!まるで学校サボってるか遠足してるみたいでダサイったら無いわ。
あんた、自分の連れに恥をかかせて平気なの?相談するならそういうこと言ったらどうなのよ。」
「そ……そんなこと言われても……」
流石のシンジも口をとがらせる。まあ、そこまで言われちゃ無理もないが。
しかし、アスカの勢いは止まらない。
「それともさ、あの子にゃ全くやる気ないんじゃない?女の子ならそれなりに努力するわよ、普通は。
はっきり言ってアンタ相手にされてない。仕方なくアンタにお義理で付き合ってるだけ。判らない?」
「いや、あの……」
「で?遊園地に行って?小一時間ぐるぐる回って?最後に観覧車だけ乗って帰ってきました?
それも、あの子じゃなくてアンタが乗ろうって言い出したんじゃないの?
あーあ、こんなに尾行が楽に終わるとは思わなかったわ。」
「だ、だから、僕も自重してたんだってば。どの乗り物にも感心なさそうだったし、
せっかくだから観覧車で景色を見ようよってことで……あの……」
「で?お話ぐらいは出来た?」
「……」
「はいはい、もうお仕舞い。悪いことはいわないから、あんな子やめたら?
アンタ、クラスでもエヴァパイロットってことで良い顔なんだし、普通の子を選びなさいよ。」
これには流石のシンジも激怒する。
「い、いい加減にしてよアスカッ!普通って何が普通だって言うのさ!
もういいよ!もうアスカに相談なんかしないからッ!!」
がらがらッ!ぴしゃんッ!
一人残ったアスカは、自分でお茶を入れ直しながら大きな溜息をつく。
「ったく。普通じゃないから普通じゃないって言ってるのよ。どーせ、こんなことになるんじゃないかと思った。
エヴァに乗るためだけに育てられたあの子をデートに連れ歩くなんて、よっぽどの覚悟じゃ出来ないことだわ。
判ってんのかしらね。あの馬鹿……」
最終更新:2007年12月02日 00:17